JPH05186831A - Goss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方法 - Google Patents
Goss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方法Info
- Publication number
- JPH05186831A JPH05186831A JP4185376A JP18537692A JPH05186831A JP H05186831 A JPH05186831 A JP H05186831A JP 4185376 A JP4185376 A JP 4185376A JP 18537692 A JP18537692 A JP 18537692A JP H05186831 A JPH05186831 A JP H05186831A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- rolling
- annealing
- grain
- goss
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】安価な製造コストで優れた磁気特性を有するGo
ss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板を製
造することができる製造方法を提供することを目的とす
る。 【構成】C:0.01wt%以下、Si:2.5〜7.
0wt%、S:0.01wt%以下、Al:0.01w
t%以下、N:0.01wt%以下を含む鋼材を準備
し、この鋼材を1000℃以上に保持した後、仕上温度
が700〜950℃になるような熱間圧延を施し、次い
で圧延率40〜80%の冷間圧延を施し、その後還元性
雰囲気若しくは酸素分圧が0.5Pa以下の非酸化性雰
囲気、又は酸素分圧が0.5Pa以下の真空中において
1000〜1300℃の温度で焼鈍する。
ss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板を製
造することができる製造方法を提供することを目的とす
る。 【構成】C:0.01wt%以下、Si:2.5〜7.
0wt%、S:0.01wt%以下、Al:0.01w
t%以下、N:0.01wt%以下を含む鋼材を準備
し、この鋼材を1000℃以上に保持した後、仕上温度
が700〜950℃になるような熱間圧延を施し、次い
で圧延率40〜80%の冷間圧延を施し、その後還元性
雰囲気若しくは酸素分圧が0.5Pa以下の非酸化性雰
囲気、又は酸素分圧が0.5Pa以下の真空中において
1000〜1300℃の温度で焼鈍する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、Goss方位に集積した
結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方法に関する。
結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】方向性珪素鋼板は、無方向性珪素鋼板よ
りも良好な磁気特性を有しており、主としてトランスの
鉄心として使用されている。Gossによる{110}<0
01>方位に揃った結晶粒を持つ方向性珪素鋼板の製造
方法の発明以来、このようなGoss 組織を有する方向性
珪素鋼板の製造方法が数多く提案されている。これらの
提案を大別すると以下の3つに要約される。
りも良好な磁気特性を有しており、主としてトランスの
鉄心として使用されている。Gossによる{110}<0
01>方位に揃った結晶粒を持つ方向性珪素鋼板の製造
方法の発明以来、このようなGoss 組織を有する方向性
珪素鋼板の製造方法が数多く提案されている。これらの
提案を大別すると以下の3つに要約される。
【0003】第一の方法は、2回冷圧法と呼ばれる方法
である。この方法はGoss法を改良した方法であり、製鋼
段階でMn,Sb,S,Se等を添加し、これらの元素
およびその微細析出物による結晶粒成長抑制作用を利用
して2次再結晶を行わせるもである。具体的には、C:
0.02〜0.08wt%、Si:2.0〜4.0wt
%、Mn:0.2wt%程度、S:0.005〜0.0
5wt%の成分を持つ鋼塊を溶製し熱間圧延によって板
厚2.0〜3.0mmに圧延後、熱延板焼鈍を施し、次
いで圧延率70%程度の冷間圧延を施し、引き続き85
0〜1050℃の中間焼鈍を施し、さらに圧延率60〜
70%で冷間圧延を施し、800〜850℃で脱炭焼鈍
後、1100℃以上の温度で5〜50時間焼鈍して2次
再結晶及びインヒビターの除去(純化焼鈍)を行い、Go
ss粒を成長させる(例えば、特公昭51−13469
号)。
である。この方法はGoss法を改良した方法であり、製鋼
段階でMn,Sb,S,Se等を添加し、これらの元素
およびその微細析出物による結晶粒成長抑制作用を利用
して2次再結晶を行わせるもである。具体的には、C:
0.02〜0.08wt%、Si:2.0〜4.0wt
%、Mn:0.2wt%程度、S:0.005〜0.0
5wt%の成分を持つ鋼塊を溶製し熱間圧延によって板
厚2.0〜3.0mmに圧延後、熱延板焼鈍を施し、次
いで圧延率70%程度の冷間圧延を施し、引き続き85
0〜1050℃の中間焼鈍を施し、さらに圧延率60〜
70%で冷間圧延を施し、800〜850℃で脱炭焼鈍
後、1100℃以上の温度で5〜50時間焼鈍して2次
再結晶及びインヒビターの除去(純化焼鈍)を行い、Go
ss粒を成長させる(例えば、特公昭51−13469
号)。
【0004】第二の方法は1回冷圧法と呼ばれる方法で
ある。この方法は冷間圧延回数を1回にした方法で、2
回冷圧法よりもGoss粒の集積度が高いことで知られてい
る。具体的には、C:0.02〜0.08wt%、S
i:2.0〜4.0wt%、Mn:0.2wt%程度、
N:0.01〜0.05wt%、Al:0.1wt%程
度の成分を持つ鋼塊を溶製し熱間圧延によって板厚2.
0〜3.0mmに圧延後、熱延板焼鈍を施してAlN析
出処理を施し、次いで圧延率80〜95%の冷間圧延を
行った後、脱炭焼鈍を施し、しかる後、1200℃で2
0時間の高温焼鈍によって2次再結晶及びインヒビター
の除去(純化焼鈍)を行い、Goss粒を成長させる(例え
ば、特公昭40−15644号)。
ある。この方法は冷間圧延回数を1回にした方法で、2
回冷圧法よりもGoss粒の集積度が高いことで知られてい
る。具体的には、C:0.02〜0.08wt%、S
i:2.0〜4.0wt%、Mn:0.2wt%程度、
N:0.01〜0.05wt%、Al:0.1wt%程
度の成分を持つ鋼塊を溶製し熱間圧延によって板厚2.
