JP3467018B2 - 光学系及び光学機器 - Google Patents
光学系及び光学機器Info
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- JP3467018B2 JP3467018B2 JP2001060351A JP2001060351A JP3467018B2 JP 3467018 B2 JP3467018 B2 JP 3467018B2 JP 2001060351 A JP2001060351 A JP 2001060351A JP 2001060351 A JP2001060351 A JP 2001060351A JP 3467018 B2 JP3467018 B2 JP 3467018B2
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Description
する光学系に関し、とくに回折光学素子と屈折光学素子
を組み合わせて色消しを良好に行ったフィルム用カメ
ラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、望遠鏡、プロジェ
クター等の光学機器に好適な光学系に関するものであ
る。
の1つとして、分散の異なる2つの材質の硝材(レン
ズ)を組み合わせる方法がある。
を減じる方法に対して、レンズ面やあるいは光学系の一
部に回折作用を有する回折格子等の回折光学素子を設け
ることで、色収差を減じる方法がSPIE Vol. 1354 Inter
national LensD esignConference(1990)等の文献や特開
平4−213421号公報、特開平6−324262号
公報、USP5044706等により開示されている。
は、ある基準波長の光線に対する色収差の出方が逆方向
に発現するという物理現象を利用したものである。さら
に、このような回折光学素子は、その周期的構造の周期
を変化させることで非球面レンズ的な効果をも持たせる
ことができ収差の低減に大きな効果がある。
折後も1本の光線であるのに対し、回折においては、各
次数に光が分かれてしまう。そこで、光学系に回折格子
を用いる場合には、使用波長領域の光束が1つの特定次
数(以後設計次数とも言う)に集中するように格子構造
を決定し、かつ画面全体にわたり、良好なる回折効率が
得られるようにする必要がある。
を用い、観察画面全体の回折効率の均一性を狙った光学
系が、特開平10−268115号公報で提案されてい
る。
軸を中心とした中心領域の格子(格子部)の深さより
も、周辺領域の格子の高さを低くしたブレーズ形状の回
折格子を用い、中心領域と周辺領域で回折効率がほぼ同
じとなるように構成したケプラー型ファインダー光学系
と、光軸を中心とした中心領域の非有効面(回折格子の
うちの回折作用をしない面で回折格子の側面に相当)を
ほぼ円柱面の一部とし、周辺領域の非有効面を円錐面の
一部としたブレーズ形状の回折格子を用い、周辺領域で
の非有効面での光線のケラレを防止したケプラー型ファ
インダー光学系を開示している。
15号公報で提案されているケプラー型ファインダー光
学系では、軸上光束と最軸外光束が絞りから比較的離れ
た位置に設けた回折光学面上を通過する位置で各々の光
束が分離しており、該公報の構成では、この様な光線の
通過状態でないと光線のケラレを含む回折効率の均一性
の効果が得られないという性質がある。
る撮影光学系では、後述の実施形態で説明する図1,図
2及び図3からも分るように、光学系の内部において軸
上光束と軸外光束が完全に分離していない為、絞りから
離れたレンズ面であっても、軸上光束と軸外光束の通過
領域は重なる傾向にある。
ズに適用しても、軸上と軸外の双方で、同時に良好な回
折効率を得ることは困難である。
上光束と軸外光束の回折格子を設けたレンズ面での入射
光束のそれぞれの領域は大きく重なることになるため、
このままの構成では更に不利となる。
素子を組み合わせて色消しを行うとき、画面の各位置に
