JPH05230754A - 芯鞘型複合長繊維よりなる不織布及びその製造方法 - Google Patents

芯鞘型複合長繊維よりなる不織布及びその製造方法

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JPH05230754A
JPH05230754A JP4069124A JP6912492A JPH05230754A JP H05230754 A JPH05230754 A JP H05230754A JP 4069124 A JP4069124 A JP 4069124A JP 6912492 A JP6912492 A JP 6912492A JP H05230754 A JPH05230754 A JP H05230754A
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component
sheath type
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JP4069124A
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English (en)
Inventor
Fumio Matsuoka
文夫 松岡
敏 ▲かせ▼谷
Satoshi Kaseya
Nobuo Kenshiyou
信夫 見正
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 柔軟性に富み且つ高タフネスな不織布を提供
する。 【構成】 この不織布は、芯鞘型複合長繊維を構成繊維
とするものである。この芯鞘型複合長繊維は、溶融紡糸
法に得られるものである。鞘成分はプロピレン系重合体
で形成されている。芯成分は、プロピレン系重合体の融
点よりも低い融点を持つ熱可塑性重合体で形成されてい
る。芯鞘型複合繊維相互間は、鞘成分であるプロピレン
系重合体の固着によって結合されている。この結合は、
間隔を置いて配置された点圧着区域において行なわれて
いる。点圧着区域以外の区域においては、芯鞘型複合長
繊維相互間は、結合されていない。芯鞘型複合長繊維を
溶融紡糸法によって得る際に、鞘成分としては、メルト
フローレート値が10〜80g/10分で且つQ値(重量平均
分子量/数平均分子量)が5以下のプロピレン系重合体
を使用するのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、芯鞘型複合長繊維を構
成繊維とする不織布及びその製造方法に関し、特に柔軟
性に富み且つタフネスの高い不織布及びその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、衣料素材,農芸若しくは園芸
資材,生活関連資材,衣料衛生材料等として芯鞘型複合
長繊維を構成繊維とする不織布が使用されている。この
不織布は、以下の如き製造方法で得られるものである。
即ち、芯鞘型複合長繊維は、芯成分が高融点成分で形成
されてなり、鞘成分が低融点成分で形成されてなるもの
である。そして、この芯鞘型複合長繊維を集積してなる
繊維ウェブに、鞘成分は溶融するけれども芯成分は軟化
又は溶融しない程度の熱を与えて、鞘成分を溶融させ、
芯鞘型複合長繊維相互間を固着結合させて、即ち芯鞘型
複合長繊維相互間を自己結合させて、不織布を得るので
ある。従って、芯鞘型複合長繊維を使用し、且つ芯鞘型
複合長繊維相互間の自己結合による不織布を得る際に
は、必ず鞘成分として低融点のものを使用しなければな
らないのである。何故なら、繊維表面に露出している鞘
成分のみを溶融固化させ、芯成分は溶融又は軟化させな
いで繊維形態を維持させなければならないからである。
【0003】例えば、ポリオレフィン系芯鞘型複合長繊
維を使用して、長繊維相互間の自己結合による不織布を
得る際には、鞘成分として低融点であるポリエチレンを
使用し、芯成分として高融点であるポリプロピレンを使
用するのである。しかしながら、このポリオレフィン系
芯鞘型複合長繊維を使用して得られた自己結合による不
織布は、柔軟性に劣り、且つタフネスが低いということ
があった。即ち、ポリオレフィン系芯鞘型複合長繊維
は、ポリプロピレンのみで構成された長繊維に比較し
て、曲げ剛性が低くて柔軟であり、且つタフネスが高い
のであるが、それを使用して不織布にした場合には、そ
の柔軟性やタフネスがそのまま発現しないということが
あった。ここで、ポリオレフィン系芯鞘型複合長繊維の
柔軟性やタフネスが、ポリプロピレンのみで構成された
長繊維に比べて優れている理由は、ポリエチレンの柔ら
かさや高タフネスが長繊維に発現しているからであると
考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、鞘成分
がポリエチレンであり、芯成分がポリプロピレンである
ポリオレフィン系芯鞘型複合長繊維を使用した不織布
が、何故、その長繊維の持つ柔軟性や高タフネスを直接
的に発現しないのかを検討した。その結果、不織布を形
成する際、鞘成分であるポリエチレンは接着剤として働
くため、その鞘成分が繊維形態を喪失し、相互に融着し
て板状になっているからであると推測した。即ち、繊維
形態を維持している場合には、柔軟性に富み且つ高タフ
ネスであるが、繊維形態を喪失すると、その柔軟性やタ
フネスも喪失してしまうと考えた。
【0005】このため、本発明者等は、ポリオレフィン
系芯鞘型複合長繊維を使用し、且つ長繊維相互間を別種
の接着剤で結合して不織布を得ようとした。即ち、鞘成
分であるポリエチレンを接着剤として働かさないで、そ