0〜3.0mmに圧延後、熱延板焼鈍を施してAlN析
出処理を施し、次いで圧延率80〜95%の冷間圧延を
行った後、脱炭焼鈍を施し、しかる後、1200℃で2
0時間の高温焼鈍によって2次再結晶及びインヒビター
の除去(純化焼鈍)を行い、Goss粒を成長させる(例え
ば、特公昭40−15644号)。
【0005】第三の方法は、インヒビターを用いずにGo
ss組織を形成する方法である(例えば、特開昭64−5
5339号、特開平2−57635号等)。この方法
は、単純に特定条件の圧延と熱処理とを組み合わせるこ
とによりGoss粒を発達させるものである。
ss組織を形成する方法である(例えば、特開昭64−5
5339号、特開平2−57635号等)。この方法
は、単純に特定条件の圧延と熱処理とを組み合わせるこ
とによりGoss粒を発達させるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように第一、
第二の方法は脱炭焼鈍、純化焼鈍が必須であるため、高
温長時間の焼鈍が不可欠である。このため製造コスト、
設備コストが高くなることが避けられない。
第二の方法は脱炭焼鈍、純化焼鈍が必須であるため、高
温長時間の焼鈍が不可欠である。このため製造コスト、
設備コストが高くなることが避けられない。
【0007】また、鉄損を低減するために最終板厚を
0.20mm以下にしようとすると2次再結晶現象が不
安定となり、全面Goss粒で占めることは困難となる。こ
のため現状では板厚0.23mm程度のものが製造限界
となっている。
0.20mm以下にしようとすると2次再結晶現象が不
安定となり、全面Goss粒で占めることは困難となる。こ
のため現状では板厚0.23mm程度のものが製造限界
となっている。
【0008】上記第三の方法では脱炭焼鈍、純化焼鈍が
不要であるために製造コスト上は上記第一、第二の方法
に比べて有利である。しかしながら、本願発明者らによ
って特開昭64−55339号、特開平2−57635
号に開示されている方法の追試を行ったところ、そのGo
ss粒成長機構は極めて不安定であって、必ずしも常に全
面Goss粒で被われた材料が得られる訳ではなく、安定し
た品質を得ることが難しいことが判った。安定したGoss
粒生成は実用上方向性珪素鋼板には必須であり、Goss粒
以外の箇所を除いて使用するにしても歩留の低下に伴う
コスト高を招いてしまう。
不要であるために製造コスト上は上記第一、第二の方法
に比べて有利である。しかしながら、本願発明者らによ
って特開昭64−55339号、特開平2−57635
号に開示されている方法の追試を行ったところ、そのGo
ss粒成長機構は極めて不安定であって、必ずしも常に全
面Goss粒で被われた材料が得られる訳ではなく、安定し
た品質を得ることが難しいことが判った。安定したGoss
粒生成は実用上方向性珪素鋼板には必須であり、Goss粒
以外の箇所を除いて使用するにしても歩留の低下に伴う
コスト高を招いてしまう。
【0009】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであって、安価な製造コストで優れた磁気特性を有
するGoss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼
板を製造することができる製造方法を提供することを目
的とする。
ものであって、安価な製造コストで優れた磁気特性を有
するGoss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼
板を製造することができる製造方法を提供することを目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、C:0.01
wt%以下、Si:2.5〜7.0wt%、S:0.0
1wt%以下、Al:0.01wt%以下、N:0.0
1wt%以下を含む鋼材を準備し、この鋼材を1000
℃以上に保持した後、仕上温度が700〜950℃にな
るような熱間圧延を施し、次いで圧延率40〜80%の
冷間圧延を施し、その後還元性雰囲気若しくは酸素分圧
が0.5Pa以下の非酸化性雰囲気、又は酸素分圧が
0.5Pa以下の真空中において1000〜1300℃
の温度で二次焼鈍することを特徴とするGoss方位に集積
した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方法を提供
する。
wt%以下、Si:2.5〜7.0wt%、S:0.0
1wt%以下、Al:0.01wt%以下、N:0.0
1wt%以下を含む鋼材を準備し、この鋼材を1000
℃以上に保持した後、仕上温度が700〜950℃にな
るような熱間圧延を施し、次いで圧延率40〜80%の
冷間圧延を施し、その後還元性雰囲気若しくは酸素分圧
が0.5Pa以下の非酸化性雰囲気、又は酸素分圧が
0.5Pa以下の真空中において1000〜1300℃
の温度で二次焼鈍することを特徴とするGoss方位に集積
した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方法を提供
する。
【0011】また、C:0.01wt%以下、Si:
2.5〜7.0wt%、S:0.01wt%以下、A
l:0.01wt%以下、N:0.01wt%以下を含
む鋼材を準備し、この鋼材を1000℃以上に保持した
後、仕上温度が700〜950℃になるような熱間圧延
を施し、次いで圧延率80%以下の冷間圧延を施し、そ
の後還元性雰囲気若しくは酸素分圧が0.5Pa以下の
非酸化性雰囲気、又は酸素分圧が0.5Pa以下の真空
中において1000〜1300℃の温度で焼鈍し、さら
に圧延率90%以上の冷間圧延を施し、その後還元性雰
囲気若しくは酸素分圧が0.5Pa以下の非酸化性雰囲
気、又は酸素分圧が0.5Pa以下の真空中において1
000〜1300℃の温度で焼鈍することを特徴とする
Goss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の
製造方法を提供する。
2.5〜7.0wt%、S:0.01wt%以下、A
l:0.01wt%以下、N:0.01wt%以下を含
む鋼材を準備し、この鋼材を1000℃以上に保持した
後、仕上温度が700〜950℃になるような熱間圧延
を施し、次いで圧延率80%以下の冷間圧延を施し、そ
の後還元性雰囲気若しくは酸素分圧が0.5Pa以下の
非酸化性雰囲気、又は酸素分圧が0.5Pa以下の真空
中において1000〜1300℃の温度で焼鈍し、さら
に圧延率90%以上の冷間圧延を施し、その後還元性雰
囲気若しくは酸素分圧が0.5Pa以下の非酸化性雰囲
気、又は酸素分圧が0.5Pa以下の真空中において1
000〜1300℃の温度で焼鈍することを特徴とする
Goss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の
製造方法を提供する。
【0012】本願発明者らは上記課題を解決するため
に、純化焼鈍が不要な成分系を前提とし、鋼中成分の影
響、及び熱延条件を始めとして圧延条件、焼鈍条件を詳
細に検討した結果、鋼組成を特定範囲に規定し、さらに
上記製造条件を特定の狭い範囲に規定することにより、
最終的にGoss粒が安定して成長し、かつ珪素鋼板全面を
覆うようにすることができることを見い出した。上記構
成を有する本発明は本願発明者らのこのような知見に基
づきなされたものである。
に、純化焼鈍が不要な成分系を前提とし、鋼中成分の影
響、及び熱延条件を始めとして圧延条件、焼鈍条件を詳
細に検討した結果、鋼組成を特定範囲に規定し、さらに
上記製造条件を特定の狭い範囲に規定することにより、
最終的にGoss粒が安定して成長し、かつ珪素鋼板全面を
覆うようにすることができることを見い出した。上記構
成を有する本発明は本願発明者らのこのような知見に基
づきなされたものである。
【0013】
【作用】以下、本発明について詳細に説明する。まず、
化学成分の限定理由について説明する。
化学成分の限定理由について説明する。
【0014】Cは製鋼段階でできるだけ低減しておくこ
とが磁気特性上好ましい。Cが0.01wt%を超える
と磁気特性が著しく劣化する。このためCの上限を0.
