JP3163770B2 - 拭き布の製造方法 - Google Patents

拭き布の製造方法

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JP3163770B2
JP3163770B2 JP21635692A JP21635692A JP3163770B2 JP 3163770 B2 JP3163770 B2 JP 3163770B2 JP 21635692 A JP21635692 A JP 21635692A JP 21635692 A JP21635692 A JP 21635692A JP 3163770 B2 JP3163770 B2 JP 3163770B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、使い捨て手拭き,ウェ
ットティシュー,ワイパー,使い捨て雑巾等の拭き布の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、使い捨て手拭き等の拭き布と
して、パルプ繊維を嵩高に集積してなる乾式パルプシー
トに、水や薬剤等をしみこませたものが使用されてい
る。しかし、乾式パルプシートは、水や薬剤等をしみこ
ませた後の濡れ強度が低く、使用中に破れ易いという欠
点があった。
【0003】一方、親水性繊維であるレーヨン繊維を集
積した後、レーヨン繊維相互間をゴム系結合剤で結合し
た不織布に、水等をしみこませたものも使用されてい
る。この拭き布は、レーヨン繊維相互間が結合されてい
るので、高い濡れ強度を示すものである。しかし、拭き
布にゴム系結合剤が含有されているため、異臭がすると
いう欠点があった。また、ゴム系結合剤のざらざらとし
た手触りのため、拭き布の使用感が悪いという欠点もあ
った。このため、ゴム系結合剤を使用せずに、レーヨン
繊維相互間を絡合させた不織布を使用するという試みも
行なわれている。レーヨン繊維相互間の絡合には、レー
ヨン繊維が集積されたウェブに高圧水柱流を施すことが
考えられる。このようにして得られた拭き布は、異臭が
することがなく、またざらざらした手触り感がなくな
り、好ましいものである。しかしながら、レーヨン繊維
よりなる拭き布には、以下に示すような致命的な欠点が
あった。即ち、レーヨン繊維は親水性に優れているた
め、拭き布として使用した場合、水を良く吸収して膨潤
し、その剛性が極端に低下するということがあった。レ
ーヨン繊維の剛性が低下すれば、拭き布の剛性も低下
し、拭き布を手指で把持したときの反発力が低下し、使
用しにくいという致命的な欠点を惹起するのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このため、本件出願人
は、上記欠点を解決しようとして種々研究を行なった。
その結果、基本的には、以下に示すような方法で拭き布
を得ることによって、上記欠点を解決することに成功し
た。即ち、疎水性長繊維よりなる長繊維ウェブとパルプ
繊維よりなる紙シートとを積層した後、紙シート側から
長繊維ウェブ側に向けて高圧水柱流を施すことにより、
長繊維とパルプ繊維とを絡合させて拭き布を得るという
方法である(特願平3-204875号、特願平4-89650号及び
特願平4-113048号等)。この拭き布は、水を吸収しにく
い疎水性長繊維が主体となって形態を保持しているた
め、使用中に剛性が低下して、手指で把持しにくくなる
という欠点を良好に防止しうるのである。また、疎水性
長繊維にパルプ繊維が絡合しているため、水の吸収力も
低下せず、拭き布として好適に使用しうるのである。
【0005】しかしながら、前記の方法で得られた拭き
布には、その製造方法に由来する欠点が存在した。この
拭き布は、疎水性長繊維よりなる長繊維ウェブとパルプ
繊維よりなる紙シートとを積層して、紙シート側から長
繊維ウェブ側に向けて高圧水柱流を施すため、拭き布に
表裏差が生じるのである。即ち、長繊維ウェブの片面に
