JP3221200B2 - 積層不織布及びその製造方法 - Google Patents

積層不織布及びその製造方法

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JP3221200B2 JP35214193A JP35214193A JP3221200B2 JP 3221200 B2 JP3221200 B2 JP 3221200B2 JP 35214193 A JP35214193 A JP 35214193A JP 35214193 A JP35214193 A JP 35214193A JP 3221200 B2 JP3221200 B2 JP 3221200B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、割繊繊維を含有する割
繊不織布と極細繊維よりなる極細繊維不織布とが積層さ
れてなる積層不織布及びその製造方法に関し、特に、層
間剥離強力が高く、柔軟性に優れ、且つ良好なフィルタ
ー性能を有し、医療・衛生材料、衣料用、生活関連資材
用、産業資材用等の広範な用途に使用することのできる
積層不織布及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、極細繊維が集積されてなる極
細繊維不織布は、繊維間隙が非常に小さいため、細かな
塵埃を除去するためのフィルター材として、好適なもの
である。そして、この極細繊維不織布を複数枚積層し貼
合して、厚みの厚い高目付の積層不織布として、フィル
ター材の寿命を長くすることが行われている。この際、
極細繊維不織布同士を貼合するには、一般的に、熱エン
ボス融着装置が使用されている。熱エンボス融着装置
は、加熱されたエンボスロール(凹凸ロール)と平滑ロ
ールとよりなるものである。そして、このロール間に積
層した極細繊維不織布を導入し、凹凸ロールの凸部を極
細繊維不織布に圧接することによって、熱及び圧力を付
与し、極細繊維を軟化又は溶融させて融着させ、極細繊
維不織布同士を貼合しようというものである。
【0003】しかしながら、凹凸ロールの凸部に圧接し
た区域の、極細繊維の全てを軟化又は溶融させてしまう
と、その区域がフィルム状となり、通気性が低下すると
いうことがあった。このため、熱及び圧力を付与した区
域においても、繊維形態を維持させておくため、極細繊
維不織布と、一定の熱及び圧力を付与した場合に、鞘部
のみが軟化又は溶融し、芯部は繊維形態を維持する芯鞘
型複合繊維よりなる不織布とを積層し、貼合することも
提案されている。しかしながら、芯鞘型複合繊維は、軟
化又は溶融する鞘部と、繊維形態を維持する芯部とが密
着しているため、極細繊維と芯鞘型複合繊維とが十分に
融着しにくいということがあった。従って、極細繊維不
織布と芯鞘型複合繊維よりなる不織布との層間剥離強力
が、低下するという欠点があった。また、芯鞘型複合繊
維は、その製造上の理由から、繊度の小さい極細繊維は
製造しにくいため、細かな塵埃を除去するフィルター材
の構成素材としては不適当であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、極
細繊維不織布と積層されて貼合される不織布として、低
融点成分と高融点成分とよりなる複合繊維が分割割繊さ
れた状態のものを使用して、低融点成分と高融点成分と
の密着状態を解消し、割繊された低融点成分よりなる割
繊繊維と極細繊維とを強固に融着させると共に、割繊さ
れた高融点成分よりなる割繊繊維が繊維形態を維持する
ようにして、高剥離強力を持ち、通気性が良好でフィル
ター材として好適に使用しうる積層不織布を提供しよう
というものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、繊維形
成性重合体Aと、該重合体Aに対し非相溶性であり、且
つ該重合体Aの融点よりも30〜180℃低い融点を持つ繊
維形成性重合体Bとが複合された分割型二成分系複合繊
維が、割繊率60%以上となるように分割割繊されて生成
した、該重合体Aで構成される繊度0.05〜0.8デニール
の割繊繊維Aと、該重合体Bで構成される繊度0.05〜2
デニールの割繊繊維Bとを含有する割繊不織布と、繊維
0.2デニール以下のポリプロピレン系極細繊維が集積さ
れてなる極細繊維不織布とが積層されてなる積層不織布
であって、該割繊繊維Aが繊維形態を維持したまま、該
割繊繊維Bと該ポリプロピレン系極細繊維とが所定の区
域において融着することによって、該割繊不織布と該極
細繊維不織布とが貼合されていることを特徴とする積層
不織布及びその製造方法に関するものである。
【0006】まず、本発明において使用する割繊不織布
について説明する。この割繊不織布は、分割型二成分系
複合繊維を、割繊率60%以上となるように分割割繊し、
得られた割繊繊維を主体として含有するものである。
【0007】ここで使用する分割型二成分系複合繊維
は、繊維形成性重合体Aと繊維重合体Bとが、各々独立
して分割割繊が可能なように複合されたものであり、例
えば、図1〜図4の如き横断面を持つものである。な
お、図1〜図4中、斜線部で示したのが重合体Aであ
り、散点部で示したのが重合体Bである。重合体Bは、
この重合体Aに対し、非相溶性である。重合体Aと重合
体Bが非相溶性であるのは、重合体A及びBが、衝撃等
を与えることによって、分割割繊しやすいようにするた
めである。そして、重合体Bの融点は、重合体Aの融点
よりも30〜180℃低いものである。重合体Bの融点が、
この範囲よりも高い温度に外れると、重合体Bが軟化又
は溶融した場合、重合体Aも軟化しやすくなり、重合体
