JPH08269858A - 複合不織布 - Google Patents

複合不織布

Info

Publication number
JPH08269858A
JPH08269858A JP7075929A JP7592995A JPH08269858A JP H08269858 A JPH08269858 A JP H08269858A JP 7075929 A JP7075929 A JP 7075929A JP 7592995 A JP7592995 A JP 7592995A JP H08269858 A JPH08269858 A JP H08269858A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fibers
pulp
cellulose fibers
woven fabric
fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7075929A
Other languages
English (en)
Inventor
Koichi Katayama
康一 片山
Osamu Kitao
修 北尾
Masaru Kadota
優 門田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
New Oji Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by New Oji Paper Co Ltd filed Critical New Oji Paper Co Ltd
Priority to JP7075929A priority Critical patent/JPH08269858A/ja
Publication of JPH08269858A publication Critical patent/JPH08269858A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた柔軟性と液体吸収性を有し、使い捨て
手拭き、ウェットティシュ、ワイパー、使い捨て雑巾等
に好適に使用しうる複合不織布の提供。 【構成】 複合不織布であって、熱可塑性樹脂の連続長
繊維フィラメントからなるスパンボンド不織布と、繊維
内架橋結合とカールを有するセルロース繊維を含有する
シートが積層され、高圧水柱流によって、該シートを構
成するセルロース繊維と不織布の長繊維とが交絡、一体
化されている。前記繊維内架橋接合を有するセルロース
繊維を含有するシートが、架橋セルロース繊維:架橋さ
れていないセルロース繊維の絶乾重量比が45:55〜
100:0の範囲のセルロース繊維で構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた柔軟性と液体吸
収性を有し、使い捨て手拭き、ウェットティシュ、ワイ
パー、使い捨て雑巾等に好適に使用しうる複合不織布に
関する。
【0002】
【従来の技術】セルロースパルプ繊維を嵩高に集積して
なる不織布は、水や薬剤を含有する水溶液に対して極め
て優れた吸収性を有することが知られている。しかしな
がら、前記液体を吸収した時の不織布の強度は著しく低
下するため破れ易くなり、耐磨耗性も劣るという欠点を
有している。そのため合成高分子ラテックス、合成樹脂
エマルジョン等のバインダーを不織布に塗布或いは含浸
して強度を補強する方法が採用されている。この方法で
は、確かに前記した強度の低下という欠点を解決するこ
とができたが、逆に不織布自体が硬くなり柔軟性が顕著
に損なわれるという欠点が新たに出てくる。
【0003】柔軟性を損なわずにセルロースパルプから
なる不織布の強度を増す方法として、例えばカナダ特許
第841,938号明細書には、木材パルプ、コットン
リンター、他の天然セルロース繊維、再生繊維、化学的
再生されたセルロースパルプ、合成ポリマー繊維等を原
料として公知の湿式抄紙法によって得られるシートに高
圧のジェット水流を噴射して、シートを構成する繊維同
志を絡み合わせることによる不織布の製造方法が開示さ
れている。この方法による不織布は、優れた強度、吸水
性、柔軟性、耐摩耗性等を有し、フェルトのような外観
を有し、さらに織り布の外観を付与することも可能であ
る。
【0004】米国特許第4,808,467号明細書に
は、結合された連続フィラメントのベースウェブと、5
0〜90重量%の木材パルプと50〜10重量%のステ
ープルの長さの繊維とからなるウェットレイド繊維ウェ
ブを含んでおり、このウェブは、互いに密接に水力交絡
されている高強度の不織布の製造方法が開示されてい
る。更に欧州特許第128,667号明細書には、エン
ボス加工され、柄模様が印刷されている紙タオル或いは
紙シートが、水ジェットを噴射されたポリエステルステ
ープル繊維エアーレイドウェブ連続フィラメント不織布
の上に積層され、次いで水ジェットにより交絡させた複
合布の製造方法が開示されている。又特開平5−179
545号公報には約30重量パーセント以下の不織連続
フィラメント支持体と、約70重量パーセント以上のパ
ルプ繊維を含むことからなる水圧による交絡によって形
成されたパルプ含有率の高い不織複合布が開示されてい
る。これらの方法は、いずれもウェブ強度と耐摩耗性は
向上するものの、柔軟性については満足できる水準には
至っていない。
【0005】さらに、特開平5ー214654号公報、
特開平5ー253160号公報、特開平5ー27705
3号公報、特開平5ー285083号公報、特開平5ー
286100号公報、特開平6ー17365号公報等に
は、熱可塑性樹脂を加熱溶融して多数の口金から押し出
し、次いで紡出された連続長繊維フィラメント群をエジ
ェクターにより高速高圧エアーで延伸しながら引き取
り、開繊し、捕集用の支持体面上に捕集してウェブと
し、このウェブに熱圧着処理を施すことにより得られる
