JPH0617548B2 - 耐発錆性に優れた無方向性電磁鋼板 - Google Patents
耐発錆性に優れた無方向性電磁鋼板Info
- Publication number
- JPH0617548B2 JPH0617548B2 JP62159226A JP15922687A JPH0617548B2 JP H0617548 B2 JPH0617548 B2 JP H0617548B2 JP 62159226 A JP62159226 A JP 62159226A JP 15922687 A JP15922687 A JP 15922687A JP H0617548 B2 JPH0617548 B2 JP H0617548B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 電磁鋼板は、一般に一方向性と無方向性の2種に分類さ
れる。一方向性電磁鋼板は特定の一方向(圧延方向)に
とくにすぐれた磁気特性を示すもの、無方向性電磁鋼板
とは磁気特性が方向に拘りなく一定のものを言う。
れる。一方向性電磁鋼板は特定の一方向(圧延方向)に
とくにすぐれた磁気特性を示すもの、無方向性電磁鋼板
とは磁気特性が方向に拘りなく一定のものを言う。
本発明はこのうち無方向性電磁鋼板を扱うもので、優れ
た耐発錆性を備え、かつ磁気特性の良好な無方向性電磁
鋼板に関する。
た耐発錆性を備え、かつ磁気特性の良好な無方向性電磁
鋼板に関する。
無方向性電磁鋼板は、主に小型モータや小型変圧器の鉄
心材料として使用される。そして磁気特性としては、低
鉄損であるとともに磁束密度の高いことが必要とされ
る。
心材料として使用される。そして磁気特性としては、低
鉄損であるとともに磁束密度の高いことが必要とされ
る。
ところで無方向性に限らず電磁鋼板は一般に、錆を生じ
易い。このため輸送・保管・使用に際しては発錆に対す
る十分な配慮が求められる。現在、発錆防止のため、例
えば輸送・保管に当たっては防錆紙で厳重に梱包しかつ
なるべく乾燥した場所に置く、また使用に当たっては塗
料や紡錆油を鋼板表面に塗布する等の措置がとられてい
る。
易い。このため輸送・保管・使用に際しては発錆に対す
る十分な配慮が求められる。現在、発錆防止のため、例
えば輸送・保管に当たっては防錆紙で厳重に梱包しかつ
なるべく乾燥した場所に置く、また使用に当たっては塗
料や紡錆油を鋼板表面に塗布する等の措置がとられてい
る。
しかしながらかかる発錆対策は、実施が面倒でコストも
かかるのみならず、効果が必ずしも十分でない。
かかるのみならず、効果が必ずしも十分でない。
このようなことから、発錆対策を必要としない、すなわ
ち耐発錆性のすぐれた電磁鋼板が求められてくる。
ち耐発錆性のすぐれた電磁鋼板が求められてくる。
電磁鋼板に耐発錆性(耐候性)を付与する方法について
は、特公昭56−15705号の提案がある。これは、
無方向性電磁鋼板に関しCrを1〜5.5%添加するこ
とにより耐発錆性を付与するというものである。
は、特公昭56−15705号の提案がある。これは、
無方向性電磁鋼板に関しCrを1〜5.5%添加するこ
とにより耐発錆性を付与するというものである。
しかしながらこれでは、Crの添加による磁気特性の劣
化を補償するために複雑な2回冷延が必須となり、コス
トアップが免れない。電磁鋼板は通常、比較的高圧下率
の一回の冷間圧延で製品厚とするが、冷延を2回にする
と磁気特性が改善されることが知られている。しかしな
がらこの2回冷延法では、2回の冷延工程の間に材料軟
化のための中間焼鈍を挟むことが必要で、工程が非常に
繋雑化し、コストが著しく嵩むことになるのである。
化を補償するために複雑な2回冷延が必須となり、コス
トアップが免れない。電磁鋼板は通常、比較的高圧下率
の一回の冷間圧延で製品厚とするが、冷延を2回にする
と磁気特性が改善されることが知られている。しかしな
がらこの2回冷延法では、2回の冷延工程の間に材料軟
化のための中間焼鈍を挟むことが必要で、工程が非常に
繋雑化し、コストが著しく嵩むことになるのである。
本発明は、特に無方向性電磁鋼板に関し、すぐれた耐発
錆性を有し、しかも通常の一回冷延材で良好な磁気特性
を示すものを提供することを目的とする。
錆性を有し、しかも通常の一回冷延材で良好な磁気特性
