JP4208293B2 - ズームレンズ - Google Patents

ズームレンズ Download PDF

Info

Publication number
JP4208293B2
JP4208293B2 JP19805398A JP19805398A JP4208293B2 JP 4208293 B2 JP4208293 B2 JP 4208293B2 JP 19805398 A JP19805398 A JP 19805398A JP 19805398 A JP19805398 A JP 19805398A JP 4208293 B2 JP4208293 B2 JP 4208293B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
lens
diffractive optical
zooming
optical element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP19805398A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000019400A (ja
JP2000019400A5 (ja
Inventor
博喜 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP19805398A priority Critical patent/JP4208293B2/ja
Priority to US09/123,442 priority patent/US6081389A/en
Publication of JP2000019400A publication Critical patent/JP2000019400A/ja
Publication of JP2000019400A5 publication Critical patent/JP2000019400A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4208293B2 publication Critical patent/JP4208293B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Lenses (AREA)
  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ズームレンズに関し、特にレンズ系後方に色合成プリズムや色合成ミラーや各種のフィルターを有した液晶ビデオプロジェクター等に好適なテレセントリック系で、しかも画面全体にわたり良好な光学性能を有するバックフォーカスの長いズームレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりレンズ系の後方に色合成プリズム、偏光フィルター、カラーフィルター等の各種の光学部材を配置した液晶ビデオプロジェクター用のバックフォーカスが比較的長いレンズ系(投影レンズ系)が種々と提案されている。
【0003】
このようなレンズ系が、例えば、特開昭62―291613号公報や特開平3―145613号公報等で提案されている。
【0004】
これらのうち特開昭62―291613号公報のレンズ系は歪曲収差が−5%程度ある。また、特開平3―145613号公報のレンズ系は非点収差が大きくなる傾向があった。
【0005】
更に、RBG各色による画像の大きさのずれ、すなわち倍率色収差が大きいため高精細な液晶表示素子の画像を投影したときに、色のずれが目立つことがあった。
【0006】
また、諸収差の補正とレンズ枚数の減少のためには、従来よりレンズ系の一部に非球面を用いることが知られている。非球面を用いるとレンズ枚数の削減と球面では得られない収差補正効果が期待でき有効である。
【0007】
高画素対応のレンズ系においては諸収差の除去のうち、色収差の補正が特に重要となってくる。しかしながら非球面では色収差の良好なる補正は難しい。
【0008】
最近ではレンズ系の収差を抑えるために構成レンズ群の数を増して、各レンズ群の収差分担を小さくして自由度を増やすズームレンズが多く提案されている。
【0009】
レンズ系としてズームレンズを用いたとき、 色収差については第1群で補正し、特に第1 群で色収差の発生を小さく抑える必要がある。そうしないと、主変倍群である第2群以降のレンズ群の移動によって色収差のズーミングに伴う変動が大きくなってくる。
【0010】
また第2群以降の変倍群においても色収差等の変動を小さくさせる必要がある。そのために従来では、各レンズ群を構成するレンズは、複数の分散値の異なる材質より成るレンズを多用し色消しを行っていた。また負レンズと正レンズを貼り合わせて補正していた。そのため各レンズ群を構成するレンズ枚数が多くなりレンズ系全体が大型化する傾向があった。
【0011】
一方、色収差の発生、変動を小さく抑える方法として近年回折作用を有した回折型光学素子(回折光学素子)を撮像光学系に応用する提案がなされている。