スパンボンド不織布の上に、セルロースパルプからなる
薄葉紙或いは紙シートを積層し、積層体の薄葉紙或いは
紙シート側から、微細なノズル孔からの高圧の水ジェッ
ト流或いは水柱流を、不織布側に貫通するように噴射
し、それによって繊維に運動エネルギーを付与してパル
プ繊維と長繊維を交絡させることにより積層体を一体化
させ、使い捨て手拭き、ウェットティシュ、ワイパー、
使い捨て雑巾等のための拭き布の製造方法が開示されて
いる。しかしながら、これらの複合不織布は、いずれも
セルロースパルプと熱可塑性樹脂からのスパンボンド不
織布の積層体であり、液体吸収性には優れるものの、依
然として柔軟性については十分満足できる水準にはな
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
現状に鑑み、セルロース繊維からなる紙シートとスパン
ボンド不織布とを高圧水ジェット流或いは高圧水柱流を
使用して交絡、一体化させた複合不織布の柔軟性及び液
体吸収性についてを鋭意研究した。その結果、公知の紙
シートに使用されるセルロースパルプ繊維は、セルロー
スの他にヘミセルロースを含有しており、このようなパ
ルプ繊維を用いて湿式で抄紙すると、そのセルロースや
ヘミセルロースの分子内にある水酸基を介在してパルプ
の繊維間結合が形成され、強固な結合を有する紙シート
が得られる。そして、このような紙シートとスパンボン
ド不織布を用いて複合不織布とする際に、高圧水柱流を
噴射して施し紙シートと不織布の繊維同士を交絡、一体
化させると、パルプ繊維は湿潤状態にされ、その後この
状態から乾燥される過程で再び前記と同様の水酸基を介
在したパルプの繊維間結合が形成されて乾燥済みの複合
不織布となる。
【0007】本発明者等は、この場合、パルプ繊維は繊
維同志が水酸基を介在して強固に結合し、パルプ繊維間
の空隙を低下させているため複合不織布のパルプ繊維は
柔軟性に劣るものとなり、ひいては複合不織布自体の柔
軟性を損なっているという点に着眼し、複合不織布のた
めに用いられる紙シートを構成するセルロースパルプ繊
維として化学的及び機械的処理が施され、その結果セル
ロースやヘミセルロース中の水酸基が架橋結合により封
鎖され、かつパルプ繊維自体にカールや捻れが付与され
たパルプ繊維を特定量含有させることによって、乾燥状
態でのパルプの繊維間結合を弱め、パルプ繊維間の空隙
を高く維持すると、そのようなパルプ繊維からなる紙シ
ートを用いた複合不織布は、液体吸収性を高い水準に維
持しながら、しかも柔軟性に極めて優れた性能を発現し
得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発
明の目的は、液体吸収性と柔軟性に極めて優れた性能を
有し、使い捨て手拭き、ウェットティシュ、ワイパー、
使い捨て雑巾等に好適に使用される複合不織布を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、熱可塑
性樹脂の連続長繊維フィラメントからなるスパンボンド
不織布と、繊維内架橋結合とカールを有するセルロース
繊維を含有するシートが積層され、高圧水柱流によっ
て、該シートを構成するセルロース繊維と不織布の長繊
維とが交絡、一体化されていることを特徴とする複合不
織布である。本発明の第二は、前記繊維内架橋結合を有
するセルロース繊維を含有するシートが、架橋結合を有
するセルロース繊維:架橋処理されていないセルロース
繊維の絶乾重量比が45:55〜100:0の範囲のセ
ルロース繊維で構成されていることを特徴とする請求項
1記載の複合不織布である。
【0009】本発明においては、熱可塑性樹脂を加熱溶
融して多数の口金から押し出し、次いで紡出された連続
長繊維フィラメント群をエジェクターにより高速高圧エ
アーで延伸しながら引き取り、開繊し、捕集用の支持体
面上に捕集してウェブとし、このウェブに熱圧着処理を
施すことにより得られるスパンボンド不織布が用いられ
るが、これは公知の方法によって製造された不織布で良
い。次いで、前記の不織布の上に、以下に述べるような
繊維内架橋結合とカールを有するセルロース繊維を含有
するシートを積層し、積層体の前記シート側から、微細
なノズル孔からの高圧の水ジェット流或いは水柱流を、
不織布側に貫通するように噴射し、それによって繊維に
運動エネルギーを付与してパルプ繊維と長繊維を交絡さ
せることにより積層体を一体化させて複合不織布とされ
る。
【0010】本発明で用いられる長繊維としては、例え
ば疎水性のポリオレフィン系長繊維、ポリエステル系長
繊維、ポリアミド系長繊維、ポリアクリル酸エステル系
長繊維等を挙げることができ、適宜この中から選択して
使用することができる。又、長繊維の繊度は、1〜7デ
ニール、好ましくは1〜4デニールである。長繊維の繊
度が7デニールを超えると、不織布の柔軟性が低下し、
拭き布として使用した場合の使用感が悪くなる。逆に、
長繊維の繊度が1デニール未満になると、長繊維の製造
条件が厳密になって、長繊維、ひいては不織布を高速度
で製造し難くなる。長繊維として疎水性で熱可塑性を有
する繊維を用いる理由は、長繊維として疎水性のものを
使用すると、親水性のものを使用した場合に比較して、
水を吸収して膨潤し難く、長繊維の湿潤強度が低下し難
いからである。長繊維の湿潤強度が低下し難いと、長繊
維を含有する複合不織布も湿潤強度が低下し難く、濡れ
た状態での使用の際や、洗濯時に破れ易いと言う欠点を
防止しうるからである。
【0011】前記スパンボンド不織布の坪量は、5〜3
0g/m2、好ましくは、5〜20g/m2である。不織
布の坪量が30g/m2を超えると、不織布の片面に繊
維内架橋結合を有するセルロース繊維からなるシートを
積層して、該シート側からスパンボンド不織布側に向け
て高圧水柱流を施しても、シートを構成するセルロース
繊維が前記不織布の裏面(紙シートと当接していない
