JPH10140471A - 不織布製拭き布及びその製造方法 - Google Patents

不織布製拭き布及びその製造方法

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JPH10140471A
JPH10140471A JP9176526A JP17652697A JPH10140471A JP H10140471 A JPH10140471 A JP H10140471A JP 9176526 A JP9176526 A JP 9176526A JP 17652697 A JP17652697 A JP 17652697A JP H10140471 A JPH10140471 A JP H10140471A
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Japan
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polymer component
fiber
fibers
nonwoven
splittable conjugate
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JP9176526A
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English (en)
Inventor
Tetsuo Asano
哲男 浅野
Toshikazu Kamishige
敏和 上繁
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸水性及び拭き取り性に優れた不織布製拭き
布及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 この不織布製拭き布は、繊維Aと繊維B
とが集積されてなる。繊維Aと繊維Bは、重合体成分A
と、成分Aとは非相溶性の重合体成分Bとが貼合されて
なる分割型複合繊維を分割割繊して、即ち分割型複合繊
維の貼合を剥離して、得られたものである。そして、繊
維AとBの剥離面には、プラズマ処理による改質が施さ
れている。この不織布製拭き布の製造法としては、例え
ば、高融点重合体成分Aと低融点重合体成分Bとが貼合
されてなる分割型複合繊維を集積してなる不織ウェブ
に、部分的に熱を与えて、融着区域と非融着区域とを持
つ不織フリースを得た後、この不織フリースに分割割繊
処理を施し、次いでプラズマ処理を施せば良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塵埃除去性及び吸
水性に優れた拭き布及びその製造方法に関する。特に、
微細な塵埃の除去性に優れると共に、吸水性にも優れて
おり、クリーンルーム内で使用するのに適した拭き布及
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、クリーンルーム内において使
用する拭き布としては、例えば、セルロース長繊維より
なる不織布製拭き布が知られている。このような拭き布
は、セルロース長繊維の親水性に起因して、吸水性に優
れており好ましいものである。しかしながら、セルロー
ス長繊維の繊度を細くして(例えば1デニール以下)、
微細な塵埃除去性を向上させようとすると、セルロース
粉が発生しやすくなり、クレーンルーム内で使用する拭
き布としては、好ましくない。セルロース粉の発生する
理由は、セルロース長繊維の繊度を細くすると、引張強
力が低下するため、糸切れが生じるためであると考えら
れる。なお、このように糸切れによって繊維から発生す
る粉(繊維状粉)のことを、一般的にリントと呼んでい
る。
【0003】一方、ポリエステル系繊維等の合成繊維よ
りなる不織布製又は編織物製拭き布が知られている。こ
のような合成繊維は、セルロース繊維の場合に比べて、
繊度を細くしても、ある程度の引張強力を保持するた
め、リントが発生しにい。従って、この点では、セルロ
ース繊維を用いた場合に比べて、クリーンルーム内で使
用する拭き布として適している。しかしながら、合成繊
維の場合には、セルロース繊維と比べて親水性に劣り
(即ち、疎水性であり)、十分な吸水性を拭き布に与え
ることができないという欠点があった。
【0004】このため、単繊維繊度1.5デニール以下
のポリエステル繊維の表面に、微細孔を設けてなるもの
を使用した拭き布が提案されている(特開昭58−89
642号公報)。しかしながら、繊維の細いポリエステ
ル繊維の表面に微細孔を設けると、ポリエステル繊維自
体の引張強力の低下を招き、リントが発生しやすくなる
という憾みがある。また、繊維表面に親水性を有する物
質を被覆してなる拭き布も提案されている(特開昭57
−4297号公報)。しかしながら、この場合には、繊
維の繊度が太くなり、微細な塵埃の除去性能が低下する
恐れがある。
【0005】更に、平均繊度が0.8デニール以下のポ
リブチレンテレフタレート繊維からなるメルトブロー不
織布にプラズマ処理を施し、吸水性を向上させた拭き布
