JP7128682B2 - 不織布ワイパーおよびその製造方法 - Google Patents
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上記のようにお互いの物性が大きく異なる2種類の繊維ウエブが積層され、一体的に製造された複合型不織布ワイパーでは、伸び率の差に起因して、完成製品となったワイパーシートにおいてパルプ繊維が脱落し易くなる、また、縦横の強度のアンバランスに起因して強度が低下するなどの問題が生じる場合がある。
本発明によるワイパーは、スパンボンド不織布上にパルプ繊維ウエブを積層し、一体化された複合型の不織布ワイパーである。ここで、採用しているスパンボンド不織布が特徴的な構成を備えている。よって、図1を参照して、先ずその点の構成について説明する。
なお、紡糸された直後のスパンボンド繊維は縦方向MDでは伸び率が小さく、強度が高く、これに対して横方向CDでは伸び率が大きく、強度が低いという、製造由来の特性がある。ここで、従来にあっては図1(a)で示すように、縦横方向について同様に融着点MPを配置してスパンボンド不織布を得ていた。そのため、得られたスパンボンド不織布は、製造由来の特性がそのまま反映された縦横方向での伸び率に差のある不織布となっていた。
また、図1(c)で示すように、形成する融着点MP-2の形状を横に長く伸びた形状(横長形状)とする。従来の単純な円形形状と比較して、横長形状とすればより多くの繊維を融着して、横方向での伸び率を抑えたスパンボンド不織布SWを得ることができる。
具体的には、本発明の複合型不織布ワイパーで使用されるスパンボンド不織布では、低負荷時(0.5N)における、横方向での伸び率を5%以下、より好ましくは2%以下となるように、融着点MP-1の配置密度や融着点MP-2の横長形状を設定してある。
なお、従来の一般的なスパンボンド不織布における、縦方向での伸び率は2%程度である。よって、横方向での伸び率を5%以下、より好ましくは2%以下に調整することで、先に指摘した点が改善されたスパンボンド不織布となる。
また、スパンボンド不織布を構成している樹脂繊維については、繊維径0.6~5.6デシテックス(dtex)のものを使用するのが好ましい。
以上の条件を満たす複合型の不織布ワイパーは、縦横方向の伸び率の差が小さくなるように設計されているので、拭取り作業等で使用した際にパルプ繊維が脱落を防止でき、不織布ワイパーとしての強度にも優れた製品として提供できることになる。
なお、上記本発明に係る複合型不織布ワイパーでは、例えば、パルプ平均繊維長1.0~5.0mmであるパルプを用いて、パルプ繊維ウエブを形成するのが好ましい。具体的には、パルプ繊維ウエブをラジアータパイン、スラッシュパイン、サザンパイン、ロッジポールパイン、スプルースおよびダグラスファーからなる群から選択された針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)の繊維を用いて形成するのが好ましい。いずれか1つのパルプ繊維によるパルプ繊維ウエブとしてもよいし、2つ以上を混合して形成したパルプ繊維ウエブとしてもよい。
また、スパンボンド不織布を構成する合成繊維としては、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等から選択することができ、ポリプロピレンを用いるのが好ましい。
先ず、不織布ワイパー製造装置1の概略構成を説明する。図2に示す製造装置1は、上流側にエアレイド装置2、スパンボンド不織布を供給するスパンボンド不織布供給装置3、そしてサクション装置4が配設されている。サクション装置4はエアレイド装置2の下側に対向するように配置されている。
ウエブの搬送方向TDで、これらの装置2、3、4より下流には、上流側から順に、水流交絡処理を行うためのウォータジェットを噴射する水流交絡装置5、サクション装置6、乾燥装置7が配置されている。上記乾燥装置7の下流には連続して製造される不織布ワイパーWPを巻き取るための巻取装置8が更に設けてある。
上記積層位置24の下側にはサクション装置4が対向配備してある。より詳細には、サクション装置4は装置本体41の上面にサクション部42を有しており、サクション部42が上記パルプ繊維ウエブPFWに吸引力(負圧)を作用させるべく積層位置24に対して設定してある。
なお、図2では、エアレイドホッパ23とサクション装置本体41とを1つずつ一段での配置として、パルプ繊維ウエブPFWを形成する場合を例示している。しかし、これに限らず、上記パルプ繊維ウエブPFWの目付(坪量)や製造速度に応じて、上記エアレイドホッパ23とサクション装置本体41を2つ以上の多段とする配置に変更してもよい。
搬送ワイヤ43はサクション部42の吸引力が、反対側(上側)に及ぶような目開き形態(メッシュ)で形成されている。
また、スパンボンド不織布とパルプ繊維ウエブとの重量構成比である、スパンボンド不織布/前記パルプ繊維ウエブは50/50~10/90(wt%)に調整しておくのが好ましい。
