JP3549162B2 - 自動2輪車用フェアリング - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、旋回時の空気抵抗低減並びにエンジンや車体の冷却性能向上に寄与できる自動2輪車用フェアリングに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動2輪車用フェアリングは走行時の空気抵抗を減少するため、車体前半部を前方からエンジンの両側方まで連続曲面で覆うように形成されている。一例として、特開昭57−7774号並びに実開昭59−174979号各公報記載のものがある。なお、これら従来例のうち、前者にはフェアリング側面に車体後方を指向して開口する通風ダクトの出口部を設け、その開口部に臨んでラジエタを配置したものが、また後者にはフェアリングの底部に通気孔を設けたものが示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなフェアリングは直進時の空気抵抗低減を主眼としている。ゆえに、前方投影面積は可及的に小さくなるよう設計されている反面、側方投影面積は大きくなっている。したがって、旋回するためバンクしたとき、フェアリングの側面で走行風を横風として受け、この部分の風圧が高まるので走行抵抗が増大する。特に、自動2輪車はその特徴としてバンクしながら旋回するものであるから、旋回時に斜め前方かつ斜め下方からの横風を受け、予めフェアリング表面が直進時の整流効果を顕著にする曲面に構成されているものであっても、この横風を短時間に正面から受ける横風正面部が生じ、この横風正面部によって風圧が高まることになる。ここで横風正面部とは、横風を強く受ける部分における曲面の接平面と直交する方向が横風方向となるような曲面部分であり、フェアリング上の所定範囲を占める部分であるが、車体を正立させた直進時におけるフェアリング表面のうち斜め前方もしくは斜め下方を向く斜面部が相当する。一方、フェアリングの側面にはラジエタや排気管による熱風を車体外方へ排出するための排風口が設けられていることが多いが、このような排風口はフェアリング内側の熱風を効率的に排出させるため、車体後方を指向させて開口してある。したがって、この開口部が旋回時に横風の正面に向くことはなく、これらの開口部の存在によって横風の風圧を低減させることはあまり期待できない。そこで、このような開口部が存在してもさらに旋回時の横風による風圧を低減させることが必要になるのであって、特にレース等における高速旋回時の走行抵抗を低減させることが望まれる。また、フェアリング内側の通気能力を向上させて、エンジン等の冷却効率を向上させることも望まれる。本出願は、かかる要請の実現を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、走行風を前方から後方へ導風する自動2輪車用フェアリングに、車体外方を指向して開口し内外を連通するとともに横風を受けたときにその横風が通過するように車体の内外を連通する小孔からなる多数の通気孔を、全体に分布するように設けたことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、走行風を前方から後方へ導風する自動2輪車用フェアリングにおいて、車体前方上部に配置されている計器を覆う計器カバー部と車体前方へ向かって開
風口上部との間に形成された車体前方から側方にかけて連続するとともに下向の傾斜面を有する接続部を設け、この接続部全体に分布するように、斜め下向きに指向して開口し内外を連通するとともに、横風を受けたときにその横風が通過するように車体の内外を連通する小孔からなる多数の通気孔を設けたことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、走行風を前方から後方へ導風する自動2輪車用フェアリングにおいて、このフェアリングの側面に斜め後方を指向して開口する排風口と、その後方に前部が車体内方側へ湾入して斜め前方を向くインナーダクトを備え、このインナーダクト全体に分布するように、斜め前方を指向して開口し内外を連通するとともに横風を受けたときにその横風が通過するように車体の内外を連通する小孔からなる多数の通気孔を設けたことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、上記請求項3において、前記排風口の周囲に側方を指向して開口するとともに前記排風口よりも小さな開口面積で、横風を受けたときにその横風が通過するように車体の内外を連通する小孔からなる多数の通気孔を設けたことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、走行風を前方から後方へ導風する自動2輪車用フェアリングにおいて、このフェアリングが前方から見て下すぼまり形状をなす側面下部を備え、この側側面下部が下向き斜面をなすとともに、この側面下部のほぼ全長に亘って、斜め下方を指向して開口し、横風を受けたときにその横風が通過するように車体の内外を連通する小孔からなる多数の通気孔を設けたことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて前記通気孔の開口率が、前記通気孔形成対象部分の17%以上であることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて通気孔が繊維素材の網目状部分に形成されることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて前記各通気孔が長円状をなすとともに、それぞれの長軸方向が上下方向、左右方向又は斜め方向と任意に配列されていることを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて前記通気孔の開口縁部が面取状をなすことを特徴とする。
請求項10に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて車体側面に設けられた前記通気孔を開閉部材により、直進時に閉じ、旋回時に開くよう開閉制御することを特徴とする。
請求項11に係る発明は、請求項10において前記開閉部材が所定値の風圧によって開閉する風圧感応型であることを特徴とする。
請求項12に係る発明は、請求項10において前記開閉部材が電気的手段で開閉する電動型であることを特徴とする。
請求項13に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて前記通気孔を通過した水滴に対する障壁をなす水滴防止板を、フェアリングの車体進行方向前方へ面する部分の内側へ所定間隔をもって配設したことを特徴とする。
【0005】
【作用】
請求項1の発明によれば、旋回時にフェアリングの一部に対して横風となった走行風の風圧が強まろうとすると、この部分に車体外方へ向かって開口し内外を連通するとともにフェアリング全体に分布して形成された多数の通気孔が設けられているため、この通気孔により横風となった走行風がフェアリングを通過するので、横風による風圧増大が抑制される。しかも通気孔がフェアリングの全体に分布して形成されているから横風による風圧増大を効果的に抑制できる。したがって、旋回を始めるために車体を倒し込むときフェアリングが受ける横風からの影響が少なくなり、スムーズに車体を倒し込むことができ、スピードレースなどのコーナーの入り口で素速く車体を倒し込むことが必要なとき特に有効である。同時にフェアリング内部の通風性能を増大させる。一方、直進時には通気孔が小孔からなるので、フェアリング本来の整流効果を発揮できる。
請求項2の発明によれば、車体前方上部に配置されている計器を覆う計器カバー部と車体前方へ向かって開口する導風口上部との間に形成された車体前方並びに側方へ向かって下向の傾斜面をなす接続部は旋回時の横風正面部となるが、この部分全体に分布するように斜め下方を指向して開口し内外を連通する多数の通気孔を設けたので、バンク時における接続部の横風による風圧を効果的に低減できる。したがって、旋回を始めるために車体を倒し込むときフェアリングが受ける横風からの影響が少なくなり、スムーズに車体を倒し込むことができ、スピードレースなどのコーナーの入り口で素速く車体を倒し込むことが必要なとき特に有効である。
そのうえ、フェアリング内部の通風性能を増大させ、一方、直進時にはフェアリング本来の整流効果を発揮できる。
請求項3の発明によれば、斜め後方を指向して側面に開口する排風口より後方部分に前部が車体内方側へ湾入して斜め前方を向くように設けられたインナーダクトを備える場合、この部分が旋回時に横風正面部となるが、このインナーダクト全体に分布するように斜め前方を指向して開口し内外を連通する多数の通気孔設けることにより、横風をインナーダクトの通気孔から車体内方へ通過させることができるので、インナーダクトに向かう横風による風圧を効果的に低減でき、かつ直進時におけるフェアリングとしての整流効果を維持できる。したがって、旋回を始めるために車体を倒し込むときフェアリングが受ける横風からの影響が少なくなり、スムーズに車体を倒し込むことができ、スピードレースなどのコーナーの入り口で素速く車体を倒し込むことが必要なとき特に有効である。また、フェアリング内側を熱気となって通過してインナーダクト先端部へ到達した走行風は、排風口のみならずインナーダクトの通気孔からも外部へ通過するので、熱気を効率よく排出する。
請求項4の発明によれば、上記請求項3における排風口の周囲に複数の通気孔を設けるとともに、この通気孔が側方を指向して開口し内外を連通し、かつ排風口よりも小さな開口面積になっているので、旋回時の横風に対する風圧低減をあまり期待できない排風口に代わって、横風による風圧を効果的に低減でき、かつ直進時におけるフェアリングとしての整流効果を維持できる。
