JP4180693B2 - 多色印刷方法及び多色印刷システム - Google Patents

多色印刷方法及び多色印刷システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスタを巻装した印刷ドラムを複数使用する多色印刷方法及び多色印刷システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
多色印刷を行える印刷装置として、従来より、単一の印刷ドラムを交換可能に備えた全自動デジタル孔版印刷装置が知られている。
これは、画像情報に基づいてサーマルヘッド等の手段で穿孔製版されたマスタを印刷ドラムに巻装し、このマスタが巻装された印刷ドラムと、印刷ドラムの外周面を押圧する押圧手段との間に印刷用紙を所定のタイミングで送って印刷を行う基本構成となっている。印刷された印刷用紙は排紙手段によって搬送・積載され、役目を終えたマスタは排版手段によって印刷ドラムより排除される。
【0003】
上記全自動デジタル孔版印刷装置によってカラー印刷等の多色刷りを行おうとする場合には、各色の印刷毎に印刷ドラムを取り替えて印刷用紙に重ね刷りする必要がある。例えば、2色の印刷を行う場合、1色目を印刷されて排紙された印刷用紙を紙揃えして再度給紙側へ積載し、印刷ドラムを2色目のものと交換して印刷する作業が必要である。
この時、1色目の印刷画像に対して2色目の印刷画像の見当合わせが必要であるが、2回目の給紙(再給紙)であるため印刷用紙の不揃いが生じ易く、印刷画像の位置ずれを来し易いという問題があった。
さらに、印刷画像の乾燥が十分でない場合には、インキの貼り付きにより給紙ジャムを生じたり、印刷用紙の搬送路におけるローラ等に付着したインキが次の印刷用紙に転移して印刷画像の汚れを生じることがあった。
2色以上の多色刷りを行う場合には、上記の操作を繰り返すことになるので、作業時間も膨大なものとなり、また上記不具合の発生も相乗的となる。
【0004】
このような単一印刷ドラム方式の問題を解消するものとして、例えば特開平3−55276号公報や特開平6−32038号公報に記載の複数ドラム方式のものがある。
これは、印刷ドラムを各色に対応してそれぞれ個別に設け、印刷用紙の自動搬送の下に各色の印刷を1枚の印刷用紙に連続的に行うものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
複数ドラム方式のものにおいては、一般的に、特開平6−32038号公報に示されるように、各印刷ドラムに個別にそれぞれ排版、製版、給版構成が設けられている。
しかしながら、複数ドラム方式では、印刷ドラムが複数個、フルカラー印刷の場合には最低3個、好ましくは4個設けられることから、単一印刷ドラム方式に比べて装置の大型化を避けられない。加えて、上述のように各印刷ドラムに対して個別にそれぞれ排版、製版、給版構成が設けられるので、より一層装置が大型化、高額化することになり、OA機器において要求されるダウンサイジング等を満たすことができない。
【0006】
特開平3−55276号公報記載のものは、排版、製版、給版構成を一体にまとめ、これを移動させて複数の印刷ドラムに対応させる構成となっており、複数ドラム方式における排版、製版、給版構成の共用化を実現しているが、移動方式に伴う構成、制御の複雑化を避けられないという問題がある。また、製版構成(給排版構成を含む。以下同じ。)を共用化しているといっても、各印刷ドラムに対応した共用製版構成の移動スペースが必要であるので、スペース確保の観点からすればダウンサイジングが実質的になされたとは言えない。
【0007】
また、各印刷ドラムに対して個別に給版構成を設ける従来の構成では、独立した各給版構成の固有の特性による給版レジスト精度の誤差を避けられない。
例えば、原稿が200mmであっても1色目印刷ドラムの給版では200.3mm、2色目の印刷ドラムの給版では199.8mmになったりするので、各印刷ドラムの給版を200.0mmに調整する必要がある。
また、例えば1色目の印刷ドラムの給版レジストが天地方向+0.3mmで、2色目の印刷ドラムの給版レジストが−0.1mmであったりするので、調整する必要がある。
特開平3−55276号公報記載のもののように、排版、製版、給版構成を一体にまとめた場合でも、移動制御に伴う誤差が避けられないため、これが給版レジスト誤差として反映される懸念がある。
【0008】
そこで、本発明は、低価格でダウンサイジングが可能であり、且つ、高い給版レジスト精度が得られる多色印刷方法及び多色印刷システムの提供を、その目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記諸問題が従来の全自動化構成に起因するとの認識に立ち、手動部分が存在してもそれによってもたらされるメリットとの多さを考慮して、複数の印刷ドラムに対する給版構成の固定的共用化を図ったものである。
具体的には、請求項1記載の発明では、一体構造又は分離構造を有し、複数のドラム装着部と該ドラム装着部に対して着脱自在な複数の印刷ドラムを備え、1回の通紙で同時多色印刷が可能な多色印刷装置と、上記印刷ドラムの総数よりも数が少なく、上記複数のドラム装着部のうちの何れかに対応して固定して設けられ、マスタの給版機能を含む製版装置と、を用い、上記ドラム装着部に対する上記印刷ドラムの入替え動作を介して上記製版装置を共用することによりそれぞれの印刷ドラムに給版し、印刷を行う、という手順を採っている。
ここで、「固定して設けられ」とは、印刷ドラムとの対応位置関係において固定されているという意味と、印刷ドラムの給版動作において位置的に固定されているという意味とを包含する概念を指す(以下、同じ)。
【0010】
請求項2記載の発明では、一体構造又は分離構造を有し、複数のドラム装着部と該ドラム装着部に対して着脱自在な複数の印刷ドラムを備え、1回の通紙で同時多色印刷が可能な多色印刷装置と、上記印刷ドラムの総数よりも数が少なく、上記複数のドラム装着部のうちのいずれかに対応して固定して設けられ、マスタの給版機能を含む製版装置と、を有し、上記ドラム装着部に対する上記印刷ドラムの入替え動作を介して上記製版装置を共用することによりそれぞれの印刷ドラムに給版し、印刷を行う、という構成を採っている。
【0011】
請求項3記載の発明では、請求項2記載の多色印刷システムにおいて、上記多色印刷装置が分離構造を有し、一方が上記製版装置を有する製版部としてなり、他方が多色印刷部としてなる、という構成を採っている。
【0012】
請求項4記載の発明では、請求項3記載の多色印刷システムにおいて、上記多色印刷装置の上記製版部としてなる方が、排版機能及び給排紙機能を有する単一印刷ドラム交換型の印刷装置である、という構成を採っている。
【0013】
請求項5記載の発明では、請求項3又は4記載の多色印刷システムにおいて、上記多色印刷装置の上記多色印刷部としてなる方が、上記複数の印刷ドラムに個別に対応した排版装置を有している、という構成を採っている。
【0014】
請求項6記載の発明では、請求項3記載の多色印刷システムにおいて、上記多色印刷装置の上記製版部を有する方がさらに、それぞれ上記製版装置を有する複数の製版部として分離され、分離された各製版部の製版方式が異なる、という構成を採っている。
【0015】
請求項7記載の発明では、請求項2記載の多色印刷システムにおいて、上記多色印刷装置が一体構造を有し、且つ少なくとも1つの排版装置を有している、という構成を採っている。
【0016】
請求項8記載の発明では、請求項7記載の多色印刷システムにおいて、上記排版装置を1つ有し、上記複数の印刷ドラムの排版を行う場合に、上記排版装置を共用する、という構成を採っている。
【0017】