の繊維形態が喪失しないようにしたのである。しかし、
例えばポリアクリル酸系接着剤やゴム系接着剤等の別種
の接着剤を使用すると、その接着剤の存在によって、得
られる不織布の物性が損なわれるということが多かっ
た。
【0006】以上のようなことから、本発明者等が更に
研究を重ねた結果、鞘成分をポリプロピレンとし、芯成
分をポリエチレンとした芯鞘型複合長繊維を使用し、高
融点であるポリプロピレンを接着剤として機能させるこ
とを試みた。この試みは、従来の技術常識に反するもの
である。何故なら、芯鞘型複合長繊維を使用して自己結
合の不織布を得る場合、繊維表面に露出している鞘成分
は、芯成分よりも低融点のものを使用し、鞘成分を接着
剤として機能させ、長繊維相互間を結合しようというの
が、常識だったからである。芯成分として低融点のもの
を使用し、鞘成分として高融点のものを使用すれば、鞘
成分を溶融させると、当然に芯成分も溶融し、繊維形態
が完全に喪失し、もはや繊維集積体である不織布を得る
ことは困難であると一般に考えられていたのである。
【0007】しかしながら、本発明者が、前記の試みを
遂行したところ、予期に反して柔軟で且つ高タフネスの
不織布を得られたのである。即ち、芯成分として低融点
のものを使用し、鞘成分として高融点のものを使用して
も、加熱した場合には繊維表面から加熱されてゆくこ
と、及び芯鞘型複合長繊維相互間が固着結合した領域を
少なくすることによって、高融点である鞘成分を接着剤
として機能させても、芯鞘型複合長繊維が完全にその繊
維形態を喪失することがなく、また芯成分が完全にその
繊維形態を喪失することがなく、良好な物性を持つ不織
布が得られることが分かったのである。本発明は、この
ような知見に基づいてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、溶融紡
糸法によって得られた芯鞘型複合長繊維であって、鞘成
分がプロピレン系重合体で形成され、芯成分が該プロピ
レン系重合体の融点よりも低い融点を持つ熱可塑性重合
体で形成されてなる芯鞘型複合長繊維を構成繊維とし、
且つ該芯鞘型複合長繊維相互間がプロピレン系重合体の
固着によって結合されてなる点圧着区域を持つと共に、
該点圧着区域が間隔を置いて配置されてなることを特徴
とする芯鞘型複合長繊維よりなる不織布、及びその製造
方法に関するものである。
【0009】本発明に係る不織布を構成する繊維は、芯
鞘型複合長繊維である。この芯鞘型複合長繊維は、従来
公知の溶融紡糸法によって得られるものである。即ち、
芯鞘型複合紡糸孔より、鞘成分及び芯成分を溶融させて
吐出することによって得られるものである。この芯鞘型
複合長繊維の鞘成分は、プロピレン系重合体で形成され
ている。プロピレン系重合体としては、一般的にポリプ
ロピレンが使用される。ポリプロピレン以外としては、
数重量%のエチレン又はその他の単量体をプロピレンに
共重合させたものを用いることもできる。鞘成分として
プロピレン系重合体を使用する理由は、得られた不織布
の手触りが良好であり、且つプロピレン系重合体はヒー
トシール性が良好なため、この不織布を他の材料に熱接
着しやすいためである。なお、鞘成分中には、潤滑剤,
顔料,艶消し剤,熱安定剤,耐候剤,紫外線吸収剤,制
電剤,導電剤等が添加されていてもよい。
【0010】芯鞘型複合長繊維の芯成分としては、鞘成
分であるプロピレン系重合体の融点よりも低い融点を持
つ熱可塑性重合体が用いられる。融点差は、所望に応じ
て任意に決定しうる事項であるが、好ましくは5〜60℃
程度が良い。プロピレン系重合体の融点よりも低い融点
を持つ熱可塑性重合体を芯成分として採用する理由は、
融点の低い熱可塑性重合体が、一般的にプロピレン系重
合体よりも柔軟で且つ高タフネスだからである。従っ
て、融点差が5℃未満であると、芯鞘型複合長繊維の柔
軟性やタフネスを向上させにくい傾向となる。逆に、融
点差が60℃を超えると、プロピレン系重合体が溶融又は
軟化して、芯鞘型複合長繊維相互間が固着する際に、芯
成分も溶融しやすくなり、芯成分の繊維形態が喪失しや
すくなる傾向が生じる。芯成分の繊維形態が喪失する
と、芯成分に起因する柔軟性や高タフネスが阻害される
傾向が生じるのである。なお、本発明における融点は、
以下の方法で測定したものである。即ち、パーキンエル
マー社製DSC-2C型を用い、昇温速度20℃/分で、室温よ
り昇温して得られる融解吸収曲線の極値を与える温度を
融点とした。
【0011】熱可塑性重合体としては、一般的には、ポ
リエチレンが使用される。即ち、直鎖状低密度ポリエチ
レン,中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン等が使
用される。ポリエチレン以外としては、エチレンとプロ
ピレンとを共重合させたエチレン−プロピレン共重合
体,ブテン-1とプロピレンとを共重合させたブテン-1−
プロピレン共重合体,エチレンと酢酸ビニルを共重合さ
せたエチレン−酢酸ビニル共重合体,共重合ポリエステ
ル,共重合ポリアミド等を使用することができる。更
に、ポリプロピレンに代表されるプロピレン系重合体
と、ポリエチレンに代表されるエチレン系重合体との混
合物も、熱可塑性重合体として使用することができる。
特に、この混合物を芯成分として用いた場合には、芯鞘
型複合長繊維を溶融紡糸する際、鞘成分との密着性で、
製糸性に優れており、好ましいものである。鞘成分との
密着性が良好である理由は、芯成分にも鞘成分にも同種
のプロピレン系重合体が使用されているためである。こ
の混合物を使用する場合には、エチレン系重合体とプロ