請求項5の発明によれば、フェアリングの前面側から見て下すぼまり状に変化する側面下部のほぼ全長に亘って、斜め下方を指向して開口し内外を連通する多数の通気孔を設けたので、側面下部が旋回時にバンクしたとき横風正面部になるが、横風は側面下部に設けた通気孔を車体内方へ通過するから、側面下部における横風による風圧を効果的に低減できる。しかも直進時には整流効果を維持できる。したがって、旋回を始めるために車体を倒し込むときフェアリングが受ける横風からの影響が少なくなり、スムーズに車体を倒し込むことができ、スピードレースなどのコーナーの入り口で素速く車体を倒し込むことが必要なとき特に有効である。
請求項6の発明によれば、通気孔の開口率を通気孔形成対称部分の17%以上とすることにより、旋回時の風圧低減と直進時の整流効果維持をともに移期待できる。
請求項7の発明によれば、繊維素材の網目状部分を利用することにより、成形時と同時に微細かつ多数の通気孔を形成でき、同時に繊維素材を切断しない。したがって繊維素材の網目状部分を利用して通気孔の形成ができるので製造が容易であるとともに、補強繊維の強度を一定に維持できる。
請求項8の発明によれば、長円の向きにより通過する走行風に指向性を生じさせることができる。
請求項9の発明によれば、通気孔の開口縁部が面取りされているため、この表面を走行風が通過するとき乱流が生じにくくなる。
請求項10の発明によれば、通気孔に開閉部材を設け、直進時に通気孔を閉じ、旋回時に開くよう開閉部材を制御することにより、直進時にはフェアリング表面に開口が生じないので、十分な整流効果を期待でき、かつ、旋回時には通気孔が形成されて前記風圧抑制効果が生じる。したがって、必要なときのみ風圧抑制効果を発揮でき、直進時の整流効果を維持できる。
請求項11の発明によれば、風圧の大きさに応じて通気孔が自動的に開閉するので、開閉制御が簡単になる。
請求項12の発明によれば、開閉部材を電動により作動でき、作動を確実かつ簡単にできるとともに、制御条件の自由度を高めることができる。
請求項13の発明によれば、雨天走行時などにおいて走行風とともにフェアリング前面から通気孔を通過してフェアリング内へ侵入した水滴は水滴防止板へ衝突して滴下するので乗員まで到達しない。しかも、水滴防止板とフェアリングの間には所定の間隔があるので走行風は通り抜けることができ、フェアリング内側の通気性能を維持する。したがって、フェアリングの前面部に通気孔が形成されているにもかかわらず、雨天走行時等であっても乗員が濡れないようにでき、しかも通気孔の通気性能を損なわないようにできる。
【0006】
【実施例】
図1乃至図7に第1実施例を示す。図1はスピードレース用自動2輪車の側面外観を示し、図2は図1のA−A線に沿うフェアリング(後述)の模式断面を示す。図中の符号1は前輪、2はフェアリング、3はフロントフォーク、4はハンドル、5はメインフレーム、6はラジエタ、7はエンジン、EX は排気管、8は燃料タンク、9はシート、10はリヤカウル、11はリヤカウル内を通過する上部マフラである。
【0007】
走行風を前方から後方へ導風する自動2輪車用フェアリング2は上すぼまり状断面のアッパーカウル12と下すぼまり状断面のロアカウル13との上下2分割構造をなし、フロントフォーク3の上部及びハンドル4の前方から車体両側の燃料タンク下方部分までを覆っている。但し、フェアリング2を上下連続一体の構造にすることもできる。フェアリング2の内側にはラジエタ6、排気管EX 及びエンジン7が位置して両側方を覆われている。アッパーカウル12は、上部に透明なスクリーン部14が設けられ、その下部は計器類のバイザーをなす計器カバー部15をなしている。また、前部正面には大口径のラジエタ導風口16(図8参照)が開口し、後方側はメインフレーム5の側面に沿って斜め下方へ延びている
【0008】
また、ラジエタ6の後部近傍の両側面にはラジエタ用排風口17が車体の斜め後方を指向して開口され、このラジエタ用排風口17の周縁部のうち、上下及び後部は車体内方へ入り込むインナーダクト18を形成している。インナーダクト18の前部は斜め前方を向く本願発明における旋回時の横風正面部となる部分であり、フェアリング2と連続一体に形成され、ラジエタ用排風口17から排出された排風が後方へ流れる部分に前部へ内方へ湾曲する整流面19が形成されている(図2)。ラジエタ用排風口17の先端部はラジエタ6の後部近傍へ位置している。図1に示すように、ラジエタ用排風口17の周囲には通気孔20が、ラジエタ用排風口17の開口面積よりも小さな開口面積の小孔として排風口17の周囲へ側方を指向して開口している。
【0009】
フェアリング2及びリヤカウル10は側面を含む全体に分布して多数の通気孔20が車体外方と内方を連通するように内外(表裏)へ貫通して穿設され、車体前方乃至は側方を指向して開口し、全体が概略メッシュ状を呈している。この通気孔20による開口率は図3に一例を模式的に示すように、通気孔20の中心間距離を10mm、通気孔20の直径を5mmとすれば、約17%となる。この開口率17%は本実施例における場合の横風に対する風圧抑制効果を生じる下限値であり、これ以上の開口率となるよう設計することが好ましい。但し、風圧抑制効果の程度はフェアリング2の形状等により変化するので、このような数値は個々の具体的な形状等について定められる。また、上限はフェアリング2の表面における整流効果に著しい影響が生じない程度の範囲で同様に個々に定められる。
【0010】
なお、通気孔20の形状、形成方法、分布密度等は種々のものが可能である。図4はフェアリング2をFRPで成形する場合、その繊維素材(例えばカーボン繊維、ケブラー繊維等)21の横糸22と縦糸23とによって網目24を形成し、成形時にこの網目24を利用して通気孔20を一体に形成すれば、通気孔20の形成が簡単にできる。しかも、この際繊維素材21を切断することがなく、強度を所定水準に維持できる。
【0011】
図5に示すものは、通気孔20を長円形状にするとともに、その長軸方向を左右方向(a)、上下方向(b)、前方斜め下がり(c)、後方斜め下がり(d)等と任意の向きに配列させたものである。このようにすると、通気孔20を通過する走行風に指向性を持たせることができる。
【0012】
図6及び図7(図6のB−B線断面)は通気孔20の形状に関するものであり、フェアリング2の外表面で通気孔20の開口部を通気孔20の中心側へ向かって凹入傾斜する斜面25として面取状にしてある。このようにすると、走行風Wがフェアリング2の外表面を通過するとき、斜面25に沿って整流できるので、フェアリング2の外表面に通気孔20の開口角部を形成することなく、乱流の発生を防止でき、走行抵抗を減少させることができる。
【0013】
次に、本実施例の作用を説明する。図2に示すように、車体を例えば左旋回させようとしてバンクさせると、フェアリング2の側面で横風となった走行風Wを受けるようになる。ところが、この走行風Wは多数の通気孔20を通してフェアリング2を通り抜けてしまう。ゆえに、走行風Wによる走行抵抗が著しく減少してバンクがスムーズになる。このとき、フェアリング2の側面に斜め後方を指向して開口するラジエタ用排風口17を設け、かつその周囲に多数の通気孔20を設けるとともに、この通気孔20は側方を指向して開口しかつラジエタ用排風口17よりも小さな開口面積になっているので、旋回時の横風に対する風圧低減をあまり期待できないラジエタ用排風口17に代わって、横風による風圧を効果的に低減できる。そのうえ車両の直進時においては、通気孔20の存在が整流効果にあまり影響が生じないので、フェアリング2は整流効果を維持できる。
しかも、本実施例の場合、インナーダクト18の前部を構成する整流面19等にも斜め前方を指向して開口する通気孔20を開口してあるため、車体の旋回に伴って走行風Wが整流面19へ略直角方向になり、本来走行抵抗が増大するような場合でも、整流面19の通気孔20を通過してしまうので走行抵抗を減少させることができる。ゆえに、旋回時における横風の影響を受けにくくしてスムーズに旋回をすることができ、スピードレースなど高速旋回時において特に有効である。
【0014】
さらに、通気孔20を通過する走行風Wにより、フェアリング2内の通気能力が増すので、内側に配されているラジエタ6やエンジン7及び排気管EX 並びに車体部分の冷却効率が向上する。
そのうえ、フェアリング2前部のラジエタ導風口16から内部へ入り、ラジエタ6又はその近傍を通過した走行風は整流面19の先端部へ向かうが、この部分でも通気孔20を通過してしまうので、熱風を効率的に排出できる。
【0015】
図8乃至図10は通気孔20の開口位置に関する第2実施例を示し、図8はフェアリング2の外観を立体的に示す図、図9はその側面外観形状を示す図、図10は車体取付状態を正面から示す図である。なお、図1及び図2に示した実施例と共通機能部分については同一符号を用いるものとする。この際、図3乃至図7に示した各種の通気孔20を単独又は適宜組合わせて用いることは任意である(以下の実施例も同様)。
【0016】
このフェアリング2のアッパーカウル12のうち、計器カバー部15とラジエタ導風口16の上部26側との接続部27の全体に分布して斜め下方を指向して開口する通気孔20が形成されている。接続部27は車体前方から側方にかけて連続して設けられた下向傾斜面をなす部分である。この部分は本願発明における旋回時の横風正面部となる部分であり、図10等に示すように通気孔20がこの部分全体に前部から側方へかけて設けられている。
また、インナーダクト18には上下の凹入壁28、29(図9)並びに整流面19の全体に形成され、さらに整流面19の後方へもアッパーカウル12の後縁近傍まで形成されている。
【0017】
フェアリングの下部をなすロアカウル13は前面側から見たとき下すぼまり形状をなしており、その側面部も本願発明における旋回時の横風正面部となる部分である。このロアカウル13の前部には排気管冷却用のダクト30が開口され、側面の前部乃至後部に排風口31、32が二ヶ所形成されており、これら排風口31と32の周囲を含む側面部にもそのほぼ全長に亘り、斜め下方を指向して開口する通気孔20が形成されている。
