JP6910122B2 - 複合型不織布およびその製造装置 - Google Patents
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一般に、不織布は基材となるウエブ(フリースと称される場合もある)を形成するウエブ形成工程と、ウエブを構成している繊維を互いに結合させる繊維結合工程とを経て製造される。そして、ウエブ形成工程および繊維結合工程のそれぞれについて、従来から多くの提案がなされている。
ここで、一般に、坪量が大きい不織布ほど高い吸液性を期待することができる。しかしながら、坪量が大きくなると、所謂、ごわつき感が増して拭取り対象物との密着性が損なわれてしまう。そして、このように単に坪量が大きい不織布は美粧性への配慮が欠けていた。
以上のように、従来にあっては、坪量を増加させることなく、高い吸液性を備えると共に十分な拭取り性を備え、更には美粧性にも配慮のある、ワイパーに好適な不織布は未だ提供されていないというのが実情である。
また、上記のデザインパターンは、結果としてパルプ繊維層の表面に多くの凹凸部を形成することになるので、表面積が拡大される。よって、同じ坪量で比較すると、拭取るべき液汚れに接触する面積が増大するので吸液性に優れた不織布となる。すなわち、坪量を増加せず吸液性を改善できる、また凹凸部で汚れを掻き取ることができるので拭取り性にも優れた不織布として提供できる。
好適には、上記デザインパターンは薄い部分が透かし状となり、その薄い部分が文字、図形などの所定のテーマを表示するパターンを描くように設計すれるのが好ましい。その結果、表示した文字、図形などによって不織布に優れた美粧性が付与されるので、消費者の美観に訴えて、購買を喚起することができる。
図1は複合型の不織布CWebを例示した模式図であり、(a)は格子状のデザインパターンDP−1を有する不織布CWeb−1、(b)は「Wiper」の文字を含むデザインパターンDP−2を有する不織布CWeb−2を示している。
本発明に係る不織布CWebは、合成繊維層とその上に配置されたパルプ繊維層とが一体化された複合型不織布である。そして、複合型不織布は上記パルプ繊維層を構成しているパルプ繊維の厚い部分と薄い部分とによって形成したデザインパターンを有するものである。
図2に示す複合型不織布の製造装置1は、上流側にパルプエアレイド部としてのエアレイド装置2、合成繊維層供給部としての合成繊維ウエブ供給装置3、そして積層形成部としてのサクション装置4が配設されている。サクション装置4はエアレイド装置2の下側に対向するように配置されている。
搬送方向TDで、これらの装置2、3、4より下流には、上流側から順に、水流交絡部としての水流噴射(ウオータジェット)装置5、脱水・乾燥部として乾燥装置6が配置されている。上記乾燥装置6の下流には連続して製造される複合型の不織布CWebを巻き取るための巻取装置7が更に設けてある。
上記積層位置24の下側にはサクション装置4が対向配備してある。より詳細には、サクション装置4は装置本体41の上面にサクション部42を有しており、サクション部42が上記パルプ繊維FPに吸引力(負圧)を作用させるべく積層位置24に対して設定してある。
搬送ワイヤ43はサクション部42の吸引力が、反対側(上側)に及ぶような目開き形態(メッシュ)で形成されている。
さらに、原料パルプRPは、例示のようにロールパルプの形態で供給される場合が多いので、上記解繊装置21としてハンマーミルやディスクミル型等を採用するのが好ましい。ここでの解繊処理は、必要に応じて一段或いは複数段としてもよい。
また、上記原料パルプRPと共に、コットン等の天然繊維や、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成繊維を追加配合するようにしてもよい。このような配合を採用する際には、別途エアレイドヘッドを追加してウエブ層を重ねるか、開繊したパルプを風送するダクトに別の繊維を混合する風送ラインを追加すればよい。
上記合成繊維ウエブSWとしては、スパンボンド法により形成された連続フィラメントのウエブを用いるのが好ましい。そして、ここでの合成繊維としては、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等から選択するのが好ましい。
その際に、積層位置24ではサクション装置4のサクション部42による吸引力が搬送ワイヤ43を通過し、その上の合成繊維ウエブSWおよびパルプ繊維FPに作用する。よって、上記積層位置24を経て下流側に移動した積層状態のウエブは下側の合成繊維層(合成繊維ウエブSW)と、その上に載置されたパルプ繊維層(パルプ繊維FPにより構成されたパルプウエブ)とが積層された状態の予備的積層体PWebとなる。
そこで、本製造装置1では、予備的積層体PWebを上下から挟んで合成繊維ウエブSW上でのパルプ繊維FPの載置状態を安定化させる為の挟持ローラ28、そして水流噴射装置5の上流側にパルプ繊維FPに飛散防止用に水分を付与するプレウエット装置30が配備してある。プレウエット装置30は、好適には、予備的積層体PWebの上方からウオータミストを吹き付ける噴霧ノズル31と予備的積層体PWebの下側(すなわち、合成繊維ウエブSWの下面)から吸引力を印加するサクション装置32とを含んで構成されている。