到達する各光束が回折光学面上で互いに大きく重なりあ
っていても、画面全体にわたり良好な回折効率が得ら
れ、高い光学性能を有した光学系の提供を目的とする。
は、光軸に対して回転対称の回折格子を、曲率を有する
レンズ面に設けた光学系において、該回折格子を設けた
レンズ面の曲率の符号は、該光学系の最も物体側の面か
ら、該回折格子が設けられたレンズ面の直前の面までの
合成系の設計波長における焦点距離の符号と同符号であ
り、かつ、軸外光束の中心光線が該回折格子を設けるレ
ンズ面に入射する位置の光軸からの距離の符号と異符号
であると共に、該回折格子の非有効面の少なくとも一部
を延長したときに形成される仮想の円錐の頂点から該回
折格子が設けられたレンズ面の曲率中心までの距離をD
L、該回折格子が設けられたレンズ面の曲率半径をRと
するとき、 |DL/R|<0.3 なる条件を満足する ことを特徴としている。
回転対称な同心円状の回折格子を、曲率を有するレンズ
面に設けた回折光学面を有する光学系において、該回折
格子の非有効面の少なくとも一部を延長したときに形成
される仮想の円錐の頂点から該回折格子が設けられたレ
ンズ面の曲率中心までの距離をDL、該回折格子が設け
られたレンズ面の曲率半径をRとするとき、 |DL/R|<0.3 なる条件を満足する ことを特徴としている。
において、前記回折格子が設けられたレンズ面の曲率中
心から、前記光学系の最も物体側の面から前記回折格子
が設けられたレンズ面の直前の面までの合成系の設計波
長における焦点までの距離をD、前記回折格子が設けら
れたレンズ面の曲率半径をRとするとき、 |D/R|<5 なる条件を満足 することを特徴としている。
れか1項の発明において、前記回折格子が設けられたレ
ンズ面の屈折力をPとすると共に、光軸に対する垂直方
向の高さをY、設計波長をλ 0 、位相係数をC i (i=
1,2,3…)を用いて、前記回折格子の位相形状が、 φ(Y)=(2π/λ 0 )(C 1 Y 2 +C 2 Y 4 +C 3 Y 6 +
…) で表されるとき、 C 1 ・P<0 なる条件を満足することを特徴としている。
れか1項の発明において、前記回折格子は積層型回折格
子であることを特徴としている。
て、前記積層型回折格子は、空気層を隔てて2つの回折
格子が隣接配置された隣接積層型回折格子であることを
特徴としている。
て、前記隣接積層型回折格子は、略同じ曲率を有する隣
接する2つのレンズ面の間に設けられ、物体側より順
に、第1層、第2層、第3層の3層構造から成り、第2
層が空気層であることを特徴としている。
て、前記隣接積層型回折格子の2つの回折格子の各々
は、紫外線硬化性の樹脂であることを特徴としている。
れか1項の発明において、複数の前記回折光学面を有す
ることを特徴としている。
ずれか1項の発明において、前記回折格子はブレーズ型
の回折格子であることを特徴としている。
から10のいずれか1項の光学系を有していることを特
徴としている。
本発明の実施形態1,2,3の光学系OLの要部断面図
である。図1は望遠タイプ、図2はガウスタイプ、図3
は逆望遠タイプの撮影光学系OLに本発明を適用した例
である。図中、DOがレンズ面に回折格子を設けた回折
光学面であり、回折格子は、いずれも光軸に対して回転
対称な同心円状であって格子断面形状はブレーズ型であ
る。SPは光学系の明るさを定める開口絞り、IPは像
面である。
に対し曲率中心が光射出側(像側)にある場合を正と
し、光入射側(物体側)にある場合を負としている。し
たがって、物体側に凸(像側に凹)のレンズ面が正符
号、物体側に凹(像側に凸)のレンズ面が負符号とな
る。一方、軸外光束の中心光線が回折格子が設けられた
レンズ面に入射する位置の光軸からの距離の符号は、光
軸を基準に光線の入射位置が入射方向と逆方向側にある
場合を正とし、入射方向と同方向側にある場合を負とし
ている。したがって、光線が光軸と交差する前であれば
負符号、光軸と交差した後であれば正符号となる。
明図であり、レンズ1の一方のレンズ面1aにブレーズ