【0018】
このようにすると、バンク時に横風正面部となる、下向傾斜する接続部27や下すぼまり形状のロアカウル13には、通気孔20が斜め下方を指向して開口するので、風圧増大を回避できる。同時に、旋回時の横風を正面方向から受け易い部分のみに通気孔20を限定して設けるため、直進時のフェアリング2による良好な整流効果を維持できる。
【0019】
図11乃至図13に第3実施例を示す。この実施例は前実施例の一部を変更したものであり、相違点を示せば、接続部27の前部が幅広くなっていること(第13図)、ラジエタが第1ラジエタ6a及び第2ラジエタ6bと上下に分割され、ラジエタ用排風口が各ラジエタに対応して第1排風口17a及び第2排風口17bとして形成され、通気孔20は接続部27と各排風口近傍に形成される第1及び第2インナーダクト18a、18b並びに第2ラジエタ6bの側部前方側近傍の前方通気部33に形成されている。このようにすると、旋回時のスムーズさを確保しつつ、より通気孔20の形成範囲を限定できるとともに、第2ラジエタ6bの冷却効率を高めることができる。
【0020】
図14乃至図24は通気孔20を開閉制御可能とするものであり、まず図14乃至図18に示す第4実施例は風圧に感応して通気孔20が開閉する型式のものである。
図14は上下一体型のフェアリング2の側面を示し、その下部側面の略中央部に通気孔20が形成され、かつこの部分の内側に通気孔20に対する開閉部材34が設けられている。
【0021】
図15及び図14のC−C線断面の一部である図16に明らかなように、通気孔20の上下方向へ並ぶ各列単位に開閉する複数の略長方形状の板状部材であり、開閉部35が通気孔20を開閉可能に配置されるとともに、取付縁部36でネジ37等によりフェアリング2の内側へ取付けられている。開閉部材34の長さは任意であり、取付部の曲率等に対応して単一枚(A)、2分割(B)、3分割(C)等任意に形成される。また、その開閉構造は第17図に示すように、開閉部35を弾性に富む板状部材として取付縁部36と一体に形成したリードバルブ式に形成したり、第18図に示すように、開閉部35と取付縁部36の接続部にカール部38を設け、軸39により両者を回動自在に連結したヒンジ式のものでもよい。なお、前者の場合は開閉部35自体のバネ弾性により、また後者の場合は図示省略のコイルスプリング等によって、いずれも所定のセット荷重で開閉部35をフェアリング2側へ付勢しておく。
【0022】
このようにすると、直進時は図17及び図18に示すように、いずれも通気孔20が閉じられているので、走行風Wはフェアリング2の外表面に沿って流れ、フェアリング2による整流効果を生じている。
一方、旋回時になると、開閉部35に対する走行風Wが横風となってその風圧が高まり、風圧が開閉部35を付勢するセット荷重を越えると仮想線で示すように内方へ開き、走行風Wを車体内方へ通過させることにより風圧の増大を抑制する。
【0023】
ゆえに、本実施例によれば、直進時におけるフェアリング2の整流効果と旋回時における風圧抑制効果とを同時に達成できる風圧感応型の開閉制御式通気孔を与えることができ、しかも制御構造を簡単にできる。なお、通気孔20の形成位置は図14の位置に限らず、前各実施例に示した位置等任意に設定できる。
【0024】
図19乃至図24に示す第5実施例は開閉制御手段を電動型としたものである。すなわち、図19に示すように、フェアリング2の通気孔20を形成した位置内側にスライドバルブ40が設けられ、ソレノイド41によって開閉されるようになっている。
スライドバルブ40は図20に示すように、通気孔20の上下方向の列に沿う長穴状の開口部42が形成され、かつ一辺部に取付部43が形成されたものである。開口部42は図15の(A)〜(C)と同様に、種々の長さにできる。
【0025】
このスライドバルブ40は図21(図19D−D線断面の一部)に示すように、フェアリング2の内側に沿ってスライド可能に支持されており、その取付部43と、やはりフェアリング2の内側へ取付けられているソレノイド41のアクチュエータロッド44の先端部を係合してある。
旋回時には後述する制御系統でソレノイド41を作動させることにより、図22に示すように、スライドバルブ40がスライドして開口部42が連通する開状態になり、直進時には開口部42が通気孔20と不一致になって閉状態(図23)になる。
【0026】
図24はスライドバルブ40の制御系統を示す図であり、ソレノイド41はマイクロコンピュータからなる制御ユニット45に接続し、制御ユニット45にはハンドルの回転角を検出する舵角センサ46、スロットル開度センサ47、ブレーキの使用有無を検出するブレーキスイッチ48、エンジンの回転数を検出する回転センサ49、ギヤポジションを検出するギヤセンサ50、車速センサ51、フェアリング等へ取付けられる横風センサ52等のいずれか乃至任意の組合わせが接続されている。
【0027】
次表はこれらセンサ又はスイッチの信号個々に対する通気孔20の開閉条件を示す。これらの条件は単独で又は任意の組合わせで使用される。
【表】
【0028】
このようにすると、前実施例同様に直進時又は旋回時に応じて通気孔20を開閉制御できるとともに、制御における作動条件選択の自由度が大きくなる。なお、この電動型の場合、スライドバルブ40を駆動する手段はソレノイド41に限らずモータ等によっても可能であり、開口率を任意に制御する連続制御も可能である。また、単に開閉の二段階制御を行う場合は、制御ユニット45を省略していずれかのセンサ又はスイッチとソレノイド41を直結させることもできる。
【0029】
図25乃至28に第6実施例を示す。図25は図10に対応する図であり、計器カバー部15とラジエタ導風口の上部26側との接続部27の下向き傾斜部分に通気孔20が設けられている。
【0030】
接続部27部分の中央部にはヘッドランプHL(図25)用の開口61が形成される。また、図25の接続部27における水平断面に相当する図26に示すように、接続部27のうち進行方向前方に面する部分(以下、前面部62という)の内側には所定間隔をもって水滴防止板63が設けられている。前面部62は接続部27の曲面に沿う屈曲形状に形成され、開口61と略平行に車幅方向へ延びる前面部64と、接続部27の側方部分に沿い車体の前後方向へ延びる側面部65とが連続して形成されている。また、前面部64の最も車体中心側の端部には前面部62方向へ向う折返し部66が形成され、その先端と開口61との間は狭い間隔Sとなっている。水滴防止板63は少なくとも前面部62に形成された全部の通気孔20後方に衝立状に配され、通気孔20を通過した水滴67の通り抜けを防止可能な面積で計器カバー15側又は車体側へ適宜手段により支持されている。
【0033】
図27は接続部27、排風口17及びロアカウル13等フェアリング2の各部に形成される通気孔20の一つを拡大断面で示した図7に相当する図である。この図から明らかなように、通気孔20の周壁はフェアリング2の外方(図の上側)へ向って開く湾曲面72で形成される。また、フェアリング2の内側(図の下方)へ臨む通気孔20の内側開口部は内側一般面73よりも凹入された凹部74となっている。
図28はこの通気孔20を成形する金型構造を示し、便宜上フェアリング2の外表面を形成する側を上型75、フェアリング2の内表面を形成する側を下型76とする。フェアリング2は上下型75及び76間に形成され、このとき同時に通気孔20が形成される。通気孔20の湾曲面72は上型75から一体に突出形成された突起77により形成され、かつ凹部74は下型76に一体形成された段部78により形成される。フェアリング2の成形時には上型75と下型76のパーティングラインがフェアリング2の内表面を形成し、かつ突起77の先端は段部78の頂部と当接する。
【0034】
次に、本実施例の作用を説明する。図26において、雨天走行時などに走行風と一緒に水滴67が前面部62に形成された通気孔20を通過して計器カバー部15内へ入ると、その後方に衝立状に存在する水滴防止板63の前面部64部分に衝突する。ゆえに、水滴67は水滴防止板63によって邪魔され、乗員方向へ通り抜けることができず、その多くは水滴防止板63の表面に沿って滴下しつつ走行風により後方側へ押し流され、やがて車体下方へ落下する。また、前面部64から車体中心側へ水滴67が向っても折返し部66で阻止され、やがて折返し部66を伝って下方へ滴下する。このため、通気孔20を前面部62に設けても、雨天走行時等に乗員が濡れないようにできる。しかも、水滴防止板63は計器カバー部15との間に所定の間隔を設けてあるので、走行風は自在に通り抜け可能である。ゆえに、前各実施例同様にフェアリング2の内側における冷却性能を高く維持できる。そのうえ、接続部27部分に通気孔20を設けると計器カバー部15前後の空間を連通するので、高速走行時に計器カバー部15の背面に負圧を生じさせないようにできる。このため、乗員が負圧に抗しながら運転姿勢を維持する必要がなくなるので、高速走行時の快適性を向上できる。
【0036】
また、図27に明らかなように、湾曲面72を設けたことにより走行風Wの通り抜けをよりスムーズにすることができる。そのうえ、この通気孔20の内側開口部に凹部74を設けたので、図28に示すように、突起77と段部78のパーティングラインがフェアリング2の内側になり、これによりパーティングラインに発生するバリを外観上見えにくくでき、成形後のバリ取り仕上げを簡単にできるので、成形効率が向上する。
