JP2024065357A - アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布、および、アスファルトルーフィング基材 - Google Patents

アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布、および、アスファルトルーフィング基材 Download PDF

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Abstract

【課題】 目付の均一性、タテ引裂強度に優れ、さらに、アスファルト含浸加工性に優れた、アスファルトルーフィング基材用のスパンボンド不織布を提供すること。【解決手段】 ポリエステル系樹脂を主成分とする単成分繊維で構成されてなるアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布であって、両面の繊維配向度が10°以上60°以下であり、一方の表面の繊維配向度と他方の表面の繊維配向度との差の絶対値が5°以上15°以下であり、目付CV値が5.5%以下であり、目付当たりのタテ方向の引裂強力が0.20N/(g/m2)以上である、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布。【選択図】 なし

Description

本発明は、アスファルトルーフィング基材に適したスパンボンド不織布に関するものである。
近年、家屋の屋根や壁、ビルの屋上等における防水層として使用されるアスファルトルーフィング材では、基材として、紙や不織布などにアスファルト含浸、アスファルトコートしたものが使用されている。
これらは、種々の防水工法の中でも防水性、耐久性及び信頼性に優れており、その上、施工性が容易で経済的にも有利なことから広く使用されており、これら基材には、まず、機械的強度に加え、不織布を構成する繊維が適度に開繊していることが求められている。
例えば、特許文献1には、地合の変動係数が一定以下の不織布が提案されている。この不織布によれば、分散性、均一性の高い不織布を提供できる旨が記載されている。また、特許文献2には、特定の繊維配向形態であるスパンボンド不織布が提案されている。このスパンボンド不織布によれば、優れたヨコ引張強力を備え、地合や品位に優れており、安定的に優れた機械的強度を有している旨が記載されている。さらには、特定の意匠を持ったスパンボンド不織布が提示されている。このスパンボンド不織布によれば、意匠性に優れ、十分な品位と強度を有し、かつ少なくとも一方向の柔軟性に優れるスパンボンド不織布が得られる旨が記載されている。
特開2015-76416号公報 国際公開2018/079635号 特開2022-55759号公報
特許文献1に提示されるような不織布は、地合の変動係数が一定以下に優れることで、ある程度品質が高く、低コストの製品を得ることができる。しかしながら、アスファルトルーフィング材などに用いる場合、地合の変動係数を一定以下にするだけでは不十分であり、電池セパレータに好適な不織布では、タテ引裂強力が弱いという課題がある。
また、特許文献2に開示されるような不織布は、特定の繊維配向形態とすることで、優れたヨコ引張強力を備え、地合や品位に優れており、安定的に優れた機械的強度を有しているものである。しかしながら、アスファルトルーフィング材などに用いる場合には、アスファルトを含浸させる際に熱収縮が大きくなる場合があり、その場合にはスパンボンド不織布にシワが発生し、加工性が悪くなる傾向にあるという課題がある。
さらに、特許文献3に開示されるような不織布は、特定の意匠を有するものとすることで、十分な品位と強度を有しているものである。しかしながら、アスファルトルーフィング材などに用いる場合には、ストライプ模様を有することから、アスファルトを含浸させる際に含浸ムラが発生し、機械的強度や防水性能が低くなってしまう傾向にあるという課題がある。
そこで、本発明の目的は、目付の均一性、タテ引裂強度に優れ、さらに、アスファルト含浸加工性に優れた、アスファルトルーフィング基材用のスパンボンド不織布を提供することにある。
本発明者は、上記の目的を達成するべく鋭意検討した結果、ポリエステル系樹脂を主成分とする単成分繊維で構成されてなるスパンボンド不織布の両面の繊維配向度、および、両面の繊維配向度の差を特定の範囲とすることで、目付の均一性とタテ引裂強度とに優れたスパンボンド不織布が得られることが分かった。そして、このスパンボンド不織布が、驚くべきことにアスファルトルーフィング基材に好適に用いることができるという知見を得た。
本発明は、この知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] ポリエステル系樹脂を主成分とする単成分繊維で構成されてなるアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布であって、両面の繊維配向度が10°以上60°以下であり、一方の表面の繊維配向度と他方の表面の繊維配向度との差の絶対値が5°以上15°以下であり、目付CV値が5.5%以下であり、目付当たりのタテ方向の引裂強力が0.20N/(g/m)以上である、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布。
[2] エンボス圧着面積率が5%以上30%以下である、前記[1]に記載のアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布。
[3] 目付が70g/m以上90g/m以下であって、厚さが0.29mm以上0.43mm以下であり、さらに、タテ方向の乾熱収縮率が1.0%以上3.5%以下である、前記[1]または[2]に記載のアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布。
[4] 前記[1]~[3]のいずれかに記載のアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布を含む、アスファルトルーフィング基材。
本発明によれば、目付の均一性、タテ引裂強度に優れ、さらに、アスファルト含浸加工性に優れた、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布が得られる。
本発明のアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布は、ポリエステル系樹脂を主成分とする単成分繊維で構成されてなるアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布であって、両面の繊維配向度が10°以上60°以下であり、一方の表面の繊維配向度と他方の表面の繊維配向度との差の絶対値が5°以上15°以下であり、目付CV値が5.5%以下であり、目付当たりのタテ方向の引裂強力が0.20N/(g/m)以上である。