ピレン系重合体の混合割合を、エチレン系重合体:プロ
ピレン系重合体=98〜75:2〜25(重量比)とするのが
好ましい。この範囲を超えて、エチレン系重合体を増や
すと、プロピレン系重合体の混合量が少なすぎ、両者を
混合した意味が少なくなる。逆に、この範囲を超えて、
エチレン系重合体を減らすと、芯成分の持つ柔軟性や高
タフネスが阻害される傾向が生じる。なお、芯成分中に
も、潤滑剤,顔料,艶消し剤,熱安定剤,耐候剤,紫外
線吸収剤,制電剤,導電剤等が添加されていてもよい。
【0012】本発明で使用する芯鞘型複合長繊維におけ
る、鞘成分と芯成分の複合比は、任意に決定しうる事項
であるが、一般的に鞘成分:芯成分=20〜80:80〜20
(重量比)であるのが、好ましい。鞘成分がこの範囲を
超えて少なくなると、芯成分を完全に囲繞及び被覆しに
くくなる傾向が生じる。逆に、芯成分がこの範囲を超え
て少なくなると、芯鞘型複合長繊維に対する、芯成分の
柔軟性及び高タフネスの寄与が少なくなる傾向が生じ
る。また、本発明で使用する芯鞘型複合長繊維の繊度
は、6デニール以下が好ましい。繊度が6デニールを超え
ると、芯鞘型複合繊維の直径が太くなって、繊維自体の
柔軟性が低下し、得られる不織布の柔軟性も低下する傾
向が生じる。また、本発明で使用する芯鞘型複合長繊維
の横断面形状は、一般的には円形であるが、その他の異
形或いは中空形状であってもよい。
【0013】本発明に係る不織布は、上記の芯鞘型複合
長繊維を構成繊維とするものであり、この芯鞘型複合長
繊維相互間は、鞘成分即ちプロピレン系重合体同士の固
着によって結合されている。鞘成分同士の固着は、芯鞘
型複合長繊維同士の接触点の全てで行なわれているわけ
ではなく、一定の区域において行なわれている。即ち、
微小な大きさの点圧着区域においてのみ行なわれてお
り、点圧着区域以外の区域においては、鞘成分同士は固
着されていない。そして、この点圧着区域は複数存在
し、点圧着区域相互間が一定の間隔を置いて配置されて
いるのである。このように、点圧着区域において鞘成分
同士の固着がなされており、且つ点圧着区域が間隔を置
いて配置されていることによって、柔軟性に富み且つ十
分な引張強力を持つ不織布となるのである。これが例え
ば、鞘成分同士の固着が、全ての箇所で行なわれている
と、引張強力は十分なものの、不織布の柔軟性が低下す
るので、好ましくない。
【0014】この点圧着区域は、不織布全表面に対し
て、極めて小さな面積を持つものであればよく、その具
体的形状としては、丸形、線形、三角形、楕円形等が採
用される。そして、この点圧着区域の総面積は、不織布
表面積に対して4〜40%であるのが、好ましい。点圧着
区域の総面積が、不織布表面積に対して4%未満である
と、芯鞘型複合長繊維相互間の結合が少なすぎて、不織
布の引張強力が低下する傾向が生じる。逆に、点圧着区
域の総面積が、不織布表面積に対して40%を超えると、
不織布の柔軟性が低下する傾向が生じる。不織布表面積
に対する、点圧着区域の総面積は、以下の方法によって
測定することができる。即ち、不織布の小片数個を採取
して、走査型電子顕微鏡写真で各々を拡大撮影し、単位
面積における、融着されている部分の面積の総和を計算
し、そしてその平均値を求めればよい。
【0015】本発明に係る不織布には、他種の不織布又
は編織物等のシート材料が接合されていてもよい。他種
の不織布としては、ポリオレフィン系極細繊維やポリエ
ステル系極細繊維よりなるメルトブロー不織布、ポリオ
レフィン系長繊維やポリエステル系長繊維よりなる長繊
維不織布、ポリオレフィンよりなる鞘成分とこの鞘成分
よりも融点の高い重合体を芯成分とする芯鞘型複合長繊
維よりなる長繊維不織布、ポリオレフィンよりなる鞘成
分とこの鞘成分よりも融点の高い重合体を芯成分として
芯鞘型複合短繊維よりなる短繊維不織布、レーヨン繊維
や天然繊維等を構成繊維とする短繊維不織布を用いるこ
とができる。シート材料は、本発明に係る不織布の物性
を補助するものであり、シート材料と本発明に係る不織
布よりなる複合シートは、シート材料を適宜選択するこ
とによって、所望の物性に調整することができる。
【0016】本発明に係る不織布は、例えば、以下の如
き製造方法によって得ることができる。まず、鞘成分と
なるプロピレン系重合体と、芯成分となる熱可塑性重合
体を準備する。鞘成分となるプロピレン系重合体として
は、メルトフローレート値が10〜80g/10分で且つQ値
(重量平均分子量/数平均分子量)が5以下のものを使
用するのが好ましい。ここで、メルトフローレート値
は、ASTM D-1238(L)に規定された方法で測定したもので
ある。メルトフローレート値が10g/10分未満である
と、流動性が悪く、鞘成分として溶融紡糸しにくくなる
傾向が生じる。逆に、メルトフローレート値が80g/10
分を超えると、流動しやすくなりすぎて、鞘成分として
溶融紡糸しにくくなり、また高強度の鞘成分が得られに
くくなる傾向が生じる。本発明においては、より好まし
くは、メルトフローレート値が15〜70g/10分のプロピ
レン系重合体を使用するのがよく、最も好ましくは、メ
ルトフローレート値が20〜60g/10分のプロピレン系重
合体を使用するのがよい。また、プロピレン系重合体の
Q値(重量平均分子量/数平均分子量)は5以下である
ことが好ましい。Q値が5を超えると、分子量分布の幅
が広くなって、プロピレン系重合体の均質性が低下し、
曳糸性が低下する傾向が生じる。本発明においては、よ
り好ましくは、Q値が4.5以下のプロピレン系重合体を
使用するのがよく、最も好ましくは、Q値が4以下のプ