型の回折格子2を設けた状態を示している。図中、4は
回折格子のうちの所望の回折作用をする有効面、3はブ
レーズド型の回折格子2をレンズ面1aに形成するとき
の回折作用にかかわりのない側面(以下「非有効面」と
いう。)である。
部を延長したときに光軸5と一点で交わり、この交点を
頂点とした円錐面の一部である。図4ではこの仮想の円
錐の頂点をDOP、レンズ面1aの曲率中心をRCとし
て示している。
の近傍に位置するようにしている。ここで近傍とは該円
錐の頂点DOPから、回折格子が設けられたベースのレ
ンズ面1aの曲率中心RCまでの距離をDL、該レンズ
面1aの曲率半径をRとしたとき、 |DL/R|<0.3 を満足することを意味している。
ースのレンズ面への物点からの各軸上光線(軸上光束)
の入射方向が、それらの光線が回折格子が設けられるレ
ンズ面と交わる交点での各法線の方向とほぼ同方向とな
るようにして、例えば回折格子の各輪帯の高さを、光軸
と一致した光線の回折効率が100%となるような高さ
(光学光路長が設計波長の整数倍となる高さ)として、
回折格子が設けられるレンズ面の法線方向に均一に設定
している。これにより、軸上光束の回折効率を、ほぼ1
00%とすることができるようにしている。
し、回折効率として高い効率を得ている。
の軸上光束の回折効率について説明する。
ンズ面の曲率Ra(1/R)の符号(像面側(光射出
側)に凹面を向けた面は正、逆は負の符号である)は、
光学系の最も物体側(光入射側)の面から、回折格子が
設けられたレンズ面の直前の面までの合成系の設計波長
における焦点距離faの符号と同符号となるようにして
ある。図1の実施形態1はRa,faが共に正、図2、
図3の実施形態2,3はRaとfaが共に負の符号とな
っている。
成する各光線が、回折格子を設けたレンズ面に入射する
ときの入射方向は、それらの光線が回折格子を設けたレ
ンズ面と交わる交点での各法線の方向とほぼ同方向とな
る。この状態で回折格子の非有効面が一部を形成する円
錐の頂点DOPが回折格子が設けられるレンズ面の曲率
中心(各法線が集まる位置)RCの近傍に位置するよう
に設定している。これにより、各軸上光線の回折格子の
非有効面でのケラレを少なくして、ケラレによる回折効
率の低下を防止している。
の軸外光束の回折効率について説明する。
折格子を設けたレンズ面に入射する位置の光軸からの距
離Haの符号(光軸を基準に入射位置が入射方向と逆方
向を正、入射方向と同方向を負の符号とする)は、回折
格子を設けたレンズ面の曲率Raの符号と異符号となる
ようにしている。
LPaが回折格子を設けたレンズ面DOに入射してお
り、このとき光軸Laを基準に入射位置DOaが中心光
線LPaの入射方向と同方向である為、距離Ha<0で
ある。又、レンズ面DOの曲率RaはRa>0である。
束の中心光線LPaが回折格子を設けたレンズ面DOへ
の入射位置DOaが光軸Laを基準にして中心光線LP
aの入射方向と逆方向である為、距離Ha>0である。
又、レンズ面DOの曲率RaはRa<0である。
構成する各光線の、回折格子を設けたレンズ面への入射
方向は、軸上光束の場合と同様に、それらの光線が回折
格子を設けたレンズ面と交わる交点での各法線の方向と
ほぼ同方向となる。
格子の非有効面3が一部を形成する円錐の頂点DOPが
該回折格子が設けられたレンズ面の曲率中心位置(各法
線が集まる位置)RCの近傍になるように設定すること
により、画面周辺付近へ到達する各軸外光束の各光線の
回折格子の非有効面でのケラレを少なくして、回折効率
の低下を防止できる。
成する各光線の、回折格子を設けたレンズ面への入射方
向が、それらの光線が回折格子を設けるレンズ面と交わ
る交点での各法線の方向とほぼ同方向であるので、先に
軸上光束で決めた回折格子の高さのままでも、高い回折
効率が得られるようにしている。
り、画面全体にわたりケラレを少なくし、高い回折効率
が得られ、特に高輝度被写体撮影時の各色光の不要回折
光によって生ずる色フレアの影響を緩和している。
ことにより、画面全体にわたり良好なる光学性能を有し
