JP3510345B2 - 柔軟性の優れた不織布の製造方法 - Google Patents
柔軟性の優れた不織布の製造方法Info
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Description
用ナプキン等の表面被覆材として適した連続フィラメン
トウェブ表面に凸凹のエンボス模様を付した柔軟性、肌
触り性、隠蔽性の良好な不織布の製法に関する。 【0002】 【従来の技術】連続フィラメントで構成されるスパンボ
ンド不織布は、セパレータ、服の裏地等様々な分野に用
いられている。その中でも、ポリプロピレン連続フィラ
メントに構成されたスパンボンド不織布は、その比重が
小さいこと及び、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の
衛生材料の表面被覆材として広く用いられている。 【0003】しかし、一般的にスパンボンド法による不
織布の連続フィラメント自体が短繊維よりなる不織布に
比較して柔軟性、弾力性等に劣るという欠点があった。
このスパンボンド法による不織布に柔軟性・弾力性を付
与する方法として、特開昭48−1471号公報および
特開昭63−2823号公報は熱収縮性の異なる2種類
の樹脂を用いてサイドバイサイド型又は偏心芯鞘型の潜
在捲縮性複合連続フィラメントを集積して不織布ウェブ
を得、このウェブに熱を付与して連続フィラメントに捲
縮を発現させうる方法が提案されている。 【0004】このスパンボンド不織布は従来のものに比
べて柔軟性及び弾力性に優れており、好ましいものであ
る。しかし、このスパンボンド不織布を製造する際に
は、複合連続フィラメントを形成しなければならず、こ
の形成のためには2種類の樹脂を同時に溶融させ、そし
て複雑な構造の紡糸孔を有するダイ(紡糸口金)を用い
なければならなかった。従って、不織布の生産コストが
高価になりすぎ、このスパンボンド不織布を使い捨てお
むつや生理用ナプキン等の衛生材料の表面被覆材として
用いるのには、採算性が合わなかった。 【0005】一方、特開平1−148862号は、樹脂
を単独で用い、これを円形又は異形の紡糸孔を持つ紡糸
口金から溶融紡糸し、次いで、これを冷却、延伸固化す
る際に、この連続フィラメントの一方側面のみを冷却す
ることによって、冷却部分は結晶化度を小さくし、非冷
却部分では結晶化度を大きくして連続フィラメントの横
断面において密度を異ならしめ、これによって連続フィ
ラメントに捲縮を顕現させた後、この捲縮性連続フィラ
メントを集積させて不織布を製造する方法を開示する。 【0006】しかし、この方法でプロピレン単独重合体
を使用した場合、繊維径の細い連続フィラメントよりな
るスパンボンド不織布を高速度で紡糸すると、紡糸口金
直下でフィラメント切れが多発し、連続フィラメントを
安定して製造することができなかった。また、低速度で
紡糸すると、フィラメント切れは発生しないものの、生
産効率が低下する。更にプロピレン単独重合体の吐出量
を高速度で紡糸する場合と同量で行おうとすると、連続
フィラメントの繊度が大きくなり、柔軟性に欠けた不織
布しかできない。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】連続フィラメントに捲
縮を発現させて不織布ウェブに柔軟性及び弾力性を付与
する従来の方法では、使い捨ておむつや生理用ナプキン
等の衛生材の表面被覆材としては肌触り性、ぬめり感、
隠蔽性の面で改善の要求が出されている。本発明は、肌
触り性、ぬめり感のない寸法安定性の優れた連続フィラ
メントよりなる不織布の製法の提供を目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、エチレン含量
が0.5〜8重量%のプロピレン・エチレンブロック共
重合体を多数の吐出孔を有する紡糸口金より溶融押出し
て得た溶融紡糸群を風冷装置に導き冷却し、これを吸引
搬出装置を通過させて表面にコブのあるフィラメント群
を得、さらにこれらを平板間のスリットに導き、これを
コロナ放電処理後、傾斜した衝突板に衝突させて得た連
続したフィラメントよりなるウェブをロールコンベアで
導き、ついでこのウェブを加熱ロールで熱圧着して不織
布を得ることを特徴とする柔軟性の優れた不織布の製造
方法を提供するものである。 【0009】〔発明の概要〕エチレン・プロピレンブロック共重合体 フィラメント素材のエチレン・プロピレンブロック共重
合体は、エチレン含量が0.5〜8重量%、好ましくは
1〜6重量%のエチレン・プロピレンブロック共重合体
である。このもののメルトフローレート(230℃、
2.16kg荷重)は、10〜80g/10分、好まし
くは20〜60g/10分、結晶化度が25〜55%の
ものが好ましい。エチレン含量が0.5重量%未満で
は、連続フィラメント製造時に、後述するコブの発生が
フィラメントに見受けられず、不織布の柔軟性、弾力性
に欠ける。8重量%を越えては紡糸切れが発生しやす
い。 【0010】製造装置 本発明の不織布を製造するに用いる装置を図1に示す。
図1において、1は多数の吐出孔(孔径は0.3〜0.