を示すものを提供することを目的とする。
一般に鋼の耐候性、なかんずく耐発錆性を改善するのに
有効な元素として、Cu,Cr,Pなどが公知である。
このような元素を添加した鋼板は、一般に耐候性鋼板と
して広く知られているが、周知の如く耐候性鋼板は構造
物の外板等の用途を意図するものであり、当然のことな
がら磁気特性については全く配慮されておらず、電磁鋼
板としては有用でない。
有効な元素として、Cu,Cr,Pなどが公知である。
このような元素を添加した鋼板は、一般に耐候性鋼板と
して広く知られているが、周知の如く耐候性鋼板は構造
物の外板等の用途を意図するものであり、当然のことな
がら磁気特性については全く配慮されておらず、電磁鋼
板としては有用でない。
本発明者らは、上記Cu,Cr,Pの耐発錆性改善効果
に着目し、鋭意実験、研究を行った結果、その3元素を
使用して無方向性電磁鋼板に、その本来の磁気特性を劣
化させることなく良好な耐発錆性を付与する手段を知見
し、本発明の完成に至ったものである。
に着目し、鋭意実験、研究を行った結果、その3元素を
使用して無方向性電磁鋼板に、その本来の磁気特性を劣
化させることなく良好な耐発錆性を付与する手段を知見
し、本発明の完成に至ったものである。
すなわち、本発明は、次のような無方向性電磁鋼板を要
旨とする。
旨とする。
重量%で、C0.015%以下、Si3.5%以下、M
n0.05〜1.0%、P0.01〜0.15%、Al
0.5%以下で、Cr0.20〜1.0%を含むか、ま
たはCr0.10〜1.0%とCu0.01〜0.2%
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、
不純物としてのS,N,Oは、S0.01%以下、N
0.005%以下、O0.005%以下であり、かつM
n+Cr≦1.5%、Cu添加ありの場合は更にCr+
Cu≧0.20%を満足することを特徴とする耐発錆性
に優れた無方向性電磁鋼板。
n0.05〜1.0%、P0.01〜0.15%、Al
0.5%以下で、Cr0.20〜1.0%を含むか、ま
たはCr0.10〜1.0%とCu0.01〜0.2%
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、
不純物としてのS,N,Oは、S0.01%以下、N
0.005%以下、O0.005%以下であり、かつM
n+Cr≦1.5%、Cu添加ありの場合は更にCr+
Cu≧0.20%を満足することを特徴とする耐発錆性
に優れた無方向性電磁鋼板。
本発明の骨子とするところは、 Pを適量添加するとともに、CrまたはCrとCu
を特定量添加することによって優れた耐発錆性を確保
し、且つ熱間圧延時の脆化を防ぎ、 同時にMnとCrの量を総量規制で適正化すること
によって磁気特性、とくに鉄損を良好なレベルに保つ、 という点にあり、これによって1回冷延材で十分な耐発
錆性と良好な磁気特性とを同時に実現することを可能に
したものである。
を特定量添加することによって優れた耐発錆性を確保
し、且つ熱間圧延時の脆化を防ぎ、 同時にMnとCrの量を総量規制で適正化すること
によって磁気特性、とくに鉄損を良好なレベルに保つ、 という点にあり、これによって1回冷延材で十分な耐発
錆性と良好な磁気特性とを同時に実現することを可能に
したものである。
以下、本発明における鋼成分限定の理由について述べ
る。
る。
C:磁気特性、とくに鉄損に影響し、鉄損低下の観点か
ら少ない方がよい。とくに、0.015%をこえると、
磁気時効による鉄損増加が大きくなることから、0.0
15%以下とした。なお下限については、上記のとおり
Cは少ないほどよいので特に限定しない。
ら少ない方がよい。とくに、0.015%をこえると、
磁気時効による鉄損増加が大きくなることから、0.0
15%以下とした。なお下限については、上記のとおり
Cは少ないほどよいので特に限定しない。
Si:電磁鋼板において最も需要な元素であり、磁気特
性に対し支配的影響を及ぼす。3.5%までは、その量
が多いほど、より良好な鉄損値が得られるが、3.5%
をこえるとその効果は飽和し、また冷間加工性の劣化が
顕著となる。よって、3.5%以下とした。
性に対し支配的影響を及ぼす。3.5%までは、その量