【0012】
例えば特開平4ー213421号公報、特開平6ー324262号公報等で回折光学素子を用いた光学系が提案されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
前述の回折光学素子を用いた光学系は単レンズに回折光学素子を応用したものであり、色収差に対する言及はあるが、ズームレンズ特有の色収差のズーミングによる変動の除去等の考察、記載はなく、ズームレンズへの応用は行われていない。
【0014】
ズームレンズへの応用に関しては米国特許(USP)5,268,790 号公報で、全体として4つのレンズ群より成るズームレンズが提案されている。該従来例は主変倍群である第2群もしくは補正群である第3群に回折型光学素子を用いることを提案しており、第1群については従来通りのレンズ構成であった。この構成では第1群で発生する色収差はそのままであり、ズーミングに伴い、その色収差は第2群等変倍群の移動により増倍あるいは変動することになり効率的ではなかった。
【0015】
本発明は、全体として5つのレンズ群を有し、このうち所定のレンズ群に回折光学素子を適切に設定することにより、非点収差及び歪曲収差が少なく、かつ、高精細の液晶に対応した倍率色収差が良好に補正したバックフォーカスの長いテレセントリック系のズームレンズの提供を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明のズームレンズは、距離の長い方の第1共役点から順に負の屈折力の第1群、正の屈折力の第2群、負の屈折力の第3群、正の屈折力の第4群、そして正の屈折力の第5群の5つのレンズ群を有し、広角端から望遠端への変倍を該第2群と第4群を第1共役点側へ移動させて行い、
前記各レンズ群のうち少なくとも一つのレンズ群は光軸に対して回転対称な回折型光学素子を少なくとも1つ有しており、
前記第i群の焦点距離をfi、全系の広角端と望遠端の焦点距離を各々fW、fT、全系の射出瞳から距離の短い第2共役点までの距離をTKとしたとき、
0.8<|f1/f2|<2.3
【数2】
Figure 0004208293
4<|TK|/fW
を満足することを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1,図4,図7,図10,図13は各々本発明の数値実施例1〜5のレンズ断面図である。図中Sはスクリーン面、LCDは被投影画像としての液晶表示素子である。スクリーン面Sは距離の長い方の第1共役点側にある。液晶表示素子LCDは距離の短い方の第2共役点にある。
【0018】
図中、L1は負の屈折力の第1群(第1レンズ群)、L2は正の屈折力の第2群(第2レンズ群)、L3は負の屈折力の第3群(第3レンズ群)、L4は正の屈折力の第4群(第4レンズ群)、L5は正の屈折力の第5群(第5レンズ群)である。GBは赤外カットフィルター等のガラスブロックである。液晶表示素子LCDは像面に相当している。
【0019】
矢印は広角端から望遠端への変倍(ズーミング)を行う際の各レンズ群の移動軌跡を示している。
【0020】
本発明では広角端から望遠端への変倍に際して第2群L2と第4群L4を第1共役点側へ移動させている。
【0021】
このとき第2群と第3群との間隔が増大し、第3群と第4群との間隔が減少するようにしている。第3群は変倍に際して固定又は第2共役点側へ単調に若しくは第1共役点側に凸状の軌跡を有しつつ移動させている。第1群と第5群は変倍に際して固定である。
【0022】
第1 群L1を移動させてフォーカスを行っている。第1 群から第5 群のうち少なくとも1つのレンズ群に光軸に対して回転対称な回折光学素子を少なくとも1つ設けている。
【0023】
本実施形態における回折光学素子は、ホログラフィック光学素子(HOE)の製作手法であるリソグラフィック手法で2 値的に製作している。回折光学素子はバイナリーオプティックス(BINARY OPTICS)で製作しても良い。この場合、更に回折効率を上げるためにキノフォームと呼ばれる鋸状の形状にしても良い。またこれらの方法で製作した方によって成型により製造しても良い。
【0024】
また本実施形態における回折光学素子の形状は、基準波長(d線)をλ、光軸からの距離をh、位相をφ(h)としたとき
φ(h)=2π/λ(C1・h2 +C2・h4 +‥‥‥Ci・h2i)‥‥‥(a)
(a)式より明かのように光軸からの距離hによって位相を調整している。レンズ径が大きければ大きい程、高次の係数の影響を大きくすることができるようになっている。
【0025】
次に、本発明の数値実施例を説明する。図1 の数値実施例1はズーミング中、固定の第1レンズ群に回折光学素子を導入した例である。広角端から望遠端へのズーミングは第2群、第4群が第1 共役点側へ移動し、第3群が第2 共役点側に単調移動している。第5群はズーミング中固定である。
【0026】