A及びBが相互に融着して板状となり、通気性や柔軟性
に優れた積層不織布が得られないので、好ましくない。
逆に、重合体Bの融点を、上記した範囲よりも低い温度
にすると、重合体A及びBよりなる分割型二成分系複合
繊維を溶融紡糸法で製造することが困難になる。なお、
重合体AやBの融点は、以下の方法で測定したものであ
る。即ち、パーキンエルマー社製DSC−2型の示差走
査型熱量計を用い、昇温速度20℃/分で、室温より昇温
して得られる融解吸熱ピークの最大値を与える温度を融
点とした。
【0008】重合体A及びBで形成される分割型二成分
系複合繊維としては、一般的に連続繊維の形態で用いら
れるが、ステープルファイバーの形態で用いても差し支
えない。分割型二成分系複合繊維の繊度は、任意に設定
しうるものであるが、一般的に2〜10デニールの範囲で
あるのが好ましい。繊度を2デニール未満として、分割
型二成分系複合繊維を溶融紡糸法で得るのは、困難とな
る傾向が生じる。逆に、繊度が10デニールを超えると、
分割割繊後に生成する重合体Aよりなる割繊繊維A又は
重合体Bよりなる割繊繊維Bの繊度が大きくなりすぎ
て、得られる積層不織布の柔軟性が低下する傾向が生じ
る。
【0009】重合体Aと重合体Bの具体的な組み合わせ
(重合体A/重合体B)としては、代表的には、ポリア
ミド系重合体/ポリオレフィン系重合体、ポリエステル
系重合体/ポリオレフィン系重合体、ポリアミド系重合
体/ポリエステル系重合体等が挙げられる。これ以外に
も、所望に応じて任意の組み合わせが採用される。
【0010】上記したポリオレフィン系重合体の例とし
ては、エチレン、プロピレン、ブテン-1、ぺンテン-1、
3-メチルブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1、ドデセン
-1、オクタデセン-1等の炭素原子数が2〜16の脂肪族α
−モノオレフィンが単独重合されてなるホモポリオレフ
ィン又は混合して重合されてなる共重合ポリオレフィン
が挙げられる。また、脂肪族α−モノオレフィンは、他
のオレフィン及び/又は少量(重合体重量の約10%ま
で)の他のエチレン系不飽和モノマー、例えばブタジエ
ン、イソプレン、ペンタジエン-1,3、スチレン、α−メ
チルスチレン等のエチレン系不飽和モノマーと共重合さ
れていてもよい。特に、ポリオレフィン系樹脂としてポ
リエチレンを使用する場合には、重合体重量の約10重量
%までのプロピレン、ブタン-1、ヘキセン-1、オクテン
-1等の高級α−オレフィンを共重合させたものが好まし
い。
【0011】上記したポリアミド系重合体の例として
は、ナイロン-4、ナイロン-46、ナイロン-6、ナイロン-
66、ナイロン-610、ナイロン11、ナイロン-12、ポリメ
タキシレンアジパミド(MXD−6)、ポリパラキシレ
ンデカンアミド(PXD−12)、ポリビスシクロヘキ
シルメタンデカンアミド(PCM−12)等が使用され
る。また、このようなポリアミド系重合体を構成するモ
ノマーが、複数用いられた共重合ポリアミドを使用する
こともできる。
【0012】上記したポリエステル系重合体の例として
は、酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、フタル
酸、ナフタリン-2・6-ジカルボン酸等の芳香族ジカルボ
ン酸、又はアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボ
ン酸、及びこれらのエステル類を使用し、アルコール成
分としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、
1・4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロ
ヘキサン-1・4-ジメタノール等のジオール化合物を使用
し、両者を縮合させて得られるホモポリエステル又は共
重合ポリエステルが挙げられる。また、このポリエステ
ル等において、パラオキシ安息香酸、5-ソジュームスル
フオイソフタール酸、ポリアルキレングリコール、ペン
タエリスリトール、ビスフェノールA等が添加されてい
てもよいし、あるいは共重合されていてもよい。
【0013】重合体A又はBを形成するための、その他
の重合体としては、例えばビニル系重合体も使用するこ
とができる。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリ
酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン
等が使用される。また、これらを構成する各種モノマー
を共重合させたものも使用される。ビニル系重合体外の
重合体としては、ポリフェニレン系重合体又はその共重
合体も使用することができる。
【0014】重合体A及びBには、本発明の目的を阻害
しない範囲で、艶消し剤、顔料、防炎剤、消臭剤、帯電
防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の任意の添加物が
添加されていてもよい。
【0015】本発明における分割型二成分系複合繊維
は、一般的に、以下の如き方法で製造することができ
る。即ち、重合体A及びBを使用して、従来公知の溶融
複合紡糸法で紡糸し、横吹付や環状吹付等の従来公知の
冷却装置を用いて、吹付風により冷却した後、一般的に
エアーサッカーを用いて、目的繊度となるように牽引細
化して引き取る。この際、牽引速度は3000m/分以上、
特に4000m/分以上であるのが、好ましい。これは、高
強度の分割型二成分系複合繊維を得ることができ、得ら
れる割繊不織布の引張強度が向上すると共に、寸法安定