も知られている(特開昭64−33270号公報)。し
かしながら、メルトブロー法というのは、紡糸孔から吐
出させた溶融重合体をガスで吹き付けて、繊維を得るも
のであるため、延伸工程を経た繊維と比較して、繊維中
の分子配向が不十分で十分な引張強力を持つものを得に
くいということがあった。従って、メルトブロー不織布
を拭き布として用いると、リントが発生しやすいという
憾みがあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者は、
通常の方法で得られた、比較的引張強力が高く且つ繊度
の細い合成繊維で構成された不織布に、プラズマ処理を
施して、微細な塵埃の除去性能に優れ且つ吸水性に優れ
た拭き布を得ようとした。しかるに、繊度の細い合成繊
維として、分割型複合繊維を分割割繊して得られた合成
繊維を用いると、驚くべきことに、吸水性が極端に向上
することが判明した。例えば、1デニールの合成繊維で
あっても、分割型複合繊維を分割割繊して得られた合成
繊維の場合は、分割割繊して得られたものではない合成
繊維の場合と比較して、極端に吸水性の向上した拭き布
が得られるのである。
【0007】本発明者は、このような現象が何故生じる
のかについて検討した。その結果は、以下のように考え
られる。即ち、分割型複合繊維は、少なくとも二種の重
合体成分が貼合されてなるものであり、これを分割割繊
すると貼合が剥離して、繊度の細い合成繊維が生成する
ものであるから、分割割繊して得られた合成繊維の剥離
面に多数の凹凸又はミクロフィブリルが形成されてい
る。この凹凸又はミクロフィブリルは、5000倍の倍
率で走査型電子顕微鏡で観察すると、剥離面が荒れた表
面になっている。そして、このような凹凸又はミクロフ
ィブリル面に、プラズマ処理が施されると、凹凸又はミ
クロフィブリルの存在しない面にプラズマ処理される場
合と比較して、圧倒的にプラズマ処理による改質が増長
される。何故なら、凹凸又はミクロフィブリルが存在す
る分だけ、繊維の表面積が拡大しており、この拡大した
分だけプラズマ処理に改質の程度が増加すると考えられ
るからである。
【0008】
【課題を解決するための手段】以上のように、本発明
は、分割型複合繊維の分割割繊とプラズマ処理との組み
合わせが、予期できない作用効果を奏することを見出し
なされたものであって、吸水性の向上を図るために、分
割割繊された繊維の剥離面に存在する凹凸又はミクロフ
ィブリルを利用するという、新規な技術的思想に基づい
てなされたものである。即ち、本発明は、重合体成分A
と、該重合体成分Aに対して非相溶性の重合体成分Bと
が貼合されてなる分割型複合繊維の、該貼合を剥離して
生成させた該重合体成分Aよりなる繊維Aと該重合体成
分Bよりなる繊維Bとが集積されてなり、該繊維A及び
該繊維Bの剥離面にプラズマ処理による改質が施されて
なることを特徴とする不織布製拭き布及びその製造方法
に関するものである。
【0009】本発明において使用する分割型複合繊維
は、重合体成分Aと重合体成分Bとが貼合されてなるも
のである。貼合の具体的形態としては、図1〜図4に示
したような形態が挙げられるが、これに限定されるもの
ではない。図1〜図4は、各々、分割型複合繊維の横断
面図であり、図1は、重合体成分Bの外周部に、複数の
重合体成分Aが埋設されると共に貼合されてなるもので
ある。図2は、重合体成分A及びBのいずれも複数存在
し、その横断面が台形になっていると共に、各台形の各
側辺が貼合されており、全体として横断面が円形の分割
型複合繊維となっている。なお、図2の白地部は、中空
であることを示しており、従って、図2の分割型複合繊
維は、中空円筒状のものである。図3は、重合体成分A
及びBのいずれも複数存在し、その横断面が楔型となっ
ていると共に、各楔の各側辺が貼合されており、全体と
して横断面が円形の分割型複合繊維となっている。図4
は、重合体成分Bの外周部に、複数の重合体成分A(横
断面が円形の重合体成分A)が貼合されてなるものであ
る。
【0010】重合体成分A及び重合体成分Bは、互いに
相溶性のないものである。即ち、重合体成分Bは、重合
体成分Aに対して非相溶性のものである。これは、重合
体成分Aと重合体成分Bの貼合部において、剥離しやす
くするためである。重合体成分Aと重合体成分Bとが相
溶性であると、両者の貼合部において、重合体成分Aと
Bとが混ざり合い、両者が剥離しにくくなるからであ
る。なお、分割型複合繊維は、一般的に重合体成分Aと
重合体成分Bとよりなるものであるが、その他に、第三
成分として他の重合体成分が存在していても差し支えな
い。
【0011】また、重合体成分Aの融点と、重合体成分
Bの融点とは、同一であっても異なっていてもよいが、
一般的には異なっているのが好ましい。即ち、重合体成
分Aが高融点であり、重合体成分Bが低融点であるのが
好ましい。特に、低融点重合体成分Bの融点が、高融点
重合体成分Aの融点よりも30〜180℃低いのが好ま
しく、更に40〜160℃低いのが好ましく、50〜1
40℃低いのが最も好ましい。この理由は、分割型複合