【0037】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、旋回時にフェアリングの側面に対して横風となった走行風の風圧が強まろうとすると、多数の通気孔が、車体外方を指向して開口し内外を連通するとともにフェアリング全体に分布するように形成されているため、この通気孔により横風となった走行風を車体内方へ通過させるので、横風による風圧増大が抑制される。したがって、旋回を始めるために車体を倒し込むときフェアリングが受ける横風からの影響が少なくなり、スムーズに車体を倒し込むことができ、スピードレースなどのコーナーの入り口で素速く車体を倒し込むことが必要なとき特に有効である。同時にフェアリング内部の通風性能を増大させる、冷却効率を高めることができる。一方、直進時には、通気孔が車体側方を指向して開口する多数の小孔からなるので、フェアリング本来の整流効果を発揮できる。そのうえ、通気孔をフェアリング全体に分布するように設けたので、フェアリングの全ての部分で上記効果を生じさせることができる。
【0038】
請求項2の発明によれば、車体前方上部に配置されている計器を覆う計器カバー部と車体前方へ向かって開口する導風口上部との間に形成された車体前方から側方にかけて連続するとともに下向の傾斜面をなす接続部は旋回時の横風正面部となるが、この部分全体に分布するように斜め下方を指向して開口するとともに内外を連通する多数の通気孔を設けたので、バンク時の接続部における横風による風圧を効果的に低減できる。したがって、旋回を始めるために車体を倒し込むときフェアリングが受ける横風からの影響が少なくなり、スムーズに車体を倒し込むことができ、スピードレースなどのコーナーの入り口で素速く車体を倒し込むことが必要なとき特に有効である。そのうえ、フェアリング内部の通風性能を増大させ、一方、直進時にはフェアリング本来の整流効果を発揮できる。
【0039】
請求項3に係る発明によれば、斜め後方を指向して側面に開口する排風口より後方部分に前部が車体内方側へ湾入するとともに斜め前方を向くように設けられたインナーダクトを備える場合、この部分が旋回時に横風正面部となるが、このインナーダクト全体に分布するように、斜め前方を指向して開口するとともに内外を連通する多数の通気孔設けることにより、横風をインナーダクトの通気孔から車体内方へ通過させることができるので、インナーダクトに向かう横風による風圧を効果的に低減できる。
したがって、旋回を始めるために車体を倒し込むときインナーダクトが受ける横風からの影響が少なくなり、スムーズに車体を倒し込むことができ、スピードレースなどのコーナーの入り口で素速く車体を倒し込むことが必要なとき特に有効である。かつ直進時におけるフェアリングとしての整流効果を維持できる。また、フェアリング内部の通風性能を増大させることができる。例えば、フェアリング内側にてラジエタ近傍を通過してインナーダクト先端部へ到達した走行風は、ラジエタ用排風口のみならずインナーダクトの通気孔からも外部へ通過する。しかも、ラジエタ用排風口近傍におけるラジエタ排風の一部をインナーダクト先端部の通気孔を通してフェアリング内側を車体後方へ流すこともできる。したがってラジエタの熱気を効率よく外部へ排出できる。
【0040】
請求項4の発明によれば、上記請求項3における排風口の周囲へ側方を指向して開口し内外を連通するとともに排風口よりも小さな開口面積の通気孔を設けたので、旋回時の横風に対する風圧低減をあまり期待できない排風口に代わって、横風による風圧を効果的に低減でき、かつ直進時におけるフェアリングとしての整流効果を維持できる。またこの横風性能の向上並びに通風性能及び冷却効率の向上は、本来フェアリングが側面に備えている熱気を排出するための排風口だけでは期待できない程度に顕著なものとなる。
【0041】
請求項5に係る発明によれば、フェアリングの前面側から見て下すぼまり状に変化することにより下向斜面をなす側面下部のほぼ全長に亘り、斜め下方を指向して開口し内外を連通する多数の通気孔を設けたので、側面下部が旋回時に横風正面部になるが、横風は側面下部に設けた斜め下方を指向して開口する通気孔を車体内方へ通過するため、バンク時の下向斜面をなす側面下部における横風による風圧を効果的に低減できる。したがって、旋回を始めるために車体を倒し込むときフェアリングが受ける横風からの影響が少なくなり、スムーズに車体を倒し込むことができ、スピードレースなどのコーナーの入り口で素速く車体を倒し込むことが必要なとき特に有効である。そのうえ、フェアリング内部の通風性能を増大させ、一方、直進時にはフェアリング本来の整流効果を発揮できる。
【0043】
請求項6に係る発明によれば、通気孔の開口率を通気孔形成対称部分の17%以上とすることにより、旋回時の風圧低減と直進時の整流効果維持をともに移期待できる。
【0044】
請求項7の発明によれば、繊維素材の網目状部分を利用することにより、成形時と同時に微細かつ多数の通気孔を形成でき、同時に繊維素材を切断しない。したがって繊維素材の網目状部分を利用して通気孔の形成ができるので製造が容易であるとともに、補強繊維の強度を一定に維持できる。
【0045】
請求項8の発明によれば、長円の向きにより通過する走行風に指向性を生じさせることができる。
【0046】
請求項9の発明によれば、通気孔の開口縁部が面取りされているため、この表面を走行風が通過するとき乱流が生じにくくなる。
【0047】
請求項10の発明によれば、通気孔に開閉部材を設け、直進時に通気孔を閉じ、旋回時に開くよう開閉部材を制御することにより、直進時にはフェアリング表面に開口が生じないので、十分な整流効果を期待でき、かつ、旋回時には通気孔が形成されて前記風圧抑制効果が生じる。したがって、必要なときのみ風圧抑制効果を発揮でき、直進時の整流効果を維持できる。
【0048】
請求項11の発明によれば、風圧の大きさに応じて通気孔が開くので、開閉制御が簡単になる。
【0049】
請求項12の発明によれば、開閉部材を電動により作動でき、作動を確実かつ簡単にできるとともに、制御条件の自由度を高めることができる。
【0050】
請求項13の発明によれば、雨天走行時などにおいて走行風とともにフェアリング前面から通気孔を通過してフェアリング内へ侵入した水滴は水滴防止板へ衝突して滴下するので乗員まで到達しない。しかも、水滴防止板とフェアリングの間には所定の間隔があるので走行風は通り抜けることができ、フェアリング内側の通気性能を維持する。したがって、フェアリングの前面部に通気孔が形成されているにもかかわらず、雨天走行時等であっても乗員が濡れないようにでき、しかも通気孔の通気性能を損なわないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係る自動2輪車の外観側面図
【図2】図1のA−A線に沿う要部の模式断面図
【図3】第1実施例に係る通気孔の開口率を説明する図
【図4】第1実施例に係る通気孔の一形成方法を示す図
【図5】通気孔の別態様を示す図
【図6】通気孔の別態様を示す図
【図7】図6のB−B線に沿う断面図
【図8】第2実施例に係るフェアリングの斜視図
【図9】第2実施例に係るフェアリングの側面図
【図10】第2実施例に係るフェアリングを自動2輪車へ搭載した状態の正面図
【図11】第3実施例に係る図8に相当する図
【図12】第3実施例に係る図9に相当する図
【図13】第3実施例に係る図10に相当する図
【図14】第4実施例に係るフェアリングの側面図
【図15】第4実施例に係る要部の各種態様を併記した図
【図16】図14のC−C線に沿う要部の部分模式断面図
【図17】要部の拡大断面図
【図18】別態様の図排風口17に相当する図
【図19】第5実施例に係るフェアリングの側面図
【図20】第5実施例に係る要部の斜視図
【図21】図19のD−D線に沿う部分模式断面図
【図22】第5実施例の要部における作用を示す図
【図23】第5実施例の要部における作用を示す図
【図24】第5実施例におけるスライドバルブの制御系統図
【図25】第6実施例に係るフェアリングの上部側正面図
【図26】図25における接続部の水平断面図
【図27】第6実施例に係る要部の拡大断面図
【図28】第6実施例に係る要部の成形方法を示す図
【産業上の利用分野】
この発明は、旋回時の空気抵抗低減並びにエンジンや車体の冷却性能向上に寄与できる自動2輪車用フェアリングに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動2輪車用フェアリングは走行時の空気抵抗を減少するため、車体前半部を前方からエンジンの両側方まで連続曲面で覆うように形成されている。一例として、特開昭57−7774号並びに実開昭59−174979号各公報記載のものがある。なお、これら従来例のうち、前者にはフェアリング側面に車体後方を指向して開口する通風ダクトの出口部を設け、その開口部に臨んでラジエタを配置したものが、また後者にはフェアリングの底部に通気孔を設けたものが示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなフェアリングは直進時の空気抵抗低減を主眼としている。ゆえに、前方投影面積は可及的に小さくなるよう設計されている反面、側方投影面積は大きくなっている。したがって、旋回するためバンクしたとき、フェアリングの側面で走行風を横風として受け、この部分の風圧が高まるので走行抵抗が増大する。特に、自動2輪車はその特徴としてバンクしながら旋回するものであるから、旋回時に斜め前方かつ斜め下方からの横風を受け、予めフェアリング表面が直進時の整流効果を顕著にする曲面に構成されているものであっても、この横風を短時間に正面から受ける横風正面部が生じ、この横風正面部によって風圧が高まることになる。ここで横風正面部とは、横風を強く受ける部分における曲面の接平面と直交する方向が横風方向となるような曲面部分であり、フェアリング上の所定範囲を占める部分であるが、車体を正立させた直進時におけるフェアリング表面のうち斜め前方もしくは斜め下方を向く斜面部が相当する。一方、フェアリングの側面にはラジエタや排気管による熱風を車体外方へ排出するための排風口が設けられていることが多いが、このような排風口はフェアリング内側の熱風を効率的に排出させるため、車体後方を指向させて開口してある。したがって、この開口部が旋回時に横風の正面に向くことはなく、これらの開口部の存在によって横風の風圧を低減させることはあまり期待できない。そこで、このような開口部が存在してもさらに旋回時の横風による風圧を低減させることが必要になるのであって、特にレース等における高速旋回時の走行抵抗を低減させることが望まれる。また、フェアリング内側の通気能力を向上させて、エンジン等の冷却効率を向上させることも望まれる。本出願は、かかる要請の実現を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、走行風を前方から後方へ導風する自動2輪車用フェアリングに、車体外方を指向して開口し内外を連通するとともに横風を受けたときにその横風が通過するように車体の内外を連通する小孔からなる多数の通気孔を、全体に分布するように設けたことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、走行風を前方から後方へ導風する自動2輪車用フェアリングにおいて、車体前方上部に配置されている計器を覆う計器カバー部と車体前方へ向かって開