性が良好となるからである。
【0016】このようにして得られた分割型二成分系複
合繊維を使用して、割繊不織布を得るには、例えば、以
下の如き方法で行う。即ち、エアーサッカーを使用して
牽引し、その後エアーサッカーから排出させた分割型二
成分系複合繊維を、一般的には、高圧電場中のコロナ放
電域か、又は摩擦衝突帯域を通過させて、帯電開繊させ
る。そして、スクリーンからなるコンベアーの如き移動
堆積装置上に集積させて繊維集積体を得る。この繊維集
積体の目付は、150g/m2程度以下が好ましい。目付が
150g/m2を超えると、後の分割割繊処理によっても、
実質上、繊維集積体の全厚みを通じて、分割型二成分系
複合繊維を分割割繊できない傾向となる。即ち、割繊不
織布の厚みの中心部に未割繊の分割型二成分系複合繊維
が残存する傾向となる。しかし、このような場合であっ
ても、割繊不織布の少なくとも片面には、分割割繊され
た割繊繊維が存在することになるので、本発明の一実施
態様であることには変わりない。
【0017】この繊維集積体は、そのままの状態で分割
割繊工程に導入することもできるが、形態保持性の面か
ら、必要に応じ部分圧接処理を施してもよい。部分圧接
処理は、集積・堆積させた繊維集積体の任意の区域に熱
及び/又は圧力を施して、割繊繊維B及びA同士を密着
させることにより、或いは割繊繊維Bを融着させること
により行う。融着させる場合には、積層不織布を得る段
階で、割繊不織布と極細繊維不織布とを融着させる条件
よりも、低い温度条件で熱を付与するのが、好ましい。
これは、割繊不織布の柔軟性や品位を低下させないため
である。なお、部分圧接処理は、集積・堆積させた繊維
集積体を、エンボス装置,熱エンボス装置あるいは超音
波融着装置等に導入することによって、行うことができ
る。
【0018】繊維集積体中の分割型二成分系複合繊維を
分割割繊させる方法としては、以下の如き方法を使用す
ることができる。例えば、(a)繊維集積体にニードルパ
ンチを施し、分割型二成分系複合繊維にニードルによる
衝撃を与えて、分割割繊させる方法、(b)繊維集積体に
薬剤を付与して、重合体A又はBの表面の一部を溶解さ
せ、分割型二成分系複合繊維を分割割繊させる方法、
(c)繊維集積体に高圧液体流を施して、この衝撃によっ
て分割型二成分系複合繊維を分割割繊させる方法、(d)
繊維集積体を、流れている液体中に入れてもみ作用を与
えたり、あるいは機械的にもみ作用を与えて、その座屈
力によって、分割型二成分系複合繊維を分割割繊させる
方法等が挙げられる。本発明においては、この分割割繊
方法はどのような方法のものを採用してもよいが、(c)
又は(d)の方法を採用するのが、好ましい。これらの方
法によれば、低目付で品位の良い割繊不織布を得ること
ができからである。また、これらの方法は、更に、公害
の発生しにくいものであり、また簡単なものなので経済
性にも優れているからである。
【0019】以上の例示した分割割繊方法により、分割
型二成分系複合繊維中に存在している重合体A及び重合
体Bが分離して、重合体Aで構成された割繊繊維Aと重
合体Bで構成された割繊繊維Bとに分割割繊されるので
ある。分割割繊は、分割型二成分系複合繊維の全ての箇
所で生じるのは稀であり、割繊した箇所と未割繊の箇所
とが混在するのが一般的である。本発明においては、割
繊した箇所の割合を示す割繊率が60%以上であることが
必要であり、好ましくは80%以上、より好ましくは90%
以上、最も好ましくは95〜98%であるのがよい。割繊率
が60%未満になると、重合体Bで構成された割繊繊維B
の割合が少なくなって、重合体Bと重合体Aとが未だ分
離せずに密着した状態になっている箇所が多くなる。従
って、このような状態の割繊不織布を高温下で処理し、
重合体Bを軟化又は溶融させて、極細繊維不織布中の極
細繊維と融着させようとしても、重合体Aと密着してい
るため、十分強固に融着せず、層間剥離強力の高い積層
不織布が得られないので、好ましくない。ここで、割繊
率とは、割繊不織布の任意の区域を10箇所選び、その断
面を100倍に拡大して断面写真を撮影し、次いで10枚の
断面写真中から、下記式で算出したものの平均値を意味
している。 記 割繊率(%)=(N/M)×100 (但し、Nは完全に割繊された割繊繊維A及びBの総数
を表わし、Mは割繊されているものと未割繊のものとの
総数を表わす。)
【0020】本発明において、分割割繊された後の割繊
繊維Aの繊度は、0.05〜0.8デニールであり、好ましく
は0.08〜0.5デニール、より好ましくは0.1〜0.3デニー
ルであるのが良い。割繊繊維Aの繊度が0.8デニールを
超えると、割繊繊維Aの径が太すぎて、剛性が大きくな
り、得られる積層不織布の柔軟性が低下するので、好ま
しくない。また、フィルター材として使用した場合に
は、細かな塵埃を除去しにくくなるため、好ましくな
い。逆に、割繊繊維Aの繊維を0.05デニール未満とする
ことは、製造上困難である。即ち、溶融複合紡糸法で、
このよな細デニールのものを紡糸することは現実的に困
難で、分割型二成分系複合繊維が安価に又は合理的に得
られにくくなるのである。
【0021】一方、分割割繊された後の割繊繊維Bの繊
度は、割繊繊維Aの繊度に比べて、若干大きくなっても
よい。何故なら、割繊繊維Bは、後の工程で軟化又は溶
融して、極細繊維と融着するという役割を持つものであ
るから、その剛性が直接的に積層不織布に影響して、柔
軟性を極端に低下させるものではないからである。ま
た、本来的に融着することによって、細かな塵埃の除去
という役割は、殆ど果たせなくなるからである。しかし
ながら、割繊繊維Bの繊度も、0.05〜2デニールである