図2で例示的に示している水流噴射装置5は、搬送方向TDに沿って多段(図2では例示しているのは4段)に水流噴射ノズル51が配置されている。第1段目の水流噴射ノズルを低圧で吹き付ける事により、上述したプレウエット装置30の代用としてもよい。
図2では、搬送方向TDに対して直角な方向(装置1の幅方向)におけるノズルの様子は図示していないが、幅方向においても複数の水流噴射ノズルが配置してある。
搬送ワイヤ55は、ワイヤの主要骨格を成す搬送ワイヤ本体551と、この搬送ワイヤ本体551上に配置され、前述したデザインパターンを形成するための型パターンとなるシート状部材552とにより構成されている。ここでのシート状部材552は、図1(b)での薄い部分WAに対応している。
搬送ワイヤ本体551を構成する樹脂としては、例えばポリエステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン等を採用可能であるが、ポリエステルを採用するのが好ましい。そして、搬送ワイヤ本体551の開口率(%)は、好ましくは10〜40%、より好ましくは15〜25%に設定するのが望ましい。
なお、後述するようにシート状部材552の部分は水流交絡時に水流を弱める(阻害する)ように作用するので、シート状部材552を配置する領域を、過度に大きく設定するのは好ましくない。合成繊維層とパルプ繊維層との交絡部分、すなわち接続部分が減少して不織布としての強度が低下することが懸念されるからである。その一方で、搬送ワイヤ55は、上記したように予備的積層体PWebを下側から支持しつつ、水流噴射装置5内へと搬送する。そのときに水流噴射装置5の水流噴射ノズル51とサクション装置52との間で、水圧と負圧を受けるので耐久性も要求される。上記2つの観点からシート状部材552の形状は、例えば幅1〜5mmの線形とし、厚さは0.3mm〜1.5mmとするのが望ましい。
上記で説明したような水流噴射装置5内での処理により、パルプ繊維の薄い部分と厚い部分によって形成されたデザインパターンを有するパルプ繊維層が形成される。
水流噴射装置5を出た直後は、ウエブはウエット状態であり、乾燥前にあってはパルプ繊維同士の結合は十分に確立されてはいない。
エアスルードライヤは、前述したデザインパターンが形成されたパルプ繊維層に非圧縮の状態で乾燥を行うことが可能であるので、水流噴射装置5により上述のように形成されるデザインパターンが乾燥時の面圧により低減或いは消去されるという事態の発生を防止できる。
よって、ウエット状態のウエブが乾燥装置6から出るときには十分に乾燥されて繊維同士の結合も完了し、製品として完成した複合型の不織布CWebとなる。このように連続的に製造される複合型の不織布CWebは巻取装置7のローラ71に巻き取られて一連の工程が完了する。
そして、前述した様に、製造された複合型不織布は、新たに付加された美粧性だけでなく、吸液性や拭取り性にも改善されているのでワイパーに好適な複合型不織布となる。
2 エアレイド装置
3 合成繊維ウエブ供給装置
4 サクション装置
5 水流噴射装置
6 乾燥装置
7 巻取装置
21 解繊機
22 ダクト
23 エアレイドホッパ
24 積層位置
28 挟持ローラ
30 プレウエット装置
31 噴霧ノズル
32 サクション装置
41 サクション装置本体
42 サクション部
43 搬送ワイヤ
51 水流噴射ノズル
52 サクション装置
55 搬送ワイヤ
FP パルプ繊維(パルプ繊維層)
PWeb 予備的積層体
CWeb 積層体(複合型不織布)
SW 合成繊維ウエブ(合成繊維層)
Claims (2)
- 合成繊維層の上にパルプ繊維層を積層して一体化してある複合型不織布であって、
前記パルプ繊維層を構成するパルプ繊維の厚い部分と薄い部分とによって形成したデザインパターンを前記パルプ繊維層の表面側に有しており、
前記デザインパターンは、前記薄い部分が透かし状に形成され、且つ、文字と図形との少なくとも一方を表示するように設けたパターンを含んでおり、
前記パターンの幅は1〜5mmである、ことを特徴とする複合型不織布。 - 合成繊維層の上にパルプ繊維層を積層して一体化してあると共に、前記パルプ繊維層を構成するパルプ繊維の厚い部分と薄い部分とによって形成したデザインパターンを有しており、前記デザインパターンは、前記薄い部分が透かし状に形成され、且つ、文字と図形との少なくとも一方を表示するように設けたパターンを含んでいる複合型不織布を製造する製造装置であって、
前記パルプ繊維層と前記合成繊維層との一体化を促進して積層体を得る水流交絡部を少なくとも含み、
前記水流交絡部は、樹脂製よりなる搬送ワイヤ本体と、前記搬送ワイヤ本体上に配置され、前記デザインパターンを形成するための型パターンとなるシート状材とによって構成された搬送ワイヤを含み、更に、
前記水流交絡部は、前記合成繊維層上に前記パルプ繊維層が積層された状態の交絡前の予備的積層体を前記搬送ワイヤに載置して搬送しつつ、上方から前記パルプ繊維層に向けてウオータジェットを吹き付ける水流噴射ノズルを含み、
更に、前記型パターンの幅は1〜5mmであり、厚さは0.3〜1.5mmである、ことを特徴とする複合型不織布の製造装置。
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