た光学系を達成しているが、更に好ましくは次の構成の
うちの少なくとも1つを満足させるのが良い。
きい画面中心付近に到達する光束の回折格子の非有効面
でのケラレを更に少なくすることができ、画面中心付近
に到達する光束の回折効率を更に良好にすることができ
る。
ある。
置から、光学系全体の中で最も物体側の面から該回折格
子が設けられたレンズ面の直前の面までの合成系の設計
波長における焦点位置までの距離 R:前記回折格子が設けられたレンズ面の曲率半径 条件式を外れると、特に、画面中心付近の回折効率が
悪化するので良くない。本発明において更に望ましく
は、条件式の数値範囲を次の如くするのが良く、これ
により回折効率を更に良好とすることができる。即ち、 |D/R|<3 ・・・' である。
ある。
力、C1は回折面の位相形状を次の式で与えたときの、
2次の項の位相係数である。
精度に製作する為のものである。
する。
回折面の光学パワー(屈折力に相当、焦点距離の逆数で
表される)φD(λ,m)は、前記(a)式の位相係数
C1を用いて次のように表すことができる。
おける回折格子の光学パワーφD(λ0,m0)を、回折
格子を設けるレンズ面の屈折力と同じ符号を持つように
設けることを意味している。
味を、C1の符号の異なる2つのブレーズ形状の図4,
図5を用いて説明する。
係数C1の符号の異なるブレーズ形状に変換した回折格
子の概略断面図を示している。回折格子2が設けられた
レンズ面1aの屈折力Pの符号は、それぞれ式を満足
するような曲率符号を選択している。図4がC1<0
(回折格子の光学パワーが正の値)かつP>0の場合で
あり、図5がC1>0(回折格子の光学パワーが負の
値)かつP<0の場合である。前述したように図中、1
は回折格子を設けるレンズ、2は回折格子、3は回折格
子の非有効面を示し、非有効面3によって形成される仮
想の円錐の頂点DOPが回折格子2を設けるそれぞれの
レンズ面1aの曲率中心位置RCの近傍にある円錐面と
してある。
法として、例えば、ガラスを高温で融解しながら金型等
でプレス成形を行う方法、あるいは、ガラス基板等の表
面に紫外線硬化性のプラスチック樹脂等を型でプレス成
形し、紫外線を照射して硬化させる方法、あるいは、プ
ラスチック樹脂そのものでレンズと共に型で成形する方
法等が適用可能である。ガラスを直接切削して回折格子
を成形する方法、あるいは、SiO2等をウェットエッ
チングないしドライエッチングにより細かい階段状の回
折格子を成形する方法も適用可能である。
2の非有効面3は円錐面の一部であるので、仮に回折格
子を設けるレンズ面の屈折力Pと回折格子の光学パワー
φDをそれぞれ逆符号とし、C1・P>0とするのはあま
り良くない。例えば、型加工においては型の加工がしず
らく、型の転写時には融解ガラスあるいは樹脂が格子の
深さ方向に回り込み難く、転写性が悪化する場合があ
る。更に離型時には、特にガラスを融解して成形を行う
方法及びプラスチック樹脂でレンズと共に型で成形する
方法等では、最悪のとき型が離型できず、格子部の先端
部を破損し、回折効率の悪化を招く場合がある。紫外線
硬化性のプラスチック樹脂をガラス基板等へ転写する方
法では、樹脂の粘度が比較的小さいことから何とか離型
できるかもしれないが、格子部の先端部付近が離型時の
応力により変形し、やはり回折効率が悪化する場合があ
る。
た成形方法の内、いずれの成形方法であっても型の転写
性、離型性等が良くなく、所望の回折効率を得るのが難
しくなってくるので、なるべくなら条件式を満足する
ことが良い。尚、後述する数値例1ではC1・P>0、
数値例2,3ではC1・P<0となっている。
子であることである。
とも1つの薄い空気層を有し、該空気層を隔てて回折格
子が隣接配置された隣接積層型回折格子であることであ
る。
同じ曲率を有する隣接する2つのレンズ面の間に設けら
れ、物体側より順に、第1層、第2層、第3層の3層構
造から成り、第2層が薄い空気層であることである。
層目と第2層目は、紫外線硬化性の樹脂で成形されてい