5mmφ)を備える紡糸口金(ダイ)、2は溶融紡糸、
3は風冷装置、4は吸引搬出装置(エアーサッカー)、
5,5は平板、5′はスリット、6は針電極、7はター
ゲット電極で6と7によりコロナ放電装置は形成され
る。8は傾斜された衝突板、9は帯電したフィラメント
の群、10は不織布ウェブ、11はネットコンベアーベ
ルト、12は流体(空気)吸引装置、13は除電器、1
4は加熱エンボスロール、15は不織布である。 【0011】不織布の製造 エチレン・プロピレンブロック共重合体は押出機で2
00〜250℃の温度に溶融混練され、紡糸口金1へ供
給され断面が円形状の紡糸口金1の多数の吐出孔より押
出されてフィラメントの連続した群となる。このフィラ
メント群は横方向において円形の分布を示している。 【0012】これら2,2…は風冷装置3からフィラ
メント進行方向に垂直(横方向)に吹出される10〜2
5℃の冷却空気により強制冷却される。 ついで、冷却されたフィラメント群は、吸引搬出装置
4の円筒状のノズル内に導かれ、これを通過する。その
際フィラメントは溶融紡糸される。紡糸口金1直下のフ
ィラメントの引取速度(a1 )に対し、この吸引搬出装
置4直下のフィラメントの速度(a2 )の比(a2 /a
1 )をドラフト比と言い、このドラフト比は100〜5
00、好ましくは200〜400である。 【0013】ドラフト比が100未満になると変形が小
さく、フィラメント表面にコブの発生が見受けられず、
一方、500をこえると変形が大きく、紡糸切れが発生
しやすい。このコブの発生は不織布に弾力性を付与する
のに役立つ。このコブの高さHと、フィラメントの径D
との比(H/D)は、1/30〜1/5、好ましくは1
/20〜1/7である。1/5を越えると紡糸切れが発
生しやすい。1/30未満ではコブの発生がなく、フィ
ラメント表面の凹凸がなく、不織布は柔軟性に欠け、肌
触り性も悪く、ぬめり感が出る。 【0014】吸引搬出装置4のノズルを通過した表面
にコブのある連続フィラメント群は平板5,5で形成さ
れるスリット5a間を通過させ、衝突板8に当接させて
フィラメント群での横幅を拡げる。衝突板8にフィラメ
ントが当接する傾斜角αは、15〜60度が好ましい。 このスリット5aを通過し、衝突板8に当接する間に
連続したフィラメント群2,2…は、針電極6、ターゲ
ット電極7との間でのコロナ放電にて強制帯電される。 【0015】帯電したフィラメント群9は衝突板8に
衝突させ、ネットコンベアー11上にウェブを堆積す
る。 堆積したウェブ10は交流、直流除電器13で除電し
た後、加熱エンボスロール14,14で熱圧着して不織
布15とし、これを巻き取る。加熱エンボスロールの温
度は130〜155℃が好ましい。 【0016】 【実施例】 実施例1 図1に示す製造装置を用いて不織布を製造した。即ち、
エチレン含量が3.6重量%、MFR 30g/10
分、結晶化度36%のエチレン・プロピレンブロック共
重合体を用い、0.4mmφの小孔を100個有する2
00mmφの断面円形状の1錘の紡糸口金より吐出量1
00g/分の条件で押し出した。紡糸口金の下方1.5
mの位置にエアーサッカー(吸引搬出装置)を設置し、
5kg/cm2 Gの圧力でフィラメント速度3,500
m/分で牽引した。 【0017】その際のドラフト比は330、フィラメン
ト径(D)とコブ径(H)の比率(H/D)は1/20
〜1/10の範囲内であり、フィラメント表面にコブが
発現した(図2参照)。エアーサッカーのノズルより出
た直後のフィラメント群は、1対の平板で形成されるス
リットを通過し、このスリット通過直後にコロナ放電