面)に移動し難くなり、得られた複合不織布の厚み方向
にセルロース繊維が均一に存在せず、吸水性に差が出
て、全体として吸水性が低下する。一方、不織布の坪量
が5g/m2未満になると、不織布の形態安定性が低下
し、得られる複合不織布の湿潤強度が低下する。更に、
長繊維相互間の間隙が大きくなって、高圧水柱流を施し
たときに、その間隙からセルロース繊維が流失し無駄に
なる上、使用済みの高圧水柱流を回収した場合、その中
にセルロース繊維が大量に混入する恐れがある。
【0012】本発明において使用するスパンボンド不織
布は、加熱により長繊維相互間が自己融着したものであ
るが、長繊維相互間が結合していないフリース状の長繊
維フリースであっても良い。しかしながら、長繊維相互
間が自己融着した点融着部が、散点状に多数配置された
スパンボンド不織布が適している。この理由は、長繊維
相互間が自己融着している点融着部を持つ不織布は、形
態安定性に優れると共に点融着部位外の部分において
は、長繊維相互間が自己融着されておらず、自由な状態
で集積されているため、優れた柔軟性が得られ、かつセ
ルロース繊維と良好に交絡し易いからである。
【0013】前記したように、本発明ではスパンボンド
不織布の表面に繊維内架橋結合とカールを有するセルロ
ース繊維を含有するシートを積層する。本発明の特徴
は、このシートとして、化学的及び機械的に特定の処理
が施され、繊維内架橋結合とカールや捻れを付与された
セルロース繊維を特定量含有する繊維から構成されたシ
ートを使用する点にある。本発明において用いられる前
記セルロース繊維としては、針葉樹木材をクラフト法、
サルファイト法、ソーダ法、ポリサルファイド法等で蒸
解して、必要に応じて漂白して得られる未晒パルプ或い
は晒パルプに、セルロース繊維と反応する架橋剤を添加
し、その後機械的撹拌を施し、或いは前記架橋剤の添加
と同時に機械的撹拌を施して、加熱によりセルロース繊
維内に架橋結合とカールが付与、固定化され、フラッフ
化したものが用いられる。
【0014】前記のセルロース繊維の化学的及び機械的
な処理は、特願平7ー16042号、或いは他の公知の
方法に準拠して行われ、いずれにしてもセルロース繊維
に架橋剤を添加した後、或いは前記架橋剤の添加と同時
に機械的撹拌を施し、次いでフラッフ化と加熱処理が行
われ、繊維内架橋とカールや捻れのような変形がセルロ
ース繊維に付与、固定されることからなっている。セル
ロース繊維に添加されて用いられる架橋剤としては、公
知のものを広く使用することができ、例えばホルムアル
デヒド、尿素ーホルムアルデヒド樹脂、メラミンー尿素
ホルムアルデヒド樹脂等の架橋剤、グリオキザール、ジ
アルデヒド化合物等の二官能アルデヒド系の架橋剤、ポ
リカルボン酸系の架橋剤、エチレン尿素系の架橋剤等を
挙げることができ、これらの中から適宜選択して一種或
いは二種以上が使用され、中でも非ホルムアルデヒド系
架橋剤は残留ホルマリンも少なく好適に使用される。し
かしながら、ホルムアルデヒド系架橋剤を用いてもセル
ロース繊維に架橋と変形を付与、固定化した後、そのセ
ルロース繊維を再び水に懸濁させ、残留する未反応の架
橋剤を洗浄、除去すれば良い。
【0015】これらの架橋剤の添加率は、架橋剤の性質
やセルロース繊維への付着性或いは、反応性によって異
なるので一概に限定はできないが、絶乾セルロース繊維
重量当り固形分で1〜10重量%の範囲である。添加方
法は、処理設備、操業効率、得られる効果等を考慮する
と、セルロース繊維に機械的攪拌を施す前に、セルロー
ス繊維のスラリーへ添加する方法、或いは脱水されて特
定の固形分濃度とされて機械的攪拌を施すと同時に添加
する方法が好適である。機械的処理は、セルロース繊維
にカールや捻れの如き変形を付与するために行われ、具
体的には架橋剤を含むセルロース繊維をディスクリファ
イナー、ニーダー、ディスパーザー等を使用して行われ
るが、セルロース繊維にカールや捻れを付与できるもの
であれば装置の形式には特に限定されない。前記機械的
処理は、繊維濃度が20〜40重量%の範囲で行われ
る。繊維濃度が20重量%未満では繊維に機械的撹拌や
混合による剪断力を十分に付与できず、繊維濃度が40
重量%を越える濃度では前記機械的処理の間に、繊維の
微細化が生じ、微細繊維の量が増加し、このような繊維
を含有するシートを用いると高圧水柱流による交絡の際
に繊維の脱落が多くなるので適さない。
【0016】次いで前記セルロース繊維は、セルロース
繊維自身が拘束されない状態で加熱するためフラッフ化
が行われる。フラッフ化の手段としては、公知のフラッ
ファー、ディスクリファイナー、ブレンダー等から適宜
選ばれて用いられる。フラッフ化が完了した架橋剤を含
有し、機械的処理が施されているセルロース繊維は、添
加した架橋剤とセルロース繊維との繊維内架橋反応を促
進し、かつ前記機械的処理で付与されたカール、捻れ等
の変形を固定化するため、加熱処理される。この時の加
熱温度は105〜250℃、好ましくは130〜230
℃で、時間はJIS P 8127による水分が0.5
〜4.0重量%となるのに必要な時間にすればよい。前
記温度が105℃未満では、加熱処理に要する時間がか
かりすぎ、また架橋反応が進行しない。また温度が25
0℃を越える場合、短時間で加熱処理が終了するもの
の、セルロース繊維や架橋剤が熱による劣化を生じるの
で適さない。加熱処理装置としては、静置式、搬送式の
どちらでも良く、又加熱用熱源としては、高温乾きガ
ス、赤外線、高周波等が挙げられ適宜選択して使用され
るが、特に高温乾きガスを使用するフラッシュドライヤ
ーは好適である。
【0017】以上に説明したようにして処理された繊維
内架橋結合を有するセルロース繊維(以下架橋セルロー
ス繊維という)は、以下に記載する試験方法で測定され
る乾燥カールファクターが0.6〜1.5、湿潤カール
ファクターが0.5〜1.3の範囲にあり、さらにJ.