図4 の数値実施例2もズーミング中、固定の第1レンズ群に回折光学素子を導入した例である。広角端から望遠端へのズーミングは第2群、第4群が第1 共役点側へ移動し、第3群が第1 共役点側に移動した後、第2共役点側に戻る動き(第1共役側に凸の軌跡)をするものである。第5群はズーミング中固定である。
【0027】
図7 の数値実施例3はズーミング中、固定の第1レンズ群と第5レンズ群に群に回折光学素子を導入した例である。広角端から望遠端へのズーミングは第2群、第4群が第1共役点側へ移動し、第3群が第1共役点側に移動した後、第2共役点側に戻る動き(第1共役点側に凸の軌跡)をするものである。第5群はズーミング中、固定である。
【0028】
図10の実施例4は第1レンズ群と第2レンズ群に群に回折光学素子を導入した例である。広角端から望遠端へのズーミングは第2群、第4群が第1共役点側へ移動し、第3群が第1共役点側に移動した後、第2共役点側に戻る動き(第1大きな共役点側に凸の軌跡)をするものである。第5群はズーミング中固定である。この中の第9番目の回折光学素子は平板ガラス状の上に回折面を施したものである。
【0029】
図13の数値実施例5は第1レンズ群と第4レンズ群に群に回折光学素子を導入した例である。広角端から望遠端へのズーミングは第2群、第4群が第1共役点側へ移動し、ズーミングに際し第1群、第3群、第5群は固定になっているものである。
【0030】
図中Liは第i群(i=1〜5)である。L1からL5までがズームレンズ部であり、接続部材Cを介して液晶ビデオプロジェクター本体に着装されている。したがってガラスブロックGB以降の液晶表示素子LCD側はプロジェクター本体に含まれる。
【0031】
以上の各数値実施例では広角端から望遠端への変倍に際して矢印のように移動させている。又、第1群を光軸上移動させてフォーカスを行っている。
【0032】
また、この第1レンズ群に非球面を設けるのが良く、これによれば更に性能を上げることができる。
【0033】
また更に良好な収差補正、特に軸外のフレアーや歪曲そして色収差を良好に補正するためには、第1群中に少なくとも1枚の非球面レンズそして少なくとも1枚の光軸に対して回転対称な回折型光学素子を有することが有効である。先にも述べたように、液晶表示素子の高精細化にともない、従来あまり問題にならなかった解像力が問題となりこれに大きく起因する収差を良好に補正する必要がでてきた。該第5群中に非球面を配置することにより軸外のフレアーを良好に補正することが可能となった。また、該第4群は比較的に軸外光線が光軸より離れたところを通過するため、該回折型光学素子を配置することにより、倍率色収差を良好に補正することが可能になり更に性能が向上する。
【0034】
また、良好な収差補正、特に色収差を良好に補正するためには、第5群中に少なくとも1枚の光軸に対して回転対称な回折型光学素子を有することである。先にも述べたように、液晶表示素子の高精細化にともない、従来あまり問題にならなかった色収差、特に倍率色収差を良好に補正することが可能となる。
【0035】
尚、本発明の目的とするズームレンズは以上の構成要件を有することにより達成されるが更に好ましくは次の諸条件のうちの少なくとも1つを満足させるのが良い。
【0036】
(ア-1) 広角端及び望遠端における全系の焦点距離をfw、fT とし、第i群の焦点距離をfiとするとき
0.8< |f1/f2| < 2.3 ‥‥‥(1)
【0037】
【数3】
Figure 0004208293
‥‥‥(2)
なる条件式を満足するのが良い。
【0038】
上の式(1),(2)は主変倍群である第2 レンズ群と第1レンズ群の関係を適切に規定したものである。
【0039】
(1)式の下限値を逸脱すると第1レンズ群で決まる前玉径が大きくなり、また広角端での歪曲収差が大きくなり適当でない。また上限値を逸脱すると所望の変倍比を得るために第2 レンズ群の移動量を大きくする必要があり全系が大型化し適当でない。
【0040】
(2)式は主変倍群のパワーを適切にするもので下限値を超えると像面が補正過剰となり適当でない。また上限値を超えると所望の変倍比を得るために第2 レンズ群の移動量を大きくする必要があり全系が大型化し適当でない。
【0041】
(ア-2) 本発明においては以下の条件式を満たすことがレンズ系全体を略テレセントリック性を保つのに好ましい。
【0042】
|Tk|/fw > 4 ‥‥‥(3)
但しTkは距離の短い第2 共役点側からズームレンズの射出瞳までの距離(ズーミング中の絶対値が最小値のパネル(像面)から射出瞳までの距離)である。
【0043】
ここで言っている略テレセントリック性というのは液晶素子の配光特性、または複数の色光を合成する時の色合成ダイクロイックミラーの角度依存の影響を排除する為に、射出瞳が遠方にあることを示す。具体的にはその角度依存性を排するためには必要な条件である。
【0044】
更に望ましくは条件式(3)の数値は以下の範囲に入っていることが望ましい。
【0045】
|Tk|/fw>9.0 ‥‥‥(3a)
(ア-3) 歪曲を適正に補正するためには以下の式を満たしていることが好ましい。