以下に、その構成要素について詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する範囲に何ら限定されるものではなく、そして、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
[ポリエステル系樹脂を主成分とする単成分繊維]
まず、本発明のアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布は、ポリエステル系樹脂を主成分とする単成分繊維からなる。ここで、本発明に係る繊維において「ポリエステル系樹脂を主成分とする」とは、繊維全体の質量に対する当該ポリエステル系樹脂の質量の割合が、50質量%より多いことを指す。そして、「単成分繊維」とは、繊維断面が実質的に単一の成分で占められている繊維のことを指す。つまり、本発明において、「ポリエステル系樹脂を主成分とする単成分繊維」とは、単一のポリエステル系樹脂からなる繊維と、単一のポリエステル系樹脂と後述する添加剤などとで構成されてなる繊維とのことを指すものである。したがって、複数のポリエステル系樹脂からなる複合繊維、例えば、同心芯鞘型複合繊維、偏心芯鞘型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維、あるいは、海島型複合繊維などのような繊維は、本発明における単成分繊維からは除かれるものである。
ポリエステル系樹脂は、酸成分とジオール成分とをモノマーとする高分子重合体であり、本発明におけるポリエステル系樹脂とは、繰り返し単位に占める該モノマーのモル分率が80モル%~100モル%であるポリエステル樹脂を意味する。本発明において、酸成分としては、フタル酸(オルト体)、イソフタル酸およびテレフタル酸等の芳香族カルボン酸、アジピン酸やセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、およびシクロヘキサンカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等を用いることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコール等を用いることができる。
前記のポリエステル系樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。
これらのポリエステル原料には、本発明の効果を損なわない範囲で、結晶核剤、艶消し剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、難燃剤、金属酸化物、脂肪族ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪族モノアミド、そして、親水剤等の添加剤を添加することができる。なかでも、酸化チタン等の金属酸化物は、繊維の表面摩擦を低減し繊維同士の融着を防ぐことにより紡糸性を向上し、また長繊維不織布の熱ロールによる融着成形の際、熱伝導性を増すことにより、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布を構成する繊維間の融着性を向上させる効果がある。また、エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪族ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪族モノアミドは、熱ロールと不織布ウェブとの間の離型性を高め、搬送性を向上させる効果がある。
本発明に係る単成分繊維の断面形状としては、円形断面、扁平断面、多角形断面、多葉断面および中空断面等の形状が挙げられる。なかでも、円形断面の形状のものを用いることが好ましい態様である。
本発明に係る単成分繊維の平均単繊維直径は、10.0μm以上20.0μm以下である。この平均単繊維直径の範囲について、その下限が10.0μm以上、好ましくは10.5μm以上、より好ましくは11.0μm以上であることで、機械的強度に優れたアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布とすることができる。一方、平均単繊維直径の範囲について、その上限が20.0μm以下、好ましくは19.0μm以下、より好ましくは18.0μm以下であることでアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の均一性を向上させ、緻密な表面を有するアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布とすることができ、アスファルト含浸工程にてアスファルトを含浸する場合には、アスファルトの含浸ムラを少なくすることができる。
なお、本発明において、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の平均単繊維直径(μm)は、以下の方法によって求められる値を採用することとする。
(i)スパンボンド不織布からランダムに10mm×10mmの小片サンプル10個を採取する。
(ii)採取した小片サンプルの表面を走査型電子顕微鏡等で500~2000倍の範囲で繊維の太さを計測することが可能な写真を撮影する。
(iii)各小片サンプルの撮影した写真から10本ずつ、計100本の繊維を任意に選び出して、その太さを測定する。繊維は断面が円形と仮定し、太さを繊維直径とする。
(iv)それらの算術平均値の小数点以下第二位を四捨五入して算出した値を平均単繊維直径とする。
[アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布]
本発明のアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布は、前記のポリエステル系樹脂を主成分とする繊維からなる。ここで、本発明でいう「アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布」とは、後述する製造方法によって製造されるような、アスファルトルーフィング基材用のスパンボンド不織布のことを指すものであり、一定長(例えば、100mm)にカットされた繊維のみから構成されてなる不織布(短繊維不織布)は除かれるものである。
そして、本発明のアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布は、さらに、両面の繊維配向度が10°以上60°以下であり、一方の表面の繊維配向度と他方の表面の繊維配向度との差の絶対値が5°以上15°以下であり、目付CV値が5.5%以下であり、目付当たりのタテ方向の引裂強力が0.20N/(g/m)以上である。この4つの条件をいずれも満たすことによって、初めてアスファルト含浸時の裏抜けが少なく、加工性が良好であり、アスファルトが均一に塗布できることから防水性に優れ、アスファルトルーフィング施工時にも引裂強力に優れることから施工性に良好なアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布とすることができるのである。
