JP3792847B2 - ズームレンズ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に写真用やビデオカメラ等に使用され、画角が広く、高変倍比を確保しながらも、前玉径が小さく全体としてコンパクトなリアフオーカス式のズームレンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、ホームビデオカメラ等の小型軽量化に伴い、撮像用ズームレンズの小型化にも見覚しい進歩が見られ、特に全長の短縮化や前玉径の小型化、構成の簡略化に力が注がれている。
【0003】
これらの目的を達成する1つの手段として、光学系としては物体側の第1レンズ群以外のレンズ群を移動させてフォーカスを行う所謂リアフォーカス式のズームレンズが知られている。
【0004】
一般にリアフォーカス式のズームレンズは、第1レンズ群を移動させてフォーカスを行うズームレンズに比べて、第1レンズ群の有効径が小さくなり、レンズ系全体の小型化が容易になる。また、近接撮影、特に極近接撮影が可能となり、更に比較的小型軽量のレンズ群を移動させて行っているので、レンズ群の駆動力が小さくて済み迅速な焦点合わせができる。
【0005】
このようなリアフォーカス式のズームレンズとして、例えば特開昭62−24213号公報、特開昭62−247316号公報等では、物体側から順に正の第1レンズ群、負の第2レンズ群、正の第3レンズ群、正の第4レンズ群を有し、第2レンズ群を移動させて変倍を行い、第4レンズ群で変倍に伴う像面変動を補正すると共に、フォーカシングを行うズームレンズを開示している。このような構成によれば、比較的前玉径も小型化でき、コンパクトなズームレンズが達成できる。
【0006】
しかしながら、近年では10倍以上の高変倍化を達成するズームレンズへの要求が大きく、良好な性能を維持しながら更なる小型化を達成することが難しくなってきている。
【0007】
即ち、高倍化のためには各レンズ群の収差の発生を小さくするのに、各レンズ群を構成するレンズ枚数を多くして、各レンズの収差分担を小さくする傾向があり、小型化には逆行する。
【0008】
また、諸収差の補正とレンズ枚数の減少のためには、従来から非球面を用いることが知られている。この非球面を用いると、レンズ枚数の削減と球面では得られない収差補正効果が期待でき有効である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、10倍を越える高変倍においては諸収差の除去も重要であるが、色収差の補正が重要であり、非球面では色収差の補正は難しい。
【0010】
特に、可動群の物体側にある第1レンズ群は、色収差の発生を小さく抑えなければ、主変倍群である第2レンズ群等の移動によって色収差のズーミングに伴う変動が大きくなる傾向がある。そのために、従来では第1レンズ群を構成するレンズは、高分散の負レンズと低分散の正レンズをそれぞれ1枚又は2枚を有して色消しを行っている。更に、負レンズと正レンズを貼合わせることもあり、そのため第1レンズ群を構成するレンズ枚数が多くなり適当ではない。
【0011】
一方、色収差の発生、変功を小さく抑える方法として、最近では回折光学面を撮像光学系に応用する提案が、例えば特開平4−213421号公報、特開平6−324262号公報等でなされている。これらの従来例は、単レンズに回折光学素子を応用したものであり、色収差に対する言及はあるが、ズームレンズ特有の色収差のズーミングによる変動の除去等の考察、記載はなく、ズームレンズへの応用は行われていない。
【0012】
ズームレンズへの応用に関しては、米国特許5268790号公報に記載があり、この従来例は主変倍群である第2レンズ群又は補正群である第3レンズ群に回折光学素子を用いることが開示されており、第1レンズ群については従来通りの構成である。この構成では、第1レンズ群で発生する色収差はそのままであり、ズーミングに伴いその色収差は、第2レンズ群等変倍群の移動により増倍或いは変動することになり効果的ではない。また、実施例として約10倍のズームレンズが記載されているが、この公報で公知としているものよりも高倍化を同一寸法で達成したとの記載があり、またレンズ枚数の減少を実行しているが、未だレンズ枚数が多く小型化には余裕がある。
【0013】