【0046】
1<|f1|/fw<2 ‥‥‥(4)
この式の上限値を逸脱すると広角端の歪曲が、下限値を超えると望遠端の歪曲を適正にできなくなる。
【0047】
(ア-4) 第1 群内に回折型光学素子を配置すると、適当に回折型光学素子の位相を選択することにより第1群で発生する倍率色収差、例えばd線とg線といった2波長の倍率色収差は小さく抑えられ、全体としての倍率色収差のズーミングによる変動を小さく抑えらる。しかも望遠端に残存する軸上色収差(2次スペクトル)の量は悪化しないものとなる。
【0048】
(ア-5) 第2群以降のレンズ群に回折型光学素子を配置するのが良い。そして適当に回折型光学素子の位相を選択することにより第2レンズ群以降で発生する倍率色収差、例えばd線とg線といった2波長の倍率色収差は小さく抑えられ、全体としての倍率色収差のズーミングによる変動を小さく抑えられる。しかも望遠端に残存する軸上色収差(2次スペクトル)の量は悪化しない。
【0049】
(ア-6) 前述の(ア-4) 又は(ア-5) の双方を同時に満足するように構成することにより、高度な色収差補正を達成して良好な光学性能を維持しつつ更なる小型化を達成できるようになる。
【0050】
(ア-7) 本発明に係る回折型光学素子面は前述の式(a)で表せられるものであり、テレセントリックなズームレンズにおいて、効率的に係数を生かして、有効な収差補正を達成するには以下の条件を満たすのが好ましい。
【0051】
fi・C1 < 0 ‥‥‥(5)
ここでC1は第1群にある回折光学素子の係数である。C1は回折型光学素子の近軸的屈折力を表しC1が正の値を持つときは負の屈折力を持ち、C1が負の値を持つときは正の屈折力を有する。この式を満たしていれば回折光学素子が正レンズ群にある時も、負レンズ群にある時もその群の曲率を緩く出来収差補正上有効である。
【0052】
(ア-8) 回折光学素子の係数を次の条件を満足するように設定するのが良い。
【0053】
1 ×10-4 < | C2 / C1 |< 1 ‥‥‥(6)
1 ×10-7 < | C3 / C1 | < 1×10-1 ‥‥‥(7)
この条件式を外れると、収差補正が難しくなるだけでなく回折型光学素子が作りにくくなり適当でない。
【0054】
(ア-9) 第1群内または第2群内または第3 群内の少なくとも1つのレンズ群に回折光学素子を配置するのが良い。この回折型光学素子により、各群で発生する倍率色収差を小さく抑えられ、第2群の移動による倍率色収差のズーミングによる変動も小さく抑えられるような構成となる。
【0055】
(ア-10) 本発明に係る回折型光学素子は、光学面の上に施されるのであるが、そのベースは球面もしくは平面あるいは非球面あるいは2次曲面でも良い。
【0056】
また、それらの光学面にプラスチック等の膜を上記回折光学素子面として添付する方法(いわゆるレプリカ非球面)で作成しても良い。これによれば高い光学性能を容易に得ることができる。
【0057】
(ア-11) 回折型光学素子のパワーを強くすると中心と周辺の鋸状(格子形状)のピッチの差が大きくなり製作が難しくなり、また完成品の回折効率も良くない。
【0058】
本発明のように、第1群または第2群または第3 群の貼り合わせ等の色消しレンズの代わりの色収差補正を回折光学系で行う場合のパワーは余り必要ではない。
【0059】
ここで若干の軸外収差特に像面湾曲、ディストーション補正のためにパワーを持たせても良い。その場合の第i レンズ群の回折光学面の焦点距離を Fboi 、第iレンズ群の焦点距離をF iとするとき以下の条件を満たしていれば製作についても難しくなく、色収差を含めた収差補正にも良好である。
【0060】
0.05 < Fi/Fboi < 3.0 ‥‥‥(8)
但しi=1〜5である。
【0061】
(ア-12) 主変倍群である第2 レンズ群については以下の式を満たすのが良い。第2レンズ群の広角端と望遠端の倍率を各々β2W,β2T、第2 レンズ群の倍率変化β2 t/β2 wをZ2、全系の焦点距離の変化ft/fwをZとし、変倍群となる第2レンズ群と第4レンズ群のズーミングでの移動量をそれぞれM2、M4とすると
0.8<Z2/Z<1.1 ‥‥‥(9)
0.9<M2/M4<15 ‥‥‥(10)
0.4<M2/(ft−fw)<1.5 ‥‥‥(11)
(9)式は変倍群となる第2レンズ群と第4レンズ群での変倍の比を適切に規定するものである。第3レンズ群は変倍に際し減倍するためこの範囲にあるのが好ましい。
【0062】
(10),(11)式はレンズ全体の長さと各変倍群の移動量を適切にするものである。特に第2レンズ群と第4レンズ群とでは第4レンズ群の方がパワーが弱くなりがちであるので適切な変倍分担をするにはこの範囲が好ましい。特に第2レンズ群の移動量が第4レンズ群の移動量を超えていることが更に好ましい(1≦M2/M4<1.6)。
【0063】
(ア-13) 上述したように第2レンズ群と第4レンズ群とでは第4レンズ群の方がパワーが弱くなりがちであり特に以下の式を満たすのが良い。