繊維に熱を与えて、分割型複合繊維相互間が融着結合し
た融着区域を設ける際に、低融点重合体成分Bのみを軟
化又は溶融させ、高融点重合体成分Aは軟化及び溶融さ
せずに繊維形態を維持させたままにすることができるか
らである。従って、融着区域においても、高融点重合体
成分Aよりなる繊維が残っており、高強度の不織布製拭
き布が得られるのである。例えば、高融点重合体成分A
の融点と低融点重合体成分Bの融点が同程度であると、
融着区域全体が溶融又は軟化してフィルム状となり、融
着区域の強度低下を来し、高強度の不織布製拭き布が得
られにくくなるからである。しかしながら、拭き布に高
強度が要求されないときは、重合体成分AとBとの融点
が同程度であっても差し支えない。なお、高融点重合体
成分Aと低融点重合体成分Bの融点差が大きくなると
(例えば、融点差が180℃以上になると)、溶融紡糸
法によって、分割型複合繊維を製造しにくくなる。
【0012】高融点重合体成分A及び低融点重合体成分
Bの融点は、以下の方法で測定したものである。即ち、
示差熱量計(パーキンエルマー社製DSC−2C型)を
用い、昇温速度20℃/分で、室温より昇温して得られ
る融解吸収曲線の極値を与える温度を融点とした。
【0013】重合体成分Bと重合体成分Aの具体的な組
み合わせ(成分B/成分A)としては、例えば、ポリア
ミド系重合体/ポリエステル系重合体,ポリオレフィン
系重合体/ポリエステル系重合体,ポリオレフィン系重
合体/ポリアミド系重合体を用いることができる。そし
て、ポリエステル系重合体としては、ポリエチレンテレ
フタレート,ポリブチレンテレフタレート,或いはこれ
らを主成分とする共重合ポリエステル等を使用すること
ができる。ポリアミド系重合体としては、ナイロン6,
ナイロン46,ナイロン66,ナイロン610,或いは
これらを主成分とする共重合ナイロン等を使用すること
ができる。ポリオレフィン系重合体としては、ポリプロ
ピレン,高密度ポリエチレン,線状低密度ポリエチレ
ン,エチレン−プロピレン共重合体等を使用することが
できる。なお、重合体成分A及び/又は重合体成分B中
には、所望に応じて、潤滑剤,顔料,艶消し剤,熱安定
剤,耐光剤,紫外線吸収剤,制電剤,導電剤,蓄熱剤等
が添加されていてもよい。
【0014】重合体成分AとBとの量的割合は、任意に
決定しうる事項である。本発明においては、重合体成分
AとBとの量的割合よりも、両者の貼合面の面積をなる
べく大きくする方が好ましい。従って、図面に即して言
えば、図2又は図3の複合形態が好ましい。これは、プ
ラズマ処理による改質をより助長させるからである。ま
た、重合体成分Bの融点を、重合体成分Aの融点よりも
ある程度低くして、重合体成分Bを接着剤(融着剤)と
して使用する場合には、高融点重合体成分A/低融点重
合体成分B=20〜80/80〜20(重量部)となる
ようにするのが、好ましい。低融点重合体成分Bが20
重量部未満になると、融着による分割型複合繊維相互間
の結合力が低下し、得られる拭き布に十分な引張強力を
付与しにくくなる傾向が生じる。逆に、低融点重合体成
分Bが80重量部を超えると、分割型複合繊維相互間の
融着結合が激しくなって、融着区域がフィルム状となっ
たり、或いは孔が開いたりして、結果的に得られる拭き
布の引張強力が低下する傾向が生じる。
【0015】本発明で使用する分割型複合繊維は、長繊
維でもあっても短繊維であっても差し支えない。一般的
には、長繊維であるのが好ましい。長繊維をそのまま堆
積させて不織布製拭き布を製造した方が、長繊維を切断
して短繊維とした後、不織布拭き布を製造するよりも合
理的である。分割型複合繊維の繊度は、任意に決定しう
る事項であるが、1〜12デニールであるのが好まし
い。分割型複合繊維の繊度が、1デニール未満である
と、分割により生成する繊維A及び/又は繊維Bの繊度
が0.05デニール未満になる傾向が生じ、このような
細繊度となると糸切れが生じて、リントが発生しやすく
なる傾向が生じる。逆に、分割型複合繊維の繊度が12
デニールを超えると、繊維A及び/又は繊維Bの繊度も
大きくなり、微細な塵埃の除去性能が低下する傾向が生
じる。
【0016】本発明に係る不織布製拭き布は、上記した
分割型複合繊維を用いて製造されるものであるが、分割
型複合繊維以外の他の繊維を、50重量%以下程度の割
合で混合しても差し支えない。不織布製拭き布中におけ
る分割型複合繊維の少なくとも一部は、剥離している。
即ち、重合体成分A及び重合体成分Bの貼合面で、両者
が剥離しているのである。この結果、剥離した部分で
は、重合体成分Aよりなる繊維A及び重合体成分Bより
なる繊維Bが生成しており、本発明に係る不織布製拭き
布は、繊維A及び繊維Bが集積された状態となってい
る。
【0017】繊維A及び繊維Bは、単に集積された状態
となっているだけでも良いが、両者が実質的に三次元的
に交絡しているのが好ましい。三次元交絡により、引張
強度の高い拭き布となるからである。ここで、実質的に
三次元交絡されているとは、単に繊維を集積することに
よって生じる三次元的な絡合のことを意味するのではな