紙シートを積層して、高圧水柱流を施すと、紙シートが
積層されていない長繊維ウェブの面ではパルプ繊維の量
が少なく、紙シートが積層された長繊維ウェブ面ではパ
ルプ繊維の量が多くなって、得られた拭き布の吸水性,
手触り感及び表面性が表裏において異なってくるのであ
る。また、長繊維ウェブの両面に紙シートを積層して、
高圧水柱流を施しても、高圧水柱流が直接施された側で
はパルプ繊維の量が多くなり、長繊維ウェブを貫通した
後に高圧水柱流が施される側ではパルプ繊維の量が少な
くなる。これは、長繊維ウェブを貫通した後の高圧水柱
流は、そのエネルギーが低下しており、長繊維とパルプ
繊維との絡合が不十分となって、パルプ繊維が一部脱落
するからである。更には、長繊維ウェブの片面に紙シー
トを積層して高圧水柱流を施した後、この長繊維ウェブ
の他面に紙シートを積層して高圧水柱流を施すことも考
えられる。しかし、この場合、最初に長繊維とパルプ繊
維とを絡合させた面(長繊維ウェブの片面)においてパ
ルプ繊維の量が少なくなり、後で長繊維とパルプ繊維と
を絡合させた面(長繊維ウェブの他面)においてパルプ
繊維の量が多くなるのである。これは、後で施した高圧
水柱流によって、最初に絡合したパルプ繊維が脱落して
ゆく傾向を示すからである。
【0006】従って、以上説明した方法で拭き布を製造
した場合、いずれにしても拭き布に、パルプ繊維量の差
による表裏差が出ることを回避することが困難であっ
た。拭き布にこのような表裏差が出ると、吸水性,手触
り感及び表面性が表裏において異なり、使用する際に表
裏を気にしなければならず、煩わしさがあるという欠点
が生じる。また、拭き布を乾燥状態で使用する場合、そ
の表裏においてパルプ繊維の量が異なるため、雰囲気湿
度によって、拭き布にカール(曲がり)が発生するとい
う欠点があった。即ち、パルプ繊維は雰囲気湿度によっ
て含有する水分率が大きく変化するため、雰囲気湿度が
低いとパルプ繊維量の多い側にカールし、逆に雰囲気湿
度が高いとパルプ繊維量の少ない側にカールし、拭き布
を使用しにくいという欠点があったのである。
【0007】そこで、本発明者等は、この拭き布のパル
プ繊維量の少ない側には疎水性長繊維が多く露出してお
り、この疎水性長繊維は熱可塑性という性質を持ってい
ることに着目して、本発明に到達したのである。即ち、
本発明は、前記の方法で得られた二枚の拭き布のパルプ
繊維量の少ない面同士を当接し、そして長繊維の熱可塑
性を利用して、ある特定の手段で二枚の拭き布を貼合す
ることによって、表裏共にパルプ繊維量を同程度に多く
して、表裏差が出るのを防止すると共に雰囲気湿度の変
化によってカールが生じるのを防止しようするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、疎水性且つ熱
可塑性長繊維が集積されてなる長繊維ウェブの片面に、
多数のパルプ繊維よりなる紙シートを積層した後、該紙
シート側から該長繊維ウェブ側に向けて高圧水柱流を施
すことにより、該パルプ繊維と該長繊維とを絡合させて
複合シートを得た後、該複合シートの前記紙シート非積
層面同士が当接するようにして、二枚の該複合シートを
積層した後、該長繊維を部分的に軟化又は溶融させるこ
とにより、間隔を置いた点融着区域を設けて、二枚の該
複合シートを貼合させることを特徴とする拭き布の製造
方法に関するものである。
【0009】本発明においては、疎水性で且つ熱可塑性
の長繊維が集積されてなる長繊維ウェブを準備する。例
えば、このような長繊維ウェブは、疎水性で且つ熱可塑
性の樹脂を溶融紡糸して長繊維を得、この長繊維を捕集
コンベア上に堆積することによって得ることができる。
ここで、長繊維としては、例えばポリオレフィン系長繊
維,ポリエステル系長繊維、ポリアミド系長繊維,ポリ
アクリル酸エステル系長繊維等を使用することができ
る。本発明において、長繊維を使用する理由は、長繊維
よりなる長繊維ウェブは、短繊維よりなる短繊維ウェブ
よりも、繊維間が絡合している場合、引張強度や形態安