【0064】
0.4<f2/f4<1.5 ‥‥‥(12)
(12)は主変倍群のパワー配置と変倍を適切にしながらペッツバール和を適当に設定するのに必用な式である。
【0065】
(ア-14) 全系の射出瞳と、歪曲を適当に設定するには、以下の式を満たしているのが好ましい。
【0066】
0.1<bf/f5<0.5 ‥‥‥(13)
0.5<|f1|/bf<2.2 ‥‥‥(14)
bfは第5レンズ群から表示体(LCD)までのきょりでありダイクロプリズム等を除いた空気換算長のことである。(13)式は全系を適切にテレセントリックにするために必用な式である。上限値を超えると大型化し、下限値を超えると歪曲が発生する。第14式も歪曲を適切にとりながら射出瞳を長くしテレセントリックにするための条件である。
【0067】
(ア-15) 各群のパワー配置を適切にしつつ各群の移動量を適切にして、小型化をするには以下の式を満たすのが好ましい。
【0068】
【数3】
Figure 0004208293
歪曲収差は第1群において十分に押さえておくと共に、バックフォーカスを十分に確保することが必要である。
【0069】
上限値を超えるとフォーカシングのための移動量が大きくなり全長が長大化し、かつバックフォーカスが短くなり好ましくない。逆に、下限値を超えるとフォーカシングのための移動量は少なくなるものの、歪曲収差の補正が困難になると同時にぺッツバール和が負に大きくなり像面が倒れてくるので好ましくない。
【0070】
(ア-16) 第i群の焦点距離をfi、広角端と望遠端での焦点距離を各々fw,ftとするとき
【0071】
【数4】
Figure 0004208293
を満足することである。
【0072】
(16),(17)式は変倍に寄与するレンズ群の適切なパワー配置を示したものである。それぞれの上限値を超えると所望のズーム比を得るための移動量が大きくなり、レンズ系全体が大型化し適切でない。また下限値を超えると各群の移動量は小さくなるが、ズーミングに伴なう収差変動、特に像面湾曲の変動が大きくなり適当でない。
【0073】
(18)式は(13)式とともに射出瞳を長くしてテレセントリックにするために必要な条件である。下限値を超えると、テレセントリックに構成しても第5群にて歪曲収差が発生して適当でない。
また上限値を超えると全系の大きさが大型化し適当でない。
【0074】
(ア-17) ズーミングにおける倍率色収差を低減しつつ、変動も抑えるために第3レンズ群に材質のアッベ数ν3 が以下の範囲のレンズを有することが好ましい。
【0075】
ν3 >55 ‥‥‥(19)
特に好ましくは
ν3 >60 ‥‥‥(19a)
の範囲のレンズがあることが好ましい。
【0076】
(ア-18) また第1レンズ群を構成する負レンズの平均アッベ数ν1nは
ν1n>60 ‥‥‥(20)
とするのが良い。このように構成することにより色収差とそのズーミングによる変動を小さくすることができる。
【0077】
(ア-19) 最適にテレセントリック系にしつつ、レンズからパネルまでの距離を最適にするために以下の条件を満たすのが好ましい。
【0078】
2<f5/fw<7 ‥‥‥(21)
下限値を超えると最適なテレセントリック性を満足できず、上限値を超えると大型化して適当でない。
【0079】
(ア-20) 一般に回折光学素子面は、通常のレンズの屈折により発生する色収差と反対の色収差が発生する。例えば、従来貼り合わせレンズ面等により色消しを行っていたレンズのを除去し、レンズ枚数の削減をする場合は、その貼り合わせレンズ面で発生していた色収差分担と反対の色収差分担を有するレンズ面を回折光学素子面とするのがよい。そうすれば通常の屈折により発生する色収差と反対の色収差が回折光学素子面上で発生し、その方向は元々あった貼り合わせレンズ面での色収差発生方向と同じ物となり、貼り合わせ等の色消しが単レンズ上にて可能となる。
【0080】
色収差係数(注)といった観点から見ると、絞りより物体側のレンズ面では、軸上色収差係数L と倍率色収差係数T が同一符号のレンズ面に回折光学面を配置し、絞りより像面側のレンズ面では双方が逆符号のレンズ面に回折光学面を配置するのが好ましい((注)収差係数:共立出版株発行 「レンズ設計法」松居吉哉著 p89~参照)。
【0081】
また回折効率を改善するためには以下で説明するような積層構造の回折光学素子にするのが良い。
【0082】
図17は図16に示す1層の回折光学素子の一次回折効率の波長依存特性を示している。実際の回折格子の構成は基材102 の表面に紫外線硬化樹脂を塗布し、樹脂部に波長530nmで1次回折効率が100%となるような格子厚dの格子103 を成形している。
【0083】
図17で明らかなように設計次数での回折効率は最適化した波長530nmから離れるに従って低下し、一方設計次数近傍の次数0次、2次回折光が増大している。この設計次数以外の回折光の増加は、フレアとなり、光学系の解像度の低下につながる。
【0084】