まず、本発明のアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布は、その両面の繊維配向度が10°以上60°以下である。繊維配向度の範囲について、その下限が10°以上、好ましくは13°以上、より好ましくは15°以上であることで、タテ方向に引き裂かれる際に適度な抵抗となり、タテ引裂強力に優れたアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布とすることができる。一方、繊維配向度の範囲について、その上限が60°以下、好ましくは55°以下、より好ましくは50°以下であることで、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布を製造する際に、移動捕集面上のウェブが捲くれる欠点が発生することを抑制するとともに、噴射糸条同士がもつれずに、良好な開繊状態となり、目付ムラに優れたアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布とすることができる。
続いて、本発明におけるアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布は、一方の表面の繊維配向度と他方の表面の繊維配向度との差の絶対値(以降、単に「表裏面の繊維配向度の差の絶対値」と略記することがある。)が5°以上15°以下であることが好ましい。表裏面の繊維配向度の差の範囲について、その下限が5°以上、より好ましくは7°以上、さらに好ましくは9°以上であることで、アスファルト含浸工程におけるアスファルト含浸時に、スパンボンド不織布表裏面の繊維配向度差が適度な抵抗となり、含浸抜けを抑えることができる。一方、表裏面の繊維配向度の差の範囲について、その上限が15°以下、好ましくは13°以下、より好ましくは11°以下であることで、アスファルト含浸時にアスファルトの含浸ムラが少ないスパンボンド不織布となる。
ここで、本発明における繊維配向度(°)、表裏面の繊維配向度の差の絶対値(°)は、以下のようにして測定、算出された値を採用することとする。
(i)アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布からランダムに小片サンプル(タテ方向10mm×ヨコ方向10mm)を10個ずつ採取する。なお、本発明において、タテ方向とはアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布製造時のシート搬送方向、すなわち不織布ロールにおける巻取り方向を指すものであり、ヨコ方向はシート搬送方向、すなわち不織布ロールにおける巻取り方向に対して垂直に交差する方向を指すものである。アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布が切断された場合などでロール状態にない場合は、以下の手順によってタテ方向、ヨコ方向を決定することとする。
(a)アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の面内において、任意の1方向を定め、その方向に沿って、長さ100mm、幅50mmの試験片を採取する。
(b)採取した方向から30°、60°、90°回転させた方向においても、同様に長さ100mm、幅50mmの試験片を採取する。
(c)各方向の試験片について、後述するアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の引裂強力の測定方法に基づいて、各試験片の引裂強力を測定する。
(d)測定により得られた値が最も低い方向をそのアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布のタテ方向とし、これに直交する方向をヨコ方向とする。
(ii)一方の表面について、走査型電子顕微鏡(SEM、例えば、株式会社キーエンス社製「VHX-D510」など)で観察するに際し、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布のタテ方向が観察画面に対して垂直となるようにセットし、1000倍の写真を撮影する。
(iii)撮影した写真のタテ方向、すなわち、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布のタテ方向に平行な0度基準線を設け、それに対する繊維配向度、すなわち、0度基準線と測定対象の繊維とがなす角を各サンプルから20本ずつ、計200本の繊維について測定する。なお、本発明における繊維配向度は、0度基準線に対して0度から90度の範囲で測定される値とし、その角度が負の値を示さないよう、かつ、90度を超える値とならないように決定される。また、測定する繊維は、単繊維長が連続して150μm以上表面に露出している繊維のみで測定を行うこととし、繊維が直線に近似できないような場合には、測定範囲枠内における繊維の屈曲している凸部の2点を直線で結び、その直線と0度基準線とがなす角を、一方の表面の繊維配向度(°)として算出する。
(iv)上記の(ii)、(iii)を他方の表面でも同様に行い、得られた角度を、他方の表面の繊維配向度(°)として算出する。
(v)(iii)で算出された一方の表面の繊維配向度(°)と、(iv)で算出された一方の表面の繊維配向度(°)との差の絶対値(表裏面の繊維配向度の差の絶対値、単位:°)を算出する。
(vi)全ての試験片について上記の(ii)~(v)を繰り返し、それぞれの試験片の一方の表面の繊維配向度(°)、他方の表面の繊維配向度(°)、表裏面の繊維配向度の差の絶対値(°)を得る。
(vii)(vi)で得られたこれら3つの値について、それぞれ算術平均値(°)を算出し、その小数点以下第1位を四捨五入する。
また、本発明において、前記の繊維配向度は、後述する単成分繊維のエジェクターからの噴射を行ったり、そして、後述する上下一対のフラットロールによる仮接着を行ったりすることによって両面の繊維配向度、表裏面の繊維配向度の差の絶対値を上記の範囲とすることができる。
そして、本発明のアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の目付CV値は5.5%以下である。目付CV値を5.5%以下、より好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは4.5%以下であることで、物性のばらつきが少なく、アスファルト含浸時にアスファルトの含浸ムラが少ないアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布となる。
なお、本発明において、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の目付CV値は、以下のようにして測定、算出された値(各試験片の目付の変動係数)を採用することとする。