定性に優れているからである。更に、長繊維の場合、高
圧水柱流を施しても、水柱流と共に流失しにくいからで
ある。また、長繊維の繊度は、1〜4デニールであるのが
好ましい。長繊維の繊度が4デニールを超えると、長繊
維ウェブの柔軟性が低下し、拭き布として使用した場合
の使用感が低下する傾向が生じる。逆に、長繊維の繊度
が1デニール未満になると、長繊維の製造条件等が厳密
になって、長繊維、ひいては長繊維ウェブを高速度で製
造しにくくなる傾向が生じる。また、長繊維として疎水
性で且つ熱可塑性のものを使用するのは、以下の理由か
らである。即ち、長繊維として疎水性のものを使用する
と、親水性のものを使用した場合に比べて、水を吸収し
て膨潤しにくく、長繊維の剛性が低下しにくいからであ
る。長繊維の剛性が低下しにくいと、長繊維を含有する
拭き布も剛性が低下しにくく、拭き布を手指で把持した
ときの反発力が低下するのを防止しうるからである。更
に、長繊維として熱可塑性のものを使用したのは、後述
するところから明らかになるように、本発明において
は、この熱可塑性を利用し、二枚の複合シートを貼合し
て拭き布を得るためである。
【0010】また、長繊維ウェブの坪量は、5〜30g/
2であるのが好ましい。特に、5〜20g/m2であるの
が最も好ましい。長繊維ウェブの坪量が30g/m2を超
えると、長繊維ウェブの片面に紙シートを積層して、紙
シート側から長繊維ウェブ側に向けて高圧水柱流を施し
ても、紙シートを構成するパルプ繊維が、長繊維ウェブ
の裏面(紙シートの非積層面)に殆ど移動しにくくな
り、厚み方向における吸水性に差が出てくる傾向とな
る。逆に、長繊維ウェブの坪量が5g/m2未満になる
と、長繊維ウェブの形態安定性が低下し、得られる拭き
布の湿潤強度が低下する傾向が生じる。更に、長繊維相
互間の間隙が大きくなって、高圧水柱流を施したとき
に、その間隙からパルプ繊維が流出してしまい、使用後
の高圧水柱流を回収した場合、その中にパルプ繊維が大
量に混入する恐れが生じる。なお、本発明において使用
する長繊維ウェブは、長繊維相互間が自己融着した、い
わゆる長繊維不織布であってもよいし、また長繊維相互
間が結合していないフリース状の長繊維フリースであっ
てもよい。特に、前者の長繊維不織布のうちでも、長繊
維相互間が自己融着した点融着部が、散点状に多数配置
されたものを使用するのが好ましい。この理由は、長繊
維相互間が自己融着している点融着部を持つため、形態
安定性に優れると共に、点融着部以外の部分においては
長繊維相互間が自己融着されておらず、自由な状態で集
積されているため、柔軟性に優れ、且つパルプ繊維と良
好に絡合しやすいからである。
【0011】以上のようにして準備した長繊維ウェブの
片面に、紙シートを積層する。この紙シートは多数のパ
ルプ繊維よりなるものである。紙シートとしては、従来
公知の種々の任意のものを使用することができる。紙シ
ートの坪量も、任意に決定しうる事項であるが、特にJI
S P 8124に示された方法で測定した坪量が10〜80g/m
2である紙シートを使用するのが好ましい。紙シートの
坪量が10g/m2未満であると、パルプ繊維の絶対量が
少なく、得られる拭き布に十分な吸水性や保水性を与え
にくくなるという傾向が生じる。逆に、紙シートの坪量
が80g/m2を超えると、得られる拭き布の全体の坪量
が大きくなりすぎて、拭き布の柔軟性が低下する傾向が
生じる。また、パルプ繊維の絶対量が多すぎると、後の
工程で長繊維を軟化又は溶融させるための熱エネルギー
が多大となって合理的ではない。更に、熱エネルギーが
不足して長繊維を軟化又は溶融させにくくなる傾向が生
じる。
【0012】紙シートを構成するパルプ繊維としては、
針葉樹及び広葉樹木材をクラフト法,サルファイト法,
ソーダ法,ポリサルファイド法等で蒸解された未晒パル
プ繊維若しくは晒パルプ繊維、又はグランドパルプ繊
維,サーモメカニカルパルプ繊維等の機械パルプ繊維
を、単独で又は混合して使用することができる。針葉樹