風口上部との間に形成された車体前方から側方にかけて連続するとともに下向の傾斜面を有する接続部を設け、この接続部全体に分布するように、斜め下向きに指向して開口し内外を連通するとともに、横風を受けたときにその横風が通過するように車体の内外を連通する小孔からなる多数の通気孔を設けたことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、走行風を前方から後方へ導風する自動2輪車用フェアリングにおいて、このフェアリングの側面に斜め後方を指向して開口する排風口と、その後方に前部が車体内方側へ湾入して斜め前方を向くインナーダクトを備え、このインナーダクト全体に分布するように、斜め前方を指向して開口し内外を連通するとともに横風を受けたときにその横風が通過するように車体の内外を連通する小孔からなる多数の通気孔を設けたことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、上記請求項3において、前記排風口の周囲に側方を指向して開口するとともに前記排風口よりも小さな開口面積で、横風を受けたときにその横風が通過するように車体の内外を連通する小孔からなる多数の通気孔を設けたことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、走行風を前方から後方へ導風する自動2輪車用フェアリングにおいて、このフェアリングが前方から見て下すぼまり形状をなす側面下部を備え、この側側面下部が下向き斜面をなすとともに、この側面下部のほぼ全長に亘って、斜め下方を指向して開口し、横風を受けたときにその横風が通過するように車体の内外を連通する小孔からなる多数の通気孔を設けたことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて前記通気孔の開口率が、前記通気孔形成対象部分の17%以上であることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて通気孔が繊維素材の網目状部分に形成されることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて前記各通気孔が長円状をなすとともに、それぞれの長軸方向が上下方向、左右方向又は斜め方向と任意に配列されていることを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて前記通気孔の開口縁部が面取状をなすことを特徴とする。
請求項10に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて車体側面に設けられた前記通気孔を開閉部材により、直進時に閉じ、旋回時に開くよう開閉制御することを特徴とする。
請求項11に係る発明は、請求項10において前記開閉部材が所定値の風圧によって開閉する風圧感応型であることを特徴とする。
請求項12に係る発明は、請求項10において前記開閉部材が電気的手段で開閉する電動型であることを特徴とする。
請求項13に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて前記通気孔を通過した水滴に対する障壁をなす水滴防止板を、フェアリングの車体進行方向前方へ面する部分の内側へ所定間隔をもって配設したことを特徴とする。
【0005】
【作用】
請求項1の発明によれば、旋回時にフェアリングの一部に対して横風となった走行風の風圧が強まろうとすると、この部分に車体外方へ向かって開口し内外を連通するとともにフェアリング全体に分布して形成された多数の通気孔が設けられているため、この通気孔により横風となった走行風がフェアリングを通過するので、横風による風圧増大が抑制される。しかも通気孔がフェアリングの全体に分布して形成されているから横風による風圧増大を効果的に抑制できる。したがって、旋回を始めるために車体を倒し込むときフェアリングが受ける横風からの影響が少なくなり、スムーズに車体を倒し込むことができ、スピードレースなどのコーナーの入り口で素速く車体を倒し込むことが必要なとき特に有効である。同時にフェアリング内部の通風性能を増大させる。一方、直進時には通気孔が小孔からなるので、フェアリング本来の整流効果を発揮できる。
請求項2の発明によれば、車体前方上部に配置されている計器を覆う計器カバー部と車体前方へ向かって開口する導風口上部との間に形成された車体前方並びに側方へ向かって下向の傾斜面をなす接続部は旋回時の横風正面部となるが、この部分全体に分布するように斜め下方を指向して開口し内外を連通する多数の通気孔を設けたので、バンク時における接続部の横風による風圧を効果的に低減できる。したがって、旋回を始めるために車体を倒し込むときフェアリングが受ける横風からの影響が少なくなり、スムーズに車体を倒し込むことができ、スピードレースなどのコーナーの入り口で素速く車体を倒し込むことが必要なとき特に有効である。
そのうえ、フェアリング内部の通風性能を増大させ、一方、直進時にはフェアリング本来の整流効果を発揮できる。
請求項3の発明によれば、斜め後方を指向して側面に開口する排風口より後方部分に前部が車体内方側へ湾入して斜め前方を向くように設けられたインナーダクトを備える場合、この部分が旋回時に横風正面部となるが、このインナーダクト全体に分布するように斜め前方を指向して開口し内外を連通する多数の通気孔設けることにより、横風をインナーダクトの通気孔から車体内方へ通過させることができるので、インナーダクトに向かう横風による風圧を効果的に低減でき、かつ直進時におけるフェアリングとしての整流効果を維持できる。したがって、旋回を始めるために車体を倒し込むときフェアリングが受ける横風からの影響が少なくなり、スムーズに車体を倒し込むことができ、スピードレースなどのコーナーの入り口で素速く車体を倒し込むことが必要なとき特に有効である。また、フェアリング内側を熱気となって通過してインナーダクト先端部へ到達した走行風は、排風口のみならずインナーダクトの通気孔からも外部へ通過するので、熱気を効率よく排出する。
請求項4の発明によれば、上記請求項3における排風口の周囲に複数の通気孔を設けるとともに、この通気孔が側方を指向して開口し内外を連通し、かつ排風口よりも小さな開口面積になっているので、旋回時の横風に対する風圧低減をあまり期待できない排風口に代わって、横風による風圧を効果的に低減でき、かつ直進時におけるフェアリングとしての整流効果を維持できる。
請求項5の発明によれば、フェアリングの前面側から見て下すぼまり状に変化する側面下部のほぼ全長に亘って、斜め下方を指向して開口し内外を連通する多数の通気孔を設けたので、側面下部が旋回時にバンクしたとき横風正面部になるが、横風は側面下部に設けた通気孔を車体内方へ通過するから、側面下部における横風による風圧を効果的に低減できる。しかも直進時には整流効果を維持できる。したがって、旋回を始めるために車体を倒し込むときフェアリングが受ける横風からの影響が少なくなり、スムーズに車体を倒し込むことができ、スピードレースなどのコーナーの入り口で素速く車体を倒し込むことが必要なとき特に有効である。
請求項6の発明によれば、通気孔の開口率を通気孔形成対称部分の17%以上とすることにより、旋回時の風圧低減と直進時の整流効果維持をともに移期待できる。
請求項7の発明によれば、繊維素材の網目状部分を利用することにより、成形時と同時に微細かつ多数の通気孔を形成でき、同時に繊維素材を切断しない。したがって繊維素材の網目状部分を利用して通気孔の形成ができるので製造が容易であるとともに、補強繊維の強度を一定に維持できる。
請求項8の発明によれば、長円の向きにより通過する走行風に指向性を生じさせることができる。
請求項9の発明によれば、通気孔の開口縁部が面取りされているため、この表面を走行風が通過するとき乱流が生じにくくなる。
請求項10の発明によれば、通気孔に開閉部材を設け、直進時に通気孔を閉じ、旋回時に開くよう開閉部材を制御することにより、直進時にはフェアリング表面に開口が生じないので、十分な整流効果を期待でき、かつ、旋回時には通気孔が形成されて前記風圧抑制効果が生じる。したがって、必要なときのみ風圧抑制効果を発揮でき、直進時の整流効果を維持できる。
請求項11の発明によれば、風圧の大きさに応じて通気孔が自動的に開閉するので、開閉制御が簡単になる。
請求項12の発明によれば、開閉部材を電動により作動でき、作動を確実かつ簡単にできるとともに、制御条件の自由度を高めることができる。
請求項13の発明によれば、雨天走行時などにおいて走行風とともにフェアリング前面から通気孔を通過してフェアリング内へ侵入した水滴は水滴防止板へ衝突して滴下するので乗員まで到達しない。しかも、水滴防止板とフェアリングの間には所定の間隔があるので走行風は通り抜けることができ、フェアリング内側の通気性能を維持する。したがって、フェアリングの前面部に通気孔が形成されているにもかかわらず、雨天走行時等であっても乗員が濡れないようにでき、しかも通気孔の通気性能を損なわないようにできる。