ることである。
域全体で回折効率を高める為の格子構造を特定したもの
である。次にこれらの構成について説明する。
で高める方法として、複数のブレーズ型の回折格子を互
いに密着、あるいは隣接させて配置し、それぞれの格子
材料の屈折率、アッベ数、そして格子の深さ等を適切に
設定した積層型の回折格子が知られている。
子に光束を垂直に入射させたときの1次回折光の回折効
率の波長依存特性を示している。実際の回折格子の構成
は、図6に示すように基材11の表面に紫外線硬化樹脂
を塗布し、樹脂部に波長530nmで1次回折光の回折
効率が100%となるような格子厚dの格子12を形成
している。図7で明らかなように設計次数での回折効率
は最適化した波長530nmから離れるに従って低下
し、逆に設計次数近傍の次数0次、2次回折光が増大し
ている。この設計次数以外の回折光の増加はフレアとな
り、光学系の解像度の低下につながる。
格子に光束を垂直に入射させたときの1次回折光の回折
効率の波長依存特性を示している。具体的な構成として
は、図8に示すように、基材11上に紫外線硬化樹脂
(nd=1.499、νd=54)からなる第1の回折格子13を
形成し、その上に別の紫外線硬化樹脂(nd=1.598、ν
d=28)からなる第2の回折格子14を形成している。こ
の材質の組み合わせでは、第1の回折格子部13の格子
厚d1はd1=13.8μm、第2の回折格子部14の格子
厚d2はd=10.5μmとしている。図9からわかるよう
に積層構造の回折格子にすることで、設計次数の回折効
率は、使用波長域全域で95%以上の高い回折効率を有
している。
として積層構造の回折格子を用いることで、光学性能は
さらに改善され、同時に、前述のごとく構成することに
より、画面全体で、波長依存特性が良好な回折効率が得
られる。この為、積層型とすることが望ましい。
に密着した密着積層タイプと、薄い空気層を隔てて隣接
配置した隣接積層タイプ回折格子において回折格子の非
有効面が回折効率に及ぼす影響について説明する。
で構成した場合、必要な回折光を得る為の格子部の深さ
は、格子部の入射側と射出側の屈折率の差の絶対値に反
比例することから、空気層を持った隣接積層タイプの方
が、密着積層タイプよりも格子部全体の深さの合計を小
さくすることが出来る。
層タイプよりも非有効面での光線ケラレが少なくなり、
回折効率の向上の上で有利となる。
回折格子とするのが良い。
レンズ面が略同じ曲率を有するように2つに分割し、隣
接積層型回折格子を分割されたレンズ面の間に設け、物
体側より順に、第1層、第2層、第3層の3層構造と
し、第2層目を薄い空気層とすれば比較的簡単な構成の
まま光学系全体の諸収差に影響を与えることなく、更に
良好な回折効率を得ることが出来る。
レンズを2つに分割した場合、分割されたレンズ面の曲
率は、ほぼ同曲率のままで如何なる値に設定しても、諸
収差には寄与しにくい。このため、画面中心付近と周辺
付近の回折効率の最適化に特定化した曲率を任意に設定
することができる。従って、このような隣接積層型の回
折格子とするのが良い。
である必要はなく、必要に応じて変えてもよい。更に、
この格子部を設ける2つのレンズ面が、回折格子を導入
する以前に光学系が色収差補正、球面収差補正、あるい
はコマ収差補正等、収差補正構造上の理由から元々存在
し、曲率の条件等が本発明の構成を満足する接合面であ
れば、新たにレンズを分割する必要はなく、そこに回折
格子を設ければ良い。
接積層型回折格子の一部分の拡大概略図である。図中、
21、22は、それぞれほぼ同曲率で分割されたレンズ
であり、23、24は、それぞれ第1層(nd=1.6
685,νd=19.7)、第3層(nd=1.524
0,νd=50.8)回折格子、25は、空気層である
第2層、Oは光学系の光軸である。また、P、Qは回折
格子23へ入射する光線、Vは光線P(Q)と回折面を
設けたレンズ面21aの交点における法線、θは光線P
(Q)とレンズ面21aの法線Vが成す角であり、図1
0では時計回りを正の角度としてある。更に、d1、d