本発明の目的は、上述の従来例の欠点を改善し、10倍以上の高変倍化を達成すると共に、高倍化であっても構成するレンズの枚数を少なくして、かつ非球面では得られない色収差の補正を変倍部に施し、良好な性能を維持しながら更なる小型化を達成するズームレンズを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係るズームレンズは、物体側から順に、ズーミング中に固定の正の屈折力の第1レンズ群とズーミング中に可動の負の屈折力の第2レンズ群から成る変倍群と、正の屈折力の第3レンズ群と第4レンズ群から成る結像群とで構成され、広角端から望遠端へのズーミングに際して前記第2レンズ群を像面側に移動させると共に、前記第4レンズ群により変倍に伴う像面変動を補正するズームレンズにおいて、前記第1レンズ群と第2レンズ群にはそれぞれ光軸に対して回転対称な少なくとも1枚の回折光学面を有し、前記回折光学面の位相φ(h)を、
φ(h)=(2π/λ)(C1・h2+C2・h4+C3・h6+…+Ci・h2 i
λ:基準波長
Ci:係数
h:光軸からの高さ
とし、第iレンズ群内の回折光学面の2次項、4次項、6次項の係数をそれぞれC1i,C2i,C3iとするとき、
1・10-4<|C2i/C1i|<1・10-1
1・10-7<|C3i/C1i|<1・10-2
なる条件を満足すると共に、前記第1レンズ群の焦点距離を F1 、前記第2レンズ群の焦点距離を F2 、前記第1レンズ群中の回折光学面の焦点距離を Fbo1 、前記第2レンズ群中の回折光学面の焦点距離を Fbo2 とするとき、
0.05< F1 Fbo1 <0.7
0.05< F2 Fbo2 <0.7
なる条件を満足することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明を図示の実施例により詳細に説明する。
図1、図2はそれぞれ実施例1、2のレンズ断面図を示し、物体側から順にズーミング中に固定の正の屈折力の第1レンズ群L1とズーミング中に可動の負の屈折力の第2レンズ群L2から成る変倍群、絞りS、正の屈折力の第3レンズ群L3、第4レンズ群L4以降のレンズ群から成る結像群を有し、広角端から望遠端への変倍に際して、第2レンズ群L2を像面側に移動させると共に、第4レンズ群L4以降のレンズ群により変倍に伴う像面変動を補正するズームレンズにおいて、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2にはそれぞれ光軸に対して回転対称な回折光学面を有する。
【0016】
実施例1においては、第1レンズ群L1は2枚の正レンズで構成し、その物体側のレンズの像面側レンズの面に回折光学面を有している。また、第2レンズ群L2は2枚の負レンズで構成し、その像面側のレンズの物体側レンズ面に回折光学面を有している。更に、第3レンズ群L3、第4レンズ群L4の最も物体側のレンズ面はそれぞれ非球面とされている。
【0017】
実施例2においては、第1レンズ群L1は負レンズと正レンズで構成し、像面側のレンズの像面側レンズ面に回折光学面を有している。また、第2レンズ群L2は2枚の正レンズで構成し、像面側のレンズの物体側レンズ面に回折光学面を有している。更に、第3レンズ群L3の最も物体側レンズ面は非球面とされている。
【0018】
これらの実施例では、第3レンズ群L3は絞りを有するズーミング中に固定の正のレンズ群であり、第4レンズ群L4は変倍による像面変動を補正すると共に、距離合わせも第4レンズ群L4により行うことが好ましい。
【0019】
また、第1レンズ群L1の別な構成としては、実施例1のように第1レンズ群L1を2枚の正レンズで構成し、その前後或いは中間に少なくとも1枚の回折光学面を有するプレートを有するようにしてもよい。
【0020】
更に、別な第1レンズ群L1の構成としては、正レンズ、負レンズ又は負レンズ、正レンズの2枚で構成し何れかの面に回折光学素子を有することである。このとき、正レンズと負レンズは貼合わせでもよい。その際に色収差はこの貼合わせ面と共働で補正し、回折光学素子は正の屈折力を強める必要がある。
【0021】
また、第2レンズ群L2の別の構成としては、実施例1、2のように2枚の負レンズで構成し、その前後或いは中間に少なくとも1枚の回折光学面を有するプレートを有するようにしてもよい。
【0022】
更に、別の第2レンズ群L2の構成としては、正レンズ、負レンズの2枚又は負レンズ、正レンズの2枚で構成し、何れかの面に回折光学素子を有するようにしてもよい。
【0023】