TAPPI紙パルプ試験方法No.26による保水度が
20〜80%の範囲、好ましくは30〜60%の範囲に
ある。とりわけ湿潤カールファクターが1.3を越えて
大きくなるか、又は保水度が20%未満では、架橋セル
ロース繊維と架橋処理されていないセルロース繊維を混
合し、その繊維原料からシートを作製すると、撥水性が
高くなり、地合いのとれたシートが得られない。一方、
湿潤カールファクターが0.5未満であるか、又はセル
ロース繊維の保水度が80%を越えると、繊維内で十分
な量の架橋結合が生成されていないことを意味し、その
ようなセルロース繊維からなるシートを用いて交絡、一
体化した複合不織布としても、複合不織布が水に濡れた
時に満足できる柔軟性が得られないので適さない。前記
架橋セルロース繊維は、単独で、又は架橋処理されてい
ないセルロース繊維と混合して使用することができ、そ
の場合の架橋セルロース繊維と架橋処理されていないセ
ルロース繊維の重量比は、カールファクターと保水度を
考慮して架橋セルロース繊維:架橋処理されていないセ
ルロース繊維の絶乾重量比が45:55〜100:0の
範囲である。架橋セルロース繊維の比が45未満では、
前記パルプ繊維相互間の結合が多くなり、そのようなシ
ートを用いて絡合、一体化して得られる複合不織布の柔
軟性が低下するので適さない。
【0018】架橋セルロース繊維を含有するシートは、
前記のセルロース繊維単独のスラリー或いは混合スラリ
ーを用いて、公知の湿式抄紙機において抄紙して、ドラ
イヤーで乾燥した後得られるが、抄紙の際、例えばポリ
アミド−エピクロルヒドリン樹脂、メラミン樹脂、尿素
樹脂等の湿潤紙力増強剤を、複合不織布の柔軟性を損な
わない範囲でスラリー中に添加して用いてもよい。さら
に、前記架橋セルロース繊維を含有するシートのJIS
P 8118による密度は、0.1〜0.5g/cm
3である。架橋セルロース繊維を含有するシートの密度
が0.5g/cm3を越えたシートを用いて交絡、一体
化させると、シートの上から高圧水中流を施した場合に
シートを構成するセルロース繊維の運動が抑制され、不
織布の長繊維と前記シートを構成する繊維との交絡が不
十分になり、複合不織布の柔軟性が低下する。逆に、前
記シートの密度が0.1g/cm3未満では、同様に高
圧水柱流を施した場合、高圧水柱流によりシートが崩壊
し易くなるので、均一な地合の複合不織布を得ることが
できない。
【0019】前記架橋セルロース繊維を含有するシート
は、予め準備したスパンボンド不織布の片面に積層され
るが、この時にJIS P 8124によるスパンボンド
不織布の坪量と架橋セルロース繊維を含有するシートの
坪量の絶乾重量比は、スパンボンド不織布:架橋セルロ
ース繊維を含有するシートが1:1〜1:19、好まし
くは1:1.2〜1:10の範囲内で調整する。前記不
織布と架橋セルロース繊維を含有するシートとの重量比
が1:1を超えて架橋セルロース繊維を含有するシート
の比が1より減少すると、不織布の長繊維の量に対する
架橋セルロース繊維を含有するシートを構成するセルロ
ース繊維の量が少なくなり、得られる複合不織布の吸水
性や柔軟性が低下する。一方、前記不織布と架橋セルロ
ース繊維を含有するシートの重量比が1:19を超え
て、架橋セルロース繊維を含有するシートを構成する繊
維の全てが不織布の長繊維と強固に結合し難くなり、セ
ルロース繊維が脱落し易くなるので適さない。
【0020】不織布の表面に前記架橋セルロース繊維を
含有するシートを積層した後、該シートの表面から不織
布側に向けて高圧水柱流を噴射する。即ち、積層物のシ
ート側から不織布側へ高圧水柱流が貫通するようにし
て、高圧水柱流を噴射するのである。この高圧水柱流
は、微細な口径、例えば直径が0.01〜0.3mmの
ノズル孔を通して高い圧力、例えば20〜180kg/
cm2の圧力で水を噴射させて得られる。この高圧水柱
流を前記積層物に施すと、高圧水柱流は、まず架橋セル
ロース繊維を含有するシートに衝突して、シートを不織
布に密着させ、次いでこの密着した状態でシートの部分
的な破壊が生じ、その部分のセルロース繊維を単離さ
せ、セルロース繊維に曲げや捻れ等の変形を起こさせる
と共に運動エネルギーを十分に与え、ランダムな運動を
生じさせる。その結果、これらの複合作用によって、セ
ルロース繊維は不織布の長繊維と絡み合い、更に、長繊
維同志も絡合し、セルロース繊維のシートと不織布が一
体化されるのである。
【0021】本発明で用いる架橋されたセルロース繊維
は、架橋によってセルロースの水酸基が封鎖されている
ためセルロース繊維間結合が極めて弱められており、繊
維の吸水速度に優れている。さらに、そのような架橋さ
れたセルロース繊維を構成繊維として含有するシート
は、空隙が多数存在し、密度が極めて低く、嵩高で弾性
率が低く、柔軟性に優れている。このような特性は、複
合不織布とした後も維持されるが、結局このような効果
が得られる程度は、前記架橋されたセルロース繊維の架
橋の程度やそのような繊維のシート中での含有量によっ
て定まるものである。以上詳細に説明した構成としたた
めに本発明の複合不織布は、極めて優れた柔軟性と液体
の吸収性を示す。
【0022】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、勿論本発明はこれらに限定されるものでは
ない。なお、実施例及び比較例中の%は、特に断わらな
い限り重量%を示す。
【0023】実施例1 (1)架橋セルロース繊維の作製 セルロース繊維として針葉樹晒クラフトパルプ(以下N
BKPという)を使用した。遠心脱水によりパルプ濃度
35%に濃縮されたパルプ絶乾30gに、非ホルムアル
デヒド架橋剤(商標:Sumitex NF−500
K、有効成分40%、住友化学工業社製)とその架橋助
剤(商標:Sumitex Accelerator
MX、有効成分25%、住友化学工業社製)を固形分で
絶乾パルプ重量当たりそれぞれ3.0%と1.5%添加
し、次いで水を加えてパルプ濃度を30%に調整した