パルプ繊維と広葉樹パルプ繊維の重量配合比は、好まし
くは、針葉樹パルプ繊維/広葉樹パルプ繊維=100〜20
/0〜80、最も好ましくは100〜40/0〜60の範囲であ
る。広葉樹パルプ繊維が80%を超えると、高圧水柱流に
よるパルプの消失量が増加するばかりでなく、絡合後の
シートの柔軟性が低下する傾向となる。また、本発明に
使用される紙シートの密度(JIS P 8118に示された方法
で測定)は、0.6g/cm3以下であるのが好ましい。紙シ
ートの密度が0.6g/cm3を超えると、紙シートの上から
高圧水柱流を施した場合に、パルプ繊維の運動が抑制さ
れ、長繊維とパルプ繊維との絡合が不十分になる傾向が
生じ、絡合後のシートの柔軟性が低下する傾向が生じ
る。パルプを含有するスラリーを抄紙して紙シートを得
る際、例えば、ポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂或
いはその変性物、ポリアミン・エピクロルヒドリン樹
脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等の湿潤紙力増強剤をスラ
リー中に添加してもよい。
【0013】この紙シートは、予め準備した長繊維ウェ
ブの片面に積層される。この際、長繊維ウェブの坪量と
紙シートの坪量の比は、以下のようにするのが好まし
い。即ち、長繊維ウェブの坪量と、JIS P 8124に示され
た方法で測定した紙シートの坪量の比が、長繊維ウェブ
/紙シート=1/1〜19となるようにするのが、好まし
い。長繊維ウェブ/紙シート=1/1未満となると、長繊
維の量に対して、相対的にパルプ繊維の量が少なくな
り、得られる拭き布の吸水性や保水性が低下する傾向が
生じる。また、長繊維に対して、廉価なパルプ繊維の量
が少なくなることによって、得られる拭き布自体が高価
になるという傾向が生じる。逆に、長繊維ウェブ/紙シ
ート=1/19を超えて、紙シートの坪量が重くなると、
紙シートを構成するパルプ繊維の全てが強固に長繊維と
絡合しにくくなり、得られる拭き布を湿潤させて使用し
た場合に、パルプ繊維が脱落しやすくなる傾向が生じ
る。
【0014】長繊維ウェブの片面に紙シートを積層した
後、紙シートの表面から長繊維ウェブ側に向けて高圧水
柱流を施す。即ち、積層物の紙シート側から長繊維ウェ
ブ側へ高圧水柱流が貫通するようにして、高圧水柱流を
施すのである。この高圧水柱流は、微細な直径のノズル
孔を通して、高圧で水を噴出させて得られるものであ
る。例えば、孔径0.01〜0.3mm程度のノズル孔を通し
て、20〜150kg/cm2程度の圧力で水を噴出させて得られ
るものである。この高圧水柱流を積層物に施すと、高圧
水柱流は紙シートに衝突する。そして、紙シートはまず
長繊維ウェブ上に密着し、次いでこの密着した状態で、
紙シートの破壊が生じ、紙シートを構成するパルプ繊維
を単離させ、パルプ繊維に曲げや捩れ等の変形を起こさ
せると共に、パルプ繊維に運動エネルギーを十分に与
え、このパルプ繊維にランダムな運動を生じさせる。そ
の結果、これらの複合作用によって、パルプ繊維と長繊
維ウェブ中の長繊維とが絡み合い、更に、このパルプ繊
維によって長繊維同士も絡合することになるのである。
以上のようにしてパルプ繊維と長繊維とが絡合した複合
シートを得るのである。
【0015】この複合シートは、長繊維ウェブの片面に
紙シートを積層し、この紙シート側から高圧水柱流を施
して得られたものであるため、紙シートが積層された側
においてはパルプ繊維量が多く、紙シートが積層されて
いない側においてはパルプ繊維量が少なくなっている。
このような複合シートを二枚準備して、パルプ繊維量の
少ない側、即ち複合シートを得る際に紙シートが積層さ
れなかった面同士が当接するようにして積層する。そし
て、長繊維が熱可塑性であることを利用して、長繊維を
部分的に軟化又は溶融させる。この軟化又は溶融は、一
般的に、二枚の複合シート中の熱可塑性長繊維に同時に