図18は本実施形態で用いている積層型の回折光学素子の説明図である。図19はこの構成の回折光学素子の1次回折効率の波長依存特性である。具体的な構成としては、基材上に紫外線硬化樹脂(nd=1.499、νd=54 )からなる第1の回折格子104 を構成し、その上に別の紫外線硬化樹脂(nd=1.598、νd=28 )からなる第2の回折格子105 を形成している。
この材質の組み合わせでは、第1の回折格子部の格子厚d1はd1=13.8μm 、第2の回折格子部の格子厚d2はd2=10.5μm としている。
【0085】
図19から判るように積層構造の回折格子にすることで、設計次数の回折効率は、使用波長全域で95%以上の高い回折効率を有している。
【0086】
このように、本発明の実施例の回折光学素子として積層構造の回折格子を用いることで、光学性能を改善させている。
【0087】
なお回折光学素子として、材質を紫外線硬化樹脂に限定するものでなく、他のプラスチック材なども使用できるし、基材によっては、第1の回折格子部104 を直接基材に形成しても良い。また各格子厚が必ずしも異なる必要はなく、材料の組み合わせでは図20に示すように2 つの格子厚を等しくできる。この場合、回折光学素子表面に格子形状が形成されないので、防塵性に優れ、回折光学素子の組み立て作業性が向上し、より安価な光学系を提供できる。
【0088】
本実施形態では以上のような構成の回折光学素子を用いることによって色収差を低減し、構成レンズ枚数を削減でき、良好な光学性能を維持しつつ更なる小型化を達成している。
【0089】
以下に、本発明の数値実施例を記載する。数値実施例において、Ri は第1共役点側より順に第i 番目のレンズ面の曲率半径、Di は第1共役点側より順に第i 番目のレンズ厚及び空気間隔、Ni とνi はそれぞれ第1共役点側より順に第i 番目のレンズのガラスの屈折率とアッベ数である。
【0090】
また、数値実施例1〜5における最も像面側の平板レンズは、色合成プリズム、偏光フィルター、カラーフィルター等のガラスブロックを示す。又、前述の各条件式と数値実施例における諸数値との関係を表−1に示す。
【0091】
回折型光学素子面は、位相 φ(h) として
φ(h)=2π/λ(C1・h2+C2・h4+C3・h6+‥‥+Ci・h2i
但し、 λ:波長
Ci:位相を表す係数
h :光軸からの高さ
なる式で表している。また、例えば「e−Z」の表示は「10-Z」を意味する。
【0092】
【外1】
Figure 0004208293
【0093】
【外2】
Figure 0004208293
【0094】
【外3】
Figure 0004208293
【0095】
【外4】
Figure 0004208293
【0096】
【外5】
Figure 0004208293
【0097】
【外1】
Figure 0004208293
【0098】
【発明の効果】
本発明によれば以上のように、全体として5つのレンズ群を有し、このうち所定のレンズ群に回折光学素子を適切に設定することにより、非点収差及び歪曲収差が少なく、かつ、高精細の液晶に対応した倍率色収差が良好に補正したバックフォーカスの長いテレセントリック系のズームレンズを達成している。
【0099】
特に本発明によれば、以上説明したように構成することにより、変倍比1.3以上でFNo1。8程度と大口径を確保しながらも非点収差及び歪曲収差が少なく、かつ、色合成用プリズム等の光学素子や各種フィルターの光学素子が入るバックフォーカス空間を充分に確保しつつ、倍率色収差が良好に補正され全ズーム域・全物体距離にわたって良好な性能を有するテレセントリックな光学系のズームレンズを実現し、合わせて該ズームレンズに適した液晶ビデオプロジェクターを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の数値実施例1のレンズ断面図
【図2】本発明の数値実施例1の広角端の収差図
【図3】本発明の数値実施例1の望遠端の収差図
【図4】本発明の数値実施例2のレンズ断面図
【図5】本発明の数値実施例2の広角端の収差図
【図6】本発明の数値実施例2の望遠端の収差図
【図7】本発明の数値実施例3のレンズ断面図
【図8】本発明の数値実施例3の広角端の収差図
【図9】本発明の数値実施例3の望遠端の収差図
【図10】本発明の数値実施例4のレンズ断面図
【図11】本発明の数値実施例4の広角端の収差図
【図12】本発明の数値実施例4の望遠端の収差図
【図13】本発明の数値実施例5のレンズ断面図
【図14】本発明の数値実施例5の広角端の収差図
【図15】本発明の数値実施例5の望遠端の収差図
【図16】従来の回折光学素子の要部断面図
【図17】従来の回折光学素子の回折効率の説明図
【図18】本発明に係る回折光学素子の説明図
【図19】本発明に係る回折光学素子の回折効率の説明図
【図20】本発明に係る回折光学素子の説明図
【符号の説明】
L1 第1群
L2 第2群
L3 第3群
L4 第4群
L5 第5群
LCD 像面
d d線
g g線
ΔS サジタル像面
ΔM メリディオナル像面
S スクリーン