01wt%に規定する。
とが磁気特性上好ましい。Cが0.01wt%を超える
と磁気特性が著しく劣化する。このためCの上限を0.
01wt%に規定する。
【0015】Siは、電気抵抗を高める作用と、2.5
wt%以上の含有により金属学的変態点をなくし鋼をα
単相にする作用を有している。また、6.5wt%付近
では磁歪がゼロとなるため極めて優れた軟磁気特性が得
られる。しかし、7wt%を超えると磁歪が再び増大し
磁気特性が悪化するとともに、極めて脆くなるため実用
的ではない。このためSiの含有量を2.5〜7.0w
t%の範囲に規定する。
wt%以上の含有により金属学的変態点をなくし鋼をα
単相にする作用を有している。また、6.5wt%付近
では磁歪がゼロとなるため極めて優れた軟磁気特性が得
られる。しかし、7wt%を超えると磁歪が再び増大し
磁気特性が悪化するとともに、極めて脆くなるため実用
的ではない。このためSiの含有量を2.5〜7.0w
t%の範囲に規定する。
【0016】S,Nは通常の鋼中に含まれる代表的な元
素であるが、これらの元素は、固溶した状態でも析出物
の形態を採った状態でも粒成長性を阻害するため、でき
る限り低減することが好ましい。但し、製鋼段階で極端
な低減を行うとコスト増の原因となるため、粒成長性を
阻害しない範囲としてこれらの含有量の上限をそれぞれ
0.01wt%に規定する。
素であるが、これらの元素は、固溶した状態でも析出物
の形態を採った状態でも粒成長性を阻害するため、でき
る限り低減することが好ましい。但し、製鋼段階で極端
な低減を行うとコスト増の原因となるため、粒成長性を
阻害しない範囲としてこれらの含有量の上限をそれぞれ
0.01wt%に規定する。
【0017】Alはα鉄への固溶度が広く、かつ酸素と
の親和力が強い元素である。従って、最終的な熱処理に
よりGoss組織を形成する際に、熱処理雰囲気中の微量酸
素と反応して鋼板表面に酸化物層を形成してしまうた
め、表面エネルギーによる結晶粒成長が阻害されてしま
う。このため、Alの含有量をこのような不都合が生じ
ない0.01wt%以下に規定する。Al含有量のさら
に好ましい範囲は0.005wt%以下である。Alは
脱酸剤として通常添加されるものであるため、特に厳密
に制御する必要がある。このように一般的な添加元素で
あるAlを微量に制御してGoss粒の成長を促進させると
いう思想は本願発明者らが初めて見出したことである。
の親和力が強い元素である。従って、最終的な熱処理に
よりGoss組織を形成する際に、熱処理雰囲気中の微量酸
素と反応して鋼板表面に酸化物層を形成してしまうた
め、表面エネルギーによる結晶粒成長が阻害されてしま
う。このため、Alの含有量をこのような不都合が生じ
ない0.01wt%以下に規定する。Al含有量のさら
に好ましい範囲は0.005wt%以下である。Alは
脱酸剤として通常添加されるものであるため、特に厳密
に制御する必要がある。このように一般的な添加元素で
あるAlを微量に制御してGoss粒の成長を促進させると
いう思想は本願発明者らが初めて見出したことである。
【0018】Cuはα鉄への固溶度が小さな元素であ
り、最終的な熱処理によりGoss組織を形成する際の結晶
粒成長を著しく阻害する元素である。また、Cuは製鋼
段階で0.05wt%程度含有される。従って、その含
有量を上述のような不都合が生じない0.01wt%以
下に減じることが好ましく、0.005wt%以下にす
ることが一層好ましい。ただし、Cuは融点が1083
℃であり、1000℃程度以上の熱処理により揮発する
成分であるため、0.01wt%よりも多く含有されて
いても比較的長時間の熱処理により0.01wt%以下
にすることが可能である。しかし、工程の効率化の観点
からは熱処理時間の延長は好ましくない。
り、最終的な熱処理によりGoss組織を形成する際の結晶
粒成長を著しく阻害する元素である。また、Cuは製鋼
段階で0.05wt%程度含有される。従って、その含
有量を上述のような不都合が生じない0.01wt%以
下に減じることが好ましく、0.005wt%以下にす
ることが一層好ましい。ただし、Cuは融点が1083
℃であり、1000℃程度以上の熱処理により揮発する
成分であるため、0.01wt%よりも多く含有されて
いても比較的長時間の熱処理により0.01wt%以下
にすることが可能である。しかし、工程の効率化の観点
からは熱処理時間の延長は好ましくない。
【0019】これら元素以外の不可避不純物元素は通常
の鋼に含有される程度の量は許容される。しかし、磁気
特性等をより向上させる観点からは少ないほうが好まし
い。特に、α鉄への固溶度が低いSn等は、Cuと同様
に最終的な熱処理によりGoss組織を形成する際の結晶粒
成長を著しく阻害するので、その含有量が0.01wt
%以下、好ましくは0.005wt%以下になるように
注意する必要がある。また、α鉄への固溶度が広く、か
つ酸素との親和力が強いV,Zn等は、Alと同様に表
面エネルギーによる結晶粒成長を阻害する作用を有する
ため、その含有量が0.01wt%以下、好ましくは
0.005wt%以下になるように注意する必要があ
る。さらに、鋼中のOは3次再結晶挙動に影響を与える
ため、極力低いことが望ましく0.008wt%以下で
あることが好ましい。なお、他の鋼の基本元素であるM
n,Pも少ないほうが好ましい。
の鋼に含有される程度の量は許容される。しかし、磁気
特性等をより向上させる観点からは少ないほうが好まし
い。特に、α鉄への固溶度が低いSn等は、Cuと同様