起こり、その粘着力によって二枚の複合シート中の長繊
維が融着するのである。また、この軟化又は溶融は、二
枚の複合シート中、一方の複合シートの熱可塑性長繊維
のみに生じさせてもよく、一方のみの熱可塑性長繊維の
粘着力によって二枚の複合シート中の長繊維を融着させ
てもよい。このようにして、熱可塑性長繊維の軟化又は
溶融が部分的に起こることにより、間隔を置いた点融着
区域を形成させ、二枚の複合シートを貼合するのであ
る。
【0016】この二枚の複合シートを積層した後、熱可
塑性長繊維を部分的に軟化又は溶融させる方法として
は、例えば、積層体を、加熱された凹凸ロールと平滑ロ
ールの間に導入することによって行なう。この場合、加
熱された凹凸ロールの凸部が積層体に当接することによ
って、熱可塑性長繊維に熱が与えられ、凸部に対応する
箇所に存在する熱可塑性長繊維の部位が軟化又は溶融す
るのである。一方、凹凸ロールの凹部に対応する箇所に
存在する熱可塑性長繊維の部位は軟化又は溶融せず、そ
のままの状態を維持する。従って、この積層体には、凹
凸ロールの凸部に対応する箇所のみで熱可塑性長繊維同
士が融着し、間隔を置いた点融着区域が形成されるので
ある。また、熱可塑性長繊維を部分的に軟化又は溶融さ
せる方法として、凹凸ロールと超音波ホーンとの間に、
積層体を導入する方法も採用することができる。この場
合、凹凸ロールの凸部と超音波ホーンとの間で超音波が
発振され、熱可塑性長繊維に摩擦熱を与え、この熱で熱
可塑性長繊維が部分的に軟化又は溶融するのである。以
上の如き方法によって、二枚の複合シートが貼合される
のである。この貼合は、前記したところから明らかなよ
うに、間隔を置いた点融着区域によって行なわれる。従
って、二枚の複合シート間の接着部分は、散点状になっ
ており、得られる拭き布の柔軟性が低下するのを防止し
うる。また、二枚の複合シート間の未接着部分では、吸
収した水を保持若しくは透過することができるため、吸
水性の低下を防止しうると共に拭き布の洗浄性をも向上
させることができる。
【0017】本発明において、接着部分となる点融着区
域の個々の面積は、0.01〜4mm2であるのが好ましい。点
融着区域の個々の面積が0.01mm2未満になると、接着部
分が小さすぎて、接着力が不足し、二枚の複合シートが
剥離する傾向となる。逆に、点融着区域の個々の面積が
4mm2を超えると、接着部分が大きすぎて、得られる拭き
布の柔軟性が低下する傾向となる。また、点融着区域の
総面積は、拭き布の表面積に対して2〜20面積%である
のが好ましい。点融着区域の総面積が2面積%未満にな
ると、全体としての接着力が不足し、二枚の複合シート
が剥離する傾向となる。逆に、点融着区域の総面積が20
面積%を超えると、全体としての接着箇所が多くなっ
て、得られる拭き布の柔軟性が低下したり、又は吸水性
若しくは水の透過性が低下する傾向となる。
【0018】以上のようにして得られる、二枚の複合シ
ートが貼合されてなる拭き布は、表裏共に同程度に多く
のパルプ繊維量を持つもので、表裏差の少ないものであ
り、またこれらのパルプ繊維は長繊維と絡合されてなる
ものである。そして、この拭き布はそのままで、又は所
望に応じて、水やプロピレングリコール等の湿潤剤,ア
ルコール類やパラ安息香酸エステル等の抗菌剤,防黴
剤,香料等の薬剤等が付与されて、使い捨て手拭き,ウ
ェットティシュー,ワイパー,使い捨て雑巾等として使
用されるのである。
【0019】
【実施例】
実施例1 ポリプロピレン長繊維が集積されてなり、且つこのポリ
プロピレン長繊維相互間が自己融着された点融着部を多
数持つ長繊維不織布を準備した。この長繊維不織布を構
成する長繊維の繊度は、2.3デニールであり、長繊維不
織布の坪量は、14g/m2であった。この長繊維不織布
の片面に、針葉樹晒クラフトパルプを用い湿式抄紙して
得られた紙シートを積層した。この紙シートは、JIS P
8124に示された方法で測定した坪量が35g/m2であっ
た。次いで、紙シートが上に位置し、長繊維不織布が下