【0006】
【実施例】
図1乃至図7に第1実施例を示す。図1はスピードレース用自動2輪車の側面外観を示し、図2は図1のA−A線に沿うフェアリング(後述)の模式断面を示す。図中の符号1は前輪、2はフェアリング、3はフロントフォーク、4はハンドル、5はメインフレーム、6はラジエタ、7はエンジン、EX は排気管、8は燃料タンク、9はシート、10はリヤカウル、11はリヤカウル内を通過する上部マフラである。
【0007】
走行風を前方から後方へ導風する自動2輪車用フェアリング2は上すぼまり状断面のアッパーカウル12と下すぼまり状断面のロアカウル13との上下2分割構造をなし、フロントフォーク3の上部及びハンドル4の前方から車体両側の燃料タンク下方部分までを覆っている。但し、フェアリング2を上下連続一体の構造にすることもできる。フェアリング2の内側にはラジエタ6、排気管EX 及びエンジン7が位置して両側方を覆われている。アッパーカウル12は、上部に透明なスクリーン部14が設けられ、その下部は計器類のバイザーをなす計器カバー部15をなしている。また、前部正面には大口径のラジエタ導風口16(図8参照)が開口し、後方側はメインフレーム5の側面に沿って斜め下方へ延びている
【0008】
また、ラジエタ6の後部近傍の両側面にはラジエタ用排風口17が車体の斜め後方を指向して開口され、このラジエタ用排風口17の周縁部のうち、上下及び後部は車体内方へ入り込むインナーダクト18を形成している。インナーダクト18の前部は斜め前方を向く本願発明における旋回時の横風正面部となる部分であり、フェアリング2と連続一体に形成され、ラジエタ用排風口17から排出された排風が後方へ流れる部分に前部へ内方へ湾曲する整流面19が形成されている(図2)。ラジエタ用排風口17の先端部はラジエタ6の後部近傍へ位置している。図1に示すように、ラジエタ用排風口17の周囲には通気孔20が、ラジエタ用排風口17の開口面積よりも小さな開口面積の小孔として排風口17の周囲へ側方を指向して開口している。
【0009】
フェアリング2及びリヤカウル10は側面を含む全体に分布して多数の通気孔20が車体外方と内方を連通するように内外(表裏)へ貫通して穿設され、車体前方乃至は側方を指向して開口し、全体が概略メッシュ状を呈している。この通気孔20による開口率は図3に一例を模式的に示すように、通気孔20の中心間距離を10mm、通気孔20の直径を5mmとすれば、約17%となる。この開口率17%は本実施例における場合の横風に対する風圧抑制効果を生じる下限値であり、これ以上の開口率となるよう設計することが好ましい。但し、風圧抑制効果の程度はフェアリング2の形状等により変化するので、このような数値は個々の具体的な形状等について定められる。また、上限はフェアリング2の表面における整流効果に著しい影響が生じない程度の範囲で同様に個々に定められる。
【0010】
なお、通気孔20の形状、形成方法、分布密度等は種々のものが可能である。図4はフェアリング2をFRPで成形する場合、その繊維素材(例えばカーボン繊維、ケブラー繊維等)21の横糸22と縦糸23とによって網目24を形成し、成形時にこの網目24を利用して通気孔20を一体に形成すれば、通気孔20の形成が簡単にできる。しかも、この際繊維素材21を切断することがなく、強度を所定水準に維持できる。
【0011】
図5に示すものは、通気孔20を長円形状にするとともに、その長軸方向を左右方向(a)、上下方向(b)、前方斜め下がり(c)、後方斜め下がり(d)等と任意の向きに配列させたものである。このようにすると、通気孔20を通過する走行風に指向性を持たせることができる。
【0012】
図6及び図7(図6のB−B線断面)は通気孔20の形状に関するものであり、フェアリング2の外表面で通気孔20の開口部を通気孔20の中心側へ向かって凹入傾斜する斜面25として面取状にしてある。このようにすると、走行風Wがフェアリング2の外表面を通過するとき、斜面25に沿って整流できるので、フェアリング2の外表面に通気孔20の開口角部を形成することなく、乱流の発生を防止でき、走行抵抗を減少させることができる。
【0013】
次に、本実施例の作用を説明する。図2に示すように、車体を例えば左旋回させようとしてバンクさせると、フェアリング2の側面で横風となった走行風Wを受けるようになる。ところが、この走行風Wは多数の通気孔20を通してフェアリング2を通り抜けてしまう。ゆえに、走行風Wによる走行抵抗が著しく減少してバンクがスムーズになる。このとき、フェアリング2の側面に斜め後方を指向して開口するラジエタ用排風口17を設け、かつその周囲に多数の通気孔20を設けるとともに、この通気孔20は側方を指向して開口しかつラジエタ用排風口17よりも小さな開口面積になっているので、旋回時の横風に対する風圧低減をあまり期待できないラジエタ用排風口17に代わって、横風による風圧を効果的に低減できる。そのうえ車両の直進時においては、通気孔20の存在が整流効果にあまり影響が生じないので、フェアリング2は整流効果を維持できる。
しかも、本実施例の場合、インナーダクト18の前部を構成する整流面19等にも斜め前方を指向して開口する通気孔20を開口してあるため、車体の旋回に伴って走行風Wが整流面19へ略直角方向になり、本来走行抵抗が増大するような場合でも、整流面19の通気孔20を通過してしまうので走行抵抗を減少させることができる。ゆえに、旋回時における横風の影響を受けにくくしてスムーズに旋回をすることができ、スピードレースなど高速旋回時において特に有効である。
【0014】
さらに、通気孔20を通過する走行風Wにより、フェアリング2内の通気能力が増すので、内側に配されているラジエタ6やエンジン7及び排気管EX 並びに車体部分の冷却効率が向上する。
そのうえ、フェアリング2前部のラジエタ導風口16から内部へ入り、ラジエタ6又はその近傍を通過した走行風は整流面19の先端部へ向かうが、この部分でも通気孔20を通過してしまうので、熱風を効率的に排出できる。
【0015】
図8乃至図10は通気孔20の開口位置に関する第2実施例を示し、図8はフェアリング2の外観を立体的に示す図、図9はその側面外観形状を示す図、図10は車体取付状態を正面から示す図である。なお、図1及び図2に示した実施例と共通機能部分については同一符号を用いるものとする。この際、図3乃至図7に示した各種の通気孔20を単独又は適宜組合わせて用いることは任意である(以下の実施例も同様)。
【0016】
このフェアリング2のアッパーカウル12のうち、計器カバー部15とラジエタ導風口16の上部26側との接続部27の全体に分布して斜め下方を指向して開口する通気孔20が形成されている。接続部27は車体前方から側方にかけて連続して設けられた下向傾斜面をなす部分である。この部分は本願発明における旋回時の横風正面部となる部分であり、図10等に示すように通気孔20がこの部分全体に前部から側方へかけて設けられている。
また、インナーダクト18には上下の凹入壁28、29(図9)並びに整流面19の全体に形成され、さらに整流面19の後方へもアッパーカウル12の後縁近傍まで形成されている。
【0017】
フェアリングの下部をなすロアカウル13は前面側から見たとき下すぼまり形状をなしており、その側面部も本願発明における旋回時の横風正面部となる部分である。このロアカウル13の前部には排気管冷却用のダクト30が開口され、側面の前部乃至後部に排風口31、32が二ヶ所形成されており、これら排風口31と32の周囲を含む側面部にもそのほぼ全長に亘り、斜め下方を指向して開口する通気孔20が形成されている。
【0018】
このようにすると、バンク時に横風正面部となる、下向傾斜する接続部27や下すぼまり形状のロアカウル13には、通気孔20が斜め下方を指向して開口するので、風圧増大を回避できる。同時に、旋回時の横風を正面方向から受け易い部分のみに通気孔20を限定して設けるため、直進時のフェアリング2による良好な整流効果を維持できる。
【0019】
図11乃至図13に第3実施例を示す。この実施例は前実施例の一部を変更したものであり、相違点を示せば、接続部27の前部が幅広くなっていること(第13図)、ラジエタが第1ラジエタ6a及び第2ラジエタ6bと上下に分割され、ラジエタ用排風口が各ラジエタに対応して第1排風口17a及び第2排風口17bとして形成され、通気孔20は接続部27と各排風口近傍に形成される第1及び第2インナーダクト18a、18b並びに第2ラジエタ6bの側部前方側近傍の前方通気部33に形成されている。このようにすると、旋回時のスムーズさを確保しつつ、より通気孔20の形成範囲を限定できるとともに、第2ラジエタ6bの冷却効率を高めることができる。
【0020】
図14乃至図24は通気孔20を開閉制御可能とするものであり、まず図14乃至図18に示す第4実施例は風圧に感応して通気孔20が開閉する型式のものである。
図14は上下一体型のフェアリング2の側面を示し、その下部側面の略中央部に通気孔20が形成され、かつこの部分の内側に通気孔20に対する開閉部材34が設けられている。
【0021】
図15及び図14のC−C線断面の一部である図16に明らかなように、通気孔20の上下方向へ並ぶ各列単位に開閉する複数の略長方形状の板状部材であり、開閉部35が通気孔20を開閉可能に配置されるとともに、取付縁部36でネジ37等によりフェアリング2の内側へ取付けられている。開閉部材34の長さは任意であり、取付部の曲率等に対応して単一枚(A)、2分割(B)、3分割(C)等任意に形成される。また、その開閉構造は第17図に示すように、開閉部35を弾性に富む板状部材として取付縁部36と一体に形成したリードバルブ式に形成したり、第18図に示すように、開閉部35と取付縁部36の接続部にカール部38を設け、軸39により両者を回動自在に連結したヒンジ式のものでもよい。なお、前者の場合は開閉部35自体のバネ弾性により、また後者の場合は図示省略のコイルスプリング等によって、いずれも所定のセット荷重で開閉部35をフェアリング2側へ付勢しておく。