(i)アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布から5cm×5cmの試験片をタテ方向、ヨコ方向それぞれ16個ずつ、合計256個採取する。
(ii)各試験片の質量をそれぞれ測定し、単位面積当たりの値(g/m)に換算する。
(iii)全ての試験片の単位面積当たりの質量(g/m)の算術平均値(g/m)と標準偏差(g/m)とを算出し、この標準偏差(g/m)を算術平均値(g/m)で割って百分率(%)とし、その値(%)を小数点以下第2位で四捨五入する。
また、本発明において、前記の目付CV値は、単成分繊維の平均単繊維直径を調整したり、後述する単成分繊維のエジェクターからの噴射を行ったり、そして、後述する上下一対のフラットロールによる仮接着を行ったりすることによって調整することができる。
さらに、本発明のアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の目付当たりのタテ方向の引裂強力は0.20N/(g/m)以上である。目付当たりのタテ方向の引裂強力を0.20N/(g/m)以上、好ましくは0.23N/(g/m)以上、さらに好ましくは0.25N/(g/m)であることにより、機械的強度に優れ、アスファルトルーフィングとして使用した場合には、施工後の耐久性に優れるばかりでなく、施工時にアスファルトルーフィング上を作業者が歩行する場合においても容易に破れないことから優れる。
なお、本発明において、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の目付当たりのタテ方向の引裂強力(N/(g/m))は、低速伸長型引張試験機(例えば、ボールドウィン社製「RTG-1250」など)を用い、JIS A6013:2014「改質アスファルトルーフィングシート」の「7.6 引裂強さ」に準拠して、以下の手順によって測定される値を採用するものとする。
(i)アスファルトルーフィング基材用不織布から、タテ方向の長さ100mm×ヨコ方向の長さ50mmの試験片を10点採取する。
(ii)試験片の短辺の中央に長辺と平行に75mmの切れ目を入れる。
(iii)試験片を定速伸長型引張試験機にて、試験片をつかみ間隔が50mmになるように引張試験機に取り付ける。
(iv)引張速度100mm/minの条件で試験片が破断するまで引っ張り、最大荷重(N)を求める。
(v)全ての試験片について上記の(ii)~(iv)を繰り返し、全ての試験片の最大荷重の算術平均値(N)を算出する。
(vi)算出した算術平均値を後述する方法によって測定、算出された目付(g/m)で除し、得られた値(N/(g/m))の小数点以下第3位を四捨五入する。
また、本発明において、前記の目付当たりのタテ方向の引裂強力は、後述する単成分繊維のエジェクターからの噴射を行うことによって調整することができる。
本発明におけるアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の目付は、70g/m以上90g/m以下であることが好ましい。上記の目付の範囲について、その下限が好ましくは70g/m以上、より好ましくは73g/m以上、さらに好ましくは75g/m以上であることで、機械的強度に優れたアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布となる。一方、上記の目付の範囲について、その上限が好ましくは90g/m以下、好ましくは87g/m以下、より好ましくは85g/m以下であることで、軽量化されハンドリング性に優れたアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布となる。
なお、本発明において、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の目付は、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.2 単位面積当たりの質量」に準拠して、以下の手順によって測定される値を採用するものとする。
(i)アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の両端から5cmの領域を除く箇所から25cm×25cmの試験片を、ランダムに3枚採取する。
(ii)標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量る。
(iii)その平均値を1m当たりの質量(g/m)で表す。
本発明におけるスパンボンド不織布の厚さは、0.29mm以上0.43mm以下であることが好ましい。スパンボンド不織布の厚さを0.43mm以下、より好ましくは0.42mm以下、さらに好ましくは0.41mm以下とすることで、スパンボンド不織布製造時の巻径が大きくなり過ぎず、十分な巻取り長さが確保でき、アスファルト含浸加工時に巻替え作業が軽減できる。
一方、スパンボンド不織布の厚さを0.29mm以上、より好ましくは0.30mm以上、さらに好ましくは0.31mm以上とすることで、アスファルトルーフィング基材として十分な引裂強力を得ることができる。
なお、本発明において、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の厚さは、以下の手順によって測定される値を採用するものとする。
(i)厚さ計(例えば、株式会社テクロック製“TECLOCK”(登録商標)SM-114等)を使用して、長繊維不織布の厚さをヨコ方向に10cm間隔で測定する。
(ii)上記算術平均値から小数点以下第3位を四捨五入し、スパンボンド不織布の厚さ(mm)とする。
本発明のアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の見かけ密度は、0.18g/cm以上0.30g/cm以下であることが好ましい。見かけ密度の範囲について、その下限が好ましくは0.18g/cm以上、より好ましくは0.20g/cm以上、さらに好ましくは0.22g/cm以上とすることで、機械的強度に優れたスパンボンド不織布となる。また、見かけ密度の範囲について、その上限が好ましくは0.30g/cm以下、より好ましくは0.28g/cm以下、さらに好ましくは0.26g/cm以下であることで、適度な柔軟性を有したスパンボンド不織布となる。そして、アスファルトルーフィング基材としてのアスファルト含浸加工時の作業性が優位となる。
なお、本発明において、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の見かけ密度(g/cm)は、前述した方法によって測定されるスパンボンド不織布の目付、厚さの値から、以下の式によって求められる値を採用することとする
見かけ密度(g/cm)=目付(g/m)/厚さ(mm)/1000。