必要があり、好ましくは0.08〜1.5デニール、より好ま
しくは0.1〜1デニールであるのが良い。割繊繊維Bの繊
度が2デニールを超えると、割繊繊維Bが融着していな
い区域、即ち所定の区域外の区域においては、割繊繊維
Bが繊維形態を維持したまま存在しており、これによっ
て、得られる積層不織布の柔軟性が低下するので、好ま
しくない。逆に、割繊繊維Bの繊度を0.05デニール未満
とすることは、割繊繊維Aの場合と同様に、製造上困難
である。
【0022】本発明においては、このような割繊不織布
に極細繊維不織布が積層されている。極細繊維不織布
は、ポリプロピレン系重合体を使用して、メルトブロー
ン法で容易に得ることができる。ポリプロピレン系重合
体の例としては、主として一般に繊維形成用として使用
されている結晶性ポリプロピレン重合体が使用される。
また、エチレン成分が8重量%以下共重合されたポリプ
ロピレン系共重合体、あるいはこれと結晶性ポリプロピ
レン重合体とが混合されたものも使用される。エチレン
成分が8重量%を超えると、ポリプロピレン系重合体の
融点が降下し、得られた極細繊維不織布を使用して積層
不織布を得る際に熱を付与すると、収縮しやすくなった
り、熱を付与しない区域において極細繊維が軟化又は溶
融しやすくなる傾向が生じる。上記したポリプロピレン
系重合体には、本発明の目的を阻害しない範囲で、艶消
し剤、顔料、防炎剤、消臭剤、帯電防止剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤等の任意の添加物が添加されていても
よい。
【0023】極細繊維不織布を構成しているポリプロピ
レン系極細繊維の繊度は、0.2デニール以下となってい
る。繊度が0.2デニールを超えると、フィルター性能
(即ち、細かな塵埃を除去する性能)が低下するので、
好ましくない。なお、極細繊維の繊度は、複数個の試料
について、電子顕微鏡写真での形状寸法から断面積を算
出し、密度補正をして各繊度を求め、その平均値を極細
繊維の繊度とした。
【0024】極細繊維不織布をメルトブローン法で得る
方法は、一般的に、以下のようであるのが好ましい。即
ち、ポリプロピレン系重合体を紡糸機にて溶融し、紡糸
口金に配設された孔径0.1〜1mm程度の紡糸孔より、ポリ
プロピレン系重合体を吐出する。吐出された溶融重合体
流を、溶融温度より20〜50℃高い温度で、幅0.1〜0.5mm
程度のスリット状ノズルから噴出される高圧加熱気体流
により、牽引・細化する。そして、得られたポリプロピ
レン系極細繊維を高圧加熱気体流で搬送し、移動する捕
集面上に捕集・堆積することによって、極細繊維不織布
を得ることができるのである。
【0025】メルトブローン法で溶融紡糸するに際し、
使用するポリプロピレン系重合体のメルトフローレート
値(以下、「MFR」と称呼する。)は、100〜800g/
10分とするのが好ましい。MFRは、ASTM-D-1238(L)に
準拠して測定したものである。MFRが100g/10分未
満であると、吐出された溶融重合体流を細化するのに、
大きなエネルギーを要するので、製造コストが高くなる
傾向が生じる。逆に、MFRが800g/10分を超える
と、吐出された溶融重合体流が切断しやすくなり、得ら
れる極細繊維の均斉度が低下する傾向が生じる。紡糸温
度は、ポリプロピレン系重合体の種類及びMFRによっ
て、適宜選択されるが、一般的には250〜320℃程度が適
用される。更に、高圧加熱気体流の流速は、80〜300m
/秒程度とするのが好ましい。また、高圧加熱気体流の
噴出方向は、紡糸線方向に対して、15〜45度とするのが
好ましい。
【0026】極細繊維不織布の目付は、10〜120g/m2
程度のものが好ましい。特に、20〜100g/m2とするの
が、より好ましい。目付が10g/m2未満となると、極
細繊維同士の緻密な重なりの程度が少なくなって、極細
繊維間の間隙が広くなり、細かな塵埃を除去するフィル
ター材として、不適当になる。逆に、目付が120g/m2
を超えると、細かな塵埃を除去するというフィルター性
能は向上するが、柔軟性が低下する傾向が生じ、また扱
いにくくなる傾向が生じる。更に、割繊不織布と積層し
熱及び圧力を付与して、割繊繊維Bと極細繊維とを融着
させる場合、熱あるいは圧力が内部まで十分に負荷され
ず、層間剥離強力が低下する傾向が生じる。もし、熱あ
るいは圧力を内部まで十分に負荷しようとすると、融着
処理の際の加工速度を遅くしたり、あるいは多大の超音
波エネルギー等が必要となるので、合理的に積層不織布
を製造しにくくなるという傾向が生じる。
【0027】極細繊維不織布は、そのままの状態で積層
工程に導入することもできるが、形態保持性の面から、
必要に応じ部分圧接処理を施してもよい。この部分圧接
処理は、分割型二成分系複合繊維よりなる繊維集積体に
施したのと、同様にして行うことができる。そして、こ
れによって、ポリプロピレン系極細繊維同士を密着又は
融着させるのである。融着させる場合には、積層不織布
を得る段階で、割繊不織布と極細繊維不織布とを融着さ
せる条件よりも、低い温度条件で熱を付与するのが、好
ましい。これは、極細繊維不織布の柔軟性や品位を低下
させないためである。
【0028】上記した割繊不織布と極細繊維不織布とを
積層し、所定の区域で加熱処理して、割繊不織布中の割
繊繊維Bを軟化又は溶融させ、且つ極細繊維不織布中の
ポリプロピレン系極細繊維を軟化又は溶融させ、割繊繊
維Bと極細繊維の両者を、当該所定の区域で融着固定さ
せ、割繊不織布と極細繊維不織布とを貼合するのであ
る。割繊繊維Bと極細繊維の融着固定は、割繊不織布と
極細繊維不織布との境界面において、所定の区域でなさ