に位置するようにして、金網で形成された移送コンベア
上に載置した。次いで、この積層物を20m/分の速度で
移送させながら、孔径0.12mmのノズル孔が0.64mm間隔で
千鳥状に並んでいる高圧水柱流噴出装置を用いて、40kg
/cm2の水圧で高圧水柱流を噴出させ、紙シートの表面
に高圧水柱流を施した。以上のようにして、紙シートを
構成しているパルプ繊維と、長繊維不織布を構成してい
る長繊維とが絡合して、両者が一体化された複合シート
を得た。
【0020】次に、この複合シートを二枚準備して、紙
シートが積層されなかった長繊維不織布の他面(パルプ
繊維量の少ない面)同士を当接して積層した。従って、
この積層体の表面及び裏面は、紙シートが積層された長
繊維不織布の片面側(パルプ繊維量の多い面)となって
いる。そして、この積層体を、多数の点状の凸部を持つ
加熱凹凸ロールと平滑ロールとの間に導入して、二枚の
複合シートを貼合して拭き布を得た。使用した加熱凹凸
ロールは、その凸部の先端は丸形で直径が0.6mm(先端
面積約0.28mm2)であり、また凸部の総面積は凹凸ロー
ル表面積に対して9面積%であった。また、凹凸ロール
の温度は130℃であり、凹凸ロールと平滑ロール間の線
圧は、80kg/cmであった。以上のようにして得られた、
二枚の複合シートが貼合されてなる拭き布は、散点状に
配置された点融着区域を持つものであり、この点融着区
域の個々の面積は0.28mm2で、点融着区域の総面積は拭
き布の表面積に対して9面積%であった。
【0021】実施例2 ポリエチレンテレフタレート長繊維が集積されてなり、
且つこのポリエチレンテレフタレート長繊維相互間が自
己融着された点融着部を多数持つ長繊維不織布を準備し
た。この長繊維不織布を構成する長繊維の繊度は、2.4
デニールであり、長繊維不織布の坪量は、12g/m2
あった。この長繊維不織布の表面に、針葉樹晒クラフト
パルプ90重量%と広葉樹晒クラフトパルプ10重量%のパ
ルプ混合物を用い、湿式抄紙して得られた紙シートを積
層した。この紙シートは、JIS P8124に示された方法で
測定した坪量が40g/m2であった。そして、紙シート
が上に位置し、長繊維不織布が下に位置するようにし
て、金網で形成された移送コンベア上に載置した。次い
で、この積層物を20m/分の速度で移送させながら、孔
径0.12mmのノズル孔が0.64mm間隔で千鳥状に並んでいる
高圧水柱流噴出装置を用いて、40kg/cm2の水圧で高圧
水柱流を噴出させ、紙シートの表面に高圧水柱流を施し
た。以上のようにして、紙シートを構成しているパルプ
繊維と、長繊維不織布を構成している長繊維とが絡合し
て、両者が一体化された複合シートを得た。
【0022】次に、この複合シートを二枚準備して、紙
シートが積層されなかった長繊維不織布の他面(パルプ
繊維量の少ない面)同士を当接して積層した。従って、
この積層体の表面及び裏面は、紙シートが積層された長
繊維不織布の片面側(パルプ繊維量の多い面)となって
いる。そして、この積層体を、多数の点状の凸部を持つ
加熱凹凸ロールと平滑ロールとの間に導入して、二枚の
複合シートを貼合して拭き布を得た。使用した加熱凹凸
ロールは、その凸部の先端の面積が0.07mm2であり、ま
た凸部の総面積は凹凸ロール表面積に対して5面積%で
あった。また、凹凸ロールの温度は220℃であり、凹凸
ロールと平滑ロール間の線圧は、70kg/cmであった。以
上のようにして得られた、二枚の複合シートが貼合され
てなる拭き布は、散点状に配置された点融着区域を持つ
ものであり、この点融着区域の個々の面積は0.07mm
2で、点融着区域の総面積は拭き布の表面積に対して5面
積%であった。
【0023】実施例3 ポリプロピレン長繊維が集積されてなり、且つこのポリ
プロピレン長繊維相互間が自己融着された点融着部を多
数持つ長繊維不織布を準備した。この長繊維不織布を構
成する長繊維の繊度は、2.3デニールであり、長繊維不
織布の坪量は、10g/m2であった。この長繊維不織布