本発明におけるアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布のタテ方向の乾熱収縮率は、1.0%以上3.5%以下であることが好ましい。スパンボンド不織布のタテ方向の乾熱収縮率を3.5%以下、より好ましくは3.3%以下、さらに好ましくは3.0%以下とすることで、アスファルト含浸加工時の熱により、不織布を構成する繊維が密に充填されて、アスファルトが適度に含浸するとともに、過度な熱収縮が抑えられ、加工シワ等の加工性不良を防ぐことができる。
一方、スパンボンド不織布のタテ方向の乾熱収縮率を1.0%以上、より好ましくは1.2%以上、さらに好ましくは1.5%以上とすることで、アスファルト含浸加工時の熱により、不織布を構成する繊維が密に充填されず、アスファルトが裏面に抜けたりすることを防ぐことができる。
なお、本発明において、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布のタテ方向の乾熱収縮率は、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.10.3 乾熱寸法変化率」に準拠して、以下の手順によって測定される値を採用するものとする。
(i)アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の両端から5cmの領域を除く箇所から25cm×25cmの試験片を、ランダムに3枚採取する。
(ii)試験片のタテ方向に3カ所正確に20cmの長さを表す印を付ける。
(iii)次に200℃、5分間の条件で熱処理を実施、次式によって収縮率を算出し、さらに、平均値を求めた
タテ方向の乾熱収縮率(%)=[(熱処理前の値-熱処理後の値)/熱処理前の値]×100。
[スパンボンド不織布の製造方法]
次に、本発明のスパンボンド不織布の製造方法について説明する。本発明のスパンボンド不織布は、下記(a)~(c)の工程を順次施すことによって製造されることが好ましい。
(a)ポリエステル系樹脂を紡糸口金から溶融押出し、紡出された該ポリエステル系をエジェクターにより牽引、延伸して単成分繊維を形成する工程。
(b)移動するネットコンベアー上に堆積させ、繊維ウェブを形成する工程。
(c)得られた繊維ウェブを熱圧着する工程。
以下に、上記の各工程について、さらに詳細を説明する。
(a)単成分繊維を形成する工程
まず、この工程では、前記のポリエステル系樹脂を紡糸口金から溶融押出する。特に、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布を構成する単成分繊維の融点以上、融点+70℃以下で溶融し、口金温度が融点以上、融点+70℃以下の紡糸口金から溶融押出することが好ましい。
また、溶融したポリエステル系樹脂が押出される紡糸口金の吐出孔の形状は、前記の単成分繊維の断面形状に合わせ、円形、楕円形、多角形、多葉形、あるいは、これらの組み合わせの形状が挙げられる。なかでも、円形断面の形状のものを用いることが効率的に単成分繊維同士の接着点を得られ、熱圧着により単成分繊維同士を強固に接着させることができる点の観点からより好ましい態様である。
そして、前記のように溶融押出し、紡出された該ポリエステル系樹脂を、エジェクターにより牽引、延伸して単成分繊維を形成する。この際、紡糸速度は、3000m/分以上6000m/分以下で牽引することが好ましい。
(b)繊維ウェブを形成する工程
この工程において、上記の工程により形成した単成分繊維については、エジェクターにて吸引させた単成分繊維をエジェクターから噴射させることが好ましい。そして、その単成分繊維を移動するネットコンベアー上に堆積させた後、上下一対のフラットロールにより仮接着させることで繊維ウェブを形成することが好ましい。
まず、本発明のアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の製造方法においては、前記の単成分繊維が矩形エジェクターから40℃以下の圧縮エアにより0.20MPa~0.30MPaのエア圧力で、捕集ネット上に捕集されるまでの間に、噴射部に凹凸を付した整流板等を用いずに、矩形状の噴射部から真下に噴射することで、繊維配向度を10°以上60°以下とし、タテ方向の引裂強力に優れたアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布を得ることができる。矩形エジェクターから噴射される圧縮エアの温度を40℃以下とすることで、単成分繊維の結晶化を抑制し、熱接着性に優れる繊維ウェブとすることができる。また、エア圧力を0.20MPa~0.30MPaとすることで、紡糸性を悪化させることなく、単成分繊維の熱収縮を抑制し、十分な機械的強度を有する繊維を得ることができる。
そして、この方法で用いられる「フラットロール」とは、ロールの表面に凹凸のない金属製ロールや弾性ロールのことであり、さらに、上下一対のフラットロールとは、金属製ロールと金属製ロールとを対にしたもの、あるいは、金属製ロールと弾性ロールを対にしたものなどのことである。ここで、弾性ロールとは、金属製ロールと比較して、弾性を有する材質からなるロールのことである。弾性ロールとしては、ペーパー製、コットン製、アラミドペーパー製などのいわゆるペーパーロール、あるいは、ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、シリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂および硬質ゴム等や、これらの混合物からなる樹脂製ロールなどが挙げられる。
仮接着する際の上下一対のフラットロールの表面温度は、ポリエステル系樹脂の融点に対して50℃以上120℃以下低い温度とすることが好ましい。このような温度とすることにより、単成分繊維同士を過度に接着させることなく、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の表裏面の繊維配向度の差の絶対値を所定の範囲とすることができる。
また、仮接着する際の線圧は、30N/cm以上100N/cm以下であることが好ましい。予熱するための線圧を30N/cm以上とすることで、繊維ウェブを次工程に搬送する上で必要な機械的強度を付与することができる。一方、予熱するための線圧を100N/cm以下とすることで、単成分繊維同士の過度な融着を防ぐことができる。
さらに、この際、噴射された単成分繊維が着地する位置から仮接着する際の上下一対のフラットロールまでの距離(接触距離)は、40cm以上140cm以下の範囲が好ましい。接触距離が40cm以上であるとエジェクターからの噴射エアが、仮接着する際の上下一対のフラットロールに衝突して繊維ウェブが捲れる等の問題がなく、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の表裏面の繊維配向度の差の絶対値を所定の範囲とすることができる。一方、接触距離が140cm以下であれば、繊維ウェブの上層部の単成分繊維が、エジェクターから噴射される随伴気流の影響を受けて繊維同士が絡まらないようにできるため、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の表裏面の繊維配向度の差の絶対値を所定の範囲とすることができる。