請求項9記載の発明では、請求項2記載の多色印刷システムにおいて、上記多色印刷装置が、上記製版装置と、上記印刷ドラムを少なくとも1つ備えた主印刷装置と、着脱自在な中間搬送ユニットを介して上記主印刷装置に連結され、上記印刷ドラムを少なくとも1つ備え、上記製版装置を有しない副印刷装置と、
から構成されている、という構成を採っている。
【0018】
請求項10記載の発明では、請求項9記載の多色印刷システムにおいて、上記副印刷装置が複数個連結されている、という構成を採っている。
【0019】
請求項11記載の発明では、請求項2〜10のいずれか1つに記載の多色印刷システムにおいて、上記印刷ドラムの着脱時の回転位置は、上記複数のドラム装着部に対する入替え動作において統一されている、という構成を採っている。
【0020】
請求項12記載の発明では、請求項2〜11のいずれか1つに記載の多色印刷システムにおいて、印刷用紙の搬送方向における下流側の印刷ドラムは、その上流側隣の印刷ドラムに対してのみ機能する位相調整機構を有する、という構成を採っている。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の第1の実施例を図に基づいて説明する。
図1は本実施例における多色印刷システムを平面視で模式的に示したものである。この多色印刷システムは、製版装置(製版部)としての単一ドラム方式の孔版印刷装置Aと、この孔版印刷装置Aと分離して存在する多色印刷部としての複数ドラム方式の孔版印刷装置Bと、これらの間で相互使用可能な2本の印刷ドラム89a,89bとから概略構成されている。
孔版印刷装置Aは印刷ドラム89a,89bへマスタを巻装することのできる印刷装置であり、孔版印刷装置Bは2つの印刷ドラム89a,89bを装着して例えば黒、赤の2色を同時に印刷することができる同時多色印刷装置である。
孔版印刷装置A、Bはそれぞれ、図1に破線で示すように、印刷ドラム89a又は89bを装着するためのドラム装着部A1、B1、B2を備えている。
【0022】
孔版印刷装置Aは、給紙、排紙構成を含む印刷構成を備えているとともに、マスタの製版構成を備えており、孔版印刷装置Bは、給紙、排紙構成を含む印刷構成のみで、製版構成を有していない。このため、孔版印刷装置Bはコンパクトな構成となっている。
本実施例では孔版印刷装置Aとして既存の単一印刷ドラム交換型の印刷装置を利用し、これに孔版印刷装置Bを付加してシステムを構成している。
印刷ドラム89a,89bへのマスタの巻装は孔版印刷装置Aのみで行われ、孔版印刷装置Bではマスタを巻装された印刷ドラム89a,89bを装着して印刷のみを行うようになっている。
【0023】
本実施例における多色印刷システムの使い方を概略的に説明する。
先ず、図2(a)に示すように、黒インキを内蔵した印刷ドラム89aを孔版印刷装置Bから外し、孔版印刷装置Aに装着する(▲1▼)。孔版印刷装置Aでは、以前に使用済みであるマスタを印刷ドラム89aから剥離し(排版)、次に黒の印刷を行うための画像データによりマスタに穿孔し(製版)、印刷ドラム89aの外周面に巻装する(給版)。
次に、版付け動作のために、孔版印刷装置Aにて数枚の印刷を行う。版付け動作とは、新規のマスタを巻装直後はマスタにインキが充分に拡散しないために、押圧部材により印刷ドラム外周面を押圧してインキをマスタへ拡散させ、印刷可能な状態にするための動作である。新規なマスタが巻装された印刷ドラム89aを孔版印刷装置Aから外し、孔版印刷装置Bのドラム装着部B1へ装着する(▲2▼)。
【0024】
次に、図2(b)に示すように、赤インキを内蔵した印刷ドラム89bを孔版印刷装置Bから外し、孔版印刷装置Aへ装着する(▲3▼)。前述のように孔版印刷装置Aでは、使用済みマスタを印刷ドラム89bから剥離し、次に赤の印刷を行うための画像データによりマスタに穿孔し、印刷ドラム89bの外周面に巻装する。
新規なマスタが巻装された印刷ドラム89bを、版付け動作をした後孔版印刷装置Aから外し、孔版印刷装置Bのドラム装着部B2の位置へ装着する(▲4▼)。次に、孔版印刷装置Bにおいて印刷必要枚数を指定し、印刷スタートキーを押すと、黒と赤の画像が重ね印刷されて排紙・積載される。
【0025】
以下に、孔版印刷装置Aの構成を図3に基づいて詳細に説明する。
孔版印刷装置Aは、略中央に位置する印刷ドラム89aと、この印刷ドラム89aの右上方に配設された製版装置300、印刷ドラム89aの右下方に配設された給紙装置500と、印刷ドラム89aの左上方に配設された排版装置400と、印刷ドラム89aの下方に配設されたプレスローラ34と、分離爪87と、印刷ドラム89aの左下方に配設された排紙搬送装置600と、排紙トレイ82と、印刷ドラム89aの上方に配設された原稿読取部200と、この原稿読取部200の上方に配設されたADF(オートドキュメントフィーダ)2等を備えている。
【0026】
ADF2は、積載載置された複数枚の原稿1を順次1枚ずつ積載位置から読み取り位置へ搬送する。ADF2を使用しないときは、これを持ち上げ、コンタクトガラス3の上に直接原稿1を置けるようになっている。
原稿読取部200は、原稿1の画像面からの反射光を折り返し反射する走査ミラー5、走査ミラー5の1/2の速度で移動する光路折り返しミラー対6、結像レンズ7、通過した画像の反射光を順次画像信号へ変換するCCD8、及び原稿1の画像面に光を照射する蛍光灯4を備えている。
【0027】
印刷ドラム89aは、図示しないが、内周面を形成する円筒状の多孔性薄板と、その外周面にインキを保持、拡散し、押圧によりインキを吐出する層としての多孔質弾性体層(メッシュスクリーン)とからなり、インキ供給軸93の周りに回転可能に支持されていて、図示しないモータにより回転駆動される。印刷ドラム89aの外周面にはマスタ94を挟持する、クランパ90とクランパ軸等からなるクランプ手段が設けられている。なお、図3では、多孔性薄板と多孔質弾性体層とを1つの実線で表示している。
【0028】
製版装置300は、マスタ94をロール状に巻いたマスタロール61を繰り出し自在に支持するマスタ支持軸と、マスタ94をマスタロール61から引き出しつつ画像情報に応じて加熱穿孔する、サーマルヘッド63とプラテンローラ71とから主になる製版手段と、プラテンローラ71の下流側に配置され、マスタ94を所定の長さに切断する回転移動刃64と固定刃65とを備えたカッタとから主に構成されている。
プラテンローラ71は、その回転軸を孔版印刷装置Aの図示しない側板に回転自在に支持されており、同側板に固設された図示しないステッピングモータにより回転駆動される。
サーマルヘッド63は、プラテンローラ71の回転軸に沿って平行に設けられており、図示しない接離機構によってプラテンローラ71に対してマスタ94を介して接離自在となっている。サーマルヘッド63は、上述の原稿読取部200のCCD8及び図示しない画像処理回路で処理されて送出されるデジタル画像信号に基づきマスタ94を選択的に加熱溶融し穿孔する周知の機能を有する。
【0029】
回転移動刃64は、図示しないモータにより図面奥行き方向(図面用紙厚み方向)を固定刃65に接しながら移動し、マスタ94を切断する。
カッタの下流側には、テンションローラ66,67が配置されていて、製版手段で穿孔製版されたマスタ94を印刷ドラム89aのクランプ手段ヘ向けて搬送する。
マスタ94は、楮、みつまた、マニラ麻、亜麻などの天然繊維の多孔質薄葉紙や、レーヨン、ビニロン、ポリエステルなどの化学繊維の不織布、または天然繊維と化学繊維を混抄した不織布からなる多孔質支持体の表面に、ポリエステル系樹脂などの薄い熱可塑性樹脂からなるマスタフィルムを貼り合わせた積層構造を有している。
マスタ94としては、多孔質支持体を用いずに、薄い延伸ポリエステルフィルムなどに必要に応じて帯電防止剤層や、サーマルヘッド63の発熱体とのスティックを防止するスティック防止層などを形成した実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるものを使用してもよい。