れる。所定の区域の面積は、割繊不織布と極細繊維不織
布の境界面全面の面積に対して、4〜50%であるのが好
ましく、特に8〜25%であるのがより好ましい。融着固
定されている所定の区域が4%未満であると、割繊不織
布と極細繊維不織布との層間の剥離強力が低下する傾向
が生じる。逆に、所定の区域が50%を超えると、積層不
織布の柔軟性や嵩高性が低下する傾向が生じる。そし
て、この所定の区域において、割繊繊維Aは繊維形態を
維持したまま存在している。従って、この所定の区域が
完全にフィルム化されるようなことは少なく、通気性を
極端に低下させることを防止しうる。
【0029】本発明において、割繊不織布と極細繊維不
織布とを積層して貼合する方法としては、例えば、以下
のような方法を採用するのが好ましい。即ち、割繊不織
布と極細繊維不織布とを積層した積層物を、超音波融着
機に導入して、貼合するのが好ましい。超音波融着機と
は、超音波によって、割繊繊維B及びポリプロピレン系
極細繊維を軟化又は溶融させる装置である。具体的に
は、周波数19.15KHZの通常ホーンと称呼された超音波発
振器と、円周上に点状又は帯状等の凸状突起部を具備す
るパターンロールとからなるものである。パターンロー
ルに配設されている凸状突起部は、一列あるいは複数列
であってもよく、また、その配設が複数列の場合には、
並列あるいは千鳥型のいずれの配列であってもよい。
【0030】本発明においては、積層物が、この超音波
発振器とパターンロールとの間に通される。そして、超
音波発振器から発振された超音波の作用によって、凸状
突起部に当接している積層物の箇所において、割繊繊維
B及びポリプロピレン系極細繊維が摩擦熱で軟化又は溶
融するのである。この際、ホーンに空気圧を印加して加
圧する。ホーンとパターンロール間の線圧は、通常1〜1
0kg/cm程度である。このような線圧を与えることによ
って、軟化又は溶融している割繊繊維Bとポリプロピレ
ン系極細繊維とが融着され、所定の区域で固定されるの
である。線圧が1kg/cm未満であると、軟化又は溶融し
た割繊繊維Bとポリプロピレン系極細繊維とが十分に融
着されず、割繊不織布と極細繊維不織布との層間におけ
る剥離強力が低下する傾向が生じる。逆に、線圧が10kg
/cmを超えると、割繊繊維Bやポリプロピレン系極細繊
維が熱分解したり、積層不織布に孔が開いたりする恐れ
がある。この説明からも明らかなように、凸状突起部の
先端の形状が円形であると、融着固定した区域が散点状
に配置されることになる。また、凸状突起部の先端が帯
状となっていると、融着固定した区域が、一定の間隔を
置いて帯状に配置されるのである。
【0031】上記したように、本発明においては、融着
固定する所定の区域を形成させるには、超音波融着装置
を使用するのが、一般的である。超音波融着装置に代え
て、熱エンボス融着装置を使用すると、融着固定する所
定の区域を形成させるのが困難になる。熱エンボス融着
装置は、表面に凸状突起を持つ、加熱されたエンボスロ
ールと、表面が平滑なスムースロールよりなるものが代
表的であるが、超音波融着装置の如く、軟化又は溶融し
た割繊繊維Bとポリプロピレン系極細繊維とを、板状と
するのを防止しながら融着することが、困難なのであ
る。この理由は、一般的にエンボスロールによって過大
な圧力が負荷される傾向があるからである。従って、熱
エンボス融着装置を用いた場合でも、その線圧及び加熱
温度等の条件を厳密に設定することによって、良好に割
繊繊維Bとポリプロピレン系極細繊維とを、板状とする
ことなく、融着することができるが、その条件設定が困
難であるため、この方法を採用し難いのである。
【0032】次に、実施例に基づき、本発明をより具体
的に説明する。この実施例中で用いられている各特性値
等の測定方法は、以下の方法によって行ったものであ
る。 [積層不織布の引張強力]:JIS L-1096に記載のストリ
ップ法に準じ、幅5cm,長さ10cmの試験片から最大引張
強力を測定し、100g/m2の目付に換算した値である。
なお、引張強力は縦方向と横方向とを測定した。ここ
で、縦方向の引張強力とは、機械方向の引張強力のこと
であり、横方向の引張強力とは、機械方向に直交する方
向の引張強力のことである。 [積層不織布の引張伸度]:引張強力測定時の切断時の
伸度である。伸度についても、縦方向と横方向とを測定
した。 [積層不織布の層間剥離強力]:幅5cm,長さ10cmの試
験片を、長さ方向が縦方向となるように積層不織布から
採取した。定速伸長型引張試験器を用いて、この積層不
織布中における割繊不織布の端部を一方のチャックに挟
持させ、綿不織布の端部を他方のチャックに挟持させ
て、引張速度10cm/分で剥離した時の荷重値の平均値
を、積層不織布の層間剥離強力とした。 [積層不織布の剛軟度]:幅5cm,長さ10cmの試験片を
長さ方向に曲げて円筒状物とし、当接した端部間を接合
したものを剛軟度測定試料とした。この試料の軸方向
(試験片の幅方向)について、定速伸長型引張試験機を
用いて圧縮速度5cm/分で圧縮し、得られた最大荷重値
の平均値を、積層不織布の剛軟度とした。 [積層不織布の通気度]:JIS L-1096に記載のフラジー
ル法に準じて測定した。
【0033】
【実施例】
実施例1 繊維形成性重合体Aとして、融点が258℃,フェノール
/クロロエタン=1/1の混合溶媒中20℃で測定して得ら
れる[η]=0.7のポリエチレンテレフタレートを準備
した。一方、繊維形成性重合体Bとして、融点が158℃
でMFR(ASTM-D-1238(L)に準拠して測定)が15g/10
分であるポリプロピレンを準備した。そして、得られる
繊維断面が図1に示す如き形態で全分割数が12個になる