が多いほど、より良好な鉄損値が得られるが、3.5%
をこえるとその効果は飽和し、また冷間加工性の劣化が
顕著となる。よって、3.5%以下とした。
Siの添加量は、実際には用途上求められる磁気特性を
考慮し、その要求レベルに応じて選定される。
考慮し、その要求レベルに応じて選定される。
なお、Siの下限値については、磁気特性の要求レベル
により適正量が変化し一概に言えないので特に規定しな
い。
により適正量が変化し一概に言えないので特に規定しな
い。
Mn:熱間圧延時のSによる脆化割れを防止する意味に
おいて、少なくとも0.05%は必要である。しかし
1.0%をこえると、磁気特性を劣化させる。よって、
Mnは0.05〜1.0%とした。なお、MnはCrと
の合計量での規制も必要であるが、この点は後で述べ
る。
おいて、少なくとも0.05%は必要である。しかし
1.0%をこえると、磁気特性を劣化させる。よって、
Mnは0.05〜1.0%とした。なお、MnはCrと
の合計量での規制も必要であるが、この点は後で述べ
る。
P:耐発錆性の向上に寄与する元素であり、その意味か
ら更に詳しくはCuの制限下で良好な耐発錆性を確保す
るために0.05%以上必要である。耐発錆性の観点か
らは多いほど有効であるが、0.15%をこえると加工
性が劣化する。よって、Pは0.05〜0.15%とし
た。
ら更に詳しくはCuの制限下で良好な耐発錆性を確保す
るために0.05%以上必要である。耐発錆性の観点か
らは多いほど有効であるが、0.15%をこえると加工
性が劣化する。よって、Pは0.05〜0.15%とし
た。
Al:脱酸剤として添加される。またAlは、磁気特性
に対しても有効である。ただし、このうような効果は
0.5%をこえると飽和する。
に対しても有効である。ただし、このうような効果は
0.5%をこえると飽和する。
よって、0.5%以下とした。
なお、下限については、磁気特性と関係の深い結晶粒度
を調整する目的で0.1%以上が望ましいとされる場合
が多いが、Siなどによる脱酸が十分であればそれ以上
でも良く、特に限定しない。
を調整する目的で0.1%以上が望ましいとされる場合
が多いが、Siなどによる脱酸が十分であればそれ以上
でも良く、特に限定しない。
Cr:耐発錆性の改善に有効な元素であり、その意味か
ら必要とされる。必要量は、同等効果をもつCuの添加
の有無によって変わっくる。Cu添加のない場合、十分
な耐発錆性を確保するには少なくとも0.2%の添加が
必要である。一方Cu添加がある場合には、Crは最低
限0.1%あればよい。ただしこの場合には、CrとC
uの合計量が、0.2%以上であることが必要とされ
る。この点については後で詳述する。
ら必要とされる。必要量は、同等効果をもつCuの添加
の有無によって変わっくる。Cu添加のない場合、十分
な耐発錆性を確保するには少なくとも0.2%の添加が
必要である。一方Cu添加がある場合には、Crは最低
限0.1%あればよい。ただしこの場合には、CrとC
uの合計量が、0.2%以上であることが必要とされ
る。この点については後で詳述する。
Crはその量が多いほど耐発錆性には有効であるが、
1.0%をこえると、磁気特性に顕著な悪影響がみられ
る。また、磁気特性の観点からは、Mnとの合計量が重
要な意味をもち、磁気特性を良好に保つためにはMnと
Crに総量規制を設けることが必要である。第1図は、
Mn+Cr量と鉄損値との関係を示す実験結果である。
これは、C0.003%,Si0.5%,P0.07
%,Al0.15%,S0.005%,N0.002
%,O0.002%系で、Mn+Cr量を0.5〜2.
1%の範囲で変化させ鉄損値への影響をみたもので、供
試材は、後述実施例に示す製造プロセスによった0.5
mm厚の冷延焼鈍板である。鉄損値は、単板磁気測定器に
よる測定値である。
1.0%をこえると、磁気特性に顕著な悪影響がみられ
る。また、磁気特性の観点からは、Mnとの合計量が重
要な意味をもち、磁気特性を良好に保つためにはMnと
Crに総量規制を設けることが必要である。第1図は、
Mn+Cr量と鉄損値との関係を示す実験結果である。
これは、C0.003%,Si0.5%,P0.07
%,Al0.15%,S0.005%,N0.002
%,O0.002%系で、Mn+Cr量を0.5〜2.