【0030】
マスタ94をクランプするクランプ手段は、印刷ドラム89aの外周面の母線に沿って設けられたステージと、このステージに対向する部位に配置され、クランパ軸により揺動可能に支持されたクランパ90とにより構成されている。
【0031】
印刷ドラム89aの内部には、印刷ドラム89aの内周面にインキを供給するインキローラ92と、このインキローラ92と僅かな間隙を置いて平行に配置され、インキローラ92との間にインキ溜まり95を形成するドクターローラ91と、インキ溜まり95へインキを供給するインキ供給軸93とが配置されている。
インキは、印刷ドラム89aの適宜の位置に配置された図示しないインキパックからインキポンプにより圧送され、インキ供給軸93を介してインキ溜まり95へ供給される。インキ溜まり95に供給されるインキは、その量を図示しないインキ量測定手段により測定され、インキポンプによってインキ圧送量をコントロールされる。
インキローラ92は、アルミニウム、ステンレスなどの金属またはゴムなどにより形成され、図示しないギヤ列により印刷ドラム89aと共に時計回り方向に回転する。インキローラ92と印刷ドラム89aとの回転速度の比は、所定の値に設定されている。ドクターローラ91は、鉄やステンレスなどの金属で形成され、図示しないギヤ列により反時計回り方向に回転する。ドクターローラ91と印刷ドラム89aとの回転速度の比も所定の値に設定されている。
【0032】
給紙装置500は、給紙トレイ21、給紙ローラ23、上方分離ローラ24、下方分離ローラ25、レジストローラ対29,30などから主に構成されている。
給紙トレイ21は、その上に印刷用紙22を積載され、給紙装置本体に上下動自在に支持されている。給紙トレイ21は、印刷用紙22の増減に連動して図示しないモータ装置により上下動される。給紙ローラ23と上方分離ローラ24、下方分離ローラ25とは、最上位の印刷用紙22と当接するように設けられており、各ローラは図示しない駆動手段により回転駆動される。レジストローラ対29,30は、上方分離ローラ24、下方分離ローラ25の印刷用紙22の搬送方向下流側に配設されている。
レジストローラ対29,30は、搬送された印刷用紙22の先端をくわえ込み、タイミングをとって印刷ドラム89aの外周面とプレスローラ34との間に搬送する。
【0033】
印刷ドラム89aの下方近傍には、給紙装置500から搬送された印刷用紙22を印刷ドラム89aの外周面に押圧するプレスローラ34、及び印刷ドラム89aの外周面より印刷用紙22を剥離する分離爪87が配設されている。分離爪87は、図面奥行き方向のほぼ中央に1個設けられている。
プレスローラ34は、外周面がゴムなどにより構成され、プレスローラアーム33の一端に回転自在に支持されている。プレスローラアーム33は、引張バネである印圧バネ35によってプレスローラ34が印刷ドラム89aの外周面へ近接する方向へ付勢されている。
プレスローラアーム33の他端にはフォロアが設けられていて印圧カム36に当接し、印圧カム36の回転に伴い摺動するようになっている。
印圧カム36が印刷ドラム89aの回転と同期して回転することにより、プレスローラ34を印刷用紙22を介して印刷ドラム89aに接触した位置と離間した位置とに揺動させる。プレスローラ34は、印刷ドラム89aに接触した位置にあるときには、印刷ドラム89aと同一周速度で従動回転する。
【0034】
印刷用紙22が印刷ドラム89aの外周面に貼り付いて巻き上がるのを防止するために、分離爪87の先端部はノズルになっていて、図示しないポンプから印刷用紙22の先端と同期して空気が高速で吐出され、印刷用紙22の先端部へ空気が吹き付けられる。分離爪87は、回転軸86を中心に、印刷ドラム89aの外周面に接した位置と、離間した位置とに揺動可能となっている。すなわち、クランパ90と分離爪87の先端が干渉しないように印刷ドラム89aの回転と同期して揺動する。
【0035】
分離爪87の左方には送風ファン88が設けられ、印刷用紙22が剥離されるのを補助している。また、分離爪87の下部には印刷用紙22を搬送する排紙搬送装置600が設けられている。
排紙搬送装置600は、駆動ローラ83、従動ローラ84、搬送ベルト85、吸引ファン81、ジャンプ台79、ケーシング80等から主に形成されている。搬送ベルト85は駆動ローラ83と従動ローラ84とに掛け渡され、図示しない駆動機構により駆動ローラ83が回転され、搬送ベルト85の回転周速度は、印刷ドラム89aの回転周速度と同じか、又は若干速く設定されている。
ここで、印刷ドラム89aの回転周速度は、プレスローラ34の押圧によって印刷用紙22が搬送される線速度に等しい。また、搬送ベルト85の回転周速度とは、印刷用紙22を搬送する搬送ベルト85の外周面の線速度のことを意味している(以下において同じ)。
【0036】
搬送ベルト85自体には開孔が多数設けられていて、搬送ベルト85の下部に設けられた吸引ファン81の吸引作用により、印刷ドラム89aから分離された印刷用紙22が搬送ベルト85の表面に密着し、下流の排紙トレイ82へ搬送される。
送風ファン88は、印刷用紙22の印刷ドラム89aへの巻き上がり防止のために設けられており、その空気は分離爪87の左上方から印刷用紙22の表面へと吹き付けられる。これは、印刷用紙22の搬送ベルト85からの浮き上がり防止のためと印刷画像のインキ乾燥の促進のためでもある。
【0037】
排版装置400は、上方排版ローラ41、下方排版ローラ42、上方搬送ベルト45、下方搬送ベルト46、上方搬送ローラ43、下方搬送ローラ44、排版ボックス47、圧縮板48等から主に構成されている。
上方排版ローラ41は排版装置400の側板に回転可能に支持されていて、図示しない駆動装置により時計回り方向に回転できるようになっている。上方排版ローラ41が回転すると、上方搬送ベルト45を介して上方搬送ローラ43も回転するようになっている。
下方排版ローラ42は、上方排版ローラ41の回転軸端に設けられたギヤ列によって従動回転されるようになっていて、上方排版ローラ41の時計回りの回転と同時に反時計回りに回転するようになっている。下方排版ローラ42が回転すると、下方搬送ベルト46を介して下方搬送ローラ44も回転するようになっている。
また、下方排版ローラ42は、上方排版ローラ41の回転中心軸を中心に図の左右方向に揺動可能に支持されていて、図示しない駆動手段によって適宜のタイミングで図示されている位置から印刷ドラム89aの外周面へ当接する位置(二点鎖線で示す位置)まで移動される。すなわち、下方排版ローラ42の外周面は、印刷ドラム89aの外周面と接離自在となっている。
【0038】
上方搬送ローラ43、下方搬送ローラ44の下流に、排版ボックス47が配設されている。排版ボックス47の上方には、図示しない昇降手段により上下動される圧縮板48が配設されている。
排版動作の際に、上方排版ローラ41と下方排版ローラ42とによって挟持され図の左方向へ搬送される使用済みのマスタ94aは、排版ボックス47に収納される。その後に圧縮板48は図示された位置から下方に移動して使用済みのマスタ94aを圧縮する。
排版ボックス47は、図示された位置から図の左方向において孔版印刷装置Aの外へ取り出し可能となっていて、排版ボックス47内に適量版数の圧縮された使用済みのマスタ94aを廃棄することができるようになっている。
【0039】
次に、孔版印刷装置Bの構成を図4に基づいて詳細に説明する。
孔版印刷装置Bは、略中央に2つの印刷ドラム89a,89bを装着できるようになっており、印刷ドラム89aの右下方に配設された給紙装置500、印刷ドラム89a,89bの下方にそれぞれ配設されたプレスローラ34a,34b、分離爪87a,87b、印刷ドラム89aと89bとの間に配設された中間搬送装置700、印刷ドラム89bの左下方に配設された排紙搬送装置600、分離爪87bの左方に配設された送風ファン88、排紙搬送装置600の左方に配設された排紙トレイ82等を備えている。