に最終的な熱処理によりGoss組織を形成する際の結晶粒
成長を著しく阻害するので、その含有量が0.01wt
%以下、好ましくは0.005wt%以下になるように
注意する必要がある。また、α鉄への固溶度が広く、か
つ酸素との親和力が強いV,Zn等は、Alと同様に表
面エネルギーによる結晶粒成長を阻害する作用を有する
ため、その含有量が0.01wt%以下、好ましくは
0.005wt%以下になるように注意する必要があ
る。さらに、鋼中のOは3次再結晶挙動に影響を与える
ため、極力低いことが望ましく0.008wt%以下で
あることが好ましい。なお、他の鋼の基本元素であるM
n,Pも少ないほうが好ましい。
【0020】このようにして溶解された鋼は、インゴッ
トに鋳造されるか或いは連続鋳造法によりスラブとさ
れ、次いで、このインゴット又はスラブは1000℃以
上の温度に保持され、熱間圧延に供される。熱間圧延前
の保持温度を1000℃以上に規定したのは、粗圧延機
あるいは仕上げ熱間圧延機前段での熱延中の再結晶の促
進と、700〜950℃の熱延仕上げ温度を確保するた
めである。なお、熱間圧延は、インゴット又はスラブを
加熱炉にて1000℃以上に加熱してから行ってもよい
し、直接圧延により連続鋳造の後スラブ温度を1000
℃以上に保持したまま行ってもよい。
トに鋳造されるか或いは連続鋳造法によりスラブとさ
れ、次いで、このインゴット又はスラブは1000℃以
上の温度に保持され、熱間圧延に供される。熱間圧延前
の保持温度を1000℃以上に規定したのは、粗圧延機
あるいは仕上げ熱間圧延機前段での熱延中の再結晶の促
進と、700〜950℃の熱延仕上げ温度を確保するた
めである。なお、熱間圧延は、インゴット又はスラブを
加熱炉にて1000℃以上に加熱してから行ってもよい
し、直接圧延により連続鋳造の後スラブ温度を1000
℃以上に保持したまま行ってもよい。
【0021】また、熱間圧延の仕上温度は700〜95
0℃の範囲であることが必要である。仕上温度が700
℃未満では熱間圧延の圧延負荷が大きくなり過ぎ製造上
好ましくない上に、最終的なGoss粒の成長にも悪影響を
及ぼす。また、仕上温度を950℃超にするにはインゴ
ット又はスラブの初期温度を高目に設定する必要があ
り、製造コスト上不利となる。
0℃の範囲であることが必要である。仕上温度が700
℃未満では熱間圧延の圧延負荷が大きくなり過ぎ製造上
好ましくない上に、最終的なGoss粒の成長にも悪影響を
及ぼす。また、仕上温度を950℃超にするにはインゴ
ット又はスラブの初期温度を高目に設定する必要があ
り、製造コスト上不利となる。
【0022】熱延板の板厚は最終製品の所望板厚によっ
て異なるが、概ね1.6mm程度から5.0mm程度と
なる。このようにして製造された熱延板は常法に従って
巻き取られるが、その巻取温度は560〜800℃とす
ることが好ましい。巻取温度が560℃未満では、熱延
終了後のランアウトテーブル上での冷却が実際上困難で
あるため実用性に欠け、一方、巻取温度が800℃を超
えると、巻取冷却中の表面酸化により酸洗性が悪化し、
実用的ではない。
て異なるが、概ね1.6mm程度から5.0mm程度と
なる。このようにして製造された熱延板は常法に従って
巻き取られるが、その巻取温度は560〜800℃とす
ることが好ましい。巻取温度が560℃未満では、熱延
終了後のランアウトテーブル上での冷却が実際上困難で
あるため実用性に欠け、一方、巻取温度が800℃を超
えると、巻取冷却中の表面酸化により酸洗性が悪化し、
実用的ではない。
【0023】なお、巻き取られた熱延コイルを、必要に
応じて連続炉或いはバッチ炉で熱延板焼鈍してもよい。
このときの熱延板焼鈍温度は700〜1100℃である
ことが好ましい。熱延板焼鈍温度が700℃未満では、
熱延時に形成された加工組織を消滅させることができな
いため、その効果が実質的に現われず、一方、熱延板焼
鈍温度が1100℃を超えると、操業上のコスト高の原
因となるために実用上問題となる。
応じて連続炉或いはバッチ炉で熱延板焼鈍してもよい。
このときの熱延板焼鈍温度は700〜1100℃である
ことが好ましい。熱延板焼鈍温度が700℃未満では、
熱延時に形成された加工組織を消滅させることができな
いため、その効果が実質的に現われず、一方、熱延板焼
鈍温度が1100℃を超えると、操業上のコスト高の原
因となるために実用上問題となる。
【0024】このようにして得られた熱延板は常法に従
って一次冷間圧延される。この冷間圧延の圧延率は40
〜80%とする。圧延率が40%未満では、通常の熱延
板の板厚からして最終製品板厚(通常、1.0mm以
下)まで圧延することが難しく、また、表面エネルギー
の効果も相対的に小さくなってしまうため、引き続き行
われる焼鈍によっても十分な粒成長を引き起こすことが
できない。また、圧延率が80%超ではGoss 粒の発達
が十分ではなく、また、圧延負荷も大きくなるため得策
ではない。
って一次冷間圧延される。この冷間圧延の圧延率は40
〜80%とする。圧延率が40%未満では、通常の熱延
板の板厚からして最終製品板厚(通常、1.0mm以
下)まで圧延することが難しく、また、表面エネルギー
の効果も相対的に小さくなってしまうため、引き続き行
われる焼鈍によっても十分な粒成長を引き起こすことが
できない。また、圧延率が80%超ではGoss 粒の発達
が十分ではなく、また、圧延負荷も大きくなるため得策
ではない。
【0025】ただし、後述するように二次冷間圧延を行
う場合には、大きな圧延率で二次冷間圧延されるため、