1%の範囲で変化させ鉄損値への影響をみたもので、供
試材は、後述実施例に示す製造プロセスによった0.5
mm厚の冷延焼鈍板である。鉄損値は、単板磁気測定器に
よる測定値である。
図によると、Cr+Mn量が1.5%をこえたところで
は、鉄損が著しい上昇傾向を示している。すなわち、鉄
損を良好なレベルに保つには、Cr+Mn量が1.5%
以下でなければならない。
は、鉄損が著しい上昇傾向を示している。すなわち、鉄
損を良好なレベルに保つには、Cr+Mn量が1.5%
以下でなければならない。
よってCrは、Cu添加なしで0.2〜1.0%、Cu
添加ありの場合0.1〜1.0%でかつCr+Mn≦
1.5%を満足する範囲とした。
添加ありの場合0.1〜1.0%でかつCr+Mn≦
1.5%を満足する範囲とした。
Cu:Cr同様、耐発錆性を改善する元素であり、必要
に応じ添加される。Crとの複合添加で、0.01%以
上添加すると効果がある。効果は、Crと略々等価であ
る。Cuを添加する場合、Crは0.1%まで下げるこ
とができるが、CuとCrの合計量として0.2%以上
ないと、耐発錆性は十分なものが得られない。第2図に
Cu+Cr量と耐発錆性との関係を調べた結果を示す。
に応じ添加される。Crとの複合添加で、0.01%以
上添加すると効果がある。効果は、Crと略々等価であ
る。Cuを添加する場合、Crは0.1%まで下げるこ
とができるが、CuとCrの合計量として0.2%以上
ないと、耐発錆性は十分なものが得られない。第2図に
Cu+Cr量と耐発錆性との関係を調べた結果を示す。
このデータは、C0.003%,Si0.5%,Mn
0.2%,P0.07%,Al0.15%,S0.00
5%,N0.002%,O0.002%系で、Cu+C
r量を1.0%以下のレンジで種々に変化させて耐発錆
性への影響をみたもので、供試材は、実施例と同じ製造
プロセスによった0.5mm厚の冷延焼鈍板である。図の
発錆面積率は、実施例に示す方法で測定した値である。
0.2%,P0.07%,Al0.15%,S0.00
5%,N0.002%,O0.002%系で、Cu+C
r量を1.0%以下のレンジで種々に変化させて耐発錆
性への影響をみたもので、供試材は、実施例と同じ製造
プロセスによった0.5mm厚の冷延焼鈍板である。図の
発錆面積率は、実施例に示す方法で測定した値である。
図によると、Cr+Cu量が0.2%未満になると、発
錆面積率が急激に上昇する傾向が認められ、良好な耐発
錆性を得るにはCr+Cu≧0.2%の条件が必要であ
ることが理解される。
錆面積率が急激に上昇する傾向が認められ、良好な耐発
錆性を得るにはCr+Cu≧0.2%の条件が必要であ
ることが理解される。
なお、Cu量が0.20%をこえると熱間圧延時に脆化
が生じ、これを防ぐために高価なNiの添加や低温加熱
などの対策をとることが必要となり、実用上問題とな
る。
が生じ、これを防ぐために高価なNiの添加や低温加熱
などの対策をとることが必要となり、実用上問題とな
る。
したがって、Cuは添加量0.01〜0.2%とし、か
つCu+Cr≧0.2%の範囲とした。
つCu+Cr≧0.2%の範囲とした。
Cu量が熱間圧延時に脆化を生じることのない0.2%
以下の少量でも、良好な耐発錆性が得られるのは、この
比較的多量のPが有効に作用するからである。
以下の少量でも、良好な耐発錆性が得られるのは、この
比較的多量のPが有効に作用するからである。
N:Alと結合して微細なAlNを析出し、粒成長を劣
化させ磁気特性に悪影響を及ぼす元素であり、できるだ
け少なくするのが望ましい。この意味から、0.005
%以下に限定した。
化させ磁気特性に悪影響を及ぼす元素であり、できるだ
け少なくするのが望ましい。この意味から、0.005