く、ウォーターニードリングやニードルパンチ等の手段
によって、ある程度の引張強度の向上が認められるよう
な交絡のことを意味している。
【0018】また、高融点重合体成分Aと低融点重合体
成分Bとからなる分割型複合繊維を用いて、融着区域と
非融着区域を持つ不織布製拭き布とした場合には、非融
着区域に存在する繊維A及び繊維Bは三次元交絡されて
いない方が好ましい。この場合には、融着区域におい
て、分割型複合繊維相互間が融着結合しており、これに
よって十分に高い引張強度を拭き布に与えることができ
るからである。そして、繊維A及び繊維Bが三次元交絡
していない方が、拭き布に柔軟性を与えることができる
からである。
【0019】融着区域と非融着区域を持つ不織布製拭き
布において、融着区域の形状はどのようなものであって
も良い。例えば、円形,三角形,楕円形,T形,井形,
菱形,四辺形等の融着区域が、不織布製拭き布の全体に
亙って散点状に散在していても良いし、また、帯状の融
着区域が不織布製拭き布の縦方向又は横方向に並んでい
ても良い。更に、格子状の融着区域が不織布製拭き布の
全面に設けられていても良い。散点状に融着区域が設け
られる場合、一個一個の融着区域の面積は、0.1〜
3.0mm2程度が好ましい。また、融着区域の合計面
積は、不織布製拭き布の表面積に対して2〜50%程度
が好ましく、特に4〜20%であるのが好ましい。ま
た、帯状又は格子状の融着区域が設けられる場合には、
帯状の線の巾或いは格子を構成する各線の巾は0.1〜
5mm程度であるのが好ましく、また各線間の距離は1
〜10mm程度であるのが好ましい。このように、融着
区域の面積が上記した範囲を超えて広くなると、非融着
区域の面積が狭くなりすぎて、拭き布としての塵埃除去
性及び吸水性が低下する傾向が生じる。即ち、塵埃を除
去したり、吸水したりするのは、主として非融着区域に
存在する繊維A及び繊維Bでなされるのであるから、非
融着区域の面積が狭くなると、塵埃除去性及び吸水性が
低下する傾向となるのである。また、融着区域の面積が
上記した範囲を超えて狭くなると、不織布性拭き布の引
張強度が低下する傾向が生じる。
【0020】本発明に係る拭き布を構成している、繊維
A及び繊維Bの剥離面には、プラズマ処理が施されてい
る。繊維A及び繊維Bの剥離面は、前記したとおり、凹
凸が形成されていたり、或いはミクロフィブリルが生成
していたりする。従って、この剥離面は、繊維A及び繊
維Bの非剥離面に比べて、表面積が拡大しており、ここ
にプラズマ処理が施されることによって、繊維A及び繊
維Bの親水性の大幅な向上が図れるのである。即ち、表
面積が拡大している剥離面に、プラズマ処理によって導
入されたカルボニル基,カルボキシル基,ヒドロオキシ
基,ヒドロパーオキサイド基等の酸素含有基が導入さ
れ、更に場合によってはプラズマ処理による亀裂が生成
したりして、繊維A及び繊維Bの親水性が大幅に向上す
るのである。プラズマ処理は、繊維A及び繊維Bが集積
されてなる集積体を、プラズマ反応装置に導入すること
によって行われるものであるから、繊維A及び繊維Bの
剥離面にプラズマ処理されていれば、必然的に繊維A及
び繊維Bの非剥離面にもプラズマ処理が施されているこ
とは言うまでもない。なお、本発明に係る不織布性拭き
布の目付は、任意に決定しうる事項であるが、一般的に
は10〜100g/m 2程度である。
【0021】本発明に係る不織布製拭き布の好適な製造
方法は、以下のとおりである。まず、前記した分割型複
合繊維を集積して不織ウェブを作成する。分割型複合繊
維が短繊維の場合には、カード法やランダムウェッバー
法等の公知の方法で、不織ウェブを作成すれば良い。ま
た、分割型複合繊維が長繊維の場合には、スパンボンド
法等の公知の方法で、不織ウェブを作成すれば良い。例
えば、スパンボンド法で不織ウェブを得る方法を説明す
ると、次のとおりである。重合体成分A及び重合体成分
Bを、複合溶融紡糸装置に投入して、複合紡糸口金から
吐出して、重合体成分Aと重合体成分Bとが貼合された
分割型複合長繊維(未延伸のもの)を紡出する。紡出さ
れた長繊維群は冷却され、エアーサッカーに導入され
る。エアーサッカーは、通常エアージェットとも呼ば
れ、エアーの吸引と送り出し作用により、長繊維の搬送
と長繊維の延伸を行わせるものである。エアーサッカー
に導入された長繊維群は、延伸されながら、エアーサッ
カーの出口に搬送され、長繊維群は延伸完了によって分
割型複合長繊維群となる。そして、エアーサッカーの出
口に設けられた開繊装置によって、分割型複合長繊維群
を開繊する。開繊方法としては、従来公知の方法が採用
され、例えばコロナ放電法や摩擦帯電法等が採用され
る。そして、この開繊された分割型複合長繊維群は、移
動する金網製等の捕集コンベア上に堆積され、不織ウェ
ブが形成されるのである。
【0022】この不織ウェブに分割割繊処理を施す。不
織ウェブは、分割型複合繊維が集積(堆積)された状態
のものであるため、繊維相互間が結合しておらず、引張
強度の極めて低いものである。従って、不織ウェブにあ
る程度の引張強度を付与するために、分割型複合繊維相