の片面に、針葉樹晒クラフトパルプを用い湿式抄紙して
得られた紙シートを積層した。この紙シートは、JIS P
8124に示された方法で測定した坪量が45g/m2であっ
た。次いで、紙シートが上に位置し、長繊維不織布が下
に位置するようにして、金網で形成された移送コンベア
上に載置した。次いで、この積層物を20m/分の速度で
移送させながら、孔径0.15mmのノズル孔が1mm間隔で並
んでいる高圧水柱流噴出装置を用いて、40kg/cm2の水
圧で高圧水柱流を噴出させ、紙シートの表面に高圧水柱
流を施した。以上のようにして、紙シートを構成してい
るパルプ繊維と、長繊維不織布を構成している長繊維と
が絡合して、両者が一体化された複合シートを得た。
【0024】次に、この複合シートを二枚準備して、紙
シートが積層されなかった長繊維不織布の他面(パルプ
繊維量の少ない面)同士を当接して積層した。従って、
この積層体の表面及び裏面は、紙シートが積層された長
繊維不織布の片面側(パルプ繊維量の多い面)となって
いる。そして、この積層体を、多数の点状の凸部を持つ
凹凸ロールと超音波ホーンとの間に導入して、二枚の複
合シートを貼合して拭き布を得た。使用した加熱凹凸ロ
ールは、その凸部の先端の面積は1mm2であり、また凸部
の総面積は凹凸ロール表面積に対して12面積%であっ
た。以上のようにして得られた、二枚の複合シートが貼
合されてなる拭き布は、散点状に配置された点融着区域
を持つものであり、この点融着区域の個々の面積は1mm2
で、点融着区域の総面積は拭き布の表面積に対して12面
積%であった。
【0025】比較例1 実施例1で得られた複合シートの一枚を、そのまま拭き
布として使用した。
【0026】比較例2 実施例2で得られた複合シートの一枚を、そのまま拭き
布として使用した。
【0027】比較例3 実施例1で使用した長繊維不織布を、そのまま拭き布と
して使用した。
【0028】比較例4 実施例1で使用した紙シートを、そのまま拭き布として
使用した。
【0029】実施例1〜3及び比較例1〜4に係る拭き
布を下記のテストに供し、その品質を評価した。 記 [吸水性]:拭き布の吸水性を官能評価によって判定し
た。官能評価は、次の5段階で行なった。5…極めて速
やかに水を吸水した。4…速やかに水を吸水した。3…
吸水性は普通であった。2…ゆっくりと水を吸水した。
1…吸水性は不良であった。 [吸水性の表裏差]:拭き布の吸水性の表裏差を官能評
価によって判定した。官能評価は、次の5段階で行なっ
た。5…吸水性に全く表裏差はなかった。4…吸水性に
やや表裏差があった。3…吸水性に表裏差があった。2
…吸水性の表裏差が大きかった。1…吸水性の表裏差が
極めて大きかった。 [拭き取り性]:拭き布を水に浸漬した後、軽く絞った
状態で机を擦り、拭き取り性を目視による官能で評価し
た。官能評価は、次の5段階で行なった。5…拭き取り
性が極めて優れていた。4…拭き取り性に優れていた。
3…拭き取り性は普通であった。2…拭き取り性がやや
不良であった。1…拭き取り性が不良であった。 [柔軟性]:拭き布の柔軟性を手触りによる官能で評価
した。官能評価は、次の5段階で行なった。5…極めて
柔軟であった。4…柔軟であった。3…柔軟性は普通で
あった。2…柔軟性にやや劣っていた。1…柔軟性に劣
っていた。 [繰り返し使用性]:拭き布を水に浸漬した後、軽く絞
り、次いで手で揉むという操作を繰り返して、官能で評
価した。官能評価は、次の5段階で行なった。5…拭き
布の強度は殆ど低下せず、十分に繰り返し使用可能であ
った。4…拭き布の強度は若干低下したものの、繰り返
し使用可能であった。3…拭き布の強度が低下したが、
数回程度の繰り返し使用には耐えられた。2…拭き布の
強度が低下し、繰り返し使用可能とは言えなかった。1
…拭き布の強度低下が激しく、繰り返し使用は不可能で
あった。 [手触り感の表裏差]:表裏差を手触りによる官能で評
価した。官能評価は、次の5段階で行なった。5…表裏