Claims (6)

  1. 距離の長い方の第1共役点から順に負の屈折力の第1群、正の屈折力の第2群、負の屈折力の第3群、正の屈折力の第4群、そして正の屈折力の第5群の5つのレンズ群を有し、広角端から望遠端への変倍を該第2群と第4群を第1共役点側へ移動させて行い、
    前記各レンズ群のうち少なくとも一つのレンズ群は光軸に対して回転対称な回折型光学素子を少なくとも1つ有しており、
    前記第i群の焦点距離をfi、全系の広角端と望遠端の焦点距離を各々fW、fT、全系の射出瞳から距離の短い第2共役点までの距離をTKとしたとき、
    0.8<|f1/f2|<2.3
    Figure 0004208293
    4<|TK|/fW
    を満足することを特徴とするズームレンズ。
  2. 広角端から望遠端への変倍において前記第2群と第3群の間隔は広角端に比べて望遠端で広く、前記第3群と第4群の間隔は広角端に比べて望遠端で狭くなっていることを特徴とする請求項1のズームレンズ。
  3. 前記第3群は変倍に際して固定であることを特徴とする請求項2のズームレンズ。
  4. 前記第1群と第5群は変倍に際して固定であることを特徴とする請求項1のズームレンズ。
  5. 前記第1群を光軸上移動させてフォーカスを行っていることを特徴とする請求項1乃至4いずれかのズームレンズ。
  6. 液晶表示素子と、前記液晶表示素子からの光をスクリーン面に投射する、請求項1乃至5いずれかのズームレンズと、を備えることを特徴とする液晶プロジェクタ。
JP19805398A 1997-07-31 1998-06-29 ズームレンズ Expired - Fee Related JP4208293B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19805398A JP4208293B2 (ja) 1998-06-29 1998-06-29 ズームレンズ
US09/123,442 US6081389A (en) 1997-07-31 1998-07-28 Zoom lens of retrofocus type