ロピレン系重合体を使用するのがよい。ここで、Q値と
は、ゲルパーミッションクロマトグラフ法により求めら
れた、プロピレン系重合体の重量平均分子量と数平均分
子量の比である。一方、芯成分となる熱可塑性重合体
は、その融点がプロピレン系重合体の融点よりも低いも
のを使用することができる。この熱可塑性重合体の具体
例としては、前述したとおりである。
【0017】以上のようにして準備した鞘成分と芯成分
とを用い、且つ従来公知の芯鞘型複合紡糸孔を備えた溶
融紡糸装置を用いて、従来公知の複合溶融紡糸法によっ
て芯鞘型複合長繊維を得る。溶融紡糸温度は、鞘成分で
あるプロピレン系重合体の紡糸温度を200〜265℃とする
のが好ましく、特に220〜250℃とするのがより好まし
い。一方、芯成分の紡糸温度は、前記のプロピレン系重
合体の紡糸温度よりも低くするのが好ましい。低くする
程度は、芯成分である熱可塑性重合体と鞘成分であるプ
ロピレン系重合体の融点差の程度であればよい。溶融紡
糸温度が低すぎると、紡糸速度を速くすることが困難に
なる傾向が生じ、細デニールの芯鞘型複合長繊維を得ら
れにくくなる傾向が生じる。逆に、溶融紡糸温度が高す
ぎると、重合体の流動性が大きくなって、溶融紡糸時に
おいて、糸切れが多発する傾向が生じる。糸切れが起こ
ると、切断端に玉状の塊が生じ、この塊が不織布中に混
在して、不均一な不織布しか得られない傾向が生じる。
また、重合体の流動性が大きくなると、紡糸孔付近が汚
れやすくなって、一定時間毎に紡糸孔の洗浄が必要とな
って、操業性が低下する傾向が生じる。
【0018】この芯鞘型複合長繊維を冷却した後、エア
ーサッカーに導入する。エアーサッカーは、通常エアー
ジェットとも呼ばれ、エアーの吸引と送り出し作用によ
り、繊維を吸引し部分配向させて、熱的に比較的安定な
繊維構造とするものである。このエアーサッカーによっ
て、得られた芯鞘型複合長繊維群を牽引して、延伸する
と共に搬送する。この後、エアーサッカーの出口に設け
られた開繊装置によって、芯鞘型複合長繊維群を開繊し
た後、移動する金網製の捕集コンベア上に芯鞘型複合長
繊維を集積して繊維ウェブを得る。
【0019】この繊維ウェブに、部分的に加熱及び加圧
を施して、点圧着区域を設ける。部分的に加熱及び加圧
を施す手段としては、加熱された凹凸ロールと平滑ロー
ル、或いは加熱された凹凸ロールと凹凸ロールとの間に
繊維ウェブを導入することによって行なう。この際、凹
凸ロールの凸部が繊維ウェブに当接することによって、
部分的に加熱及び加圧が施される。加熱温度は、鞘成分
であるプロピレン系重合体の融点よりも5〜25℃低い温
度であるのが、好ましい。加熱温度が、この温度範囲よ
りも高いと、プロピレン系重合体と芯成分である熱可塑
性重合体の両者が溶融して、点圧着区域において繊維形
態が完全に喪失しやすくなる。そして、繊維形態が完全
に喪失すると、点圧着区域が板状となって、得られる不
織布の柔軟性が低下する傾向が生じる。逆に、加熱温度
がこの範囲よりも低いと、プロピレン系重合体が軟化し
にくく、プロピレン系重合体の固着によって芯鞘型複合
長繊維相互間を結合しにくくなる傾向が生じる。また、
凹凸ロールと超音波発振器との間に、繊維ウェブを導入
してもよい。この場合には、凹凸ロールの凸部によって
緩い加圧が施されると共に、超音波発振器の超音波によ
って摩擦熱が繊維ウェブに付与される。以上のようにし
て、加熱及び加圧が施された区域が点圧着区域となり、
この区域において芯鞘型複合長繊維相互間が結合し、引
張強力に優れた不織布が得られるのである。
【0020】この繊維ウェブを得た後、部分的に加熱及
び加圧を施す前に、他種の繊維ウェブ,不織布又は編織
物等のシート材料を積層してもよい。このような積層工
程を追加すると、加熱及び加圧によって、芯鞘型複合長
繊維相互間が鞘成分であるプロピレン系重合体の固着に
よって本発明に係る不織布が得られると共に、シート材
料と接合するのである。シート材料と不織布の接合は、
芯鞘型複合長繊維の鞘成分であるプロピレン系重合体が
シート材料に固着することによって、達成される。シー
ト材料としては、ポリオレフィン系極細繊維,ポリオレ
フィン系長繊維,ポリオレフィン系短繊維,ポリオレフ
ィン系重合体を鞘成分としこの鞘成分よりも融点の高い
重合体を芯成分とする芯鞘型複合長繊維又は芯鞘型複合
短繊維を、構成繊維とする他種の繊維ウェブを採用する
のが好ましい。これは、他種の繊維ウェブの構成繊維表
面が、本発明で使用する芯鞘型複合長繊維の鞘成分と同
種のものであるため、加熱及び加圧によって、他種の繊
維ウェブの構成繊維相互間も固着すると共に、本発明で
使用する芯鞘型複合長繊維にも良好に固着し、引張強度
及び剥離強度の高い複合シートが得られるからである。
また、他種の繊維ウェブの構成繊維として、ポリオレフ
ィン系の繊維を使用しない場合には、部分的に加熱及び
加圧を施した後、ニードルパンチ法や水流交絡法で、本
発明で使用する芯鞘型複合長繊維と他種の繊維ウェブの
構成繊維とを相互に交絡させることが好ましい。これ
は、他種の繊維ウェブの構成繊維表面がポリオレフィン
系重合体で形成されていないため、繊維相互間の交絡に
よって、複合シートの引張強度や剥離強度を向上させよ
うというものである。
【0021】なお、シート材料の代表例を挙げれば、以
下のとおりになる。他種の繊維ウェブとしては、ポリオ
レフィン系極細繊維又はポリエステル系極細繊維よりな
るメルトブロー繊維ウェブ、ポリオレフィン系長繊維又
はポリエステル系長繊維よりなる繊維ウェブ、ポリオレ
フィン系重合体を鞘成分としこの鞘成分よりも高い融点
を持つ重合体を芯成分とする芯鞘型複合長繊維又は芯鞘