後、双腕式ニーダー(型式:S1−1、双腕の回転数:
60rpm、100rpm、森山製作所社製)に入れ、
室温にて30分間攪拌処理を施した。その後、処理パル
プを前記ニーダーより取り出し、パルプを手でほぐして
から、50℃の送風式乾燥機にいれ、パルプ水分を55
%となるように調整した。水分を調整したパルプを直ち
に実験用ワーリングブレンダーにより、繊維塊がなくな
るまで離解してフラッフ化し、フラッフ化済みのパルプ
を得た。更に、このフラッフ化済みのパルプを150℃
の送風式乾燥機に入れ30分間加熱処理を行い、水分が
3.5%の架橋セルロース繊維を得た。
【0024】(2)架橋セルロース繊維を含有するシー
トの作製 得られた乾燥済みの架橋セルロース繊維75%とNBK
P25%からなる混合物のスラリーを使用して、実験室
角型手抄きマシーンで坪量50g/m2、密度0.30
g/cm3の架橋セルロース繊維を含有するシートを得
た。 (3)複合不織布の作製 長繊維相互間が自己融着された点接着区域を多数持つポ
リプロピレン樹脂からなるスパンボンド不織布を準備し
た。この不織布を構成する長繊維の繊度は、2.2デニ
ールであり、坪量は、15g/m2であった。このスパ
ンボンド不織布の上に、前記架橋セルロース繊維を含有
するシートを積層した。不織布と架橋セルロース繊維を
含有するシートの絶乾重量比は、不織布:シートが1:
3.3であった。次いで、架橋セルロース繊維を含有す
るシートが上に位置し、不織布が下に位置するようにし
て、金網で形成された移送コンベア上に載置し、この積
層物を20m/分で移送させながら、孔径0.12mm
のノズル孔が0.64mmの間隔で千鳥状に並んで設け
てある高圧水柱流の噴出装置を用いて、50kg/cm
2の水圧で高圧水柱流を噴出させ、前記シートの表面か
ら不織布側に向けて前記水柱流を通過させ、架橋セルロ
ース繊維を含有するシートを構成している繊維と、スパ
ンボンド不織布を構成している長繊維とが交絡、一体化
された複合不織布を得た。
【0025】得られた架橋セルロース繊維、該繊維を含
有するシート及び複合不織布を次に示される試験法によ
って試験し、その品質を評価した。試験法 (A)架橋セルロース繊維の試験法 カールファクター ・乾燥カールファクター 得られた乾燥済みの架橋されたパルプ繊維100本を顕
微鏡用スライドガラス上に置き、画像解析装置を使用し
て、繊維の実際の長さLA及び最大投影長さ(繊維を囲
む長方形の長片の長さに等しい)LBを測定し、カール
ファクターを式(1)から算出し、乾燥カールファクタ
ーとした。数値が高いほど繊維にカールや捻れが多く付
与されていることを示す。 カールファクター=LA/LB−1・・・(1)・湿潤カールファクター 得られた乾燥済みの架橋されたパルプ繊維を水中に1時
間浸積した後の前記パルプ繊維を使用したこと以外は、
乾燥カールファクターと同様にしてカールファクターを
算出し、湿潤カールファクターとした。数値が高いほど
繊維が液体と接触しても、繊維にカールや捻れが保持さ
れており、従ってこのような繊維を用いて作製された吸
収性材料が液体を吸収したとき構造形態がそれだけ変化
を受け難いことの指標となる。
【0026】吸収速度 得られた乾燥済みの架橋されたパルプ繊維4gを採取し
て、40メッシュの金網を底部に張り付けた直径54m
mのアクリル樹脂製パイプの中に導入し、反対側より小
型クリーナーを用いて一定の真空度で吸引し、金網上に
密度0.03g/cm3のパッドを形成させ、吸収性構
造物とした。次いで、パイプ中の吸収性構造物の上に均
一に2.5kPaの圧力相当の荷重をかけ、その時の吸
収性構造物の高さHを測定した。更に荷重をかけたまま
の状態で吸収性構造物の入ったパイプの底面を純水に接
触させ、水が吸収性構造物の上端まで浸透するのに要す
る時間Tを測定した。吸収速度は式(2)によって算出
した。 吸収速度(mm/s)=H/T・・・(2) 但し、Hは荷重をかけた状態での吸収性構造物の高さ
(mm)、Tは水が吸収性構造物の上端まで浸透するの
に要する時間(秒)を示す。保水度 J.TAPPI紙パルプ試験法No.26に基づいて測
定した。
【0027】(B)架橋セルロース繊維を含有するシー
トの試験法シートの密度 JIS P 8118に基づいて測定した。弾性率 超音波伝播速度測定法(「新・紙の科学」:(有)中外
産業調査会刊、1989、335頁)により紙中の伝播
速度を測定し、式(3)により動的弾性率を算出し、弾
性率とした。 弾性率(GPa)=ρ×c2・・・(3) 但し、ρはシートの密度(g/cm3)、cは紙中の伝
播速度(km/s)である。紙中の伝播速度は、ソニッ
クシートテスター(野村商事株式会社製、SST−21
0A)により測定した。弾性率の数値が低いほど、柔軟
性がよいことを示す。
【0028】(C)複合不織布の試験法 吸水速度 蒸留水0.05gを静かに複合不織布のシート側表面上
に滴下し、水が複合不織布中に吸収され、表面から消え
てなくなるまでの時間(秒)を測定し、これを吸水速度
とした。保水率 JIS L 1906に準拠して測定した。複合不織布
から10×10cmの大きさの試験片を3枚採取し、乾
燥器で105℃、30分間乾燥後、その重量(m1)を
1mgまで測定した。25×25×4cmの容器内に水
道水を入れ、室温で試験片をこの中に20分間浸漬し、
その後ピンセットで試験片を水中から取り出し3分間水
を滴り落とした後、その重量(m2)を測定した。保水
率m(%)は、m={(m2ーm1)/m1}×100
から平均値で求めた。柔軟性 複合布の柔軟性を手触りによる官能で評価した。官能評
価は次の5段階で行った。 5・・・ざらざらせず、手触り感に極めて優れている。 4・・・ざらざらせず、手触り感に優れている。 3・・・手触り感は普通である。 2・・・ややざらざらし、手触り感が劣っている。 1・・・ざらざらし、手触り感が悪い。
【0029】架橋されたセルロース繊維の乾燥カールフ
ァクターは、0.79、湿潤カールファクターは、0.