【0022】
このようにすると、直進時は図17及び図18に示すように、いずれも通気孔20が閉じられているので、走行風Wはフェアリング2の外表面に沿って流れ、フェアリング2による整流効果を生じている。
一方、旋回時になると、開閉部35に対する走行風Wが横風となってその風圧が高まり、風圧が開閉部35を付勢するセット荷重を越えると仮想線で示すように内方へ開き、走行風Wを車体内方へ通過させることにより風圧の増大を抑制する。
【0023】
ゆえに、本実施例によれば、直進時におけるフェアリング2の整流効果と旋回時における風圧抑制効果とを同時に達成できる風圧感応型の開閉制御式通気孔を与えることができ、しかも制御構造を簡単にできる。なお、通気孔20の形成位置は図14の位置に限らず、前各実施例に示した位置等任意に設定できる。
【0024】
図19乃至図24に示す第5実施例は開閉制御手段を電動型としたものである。すなわち、図19に示すように、フェアリング2の通気孔20を形成した位置内側にスライドバルブ40が設けられ、ソレノイド41によって開閉されるようになっている。
スライドバルブ40は図20に示すように、通気孔20の上下方向の列に沿う長穴状の開口部42が形成され、かつ一辺部に取付部43が形成されたものである。開口部42は図15の(A)〜(C)と同様に、種々の長さにできる。
【0025】
このスライドバルブ40は図21(図19D−D線断面の一部)に示すように、フェアリング2の内側に沿ってスライド可能に支持されており、その取付部43と、やはりフェアリング2の内側へ取付けられているソレノイド41のアクチュエータロッド44の先端部を係合してある。
旋回時には後述する制御系統でソレノイド41を作動させることにより、図22に示すように、スライドバルブ40がスライドして開口部42が連通する開状態になり、直進時には開口部42が通気孔20と不一致になって閉状態(図23)になる。
【0026】
図24はスライドバルブ40の制御系統を示す図であり、ソレノイド41はマイクロコンピュータからなる制御ユニット45に接続し、制御ユニット45にはハンドルの回転角を検出する舵角センサ46、スロットル開度センサ47、ブレーキの使用有無を検出するブレーキスイッチ48、エンジンの回転数を検出する回転センサ49、ギヤポジションを検出するギヤセンサ50、車速センサ51、フェアリング等へ取付けられる横風センサ52等のいずれか乃至任意の組合わせが接続されている。
【0027】
次表はこれらセンサ又はスイッチの信号個々に対する通気孔20の開閉条件を示す。これらの条件は単独で又は任意の組合わせで使用される。
【表】
【0028】
このようにすると、前実施例同様に直進時又は旋回時に応じて通気孔20を開閉制御できるとともに、制御における作動条件選択の自由度が大きくなる。なお、この電動型の場合、スライドバルブ40を駆動する手段はソレノイド41に限らずモータ等によっても可能であり、開口率を任意に制御する連続制御も可能である。また、単に開閉の二段階制御を行う場合は、制御ユニット45を省略していずれかのセンサ又はスイッチとソレノイド41を直結させることもできる。
【0029】
図25乃至28に第6実施例を示す。図25は図10に対応する図であり、計器カバー部15とラジエタ導風口の上部26側との接続部27の下向き傾斜部分に通気孔20が設けられている。
【0030】
接続部27部分の中央部にはヘッドランプHL(図25)用の開口61が形成される。また、図25の接続部27における水平断面に相当する図26に示すように、接続部27のうち進行方向前方に面する部分(以下、前面部62という)の内側には所定間隔をもって水滴防止板63が設けられている。前面部62は接続部27の曲面に沿う屈曲形状に形成され、開口61と略平行に車幅方向へ延びる前面部64と、接続部27の側方部分に沿い車体の前後方向へ延びる側面部65とが連続して形成されている。また、前面部64の最も車体中心側の端部には前面部62方向へ向う折返し部66が形成され、その先端と開口61との間は狭い間隔Sとなっている。水滴防止板63は少なくとも前面部62に形成された全部の通気孔20後方に衝立状に配され、通気孔20を通過した水滴67の通り抜けを防止可能な面積で計器カバー15側又は車体側へ適宜手段により支持されている。
【0033】
図27は接続部27、排風口17及びロアカウル13等フェアリング2の各部に形成される通気孔20の一つを拡大断面で示した図7に相当する図である。この図から明らかなように、通気孔20の周壁はフェアリング2の外方(図の上側)へ向って開く湾曲面72で形成される。また、フェアリング2の内側(図の下方)へ臨む通気孔20の内側開口部は内側一般面73よりも凹入された凹部74となっている。
図28はこの通気孔20を成形する金型構造を示し、便宜上フェアリング2の外表面を形成する側を上型75、フェアリング2の内表面を形成する側を下型76とする。フェアリング2は上下型75及び76間に形成され、このとき同時に通気孔20が形成される。通気孔20の湾曲面72は上型75から一体に突出形成された突起77により形成され、かつ凹部74は下型76に一体形成された段部78により形成される。フェアリング2の成形時には上型75と下型76のパーティングラインがフェアリング2の内表面を形成し、かつ突起77の先端は段部78の頂部と当接する。
【0034】
次に、本実施例の作用を説明する。図26において、雨天走行時などに走行風と一緒に水滴67が前面部62に形成された通気孔20を通過して計器カバー部15内へ入ると、その後方に衝立状に存在する水滴防止板63の前面部64部分に衝突する。ゆえに、水滴67は水滴防止板63によって邪魔され、乗員方向へ通り抜けることができず、その多くは水滴防止板63の表面に沿って滴下しつつ走行風により後方側へ押し流され、やがて車体下方へ落下する。また、前面部64から車体中心側へ水滴67が向っても折返し部66で阻止され、やがて折返し部66を伝って下方へ滴下する。このため、通気孔20を前面部62に設けても、雨天走行時等に乗員が濡れないようにできる。しかも、水滴防止板63は計器カバー部15との間に所定の間隔を設けてあるので、走行風は自在に通り抜け可能である。ゆえに、前各実施例同様にフェアリング2の内側における冷却性能を高く維持できる。そのうえ、接続部27部分に通気孔20を設けると計器カバー部15前後の空間を連通するので、高速走行時に計器カバー部15の背面に負圧を生じさせないようにできる。このため、乗員が負圧に抗しながら運転姿勢を維持する必要がなくなるので、高速走行時の快適性を向上できる。
【0036】
また、図27に明らかなように、湾曲面72を設けたことにより走行風Wの通り抜けをよりスムーズにすることができる。そのうえ、この通気孔20の内側開口部に凹部74を設けたので、図28に示すように、突起77と段部78のパーティングラインがフェアリング2の内側になり、これによりパーティングラインに発生するバリを外観上見えにくくでき、成形後のバリ取り仕上げを簡単にできるので、成形効率が向上する。
【0037】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、旋回時にフェアリングの側面に対して横風となった走行風の風圧が強まろうとすると、多数の通気孔が、車体外方を指向して開口し内外を連通するとともにフェアリング全体に分布するように形成されているため、この通気孔により横風となった走行風を車体内方へ通過させるので、横風による風圧増大が抑制される。したがって、旋回を始めるために車体を倒し込むときフェアリングが受ける横風からの影響が少なくなり、スムーズに車体を倒し込むことができ、スピードレースなどのコーナーの入り口で素速く車体を倒し込むことが必要なとき特に有効である。同時にフェアリング内部の通風性能を増大させる、冷却効率を高めることができる。一方、直進時には、通気孔が車体側方を指向して開口する多数の小孔からなるので、フェアリング本来の整流効果を発揮できる。そのうえ、通気孔をフェアリング全体に分布するように設けたので、フェアリングの全ての部分で上記効果を生じさせることができる。
【0038】
請求項2の発明によれば、車体前方上部に配置されている計器を覆う計器カバー部と車体前方へ向かって開口する導風口上部との間に形成された車体前方から側方にかけて連続するとともに下向の傾斜面をなす接続部は旋回時の横風正面部となるが、この部分全体に分布するように斜め下方を指向して開口するとともに内外を連通する多数の通気孔を設けたので、バンク時の接続部における横風による風圧を効果的に低減できる。したがって、旋回を始めるために車体を倒し込むときフェアリングが受ける横風からの影響が少なくなり、スムーズに車体を倒し込むことができ、スピードレースなどのコーナーの入り口で素速く車体を倒し込むことが必要なとき特に有効である。そのうえ、フェアリング内部の通風性能を増大させ、一方、直進時にはフェアリング本来の整流効果を発揮できる。
【0039】
請求項3に係る発明によれば、斜め後方を指向して側面に開口する排風口より後方部分に前部が車体内方側へ湾入するとともに斜め前方を向くように設けられたインナーダクトを備える場合、この部分が旋回時に横風正面部となるが、このインナーダクト全体に分布するように、斜め前方を指向して開口するとともに内外を連通する多数の通気孔設けることにより、横風をインナーダクトの通気孔から車体内方へ通過させることができるので、インナーダクトに向かう横風による風圧を効果的に低減できる。
したがって、旋回を始めるために車体を倒し込むときインナーダクトが受ける横風からの影響が少なくなり、スムーズに車体を倒し込むことができ、スピードレースなどのコーナーの入り口で素速く車体を倒し込むことが必要なとき特に有効である。かつ直進時におけるフェアリングとしての整流効果を維持できる。また、フェアリング内部の通風性能を増大させることができる。例えば、フェアリング内側にてラジエタ近傍を通過してインナーダクト先端部へ到達した走行風は、ラジエタ用排風口のみならずインナーダクトの通気孔からも外部へ通過する。しかも、ラジエタ用排風口近傍におけるラジエタ排風の一部をインナーダクト先端部の通気孔を通してフェアリング内側を車体後方へ流すこともできる。したがってラジエタの熱気を効率よく外部へ排出できる。