%以下に限定した。
S:Mnと結合してMnSを析出し、N同様磁気特性を
劣化させる元素であり、少なければすくないほどよい。
この意味から、0.005%以下に限定した。
劣化させる元素であり、少なければすくないほどよい。
この意味から、0.005%以下に限定した。
O:酸化物系介在物を生成し、磁気特性を劣化させる元
素であり、少なければ少ないほどよい。この意味から、
0.005%以下に限定した。
素であり、少なければ少ないほどよい。この意味から、
0.005%以下に限定した。
本発明電磁鋼板の成分限定理由は以上のとりであるが、
このような電磁鋼板は、工業的には通常一回冷延法にて
製造される。
このような電磁鋼板は、工業的には通常一回冷延法にて
製造される。
すなわち、一般的な製造法では、転炉で成分調整した溶
鋼を連続鋳造法で200mm厚程度の鋼片とする。Cの調
整に関しては、真空精錬法を用いる場合が多いが、焼純
工程など次工程で脱Cしてもよい。大型鋼塊に鋳込んだ
後分塊圧延する方法もあるが、経済性および偏析増大の
観点から最近は殆ど使われない。鋳込んだ鋼片は次に熱
間圧延により2〜3mm圧程度のコイルとされる。加熱温
度は1100〜1300℃程度で十分均熱した後タンデ
ム圧延機で圧延される。圧延の仕上温度は800〜90
0℃、コイルの巻取り温度は500〜700℃が普通で
ある。コイルに巻取った後は、室温まで放冷される。次
に鋼表面の酸化スケールを酸洗して除去する。必要に応
じて酸洗いの前又は後に熱延板の焼鈍を行う場合もあ
る。これは熱延板の結晶組織を再結晶させることを目的
とするもので、冷間圧延性や磁気特性の改善に効果があ
る。酸洗後は、冷間圧延で0.35〜0.5mm厚の所定
の板厚に仕上げる。最終焼鈍は普通600〜1100℃
の範囲で行なう。十分再結晶させ、さらに結晶粒度を調
整する必要があり、焼鈍温度は成分系によっても異な
る。焼鈍法は、バッチ式の箱焼鈍で行う場合もあるが、
近年は連続焼鈍が用いられるケースが多い。
鋼を連続鋳造法で200mm厚程度の鋼片とする。Cの調
整に関しては、真空精錬法を用いる場合が多いが、焼純
工程など次工程で脱Cしてもよい。大型鋼塊に鋳込んだ
後分塊圧延する方法もあるが、経済性および偏析増大の
観点から最近は殆ど使われない。鋳込んだ鋼片は次に熱
間圧延により2〜3mm圧程度のコイルとされる。加熱温
度は1100〜1300℃程度で十分均熱した後タンデ
ム圧延機で圧延される。圧延の仕上温度は800〜90
0℃、コイルの巻取り温度は500〜700℃が普通で
ある。コイルに巻取った後は、室温まで放冷される。次
に鋼表面の酸化スケールを酸洗して除去する。必要に応
じて酸洗いの前又は後に熱延板の焼鈍を行う場合もあ
る。これは熱延板の結晶組織を再結晶させることを目的
とするもので、冷間圧延性や磁気特性の改善に効果があ
る。酸洗後は、冷間圧延で0.35〜0.5mm厚の所定
の板厚に仕上げる。最終焼鈍は普通600〜1100℃
の範囲で行なう。十分再結晶させ、さらに結晶粒度を調
整する必要があり、焼鈍温度は成分系によっても異な
る。焼鈍法は、バッチ式の箱焼鈍で行う場合もあるが、
近年は連続焼鈍が用いられるケースが多い。
電磁鋼板は、この段階で客先に出荷される。フルプロセ
ス材は、打ち抜き加工後、そのまま鉄心に組み立てられ
る。セミプロセス材は、打ち抜き後、鉄心に組み立てら
れる前又は後に歪取り焼鈍を施される。本発明鋼はいず
れに適用しても良い。実施例では、フルプロセス材につ
いて説明するが、セミプロセス材では、打ち抜き歪の解
放や結晶粒成長で磁気特性は更に向上する。
ス材は、打ち抜き加工後、そのまま鉄心に組み立てられ
る。セミプロセス材は、打ち抜き後、鉄心に組み立てら
れる前又は後に歪取り焼鈍を施される。本発明鋼はいず