66、保水度は45%であり、この繊維を用いた吸収性
構造物の吸収速度は6.4mm/秒であった。架橋セル
ロース繊維を含有するシートの密度と弾性率の測定結果
及び複合不織布の吸水速度、保水率、手触り感の結果を
表1に示した。
【0030】実施例2 (1)架橋セルロース繊維の作製 セルロース繊維としてNBKPを使用し、架橋セルロー
ス繊維を下記のようにして作製した。パルプ濃度が10
%となるようにパルプの絶乾30gに水と架橋剤を添加
した。架橋剤として、1,5−ペンタンジアール(和光
純薬工業社製)と触媒として硝酸亜鉛・6水和物(和光
純薬工業社製)を固形分で絶乾パルプ重量当たりそれぞ
れ48.5%と14.5%添加した。このパルプスラリ
ーを1N−HCl溶液でpH3.7に調整し、次いで遠
心脱水によりパルプ濃度35%に濃縮した。架橋剤と触
媒の添加量は、パルプ重量当りそれぞれ10%と3.0
%となるように調整された。その後、水を加えてパルプ
濃度を30%に調整して双腕式ニーダーに入れ、室温に
て30分間攪拌処理を施した。以上のようにして処理し
たパルプを前記ニーダーより取り出し、パルプを手でほ
ぐしてから、50℃の送風式乾燥機にいれ、パルプ水分
を55%となるように調整した。水分を調整したパルプ
を直ちに実験用ワーリングブレンダーにより、繊維塊が
なくなるまで離解してフラッフ化し、フラッフ化済みの
パルプを得た。更に、このフラッフ化済みのパルプを1
50℃の送風式乾燥機に入れ30分間加熱処理を行い、
水分が3.5%のパルプを得た。
【0031】次に、未反応の1,5−ペンタンジアール
を除去するため、得られたパルプに水を加えてパルプ濃
度1%として60℃の温水に1時間浸漬した。そのパル
プスラリーを遠心脱水によりパルプ濃度35%迄濃縮
し、50℃の送風式乾燥機にいれ、パルプ水分を55%
となるように調整した。このパルプを直ちに実験用ワー
リングブレンダーにより、繊維塊がなくなるまで再離解
してフラッフ化し、フラッフ化済みのパルプを得た。こ
のパルプを105℃の送風乾燥機に入れ、4時間乾燥し
て、水分が4%の架橋セルロース繊維を得た。このセル
ロース繊維の乾燥カールファクターは0.65、湿潤カ
ールファクターは0.62、この繊維を用いた吸収性構
造物の吸収速度は4.4mm/秒であた。
【0032】(2)架橋セルロース繊維を含有するシー
トの作製 得られた乾燥済みの架橋セルロース繊維50%とNBK
P50%からなる混合物のスラリーを使用して、実験室
角型手抄きマシーンで坪量40g/m2、密度0.33
g/cm3の架橋セルロース繊維を含有するシートを得
た。 (3)複合不織布の作製 不織布と架橋セルロース繊維を含有するシートの絶乾重
量比は、不織布:シートが1:2.8とし、高圧水柱流
を得る際の水圧を60kg/cm2としたこと以外は実
施例1と同様にして交絡、一体化された複合不織布を得
た。架橋セルロース繊維を含有するシートの密度と弾性
率の測定結果及び複合不織布の吸水速度、保水率、手触
り感の結果を表1に示した。
【0033】実施例3 (1)架橋セルロース繊維の作製 セルロース繊維としてNBKPを使用した。遠心脱水に
よりパルプ濃度35%に濃縮されたパルプ絶乾30g
に、架橋剤として2−ヒドロキシプロパン−1,2,3
−トリカルボン酸(和光純薬工業社製)と水酸化ナトリ
ウムを固形分で絶乾パルプ重量当りそれぞれ7%と49
0%添加し、次いで水を加えてパルプ濃度を30%に調
整し、双腕式ニーダーに入れ、室温にて30分間攪拌処
理を施した。その後、処理パルプを前記ニーダーより取
り出し、パルプを手でほぐしてから、50℃の送風式乾
燥機にいれ、パルプ水分を55%となるように調整し
た。水分を調整したパルプを直ちに実験用ワーリングブ
レンダーにより、繊維塊がなくなるまで離解してフラッ
フ化し、フラッフ化済みのパルプを得た。更に、このフ
ラッフ化済みのパルプを150℃の送風式乾燥機に入れ
30分間加熱処理を行い、水分が3.5%のパルプを得
た。
【0034】その後、未反応の2−ヒドロキシプロパン
−1,2,3−トリカルボン酸及び過剰の水酸化ナトリ
ウムを除去するため、得られたパルプに水を加えてパル
プ濃度1%として60℃の温水に1時間浸漬した。その
パルプスラリーを遠心脱水によりパルプ濃度35%に濃
縮し、50℃の送風式乾燥機にいれ、パルプ水分を55
%となるように調整した。再び水分を調整したパルプを
直ちに実験用ワーリングブレンダーにより、繊維塊がな
くなるまで離解してフラッフ化し、フラッフ化済みのパ
ルプを得た。このパルプを105℃の送風乾燥機に入
れ、4時間乾燥して、水分が4%の架橋セルロース繊維
を得た。このセルロース繊維の乾燥カールファクターは
0.73、湿潤カールファクターは0.63、この繊維
を用いた吸収性構造物の吸収速度は3.2mm/秒であ
た。
【0035】(2)架橋セルロース繊維を含有するシー
トの作製 得られた乾燥済みの架橋セルロース繊維90%とNBK
P10%からなる混合物のスラリーを使用して、坪量6
0g/m2、密度0.25g/cm3の架橋セルロース繊
維を含有するシートを得た。 (3)複合不織布の作製 スパンボンド不織布の坪量を10g/m2、不織布と架
橋セルロース繊維を含有するシートの絶乾重量比を不織
布:シート=1:6、さらに高圧水柱流を得る際の水圧
を40kg/cm2としたこと以外は、実施例1と同様
にして交絡、一体化された複合不織布を得た。架橋セル
ロース繊維を含有するシートの密度と弾性率の測定結果
及び複合不織布の吸水速度、保水率、手触り感の結果を
表1に示した。
【0036】比較例1 架橋セルロース繊維とNBKPの重量比が40:60か
らなる架橋セルロース繊維を含有するシートを用いるこ
と以外は、実施例1と同様にして交絡、一体化された複
合不織布を得た。架橋セルロース繊維を含有するシート
の密度と弾性率の測定結果及び複合不織布の吸水速度、
保水率、手触り感の結果を表1に示した。
【0037】比較例2 架橋セルロース繊維を含有するシートの代わりに、NB
KP100%の紙シートを用いること以外は、実施例1
と同様にして交絡、一体化された複合不織布を得た。参
考までに実施例1の試験法に準じて用いたセルロース繊