必ずしも上記のような圧延率の下限を規定する必要はな
い。しかし、二次冷間圧延を行う場合であっても一次焼
鈍時にある程度の表面エネルギーによる効果を発揮させ
るためには30%以上の圧延率で圧延することが好まし
い。なお、通常、冷間圧延では潤滑材を使用するが、潤
滑材を使用せず無潤滑で圧延を行なっても同様の効果が
得られる。
う場合には、大きな圧延率で二次冷間圧延されるため、
必ずしも上記のような圧延率の下限を規定する必要はな
い。しかし、二次冷間圧延を行う場合であっても一次焼
鈍時にある程度の表面エネルギーによる効果を発揮させ
るためには30%以上の圧延率で圧延することが好まし
い。なお、通常、冷間圧延では潤滑材を使用するが、潤
滑材を使用せず無潤滑で圧延を行なっても同様の効果が
得られる。
【0026】このようにして得られた一次冷延板は、1
000〜1300℃で焼鈍される。焼鈍温度が1000
℃未満では、表面エネルギーを利用した結晶粒成長の駆
動力が十分でないため所望のGoss 組織を得ることはで
きない。一方、焼鈍温度が1300℃を超えると、実質
的にこのような高温加熱のために必要なエネルギーコス
トが大きくなり過ぎ、実用上の問題を生じる。
000〜1300℃で焼鈍される。焼鈍温度が1000
℃未満では、表面エネルギーを利用した結晶粒成長の駆
動力が十分でないため所望のGoss 組織を得ることはで
きない。一方、焼鈍温度が1300℃を超えると、実質
的にこのような高温加熱のために必要なエネルギーコス
トが大きくなり過ぎ、実用上の問題を生じる。
【0027】この焼鈍は水素が必要量以上含まれている
実質的に還元性を有する雰囲気中か、実質的に窒素、A
r等の不活性ガスからなる酸素分圧が0.5Pa以下の
非酸化性雰囲気中又は酸素分圧が0.5Pa以下の真空
中で行う必要がある。これは、結晶方位のGoss方位への
集積を阻害する鋼板表面に対する酸化膜の形成を防止す
るためである。真空中又は不活性ガス雰囲気中に酸素分
圧が0.5Paを超える程度に酸素が含有される場合に
は、鋼板表面に酸化膜が形成され、上記のような効果は
得られない。焼鈍時間は通常3分以上であれば問題はな
い。このような焼鈍処理は箱型炉によるバッチ焼鈍又は
連続焼鈍にて実施することができる。
実質的に還元性を有する雰囲気中か、実質的に窒素、A
r等の不活性ガスからなる酸素分圧が0.5Pa以下の
非酸化性雰囲気中又は酸素分圧が0.5Pa以下の真空
中で行う必要がある。これは、結晶方位のGoss方位への
集積を阻害する鋼板表面に対する酸化膜の形成を防止す
るためである。真空中又は不活性ガス雰囲気中に酸素分
圧が0.5Paを超える程度に酸素が含有される場合に
は、鋼板表面に酸化膜が形成され、上記のような効果は
得られない。焼鈍時間は通常3分以上であれば問題はな
い。このような焼鈍処理は箱型炉によるバッチ焼鈍又は
連続焼鈍にて実施することができる。
【0028】焼鈍処理における加熱条件は、連続焼鈍で
は加熱速度200〜500℃/分、保持時間が2〜5分
間程度が適当であり、バッチ焼鈍では加熱速度4〜20
℃/分、保持時間が1〜10時間が適当である。冷却速
度は、熱収縮による歪みが鋼板内に残留しない限りにお
いて、通常採用される冷却速度で構わない。例えば、6
00℃まで13.5℃/秒、300℃まで12℃/秒の
冷却速度が採用される。
は加熱速度200〜500℃/分、保持時間が2〜5分
間程度が適当であり、バッチ焼鈍では加熱速度4〜20
℃/分、保持時間が1〜10時間が適当である。冷却速
度は、熱収縮による歪みが鋼板内に残留しない限りにお
いて、通常採用される冷却速度で構わない。例えば、6
00℃まで13.5℃/秒、300℃まで12℃/秒の
冷却速度が採用される。
【0029】このようにして得られた焼鈍板はそのまま
でもGoss組織を有し、高い磁束密度を示すが、さらに二
次冷間圧延及び二次焼鈍を施すことにより、より安定し
てGoss組織を得ることができ、高い磁気特性を示すよう
になる。
でもGoss組織を有し、高い磁束密度を示すが、さらに二
次冷間圧延及び二次焼鈍を施すことにより、より安定し
てGoss組織を得ることができ、高い磁気特性を示すよう
になる。
【0030】二次冷間圧延の圧延率は90%以上である
ことが必要である。90%未満では最終的なGoss粒の集
積が十分でない。この冷間圧延は、一次冷間圧延と同様
無潤滑、潤滑のいずれでも実施可能である。
ことが必要である。90%未満では最終的なGoss粒の集
積が十分でない。この冷間圧延は、一次冷間圧延と同様
無潤滑、潤滑のいずれでも実施可能である。
【0031】このようにして得られた二次冷延板は10
00〜1300℃で二次焼鈍される。この場合も、焼鈍
温度が1000℃未満では、表面エネルギーを利用した
結晶粒成長の駆動力が十分でないため所望のGoss組織を
得ることはできない。一方、焼鈍温度が1300℃を超
えると、実質的にこのような高温加熱のために必要なエ
ネルギーコストが大きくなり過ぎ、実用上の問題を生じ
る。この焼鈍も、上記一次焼鈍と同様の理由から、還元
性雰囲気または酸素分圧が0.5Pa以下の非酸化性雰
囲気若しくは酸素分圧が0.5Pa以下の真空中で行う
必要がある。すなわち、この場合も鋼板表面に酸化膜が
形成されると、粒成長性が阻害され、最終的に満足なGo
ss粒の集積が得られないからである。焼鈍時間は一次焼
鈍と同様3分以上であれば問題ない。
00〜1300℃で二次焼鈍される。この場合も、焼鈍
温度が1000℃未満では、表面エネルギーを利用した