れに適用しても良い。実施例では、フルプロセス材につ
いて説明するが、セミプロセス材では、打ち抜き歪の解
放や結晶粒成長で磁気特性は更に向上する。
次に本発明の実施例について述べる。
第1表に示す、Si量を0.5%,1.5%,2.5%
の3レベルとした種々の組成の鋼を、50kgの高周波真
空溶解炉を用いて溶製し、これを鋳型に鋳込んで鋳片と
なし、この鋳片を熱間鍛造により30mm厚とし、その後
1250℃に再加熱し仕上げ温度850℃で2.3mm厚
まで熱間圧延を行い、圧延後直ちに水スプレーで550
℃まで冷却し、次いで550℃の炉中に装入炉冷した。
なお、熱間圧延時の脆化を防ぐために、鋼中のCu量を
最大でも0.18%に制限した。
の3レベルとした種々の組成の鋼を、50kgの高周波真
空溶解炉を用いて溶製し、これを鋳型に鋳込んで鋳片と
なし、この鋳片を熱間鍛造により30mm厚とし、その後
1250℃に再加熱し仕上げ温度850℃で2.3mm厚
まで熱間圧延を行い、圧延後直ちに水スプレーで550
℃まで冷却し、次いで550℃の炉中に装入炉冷した。
なお、熱間圧延時の脆化を防ぐために、鋼中のCu量を
最大でも0.18%に制限した。
このようにして得た熱延板を、酸洗後冷間圧延により
0.5mm厚に仕上げ、その後窒素雰囲気中で、0.5%
Si系:700℃×1min、1.5%Si系:800
℃×1min、2.5%Si系:900℃×1minの
連続焼鈍パターンで最終焼鈍を行った。
0.5mm厚に仕上げ、その後窒素雰囲気中で、0.5%
Si系:700℃×1min、1.5%Si系:800
℃×1min、2.5%Si系:900℃×1minの
連続焼鈍パターンで最終焼鈍を行った。
得られた最終焼鈍材について、磁気特性(鉄損値、磁束
密度)および耐発錆性を評価した。磁気特性は、単板磁
気測定器により調査し、耐発錆性については、温度50
℃、湿度90%の雰囲気中で48時間の連続曝露湿潤試
験を行って発錆面積率を調査した。
密度)および耐発錆性を評価した。磁気特性は、単板磁
気測定器により調査し、耐発錆性については、温度50
℃、湿度90%の雰囲気中で48時間の連続曝露湿潤試
験を行って発錆面積率を調査した。
結果を第1表右欄に示す。
試験結果を説明する。
○ 0.5%Si系についていうと、本発明例は鉄損値
6.02〜6.05、磁束密度1.73〜1.75、発
錆面積率16〜22%を記録した。
6.02〜6.05、磁束密度1.73〜1.75、発
錆面積率16〜22%を記録した。
これに対し、比較例4,5はCu無添加材とCu添加材
で、No.4はCr量、No.5はCr量とCu+Cr量が本発
明範囲を下まわるもので、いずれも発錆面積率が大きな
値となっている。
で、No.4はCr量、No.5はCr量とCu+Cr量が本発
明範囲を下まわるもので、いずれも発錆面積率が大きな
値となっている。
比較例6はMn+Cr量が本発明範囲をこえるもので、
磁気特性、とくに鉄損値が劣る。
磁気特性、とくに鉄損値が劣る。
比較例7はC量が本発明範囲をこえるもので、これも鉄
損値が高い。
損値が高い。
○ 1.5%Si系では、本発明例は鉄損値4.19〜
4.28、磁束密度は1.70〜1.72、発錆面積率
は15〜20%を達成している。
4.28、磁束密度は1.70〜1.72、発錆面積率
は15〜20%を達成している。
これに対し、比較例11はCr量が高く本発明範囲外の
もので、鉄損値が高い。
もので、鉄損値が高い。
比較例12はPが本発明範囲を下まわるもので、発錆面
積率が大きな値となっている。
積率が大きな値となっている。
比較例13はS量が本発明範囲を上まわるもので、鉄損
値が大きい。
値が大きい。
○ 2.5%Si系については、本発明例は鉄損値3.