複合紡糸口金を用い、重合体Aと重合体Bの複合比が重
量比で1:1となるように、単孔吐出量=1.4g/分で押
し出した。このように複合溶融紡糸して、分割型二成分
系複合連続繊維を得た。
【0034】紡出糸条を冷却した後、エアーサッカーに
より4200m/分の速度で引き取り、コロナ放電開繊器に
て開繊させ、移動する捕集面上に捕集・堆積させて繊維
集積体を得た。この繊維集積体を、熱エンボス装置に導
入して、目付25g/m2の繊維フリースを得た。熱エン
ボス装置に配設されたエンボスロールは、散点状の凸部
をロール表面積に対して5%の割合で有し、且つ温度は8
0℃に設定されているものであった。なお、繊維集積体
中から採取した分割型二成分系複合連続繊維の繊度は、
約3.0デニールであった。
【0035】次いで、この繊維フリースを、速度20m/
分で移動している100メッシュのスクリーン上に載置
し、水付与装置で水を付与した後、繊維フリースに高圧
液体流処理を施して、分割型二成分系複合連続繊維の分
割割繊処理を行った。この処理は、繊維フリースの上方
5cmに噴射孔を位置せしめ、水圧60kg/cm2Gの条件下
で、繊維フリースの表裏に3回ずつ高圧液体流処理を施
した。この後、マングルロールにて過剰の水分を絞り、
98℃の雰囲気に保たれた乾燥・熱処理装置で処理して、
割繊不織布を得た。この割繊不織布は、割繊率93%で分
割割繊されており、生成した割繊繊維A(ポリエチレン
テレフタレート、即ち重合体Aで構成される割繊繊維)
の繊度は0.25デニールであり、また生成した割繊繊維B
(ポリプロピレン、即ち重合体Bで構成される割繊繊
維)の繊度も0.25デニールであった。
【0036】一方、融点が158℃でMFRが400g/10分
のポリプロピレン系重合体を使用して、以下の条件でメ
ルトブローン法により、目付25g/m2の極細繊維不織
布を得た。即ち、ポリプロピレン系重合体を紡糸機にて
280℃で溶融し、孔径0.15mmの紡糸孔を通して、単孔吐
出量0.1g/分の条件下にて溶融吐出し、吐出された溶
融重合体流を、300℃に加熱された高圧空気流を速度170
m/秒で紡糸線方向に対して30度の角度をなす方向に噴
出して、牽引細化し、紡糸口金の下方10cmの位置に配設
されたサクションドラム上に捕集・堆積させて、極細繊
維不織布を得た。極細繊維不織布を構成しているポリプ
ロピレン系極細繊維の繊度は、0.06デニールであった。
【0037】次いで、割繊不織布と極細繊維不織布とを
積層した積層物を、周波数が19.15KHZの超音波発振器
(ホーン)と、円周上に散点状に凸状突起部が設けられ
たパターンロールとからなる超音波融着機に導入して、
割繊不織布と極細繊維不織布との境界面において、割繊
繊維Bとポリプロピレン系極細繊維とを融着させ固定さ
せて、目付50g/m2の積層不織布を得た。ここで、使
用したパターンロールにおいて、凸状突起部は、ロール
表面積に対して10%の割合で設けられていた。また、凸
状突起部とホーンとの間の線圧は2.0kg/cmであり、超
音波融着機中を移動する積層物の速度は20m/分であっ
た。なお、割繊繊維Bとポリプロピレン系極細繊維とが
融着して固定された区域は、積層不織布中、凸状突起部
に当接した区域のみであった。
【0038】以上のようにして得られた積層不織布の特
性は、表1に示したとおりであった。
【表1】
【0039】実施例2 超音波融着機に使用したパターンロールに配設された凸
状突起部が、ロール表面積に対して30%の割合で設けら
れているものを用い、且つ凸状突起部とホーンとの間の
線圧は2.5kg/cmとする他は、実施例1と同一の条件で
積層不織布を得た。得られた積層不織布の特性は、表1
に示したとおりであった。
【0040】実施例3 繊維形成性重合体Aとして、実施例1で使用したものと
同一のものを準備した。一方、繊維形成性重合体Bとし
て、融点が225℃で、96%硫酸中25℃で測定して得られ
る相対粘度が2.65のナイロン6を準備した。そして、得
られる繊維断面が図1に示す如き形態で全分割数が12個
になる複合紡糸口金を用い、重合体Aと重合体Bの複合
比が重量比で1:1となるように、単孔吐出量=1.3g/
分で押し出した。このように、複合溶融紡糸して、分割
型二成分系複合連続繊維を得た。
【0041】紡出糸条を冷却した後、エアーサッカーに
より4600m/分の速度で引き取り、コロナ放電開繊器に
て開繊させ、移動する捕集面上に捕集・堆積させて繊維
集積体を得た。この繊維集積体を、熱エンボス装置に導
入して、目付25g/m2の繊維フリースを得た。熱エン
ボス装置に配設されたエンボスロールは、散点状の凸部
をロール表面積に対して5%の割合で有し、且つ温度は1
50℃に設定されているものであった。なお、繊維集積体
中から採取した分割型二成分系複合連続繊維の繊度は、
約2.5デニールであった。
【0042】次いで、実施例1と同一の条件で分割割繊
処理を行い、割繊不織布を得た。この割繊不織布は、割
繊率95%で分割割繊されており、生成した割繊繊維A
(ポリエチレンテレフタレート、即ち重合体Aで構成さ
れる割繊繊維)の繊度は0.21デニールであり、また生成
した割繊繊維B(ナイロン6、即ち重合体Bで構成され
る割繊繊維)の繊度も0.21デニールであった。
【0043】その後、実施例1と同一の条件で積層不織
布を得た。この積層不織布の特性は、表1に示したとお
りであった。
【0044】実施例4 実施例1で準備した重合体A及びBを準備した。そし
て、得られる繊維断面が図3に示す如き形態で全分割数
が8個になる複合紡糸口金を用い、重合体Aと重合体B
の複合比が重量比で1:1となるように、単孔吐出量=1.