維の物性を測定した結果、NBKPの乾燥カールファク
ターは、0.74、湿潤カールファクターは、0.3
3、保水度は85%、このセルロース繊維を用いた吸収
性構造物の吸収速度は5.7mm/秒であった。架橋の
ないセルロース繊維からなるシートの密度と弾性率の測
定結果及び複合不織布の吸水速度、保水率、手触り感の
結果を表1に示した。
【0038】比較例3 架橋セルロース繊維の作製時において、NBKPに架橋
剤と架橋助剤を添加せずに、機械的攪拌を行った後、加
熱処理を行い、その後フラッフ化処理を行って得られた
セルロース繊維を用いたこと以外は、実施例1と同様に
して繊維シートを作製し、不織布に積層し、その後高圧
水柱流を施して、絡合、一体化された複合不織布を得
た。機械的処理を施し、フラッフ化したセルロース繊維
のカールファクター、保水度及びそのパルプ繊維を用い
た吸収性構造物の吸収速度は、実施例1と同様にして測
定した結果、乾燥カールファクターは0.50、湿潤カ
ールファクターは0.43、吸収速度は5.2mm/秒
であった。架橋のないセルロース繊維からなるシートの
密度と弾性率の測定結果及び複合不織布の吸水速度、保
水率、手触り感の結果を表1に示した。
【0039】
【表1】
【0040】本発明に用いた架橋セルロース繊維自体は
湿潤カールファクターが高く、保水度が低いという特徴
を有している。従って、このようなセルロース繊維を含
有するシートを用いて複合不織布とした場合は、水に濡
れた状態或いは含水状態でも形態変化を生じ難いものと
なり、繊維自体の保水性は低いが、シート形状での保水
性が高くなる。表1から明らかなように本願発明に用い
た架橋セルロース繊維を45重量%以上含有するシート
は、密度が低く嵩高であり、しかも弾性率が低く、柔軟
性を有する(実施例1〜3)。これに対し、架橋セルロ
ース繊維の含有量が低い場合(比較例1)、架橋処理も
機械的な処理も施されていないパルプ繊維からなるシー
トの場合(比較例2)及び機械的な処理は施されていて
も架橋されていないパルプ繊維〜なるシートの場合(比
較例3)、シートの密度が高く、即ち嵩高性に劣り、弾
性率が高く、柔軟性に欠けるものである。
【0041】また、表1から明らかなように、本発明の
複合シートは、吸水速度と保水率に優れ、即ち素早く液
体を吸収し、吸収した液体を保持する能力に優れ、しか
も柔軟性にも優れている(実施例1〜3)。これに対
し、前記と同様、架橋セルロース繊維の含有量が低いシ
ートを用いた場合(比較例1)、架橋処理も機械的な処
理も施されていないパルプ繊維からなるシートを用いた
場合(比較例2)及び機械的な処理は施されていても架
橋されていないパルプ繊維からなるシートを用いた場合
(比較例3)、吸水速度と保水率が悪く、手触り感が劣
っている。
【0042】
【発明の効果】本発明は、スパンボンド不織布と、繊維
内架橋結合とカールを有するセルロース繊維を含有する
シートとが積層され、高圧水柱流によって、該シートを
構成するセルロース繊維と不織布の長繊維とが交絡、一
体化されている構成からなり、使い捨て手拭き、ウェッ
トティシュ、ワイパー、使い捨て雑巾等に好適に使用し
得る優れた柔軟性と吸水性を有する複合不織布を提供す
るという効果を奏する。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂の連続長繊維フィラメント
    からなるスパンボンド不織布と、繊維内架橋結合とカー
    ルを有するセルロース繊維を含有するシートが積層さ
    れ、高圧水柱流によって、該シートを構成するセルロー
    ス繊維と不織布の長繊維とが交絡、一体化されているこ
    とを特徴とする複合不織布。
  2. 【請求項2】 前記繊維内架橋結合を有するセルロース
    繊維を含有するシートが、架橋結合を有するセルロース
    繊維:架橋処理されていないセルロース繊維の絶乾重量
    比が45:55〜100:0の範囲のセルロース繊維で
    構成されていることを特徴とする請求項1記載の複合不
    織布。
JP7075929A 1995-03-31 1995-03-31 複合不織布 Pending JPH08269858A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7075929A JPH08269858A (ja) 1995-03-31 1995-03-31 複合不織布

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7075929A JPH08269858A (ja) 1995-03-31 1995-03-31 複合不織布

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08269858A true JPH08269858A (ja) 1996-10-15

Family

ID=13590459

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7075929A Pending JPH08269858A (ja) 1995-03-31 1995-03-31 複合不織布

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08269858A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004338384A (ja) * 2003-04-02 2004-12-02 Reifenhaeuser Gmbh & Co Mas Fab ファイバー積層体の製造方法
JP2007009356A (ja) * 2005-06-29 2007-01-18 Daiwabo Co Ltd 積層不織布およびその製造方法
JP2011032631A (ja) * 2010-10-25 2011-02-17 Daiwabo Holdings Co Ltd 化粧用シートおよびその製造方法
JP2019043102A (ja) * 2017-09-06 2019-03-22 花王株式会社 積層シート及びその製造方法