何れの場合も最も物体側のレンズ面には、収差補正上やむを得ない等の特別な場合を除いて、回折光学面は配置しない方がよい。回折光学素子はかなり狭い幅、例えば数μm或いはサブμmのオーダの溝で構成されており、塵埃等からレンズ表面を保護するには、最も物体側に配置しない方が好ましい。
【0024】
第1レンズ群L1内に回折光学素子を配置すると、適当に回折光学素子の位相を選択することにより、第1レンズ群L1で発生する色収差、例えばd線とg線といった2波長の色収差は小さく抑えられ、全体としての色収差のズーミングによる変動を小さく抑えられるが、特に望遠端に残存する色収差(2次スペクトル)の幅自体は大きなものとなる。
【0025】
また、第2レンズ群L2内に回折光学素子を配置しても、適当に回折光学素子の位相を選択することにより、第2レンズ群L2で発生する色収差、例えばd線とg線といった2波長の色収差は小さく抑えられ、全体としての色収差のズーミングによる変動を小さく抑えられるが、特に望遠端残存する色収差(2次スペクトル)の幅自体は、第1レンズ群L1とは反対の方向に大きなものとなる。
【0026】
このように、絞りSよりも物体側の変倍群の何れかのレンズ群、つまり第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2に回折光学素子を用いると、変倍により2次スペクトルの幅が大きくなり、現実に用いるには問題がある。
【0027】
そうした中で、上述したように変倍群である第1レンズ群L1と第2レンズ群L2には、それぞれ光軸に対して回転対称な少なくとも1枚の回折光学面を配置することにより、第1、第2レンズ群L1、L2内で基準波長(d線とg線)の色収差を小さく抑え、変倍群でそれぞれで発生する2次スペクトルを逆方向に発生させて、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2により共働して全体として良好な色収差を達成することができる。
【0028】
このように構成することにより、第1レンズ群L1を構成するレンズは、高分散の負レンズと低分散の正レンズをそれぞれ1枚或いは2枚を有し、更に負レンズと正レンズを貼合わせたり複数のレンズで分担して色消しを行っているが、回折光学素子によって色収差の補正に使うレンズ枚数が減少し、構成レンズ枚数を削減でき、また第2レンズ群L2を構成するレンズも低分散の負レンズと高分散の正レンズをそれぞれ2枚或いは1枚を有し、更に負レンズと正レンズを貼合わせたり、複数のレンズで分担して色消しを行っているが、回折光学素子によって色収差の補正に使うレンズ枚数が減少し、構成レンズ枚数を削減できる。
【0029】
これにより10倍以上の高変倍化を達成するズームレンズにおいても、良好な性能を維持しながら、更なる小型化を達成できるようになる。
【0030】
回折光学面は、φ(h) を位相、λを波長、Ciを位相を表す係数、hを光軸からの高さとすると、次式となる。
【0031】
φ(h) = (2π/λ)(C1・h2 +C2・h4 +C3・h6 +・・・+Ci・h2・i)…(1)
【0032】
具体的なズームレンズの色収差を軽減する方法としては、回折光学素子を有する第iレンズ群の屈折力をFiとするときには、次の式を満たす面を少なくとも1面有することが好ましい。
【0033】
Fi・C 1i <0 (i =1、2) ・・・(2)
【0034】
ここで、C 1i は第iレンズ群内にある回折光学面による近軸的屈折力を表し、この近軸的屈折力C 1i が正の値を持つときは屈折力は負、負の値を持つときは正の屈折力を有する。正レンズ群のときも負レンズ群のときも、そのレンズ群の曲率を緩くできる構成になり、収差補正上有効である。
【0035】
(1)式において分かることは、光軸からの距離hによって位相を調節できることである。レンズ径が大きければ大きい程、高次の係数の影響が大きくなる。本実施例で述べている民生用のズームレンズ、特にビデオ用のズームレンズにおいては小型化が進められており、余り大きなレンズつまりhが大きいレンズは少ない。その上で、小さなレンズにおいても効率的に係数を生かして、有効な収差補正を達成するには次の条件式を満足することが好ましい。ただし、C 1i C2i 、C3i はそれぞれ第iレンズ群内にある回折光学面の(1) 式における2次項、4次項、6次項の係数である。
【0036】
1・10-4<|C2iC 1i |<1・10-1 ・・・(3)
1・10-7<|C3iC 1i |<1・10-2 ・・・(4)
【0037】
これらの式は前述したように、小さい径において有効に収差補正をするためのものである。これらの条件式を外れると、収差補正が難しくなるだけでなく、回折光学面を製作し難くなり、適当でない。