2は第1層、第3層の格子厚であり、d1=5μm,d
2=7.5μmに設定してある。Piは第1層(第1層
と第3層の第i輪帯目における格子ピッチは等しく設定
してある)の第i輪帯目の格子ピッチであり、最小ピッ
チは最周辺部の第155輪帯目で、156μmである。
出願人が先の特願平11−213374号で提案したも
のが適用可能である。
び最軸外光束のメリジオナル光線の内、光束中心光線と
マージナル光線(上線、下線)のθの値である。又、図
12は図10に示す隣接積層型回折格子のθ=0°、±
10°入射光に対する回折格子の非有効面でのケラレを
含めた1次回折光の回折効率の、波長450nm、55
0nm、650nmにおける格子ピッチの依存特性であ
る。
入射角度の変化に対して、格子部を通過する光線の換算
光路長が大きく変化するため、回折効率の劣化が激しく
なる。図12に示す実施形態1の光学系に適用した隣接
積層型回折格子の回折効率は、波長依存特性を含めて、
良好な回折効率を有していることが分る。
学系の光線入射角度θは、最大画角(半画角3.16
°)のマージナル光線(下線)で最も絶対値が大きく、
θ=+2.5°となる。また、このマージナル光線通過
位置は格子部の最周辺部であり、前述した様に格子部の
ピッチはこの位置で最小値Pi=156μm(i=15
5)となる。この位置を通過する光線の回折効率が最も
低くなるが、図12からθ=0°入射と同等の高い効率
を維持できていることが分る。
正と回折効率の設計自由度について説明する。
格子を導入する1つの目的として、屈折光学系で発生す
る色収差を回折格子で打ち消すことがある。
は、回折格子との色収差分担において、回折格子を設け
るレンズは屈折光学系として必要な色収差分担を担って
いるため、回折格子を設けるレンズの材質を任意に選ぶ
ことが困難である。
等でレンズと共にプレス成形を行う方法、あるいは、プ
ラスチック樹脂でレンズと共に型で成形する方法等で
は、レンズと回折格子が同材料となり、回折格子の材料
の選択の自由度が奪われるため、色収差と積層型格子に
おける回折効率の波長依存性の向上の両立が難しくなっ
てくる。
選択可能とする、例えば、紫外線硬化性のプラスチック
樹脂等を用いた成形方法とすれば、色収差と回折効率が
共に良好な光学系が得られることになり、この様な成形
方法とするのが良い。
ラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ等の撮像装置、望遠
鏡や双眼鏡等の観察装置、半導体素子製造用のステッパ
ー、そして各種の光学測定器等に広く適用することがで
きる。
光学機器に適用した1つの実施例を図13を用いて説明
する。
る。図13において、10は実施形態1〜3のいずれか
の光学系1を有する撮影レンズである。光学系1は保持
部材である鏡筒2に保持されている。20はカメラ本体
であり、撮影レンズ10からの光束を上方に反射するク
イックリターンミラー3、撮影レンズ10の像形成位置
に配置された焦点板4、焦点板4に形成された逆像を正
立像に変換するペンタダハプリズム5、その正立像を観
察するための接眼レンズ6等によって構成されている。
7はフィルム面である。撮影時にはクイックリターンミ
ラー3が光路から退避すると共に不図示のシャッターが
開かれ、フィルム面7上に撮影レンズ10によって像が
形成される。
施形態に開示したような光学機器において効果的に享受
される。
値実施例を示す。
oはfナンバー、riは物体側より順に第i番目の面の
曲率半径、diは物体側より順に第i番目の面と第(i
+1)番目の面の間隔、niとνiは各々物体側より順
に第i番目の光学部材の屈折率とアッベ数である。
垂直な方向の高さをH、レンズの交点とX軸の交点を原
点にとり、rをレンズ面の近軸曲率半径、A,B,C,
D,Eを各々非球面係数としたとき、
は前述の式(a)に基づいて示している。又、「D−0
X」は10-Xを意味している。前述の各条件式と数値例
における諸数値との関係を表1に示す。
表1に示す。