そこで、本製造装置1では、予備的積層体PWebを上下から挟んでスパンボンド不織布SW上でのパルプ繊維ウエブPFWの載置状態を安定化させる為の挟持ローラ28、そして水流交絡装置5の上流側に繊維飛散防止用に水分を付与するプレウエット装置30が配備してある。プレウエット装置30は、好適には、予備的積層体PWebの上方からウォータミストを吹き付ける噴霧ノズル31と予備的積層体PWebの下側(すなわち、パルプ繊維ウエブPFWの下面)から吸引力を印加するサクション装置32とを含んで構成されている。
水流交絡処理を行うのに十分な、ウォータジェットヘッド51とサクション装置52とのセット数が確保されている水流交絡装置5の場合、上記のように先頭のウォータジェットヘッド51とサクション装置52をプレウエット装置として活用することは、装置設備コストの抑制に効果的である。
図2で例示的に示している水流交絡装置5は、搬送方向TDに沿って多段(図2では例示しているのは4段)にウォータジェットヘッド51が配置されている。
なお、図2では、搬送方向TDに対して直角な方向(ウエブの幅方向)において延在しているウォータジェットヘッド51に設けたノズルの様子は図示していないが、幅方向において複数のウォータジェットノズルが適宜の位置に配置してある。このウォータジェットノズルの穴直径φは、好ましくは0.06~0.15mm、より好ましくは0.10~0.12mmである。また、ウォータジェットノズルの間隔は0.4~1.0mmとするのが好ましい。
化が促進される。
よって、搬送ワイヤ55上を搬送される予備的積層体PWebは、搬送方向TDで下流に向かう程に、より多くの水流交絡処理を受けることになり、水流交絡装置5を出るときには上側のパルプ繊維ウエブPFW層と下側のスパンボンド不織布SW層との十分な交絡処理が実現される。
水流交絡装置5を出た直後の不織布にあっては、ウエット状態にあり、パルプ繊維同士などの結合は十分に確立されてはいない。
サクション装置6は、例えばバキューム式で水流交絡後の不織布を脱水する。乾燥装置7は非圧縮型のドライヤ、好適にエアスルードライヤを採用することが好ましい。図2で、エアスルードライヤの回転可能なドライヤ本体71は筒状体であり、その周表面には多数の貫通孔が設けてあり、図示しない熱源で加熱された熱風がドライヤ本体の外周から中心部側に向かって吸い込む構成とするのがよい。
このように連続的に製造される複合型の不織布WPは巻取装置8のローラ81に巻取られて一連の工程が完了する。
なお、前述した図2による実施例では、パルプ繊維ウエブを製造する際に乾式エアレイドを用いた乾式とした場合を説明したがこれに限らない。パルプ繊維ウエブは湿式抄紙シートの製造法を応用して製造したものであっても、前述した場合と同様の効果を得ることできる。
2 エアレイド装置
3 スパンボンド不織布供給装置
4 サクション装置
5 水流交絡装置
6 サクション装置
7 乾燥装置
8 巻取装置
21 解繊機
22 ダクト
23 エアレイドホッパ
24 積層位置
28 挟持ローラ
30 プレウエット装置
31 噴霧ノズル
32 サクション装置
41 サクション装置本体
42 サクション部
43 搬送ワイヤ
51 ウォータジェットヘッド
52 サクション装置
55 搬送ワイヤ
SW スパンボンド不織布
MP 融着点
MD 縦方向
CD 横方向
PF パルプ繊維
PFW パルプ繊維ウエブ
PWeb 予備的積層体(積層ウエブ)
WP 不織布ワイパー
TD 搬送方向
Claims (2)
- スパンボンド不織布上にパルプ繊維ウエブを積層し一体化してあり、前記パルプ繊維ウエブの繊維が、前記スパンボンド不織布の繊維に比べて短く弱い、複合型の不織布ワイパーであって、
前記スパンボンド不織布は、当該スパンボンド不織布を構成している樹脂繊維を互いに接続する融着点の単位面積当たりの存在割合である面積率を5~20%とし、前記融着点の形状を前記スパンボンド不織布の繊維流れ方向に対して直角な横方向に伸びる横長形状とすることにより、繊維流れ方向に対して直角な横方向に0.5Nの負荷を作用させたときの前記横方向における伸び率が5%以下に形成してあり、
前記スパンボンド不織布の繊維径は0.6~5.6デシテックスであり、
前記スパンボンド不織布と前記パルプ繊維ウエブとの重量構成比であるスパンボンド不織布/パルプ繊維ウエブは、50/50~10/90(wt%)である、ことを特徴とする不織布ワイパー。 - 請求項1に記載の不織布ワイパーを製造する方法であって、
前記スパンボンド不織布と前記パルプ繊維ウエブとを水流交絡処理する水流交絡工程を少なくも含み、
前記水流交絡工程でウォータジェットを噴射するウォータジェットノズルの穴直径φが0.06~0.15mmであり、且つ前記ウォータジェットノズルの間隔が0.4~1.0mmである、こと特徴とする不織布ワイパーの製造方法。
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