26〜3.30、磁束密度1.68〜1.69、発錆面
積率16〜19%を実現している。
26〜3.30、磁束密度1.68〜1.69、発錆面
積率16〜19%を実現している。
これに対し、比較例17,18はそれぞれのO,Nが本
発明範囲をこえるもので、何れも鉄損値が高くなってい
る。
発明範囲をこえるもので、何れも鉄損値が高くなってい
る。
比較例19はMnが本発明範囲をこえるもので、これも
鉄損値が高い。
鉄損値が高い。
以上の説明から明らかなように本発明の無方向性電磁鋼
板は、磁気特性が良好で熱間圧延時の脆化も生じない上
に優れた耐発錆性を備えており、保管、運搬、実使用に
際し特別の発錆対策をとる必要がない。また一回冷延法
ですぐれた磁気特性を実現できる上、特別高価な元素を
必要としないという利点もあり、したがってその実用的
価値はきわめて大きい。
板は、磁気特性が良好で熱間圧延時の脆化も生じない上
に優れた耐発錆性を備えており、保管、運搬、実使用に
際し特別の発錆対策をとる必要がない。また一回冷延法
ですぐれた磁気特性を実現できる上、特別高価な元素を
必要としないという利点もあり、したがってその実用的
価値はきわめて大きい。
第1図はCr+Mn量と鉄損特性との関係を示す実験結
果、第2図はCu+Cr量と耐発錆性との関係を示す実
験結果である。
果、第2図はCu+Cr量と耐発錆性との関係を示す実
験結果である。
Claims (2)
- 【請求項1】重量%で、C0.015%以下、Si3.
5%以下、Mn0.05〜1.0%、P0.05〜0.
15%、Al0.5%以下、Cr0.20〜1.0%を
含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、不純物
としてのS,N,Oは、S0.01%以下、N0.00
5%以下、O0.005%以下であり、かつMn+Cr
≦1.5%を満足することを特徴とする耐発錆性に優れ
た無方向性電磁鋼板。 - 【請求項2】重量%で、C0.015%以下、Si3.
5%以下、Mn0.05〜1.0%、P0.05〜0.
15%、Al0.5%以下、Cr0.10〜1.0%、
Cu0.01〜0.20%を含み、残部Feおよび不可
避的不純物からなり、不純物としてのS,N,Oは、S
0.01%以下、N0.005%以下、O0.005%
以下であり、かつCr+Cu≧0.20%、Mn+Cr
≦1.5%を満足することを特徴とする耐発錆性に優れ
た無方向性電磁鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62159226A JPH0617548B2 (ja) | 1987-06-25 | 1987-06-25 | 耐発錆性に優れた無方向性電磁鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62159226A JPH0617548B2 (ja) | 1987-06-25 | 1987-06-25 | 耐発錆性に優れた無方向性電磁鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS644453A JPS644453A (en) | 1989-01-09 |
JPH0617548B2 true JPH0617548B2 (ja) | 1994-03-09 |
Family
ID=15689095
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62159226A Expired - Fee Related JPH0617548B2 (ja) | 1987-06-25 | 1987-06-25 | 耐発錆性に優れた無方向性電磁鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0617548B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11229095A (ja) * | 1998-02-10 | 1999-08-24 | Nippon Steel Corp | 高周波用無方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03120316A (ja) * | 1989-10-02 | 1991-05-22 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 無方向性電磁鋼板の製造方法 |
US5322111A (en) * | 1993-02-16 | 1994-06-21 | A. H. Casting Services Limited | Ceramic lined shot sleeve |
WO2001098550A1 (fr) * | 2000-06-19 | 2001-12-27 | Nkk Corporation | Feuille d'acier electromagnetique non orientee et son procede de production |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE3009234C2 (de) * | 1980-03-11 | 1983-01-05 | Thyssen AG vorm. August Thyssen-Hütte, 4100 Duisburg | Verwendung eines weichmagnetischen Stahls für Teile von Magnetschwebebahnen |
JPS5974258A (ja) * | 1982-10-20 | 1984-04-26 | Kawasaki Steel Corp | 鉄損の少ない無方向性珪素鋼板 |
-
1987
- 1987-06-25 JP JP62159226A patent/JPH0617548B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11229095A (ja) * | 1998-02-10 | 1999-08-24 | Nippon Steel Corp | 高周波用無方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPS644453A (en) | 1989-01-09 |
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