型複合短繊維よりなる繊維ウェブ、レーヨン繊維や天然
繊維よりなる繊維ウェブが挙げられる。また、不織布と
しては、前記の各種繊維を構成繊維とする不織布が挙げ
られる。更に、編織物としては、従来公知の各種の編織
物を使用することができる。
【0022】本発明に係る不織布の目付は、任意に決定
しうる事項であるが、一般的には150g/m2程度以下で
ある。特に、不織布の目付を10〜50g/m2程度にした
場合には、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の衛生材
料の表面材として好適である。また、目付を50g/m2
程度以上にした場合には、カーペットの基布して最適で
ある。
【0023】
【実施例】以下、本発明に係る実施例について詳述す
る。なお、実施例中で示した物性値の測定方法は、次の
とおりである。 (1)重合体のメルトインデックス値:ASTM D 1238 (E)に
記載の方法によって測定した。 (2)不織布の引張強力:JIS L-1096に記載のストリップ
法に準じ、幅5cm、試料長10cmの試験片を10個準備し、
引張速度10cm/分の条件で最大引張強力を個々に測定
し、その平均値を100g/m2の目付に換算した値であ
る。 (3)不織布の引張伸度:(2)の方法で測定した最大引張強
力時の伸度の平均値である。 (4)不織布のタフネス:(2)の方法で測定した引張強力の
値と、(3)の方法で測定した引張伸度の値との積であ
る。 (5)不織布の圧縮剛軟度:不織布の柔軟性を表わすもの
であり、値が小さいほど柔軟性に富むものである。この
測定方法は、以下のとおりである。即ち、試料幅(縦方
向)50mm、試料長(横方向)100mmの試料片を準備す
る。ここで、不織布の縦方向とは、不織布製造時におけ
る機械の配列方向のことである。そして、この試料片を
横方向に曲げて、高さ50mm、周長約100mmの円筒体を作
成する。この円筒体を、テンシロン型引張試験機UTM-4-
1-100を用いて、50mm/分の圧縮速度で円筒体を縦方向
(高さ方向)に圧縮し、その最大荷重時の応力を測定す
る。この測定を5個の円筒体について行ない、その平均
値を圧縮剛軟度とした。 (6)ヒートシールによる剥離強力:試料幅5cm、試料長15
cmの試料片を準備する。そして、この試料片と同一の大
きさの下記に示す被接着材料と積層し、この積層物にロ
ール温度100℃、線圧200kg/cmの条件でカレンダー加工
を施して、貼合体を得た。この貼合体の端部を一部強制
剥離させ、テンシロン型引張試験機を用い、貼合体の剥
離部をチャック間でつかみ、剥離速度2.5cm/分の条件
で最大強力を測定した。この測定方法を、10個の試料片
について行ない、その平均値を剥離強力とした。なお、
被接着材料は、次のようにして作成したものである。即
ち、繊度3デニール,繊維長51mmのポリプロピレン短繊
維をカーディングして繊維フリースを得、この繊維フリ
ースを凹凸ロールと平滑ロールとの間に導入した。この
際、凹凸ロールの温度は158℃であり、ロール間の線圧
は30kg/cmであった。また、凹凸ロールの凸部によって
形成された点圧着区域の総面積は、不織布表面積に対し
て、11%であった。以上のようにして得られた、目付15
g/m2の短繊維不織布を被接着材料とした。
【0024】実施例1 密度0.951g/cm3,メルトインデックス値25g/10分,
融点132℃,Q値2.6のポリエチレン90重量%と、メルト
フローレート値30g/10分,Q値4.0,融点162℃のポリ
プロピレン10重量%とを混合してなる熱可塑性重合体
を、芯成分として準備した。一方、このポリプロピレン
を鞘成分として準備した。そして、孔径0.5φの紡糸孔
を144個具備した複合ノズルを4個使用して、芯成分及び
鞘成分共に230℃の紡糸温度で複合溶融紡糸を行なっ
た。この際、単孔吐出量を2.0g/分とし、芯成分と鞘
成分の複合比を50:50(重量比)にした。得られた芯鞘
型複合長繊維を冷却固化した後、12個のエアーサッカー
で牽引した。以上の如き紡糸方法において、紡糸速度は
6100m/minであった。次いで、エアーサッカーの出口
で、コロナ放電によって強制的に開繊を行なった後、芯
鞘型複合長繊維を移動する金網製の捕集コンベア上に吹
き付けて、繊維ウェブを得た。なお、芯鞘型複合長繊維
の繊度は約3デニールであった。この繊維ウェブを、凹
凸ロールと平滑ロール間に導入した。この際、凹凸ロー
ルの温度は135℃であり、ロール間の線圧は50kg/cmで
あった。この結果、凹凸ロールの凸部に当接した繊維ウ
ェブの区域には、加熱及び加圧が施され、点圧着区域が
形成された。この点圧着区域の総面積は、得られた不織
布表面積に対して、6%であった。以上のようにして得
られた不織布の物性は、表1に示したとおりであった。
【0025】
【表1】 表1から明かなとおり、実施例1に係る不織布は、紡糸
速度が速く、生産性に優れていることが分かる。また、
得られた不織布は、高タフネスであり、柔軟性に優れ、
且つ剥離強力も高いものであった。
【0026】実施例2 密度0.951g/cm3,メルトインデックス値25g/10分,
融点132℃,Q値2.6のポリエチレン90重量%と、メルト
フローレート値15g/10分,Q値5.5,融点162℃のポリ
プロピレン10重量%とを混合してなる熱可塑性重合体
を、芯成分として準備した。一方、メルトフローレート
値50g/10分,融点162℃,Q値3.0のポリプロピレンを
鞘成分として準備した。芯成分と鞘成分とを上記のよう
に変更し、紡糸速度を6550m/minとした以外は、実施