(c)繊維ウェブを熱圧着する工程
本発明のアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の製造方法では、前記の工程で得られた繊維ウェブを熱圧着することにより、意図するアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布を得ることができる。
繊維ウェブを熱圧着する方法は特に制限されないが、例えば、上下一対のロール表面にそれぞれ彫刻(凹凸部)が施された熱エンボスロール、片方のロール表面がフラット(平滑)なロールと他方のロール表面に彫刻(凹凸部)が施されたロールとの組み合わせからなる熱エンボスロールなど、各種ロールにより熱圧着する方法が挙げられる。なかでも、生産性に優れ、部分的な熱圧着部で強度を付与し、かつ非圧着部で不織布ならではの風合いを保持することができることから、上下一対のロール表面にそれぞれ彫刻(凹凸部)が施された熱エンボスロール、または片方のロール表面がフラット(平滑)なロールと他方のロール表面に彫刻(凹凸部)が施されたロールとの組み合わせからなる熱エンボスロールを用いることが好ましい態様である。
熱エンボスロールの表面材質としては、十分な熱圧着効果を得て、かつ片方のエンボスロールの彫刻(凹凸部)が他方のロール表面に転写することを防ぐため、金属製ロールと金属製ロールを対にすることが好ましい態様である。
このような熱エンボスロールによるエンボス圧着面積率は、5%以上30%以下であることが好ましい。エンボス圧着面積率を好ましくは5%以上とし、より好ましくは8%以上とし、さらに好ましくは10%以上することにより、スパンボンド不織布として実用に供し得る強度を得ることができる。一方、エンボス圧着面積率を好ましくは30%以下とし、より好ましくは25%以下とし、さらに好ましくは20%以下とすることにより、アスファルトルーフィング基材用のスパンボンド不織布としての機械的強度に加え、アスファルト含浸加工時に適した適度な柔軟性を得ることができる。
ここでいうエンボス圧着面積率とは、圧着部がアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布全体に占める割合のことを言う。具体的には、一対の凹凸を有するロールにより熱圧着する場合は、上側ロールの凸部と下側ロールの凸部とが重なって繊維ウェブに当接する部分(圧着部)のスパンボンド不織布全体に占める割合のことを言う。また、凹凸を有するロールとフラットロールにより熱圧着する場合は、凹凸を有するロールの凸部が繊維ウェブに当接する部分(圧着部)のスパンボンド不織布全体に占める割合のことを言う。
熱エンボスロールによる圧着部の形状は特に制限されないが、例えば、円形、楕円形、正方形、長方形、平行四辺形、ひし形、正六角形および正八角形などを用いることができる。また圧着部は、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の長手方向(搬送方向)と幅方向にそれぞれ一定の間隔で均一に存在していることが好ましい。このようにすることにより、スパンボンド不織布の強度のばらつきを低減することができる。
熱圧着時の熱エンボスロールの表面温度は、使用しているポリエステル系樹脂の融点(以降、Tm(℃)と記載することがある)に対し50℃~10℃低い温度(すなわち、(Tm-50℃)~(Tm-10℃))とすることが好ましい態様である。熱ロールの表面温度を、ポリエステル系樹脂の融点に対し好ましくは-50℃(すなわち、Tm-50℃、以下同様)以上とし、より好ましくは-45℃(Tm-45℃)以上とすることにより、適度に熱圧着させ実用に供しうる強度のアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布を得ることができる。また、熱エンボスロールの表面温度を、ポリエステル系樹脂の融点に対し好ましくは-10℃(Tm-10℃)以下とし、より好ましくは-15℃(Tm-15℃)以下とすることにより、過度な熱圧着を抑制し、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布が部分的にフィルムのようなシート形態となることを抑制できる。
熱圧着時の熱エンボスロールの線圧は、90N/cm以上1000N/cm以下であることが好ましい。熱圧着するための線圧を90N/cm以上とすることにより、機械的強度に優れたアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布とすることができる。熱圧着するための線圧を1000N/cm以下とすることにより、単成分繊維同士の過度な融着を防ぐことができる。
本発明のアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の製造方法において、上記の仮接着と熱圧着とは一つの製造ライン上で連続して行ってもよく、仮接着を施した後に一度巻き取り、再度巻き出して熱圧着を施すこともできる。なかでも、生産性に優れることから、仮接着と熱圧着とは一つの製造ライン上で連続して行われることが好ましい態様である。
[アスファルトルーフィング基材]
本発明のアスファルトルーフィング基材は、前記のスパンボンド不織布を含む。
前記のアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布に、190℃以上270℃以下の溶融したアスファルトを含浸させた後、その片面に砂を塗布し、さらに、これにアスファルトを含浸させた紙を貼り合わせることで、防水性、施工性に優れるアスファルトルーフィング基材とすることができる。
次に、実施例に基づき本発明の長繊維不織布について具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[測定方法]
各物性の測定において、特段の記載がないものは、前記の方法に基づいて測定を行ったものである。
(1)ポリエステルの融点(℃)
パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計「DSC-2型」を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。
(2)ポリエステルの固有粘度(IV)
ポリエステルの固有粘度(IV)は、オルソクロロフェノール100mLに対し試料8gを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηを、下記式により求めた
η=η/η=(t×d)/(t×d
(ここで、ηはポリマー溶液の粘度、ηはオルソクロロフェノールの粘度、tは溶液の落下時間(秒)、dは溶液の密度(g/cm)、tはオルソクロロフェノールの落下時間(秒)、dはオルソクロロフェノールの密度(g/cm)をそれぞれ表す。)
次いで、相対粘度ηから、下記式により固有粘度(IV)を算出した
固有粘度(IV)=0.0242η+0.2634。
(3)単成分繊維の平均単繊維直径(μm)