印刷ドラム89a,89b、給紙装置500、プレスローラ34a,34b、排紙搬送装置600、分離爪87a,87b、送風ファン88、排紙トレイ82についてはその構成が孔版印刷装置Aのものと同じであるので説明を省略する。
【0040】
中間搬送装置700は、従動ローラ50、駆動ローラ52、従動ローラ50と駆動ローラ52とに掛け渡された搬送ベルト51、吸引ファン53、ケーシング54とから主に構成されている。
搬送ベルト51の回転線速度は、印刷ドラム89aの回転線速度と同じか又は若干速く設定されている。
印刷ドラム89aの印圧部で印刷された印刷用紙22の先端は、分離爪87aによって印刷ドラム89aの外周面より剥離され、搬送ベルト51の右側端へ落下する。この時、吸引ファン53は図の下向きにエアーの吸引が行われているので、印刷用紙22の先端は容易に搬送ベルト51の上面に吸引される。また、搬送ベルト51には複数の開孔が設けられているので、印刷用紙22は吸引ファン53によるケーシング54内の負圧の作用により、搬送ベルト51の表面に吸引されて密着する。
【0041】
搬送ベルト51の少なくとも表面は、ウレタンゴム等の印刷用紙22との摩擦係数の高いものとなっているので、印刷用紙22を図の左方向へ牽引する力を発生する。しかし、印刷用紙22の搬送方向上流側は未だ印刷ドラム89aとプレスローラ34aとのニップ部(印圧部)で押さえられているので、印刷用紙22の左方向への進行速度は、印刷ドラム89aの回転周速度と同じである。
搬送ベルト51の回転線速度は印刷ドラム89aの回転周速度と同じか又はそれよりも速い速度に設定されているので、印刷用紙22は、図の左方向へテンションが掛かった状態で搬送されることになる。
以下、2色目の印刷ドラム89bの印刷部から、排紙搬送装置600、排紙トレイ82までは、孔版印刷装置Aの構成と同じであるので説明を省略する。
【0042】
次に、この多色印刷システムの動作を図3及び図4に基づいて詳細に説明する。なお、ここでは黒、赤の2色印刷をする場合について説明する。
先ず、オペレータは、孔版印刷装置Aに黒インキを装備した印刷ドラム89aを装着する。そして、ADF2又はコンタクトガラス3の上に黒印刷用の原稿1を載置する。その後、オペレータが図示しない製版スタートボタンを押すと、排版装置400によって、印刷ドラム89aに以前から巻装されている使用済みのマスタ94aの排版が行われる。
印刷ドラム89aは、図示しない駆動手段により反時計回り方向に回転を開始する。印刷ドラム89aがその外周面に巻装した前版の使用済みのマスタ94aの後端(クランプされていない端)が上方排版ローラ41と対向する所定の排版位置に到達すると、図示しない移動手段と駆動手段とが作動し、上方排版ローラ41と下方排版ローラ42とを図3の矢印方向へ回転させるとともに、下方排版ローラ42を印刷ドラム89aの外周面側(二点鎖線で示す位置)へ移動させる。
【0043】
下方排版ローラ42の外周面が印刷ドラム89aの外周面上の使用済みのマスタ94aの後端近傍と当接したとき、印刷ドラム89aは反時計回り方向に回転し続けており、下方排版ローラ42は使用済みのマスタ94aの後端をすくい上げる。すくい上げられた使用済みのマスタ94aは、上方排版ローラ41と下方排版ローラ42とによって挟持され、図3の左方向へ搬送されるので、印刷ドラム89aの外周面より剥離されることになる。
剥離された使用済みのマスタ94aは、上方搬送ベルト45と下方搬送ベルト46との回転によって、さらに左方へ搬送され、排版ボックス47へ収納される。排版ボックス47の内部に一版分の全ての使用済みのマスタ94aが廃棄された後、圧縮板48が降下することによって圧縮される。
印刷ドラム89aの外周面より前版の使用済みのマスタ94aが全て剥離されると、印刷ドラム89aはさらに回転し、クランパ90がガイド板68の近傍に位置する給版位置(図3に示す位置)で停止する。印刷ドラム89aが給版位置に停止すると
、図示しない開閉手段が作動してクランパ90を時計方向に回動させ、給版待機状態となり、排版動作が完了する。
【0044】
排版動作が開始するのとほぼ同時に並行して以下のような製版動作が行われている。
原稿1はADF2により積載位置から読み取り位置へ搬送され、読み取り位置にて、原稿1の画像面に蛍光灯4からの光が照射され、その光が原稿1の画像面で反射され、さらに走査ミラー5、光路折り返しミラー対6で反射された後、結像レンズ7を通りCCD8に入射して、原稿1の画像の読み取りが行われる。CCD8により光電変換された電気信号が図示しない画像処理回路に入力される。原稿読取部200で読み取りを終えた原稿1は、原稿トレイ9上に排出される。
一方、原稿1の画像の読み取りと並行して、画像処理回路において処理された後に送出されるデジタル画像信号に応じて、サーマルヘッド63に設けられた複数の発熱体素子が選択的に発熱するとともに、プラテンローラ71、テンションローラ66,67がそれぞれ図示しない駆動手段で回転駆動される。
マスタ94は、プラテンローラ71で搬送されつつ、サーマルヘッド63で穿孔製版されてテンションローラ66,67によって搬送され、マスタ94の先端部が、給版待機状態で拡開しているクランパ90(図3の二点鎖線の位置)に送出される。
プラテンローラ71を駆動しているステッピングモータのステップ数がある設定値に達すると、すなわち、一定長さのマスタを送り終わると、クランパ90とステージとの間に製版済みのマスタ94の先端部が届いたと判断され、クランパ90が図示しない開閉手段によって閉じられる。
このクランプ動作が終了すると、印刷ドラム89aが時計回り方向に回転され、印刷ドラム89aの外周面にマスタ94が穿孔製版されながら巻装されていく。
【0045】
印刷ドラム89aの外周面にマスタ94が所定長巻装されると、印刷ドラム89a、プラテンローラ71、テンションローラ66,67の回転が停止する。この停止動作と同時に、回転移動刃64が図示しないモータの回転によって図面奥行き方向を移動し、マスタ94が固定刃65との間で切断される。そして、印刷ドラム89aが再び時計回り方向に回転され、切断されたマスタ94の後端が製版装置300から抜き出される。これによって印刷ドラム89aの外周面に製版済みのマスタ94が完全に巻装され、給版工程が終了する。
給版工程終了後、印刷ドラム89aは駆動手段によって時計回り方向に回転駆動される。
そして、給紙トレイ21上の印刷用紙22が給紙ローラ23により給紙され、上方分離ローラ24、下方分離ローラ25で一枚ずつに分離されて給送される。その後、印刷用紙22は、上方給紙ガイド板28、下方給紙ガイド板27に案内されて給送され、レジストローラ対29,30によりタイミングを取られた後、プレスローラ34と印刷ドラム89aの外周面との間に給送される。
【0046】
プレスローラ34は、印圧カム36の回転に伴い、回転軸32を中心に揺動されて、印刷ドラム89aの外周面に巻装されたマスタ94へ印刷用紙22を押圧する。このとき、エマルジョンインキは、インキローラ92とドクターローラ91とが外接する部分の間隙で計量され、多孔性薄板の内周面に供給される。
多孔性薄板の内周面に供給されたエマルジョンインキは、インキローラ92の外周面及び多孔性薄板の内周面にて作用するくさび効果によって、多孔性薄板の画像の出る範囲に設けられた開孔を通り、多孔質弾性体層の内部へ拡散する。
多孔質弾性体層へ拡散したエマルジョンインキは、さらに、マスタ94の多孔質支持体へ拡散し、マスタフィルムの画像に対応した穿孔部を通過し、印刷用紙22の表面に転移することにより印刷画像が形成される。
【0047】
印刷画像が形成された印刷用紙22は、分離爪87及び送風ファン88との協働によって印刷ドラム89aの外周面から剥離され、下流に位置する排紙搬送装置600へ進行する。