ことにより、回折光学素子と屈折光学素子を組み合わせ
て色消しを行うとき、画面の各位置に到達する各光束が
回折光学面上で互いに大きく重なりあっていても、画面
全体にわたり良好な回折効率が得られ、高い光学性能を
有した光学系を達成することができる。
のブレーズ形状概略図
のブレーズ形状概略図
格子例(空気層を隔てた隣接型)の概略図
束のメリジオナル光線の内、光束中心光線(主光線)と
マージナル光線(上線、下線)の格子への入射角度
(θ)を表わす説明図
のθ=0°、±10°入射光に対する非有効面でのケラ
レを含めた1次回折効率の、波長450nm、550n
m、650nmにおける格子ピッチ依存特性を示す説明
図
施形態の要部概略図
Claims (11)
- 【請求項1】 光軸に対して回転対称の回折格子を、曲
率を有するレンズ面に設けた光学系において、該回折格
子を設けたレンズ面の曲率の符号は、該光学系の最も物
体側の面から、該回折格子が設けられたレンズ面の直前
の面までの合成系の設計波長における焦点距離の符号と
同符号であり、かつ、軸外光束の中心光線が該回折格子
を設けるレンズ面に入射する位置の光軸からの距離の符
号と異符号であると共に、該回折格子の非有効面の少な
くとも一部を延長したときに形成される仮想の円錐の頂
点から該回折格子が設けられたレンズ面の曲率中心まで
の距離をDL、該回折格子が設けられたレンズ面の曲率
半径をRとするとき、 |DL/R|<0.3 なる条件を満足する ことを特徴とする光学系。 - 【請求項2】 光軸に対して回転対称な同心円状の回折
格子を、曲率を有するレンズ面に設けた回折光学面を有
する光学系において、該回折格子の非有効面の少なくと
も一部を延長したときに形成される仮想の円錐の頂点か
ら該回折格子が設けられたレンズ面の曲率中心までの距
離をDL、該回折格子が設けられたレンズ面の曲率半径
をRとするとき、 |DL/R|<0.3 なる条件を満足する ことを特徴とする光学系。 - 【請求項3】 前記回折格子が設けられたレンズ面の曲
率中心から、前記光学系の最も物体側の面から前記回折
格子が設けられたレンズ面の直前の面までの合成系の設
計波長における焦点までの距離をD、前記回折格子が設
けられたレンズ面の曲率半径をRとするとき、 |D/R|<5 なる条件を満足することを特徴とする請求項1又は2の
光学系。 - 【請求項4】 前記回折格子が設けられたレンズ面の屈
折力をPとすると共に、光軸に対する垂直方向の高さを
Y、設計波長をλ0、位相係数をCi(i=1,2,3
…)を用いて、前記回折格子の位相形状が、 φ(Y)=(2π/λ0)(C1Y2+C2Y4+C3Y6+
…) で表されるとき、 C1・P<0 なる条件を満足することを特徴とする請求項1から3の
いずれか1項の光学系。 - 【請求項5】 前記回折格子は積層型回折格子であるこ
とを特徴とする請求項1から4のいずれか1項の光学
系。 - 【請求項6】 前記積層型回折格子は、空気層を隔てて
2つの回折格子が隣接配置された隣接積層型回折格子で
あることを特徴とする請求項5の光学系。 - 【請求項7】 前記隣接積層型回折格子は、略同じ曲率
を有する隣接する2つのレンズ面の間に設けられ、物体
側より順に、第1層、第2層、第3層の3層構造から成
り、第2層が空気層であることを特徴とする請求項6の
光学系。 - 【請求項8】 前記隣接積層型回折格子の2つの回折格
子の各々は、紫外線硬化性の樹脂であることを特徴とす
る請求項6の光学系。 - 【請求項9】 複数の前記回折光学面を有することを特
徴とする請求項1から5のいずれか1項の光学系。 - 【請求項10】 前記回折格子はブレーズ型の回折格子
であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項
の光学系。 - 【請求項11】 請求項1から10のいずれか1項の光
学系を有していることを特徴とする光学機器。
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