【0040】
請求項4の発明によれば、上記請求項3における排風口の周囲へ側方を指向して開口し内外を連通するとともに排風口よりも小さな開口面積の通気孔を設けたので、旋回時の横風に対する風圧低減をあまり期待できない排風口に代わって、横風による風圧を効果的に低減でき、かつ直進時におけるフェアリングとしての整流効果を維持できる。またこの横風性能の向上並びに通風性能及び冷却効率の向上は、本来フェアリングが側面に備えている熱気を排出するための排風口だけでは期待できない程度に顕著なものとなる。
【0041】
請求項5に係る発明によれば、フェアリングの前面側から見て下すぼまり状に変化することにより下向斜面をなす側面下部のほぼ全長に亘り、斜め下方を指向して開口し内外を連通する多数の通気孔を設けたので、側面下部が旋回時に横風正面部になるが、横風は側面下部に設けた斜め下方を指向して開口する通気孔を車体内方へ通過するため、バンク時の下向斜面をなす側面下部における横風による風圧を効果的に低減できる。したがって、旋回を始めるために車体を倒し込むときフェアリングが受ける横風からの影響が少なくなり、スムーズに車体を倒し込むことができ、スピードレースなどのコーナーの入り口で素速く車体を倒し込むことが必要なとき特に有効である。そのうえ、フェアリング内部の通風性能を増大させ、一方、直進時にはフェアリング本来の整流効果を発揮できる。
【0043】
請求項6に係る発明によれば、通気孔の開口率を通気孔形成対称部分の17%以上とすることにより、旋回時の風圧低減と直進時の整流効果維持をともに移期待できる。
【0044】
請求項7の発明によれば、繊維素材の網目状部分を利用することにより、成形時と同時に微細かつ多数の通気孔を形成でき、同時に繊維素材を切断しない。したがって繊維素材の網目状部分を利用して通気孔の形成ができるので製造が容易であるとともに、補強繊維の強度を一定に維持できる。
【0045】
請求項8の発明によれば、長円の向きにより通過する走行風に指向性を生じさせることができる。
【0046】
請求項9の発明によれば、通気孔の開口縁部が面取りされているため、この表面を走行風が通過するとき乱流が生じにくくなる。
【0047】
請求項10の発明によれば、通気孔に開閉部材を設け、直進時に通気孔を閉じ、旋回時に開くよう開閉部材を制御することにより、直進時にはフェアリング表面に開口が生じないので、十分な整流効果を期待でき、かつ、旋回時には通気孔が形成されて前記風圧抑制効果が生じる。したがって、必要なときのみ風圧抑制効果を発揮でき、直進時の整流効果を維持できる。
【0048】
請求項11の発明によれば、風圧の大きさに応じて通気孔が開くので、開閉制御が簡単になる。
【0049】
請求項12の発明によれば、開閉部材を電動により作動でき、作動を確実かつ簡単にできるとともに、制御条件の自由度を高めることができる。
【0050】
請求項13の発明によれば、雨天走行時などにおいて走行風とともにフェアリング前面から通気孔を通過してフェアリング内へ侵入した水滴は水滴防止板へ衝突して滴下するので乗員まで到達しない。しかも、水滴防止板とフェアリングの間には所定の間隔があるので走行風は通り抜けることができ、フェアリング内側の通気性能を維持する。したがって、フェアリングの前面部に通気孔が形成されているにもかかわらず、雨天走行時等であっても乗員が濡れないようにでき、しかも通気孔の通気性能を損なわないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係る自動2輪車の外観側面図
【図2】図1のA−A線に沿う要部の模式断面図
【図3】第1実施例に係る通気孔の開口率を説明する図
【図4】第1実施例に係る通気孔の一形成方法を示す図
【図5】通気孔の別態様を示す図
【図6】通気孔の別態様を示す図
【図7】図6のB−B線に沿う断面図
【図8】第2実施例に係るフェアリングの斜視図
【図9】第2実施例に係るフェアリングの側面図
【図10】第2実施例に係るフェアリングを自動2輪車へ搭載した状態の正面図
【図11】第3実施例に係る図8に相当する図
【図12】第3実施例に係る図9に相当する図
【図13】第3実施例に係る図10に相当する図
【図14】第4実施例に係るフェアリングの側面図
【図15】第4実施例に係る要部の各種態様を併記した図
【図16】図14のC−C線に沿う要部の部分模式断面図
【図17】要部の拡大断面図
【図18】別態様の図排風口17に相当する図
【図19】第5実施例に係るフェアリングの側面図
【図20】第5実施例に係る要部の斜視図
【図21】図19のD−D線に沿う部分模式断面図
【図22】第5実施例の要部における作用を示す図
【図23】第5実施例の要部における作用を示す図
【図24】第5実施例におけるスライドバルブの制御系統図
【図25】第6実施例に係るフェアリングの上部側正面図
【図26】図25における接続部の水平断面図
【図27】第6実施例に係る要部の拡大断面図
【図28】第6実施例に係る要部の成形方法を示す図
Claims (13)
- 車体の前半部に設けられ、車体の前後方向へ延びるメインフレームに支持されたエンジンの各側部と、メインフレームの前部に連結されたヘッドパイプへ回動自在に支持されたフロントフォークの前部とを連続して覆い、走行風を前方から後方へ導風する自動2輪車用フェアリングにおいて、
このフェアリングに、車体外方を指向して開口するとともに横風を受けたときにその横風が通過するように車体の内外を連通する小孔からなる多数の通気孔を、全体に分布するように設けたことを特徴とする自動2輪車用フェアリング。 - 車体の前半部に設けられ、車体の前後方向へ延びるメインフレームに支持されたエンジンの各側部と、メインフレームの前部に連結されたヘッドパイプへ回動自在に支持されたフロントフォークの前部とを連続して覆い、走行風を前方から後方へ導風する自動2輪車用フェアリングにおいて、
車体前方上部に配置されている計器を覆う計器カバー部と車体前方へ向かって開口する導風口上部との間に形成された車体前方から側方にかけて連続するとともに下向の傾斜面を有する接続部を設け、この接続部全体に分布するように、斜め下方を指向して開口し、横風を受けたときにその横風が通過するように車体の内外を連通する小孔からなる多数の通気孔を設けたことを特徴とする自動2輪車用フェアリング。 - 車体の前半部に設けられ、車体の前後方向へ延びるメインフレームに支持されたエンジンの各側部と、メインフレームの前部に連結されたヘッドパイプへ回動自在に支持されたフロントフォークの前部とを連続して覆い、走行風を前方から後方へ導風する自動2輪車用フェアリングにおいて、
このフェアリングの側面に斜め後方を指向して開口する排風口と、その後方に前部が車体内方側へ湾入して斜め前方を向くインナーダクトを備え、このインナーダクト全体に分布するように、斜め前方を指向して開口するとともに横風を受けたときにその横風が通過するように車体の内外を連通する小孔からなる多数の通気孔を設けたことを特徴とする自動2輪車用フェアリング。 - 上記請求項3において、前記排風口の周囲に側方を指向して開口するとともに前記排風口よりも小さな開口面積で、横風を受けたときにその横風が通過するように車体の内外を連通する小孔からなる多数の通気孔を設けたことを特徴とする自動2輪車用フェアリング。
- 車体の前半部に設けられ、車体の前後方向へ延びるメインフレームに支持されたエンジンの側部と、メインフレームの前部に連結されたヘッドパイプへ回動自在に支持されたフロントフォークの前部とを連続して覆い、走行風を前方から後方へ導風する自動2輪車用フェアリングにおいて、
前面側から見て下すぼまり状に変化する側面下部を備え、この側面下部が下向き斜面をなすとともに、この側面下部のほぼ全長に亘って、斜め下方を指向して開口し、横風を受けたときにその横風が通過するように車体の内外を連通する小孔からなる多数の通気孔を設けたことを特徴とする自動2輪車用フェアリング。 - 前記通気孔の開口率が、前記通気孔形成対象部分の17%以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載した自動2輪車用フェアリング。
- 通気孔が繊維素材の網目状部分に形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の自動2輪車用フェアリング。
- 前記各通気孔が長円状をなすとともに、それぞれの長軸方向が上下方向、左右方向又は斜め方向と任意に配列されていることを特徴とする請求項1乃至は5のいずれかに記載の自動2輪車用フェアリング。
- 前記通気孔の開口縁部が面取状をなすことを特徴とする請求項1乃至は5のいずれかに記載の自動2輪車用フェアリング。
- 車体側面に設けられた前記通気孔を開閉部材により、直進時に閉じ、旋回時に開くよう開閉制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の自動2輪車用フェアリング。
- 前記開閉部材が所定値の風圧によって開閉する風圧感応型であることを特徴とする請求項10記載の自動2輪車用フェアリング。
- 前記開閉部材が電気的手段で開閉する電動型であることを特徴とする請求項10記載の自動2輪車用フェアリング。
- 前記通気孔を通過した水滴に対する障壁をなす水滴防止板を、フェアリングの車体進行方向前方へ面する部分の内側へ所定間隔をもって配設したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の自動2輪車用フェアリング。
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