例1と同様の方法で不織布を得た。この結果、得られた
芯鞘型複合長繊維の繊度は2.75デニールになった。以上
のようにして得られた不織布の物性は、表1に示したと
おりであった。表1から明かなとおり、実施例2に係る
不織布は、紡糸速度が速く、生産性に優れていることが
分かる。また、得られた不織布は、高タフネスであり、
柔軟性に優れ、且つ剥離強力も高いものであった。
【0027】実施例3 メルトフローレート値30g/10分,融点138℃,Q値5.0
のエチレン系重合体よりなる熱可塑性重合体を、芯成分
として準備した。このエチレン系重合体は、エチレン4
重量%とプロピレン96重量%とを共重合して得られる、
エチレン−プロピレンランダム共重合体である。一方、
メルトフローレート値30g/10分,融点162℃,Q値3.0
のポリプロピレンを鞘成分として準備した。芯成分と鞘
成分とを上記のように変更し、単孔吐出量1.2g/分と
し、且つ紡糸速度を3520m/minとした以外は、実施例
1と同様にして不織布を得た。この不織布の物性は、表
1に示したとおりであり、高タフネスで、柔軟性に優
れ、且つ剥離強力も高いものであった。
【0028】比較例1 メルトフローレート値30g/10分,融点162℃,Q値4.0
のポリプロピレンを、芯成分として準備した。一方、密
度0.951g/cm3,メルトインデックス値25g/10分,融
点132℃,Q値2.6のポリエチレンよりなる熱可塑性重合
体を、鞘成分として準備した。そして、孔径0.5φの紡
糸孔を144個具備した複合ノズルを4個使用して、芯成分
及び鞘成分共に230℃の紡糸温度で複合溶融紡糸を行な
った。この際、単孔吐出量を1.25g/分とし、芯成分と
鞘成分の複合比を50:50(重量比)にした。得られた芯
鞘型複合長繊維を冷却固化した後、12個のエアーサッカ
ーで牽引した。以上の如き紡糸方法において、紡糸速度
は3800m/minであった。次いで、エアーサッカーの出
口で、コロナ放電によって強制的に開繊を行なった後、
芯鞘型複合長繊維を移動する金網製の捕集コンベア上に
吹き付けて、繊維ウェブを得た。なお、芯鞘型複合長繊
維の繊度は約3デニールであった。この繊維ウェブを、
凹凸ロールと平滑ロール間に導入した。この際、凹凸ロ
ールの温度は125℃であり、ロール間の線圧は50kg/cm
であった。この結果、凹凸ロールの凸部に当接した繊維
ウェブの区域には、加熱及び加圧が施され、点圧着区域
を形成された。この点圧着区域の総面積は、得られた不
織布表面積に対して、6%であった。以上のようにして
得られた不織布の物性は、表1に示したとおりであっ
た。表1から明かなように、芯鞘型複合長繊維の鞘成分
として低融点のものを使用したので、実施例1〜3で得
られた不織布に比べて、タフネスが低く、柔軟性に劣
り、剥離強力が全く無いものであった。
【0029】比較例2 メルトフローレート値30g/10分,融点162℃,Q値4.0
のポリプロピレンのみを準備した。そして、紡糸速度を
3500m/分とする以外は、比較例1と同一の条件で不織
布を得た。なお、この不織布を構成する長繊維は、ポリ
プロピレンのみで形成された非複合型長繊維であった。
得られた不織布の物性を表1に示した。表1から明かな
ように、この不織布は、タフネスが低く、柔軟性に欠け
るものであった。
【0030】実施例4 25℃で96%の濃硫酸による相対粘度が1.92であり、融点
が120℃のポリアミド系共重合体を、芯成分として準備
した。このポリアミド系共重合体は、ナイロン6,ナイ
ロン66及びナイロン12のプレポリマーを共重合した三元
共重合体である。一方、メルトフローレート値30g/10
分,融点162℃,Q値3.0のポリプロピレンを、鞘成分と
して準備した。そして、芯成分の紡糸温度を200℃と
し、鞘成分の紡糸温度を230℃とし、更に紡糸速度を387
0m/minとする以外は、実施例1と同一の条件で不織布
を得た。この不織布の物性は、表1に示したとおりであ
り、高タフネスで、柔軟性に優れ、且つ剥離強力も高い
ものであった。
【0031】実施例5 テトラクロルエタンとフェノールとの等量混合溶媒で溶
解した時の20℃における相対粘度が1.26で、融点が110
℃のポリエステル系共重合体よりなる熱可塑性重合体
を、芯成分として準備した。一方、メルトフローレート
値50g/10分,融点138℃,Q値4.0のプロピレン系重合
体を、鞘成分として準備した。このプロピレン系重合体
は、エチレン4重量%とプロピレン96重量%とを共重合
して得られる、エチレン−プロピレンランダム共重合体
である。そして、孔径0.5φの紡糸孔を144個具備した複
合ノズルを4個使用して、芯成分の紡糸温度を170℃で、
鞘成分の紡糸温度を200℃で複合溶融紡糸を行なった。
この際、単孔吐出量を1.25g/分とし、芯成分と鞘成分
の複合比を50:50(重量比)にした。得られた芯鞘型複
合長繊維を冷却固化した後、12個のエアーサッカーで牽
引した。以上の如き紡糸方法において、紡糸速度は3950
m/minであった。次いで、エアーサッカーの出口で、
コロナ放電によって強制的に開繊を行なった後、芯鞘型
複合長繊維を移動する金網製の捕集コンベア上に吹き付
けて、繊維ウェブを得た。なお、芯鞘型複合長繊維の繊
度は約2.85デニールであった。この繊維ウェブを、凹凸
ロールと平滑ロール間に導入した。この際、凹凸ロール
の温度は115℃であり、ロール間の線圧は30kg/cmであ
った。この結果、凹凸ロールの凸部に当接した繊維ウェ
ブの区域には、加熱及び加圧が施され、点圧着区域を形
成された。この点圧着区域の総面積は、得られた不織布