【0038】
上述したように、第1レンズ群L1内と第2レンズ群L2内に配置された回折光学面により、それぞれのレンズ群で発生する色収差(2次スペクトル)を共働して小さく抑え、第2レンズ群L2の移動による色収差のズーミングによる変動も小さく抑えられる。このとき、第4レンズ群L4の像面側に更に固定の第5の負レンズ群を配することもできる。このとき、第5レンズ群は全体が望遠タイプとなるように構成して、更なる小型化を図ってもよい。
【0039】
実施例のように、第1レンズ群L1及び第2レンズ群L2の貼合わせ等の色消しの代りの色収差補正を、回折光学面で行う場合の屈折力は余り必要ではない。
【0040】
ここで、若干の軸外収差特に像面湾曲、ディストーション補正のために屈折力を持たせてもよい。その場合の第1、第2レンズ群L1、L2の回折光学面の焦点距離をFbo1、Fbo2、第1、第2レンズ群L1、L2の焦点距離をF1、F2とするとき以下の条件を満たしていれば、製作についても難しくなく、色収差を含めた収差補正にも良好である。
【0041】
0.05<F1/Fbo1<0.7 …(5)
0.05<F2/Fbo2<0.7 …(6)
【0042】
特に、回折光学素子を有するレンズ群は、次の数値範囲内にあることが好ましい。
【0043】
1.0<F1/ (Fw・Ft)1/2 <2.5 …(7)
【0044】
ただし、Fw、Ftはそれぞれ広角端、望遠端の全系の焦点距離である。この範囲内にあれば、回折光学素子の働きを有効に引き出すことができる。この(7) 式の下限値を逸脱すると、第1レンズ群L1の屈折力が強過ぎて色収差を回折光学系で補正しきれなくなり、製作についても難しくなる。また、上限値を超えると回折光学素子を使用しなくとも、色収差の除去は容易になる。また、所望の焦点距離のレンズを得るために特に第2レンズ群L2の屈折力が強くなり、第2レンズ群L2で発生する収差量が大きくなり適当でない。即ち、ペッツヴァール和が負に大きくなり、像面湾曲が補正過剰になる。
【0045】
また、回折光学面が1面しかない場合には、次の式を満足していることが好ましい。
【0046】
|Fi/Rboi| <1.8 …(8)
【0047】
ここで、Rboiは回折光学素子を形成しているi群内の面の曲率半径である。Rboi=∞のときはベース面が平面である。この(8) 式を逸脱するとベースの曲面で発生する収差を回折光学系で補正しきれずに、回折光学系の効果を充分に引き出せず適当ではない。
【0048】
一般に、回折光学面は通常の屈折により発生する色収差と反対の色収差が発生する。例えば、従来の貼合わせ面等により色消しを行っていたレンズを除去し、レンズ枚数を削減をする場合は、その貼合わせ面で発生していた色収差分担と反対の色収差分担を有する面を回折光学面とすることがよい。そのようすれば、通常の屈折により発生する色収差と反対の色収差が回折光学面上で発生し、その方向は元々有する貼合わせ面での色収差発生方向と同じものとなり、貼合わせ等の色消しが単レンズ上で可能となる。
【0049】
色収差係数(共立出版株発行、松居吉哉著「レンズ設計法」第89頁)といった視点から見ると、絞りSよりも物体側の面では、軸上色収差係数Lと倍率色収差係数Tが同一符号の面に回折光学面を配置し、絞りSよりも像面側の面では双方が逆符号の面に回折光学面を配置することが好ましい。
【0050】
これにより、第1レンズ群L1を構成するレンズは回折光学素子によって色収差が低減され、構成レンズ枚数を削減でき、良好な性能を維持しながら更なる小型化を達成できるようになる。
【0051】
特に、第1レンズ群L1を構成するレンズの光軸上の厚みをt1とするとき、次の条件式を満たすことが好ましい。
【0052】
0.1<t1/F1<0.33 …(9)
【0053】
特に、第2レンズ群L2を構成するレンズの光軸上の厚みをt2とするとき、次の条件式を満たすのが好ましい。
【0054】
0.55<t2/F2<0.4 ・・・(10)
【0055】
この(9) 式、(10)式は、回折光学素子を有効に用いられた範囲を示し、回折光学素子を用いると(2) 式の個所で述べたように、曲率が緩くても所望の屈折力が得られる。また、色収差補正のための凹レンズ(第1レンズ群L1)、凸レンズ(第2レンズ群L2)との組み合わせを回折光学素子によって廃止できれば、更にレンズの厚みが薄くなり有効に使われたことになる。
【0056】