排紙搬送装置600では、前述のように搬送ベルト85が図3の矢印方向へ回転しているので、印刷用紙22は、吸引ファン81によって搬送ベルト85の表面上に吸引されつつ駆動ローラ83の回転によって搬送され、印刷用紙22の幅方向(図面奥行き方向)の両端に設けられたジャンプ台79によって、いわゆる腰付けをされ、排紙トレイ82上に排出される。
この時、印刷ドラム89aでは、製版済みマスタ94が印刷用紙22を介してプレスローラ34の押圧によって印刷ドラム89aの外周面に密着されて版付け工程が完了する。
【0048】
この版付け工程によって、1枚の印刷物が出てくるので、オペレータは新しく製版されたマスタ94の画像を確認することができる。もし不都合があれば、もう一度製版をやり直すことができる。
さらに、印刷ドラム89aを孔版印刷装置Aに装着したままの状態で、オペレータが印刷枚数等の条件を設定した後に印刷開始スイッチを押すことにより、図示しない駆動手段によって印刷ドラム89aが回転駆動され、印刷用紙22が連続して給送されて前述と同様に所定枚数の黒だけの一色印刷を行うこともできる。
【0049】
版付け工程が終了すると、新しいマスタ94が巻装された印刷ドラム89aを孔版印刷装置Aから外し、孔版印刷装置Bのドラム装着部B1へ装着する。
次にドラム装着部B2に装着されている赤色インキを装備した印刷ドラム89bを孔版印刷装置Bから引き出し、孔版印刷装置Aに装着する。孔版印刷装置Aでは、上記黒印刷用の画像を製版したマスタを印刷ドラム89aに巻装したときと同様に、今度は赤印刷用の画像を製版したマスタを印刷ドラム89bに巻装することとなる。
オペレータは、ADF2又はコンタクトガラス3の上に赤印刷用の原稿1を載置する。その後、オペレータが製版ボタンを押すと、先ず、排版装置400では、印刷ドラム89bに以前から巻装されている印刷使用済みのマスタ94aの排版が行われる。以下、印刷ドラム89aの場合と同様であるので説明を省略する。
【0050】
印刷ドラム89bに対しての版付け工程が終了すると、印刷ドラム89bを
孔版印刷装置Aから外し、孔版印刷装置Bのドラム装着部B2へ装着する。
これで、孔版印刷装置Bには、黒印刷用のマスタを装着された印刷ドラム89aと、赤印刷用のマスタを装着された印刷ドラム89bが揃い、2色印刷の準備ができたことになる。
【0051】
次に、孔版印刷装置Bの多色印刷動作を説明する。
オペレータが、孔版印刷装置Bにおいて必要印刷枚数を入力し、印刷スタートキーを押すと、図示しない駆動手段によって印刷ドラム89a、89bは連動して時計回り方向へ回転する。そして、給紙トレイ21上の印刷用紙22が給紙ローラ23により給紙され、上方分離ローラ24と下方分離ローラ25とで一枚ずつ分離されて給送される。
その後、印刷用紙22は上方給紙ガイド板28、下方給紙ガイド板27に案内されて給送され、レジストローラ対29,30によりドラム装着部B1の印刷ドラム89aとのタイミングをとられた後、プレスローラ34aと印刷ドラム89aの外周面との間に給送される。
プレスローラ34aは、印圧カム36aの回転に伴い、回転軸32aを中心に揺動されて印刷ドラム89aの外周面に巻装されたマスタ94へ印刷用紙22を押圧する。このとき、印刷用紙22へは黒の画像が印刷されることになる。
【0052】
黒の画像が形成された印刷用紙22は、分離爪87aによって印刷ドラム89aの外周面から剥離され、下流に位置する中間搬送装置700へ進行する。
前述のように搬送ベルト51は図4の矢印方向へ回転し、吸引ファン53によるケーシング内の負圧作用により、印刷用紙22の先端は容易に搬送ベルト51の上面に吸引され、さらに図の左方向へ牽引される。
搬送ベルト51の回転線速度は、印刷ドラム89aの回転線速度と同じか又は速く設定されている。しかし、印刷用紙22の上流側は未だ印刷ドラム89aとプレスローラ34aとのニップ部で押さえられているので、印刷用紙22の左方向への進行速度は印刷ドラム89aの回転周速度と同じである。従って、印刷用紙22は左方向へテンションが掛かった状態で搬送されることになる。
厳密には、搬送ベルト51の回転線速度の方が印刷用紙22の進行速度より速いので、搬送ベルト51と印刷用紙22とは滑りを生じていることになる。
【0053】
印刷用紙22の先端部分は、搬送ベルト51によって進行方向に牽引力を与えられながら印刷ドラム89bとプレスローラ34bとのニップ部へ進入する。
プレスローラ34bは、印刷ドラム89bの外周面から離間した位置から所定のタイミングで印刷ドラム89bの外周面へ当接し、印圧バネ35bによって印圧が加えられる。
また、プレスローラ34bは、印刷ドラム89bの外周面上から突出しているクランパ90bとの干渉を避けるために、印刷中に印刷ドラム89bの外周面から離間するようになっているが、印刷用紙22の先端が印刷部へ進入する前には印刷ドラム89bの外周面に接触して押圧している状態となっている。
【0054】
印刷ドラム89aと印刷ドラム89bとは、同じ周速度で回転するように図示しない駆動経路によって連結されているが、黒と赤の画像位置が印刷用紙22上で同じになるように予め初期位相差が設けられている。すなわち、図4に示すように、印刷ドラム89aと印刷ドラム89bのクランパ90a,90bの位置が異なっている。その角度は、印刷ドラム89aの印刷部から印刷ドラム89bの印刷部までの印刷用紙22の搬送経路長さを、印刷ドラム89bの外周面上に取った場合に得られる中心角度に相当する。印刷用紙22の搬送経路長さとは、おおよそ、印刷ドラム89aと印刷ドラム89bの回転中心軸の間の距離に相当する。
【0055】
但し、印刷ドラム89a,89b共に孔版印刷装置A,Bへの着脱時の回転位置は同じに統一されている(請求項11。他の実施例において同じ。)。本実施例では、図5に示すように、クランパ90a,90bが真上にある回転位置で着脱可能となっている。図5(a)は、クランパ90aが真上にきた時に印刷ドラム89aをドラム装着部B1から外し、クランパ90aが真上にある状態で給版のために孔版印刷装置Aに装着した状態を示している。各印刷ドラム89a,89bには、外すと回転位置が固定される装置(図示せず)が付いており、外した時と同じ状態で装着できるようになっている。
クランパが真上にこないと外れないようになっているので、印刷ドラム89bを外す場合には、図5(a)の状態から印刷ドラム89aをドラム装着部B1に戻した後に、クランパ90bが真上にくるまで印刷ドラム89bを回転させ(図5(b))、その後、ドラム装着部B2から外して印刷ドラム89bを孔版印刷装置Aに装着する(図5(c))。
なお、印刷ドラムの着脱位置はクランパが真上に限らず、全体の装置間で統一されていれば任意の位置でよい。
【0056】
以上の構成により、印刷ドラム89bとプレスローラ34bとの接触部では、先に黒印刷された画像位置と同じ位置関係で赤の印刷がされることになる。
上述のように、本実施例では印刷ドラム89aと印刷ドラム89bは連結駆動されるが、黒の画像位置に対して赤の画像位置を印刷用紙22の進行方向(天地方向)について調整できる周知の位相調整機構(例えば特開平9−104158号公報に記載の位相調整機構)を設けてもよい。印刷ドラムが3個以上の場合には、各下流側の印刷ドラムが、その上流側隣の印刷ドラムに対してのみ機能する位相調整機構を有するように構成する(請求項12。他の実施例において同じ。)。
このように位相調整機構を設けた場合、孔版印刷装置Aでのマスタ94の巻装工程の時にマスタ94のクランプ位置が印刷ドラム89aと印刷ドラム89bとで異なった場合に、孔版印刷装置Bの方でそのズレを修正することができる。
また、印刷用紙22の進行方向に直交方向(左右方向)について、黒、赤の画像位置を調整する場合には、印刷用紙22の位置を調整するか、もしくは印刷ドラムの回転軸方向への移動機構を設け、黒の画像位置に対して赤の画像位置を印刷用紙22の進行方向と直交方向へずらして調整する。