表面積に対して、36%であった。以上のようにして得ら
れた不織布の物性は、表2に示したとおりであった。
【0032】
【表2】 表2の結果から明かなように、実施例5に係る不織布
は、高タフネスであり、柔軟性に優れ、且つ剥離強力の
高いものであった。
【0033】実施例6 密度0.925g/cm3,メルトインデックス値25g/10分,
融点125℃,Q値2.5のポリエチレンよりなる熱可塑性重
合体を、芯成分として準備した。一方、メルトフローレ
ート値30g/10分,融点162℃,Q値4.0のポリプロピレ
ンを鞘成分として準備した。そして、孔径0.5φの紡糸
孔を144個具備した複合ノズルを4個使用して、芯成分及
び鞘成分共に230℃の紡糸温度で複合溶融紡糸を行なっ
た。この際、単孔吐出量を1.25g/分とし、芯成分と鞘
成分の複合比を50:50(重量比)にした。得られた芯鞘
型複合長繊維を冷却固化した後、12個のエアーサッカー
で牽引した。以上の如き紡糸方法において、紡糸速度は
3810m/minであった。次いで、エアーサッカーの出口
で、コロナ放電によって強制的に開繊を行なった後、芯
鞘型複合長繊維を移動する金網製の捕集コンベア上に吹
き付けて、繊維ウェブを得た。なお、芯鞘型複合長繊維
の繊度は約3デニールであった。この繊維ウェブを、凹
凸ロールと平滑ロール間に導入した。この際、凹凸ロー
ルの温度は125℃であり、ロール間の線圧は50kg/cmで
あった。この結果、凹凸ロールの凸部に当接した繊維ウ
ェブの区域には、加熱及び加圧が施され、点圧着区域を
形成された。この点圧着区域の総面積は、得られた不織
布表面積に対して、6%であった。以上のようにして得
られた不織布の物性は、表2に示したとおりであった。
表2の結果から明かなように、実施例6に係る不織布
は、高タフネスであり、柔軟性に優れ、且つ剥離強力の
高いものであった。
【0034】実施例7 メルトフローレート値6g/10分,融点162℃,Q値5.50
のポリプロピレンを鞘成分として準備した。そして、鞘
成分を上記のように変更し、鞘成分の紡糸温度のみを28
0℃にし、且つ紡糸速度を3570m/minに変更する以外
は、実施例6と同様の方法によって不織布を得た。この
結果、得られた芯鞘型複合長繊維の繊度は3.15デニール
になった。以上のようにして得られた不織布の物性を表
2に示した。表2から明らかなように、この不織布は高
タフネスであり、柔軟性に優れ、且つ剥離強力の高いも
のであった。しかしながら、実施例6の方法に比べる
と、鞘成分の紡糸温度を高温にしなければ、紡糸できな
かった。その結果、複合溶融紡糸時において、芯成分で
あるポリエチレンの分解が促進され、紡糸ノズル面の汚
れが頻発し、紡糸操業性に劣るものであった。
【0035】実施例8 メルトフローレート値70g/10分,融点162℃,Q値3.5
0のポリプロピレンを鞘成分として準備した。そして、
鞘成分を上記のように変更し、鞘成分の紡糸温度のみを
210℃にし、且つ紡糸速度を3820m/minに変更する以外
は、実施例6と同様の方法によって不織布を得た。以上
のようにして得られた不織布の物性を表2に示した。表
2から明らかなように、この不織布は高タフネスであ
り、柔軟性に優れ、且つ剥離強力の高いものであった。
【0036】実施例9 実施例1で得られる繊維ウェブに、以下の如き条件でメ
ルトブロー法によって得られた他種の繊維ウェブを積層
して、積層ウェブを得た。メルトブロー法の条件は、原
料として密度0.905g/cm3,メルトフローレート値300
g/10分,融点162℃のポリプロピレンを使用し、孔径
0.4mm,孔数250のダイを用いて、紡糸温度300℃,噴射
エアーの温度320℃,噴射エアーの流速160m/秒であっ
た。以上のようにして得られた他種の繊維ウェブは、繊
維径2〜5μmの極細繊維を構成繊維とし、目付が20g/
2であった。この積層ウェブを、凹凸ロールと平滑ロ
ール間に導入した。この際、凹凸ロールの温度は135℃
であり、ロール間の線圧は30kg/cmであった。この結
果、凹凸ロールの凸部に当接した積層ウェブの区域に
は、加熱及び加圧が施され、点圧着区域が形成された。
この点圧着区域においては、実施例1の繊維ウェブを構
成している芯鞘型複合長繊維の鞘成分の固着、及び他種
の繊維ウェブを構成している極細繊維の固着によって、
各繊維相互間が結合していた。なお、この点圧着区域の
総面積は、得られた複合シートの表面積に対して、6%
であった。以上のようにして得られた複合シートの物性
は、下記に示したとおりであった。 記 目付 :62g/m2 引張強力 :15.9kg/5cm 引張伸度 :80% タフネス :1272kg・%/5cm 圧縮剛軟度:31g 剥離強力 :251g この結果から明らかなとおり、この複合シートは、高タ
フネスであり、柔軟性に優れ、且つ剥離強力の高いもの
であった。
【0037】
【作用】本発明に係る不織布は、芯鞘型複合長繊維を構
成繊維とするものであり、この芯鞘型複合長繊維は、鞘
成分がプロピレン系重合体で形成され、芯成分が鞘成分
の融点よりも低い融点を持つ熱可塑性重合体で形成され
ている。即ち、従来の如く、低融点の鞘成分と高融点の
芯成分よりなる芯鞘型複合長繊維ではなく、鞘成分と芯
成分との融点が逆転した芯鞘型複合長繊維を使用してい
る。そして、この芯鞘型複合長繊維相互間は、間隔を置
いて配置された点圧着区域において結合されている。そ
して、この結合は、鞘成分同士が固着することによっ
て、行なわれている。従って、鞘成分に比べて、比較的
柔軟で高タフネスな熱可塑性重合体よりなる芯成分は、
点圧着区域において、隣接する複合長繊維と固着して板