本発明に係る単成分繊維の平均単繊維直径は、株式会社キーエンス製「VHX-D510」の走査型電子顕微鏡を用いて前記の方法で算出した。
(4)アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の目付(g/m)、目付CV値(%)
アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の目付、目付CV値は前記の方法で算出した。
(5)アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の厚さ(mm)
アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の厚さは、厚さ計として、株式会社テクロック製“TECLOCK”(登録商標)SM-114を使用し、前記の方法で評価した。
(6)アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の密度(g/cm
アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の密度は前記の方法で算出した。
(7)アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の繊維配向度(°)
アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の繊維配向度は前記の方法で算出した。
(8)アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の繊維配向度の差(°)
アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の繊維配向度の差は前記の方法で算出した。
(9)アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の目付当たりのタテ方向の引裂強力(N/(g/m))
アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の目付当たりのタテ方向の引裂強力は前記の方法で算出した。
(10)アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布のタテ方向の乾熱収縮率(%)
アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布のタテ方向の乾熱収縮率は前記の方法で算出した。
(11)アスファルト含浸加工性
アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布に、200℃に溶融したアスファルトを含浸させることで、その際のシワの発生有無を目視で確認した。
(12)アスファルトルーフィング基材の機械的強度
アスファルトルーフィング基材のタテ方向の引裂強力は、低速伸長型引張試験機(例えば、ボールドウィン社製「RTG-1250」)を用い、JIS A6013:2014「改質アスファルトルーフィングシート」の「7.6 引裂強さ」に準拠して、以下の手順によって測定される値を採用するものとする。
(i)アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布に、200℃の溶融したアスファルトを含浸させた後、その片面に鉱物砂を塗布し、さらに、これにアスファルトを含浸させた、目付200g/m、厚さ0.5mmの抄造紙(バインダー繊維10重量%、ポリエステル繊維45重量%、有機天然繊維45重量%の主原料で構成され、湿式法にて抄造された紙)を貼り合わせる。
(ii)アスファルトルーフィング基材から、タテ方向の長さ100mm×ヨコ方向の長さ50mmの試験片を10点採取する。
(iii)試験片の短辺の中央に長辺と平行に75mmの切れ目を入れる。
(iv)試験片を定速伸長型引張試験機にて、試験片をつかみ間隔が50mmになるように引張試験機に取り付ける。
(v)引張速度100mm/minの条件で試験片が破断するまで引っ張り、最大荷重を求め、10点の平均値を算出する。
(vi)算出した引裂強さ(N)から16N以上を「○」、15N以下を「×」とした。
[使用した樹脂]
次に、実施例・比較例において使用した樹脂について、その詳細を記載する。
・水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.65で融点が260℃の、ポリエチレンテレフタレート(以降において、表内を含め「PET」と表記した。)
・水分率50質量ppm以下に乾燥した、固有粘度(IV)が0.64、イソフタル酸共重合率が11mol%で融点が230℃の、共重合ポリエチレンテレフタレート(以降において、表内を含め「cо-PET」と表記した。)。
[実施例1]
(繊維を形成する工程)
前記のPETを295℃の温度で溶融させた。その後、口金温度が295℃で円形の紡糸口金の吐出孔から紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4900m/分で牽引、延伸し、円形断面形状の単成分繊維を形成した。
(繊維ウェブを形成する工程)
前記の単成分繊維については、矩形エジェクターから圧縮エアにより0.23MPaのエア圧力で、捕集ネット上に捕集されるまでの間に、噴射部に凹凸を付した整流板等を用いずに、矩形状の噴射部から真下に噴射し、その後、移動するネットコンベアー上に堆積させ、平均単繊維直径が14.0μmの繊維からなる繊維ウェブを捕集、形成した。
次に、捕集した繊維ウェブをネットコンベアー上に設置した金属製の上下一対のフラットロールによって、噴射糸条着地位置から仮接着までの距離を110cm、温度が190℃で、線圧が49N/cmの条件で仮接着し、繊維ウェブを形成した。
(繊維ウェブを熱圧着する工程)
引き続き、形成した繊維ウェブを、以下の上ロール、下ロールから構成される上下一対の熱エンボスロールを用いて、熱エンボスロールの表面温度:240℃、線圧:657N/cmの条件で熱圧着し、目付80g/mのアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布を得た。
(上ロール):金属製で水玉柄の彫刻がなされた、接着面積率16%のエンボスロール(表1、2では「EBR-16」と表記した)
(下ロール):金属製フラットロール(表1、2では「FR」と表記した)
得られたアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布について評価した結果を表1に示す。
[実施例2]
(繊維ウェブを形成する工程)において、仮接着の温度を180℃に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法により、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布を得た。得られたアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布について、評価した結果を表1に示す。