【0057】
プレスローラ34bの押圧によって印刷用紙22の表面に赤の印刷画像が印刷されると、印刷用紙22の先端は、分離爪87bと送風ファン88との協働により、印刷ドラム89bの外周面から剥離され、下流に位置する排紙搬送装置600へ進行する。
排紙搬送装置600では、前述のように搬送ベルト85が図4の矢印方向へ回転しているので、印刷用紙22は吸引ファン81によって搬送ベルト85の表面上に吸引されつつ駆動ローラ83の回転によって搬送され、印刷用紙22の幅方向(図面奥行き方向)の両端に設けられたジャンプ台79によって腰付けされ、排紙トレイ82上に排出される。ここで、搬送ベルト85の回転周速度は、印刷ドラム89bの回転周速度と同じか又は速く設定されている。
【0058】
以上により、印刷用紙22は、黒インキが装備された印刷ドラム89aと、赤インキが装備された印刷ドラム89bとの両方を1パスで通過し、黒と赤の印刷画像が同一の印刷用紙上に印刷される。
この後、予め入力された必要印刷枚数の印刷が、同様の手順で行われる。
印刷が終了すると、2つのプレスローラ34a,34bはそれぞれの印刷ドラムから離間した位置に保持されるようになっている。
【0059】
更に、別の印刷画像を印刷したい場合には、ここまで述べてきたのと同様に、印刷ドラム89a、89bを順次孔版印刷装置Bから外して孔版印刷装置Aへ装着し、新たな画像が穿孔されたマスタ94を巻装する。次いで再び孔版印刷装置Bへ装着し、印刷する、という手順で行われる。
孔版印刷装置A、Bにおける上記動作は、図示しない駆動機構及び制御手段により行われる。
【0060】
孔版印刷装置Aと孔版印刷装置Bは分離して配置されるので、製版装置を共用化したことによる大幅なダウンサイジングに加えて、レイアウトの自由度を高めることができる。分離せずに一体に構成した場合でも上記ダウンサイジングは確保される。
上記実施例では製版装置として既存の単一印刷ドラム交換型の孔版印刷装置Aを使用したが、給紙、排紙構成を含む印刷構成を有しない純粋な製版装置であってもよい。
純粋な製版装置とした場合、システム全体のダウンサイジングをさらに高めることができる。
【0061】
上記実施例では、印刷ドラム89a,89bの孔版印刷装置Bにおけるドラム装着部を規定したが、任意のドラム装着部へ装着するようにしてもよい(の実施例において同じ。)。印刷ドラムの配列が固定された場合、多色印刷で表現できる色合いに制限があるが、任意装着方式とした場合、印刷色の印刷する順番を任意に設定できるので、色再現の自由度を拡げることができる。
上記実施例では2色同時印刷のため、印刷ドラムを2本しか使用しなかったが、例えば4本用意すれば、孔版印刷装置Bで一つの印刷作業を行っている間に、孔版印刷装置Aで他の印刷のためのマスタの巻装作業を実施することができ、印刷作業の作業効率を大幅にアップさせることができる。
また、孔版印刷装置Aと孔版印刷装置Bを通信接続し、孔版印刷装置Aの操作を孔版印刷装置Bでできるように、あるいは互いに他方を操作できるようにすれば、システムにおける操作性の向上を図ることができる。
また、本実施例は、孔版印刷装置Aの固定された一つの給版装置を、複数の印刷ドラム89a,89bの給版に共用するものであり、よって給版レジストの誤差も無くすことができる。
また、印刷ドラムの入替え方式であるので、多色印刷装置側が2本の印刷ドラム構成であっても、色の異なる3本以上の印刷ドラムを使用でき、よって印刷画像のバリエーションを拡げることができる。
更に、異なる色だけではなく、黒色ドラムが2本であっても片方を写真画像とし、もう一方を文字画像とすることで、文字/写真を合成した画像を得ることができる。
【0062】
原稿画像の入力方式は、読み取り装置を介してのものではなく、パーソナルコンピュータからの画像信号を孔版印刷装置Aへ入力する周知の方式を採ってもよい。
孔版印刷装置A、Bにおける押圧部材としては、プレスローラ方式の他に、圧胴方式を採用することもできる。
孔版印刷装置Aにおける製版ではサーマルヘッドによる穿孔方式を例示したが、フラッシュやレーザー等による穿孔方式としてもよい。
また、上記実施例では黒と赤の2色印刷の例を示したが、赤の画像はそのままで、黒の代わりに青画像を使って青、赤の印刷など、色替えが非常に簡単にできる。さらに、同色であってもメーカーの違う種類の異なるインキによる多色印刷も可能であり、これらを非常に簡単にできる。
もちろん、メーカーも同じ全く同色であってもよく、例えば一方の印刷ドラム89aは内容固定の原稿を基にしたものであり、常に同じ版を使用して印刷し、内容固定の原稿以外の可変する原稿部分をもう一方の印刷ドラム89bを使用して印刷するような印刷システムであってもよい。
このように、本実施例で言う多色印刷とは、2色以上という限定を意味するものではない。
【0063】
上記実施例では、孔版印刷装置Bとして、2本の印刷ドラムが装着できるものの例を示したが、図6、7に示すように、3本、4本の印刷ドラムを装着できる多色印刷装置であっても上記実施例と同様の機能を得ることができる。
また、図8に示すように、例えば製版方式の異なる孔版印刷装置A1(サーマルヘッド製版方式)、A2(レーザー製版方式)を設け、孔版印刷装置A1にサーマルヘッド製版用のインキを有する印刷ドラム89aを装着してサーマルヘッド製版用のマスタを給版し、一方、孔版印刷装置A2にはレーザー製版用のインキを有する印刷ドラム89bを装着しレーザー製版用のマスタを給版して(印刷ドラム89c,89dにおいても同様に方式別に給版する)印刷する構成とすれば、種類の異なるインキ、マスタの混合使用が可能となり、印刷画像のバリエーションを拡げることができる。
【0064】
なお、上記実施例の孔版印刷装置Bは、システム全体のダウンサイジングを高める観点から、マスタの給排版機能を含む製版構成を有しない構成としたが、この効果を望まないならば、孔版印刷装置Bを、適宜に製版装置、排版装置を加えた構成のものとし、ユーザーの印刷ドラムの着脱作業を軽減できるようにしてもよいことは勿論である。
この一例を、図9に基づいて説明する。なお、各構成要素は上記実施例と同一であるので同一符号で示すとともに簡略的に示し、その構成・機能上の説明は適宜省略する(以下の各実施例において同じ)。
図9に示すように、本実施例におけるシステムは、上記実施例の孔版印刷装置Bの各印刷ドラム89a,89bに個別に排版装置400を設けた孔版印刷装置B’と、これとは個別に存在する孔版印刷装置Aとから構成される。
排版装置400を付加した分、ダウンサイジングの効果は低減するが、印刷ドラム89a,89bを入れ替える前に予め排版を済ませることができ、孔版印刷装置Aでは給版のみ行えばよいので印刷開始までの時間を短縮することができる。また、これによってオペレータの印刷ドラムの着脱作業の軽減を図ることができる。
【0065】
次に、第2の実施例を図10及び図11に基づいて説明する。
上記実施例では2つの別個の装置でシステムを構成し、両装置間で印刷ドラムを入替えする構成としたが、本実施例は、単一の構成内で印刷ドラムの入替えを行うシステムである。要するに、最初の実施例における孔版印刷装置Bに孔版印刷装置Aを吸収して1つにまとめた態様である。
【0066】
図10に示すように、本実施例における多色印刷システムは、ADFを含む原稿読取部200、2つの印刷ドラム89a,89b、給版装置としての製版装置300、排版装置400等を1つの構成内に備えている。製版装置300と排版装置400は、ダウンサイジングを図る観点から各印刷ドラム89a,89bに対してそれぞれ個別に設けられておらず、1色目の印刷ドラム89a側に製版装置300のみが、2色目の印刷ドラム89b側に排版装置400のみが設けられている。
次に、図11に基づいて本システムの給排版手順を説明する。