状になることが少なく、よって芯成分の柔軟性や高タフ
ネスが阻害されるのを防止しうる。これが例えば、従来
の如く、低融点の鞘成分と高融点の芯成分よりなる芯鞘
型複合長繊維を使用した場合には、高融点の芯成分に比
べて、柔軟で且つ高タフネスの低融点の鞘成分は、点圧
着区域において、隣接する複合長繊維と固着して板状に
なりやすく、鞘成分の持つ柔軟性や高タフネスが阻害さ
れるのである。また、点圧着区域が間隔を置いて配置さ
れていることによっても、不織布の柔軟性が阻害される
ことが少ない。
【0038】更に、本発明に係る不織布の製造方法は、
ある特定のメルトフローレート値とある特定のQ値を持
つプロピレン系重合体を鞘成分として採用したので、上
記した柔軟性に富み且つ高タフネスの不織布を容易に得
ることができる。即ち、速い生産速度で生産でき、紡糸
装置等におけるトラブルが少なく、良好な操業性で生産
することができるのである。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る不織
布は、柔軟性に富み且つ高タフネスという物性を示すの
で、比較的低目付のものは、使い捨ておむつや生理用ナ
プキン等の衛生材料の表面材として、また比較的高目付
のものは、袋物の基布,カーペット用基布,フィルター
材等として好適に使用しうるものである。従って、本発
明に係る不織布は、汎用的に各種の用途に使用でき、産
業上有益なものである。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融紡糸法によって得られた芯鞘型複合
    長繊維であって、鞘成分がプロピレン系重合体で形成さ
    れ、芯成分が該プロピレン系重合体の融点よりも低い融
    点を持つ熱可塑性重合体で形成されてなる芯鞘型複合長
    繊維を構成繊維とし、且つ該芯鞘型複合長繊維相互間が
    プロピレン系重合体の固着によって結合されてなる点圧
    着区域を持つと共に、該点圧着区域が間隔を置いて配置
    されてなることを特徴とする芯鞘型複合長繊維よりなる
    不織布。
  2. 【請求項2】 熱可塑性重合体が、エチレン系重合体と
    プロピレン系重合体の混合物である請求項1記載の芯鞘
    型複合長繊維よりなる不織布。
  3. 【請求項3】 鞘成分と芯成分の複合比が、鞘成分:芯
    成分=20〜80:80〜20(重量比)である芯鞘型複合長繊
    維を用いる請求項1又は2記載の芯鞘型複合長繊維より
    なる不織布。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載された芯鞘型複合長繊維
    よりなる不織布に、他種の不織布又は編織物等のシート
    材料が接合されてなることを特徴とする複合シート。
  5. 【請求項5】 鞘成分として、メルトフローレート値が
    10〜80g/10分で且つQ値(重量平均分子量/数平均分
    子量)が5以下のプロピレン系重合体を使用し、芯成分
    として、該プロピレン系重合体の融点よりも低い融点を
    持つ熱可塑性重合体を使用して、複合溶融紡糸法によっ
    て芯鞘型複合長繊維を得、該芯鞘型複合長繊維をエアー
    サッカーで牽引することにより、該芯鞘型複合長繊維を
    延伸すると共に搬送した後、捕集コンベアに該芯鞘型複
    合長繊維を集積させて繊維ウェブを得、該繊維ウェブに
    部分的に加熱及び加圧を施して、該芯鞘型複合長繊維相
    互間が該プロピレン系重合体の固着によって結合されて
    なる点圧着区域を形成することを特徴とする芯鞘型複合
    長繊維よりなる不織布の製造方法。
  6. 【請求項6】 熱可塑性重合体が、エチレン系重合体と
    プロピレン系重合体の混合物である請求項5記載の芯鞘
    型複合長繊維よりなる不織布の製造方法。
  7. 【請求項7】 鞘成分と芯成分の複合比が、鞘成分:芯
    成分=20〜80:80〜20(重量比)である芯鞘型複合長繊
    維を得る請求項5又は6記載の芯鞘型複合長繊維よりな
    る不織布の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項5に記載された繊維ウェブを得た
    後、該繊維ウェブに、他種の繊維ウェブ,不織布又は編
    織物等のシート材料を積層した後、該繊維ウェブに部分
    的に加熱及び加圧を施して、該芯鞘型複合長繊維相互間
    が該プロピレン系重合体の固着によって結合されてなる
    点圧着区域を形成して芯鞘型複合長繊維よりなる不織布
    を得ると共に、該プロピレン系重合体の固着によって他
    のシート材料を該芯鞘型複合長繊維よりなる不織布に接
    合することを特徴とする複合シートの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項5に記載された繊維ウェブを得た
    後、該繊維ウェブに、他種の繊維ウェブを積層した後、
    該繊維ウェブに部分的に加熱及び加圧を施して、該芯鞘
    型複合長繊維相互間が該プロピレン系重合体の固着によ
    って結合されてなる点圧着区域を形成して芯鞘型複合長
    繊維よりなる不織布を得ると共に、請求項5に記載され
    た繊維ウェブを構成する芯鞘型複合長繊維と、他種の繊
    維ウェブの構成繊維とを三次元的に交絡させることを特
    徴とする複合シートの製造方法。
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