結晶粒成長の駆動力が十分でないため所望のGoss組織を
得ることはできない。一方、焼鈍温度が1300℃を超
えると、実質的にこのような高温加熱のために必要なエ
ネルギーコストが大きくなり過ぎ、実用上の問題を生じ
る。この焼鈍も、上記一次焼鈍と同様の理由から、還元
性雰囲気または酸素分圧が0.5Pa以下の非酸化性雰
囲気若しくは酸素分圧が0.5Pa以下の真空中で行う
必要がある。すなわち、この場合も鋼板表面に酸化膜が
形成されると、粒成長性が阻害され、最終的に満足なGo
ss粒の集積が得られないからである。焼鈍時間は一次焼
鈍と同様3分以上であれば問題ない。
【0032】上記の方法で得られた鋼板はいずれもGoss
粒が安定して集積し、しかも<001>軸の圧延方向か
らのずれが5度以内という高い集積度を有する。磁気特
性としては直流で800A/mの磁界を印加したときの
磁束密度B8 がいずれも1.6T以上の高磁束密度を示
す。特に最終の冷間圧延率を95%程度にまで高める
と、B8 =1.96Tという極めて高い磁束密度を示
す。
粒が安定して集積し、しかも<001>軸の圧延方向か
らのずれが5度以内という高い集積度を有する。磁気特
性としては直流で800A/mの磁界を印加したときの
磁束密度B8 がいずれも1.6T以上の高磁束密度を示
す。特に最終の冷間圧延率を95%程度にまで高める
と、B8 =1.96Tという極めて高い磁束密度を示
す。
【0033】このように本発明法によって優れた特性を
有する鋼板が製造できるのは、特定の組成の鋼に対し、
一次冷間圧延後の一次焼鈍の際に表面エネルギーによる
好ましい結晶方位への選択的粒成長が生じること、及
び、さらに二次冷間圧延で強加工することにより好まし
い集合組織が形成され、二次焼鈍による表面エネルギー
を利用した結晶粒成長によりGoss粒の選択的粒成長が生
じることによるものと推察される。
有する鋼板が製造できるのは、特定の組成の鋼に対し、
一次冷間圧延後の一次焼鈍の際に表面エネルギーによる
好ましい結晶方位への選択的粒成長が生じること、及
び、さらに二次冷間圧延で強加工することにより好まし
い集合組織が形成され、二次焼鈍による表面エネルギー
を利用した結晶粒成長によりGoss粒の選択的粒成長が生
じることによるものと推察される。
【0034】
[実施例1]表1に示す化学成分の鋼Aを溶製し、仕上
温度:800℃、巻取温度:600℃、仕上板厚1.8
mmの条件で熱間圧延を行なった。このようにして得ら
れた熱延板を表面酸化膜除去のため酸洗した後、40〜
98%の圧延率で冷間圧延した。次いで、これらの鋼板
に対して、酸素分圧0.25Paの真空中にて1200
℃で14時間の焼鈍処理を施し、エッチピットによる結
晶方位観察、直流磁気測定器でB8 を測定した。
温度:800℃、巻取温度:600℃、仕上板厚1.8
mmの条件で熱間圧延を行なった。このようにして得ら
れた熱延板を表面酸化膜除去のため酸洗した後、40〜
98%の圧延率で冷間圧延した。次いで、これらの鋼板
に対して、酸素分圧0.25Paの真空中にて1200
℃で14時間の焼鈍処理を施し、エッチピットによる結
晶方位観察、直流磁気測定器でB8 を測定した。
【0035】図1に各圧延率で圧延した鋼板のエッチピ
ット観察の結果を示す。数字は<001>軸の圧延方向
からのずれを示している。なお、B8 の値も併記する。
図1から明らかなように、圧延率が40%未満のもの
は、十分に粗大結晶粒に成長しておらずGoss組織が得ら
れていない。これは表面エネルギーの効果が相対的に弱
いためであると考えられる。これに対して、圧延率が4
0〜80%の場合には、Goss粒が全体を覆い、ずれ角度
20°以下となることが確認された。
ット観察の結果を示す。数字は<001>軸の圧延方向
からのずれを示している。なお、B8 の値も併記する。
図1から明らかなように、圧延率が40%未満のもの
は、十分に粗大結晶粒に成長しておらずGoss組織が得ら
れていない。これは表面エネルギーの効果が相対的に弱
いためであると考えられる。これに対して、圧延率が4
0〜80%の場合には、Goss粒が全体を覆い、ずれ角度
20°以下となることが確認された。
【0036】図2はB8 に及ぼす冷間圧延率の影響を示
したものである。この図から、圧延率を40〜80%に
することにより、B8 が1.60T以上という良好な直
流磁気特性が得られることがわかる。
したものである。この図から、圧延率を40〜80%に
することにより、B8 が1.60T以上という良好な直
流磁気特性が得られることがわかる。
【0037】[実施例2]表1に示す化学成分の鋼Bを
溶製し、仕上温度:900℃、巻取温度:600℃、仕
上板厚1.8mmの条件で熱間圧延を行なった。このよ
うにして得られた熱延板を表面酸化膜除去のため酸洗し
た後、40〜80%の圧延率で冷間圧延した。次いで、
100%水素雰囲気中または酸素分圧0.5Pa以下の
真空中にて700〜1300℃の温度で焼鈍を行なっ
た。この結果、100%水素雰囲気中で焼鈍を行った場
合には焼鈍温度1100℃以上で、また、真空焼鈍の場
合には焼鈍温度1000℃以上で、それぞれ粗大粒が鋼
板全面を覆うことが確認された。
溶製し、仕上温度:900℃、巻取温度:600℃、仕
上板厚1.8mmの条件で熱間圧延を行なった。このよ
うにして得られた熱延板を表面酸化膜除去のため酸洗し
た後、40〜80%の圧延率で冷間圧延した。次いで、
100%水素雰囲気中または酸素分圧0.5Pa以下の
真空中にて700〜1300℃の温度で焼鈍を行なっ
た。この結果、100%水素雰囲気中で焼鈍を行った場
合には焼鈍温度1100℃以上で、また、真空焼鈍の場
合には焼鈍温度1000℃以上で、それぞれ粗大粒が鋼
板全面を覆うことが確認された。
【0038】これらの粗大粒が全面を覆った鋼板に対し
て、圧延率を70%から97%まで変化させて二次冷間
圧延を行ない、さらに、一次焼鈍と同様の条件で二次焼
鈍を行なった。この結果、100%水素雰囲気中での焼
鈍の場合には焼鈍温度1100℃以上で、また、真空焼
鈍の場合には焼鈍温度1000℃以上で、それぞれ粗大
粒が全面を覆うことが確認された。
て、圧延率を70%から97%まで変化させて二次冷間
圧延を行ない、さらに、一次焼鈍と同様の条件で二次焼
鈍を行なった。この結果、100%水素雰囲気中での焼
鈍の場合には焼鈍温度1100℃以上で、また、真空焼
鈍の場合には焼鈍温度1000℃以上で、それぞれ粗大
粒が全面を覆うことが確認された。
【0039】これらの粗大粒が全面を覆った鋼板につい
て結晶方位の変化を調査したところ、<001>軸と圧
延方向とのずれの角度αは図3のような分布を示し、二
次冷間圧延率が90%以上の場合に90%以上の結晶粒
がα≦5°となった。
て結晶方位の変化を調査したところ、<001>軸と圧
延方向とのずれの角度αは図3のような分布を示し、二
次冷間圧延率が90%以上の場合に90%以上の結晶粒
がα≦5°となった。
【0040】さらに、これらの鋼板のB8 を直流磁気測
定器で測定したところ、図4に示すように二次冷間圧延
率が90%以上の場合にB8 ≧1.6Tとなった。さら
に、95%以上の圧下率の場合にB8 ≧1.85Tの優
れた磁気特性を示すことが確認された。
定器で測定したところ、図4に示すように二次冷間圧延
率が90%以上の場合にB8 ≧1.6Tとなった。さら
に、95%以上の圧下率の場合にB8 ≧1.85Tの優
れた磁気特性を示すことが確認された。
【0041】図5に直流磁気測定器で測定した保持力H
cを示す。保持力は圧下率95%の近傍において急激に
低下し、それ以上の圧下率で極めて優れた軟磁気特性を
示すことが確認された。
cを示す。保持力は圧下率95%の近傍において急激に
低下し、それ以上の圧下率で極めて優れた軟磁気特性を
示すことが確認された。
【0042】[実施例3]表2に示すC1〜D3の化学
成分の鋼を溶製し、仕上温度:800℃、巻取温度:6
10℃、仕上板厚:1.8mmの条件で熱間圧延を行っ
た。この熱延板を表面酸化膜除去のため酸洗した後、板
厚0.8mm(圧延率:55.6%)まで冷間圧延し
た。次いで、これらの鋼板に対して酸素分圧が0.5P
a以下の水素雰囲気中にて1180℃で10時間の焼鈍
処理を施した。これらの鋼板のB8 を直流磁気測定装置
を用いて測定した。その結果を表3に示す。なお、鋼種
C1〜C3はCu量を変化させたもの、D1〜D3はA
l量を変化させたものである。表3から明らかなよう
に、Cu及びAlが0.01wt%以下になると高い磁
束密度が得られることが確認された。
成分の鋼を溶製し、仕上温度:800℃、巻取温度:6
10℃、仕上板厚:1.8mmの条件で熱間圧延を行っ
た。この熱延板を表面酸化膜除去のため酸洗した後、板
厚0.8mm(圧延率:55.6%)まで冷間圧延し
た。次いで、これらの鋼板に対して酸素分圧が0.5P
a以下の水素雰囲気中にて1180℃で10時間の焼鈍
処理を施した。これらの鋼板のB8 を直流磁気測定装置
を用いて測定した。その結果を表3に示す。なお、鋼種
C1〜C3はCu量を変化させたもの、D1〜D3はA
l量を変化させたものである。表3から明らかなよう
に、Cu及びAlが0.01wt%以下になると高い磁
束密度が得られることが確認された。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【発明の効果】この発明によれば、安価な製造コストで
優れた磁気特性を有するGoss方位に集積した結晶方位を
有する方向性珪素鋼板を製造することができる製造方法
が提供される。
優れた磁気特性を有するGoss方位に集積した結晶方位を
有する方向性珪素鋼板を製造することができる製造方法
が提供される。
【図1】実施例1において得られた鋼板の各圧延率にお
けるエッチピット観察の結果を示す図。
けるエッチピット観察の結果を示す図。
【図2】実施例1における磁束密度B8 に及ぼす冷間圧
延率の影響を示す図。
延率の影響を示す図。
【図3】実施例2において得られた各板厚の鋼板につい
て、ずれ角度αの分布を示すグラフ。
て、ずれ角度αの分布を示すグラフ。
【図4】実施例2における二次冷間圧延率(又は最終板
厚)と鋼板の磁束密度B8 との関係を示す図。
厚)と鋼板の磁束密度B8 との関係を示す図。
【図5】実施例2における二次冷間圧延率(又は最終板
厚)と鋼板の保磁力Hcとの関係を示す図。
厚)と鋼板の保磁力Hcとの関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 靖 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 日裏 昭 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 浪川 操 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内
Claims (4)
- 【請求項1】 C:0.01wt%以下、Si:2.5
〜7.0wt%、S:0.01wt%以下、Al:0.
01wt%以下、N:0.01wt%以下を含む鋼材を
準備し、この鋼材を1000℃以上に保持した後、仕上
温度が700〜950℃になるような熱間圧延を施し、
次いで圧延率40〜80%の冷間圧延を施し、その後還
元性雰囲気若しくは酸素分圧が0.5Pa以下の非酸化
性雰囲気、又は酸素分圧が0.5Pa以下の真空中にお
いて1000〜1300℃の温度で焼鈍することを特徴
とするGoss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素
鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 前記鋼材はさらに0.01wt%以下の
Cuを含有していることを特徴とする請求項1に記載の
Goss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の
製造方法。 - 【請求項3】 C:0.01wt%以下、Si:2.5
〜7.0wt%、S:0.01wt%以下、Al:0.
01wt%以下、N:0.01wt%以下を含む鋼材を
準備し、この鋼材を1000℃以上に保持した後、仕上
温度が700〜950℃になるような熱間圧延を施し、
次いで圧延率80%以下の冷間圧延を施し、その後還元
性雰囲気若しくは酸素分圧が0.5Pa以下の非酸化性
雰囲気、又は酸素分圧が0.5Pa以下の真空中におい
て1000〜1300℃の温度で焼鈍し、さらに圧延率
90%以上の冷間圧延を施し、その後還元性雰囲気若し
くは酸素分圧が0.5Pa以下の非酸化性雰囲気、又は
酸素分圧が0.5Pa以下の真空中において1000〜
1300℃の温度で焼鈍することを特徴とするGoss方位
に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方
法。 - 【請求項4】 前記鋼材はさらに0.01wt%以下の
Cuを含有していることを特徴とする請求項3に記載の
Goss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の
製造方法。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4185376A JPH05186831A (ja) | 1991-07-29 | 1992-07-13 | Goss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方法 |
US07/920,127 US5354389A (en) | 1991-07-29 | 1992-07-24 | Method of manufacturing silicon steel sheet having grains precisely arranged in Goss orientation |
KR1019920013517A KR950005791B1 (ko) | 1991-07-29 | 1992-07-28 | 고스(Goss) 방위로 집적한 결정방위를 갖는 방향성 규소강판의 제조방법 |
DE69214554T DE69214554T2 (de) | 1991-07-29 | 1992-07-29 | Verfahren zur Herstellung von Siliziumstahlbändern mit feiner Körnung in GOSS Textur |
EP92112933A EP0526834B1 (en) | 1991-07-29 | 1992-07-29 | Method of manufacturing silicon steel sheet having grains precisely arranged in goss orientation |
US08/259,389 US5489342A (en) | 1991-07-29 | 1994-06-14 | Method of manufacturing silicon steel sheet having grains precisely arranged in goss orientation |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3-210364 | 1991-07-29 | ||
JP21036491 | 1991-07-29 | ||
JP4185376A JPH05186831A (ja) | 1991-07-29 | 1992-07-13 | Goss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05186831A true JPH05186831A (ja) | 1993-07-27 |
Family
ID=26503067
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4185376A Pending JPH05186831A (ja) | 1991-07-29 | 1992-07-13 | Goss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05186831A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100840833B1 (ko) * | 2006-12-22 | 2008-06-23 | 한국전력공사 | 고자속밀도 전기강판의 제조방법 |
CN103305744A (zh) * | 2012-03-08 | 2013-09-18 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种高质量硅钢常化基板的生产方法 |
WO2015045397A1 (ja) * | 2013-09-26 | 2015-04-02 | Jfeスチール株式会社 | 方向性電磁鋼板の製造方法 |
-
1992
- 1992-07-13 JP JP4185376A patent/JPH05186831A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100840833B1 (ko) * | 2006-12-22 | 2008-06-23 | 한국전력공사 | 고자속밀도 전기강판의 제조방법 |
CN103305744A (zh) * | 2012-03-08 | 2013-09-18 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种高质量硅钢常化基板的生产方法 |
CN103305744B (zh) * | 2012-03-08 | 2016-03-30 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种高质量硅钢常化基板的生产方法 |
WO2015045397A1 (ja) * | 2013-09-26 | 2015-04-02 | Jfeスチール株式会社 | 方向性電磁鋼板の製造方法 |
US9978489B2 (en) | 2013-09-26 | 2018-05-22 | Jfe Steel Corporation | Method of producing grain oriented electrical steel sheet |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
RU2318883C2 (ru) | Способ непрерывного литья полосы неориентированной электротехнической стали | |
US5049204A (en) | Process for producing a grain-oriented electrical steel sheet by means of rapid quench-solidification process | |
US5354389A (en) | Method of manufacturing silicon steel sheet having grains precisely arranged in Goss orientation | |
JP4206665B2 (ja) | 磁気特性および被膜特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP4029523B2 (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP3846064B2 (ja) | 方向性電磁鋼板 | |
JP3387980B2 (ja) | 磁気特性が極めて優れた無方向性珪素鋼板の製造方法 | |
JP4258185B2 (ja) | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
JPH05186831A (ja) | Goss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方法 | |
JP3928275B2 (ja) | 電磁鋼板 | |
JP2871308B2 (ja) | Goss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方法 | |
JP3331401B2 (ja) | 全周磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH11229096A (ja) | 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
JP4281119B2 (ja) | 電磁鋼板の製造方法 | |
JP2750238B2 (ja) | Goss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方法 | |
JP3310004B2 (ja) | 一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2521585B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH07197126A (ja) | 磁束密度の高い方向性珪素鋼板の製造方法 | |
JP3067896B2 (ja) | 一方向性電磁鋼板用薄鋳片の製造方法 | |
JP2647323B2 (ja) | 低い鉄損をもつ一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2521586B2 (ja) | 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH0776733A (ja) | 磁束密度の高い方向性珪素鋼板の製造方法 | |
JP3023620B2 (ja) | 一方向性電磁鋼板用薄鋳片の製造方法 | |
JP3498978B2 (ja) | 極めて低い鉄損をもつ一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JPH0776732A (ja) | 磁束密度の高い方向性珪素鋼板の製造方法 |