まず、図11(a)に示すように、排版装置400によって印刷ドラム89bの排版がなされる。次いで図11(b)に示すように、印刷ドラム89a,89bの入替えが行われ、製版装置300によって排版済みの印刷ドラム89bへ給版がなされる。ここで、印刷ドラム89bの版付けのために1枚印刷する。
次いで図11(c)に示すように、排版装置400によって印刷ドラム89aの排版がなされる。印刷ドラム89aの排版が完了すると、図11(d)に示すように、印刷ドラム89a,89bの入替えが行われ、製版装置300によって排版済みの印刷ドラム89aへ給版がなされる。ここで、印刷ドラム89aの版付けのために1枚印刷する。なお、図11(b)に示す印刷ドラム89bの給版と、図11(c)に示す印刷ドラム89aの排版は同時に行ってもよいが、その後に印刷ドラム89bの版付けのために1枚印刷する場合には、印刷ドラム89aは排版されているので、プレスローラ34bを上昇させないで行う必要がある。つまり、印刷ドラムにマスタがない場合には、プレスローラがインキで汚れるため、プレスローラによる押圧は行わない(以降の実施例でも同じ)。
これによって印刷ドラム89a,89bへの給版が完了したことになり、印刷が開始される。
複数の印刷ドラム89a,89bに対して、固定された1つの製版装置300(給版装置)を共用する構成であるので、給版レジストの精度誤差をなくすことができ、面倒な調整が不要となる。
【0067】
図12は、図10で示した単一構成型の多色印刷システムの変形例を示すものである。図10で示した実施例と異なる点は、製版装置300と排版装置400が1色目の印刷ドラム89aに対応して設けられている点である。
本システムの給排版手順を、図13に基づいて説明する。まず、図13(a)に示すように、排版装置400によって印刷ドラム89aの排版がなされ、次いで図13(b)に示すように、製版装置300によって印刷ドラム89aへの給版がなされる。ここで、印刷ドラム89aの版付けのために1枚印刷する。
印刷ドラム89aへの給版が完了すると、図13(c)に示すように、印刷ドラム89a,89bの入替えが行われ、排版装置400によって印刷ドラム89bの排版がなされる。この排版完了後、図13(d)に示すように、製版装置300によって印刷ドラム89bへの給版がなされる。ここで、印刷ドラム89bの版付けのために1枚印刷する。
【0068】
これによって印刷ドラム89a,89bへの給版が完了し、印刷が開始される。本実施例では製版装置300と排版装置400を1つの印刷ドラム89aに対応させて配置したので、図10で示した分離配置構成に比べて印刷ドラム89a,89bの入替え動作が1回で済む利点がある。もちろん、印刷を開始する前に図13(d)に示す状態から印刷ドラム89a,89bを入れ替えてもよい。
なお、製版装置300と排版装置400を、図14に示すように、2色目の印刷ドラム89bに対応させても上記と同様の機能を得ることができる。
【0069】
次に、第3の実施例を、図15乃至図22に基づいて説明する。
以下に示す各実施例の特徴は、個別に存在する複数の装置を連結して1つのシステムを構成することにある。
図15に示す例は、図16に示すように、最初の実施例で示した孔版印刷装置A(主印刷装置)と、孔版印刷装置Bに相当して1つの印刷ドラム89bしか有しない孔版印刷装置C(副印刷装置)とを、中間搬送ユニットFを介して連結したものである。最初の実施例と異なり、孔版印刷装置Aは印刷ドラム89aを常備しており、また、図示しないが、孔版印刷装置Aと孔版印刷装置Cは、中間搬送ユニットFの着脱構成を有している(以下の実施例において同じ)。
【0070】
両装置の連結は、孔版印刷装置Aの排紙トレイ82を外すとともに、孔版印刷装置Cの給紙トレイ21を外した後で中間搬送ユニットFでつなぐことによってなされる。システムが構成された後は、中間搬送ユニットFが最初の実施例の孔版印刷装置Bにおける中間搬送装置700として機能する。
各印刷ドラム89a,89bの入替えによる給排版動作及びこれに基づく効果等は既に述べたのと同様であるので省略する。
【0071】
このように別個の装置を連結して1つの多色印刷システムを構成する場合、上記のものに限らず多様な構成が考えられる。以下、そのうちの幾つかの例について説明する。
図17は、孔版印刷装置C(副印刷装置)を2つ、孔版印刷装置A(主印刷装置)の一方側に連結した例を示すものである。図18は、孔版印刷装置A(主印刷装置)と孔版印刷装置B(副印刷装置)を連結した例を示すものである。これらのシステムでは同時3色印刷を行うことができる。
図19は、孔版印刷装置A(主印刷装置)の両側に孔版印刷装置B(副印刷装置)を連結した例を示すものである。フルカラー印刷では、通常、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色であるが、図19に示す例では、特色インキを加えて、同時5色印刷が可能となる。
【0072】
図20は、孔版印刷装置Cに排版装置400を付けた副印刷装置としての孔版印刷装置C’を3つ、主印刷装置としての孔版印刷装置Aの一方側に連結した例を示すものである。各孔版印刷装置C’1、C’2、C’3に排版装置400を付けることにより、印刷ドラム89a,89b,89c,89dを入れ替える前に予め排版を済ませることができ、孔版印刷装置Aでは給版のみ行えばよいので印刷開始までの時間を短縮することができる。本実施例は、ダウンサイジングよりも、オペレータの印刷ドラムの着脱作業の軽減を主眼においた連結タイプの例である。なお、本実施例の場合、孔版印刷装置Aでは排版装置400は必ずしも必要ではない。
図21は、主印刷装置としての孔版印刷装置Aの一方側に、副印刷装置としての孔版印刷装置B’とC’を連結した例を示すものである。この例においても孔版印刷装置Aの排版装置400は必ずしも必要ないので排版装置400のない孔版印刷装置A’を図示している。また、孔版印刷装置A’,B’,C’は切り離して使用してもよい。
以上例示した連結タイプのシステムにおいて、連結の仕方は自由であり、作業がし易い配置でかまわないが、各印刷ドラムの画像位置合わせ調整の確認がし易いように、操作パネルは排紙側にあったほうがよい。
【0073】
なお、主印刷装置との連結構成ではないが、図22に示すように、孔版印刷装置B同士を連結したものと、これとは別個に存在する孔版印刷装置Aとからシステムを構成することもできる。この場合、最初の実施例で示したシステムの色数増加タイプとして捉えることができる。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、各印刷ドラムにおける給版レジストの誤差を少なく、又は無くすことができ、給版レジスト調整の面倒さを回避することができる。
【0075】
本発明によれば、複数の印刷ドラムに対する製版装置を共用化し、この製版装置と多色印刷装置とを分業的に位置付ける構成としたので、多色印刷装置をコンパクトにでき、システム全体のダウンサイジングを図ることができるとともに、各印刷ドラムにおける給版レジストの誤差を無くすことができる。
また、製版装置の解像度を例えば400DPI,600DPIと変更しても多色印刷装置の方は変更不要であるので、グレードアップを図る場合等のユーザの経済的負担を軽減できる。
また、例えばフラッシュ製版方式、レーザー製版方式などのように製版方式の異なる製版装置によって製版されたマスタを巻装した印刷ドラムを多色印刷装置に混合して装着できるので、印刷画像のバリエーションを拡げることができる。
また、多色印刷装置の方は印刷構成だけであるので、複数の印刷ドラムの配列を自由に行うことができ、設計上のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0076】
本発明によれば、製版装置と多色印刷装置を分離可能としたので、ダウンサイジングに加えてレイアウトの自由度を向上させることができ、オフィスの種々のスペース制約にも対応できる。