差がなく極めて良好であった。4…表裏差が殆どなく良
好であった。3…表裏差があった。2…表裏差が大きか
った。1…表裏差が極めて大きかった。 [カール性]:拭き布を20℃で相対湿度30%の雰囲気下
に24時間放置し、カールの状態を目視による官能で評価
した。官能評価は、次の5段階で行なった。5…カール
は全く認められなかった。4…わずかにカールが認めら
れた。3…ややカールが認められた。2…大きなカール
が認められた。1…極めて大きなカールが認められた。
【0030】以上の品質評価の結果は、表1に示したと
おりであった。
【表1】
【0031】以上の結果明らかなように、実施例1〜3
に係る方法で得られた拭き布は、比較例1及び2に係る
方法で得られた拭き布に比べて、手触り感及び吸水性に
おいて表裏差がなく、しかもカールしにくいものであっ
た。また、比較例3に係る拭き布に比べて、吸水性及び
拭き取り性に優れているものであった。更に、比較例4
に係る拭き布に比べて、柔軟性に優れ、且つ濡れた状態
における引張強度が高く、繰り返し使用性に優れている
ものであった。
【0032】
【作用及び発明の効果】以上説明したように、本発明に
係る拭き布の製造方法は、疎水性且つ熱可塑性長繊維と
パルプ繊維とが絡合し、片面においてパルプ繊維量が多
く、他面においてパルプ繊維量の少ない複合シートを二
枚準備し、パルプ繊維量の少ない面同士を積層して、長
繊維の熱可塑性を利用して、長繊維を部分的に軟化又は
溶融させ、間隔を置いた点融着区域を設けて、二枚の複
合シートを貼合するというものである。従って、得られ
た拭き布の表裏面は、パルプ繊維が同程度に多く存在し
ており、表裏差の少ないものである。即ち、吸水性や手
触り感において、優れていると共に表裏差が少なく、使
用しやすいという効果を奏するものである。また、雰囲
気湿度によって水分率が大きく変化するパルプ繊維が、
表裏共に同程度存在しているため、乾燥状態で拭き布を
使用しても、カールが生じにくく、使用しやすいという
効果を奏するものである。
【0033】また、本発明に係る方法で得られた拭き布
は、二枚の複合シートが、間隔を置いた点融着区域を接
着部分として貼合されてなるものである。従って、点融
着区域以外の区域は未接着部分となっており、拭き布の
柔軟性の低下を防止しうるという効果を奏する。更に、
未接着部分における複合シート間の間隙に、吸水された
水を保持することができるので、塵や埃の拭き取り性に
も優れているという効果を奏する。また、未接着部分が
存在するため、拭き布の厚み方向への水の透過性が良好
で、拭き布に付着した塵や埃を、洗浄処理によって容易
に除去することができるという効果も奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−61555(JP,A) 特開 平4−136295(JP,A) 特開 平4−146300(JP,A) 特開 平5−286100(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A47K 7/00 B32B 29/02 D21H 27/30

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疎水性且つ熱可塑性長繊維が集積されて
    なる長繊維ウェブの片面に、多数のパルプ繊維よりなる
    紙シートを積層した後、該紙シート側から該長繊維ウェ
    ブ側に向けて高圧水柱流を施すことにより、該パルプ繊
    維と該長繊維とを絡合させて複合シートを得た後、該複
    合シートの前記紙シート非積層面同士が当接するように
    して、二枚の該複合シートを積層した後、該長繊維を部
    分的に軟化又は溶融させることにより、間隔を置いた点
    融着区域を設けて、二枚の該複合シートを貼合させるこ
    とを特徴とする拭き布の製造方法。
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