JP2020084385A (ja) * 2018-11-29 2020-06-04 日本製紙クレシア株式会社 複合型不織布ワイパーとその製造方法
WO2022046763A3 (en) * 2020-08-24 2022-09-01 International Paper Company Composite having improved in-plane permeability and absorbent article having improved fluid management
WO2022192371A1 (en) * 2021-03-09 2022-09-15 International Paper Company Feminine hygiene product including composite having improved in-plane permeability

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004338384A (ja) * 2003-04-02 2004-12-02 Reifenhaeuser Gmbh & Co Mas Fab ファイバー積層体の製造方法
JP2007009356A (ja) * 2005-06-29 2007-01-18 Daiwabo Co Ltd 積層不織布およびその製造方法
JP4721788B2 (ja) * 2005-06-29 2011-07-13 ダイワボウホールディングス株式会社 積層不織布およびその製造方法
JP2011032631A (ja) * 2010-10-25 2011-02-17 Daiwabo Holdings Co Ltd 化粧用シートおよびその製造方法
JP4722222B2 (ja) * 2010-10-25 2011-07-13 ダイワボウホールディングス株式会社 化粧用シートおよびその製造方法
JP2019043102A (ja) * 2017-09-06 2019-03-22 花王株式会社 積層シート及びその製造方法
JP2020084385A (ja) * 2018-11-29 2020-06-04 日本製紙クレシア株式会社 複合型不織布ワイパーとその製造方法
WO2022046763A3 (en) * 2020-08-24 2022-09-01 International Paper Company Composite having improved in-plane permeability and absorbent article having improved fluid management
GB2617657A (en) * 2020-08-24 2023-10-18 Int Paper Co Composite having improved in-plane permeability and absorbent article having improved fluid management
WO2022192371A1 (en) * 2021-03-09 2022-09-15 International Paper Company Feminine hygiene product including composite having improved in-plane permeability

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3170594B2 (ja) セルロース系繊維
KR101184442B1 (ko) 처리된 셀룰로오스성 섬유 및 이로부터 제조된 흡수 제품
CN106687633B (zh) 可分散的无纺织物及其制备方法
JP3129192B2 (ja) 水崩壊性不織布及びその製造方法
CN110506137B (zh) 天然纤维基短纤维、制造这种天然纤维基短纤维的方法和设备
RU2769362C1 (ru) Биоразлагаемый нетканый материал, содержащий древесную массу, и способ его изготовления
JP3680456B2 (ja) 拭き布用複合シート
JP3284960B2 (ja) 水解性不織布およびその製造方法
JPH10503811A (ja) ポリアクリル酸ポリマーによって橋かけ結合された個別化セルロース繊維
JPH10502136A (ja) ポリアクリル酸ポリマーによって橋かけ結合された個別化セルロース繊維を含有する吸収性構造体
CN1070944C (zh) 射流喷网法无纺材料及其生产方法
JPH08269858A (ja) 複合不織布
JP2023510798A (ja) 個別化靭皮繊維を含む柔軟なソフトワイプ
EP1261767B1 (en) Composite nonwoven fabric and process for its manufacture
US20030211800A1 (en) Composite nonwoven fabric and process for its manufacture
EP0699793B1 (en) Process for producing waterabsorbent cross-linked, carboxyalkylated cellulose-containing material
JP3139215B2 (ja) パルプ複合シート
JPH0985870A (ja) 拭き布
JPH09291456A (ja) 消臭性を有する複合不織布の製造方法
KR20220104673A (ko) Cmc-기반 결합제를 포함한 분산성 부직포 재료
JPH0978434A (ja) 拭き布
EP0638679B1 (en) Water-absorbent nonwoven fabric and process for producing same
CN114502785A (zh) 低粉尘气流成网非织造材料
JP2023154569A (ja) 不織布、不織布の製造方法
JP3453633B2 (ja) 拭き布の製造方法