【0077】
本発明によれば、製版装置に印刷装置を用いる構成としたので、多色印刷装置に装着する前に試し刷りによる位置ズレ等を容易に修正できるので、印刷作業の作業能率を向上させることができる。
【0079】
本発明によれば、印刷ドラム装着箇所を限定しない構成としたので、色再現の自由度を拡げることができる。
【0080】
本発明によれば、中間搬送ユニットを介して印刷装置を連結するとともに、複数の印刷ドラムの給版を固定された給版装置を共用して行う構成としたので、給版レジスト精度の向上を図ることができるとともに、色数の増加を容易に行うことができる。
【0081】
本発明によれば、印刷ドラムの着脱時の回転位置を全ての装置で統一する構成としたので、オペレータは常に決まった位置関係で印刷ドラムの着脱操作を行えるので、印刷ドラムの着脱操作の容易化を図ることができる。
また、印刷装置側は常に決まった位置関係で印刷ドラムが着脱されるので、その後の印刷開始における印刷ドラムの位置制御が容易となる。
【0082】
本発明によれば、上流側隣の印刷ドラムに対してのみ機能する位相調整機構を設ける構成としたので、画像の天地方向の調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に係る多色印刷システムの模式的平面図である。
【図2】図1で示した多色印刷システムの使用方法を説明する模式的平面図で、(a)は多色印刷装置としての孔版印刷装置の右側の印刷ドラムの給排版動作の説明図、(b)は左側の印刷ドラムの給排版動作の説明図である。
【図3】図1で示した多色印刷システムにおける製版装置としての孔版印刷装置の概要正面図である。
【図4】図1で示した多色印刷システムにおける多色印刷装置としての孔版印刷装置の概要正面図である。
【図5】図1で示した多色印刷システムの印刷ドラムの着脱時の回転位置の統一による着脱の仕方を示す模式的正面図である。
【図6】3つの印刷ドラムを有する多色印刷装置を有する多色印刷システムの使用方法を説明する模式的平面図である。
【図7】4つの印刷ドラムを有する多色印刷装置を有する多色印刷システムの使用方法を説明する模式的平面図である。
【図8】4つの印刷ドラムを有し且つ2種類の製版装置を有する多色印刷システムの使用方法を説明する模式的平面図である。
【図9】多色印刷装置が排版装置を有する場合の多色印刷システムの概要正面図である。
【図10】単一の構成内で印刷ドラムの入替えを行うタイプの多色印刷システムの概要正面図である。
【図11】図10で示した多色印刷システムの給排版動作を示す模式的平面図である。
【図12】単一の構成内で印刷ドラムの入替えを行うタイプの多色印刷システムの変形例を示す概要正面図である。
【図13】図12で示した多色印刷システムの給排版動作を示す模式的平面図である。
【図14】単一の構成内で印刷ドラムの入替えを行うタイプの多色印刷システムのさらに別の変形例を示す概要正面図である。
【図15】連結タイプの多色印刷システムの一例を示す概要正面図である。
【図16】図15で示した多色印刷システムの連結前の状態を示す概要正面図である。
【図17】印刷ドラムを1つ有する副印刷装置を2つ連結した多色印刷システムの概要正面図である。
【図18】印刷ドラムを2つ有する副印刷装置を1つ連結した多色印刷システムの概要正面図である。
【図19】印刷ドラムを2つ有する副印刷装置を2つ連結した多色印刷システムの概要正面図である。
【図20】印刷ドラムを1つ有する副印刷装置を3つ連結した多色印刷システムの概要正面図である。
【図21】印刷ドラムを1つ有する副印刷装置と、印刷ドラムを2つ有する副印刷装置を連結した多色印刷システムの概要正面図である。
【図22】印刷ドラムを2つ有する孔版印刷装置同士を連結したものと、単一ドラム方式の孔版印刷装置との組合せによる多色印刷システムの概要正面図である。
【符号の説明】
89a,89b 印刷ドラム
94 マスタ
A 給排版機能を含む製版装置としての孔版印刷装置
B 多色印刷装置としての孔版印刷装置
A,A’ 主印刷装置
B,B’,C,C’ 副印刷装置
F 中間搬送ユニット

Claims (12)

  1. 一体構造又は分離構造を有し、複数のドラム装着部と該ドラム装着部に対して着脱自在な複数の印刷ドラムを備え、1回の通紙で同時多色印刷が可能な多色印刷装置と、
    上記印刷ドラムの総数よりも数が少なく、上記複数のドラム装着部のうちの何れかに対応して固定して設けられ、マスタの給版機能を含む製版装置と、
    を用い、上記ドラム装着部に対する上記印刷ドラムの入替え動作を介して上記製版装置を共用することによりそれぞれの印刷ドラムに給版し、印刷を行うことを特徴とする多色印刷方法。
  2. 一体構造又は分離構造を有し、複数のドラム装着部と該ドラム装着部に対して着脱自在な複数の印刷ドラムを備え、1回の通紙で同時多色印刷が可能な多色印刷装置と、
    上記印刷ドラムの総数よりも数が少なく、上記複数のドラム装着部のうちのいずれかに対応して固定して設けられ、マスタの給版機能を含む製版装置と、
    を有し、上記ドラム装着部に対する上記印刷ドラムの入替え動作を介して上記製版装置を共用することによりそれぞれの印刷ドラムに給版し、印刷を行うことを特徴とする多色印刷システム。
  3. 請求項2記載の多色印刷システムにおいて、
    上記多色印刷装置が分離構造を有し、一方が上記製版装置を有する製版部としてなり、他方が多色印刷部としてなることを特徴とする多色印刷システム。
  4. 請求項3記載の多色印刷システムにおいて、
    上記多色印刷装置の上記製版部としてなる方が、排版機能及び給排紙機能を有する単一印刷ドラム交換型の印刷装置であることを特徴とする多色印刷システム。
  5. 請求項3又は4記載の多色印刷システムにおいて、
    上記多色印刷装置の上記多色印刷部としてなる方が、上記複数の印刷ドラムに個別に対応した排版装置を有していることを特徴とする多色印刷システム。
  6. 請求項3記載の多色印刷システムにおいて、
    上記多色印刷装置の上記製版部を有する方がさらに、それぞれ上記製版装置を有する複数の製版部として分離され、分離された各製版部の製版方式が異なることを特徴とする多色印刷システム。
  7. 請求項2記載の多色印刷システムにおいて、
    上記多色印刷装置が一体構造を有し、且つ少なくとも1つの排版装置を有していることを特徴とする多色印刷システム。
  8. 請求項7記載の多色印刷システムにおいて、
    上記排版装置を1つ有し、上記複数の印刷ドラムの排版を行う場合に、上記排版装置を共用することを特徴とする多色印刷システム。
  9. 請求項2記載の多色印刷システムにおいて、
    上記多色印刷装置が、
    上記製版装置と、上記印刷ドラムを少なくとも1つ備えた主印刷装置と、
    着脱自在な中間搬送ユニットを介して上記主印刷装置に連結され、上記印刷ドラムを少なくとも1つ備え、上記製版装置を有しない副印刷装置と、
    から構成されていることを特徴とする多色印刷システム。
  10. 請求項9記載の多色印刷システムにおいて、
    上記副印刷装置が複数個連結されていることを特徴とする多色印刷システム。
  11. 請求項2〜10のいずれか1つに記載の多色印刷システムにおいて、
    上記印刷ドラムの着脱時の回転位置は、上記複数のドラム装着部に対する入替え動作において統一されていることを特徴とする多色印刷システム。
  12. 請求項2〜11のいずれか1つに記載の多色印刷システムにおいて、
    印刷用紙の搬送方向における下流側の印刷ドラムは、その上流側隣の印刷ドラムに対してのみ機能する位相調整機構を有することを特徴とする多色印刷システム。
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