8g/分で押し出した。このように、複合溶融紡糸し
て、分割型二成分系複合連続繊維を得た。紡出糸条を冷
却した後、エアーサッカーにより4700m/分の速度で引
き取った後、実施例1と同様にして繊維集積体を得、次
いで繊維フリースを得た。なお、繊維集積体中から採取
した分割型二成分系複合連続繊維の繊度は、約3.4デニ
ールであった。
【0045】次いで、実施例1と同一の条件で分割割繊
処理を行い、割繊不織布を得た。この割繊不織布は、割
繊率95%で分割割繊されており、生成した割繊繊維A
(ポリエチレンテレフタレート、即ち重合体Aで構成さ
れる割繊繊維)の繊度は0.22デニールであり、また生成
した割繊繊維B(ポリプロピレン、即ち重合体Bで構成
される割繊繊維)の繊度は1.7デニールであった。その
後、実施例1と同一の条件で積層不織布を得た。この積
層不織布の特性は、表1に示したとおりであった。
【0046】実施例5 繊維形成性重合体Aとして、実施例1で使用したものと
同一のものを準備した。一方、繊維形成性重合体Bとし
て、融点が128℃でメルトインデックス値(ASTM D1238
(E)に記載の方法に準拠して測定)が25g/10分である
ポリエチレンを準備した。そして、実施例1で使用した
複合紡糸口金を用い、重合体Aと重合体Bの複合比が重
量比で1:1となるように、単孔吐出量=1.2g/分で押
し出した。このように、複合溶融紡糸して、分割型二成
分系複合連続繊維を得た。
【0047】紡出糸条を冷却した後、エアーサッカーに
より4500m/分の速度で引き取り、コロナ放電開繊器に
て開繊させ、移動する捕集面上に捕集・堆積させて繊維
集積体を得た。この繊維集積体を、熱エンボス装置に導
入して、目付25g/m2の繊維フリースを得た。熱エン
ボス装置に配設されたエンボスロールは、散点状の凸部
をロール表面積に対して5%の割合で有し、且つ温度は6
0℃に設定されているものであった。なお、繊維集積体
中から採取した分割型二成分系複合連続繊維の繊度は、
約2.4デニールであった。
【0048】次いで、水圧を50kg/cm2Gとする他は、
実施例1と同一の条件で分割割繊処理を行い、割繊不織
布を得た。この割繊不織布は、割繊率91%で分割割繊さ
れており、生成した割繊繊維A(ポリエチレンテレフタ
レート、即ち重合体Aで構成される割繊繊維)の繊度は
0.2デニールであり、また生成した割繊繊維B(ポリエ
チレン、即ち重合体Bで構成される割繊繊維)の繊度も
0.2デニールであった。その後、実施例1と同一の条件
で、目付50g/m2の積層不織布を得た。この積層不織
布の特性は、表1に示したとおりであった。
【0049】実施例6 実施例1で得られた割繊不織布と極細繊維不織布とを積
層した積層物を、熱エンボス融着装置に導入して、目付
50g/m2の積層不織布を得た。熱エンボス融着装置に
配設されたエンボスロールは、散点状の凸部をロール表
面積に対して10%の割合で有し、且つ温度は135℃に設
定されているものであった。このようにして、割繊繊維
Bとポリプロピレン系極細繊維とが融着された点状区域
の総面積が、積層不織布表面積に対して、10%である積
層不織布が得られた。この積層不織布の特性は、表1に
示したとおりであった。
【0050】比較例1 実施例1で使用したポリエチレンテレフタレートとポリ
プロピレンとを用い、芯鞘型複合紡糸口金を使用して次
のような条件で紡糸し、ポリエチレンテレフタレートを
芯部に、ポリプロピレンを鞘部に配置せしめた芯鞘型二
成分系複合連続繊維を得た。即ち、ポリエチレンテレフ
タレートとポリプロピレンの複合比は、重量比で1:1と
し、単孔吐出量は1.2g/分とした。なお、この芯鞘型
二成分系複合連続繊維は、芯部を鞘部が被覆している形
態となっているため、分割割繊処理を施しても、全く割
繊しないものである。
【0051】エアーサッカーによる引き取り速度を4800
m/分とする他は、実施例1と同様にして、繊維集積体
を得、次いで繊維フリースを得た。なお、繊維集積体中
から採取した芯鞘型二成分系複合連続繊維の繊度は、約
2.3デニールであった。その後、実施例1で用いた極細
繊維不織布を使用し、この極細繊維不織布と繊維フリー
スとを積層した後、実施例1と同様の方法で目付50g/
2の積層不織布を得た。以上のようにして得られた積
層不織布の特性は、表1に示したとおりであった。
【0052】比較例2 繊維集積体の目付を50g/m2とする他は、実施例1と
同様にして繊維集積体を得た。この繊維集積体を、熱エ
ンボス装置に導入して、目付50g/m2の繊維フリース
を得た。熱エンボス装置に配設されたエンボスロール
は、散点状の凸部をロール表面積に対して10%の割合で
有し、且つ温度は135℃に設定されているものであっ
た。次いで、実施例1と同一条件で割繊不織布を得た。
この割繊不織布の特性は、表1に示したとおりであっ
た。
【0053】表1から明らかなように、実施例1〜6に
係る方法で得られた積層不織布は、割繊繊維A及びBよ
りなる割繊不織布と極細繊維不織布とが、強固に積層・
一体化されているものであり、剥離強力が高いものであ
った。また、引張強力や引張伸度等の機械的特性にも優
れており、柔軟性に優れ、良好な通気度(良好なフィル
ター性能)を有するものであった。ただ、そのなかでも
実施例6に係る積層不織布は、超音波融着装置で融着せ
ずに、熱エンボス融着装置で融着させたため、柔軟性及
び通気性に若干欠けるものであった。
【0054】これに対し、比較例1に係る方法で得られ