(9) 、(10)式の上限を逸脱すれば、通常のガラスレンズにおいても可能な厚みであり、回折光学素子を有効に使用していない。また、下限値を逸脱すると回折による屈折力が多大に必要となり、収差の発生が大きくなり適当でない。
【0057】
なお、本実施例には記載していないが、第1レンズ群L1或いは第2レンズ群L2を回折光学素子を用いて1枚で達成することも可能である。
【0058】
非球面形状は、光軸方向にX軸、光軸と垂直な方向に距離Y、光の進行方向を正とし、レンズの頂点とX軸の交点を原点に採り、rをレンズ面の近軸曲率半径、k、B、C、D、Eを非球面係数とするとき、次式で表される。
【0059】
Figure 0003792847
【0060】
次に、実施例1、2の数値実施例1、2を示す。これらの数値実施例において、riは物体側から順に第i番目のレンズ面の曲率半径、diは第i番目のレンズ厚及び空気間隔、niとνi は第i番目のレンズの屈折力とアッべ数である。
【0061】
Figure 0003792847
【0062】
Figure 0003792847
【0063】
Figure 0003792847
【0064】
Figure 0003792847
【0065】
Figure 0003792847
【0066】
Figure 0003792847
【0067】
Figure 0003792847
【0068】
Figure 0003792847
【0069】
次の表は各値の数値実施例1、2における数値である。
Figure 0003792847
【0070】
図3〜図6はそれぞれ数値実施例1、2の広角状態、望遠状態の収差図である。
【0071】
ここまで述べてきた回折光学素子は、ホログラフィック光学素子(HOE)の製作手法であるリソグラフィック手法によって、2値的に製作した光学素子であるバイナリオプティクス(BINARY OPTICS )で製作してもよい。この場合に、更に回折効率を上げるためにキノフォームと呼ばれる鋸状の形状にしてもよい。また、これらの方法で作成した型によって成形によって製造することもできる。
【0072】
これらの回折光学素子は、光学面の上に施されるのであるが、そのベースは球面又は平面又は非球面でも支障はない。また、それらの光学面にプラスチック等の膜を回折光学面として添付する方法、所謂レプリカ非球面で作成してもよい。
【0073】
前述の実施例における回折光学素子の回折格子形状は、図7に示すキノフォーム形状をしている。この回折格子は基材1の表面に紫外線硬化樹脂を塗布し、この樹脂部2に波長530nmで1次回折効率が100%となるような格子厚dの回折格子3を形成している。図8はこの回折光学素子の1次回折効率の波長依存特性を示し、設計次数での回折効率は最適化した波長530nmから離れるに従って低下し、一方で設計次数近傍の次数0次、2次回折光が増大している。この設計次数以外の回折光の増加はフレアとなり、光学系の解像度の低下につながる。
【0074】
図9は図7の格子形状の数値実施例1の空間周波数に対するMTF(Modulation transfer function)特性を示し、低周波数領域のMTFが所望の値より低下していることが分かる。
【0075】
そこで、図10に示す積層型の回折格子により格子形状と形成することが考えられる。基材1上に紫外線硬化樹脂(nd=1.499、νd=54)から成る第1の回折格子4を形成し、その上に別の紫外線硬化樹脂(nd=l.598、νd=28)から成る第2の回折格子5を形成している。この材質の組み合わせでは、第1の回折格子4の格子はdlはdl=18.8μm、第2の回折格子5の格子はd2はd=10.5μmとしている。
【0076】
図11はこの構成の回折光学素子の1次回折効率の波長依存特性であり、この図11から分かるように積層構造の回折格子にすることで、設計次数の回折効率は、使用波長城全域で95%以上の高い回折効率を有している。図12はこの場合の数値実施例1の空間周波数に対するMTF特性を示し、積層構造の回折格子を用いることで、低周波数のMTFは改善され、所望のMTF特性が得られている。このように、本発明の実施例の回折光学素子として積層構造の回折格子を用いることで、光学性能は更に改善される。
【0077】