[実施例3]
(繊維ウェブを形成する工程)において、噴射糸条着地位置から仮接着までの距離を50cmに変更したこと以外は、実施例1と同じ方法により、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布を得た。得られたアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布について、評価した結果を表1に示す。
[実施例4]
(繊維ウェブを形成する工程)において、噴射糸条着地位置から仮接着までの距離を130cmに変更したこと以外は、実施例1と同じ方法により、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布を得た。得られたアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布について、評価した結果を表1に示す。
Figure 2024065357000001
[比較例1]
(繊維ウェブを形成する工程)において、開繊板により繊維の配列を規制した後、移動するネットコンベアー上に堆積させ、その後、仮接着を行わなかったこと以外は実施例1と同じ方法により、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布を得た。得られたアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布について、評価した結果を表2に示す。
[比較例2]
(繊維ウェブを形成する工程)において、仮接着の温度を150℃に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法により、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布を得た。得られたアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布について、評価した結果を表2に示す。
[比較例3]
(繊維ウェブを形成する工程)において、噴射糸条着地位置から仮接着までの距離を150cmに変更したこと以外は、実施例1と同じ方法により、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布を得た。得られたアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布について、評価した結果を表2に示す。なお、後述するように、比較例3のスパンボンド不織布は、繊維ウェブを形成する工程において、繊維ウェブが捲れる欠点が発生しやすく、良好な品位を得られなかったため、アスファルト含浸加工性、アスファルトルーフィング基材の機械的強度の評価を行わなかった。
[比較例4]
(繊維を形成する工程)において、前記のPETと前記のcо-PETとを、それぞれ、295℃、280℃の温度で溶融させた後、PETを芯成分とし、cо-PETを鞘成分として、口金温度が295℃で、芯:鞘=80:20の質量比率で円形の紡糸口金の吐出孔から紡出し(表2では、「PET/cо-PET」と表記した)、(繊維ウェブを形成する工程)において、仮接着の温度を130℃に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法により、アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布を得た。得られたアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布について、評価した結果を表2に示す。なお、後述するように、比較例4のスパンボンド不織布は、アスファルト含浸時にシワが発生したため、アスファルトルーフィング基材の機械的強度の評価を行わなかった。
Figure 2024065357000002
得られたアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布の特性は表1、表2に示したとおりであり、実施例1~4のアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布はいずれも、繊維配向度が10°以上60°以下であって、表裏面の繊維配向度の差が5°以上15°以下であって、目付CV値が5.5%以下であったことから、目付均一性、タテ方向の引裂強力に優れたスパンボンド不織布を得ることができ、アスファルトを含浸させる際のシワ発生もなく、またアスファルトルーフィングの機械的強度も満足するものであった。このようなスパンボンド不織布であれば、アスファルトルーフィング基材に好適に用いることができる。
一方、比較例1のスパンボンド不織布は、繊維配向度の差が大きく、目付当たりのタテ方向の引裂強力も劣るものであり、比較例2のスパンボンド不織布についても、繊維配向度の差が大きく、アスファルトルーフィング基材として機械的強度に劣り、比較例4のスパンボンド不織布はタテ方向の乾熱収縮率が大きく、アスファルト含浸時にシワが発生し、アスファルトルーフィング基材として使用できるものではなかった。また、比較例3のスパンボンド不織布は繊維配向度が60°以上であり、繊維ウェブを形成する工程において、繊維ウェブが捲れる欠点が発生しやすく、良好な品位を得られず、アスファルトルーフィング基材として使用できるものではなかった。

Claims (4)

  1. ポリエステル系樹脂を主成分とする単成分繊維で構成されてなるアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布であって、
    両面の繊維配向度が10°以上60°以下であり、
    一方の表面の繊維配向度と他方の表面の繊維配向度との差の絶対値が5°以上15°以下であり、
    目付CV値が5.5%以下であり、
    目付当たりのタテ方向の引裂強力が0.20N/(g/m)以上である、
    アスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布。
  2. エンボス圧着面積率が5%以上30%以下である、請求項1に記載のアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布。
  3. 目付が70g/m以上90g/m以下であって、厚さが0.29mm以上0.43mm以下であり、さらに、タテ方向の乾熱収縮率が1.0%以上3.5%以下である、請求項1または2に記載のアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布。
  4. 請求項1または2に記載のアスファルトルーフィング基材用スパンボンド不織布を含む、アスファルトルーフィング基材。

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