た積層不織布は、割繊不織布を使用せずに、ポリエチレ
ンテレフタレートを芯部としポリプロピレンを鞘部とす
る芯鞘型二成分系複合連続繊維で形成された繊維フリー
スを使用したものであるため、繊維フリースと極細繊維
不織布とが強固に一体化されず、剥離強力に劣るもので
あった。また、割繊繊維を使用していないため、柔軟性
やフィルター性能に劣るものであった。しかし、機械的
特性には、優れているものであった。比較例2に係る方
法で得られた不織布は、極細繊維不織布が積層されてい
ない割繊不織布のみよりなるものである。従って、機械
的特性や柔軟性には優れているが、極細繊維使いのフィ
ルター材とするには不適当であった。
【0055】
【作用】本発明に係る積層不織布は、割繊不織布と極細
繊維不織布とが積層されており、割繊不織布は高融点の
割繊繊維Aと低融点の割繊繊維Bとで構成されている。
そして、両不織布の境界面の所定の区域において、割繊
繊維Bと極細繊維とが強固に融着し、両不織布を貼合せ
しめている。従って、割繊不織布と極細繊維不織布とは
強固に一体化している。また、割繊繊維Bと極細繊維と
が強固に融着している区域において、割繊繊維Aは繊維
形態を維持したまま、存在している。従って、この融着
されている所定の区域においても、ある程度の通気性が
得られる。また、割繊不織布は、繊度の細い割繊繊維A
及びBで形成されているので、割繊繊維の剛軟度が小さ
い。従って、本来的に柔軟性に富む極細繊維不織布と割
繊不織布とが積層された積層不織布も、柔軟性に富む。
【0056】
【発明の効果】本発明に係る積層不織布は、以上の作用
が相乗的且つ総合的に発現して、剥離強力が高く、柔軟
性に富み、良好なフィルター性能を持ち、更に良好な機
械的特性を持つものである。即ち、本発明によれば、こ
のような特性を併有する不織布が得られるという効果を
奏するのである。依って、本発明に係る積層不織布は、
フィルター材として好適に使用できるだけでなく、その
他の各種用途、例えば医療・衛生材用,衣料用,生活関
連資材用,産業用等の用途に好適に使用されるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用する分割型二成分系複合繊維の横
断面の一例を示した図である。
【図2】本発明に使用する分割型二成分系複合繊維の横
断面の一例を示した図である。
【図3】本発明に使用する分割型二成分系複合繊維の横
断面の一例を示した図である。
【図4】本発明に使用する分割型二成分系複合繊維の横
断面の一例を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−180808(JP,A) 特開 平3−152255(JP,A) 特開 平5−186954(JP,A) 実開 平5−18615(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D04H 1/00 - 18/00 B32B 1/00 - 35/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維形成性重合体Aと、該重合体Aに対
    し非相溶性であり、且つ該重合体Aの融点よりも30〜18
    0℃低い融点を持つ繊維形成性重合体Bとが複合された
    分割型二成分系複合繊維が、割繊率60%以上となるよう
    に分割割繊されて生成した、該重合体Aで構成される繊
    度0.05〜0.8デニールの割繊繊維Aと、該重合体Bで構
    成される繊度0.05〜2デニールの割繊繊維Bとを含有す
    る割繊不織布と、繊維0.2デニール以下のポリプロピレ
    ン系極細繊維が集積されてなる極細繊維不織布とが積層
    されてなる積層不織布であって、該割繊繊維Aが繊維形
    態を維持したまま、該割繊繊維Bと該ポリプロピレン系
    極細繊維とが所定の区域において融着することによっ
    て、該割繊不織布と該極細繊維不織布とが貼合されてい
    ることを特徴とする積層不織布。
  2. 【請求項2】 所定の区域の総面積が、積層不織布表面
    の面積に対して、4〜50%である請求項1記載の積層不
    織布。
  3. 【請求項3】 繊維形成性重合体Aと、該重合体Aに対
    し非相溶性であり、且つ該重合体Aの融点よりも30〜18
    0℃低い融点を持つ繊維形成性重合体Bとが複合された
    分割型二成分系複合繊維が、割繊率60%以上となるよう
    に割繊されて生成した、該重合体Aで構成される繊度0.
    05〜0.8デニールの割繊繊維Aと、該重合体Bで構成さ
    れる繊度0.05〜2デニールの割繊繊維Bとを含有する割
    繊不織布と、繊維0.2デニール以下のポリプロピレン系
    極細繊維が集積されてなる極細繊維不織布とを積層した
    後、該積層物を超音波融着機に導入することにより、該
    割繊繊維Bの少なくとも一部を軟化又は溶融させる共
    に、該ポリプロピレン系極細繊維の少なくとも一部を軟
    化又は溶融させ、該割繊繊維Aが繊維形態を維持したま
    ま、該割繊繊維B及び該ポリプロピレン系極細繊維を所
    定の区域において融着し、該割繊不織布と該極細繊維不
    織布とを貼合することを特徴とする積層不織布の製造方
    法。
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