なお、前述の積層構造の回折光学素子として、材質を紫外線硬化樹脂に限定するものではなく、他のプラスチック材なども使用できるし、基材によっては第1の回折格子4を直接基材1に形成してもよい。また、各格子の厚さが異なる必要はなく、材料の組み合わせによっては図13に示すように2つの格子の厚みを等しくできる。この場合には、回折光学素子の表面に格子形状が形成されないので、防塵性に優れ、回折光学素子の組み立て作業性が向上し、より安価な光学系が得られる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るズームレンズは、前玉径が小型で、画角が広く、高変倍比を確保しつつ、機構を含めた簡略化・小型軽量化を図った全ズーム域・全物体距離に渡って良好な性能が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のレンズ断面図である。
【図2】実施例2のレンズ断面図である。
【図3】実施例1の広角状態の収差図である。
【図4】実施例1の広角状態の収差図である。
【図5】実施例1の広角状態の収差図である。
【図6】実施例1の広角状態の収差図である。
【図7】回折格子の断面図である。
【図8】波長依存特性のグラフ図である。
【図9】MTFのグラフ図である。
【図10】積層構造の回折格子の断面図である。
【図11】波長依存特性のグラフ図である。
【図12】MTFのグラフ図である。
【図13】他の積層構造の回折格子の断面図である。
【符号の説明】
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
1 基材
2 樹脂部
3、4、5 回折格子

Claims (7)

  1. 物体側から順に、ズーミング中に固定の正の屈折力の第1レンズ群とズーミング中に可動の負の屈折力の第2レンズ群から成る変倍群と、正の屈折力の第3レンズ群と第4レンズ群から成る結像群とで構成され、広角端から望遠端へのズーミングに際して前記第2レンズ群を像面側に移動させると共に、前記第4レンズ群により変倍に伴う像面変動を補正するズームレンズにおいて、前記第1レンズ群と第2レンズ群にはそれぞれ光軸に対して回転対称な少なくとも1枚の回折光学面を有し、前記回折光学面の位相φ(h)を、
    φ(h)=(2π/λ)(C1・h2+C2・h4+C3・h6+…+Ci・h2 i
    λ:基準波長
    Ci:係数
    h:光軸からの高さ
    とし、第iレンズ群内の回折光学面の2次項、4次項、6次項の係数をそれぞれC1i,C2i,C3iとするとき、
    1・10-4<|C2i/C1i|<1・10-1
    1・10-7<|C3i/C1i|<1・10-2
    なる条件を満足すると共に、前記第1レンズ群の焦点距離を F1 、前記第2レンズ群の焦点距離を F2 、前記第1レンズ群中の回折光学面の焦点距離を Fbo1 、前記第2レンズ群中の回折光学面の焦点距離を Fbo2 とするとき、
    0.05< F1 Fbo1 <0.7
    0.05< F2 Fbo2 <0.7
    なる条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
  2. 広角端及び望遠端での全系の焦点距離をそれぞれFw,Ftとするとき、
    1.0<F1/(Fw・Ft)1/2<2.5
    なる条件を満足することを特徴とする請求項に記載のズームレンズ。
  3. 前記第1レンズ群及び第2レンズ群のそれぞれが有する回折光学面は1面のみであり、第iレンズ群の焦点距離をFi(i=1,2)、第iレンズ群内の回折光学面が形成されている面の曲率半径をRboiとするとき、
    |Fi/Rboi|<1.8
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載のズームレンズ。
  4. 前記第1レンズ群を構成するレンズの光軸上の厚みをt1とするとき
    0.1<t1/F1<0.33
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1〜の何れか1つの請求項に記載のズームレンズ。
  5. 前記第3レンズ群は絞りを有するズーミング中に固定の正のレンズ群であり、前記第4レンズ群は変倍による像面変動を補正すると共に距離合わせを行う請求項1〜の何れか1つの請求項に記載のズームレンズ。
  6. 前記回折光学面は積層した回折格子から成る請求項1〜の何れか1つの請求項に記載のズームレンズ。
  7. 請求項1〜の何れか1つの請求項に記載のズームレンズを有することを特徴とするカメラ。
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