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19805398A JP4208293B2 (ja) 1998-06-29 1998-06-29 ズームレンズ

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2000019400A JP2000019400A (ja) 2000-01-21
JP2000019400A5 JP2000019400A5 (ja) 2005-10-06
JP4208293B2 true JP4208293B2 (ja) 2009-01-14

Family

ID=16384755

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19805398A Expired - Fee Related JP4208293B2 (ja) 1997-07-31 1998-06-29 ズームレンズ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4208293B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6560019B2 (en) 1998-02-05 2003-05-06 Canon Kabushiki Kaisha Diffractive optical element and optical system having the same
JP3503631B2 (ja) 2001-04-27 2004-03-08 セイコーエプソン株式会社 投映用ズームレンズ及びこれを備えたプロジェクター
JP2002341242A (ja) * 2001-05-21 2002-11-27 Matsushita Electric Ind Co Ltd 投写レンズとそれを用いたプロジェクター
US6989939B2 (en) 2003-08-11 2006-01-24 Canon Kabushiki Kaisha Variable-power optical system, projection optical system, and image projection apparatus using the systems
JP6234784B2 (ja) * 2013-11-13 2017-11-22 富士フイルム株式会社 ズームレンズおよび撮像装置
CN112882143A (zh) * 2021-01-26 2021-06-01 维沃移动通信有限公司 微棱镜、摄像模组和电子设备

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000019400A (ja) 2000-01-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002244044A (ja) ズームレンズ及びそれを用いた光学機器
US7359125B2 (en) Two-lens-group zoom lens system
US20020063969A1 (en) Zoom lens and optical apparatus using the same
JPH10148757A (ja) ズームレンズ及びそれを用いた光学機器
JP3832935B2 (ja) ズームレンズ
US6268969B1 (en) Image forming optical system having diffractive optical element
JP3792846B2 (ja) ズームレンズ
US6741398B2 (en) Zoom lens system, image projecting and image pick-up devices using the same
JP2003021783A (ja) ズームレンズ及びそれを用いた光学機器
JP3505980B2 (ja) 撮像装置
JP2000147379A (ja) ズームレンズ
JP4208293B2 (ja) ズームレンズ
JP7162883B2 (ja) 広角レンズ系
JPH1152236A (ja) リヤーフォーカス式のズームレンズ
JP3792847B2 (ja) ズームレンズ
JP2004012504A (ja) ズームレンズ及びそれを有する光学機器
JP3524492B2 (ja) ズームレンズ及びそれを用いた投影装置
JP4266414B2 (ja) ズームレンズ
JP2001318316A (ja) ズームレンズ及びそれを用いた光学機器
JP4323595B2 (ja) 撮影光学系及びカメラ
JP3581541B2 (ja) ズームレンズ及びそれを有するカメラ
JP4401748B2 (ja) 投射用ズームレンズ及びそれを有する画像投射装置
JP2001305429A (ja) ズームレンズ及びそれを用いた光学機器
JP2002228930A (ja) ズームレンズ、および該ズームレンズによる投影装置
JP2000147380A (ja) ズームレンズ及びカメラ

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050523

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050523

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060620

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080415

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080605

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080701

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080901

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080924

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081021

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111031

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111031

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121031

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131031

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees