JP2564994B2 - 直流磁化特性と耐食性に優れた軟磁性鋼材およびその製造方法 - Google Patents

直流磁化特性と耐食性に優れた軟磁性鋼材およびその製造方法

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JP2564994B2 JP5507599A JP50759993A JP2564994B2 JP 2564994 B2 JP2564994 B2 JP 2564994B2 JP 5507599 A JP5507599 A JP 5507599A JP 50759993 A JP50759993 A JP 50759993A JP 2564994 B2 JP2564994 B2 JP 2564994B2
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俊道 大森
治雄 鈴木
哲也 三瓶
正義 中川
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日本鋼管株式会社
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    • C21D1/76Adjusting the composition of the atmosphere

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、直流磁化特性と耐食性に優れた軟磁性鋼材
およびその製造方法に関するもので、直流磁化特性に関
して特に保持力と磁束密度に優れ、しかも耐食性にも優
れた軟磁性鋼材およびその製造方法を提供しようとする
ものである。
背景技術 磁気回路を構成する軟磁性鋼材は、その動作磁界が直
流磁界の場合、或いは交流磁界であっても動作磁場の強
さの時間的変化が商用周波数より遅い場合には、いわゆ
る交流特性の評価項目の一つである鉄損特性は重要では
なく、むしろ磁気回路部品の残留磁気を小さくすること
や動作の線型性を確保する等のために、軟磁性鋼材の直
流磁化特性の評価項目の一つである保磁力が小さいこと
が望まれる。また、磁気回路部品として効率よく機能す
るためには、高い磁束密度値を有することが望まれる。
これらの課題を解決するための技術として、特開平3
−75314号、特開平3−20447号等が公知となっている。
これらの技術ではいずれも純鉄系軟磁性鋼材の直流磁化
特性向上が図られており、鉄が本来持っている高い飽和
磁化を反映して磁束密度値は良好であり、また、保磁力
の低いものもある。
しかし、これらの技術にはいずれも耐食性確保につい
ての方策は開示されていない。このため、耐食性を必要
とする用途へこれらの技術による磁気回路用部品を適用
する場合には、鍍金や塗装等の表面処理が不可欠である
と考えられる。一方、耐食性を確保するために、鋼中に
多量のCrを含有させることによりステンレス鋼と同程度
の耐食性を付与させた技術として、特開平3−150313
号、特開平2−259047号等が公知となっている。これら
の技術は耐食性を付与するため5〜8wt%以上の高価なC
rを添加しなければならないが、特開平3−150313号の
実施例では優れた保磁力が得られることが示されてい
る。しかし、磁束密度に関しては特開平2−259047号に
代表されるように、Cr添加によって磁束密度値が低下し
てしまうという問題があり、上記提案では磁束密度値の
下限値を11000Gとしている。
なお、鋼材表面に酸化皮膜を形成させる技術として特
開平1−283343号等が公知であるが、これらの技術の目
的は耐食性を向上させることではなく、交流特性である
鉄損特性を向上させたり、或いは焼鈍時に内部酸化層を
生成しないようにすることにある。
上述したように、従来技術のうち鉄系素材では、磁束
密度値は良好であるが保磁力の低減が十分でなく、しか
も素材そのものの耐食性確保のための技術が未着手であ
るため、耐食性を確保する場合には鍍金、塗装等の表面
処理を施さねばならず、磁気回路部品のコスト高を招く
という不利がある。また、上記従来技術のうち耐食性を
大幅に改善したステンレス系素材では、高価なCrを多量
に添加しなければならない不利があり、しかも磁束密度
値が低くならざるを得ないという問題がある。
発明の開示 本発明は上記のような従来技術の問題を解決するた
め、種々の検討を重ねた結果なされたもので、その骨子
は、不純物元素の含有量の上限が規定された鉄にAlを一
定量以上添加することにより、フェライト結晶粒の成長
を確保して優れた保磁力を得るとともに、表面に酸化ア
ルミニウム粒子の皮膜層を生成させて耐食性を得るもの
であり、また、他の合金元素についても、それらの上限
を規定することにより鉄本来の高磁束密度を損なわない
ようにしたものである。すなわち、本発明の構成は以下
の通りである。
(1)C:0.0005〜0.007wt%、T.N:0.0005〜0.010wt%、
Si:0.005〜0.5wt%、Mn:0.01〜0.25wt%、P:0.2wt%以
下、S:0.01wt%以下、Sol.Al:0.8〜3.5wt%、T.O:0.01w
t%以下、残部Feおよび不可避不純物からなる組成を有
し、厚さまたは径が0.2mm以上の鋼材であって、平均フ
ェライト結晶粒径d(mm)が鋼材の厚さまたは径t(m
m)との関係で下記を満足し、 tが0.2mm以上、0.5mm未満の鋼材: d≧0.2 tが0.5mm以上、1.3mm未満の鋼材: d≧t×0.4 tが1.3mm以上の鋼材: d≧0.5 且つ表面が粒径0.01〜5μmの酸化アルミニウム粒子で
緻密に覆われ、歪みのない状態での保磁力が0.4Oe以
下、超磁力25Oeにおける磁束密度が15000G以上を示すこ
とを特徴とする直流磁化特性と耐食性に優れた軟磁性鋼
材。
(2)C:0.0005〜0.007wt%、T.N:0.0005〜0.010wt%、
Si:0.005〜0.5wt%、Mn:0.01〜0.25wt%、P:0.2wt%以
下、S:0.01wt%以下、Sol.Al:0.8〜3.5wt%、T.O:0.01w
t%以下、残部Feおよび不可避不純物からなる組成を有
し、厚さまたは径が0.2mm以上の鋼材であって、平均フ
ェライト結晶粒径d(mm)が鋼材の厚さまたは径t(m
m)との関係で下記を満足し、 tが0.2mm以上、0.5mm未満の鋼材: d≧0.2 tが0.5mm以上、1.3mm未満の鋼材: d≧t×0.4 tが1.3mm以上の鋼材: d≧0.5 且つ、表面に粒径0.01〜5μmの酸化アルミニウム粒子
が1×1012〜1×1016ケ/m2の密度で形成され、歪みの
ない状態での保磁力が0.4Oe以下、起磁力25Oeにおける
磁束密度が15000G以上を示すことを特徴とする直流磁化
特性と耐食性に優れた軟磁性鋼材。
(3)C:0.0005〜0.007wt%、T.N:0.0005〜0.010wt%、
Si:0.005〜0.5wt%、Mn:0.01〜0.25wt%、P:0.2wt%以
下、S:0.01wt%以下、Sol.Al:1.0〜2.5wt%、T.O:0.01w
t%以下、残部Feおよび不可避不純物からなる組成を有
し、厚さまたは径が0.2mm以上の鋼材であって、平均フ
ェライト結晶粒径d(mm)が鋼材の厚さまたは径t(m
m)との関係で下記を満足し、 tが0.2mm以上、0.5mm未満の鋼材: d≧0.2 tが0.5mm以上、1.3mm未満の鋼材: d≧t×0.4 tが1.3mm以上の鋼材: d≧0.5 且つ、表面に粒径0.01〜5μmの酸化アルミニウム粒子
が1×1013〜1×1016ケ/m2の密度で形成され、歪みの
ない状態での保磁力が0.4Oe以下、起磁力25Oeにおける
磁束密度が15000G以上を示すことを特徴とする直流磁化
特性と耐食性に優れた軟磁性鋼材。
(4)C:0.0005〜0.007wt%、T.N:0.0005〜0.010wt%、
Si:0.005〜0.5wt%、Mn:0.01〜0.25wt%、P:0.2wt%以
下、S:0.01wt%以下、Sol.Al:0.8〜3.5wt%、T.O:0.01w
t%以下、残部Feおよび不可避不純物からなる組成を有
し、厚さまたは径が0.2mm以上の鋼材を、最終的に、酸
素分圧が10-6〜10-2気圧の雰囲気中で850〜1300℃の温
度で熱処理することにより、平均フェライト結晶粒径d
(mm)が鋼材の厚さまたは径t(mm)との関係で下記を
満足し、 tが0.2mm以上、0.5mm未満の鋼材: d≧0.2 tが0.5mm以上、1.3mm未満の鋼材: d≧t×0.4 tが1.3mm以上の鋼材: d≧0.5 且つ、表面が粒径0.01〜5μmの酸化アルミニウム粒子
で緻密に覆われ、歪のない状態での保磁力が0.4Oe以
下、起磁力25Oeにおける磁束密度が15000G以上の軟磁性
鋼材を得ることを特徴とする直流磁化特性と耐食性に優
れた軟磁性鋼材の製造方法。
(5)C:0.0005〜0.007wt%、T.N:0.0005〜0.010wt%、
Si:0.005〜0.5wt%、Mn:0.01〜0.25wt%、P:0.2wt%以
下、S:0.01wt%以下、Sol.Al:0.8〜3.5wt%、T.O:0.01w
t%以下を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる
組成を有し、厚さまたは径が0.2mm以上の鋼材を、最終
的に、酸素分圧が10-6〜10-3気圧の雰囲気中で850〜130
0℃の温度で熱処理することにより、平均フェライト結
晶粒径d(mm)が鋼材の厚さまたは径t(mm)との関係
で下記を満足し、 tが0.2mm以上、0.5mm未満の鋼材: d≧0.2 tが0.5mm以上、1.3mm未満の鋼材: d≧t×0.4 tが1.3mm以上の鋼材: d≧0.5 且つ、表面に粒径0.01〜5μmの酸化アルミニウム粒子
が1×1012〜1×1016ケ/m2の密度で形成され、歪みの
ない状態での保磁力が0.4Oe以下、起磁力25Oeにおける
磁束密度が15000G以上を示す軟磁性鋼材を得ることを特
徴とする直流磁化特性と耐食性に優れた軟磁性鋼材の製
造方法。
(6)C:0.0005〜0.007wt%、T.N:0.0005〜0.010wt%、
Si:0.005〜0.5wt%、Mn:0.01〜0.25wt%、P:0.2wt%以
下、S:0.01wt%以下、Sol.Al:1.0〜2.5wt%、T.O:0.01w
t%以下、残部Feおよび不可避不純物からなる組成を有
し、厚さまたは径が0.2mm以上の鋼材を、最終的に、酸
素分圧が10-5〜10-3気圧の雰囲気中で850〜1300℃の温
度で熱処理することにより、平均フェライト結晶粒径d
(mm)が鋼材の厚さまたは径t(mm)との関係で下記を
満足し、 tが0.2mm以上、0.5mm未満の鋼材: d≧0.2 tが0.5mm以上、1.3mm未満の鋼材: d≧t×0.4 tが1.3mm以上の鋼材: d≧0.5 且つ、表面に粒径0.01〜5μmの酸化アルミニウム粒子
が1×1013〜1×1016ケ/m2の密度で形成され、歪みの
ない状態での保磁力が0.4Oe以下、起磁力25Oeにおける
磁束密度が15000G以上を示す軟磁性鋼材を得ることを特
徴とする直流磁化特性と耐食性に優れた軟磁性鋼材の製
造方法。
図面の簡単な説明 図1は鋼材のSol.Al含有量と保磁力および磁束密度
(B25)との関係を示すグラフである。
図2は鋼材のC含有量と保磁力との関係を示すグラフ
である。
図3は鋼材のN含有量と保磁力との関係を示すグラフ
である。
発明の詳細な説明 以下、本発明の詳細をその限定理由とともに説明す
る。
まず、本発明の成分組成の限定理由は以下の通りであ
る。
Al:Alは本発明の枢要な添加元素である。Alは固溶Nの
固定効果、AlN粒子の凝集化効果を有する。また、Alは
変態温度を上昇させることによりフェライト域を拡大さ
せる。不純物元素の含有量により若干の変動はあるが、
特に1wt%以上のSol.Al量とすることにより本発明鋼は
フェライト単相となる。この結果、フェライト結晶粒の
粗大化による保磁力の低減を達成させる。さらに、Al
は、鋼板を酸素分圧が規定された雰囲気中で焼鈍した際
に、鋼板表面にFeの酸化物よりも優先して酸化アルミニ
ウム粒子の皮膜層を生成させるために必要である。以上
の理由から、Alを所定量添加することが必要である。So
l.Al量の下限値は、図1に示すように保磁力0.4Oeを安
定して得るためには0.5wt%で十分であるが、耐食性を
得るために十分な量の酸化アルミニウム粒子の皮膜層を
生成させるためには、その下限値は0.8wt%、好ましく
は1.0wt%とする必要がある。さらに、フェライト単相
化により安定して良好な保磁力を得るための好ましい下
限値も1.0wt%である。このためSol.Al量の下限値は0.8
wt%、好ましくは1.0wt%とする。
一方、Sol.Al量は酸化アルミニウム粒子の皮膜層を十
分に生成させるという観点からは多いほど望ましいが、
過度の添加は製造性の悪化(鋼の溶製、圧延工程での弊
害)等に伴うコスト高を招くとともに、図1に示すよう
に磁束密度値の低下を招く。このためSol.Al量の上限値
は3.5wt%、好ましくは2.5wt%とする。
C、N:CおよびNは本発明においては不純物元素であ
り、特にこれらの元素は他の不純物元素と比較して鋼材
の特性に与える影響が著しく、そのメカニズムも本発明
の幹根に関わるので、これら元素の含有量は厳密に規定
する必要がある。すなわち、優れた直流磁化特性を確保
するために、コスト高を招かない範囲でCとT.N(トー
タルN)は可能な限り低減する必要がある。製鋼技術と
の関係で、極端なコスト高を招かないこれら元素の含有
量の下限値は、それぞれ0.0005wt%である。一方、C含
有量が0.007wt%を超えると、Al添加によるフェライト
域拡大効果が極端に低下し、保磁力が劣化する。また、
N含有量が0.010wt%を超えるとAlN粒子が多くなり、Al
N粒子がフェライト結晶の成長を妨げるため保磁力の向
上が期待できない。以上の理由から、C量は0.0005〜0.
007wt%、T.N量は0.0005〜0.010wt%とする。これらの
C量、T.N量の保磁力に及ぼす影響を、図2、図3にそ
れぞれ示す。
Si:SiはAlと同様にフェライト域を拡大する作用を有す
る。しかし、本発明ではフェライト域の拡大はAl添加に
より行うため、Siを敢えて添加する必要はない。また、
0.5wt%を超えるSiの添加は、コスト高を招くばかりで
なく、磁束密度値の低下を招く。一方、Siの含有量を過
度に低下させることもまたコスト高を招く。このため本
発明では、Siを0.005〜0.5wt%の範囲で含有させ、良好
な磁束密度の確保と低コスト性の確保とを図る。
Mn:Mnは、直流磁化特性を劣化させる元素であるため、
低減することが望ましい。また、MnSが生成すると鋼板
の耐食性を劣化させる恐れがある。このため、MnはSと
ともに低減することが望ましいが、熱間脆性を防止する
ためにS含有量の10倍を下回らない範囲で0.25wt%を上
限として添加する。なお、S含有量が0.001wt%未満の
場合は、Mn低減のためのコスト高を避けるためにMn量の
下限値を0.01wt%とする。
P、S、O:P、S、Oは本発明においては不純物元素で
あり、優れた直流磁化特性を確保するために、また、健
全性、信頼性、加工性を含めた鋼材としての基本的性質
を損なわないために、コスト高を招かない程度に低減す
る必要がある。なお、Pについては鋼板の打抜き性を向
上させる必要がある場合は、0.2wt%を上限として積極
的に含有させてもよい。したがって、P:0.2wt%以下、
S:0.01wt%以下、T.O(トータルO):0.01wt%以下と規
定する。
なお、本発明では、Ti、B等の窒化物生成元素を0.00
1〜0.02wt%程度含有させることにより、Nの上限値を
上述した値よりも高い値とすることができる。また、本
発明鋼板を製造する際の熱処理雰囲気を、水素を含有さ
せること等によって脱炭性雰囲気とすることにより、溶
製段階でのC含有量の上限を上述した0.007wt%よりも
高い値とすることも可能である。
次に、成分以外の本発明鋼材の構成について、それら
の限定理由を説明する。
本発明の鋼材は、厚さまたは径が0.2mm以上であるこ
とを要件とする。下記するように、本発明では平均フェ
ライト粒径が0.2mm以上であることを要件としており、
板厚が0.2mm未満では平均フェライト粒径を0.2mm以上と
することが困難となる。
鋼の組織構造に関しては、本発明鋼はフェライト単相
組織である。そして、このフェライト単層組織におい
て、平均フェライト結晶粒径d(mm)が鋼材の厚さまた
は径t(mm)との関係で下記を満足することが必要であ
る。
tが0.2mm以上、0.5mm未満の鋼材: d≧0.2 tが0.5mm以上、1.3mm未満の鋼材: d≧t×0.4 tが1.3mm以上の鋼材: d≧0.5 良好な保磁力を得るためには、平均フェライト結晶粒
径dが鋼材の厚さまたは径に応じて十分な大きさ有する
必要があり、厚さまたは径に応じて上記の下限値を満足
することにより良好な保磁力が得られる。平均フェライ
ト結晶粒径が上記の条件を満足しない場合には、保磁力
が0.4Oeを超えてしまう。このように鋼材の厚さまたは
径によって、平均フェライト結晶粒径dの下限値が異な
るのは、良好な保磁力を得る上で障害となる粒界の影響
を規制するためである。すなわち、結晶粒径が同じであ
れば鋼材の厚さ或いは径が大きいほど粒界の影響を受け
易く、したがって、鋼材の厚さ或いは径が小さい場合に
は平均フェライト粒径は比較的小さくても良いが、鋼材
の厚さ或いは径が大きくなるほど粒界の影響を減ずるた
めに平均フェライト結晶粒径を大きくする必要がある。
鋼材の厚さまたは径が0.5mm未満(但し、0.2mm以上)の
鋼材では、平均フェライト結晶粒径が0.2mm以上であれ
ば良好な保磁力が得られる。これに対し、粒界の影響が
大きい1.3mm以上の厚さまたは径の鋼材では、平均フェ
ライト結晶粒径は0.5mm以上とし、粒界の影響を減ずる
必要がある。また、これよりも厚さまたは径が小さい0.
5mm以上、1.3mm未満の鋼材では、その厚さまたは径の0.
4倍以上の平均フェライト粒径であれば良好な保磁力が
得られる。
なお、平均フェライト結晶粒径を0.2mm以上とするに
は、粒径0.3mm以上のフェライト結晶粒が10%以上含ま
れることが必要である。
さらに、本発明では鋼材表面が粒径0.01〜5μmの酸
化アルミニウム粒子で緻密に覆われていること、好まし
くは、鋼材表面に前記酸化アルミニウム粒子が1×1012
〜1×1016ケ/m2の密度で形成されていることが必要で
ある。
本発明の鋼材は、その表面が粒径0.01〜5μmの酸化
アルミニウム粒子で緻密に覆われることにより優れた耐
食性が得られ、特に、酸化アルミニウム粒子の形成密度
が1×1012〜1×1016ケ/m2の場合に良好な耐食性が得
られる。また、特に優れた耐食性を得るためには、酸化
アルミニウム粒子の形成密度が1×1013〜1×1016ケ/m
2であることが必要である。
なお、前記酸化アルミニウム粒子はFeを含有する場合
があり、本発明が規定する酸化アルミニウム粒子には、
このようなFeを含有する酸化アルミニウム粒子も含む。
また、本発明が対象となる鋼材とは、鋼板(厚板、薄
板)、棒鋼、形鋼、線材等のあらゆる鋼材およびそれら
の加工物を含む。
次に、本発明鋼材の製造方法の限定理由について説明
する。
本発明の鋼材は、上述した成分組成の鋼材(鋼材の加
工物を含む)を、最終的に、酸素分圧が10-6〜10-2
圧、好ましくは10-6〜10-3気圧の雰囲気中で850〜1300
℃の温度で熱処理することにより製造される。すなわ
ち、このような酸素分圧が規制された雰囲気中で最終的
な焼鈍を行うことにより、平均フェライト結晶粒径が上
述した条件を満足して優れた直流磁化特性が付与され、
しかも鋼材表面に上述したような耐食性に有効な酸化ア
ルミニウム粒子の皮膜層が緻密に生成する。
なお、粒径が調整された酸化アルミニウム粒子を鋼材
表面に単に塗布することで、鋼材面に酸化アルミニウム
粒子の皮膜層を形成させる方法では、その皮膜層は脱離
し易く、また、耐食性も十分なものではない。また、こ
の方法では塗布作業に伴うコスト高も無視できない。こ
れに対して本発明では、軟磁性確保のために行う焼鈍に
おいて上述した酸化アルミニウム粒子の皮膜層を生成さ
せることができ、コスト高の問題を生じない。また、本
発明において生成した酸化アルミニウム粒子は、鋼材に
固溶しているAlが熱処理中に鋼材内で拡散し、その一部
が鋼材表面で酸化反応することにより生成したものであ
るため、鋼材との密着性が極めて高い。さらに、酸化ア
ルミニウム粒子が緻密に分布しているため、良好な耐食
性を発揮する。
ここで、上記熱処理時の雰囲気の酸素分圧が10-6気圧
未満では、Alが酸化するための酸素量が十分でないた
め、酸化アルミニウム粒子を十分緻密に生成させること
ができず、耐食性が十分ではない。一方、酸素分圧が10
-3気圧を超え、特に10-2気圧を超えると酸化アルミニウ
ム粒子の生成に先立って鉄酸化物粒子が多く単独生成す
るため、酸化皮膜が剥離し易くなり、耐食性確保に支障
をきたす。
また、特に、1×1013〜1×1016ケ/m2の密度の酸化
アルミニウム粒子で覆われた鋼材を得るためには、酸素
分圧を10-5〜10-3気圧とすることが好ましい。
酸素分圧の制御は、具体的には純Ar等の不活性ガスに
酸素を混入させること、特に簡便な方法として、露点が
−50℃程度以上に調整された湿潤水素ガスを用いるこ
と、または真空雰囲気で圧力を10-3torr〜1torrにする
こと、等により容易に実施可能である。
上記熱処理温度は直流磁化特性の確保と酸化アルミニ
ウム粒子皮膜層の生成という両観点から、850℃以上と
する必要がある。特に、良好な耐食性と保磁力を安定的
に確保するためには、900℃以上の熱処理温度が好まし
い。均熱保持時間については、熱処理温度が900℃以上
であれば、その温度に少なくとも10分間保持することで
本発明の意図する効果が得られる。また、熱処理温度が
850℃以上、900℃未満の場合には、その温度に30分程度
以上保持することが望ましい。なお、1300℃以上での熱
処理は、材料(鋼材またはこの鋼材の加工物)の変形や
高温熱処理に伴うコスト高を招くため好ましくない。
なお、本発明において、上述した最終的な熱処理に供
される鋼材は、熱間圧延材、冷間圧延材(または、これ
らの加工物)のいずれでもよい。
この発明によれば、優れた直流磁化特性と耐食性とを
有する軟磁性鋼材を安価に提供することができる。
実施例 表1〜表3に本発明例および比較例に用いた鋼板の化
学成分を示す。
表1〜表3に示した成分組成の鋼を溶製し、これらを
鋳造して鋼塊とした後、熱間圧延により板厚5mmまたは2
mmの鋼板を製造した。また、板厚2mm未満の鋼板は、板
厚2mm以上の上記熱間圧延鋼板を冷間圧延することによ
り製造した。これらの鋼板から機械加工または打抜き加
工により外径45mm、内径33mmのリング形状の試験片を採
取し、これら試験片を表4〜表8に記載した条件で熱処
理(焼鈍)した後、各試験片の平均フェライト結晶粒
径、酸化アルミニウム粒子の皮膜形態、直流磁化特性を
測定した。
また、各鋼板の耐食性を調べるため、熱間圧延鋼板の
場合は機械加工により表面を研削した後、また冷間圧延
鋼板の場合はそのまま、いずれも70mm×150mmに切断
し、これらの試験片を上記と同様の条件で焼鈍した後、
下記の3種類の耐食性試験を実施した。
2時間の塩水噴霧試験を実施し、表面に発生した錆
の面積率が10%未満か否かにより耐食性を評価した。
32時間の塩水噴霧試験を実施し、表面に発生した錆
の面積率を調べた。
60℃×90%,500時間の湿潤試験を実施し、表面に発生
した錆の面積率を調べた。
測定された平均フェライト結晶粒径と酸化アルミニウ
ム粒子の形成密度および表面被覆率を表4〜表8に、ま
た、直流磁化特性と耐食性試験結果を表9〜表13にそれ
ぞれ示す。
No.1〜No.9、No.66、No.67は焼鈍条件を本発明で規定
する範囲内とし、主にSol.Al含有量を変化させて直流磁
化特性と耐食性の変化を検討した本発明例と比較例であ
る。図1は、No.1〜No.9とNo.22(比較例)の結果か
ら、Sol.Al含有量と直流磁化特性との関係をまとめたも
のである。これによれば、Sol.Al含有量が略0.5wt%以
上で保磁力:0.4Oe以下が得られるが、Sol.Al含有量が3.
5wt%より多くなるとB25値が15000G未満となる。一方、
耐食性の観点からは、No.2に示すように0.73wt%のAl添
加では耐食性は不十分であり、No.66に示すように0.8wt
%以上の添加により良好な耐食性が得られ、特に、No.3
に示すように0.99wt%(1.0wt%)含有することで十分
な耐食性が得られている。
なお、No.2、No.67は平均フェライト結晶粒径が3mmと
十分に大きいが、Sol.Al含有量が1.0wt%未満であるこ
れらの鋼では、フェライト相が完全には安定化しておら
ず、変態温度を超える1100℃での焼鈍により0.3mm程度
の粒径を有するサブグレインが多く生成しており、この
ためNo.3等の他の本発明例と較べて保磁力がやや劣って
いる。
一方、No.66はNo.67と同一鋼を変態温度を超えない10
00℃で焼鈍したものであり、良好な保磁力が得られてい
る。
No.10、No.18、No.19はSol.Al含有量は約1wt%とし、
Si含有量を変化させた本発明例である。これらの本発明
例では、Si含有量の増加にともないB25値の低下傾向が
認められるものの、いずれも良好な直流磁化特性と耐食
性が得られることが判る。
No.11〜No.13は、No.4を基準にC含有量を変化させた
本発明例および比較例である。また、No.14〜No.17はN
o.4を基準にN含有量を変化させた本発明例および比較
例である。C含有量、N含有量が本発明範囲外であるN
o.13、No.17では、耐食性は良好であるが、保磁力の劣
化が認められる。
No.20はMn含有量を0.16wt%とした本発明例である。
No.35〜No.37はP含有量を0.2wt%まで増加させても
耐食性、直流磁化特性ともに劣化のないことを確認した
本発明例である。
No.21、No.22はAl、Siの複合添加を検討した実施例で
ある。No.21は本発明範囲にあり、B25値:15000G以上が
確保されている。これに対して、本発明範囲外であるN
o.22ではB25値が15000G未満である。しかし、両者とも
十分な量のAlが添加され、且つ適正な条件で焼鈍されて
いるため、耐食性は良好である。
No.23は従来から直流磁界用軟磁性材料として多用さ
れている工業純鉄について検討した結果である。この比
較例は、B25値は本発明と同等若しくはそれ以上である
が、保磁力、耐食性が本発明例に較べて劣っている。
No.24〜No.28は鋼番D、板厚2mmの鋼板を用いて焼鈍
温度の検討を行った実施例である。No.24は焼鈍温度が8
00℃であるため保磁力が不十分であり、また、焼鈍雰囲
気の酸素分圧が、本発明の規定範囲中の低めの値(1〜
3×10-6気圧)であるため、十分な酸化アルミニウム粒
子皮膜を生成できず、そのため耐食性も不十分である。
これに対し、No.25〜No.28の本発明例では、No.24と同
一鋼板、同一焼鈍雰囲気であるにもかかわらず、焼鈍温
度が850℃以上であるため保磁力、耐食性ともに良好で
ある。
No.38〜No.47は焼鈍雰囲気の酸素分圧を変化させて耐
食性を評価した実施例である。これらによれば、酸素分
圧が8×10-7気圧の焼鈍雰囲気では、十分な耐食性を得
るのに必要な酸化アルミニウム粒子皮膜が生成し難いの
に対し、酸素分圧が5×10-6気圧よりも高い雰囲気で
は、良好な耐食性を得るのに必要な酸化アルミニウム粒
子皮膜が生成されている。
No.29〜No.34、No.52〜No.54、No.64、No.65は、鋼番
Dについて冷間圧延により板厚が1mm、0.5mm、0.35mm、
0.2mmの鋼板を作成し、これら鋼板を種々の焼鈍雰囲気
において本発明が規定する温度範囲で焼鈍した本発明例
および比較例である。これらのうち、No.54だけが焼鈍
雰囲気の酸素分圧が本発明の規定範囲を外れているた
め、酸化アルミニウム粒子皮膜の分布密度が低く、この
ため耐食性が劣っている。
No.55〜No.57は鋼Hについて、No.58、No.59は鋼Cに
ついて、No.60、No.61は鋼Aについて、No.62、No.63は
鋼Zについて、それぞれ板厚0.5mmまたは0.7mmの鋼板を
作成し、これら鋼板を種々の酸素分圧の焼鈍雰囲気中に
おいて本発明の規定する温度範囲で焼鈍した実施例であ
る。No.56では、No.54と同様の理由で十分な耐食性が得
られていない。No.60〜No.63は、焼鈍雰囲気の酸素分圧
は本発明の規定範囲にあるものの、鋼材のSol.Al含有量
が本発明の下限値よりも少ないため、十分な酸化アルミ
ニウム粒子皮膜が生成されず、耐食性は本発明例に較べ
て劣っている。
No.48〜No.51は従来技術の一つである高Crステンレス
系軟磁性鋼板(比較例)である。これらの比較例では、
9wt%以上、好ましくは12wt%以上のCr添加により耐食
性の向上が認められるが、No.49〜No.51に保磁力かB25
値の少なくとも一方が不十分である。また、これらの比
較例は高価なCrを多量に添加しているため、本発明例と
比べて製造コストが高い。
No.1〜No.28、No.35〜No.37、No.66の熱間圧延鋼材に
関する実施例のうち、No.1、No.13、No.17およびNo.23
は本発明の規定する化学成分の範囲から外れているた
め、適正な条件で焼鈍が施されているにも拘らず、平均
フェライト結晶粒径が本発明が規定する0.5mm以上にな
らず、このため本発明が目的とする保持力0.4Oe以下が
得られていない。No.24は焼鈍温度が800℃であり、本発
明が規定する温度下限値よりも低いため、平均フェライ
ト結晶粒径が0.5mm以上にならず、このため保持力0.4Oe
以下が得られていない。これらを除く総ての実施例は、
平均フェライト結晶粒径に関しては、本発明の規定する
0.5mm以上となった。
No.29〜No.34、No.38〜No.47、No.52〜No.65に示され
ている冷間圧延鋼材に関する実施例のうち、No.60〜No.
63の比較例は、本発明の規定する化学成分の範囲から外
れているため、適正な条件で焼鈍が施されているにも拘
らず、平均フェライト結晶粒径が本発明の規定する大き
さ(すなわち、板厚が0.2mm以上、0.5mm未満の鋼材:0.2
mm以上、板厚が0.5mm以上、1.3mm未満の鋼材:板厚(m
m)×0.4以上)に達しないため、本発明が目的とする保
持力0.4Oe以下が得られていない。
本発明が規定する化学成分、焼鈍温度を満足する実施
例のうち、No.38、No.39、No.54、No.56は焼鈍雰囲気の
酸素分圧が10-6気圧未満であるため十分な酸化アルミニ
ウム粒子皮膜が生成されず(酸化アルミニウム粒子の分
布密度:1012ケ/m2未満)、このため良好な耐食性が得ら
れていない。一方、焼鈍雰囲気の酸素分圧が10-6気圧以
上であるNo.4、No.8、No.10〜No.12、No.20、No.21、N
o.25〜No.32、No.34〜No.36、No.No.40、No.41等では、
酸化アルミニウム粒子の分布密度が1012ケ/m2以上であ
るため、良好な耐食性を示している。また、焼鈍雰囲気
の酸素分圧が10-5気圧以上であるNo.3、No.5〜No.7、N
o.14〜No.16、No.18、No.19、No.33、No.37、No.42〜N
o.47等では、1013ケ/m2以上の酸化アルミニウム粒子の
分布密度が得られており、このため32時間の塩水噴霧試
験と500時間の湿潤試験においても耐食性は良好であ
り、特に優れた耐食性が得られることが判る。
産業上の利用可能性 本発明の軟磁性鋼材は、磁気回路を構成する部品等に
適用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 正義 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 加根魯 和宏 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 栗原 正好 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.0005〜0.007wt%、T.N:0.0005〜0.010
    wt%、Si:0.005〜0.5wt%、Mn:0.01〜0.25wt%、P:0.2w
    t%以下、S:0.01wt%以下、Sol.Al:0.8〜3.5wt%、T.O:
    0.01wt%以下、残部Feおよび不可避不純物からなる組成
    を有し、厚さまたは径が0.2mm以上の鋼材であって、平
    均フェライト結晶粒径d(mm)が鋼材の厚さまたは径t
    (mm)との関係で下記を満足し、 tが0.2mm以上、0.5mm未満の鋼材: d≧0.2 tが0.5mm以上、1.3mm未満の鋼材: d≧t×0.4 tが1.3mm以上の鋼材: d≧0.5 且つ表面が粒径0.01〜5μmの酸化アルミニウム粒子で
    緻密に覆われ、歪みのない状態での保磁力が0.4Oe以
    下、超磁力25Oeにおける磁束密度が15000G以上を示すこ
    とを特徴とする直流磁化特性と耐食性に優れた軟磁性鋼
    材。
  2. 【請求項2】C:0.0005〜0.007wt%、T.N:0.0005〜0.010
    wt%、Si:0.005〜0.5wt%、Mn:0.01〜0.25wt%、P:0.2w
    t%以下、S:0.01wt%以下、Sol.Al:0.8〜3.5wt%、T.O:
    0.01wt%以下、残部Feおよび不可避不純物からなる組成
    を有し、厚さまたは径が0.2mm以上の鋼材であって、平
    均フェライト結晶粒径d(mm)が鋼材の厚さまたは径t
    (mm)との関係で下記を満足し、 tが0.2mm以上、0.5mm未満の鋼材: d≧0.2 tが0.5mm以上、1.3mm未満の鋼材: d≧t×0.4 tが1.3mm以上の鋼材: d≧0.5 且つ、表面が粒径0.01〜5μmの酸化アルミニウム粒子
    が1×1012〜1×1016ケ/m2の密度で形成され、歪みの
    ない状態での保磁力が0.4Oe以下、起磁力25Oeにおける
    磁束密度が15000G以上を示すことを特徴とする直流磁化
    特性と耐食性に優れた軟磁性鋼材。
  3. 【請求項3】C:0.0005〜0.007wt%、T.N:0.0005〜0.010
    wt%、Si:0.005〜0.5wt%、Mn:0.01〜0.25wt%、P:0.2w
    t%以下、S:0.01wt%以下、Sol.Al:1.0〜2.5wt%、T.O:
    0.01wt%以下、残部Feおよび不可避不純物からなる組成
    を有し、厚さまたは径が0.2mm以上の鋼材であって、平
    均フェライト結晶粒径d(mm)が鋼材の厚さまたは径t
    (mm)との関係で下記を満足し、 tが0.2mm以上、0.5mm未満の鋼材: d≧0.2 tが0.5mm以上、1.3mm未満の鋼材: d≧t×0.4 tが1.3mm以上の鋼材: d≧0.5 且つ、表面が粒径0.01〜5μmの酸化アルミニウム粒子
    が1×1013〜1×1016ケ/m2の密度で形成され、歪みの
    ない状態での保磁力が0.4Oe以下、起磁力25Oeにおける
    磁束密度が15000G以上を示すことを特徴とする直流磁化
    特性と耐食性に優れた軟磁性鋼材。
  4. 【請求項4】C:0.0005〜0.007wt%、T.N:0.0005〜0.010
    wt%、Si:0.005〜0.5wt%、Mn:0.01〜0.25wt%、P:0.2w
    t%以下、S:0.01wt%以下、Sol.Al:0.8〜3.5wt%、T.O:
    0.01wt%以下、残部Feおよび不可避不純物からなる組成
    を有し、厚さまたは径が0.2mm以上の鋼材を、最終的
    に、酸素分圧が10-6〜10-2気圧の雰囲気中で850〜1300
    ℃の温度で熱処理することにより、平均フェライト結晶
    粒径d(mm)が鋼材の厚さまたは径t(mm)との関係で
    下記を満足し、 tが0.2mm以上、0.5mm未満の鋼材: d≧0.2 tが0.5mm以上、1.3mm未満の鋼材: d≧t×0.4 tが1.3mm以上の鋼材: d≧0.5 且つ、表面が粒径0.01〜5μmの酸化アルミニウム粒子
    で緻密に覆われ、歪のない状態での保磁力が0.4Oe以
    下、起磁力25Oeにおける磁束密度が15000G以上の軟磁性
    鋼材を得ることを特徴とする直流磁化特性と耐食性に優
    れた軟磁性鋼材の製造方法。
  5. 【請求項5】C:0.0005〜0.007wt%、T.N:0.0005〜0.010
    wt%、Si:0.005〜0.5wt%、Mn:0.01〜0.25wt%、P:0.2w
    t%以下、S:0.01wt%以下、Sol.Al:0.8〜3.5wt%、T.O:
    0.01wt%以下を含有し、残部Feおよび不可避不純物から
    なる組成を有し、厚さまたは径が0.2mm以上の鋼材を、
    最終的に、酸素分圧が10-6〜10-3気圧の雰囲気中で850
    〜1300℃の温度で熱処理することにより、平均フェライ
    ト結晶粒径d(mm)が鋼材の厚さまたは径t(mm)との
    関係で下記を満足し、 tが0.2mm以上、0.5mm未満の鋼材: d≧0.2 tが0.5mm以上、1.3mm未満の鋼材: d≧t×0.4 tが1.3mm以上の鋼材: d≧0.5 且つ、表面に粒径0.01〜5μmの酸化アルミニウム粒子
    が1×1012〜1×1016ケ/m2の密度で形成され、歪みの
    ない状態での保磁力が0.4Oe以下、起磁力25Oeにおける
    磁束密度が15000G以上を示す軟磁性鋼材を得ることを特
    徴とする直流磁化特性と耐食性に優れた軟磁性鋼材の製
    造方法。
  6. 【請求項6】C:0.0005〜0.007wt%、T.N:0.0005〜0.010
    wt%、Si:0.005〜0.5wt%、Mn:0.01〜0.25wt%、P:0.2w
    t%以下、S:0.01wt%以下、Sol.Al:1.0〜2.5wt%、T.O:
    0.01wt%以下、残部Feおよび不可避不純物からなる組成
    を有し、厚さまたは径が0.2mm以上の鋼材を、最終的
    に、酸素分圧が10-5〜10-3気圧の雰囲気中で850〜1300
    ℃の温度で熱処理することにより、平均フェライト結晶
    粒径d(mm)が鋼材の厚さまたは径t(mm)との関係で
    下記を満足し、 tが0.2mm以上、0.5mm未満の鋼材: d≧0.2 tが0.5mm以上、1.3mm未満の鋼材: d≧t×0.4 tが1.3mm以上の鋼材: d≧0.5 且つ、表面に粒径0.01〜5μmの酸化アルミニウム粒子
    が1×1013〜1×1016ケ/m2の密度で形成され、歪みの
    ない状態での保磁力が0.4Oe以下、起磁力25Oeにおける
    磁束密度が15000G以上を示す軟磁性鋼材を得ることを特
    徴とする直流磁化特性と耐食性に優れた軟磁性鋼材の製
    造方法。
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