0.2mmAの電流を流してフィラメントを開繊させ傾
斜した衝突板に衝突させて拡幅し、これを回動(30m
/分)しているネットコンベヤーベルト上に導きウェブ
となし、ついで除電し、140℃のエンボスロールで熱
圧着して繊度2.5デニールの不織布を得た。 【0018】比較例1 実施例1において、エチレン・プロピレンブロック共重
合体の代りに、MFRが30g/10分、結晶化度が6
0%のプロピレン単独重合体を用いることと、エンボス
ロールの温度を155℃とする他は同様にして不織布を
得た。この製造の際、エアーサッカーのノズルを通過直
後の連続フィラメントの表面にはコブの発生が見受けら
れなかった(図3)。 【0019】比較例2 実施例1において、エチレン・プロピレンブロック共重
合体の代りに、エチレン含量が3.9重量%、MFRが
30g/10分のエチレン・プロピレンランダム共重合
体を用いる他は同様にして不織布を得た。 【0020】実施例2 実施例1において、溶融紡糸時のドラフト比を450と
し、繊度1.9デニールのフィラメントとする他は同様
にして不織布を得た。 【0021】実施例3 実施例1においてコブの大きさがフィラメント径の比率
の1/30〜1/20の範囲となるようにした他は同様
にして不織布を得た。 【0022】比較例3 実施例1において、溶融紡糸時のドラフト比を90とす
る他は同様にして4.2デニールの不織布を得た。 【0023】比較例4 比較例1において、プロピレン単独重合体の代りにエチ
レン含有率が0.4重量%、結晶化度が55%のエチレ
ン・プロピレンブロック共重合体を用いた外は同様にし
て不織布を得た。 【0024】比較例5 実施例1において、エチレン含有率が22重量%、MF
Rが38g/10分のエチレン・プロピレンブロック共
重合体を用いて溶融紡糸をしようとしたところ、変形が
大きく、紡糸口金直下で紡糸切れが発生し、連続フィラ
メントを得ることは出きなかった。 【0025】〔評 価〕各実施例、比較例で得た不織布
について、フィラメント表面のコブの発生の有無、不織
布の柔軟性、肌触り感、ぬめり感、隠蔽性を調べた。結
果を表1に示す。 【0026】 【表1】【0027】 【発明の効果】本発明の不織布の製法によれば、柔軟
性、隠蔽性に富み、肌触り性が良好で、ぬめり感のない
不織布が得られる。
面構造を示す図(3,000倍)である。 【図3】比較例1で得たプロピレン単独重合体のフィラ
メントの表面構造を示す図(3,000倍)である。 【符号の説明】 1 紡糸口金 2 フィラメント 3 風冷装置 4 吸引搬出装置 5 スリット状治具 6 針電極 7 ターゲット電極 8 衝突板 9 拡幅されたフィラメント 10 ウェブ 11 ネットコンベアー 13 除電器 14 加熱エンボスロール 15 不織布
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】エチレン含量が0.5〜8重量%のプロピ
レン・エチレンブロック共重合体を多数の吐出孔を有す
る紡糸口金より溶融押出して得た溶融紡糸群を風冷装置
に導き冷却し、これを吸引搬出装置を通過させて表面に
コブの高さHとフィラメントの径Dとの比(H/D)が
1/30〜1/5であるコブのあるフィラメント群を
得、さらにこれらを平板間のスリットに導き、これをコ
ロナ放電処理後、傾斜した衝突板に衝突させて得た連続
したフィラメントよりなるウェブをロールコンベアで導
き、次いでこのウェブを加熱ロールで熱圧着して不織布
を得ることを特徴とする柔軟性の優れた不織布の製造方
法。
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