互間を結合させるか又は交絡させる必要がある。しかし
ながら、分割割繊処理として、ウォーターニードリング
又はニードルパンチを採用すると、分割割繊と繊維交絡
とが同時に行えるため、分割型複合繊維相互間の結合又
は交絡を省略しても差し支えない。ウォーターニードリ
ングは、高運動エネルギーを持つ液体柱状流を不織ウェ
ブに衝突させるものであり、不織ウェブ中の分割型複合
繊維は液体柱状流の衝撃を受けて、重合体成分Aよりな
る繊維A及び重合体成分Bよりなる繊維Bに分割割繊す
ると共に、液体柱状流の運動エネルギーが繊維A及び繊
維Bに与えられて、各繊維相互間が三次元的に交絡する
のである。また、ニードルパンチは、針を不織ウェブに
何度も貫通させるものであり、この針が分割型複合繊維
と衝突することによって、繊維Aと繊維Bとに分割割繊
すると共に、針によって各繊維が動いて、各繊維相互間
が三次元的に交絡するのである。
【0023】不織ウェブにある程度の引張強度を付与す
るため、分割型複合繊維相互間を結合させる場合もあ
る。この具体的手段としては、分割型複合繊維相互間を
融着結合させて融着区域を設ける手段が代表的である。
この場合には、分割型複合繊維としては、高融点重合体
成分Aと低融点重合体成分Bとが貼合されてなり、低融
点重合体成分Bの少なくとも一部が表面に露出している
ものを用いて、不織ウェブを作成する。そして、この不
織ウェブを、加熱されている凹凸ロールと平滑ロールと
よりなるエンボス装置、又は一対の加熱凹凸ロールより
なるエンボス装置に導入し、凹凸ロールの凸部を不織ウ
ェブに押し当てて(即ち、不織ウェブに部分的に熱を与
えて)、この箇所における分割型複合繊維中の低融点重
合体成分Bのみを軟化又は溶融させ、分割型複合繊維相
互間を融着結合させるのである。このようにして、分割
型複合繊維相互間が融着結合されている融着区域と、分
割型複合繊維相互間が融着結合されていない非融着区域
とを持つ、ある程度の引張強度を持つ不織フリースが得
られる。一般的に、凹凸ロールは分割型複合繊維中の低
融点重合体成分Bの融点以下の温度に加熱されているの
が好ましい。凹凸ロールが低融点重合体成分Bの融点を
超える温度に加熱されていると、融着区域における分割
型複合繊維の溶融が激しくなって、融着区域に穴が開く
恐れがある。また、凹凸ロールの凸部の先端面形状は、
円形,楕円形,菱形,三角形,T形,井形若しくは格子
形等の任意の形状を採用することができ、所望の融着区
域の形状とすることができる。なお、上記したエンボス
装置に代えて、凹凸ロールと発信ホーンとからなる超音
波融着装置を使用しても良いことは、言うまでもない。
【0024】不織ウェブに部分的に熱を与えて得られた
不織フリースには、分割割繊処理が施される。分割割繊
処理の具体的手段としては、前記したウォーターニード
リングやニードルパンチ等を用いることができる。この
場合には、非融着区域に存在する分割型複合繊維が分割
割繊し、重合体成分Aよりなる繊維A及び重合体成分B
よりなる繊維Bに分割される。そして、繊維A及び繊維
Bは、ウォーターニードリング又はニードルパンチによ
り、三次元的に交絡される。また、不織フリースに高圧
液流を与えて、揉み加工を施す手段も採用することがで
きる。染色加工の際に一般的に使用されている高圧液流
染色機中に、不織フリースを投入しておけば、容易に不
織フリースに高圧液流を与えることができる。この場合
には、分割型複合繊維が揉まれることによって分割割繊
し、分割割繊した繊維Aと繊維Bとはある程度交絡す
る。しかし、この交絡は、ウォーターニードリングやニ
ードルパンチの場合に比べれば、緩い三次元交絡となっ
ている。
【0025】最も好ましい分割割繊処理の手段として
は、座屈処理を採用するのが良い。座屈処理は、不織フ
リースを座屈させる処理であって、具体的には、不織フ
リースを一対のロールに導入し、このとき導入速度を導
出速度よりも速くして、ロールから導入した不織フリー
スに座屈を生じさせる方法が採用される。このような具
体的手段を実現するための装置としては、マイクレック
ス社製のマイクロクレーパー機や、上野山機工社製のカ
ムフィット機等を用いることができる。座屈処理の場合
には、分割割繊した繊維A及び繊維Bは、実質的に三次
元交絡しない。座屈処理の場合には、繊維A及び繊維B
が相互に絡み合うようなエネルギーが与えられないから
である。従って、座屈処理によって得られた不織布製拭
き布は、非融着区域に存在する繊維A及び繊維Bが実質
的に三次元交絡していないので、柔軟性に優れており、
拭き布として適している。
【0026】分割型複合繊維は、分割割繊して繊維Aと
繊維Bとが生成するのであるが、繊維A及び繊維Bのい
ずれか一方の繊度は、0.05〜1.5デニール程度が
好ましい。例えば、図1又は図4の如き横断面を持つ分
割型複合繊維を用いた場合には、繊維Aの繊度は、0.
05〜0.5デニール程度が好ましく、繊維Bの繊度
は、1.0〜2.0デニール程度が好ましい。また、図
2及び図3の如き横断面を持つ分割型複合繊維を用いた
場合には、繊維A及び繊維Bの両方共、0.05〜1.
5デニール程度であるのが好ましい。分割型複合繊維を
分割割繊した場合における割繊率は、100%である必
要はない。割繊率は50%以上程度で良く、好ましくは
70%程度以上であれば良い。なお、割繊率とは、以下
のような方法で測定されるものである。即ち、分割型複
合繊維の貼合を剥離させた(分割割繊させた)区域を数
箇所取り出し、走査型電子顕微鏡で観察し、重合体成分
Aと重合体成分Bとが剥離している箇所の割合を観察
し、その平均値を求めることによって測定するのであ
る。
【0027】不織ウェブ又は不織フリース中の分割型複
合繊維に分割割繊処理が施された後、プラズマ処理が施
される。プラズマ処理は、プラズマ状態を呈している物
質中に、不織ウェブ又は不織フリースを曝すことによっ
て行われる。プラズマ状態は、不活性ガスに高電圧を与
えたり、又は高温加熱することによって、不活性ガスが
陰陽の荷電粒子に解離したり、又は不活性ガスが励起し
た状態となっていることを言う。工業的には、不活性ガ
スに高電圧を与える低温プラズマ処理を採用するのが好
ましい。高電圧を与えるには、火花放電,コロナ放電又
はグロー放電等を採用するのが好ましく、工業的にはグ
ロー放電を採用するのが最も好ましい。また、高電圧を
与える際の、容器中における不活性ガスの圧力は、50
torr以下程度であるのが好ましく、特に0.01〜
10torrであるのが好ましい。プラズマ処理時間
は、1秒〜5分程度であるのが好ましい。
【0028】プラズマ処理の際に使用する不活性ガスと
しては、ガス自体が高電圧を印加したときに、重合しな
いものであればどのようなものでも用いることができ
る。即ち、ガスが陰陽に荷電したり又は励起して、ガス
自体が重合せずに、被処理物(不織ウェブ又は不織フリ
ース)に作用しうるものであれば、どのようなものでも
用いることができる。この説明からも明らかなように、
高電圧下でガス自体が重合しないという意味で、本発明
では「不活性」ガスと称呼しているのである。不活性ガ
スの具体例としては、アルゴン,窒素,ヘリウム,酸
素,アンモニア,空気等が挙げられる。本発明において
は、不活性ガスとして特にアルゴンを用いるのが好まし
い。アルゴンを用いた場合、繊維A及び繊維Bの剥離面
に酸素含有基が導入されると共に、剥離面に亀裂或いは
傷が生じやすく、不織布製拭き布の親水性が大幅に向上
するからである。なお、プラズマ処理装置としては、一
般的にはグロー放電装置が用いられる(筏義人編化学同
人発行「高分子表面の基礎と応用(上)」第180〜1
82頁)。
【0029】このようなプラズマ処理によって、分割割
繊して繊維A及び繊維Bの表面(剥離面も非剥離面も)
が改質され、親水性が向上する。剥離面は、分割割繊に
よって、表面が凹凸になったり或いはミクロフィブリル
が生成しているため、非剥離面に比べて表面積が拡大し
ており、プラズマ処理による改質の効果が顕著である。
この改質の具体的内容は、繊維A及び繊維Bを構成して
いる高分子中に、カルボニル基,カルボキシル基,ヒド
ロオキシ基,ヒドロパーオキサイド基等の酸素含有基が
導入されること、又は繊維A及び繊維Bの表面に亀裂又
は傷が生成することを意味している。そして、このよう
な改質によって、繊維A及び繊維Bが集積されてなる不
織布製拭き布の親水性が向上するのである。以上のプラ
ズマ処理を施して、本発明に係る不織布製拭き布が得ら
れるのである。
【0030】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明に係る不織布製拭き布及び本発明に係
る不織布製拭き布の製造方法は、この実施例に限定され
るものではない。なお、実施例における各特性の測定及
び評価は、次の方法によって行った。
【0031】[重合体成分A及びBのメルトインデック
ス値]:ASTM−D−1238(E)に記載の方法に
準じて温度190℃で測定した。 [不織布製拭き布の吸水性(ラローズ法)]:JIS
L 1096の5.3項に記載の方法準じて測定した。 [不織布製拭き布の拭き取り性]:液体(水及びアルコ
ール)をビニール板の上にたらしておいて、約10cm
角の不織布製拭き布で軽く拭いて、液体の残り具合で評
価する。評価は、液体をビニール板上に0.5ccたら
した場合と2.0ccたらした場合における総合評価に
より、次の四段階で行った。◎:液体は殆ど残らない、
○:液体がわずかに残る、△:液体がかなり残る、×:
液体は殆ど残る。
【0032】比較例1 高融点の重合体成分Aとして、融点が256℃で、テト
ラクロルエタンとフェノールとの等量混合溶媒で溶解し
たときの20℃における相対粘度が1.38であるポリ
エチレンテレフタレートを準備した。一方、低融点の重
合体成分Bとして、融点が132℃でメルトインデック
ス値が20g/10分である高密度ポリエチレンを準備
した。この重合体成分Aと重合体成分Bとを各々溶融し
て、複合紡糸口金に導入した。複合紡糸口金は、複合紡
糸孔を210個具えたものであり、各複合紡糸孔は、図
1に示すような横断面の分割型複合繊維が得られる形状
のものを採用した。なお、複合溶融紡糸にあたっては、
複合紡糸口金の錘数が4個建てである複合紡糸機台を使
用した。そして、単孔吐出量を1.3g/分とし、複合
比[重合体成分A/重合体成分B(重量割合)]は1.
4/1となるようにして複合紡糸を行った。なお、ポリ
マーラインの温度は、重合体成分Aの方は285℃であ
り、重合体成分Bの方は230℃で、紡糸温度は285
℃を適用した。
【0033】次いで、複合紡糸口金から紡出された紡出
糸条を冷却装置にて冷却した後、紡糸口金下150cm
の位置に配置したエアーサッカー群でこれらの糸条を4
000m/分で引き取り、公知の開繊装置で分割型複合
長繊維群を開繊させた後、移動する金網製捕集コンベア
上に堆積させて不織ウェブを得た。この不織ウェブの目
付は約45g/m2であり、不織ウェブを構成する分割
型複合長繊維群の繊度は約3デニールであった。その
後、この不織ウェブを、122℃に加熱された彫刻ロー
ル(凹凸ロール)と平滑ロールからなるエンボス装置に
導入して、部分的に熱を与えて融着区域を設けて、不織
フリースを得た。この融着区域は、重合体成分Bの軟化
又は溶融によって、分割型複合長繊維相互間が融着結合
されている区域である。また、熱を与えられなかった区
域は、分割型複合長繊維相互間が結合しておらず、単に
集積しているだけの非融着区域である。個々の融着区域
の面積は0.68mm2であり、不織フリース表面積に
対する融着区域の合計面積の割合は7.6%であり、融
着区域の密度は16.0個/cm2であった。
【0034】次に、融着区域が設けられた不織フリース
を、マイクレックス社製のマイクロクレーパーIに通し
て座屈処理を行い、分割型複合長繊維の重合体成分Aと
重合体成分Bとの貼合を剥離させ、重合体成分Aよりな
る繊維A及び重合体成分Bよりなる繊維Bを発現させ
た。マイクレックス社製のマイクロクレーパーIに、不
織フリースを加工速度100m/分で通した。以上のよ
うにして、融着区域が散在し、非融着区域において、繊
度約0.3デニールの繊維A及び繊度約1.3デニール
の繊維Bが少なくとも発現している不織布を得た。この
不織布の吸水性及び拭き取り性を評価し、その結果を表
1に示した。
【0035】比較例2 比較例1で得られた不織ウェブに、ウォーターニードリ
ングを施し、分割型複合長繊維の分割割繊を行うと共
に、生成した繊維A及び繊維B相互間を三次元交絡し
た。ウォーターニードリングは、以下のような条件で行
った。即ち、孔径0.12mm,孔数600,孔ピッチ
0.6mm,噴射孔群3列よりなるダイから、不織ウェ
ブへ向けて高圧水柱状流(圧力80kg/cm2)を噴
射させた。不織ウェブは、16メッシュのスクリーン上
に載せて、搬送速度10m/分で移動させ、噴射孔と不
織ウェブとの間隔は80mmとした。そして、ウォータ
ーニードリングを施した後、マングルロールで絞り、次
いで乾燥して不織布を得た。この不織布は、繊度約0.
3デニールの繊維A及び繊度約1.3デニールの繊維B
が生成しており、繊維A及び繊維Bが相互に三次元交絡
してなるものであった。この不織布の吸水性及び拭き取
り性を評価し、その結果を表1に示した。
【0036】比較例3 比較例1で得られた不織ウェブに、ニードルパンチを施
し、分割型複合長繊維の分割割繊を行うと共に、生成し
た繊維A及び繊維B相互間を三次元交絡した。ニードル
パンチは、以下のような条件で行った。即ち、ニードル
針として、オルガン社製のRPD36#を使用し、針密
度60回/cm2で、ニードルパンチを行った。得られ
た不織布は、繊度約0.3デニールの繊維A及び繊度約
1.3デニールの繊維Bが生成しており、繊維A及び繊
維Bが相互に三次元交絡してなるものであった。この不
織布の吸水性及び拭き取り性を評価し、その結果を表1
に示した。
【0037】実施例1 比較例1で得られた不織布に、下記の条件で低温プラズ
マ処理を施して、不織布製拭き布を得た。 記 処理装置 :山東鉄工株式会社製 小型低温プラズマ試
験機 周波数 :13.56MHz 印加出力 :200W 不活性ガス:アルゴン(流量200ml/分) 処理時間 :30秒 不活性ガスの圧力:1Torr この不織布製拭き布の吸水性及び拭き取り性を評価し、
その結果を表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】実施例2 不活性ガスを酸素に変更し、且つ印加出力を300Wに
変更する他は、実施例1と同一の方法で不織布製拭き布
を得、その吸水性及び拭き取り性を評価し、その結果を
表1に示した。
【0040】実施例3 比較例2で得られた不織布に、実施例1と同一の条件で
低温プラズマ処理を施して、不織布製拭き布を得た。こ
の拭き布の吸水性及び拭き取り性を評価し、その結果を
表2に示した。
【0041】実施例4 比較例3で得られた不織布に、実施例1と同一の条件で
低温プラズマ処理を施して、不織布製拭き布を得た。こ
の拭き布の吸水性及び拭き取り性を評価し、その結果を
表2に示した。
【0042】比較例4 比較例1で得られた不織フリースに、実施例1と同一の
条件で低温プラズマ処理を施して、拭き布を得た。この
拭き布の吸水性及び拭き取り性を評価し、その結果を表
2に示した。
【0043】
【表2】
【0044】以上の結果から分かるように、実施例1及
び2に係る不織布製拭き布は、分割型複合長繊維を分割
割繊して(即ち、分割型複合長繊維の貼合を剥離し
て)、その後、低温プラズマ処理によって、剥離面に改
質処理を施したものであるため、親水性が向上してお
り、吸水性及び拭き取り性に優れるという効果を奏す
る。これに対して、比較例1〜3に係る不織布は、分割
型複合長繊維を分割割繊しただけで、低温プラズマ処理
を施していないため、親水性の向上が望めず、吸水性及
び拭き取り性に劣るものである。なお、比較例2及び3
に係る不織布の方が、比較例1に係る不織布に比べて、
若干吸水性及び拭き取り性が向上している理由は、分割
した繊維A及び繊維Bがウォーターニードリング又はニ
ードルパンチによって三次元交絡しており、緊密に絡合
している箇所において毛細管現象が働いていると考えら
れる。
【0045】また、実施例3及び4に係る不織布製拭き
布も、分割型複合長繊維をウォーターニードリング又は
ニードルパンチによって分割割繊して、その後、低温プ
ラズマ処理によって、剥離面に改質処理を施したもので
あるため、親水性が向上しており、吸水性及び拭き取り
性に優れるという効果を奏する。なお、比較例4に係る
不織布は、分割型複合長繊維を分割割繊させずに、低温
プラズマ処理を施したものであるため、吸水性及び拭き
取り性が十分に向上していない。
【0046】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に係る不織布
製拭き布は、分割型複合繊維を分割割繊して、その貼合
を剥離した後に、この剥離面にプラズマ処理による改質
を施すものである。即ち、剥離面にプラズマ処理が施さ
れることによって、酸素含有基が導入されたり、或いは
亀裂が生じたりすることによって、親水性の向上が図ら
れるのであるが、この剥離面には、凹凸が生じたり或い
はミクロフィブリルが生じており、表面積の極めて拡大
したものであるため、大幅な親水性の向上が図られるの
である。従って、本発明に係る不織布製拭き布は、吸水
性及び拭き取り性が大幅に向上するという効果を奏す
る。
【0047】分割型複合繊維は、重合体成分AとBとの
複合溶融紡糸法で得られるものであるため、セルロース
繊維の如く、繊維径を細くしても(繊度を小さくして
も)リントの発生しにくいものである。また、分割型複
合繊維を分割割繊することによって、分割型複合繊維の
繊度が大きくても、分割割繊により生成した繊維A及び
繊維Bの繊度は、所望に応じて細くすることができる。
従って、分割型複合繊維を用いて得られる本発明に係る
不織布製拭き布は、細かな塵埃を除去しやすい共にリン
トの発生しにくいものであって、クリーンルーム用の拭
き布として好適に用いられるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において使用する分割型複合繊維の一例
を示した横断面図である。
【図2】本発明において使用する分割型複合繊維の一例
を示した横断面図である。
【図3】本発明において使用する分割型複合繊維の一例
を示した横断面図である。
【図4】本発明において使用する分割型複合繊維の一例
を示した横断面図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D06M 17/00 D06M 17/00 Z 10/00 G

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合体成分Aと、該重合体成分Aに対し
    て非相溶性の重合体成分Bとが貼合されてなる分割型複
    合繊維の、該貼合を剥離して生成させた該重合体成分A
    よりなる繊維Aと該重合体成分Bよりなる繊維Bとが集
    積されてなり、該繊維A及び該繊維Bの剥離面にプラズ
    マ処理による改質が施されてなることを特徴とする不織
    布製拭き布。
  2. 【請求項2】 繊維Aと繊維Bとが実質的に三次元交絡
    している請求項1記載の不織布製拭き布。
  3. 【請求項3】 融着区域と非融着区域とを具備する不織
    布製拭き布であって、前記融着区域は、高融点重合体成
    分Aと、該高融点重合体成分Aに対して非相溶製の低融
    点重合体成分Bとが貼合されてなり、且つ該低融点重合
    体成分Bの少なくとも一部が表面に露出してなる分割型
    複合繊維が集積されていると共に、該低融点重合体成分
    Bの融着によって該分割型複合繊維相互間が結合されて
    おり、前記非融着区域は、該分割型複合繊維の貼合を剥
    離して生成させた該重合体成分Aよりなる繊維Aと該重
    合体成分Bよりなる繊維Bとが集積されてなり、該繊維
    A及び該繊維Bの剥離面にプラズマ処理による改質が施
    されてなることを特徴とする不織布製拭き布。
  4. 【請求項4】 繊維Aと繊維Bとが実質的に三次元交絡
    していない請求項3記載の不織布製拭き布。
  5. 【請求項5】 繊維Aと繊維Bとが長繊維である請求項
    1乃至4のいずれか一項に記載の不織布製拭き布。
  6. 【請求項6】 重合体成分Aと、該重合体成分Aに対し
    て非相溶性の重合体成分Bとが貼合されてなる分割型複
    合繊維を集積してなる不織ウェブに、分割割繊処理を施
    して、該重合体成分Aよりなる繊維A及び該重合体成分
    Bよりなる繊維Bを生成させた後、不活性ガスでプラズ
    マ処理を施して、繊維A及び繊維Bの剥離面を改質する
    ことを特徴とする不織布製拭き布の製造方法。
  7. 【請求項7】 分割割繊処理をウォーターニードリング
    又はニードルパンチを施すことによって行う請求項6記
    載の不織布製拭き布の製造方法。
  8. 【請求項8】 高融点重合体成分Aと、該高融点重合体
    成分Aに対して非相溶性の低融点重合体成分Bとが貼合
    されてなり、且つ該低融点重合体成分Bの少なくとも一
    部が表面に露出している分割型複合繊維を集積して不織
    ウェブを形成した後、該不織ウェブに部分的に熱を与え
    て、該低融点重合体成分Bを軟化又は溶融せしめ、該分
    割型複合繊維相互間が融着結合されてなる融着区域と、
    該分割型複合繊維相互間が融着結合されていない非融着
    区域を設けて不織フリースを形成し、次いで該不織布フ
    リースに分割割繊処理を施し、該非融着区域において、
    該分割型複合繊維の貼合を剥離し、該高融点重合体成分
    Aよりなる繊維A及び該低融点重合体成分Bよりなる繊
    維Bを生成せしめた後、不活性ガスでプラズマ処理を施
    して、繊維A及び繊維Bの剥離面を改質することを特徴
    とする不織布製拭き布の製造方法。
  9. 【請求項9】 分割割繊処理を座屈処理によって行う請
    求項8記載の不織布製拭き布の製造方法。
  10. 【請求項10】 分割型複合繊維が、分割型複合長繊維
    である請求項6乃至9のいずれか一項に記載の不織布製
    拭き布の製造方法。
  11. 【請求項11】 不活性ガスとしてアルゴンを用いて、
    低温プラズマ処理を施す請求項6乃至10のいずれか一
    項に記載の不織布製拭き布の製造方法。
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