JPH05186831A - Goss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方法 - Google Patents

Goss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方法

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JPH05186831A
JPH05186831A JP4185376A JP18537692A JPH05186831A JP H05186831 A JPH05186831 A JP H05186831A JP 4185376 A JP4185376 A JP 4185376A JP 18537692 A JP18537692 A JP 18537692A JP H05186831 A JPH05186831 A JP H05186831A
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annealing
grain
goss
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JP4185376A
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Inventor
Kenichi Arai
賢一 荒井
Kazuyuki Ishiyama
和志 石山
Yasushi Tanaka
靖 田中
Akira Hiura
昭 日裏
Misao Namikawa
操 浪川
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】安価な製造コストで優れた磁気特性を有するGo
ss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板を製
造することができる製造方法を提供することを目的とす
る。 【構成】C:0.01wt%以下、Si:2.5〜7.
0wt%、S:0.01wt%以下、Al:0.01w
t%以下、N:0.01wt%以下を含む鋼材を準備
し、この鋼材を1000℃以上に保持した後、仕上温度
が700〜950℃になるような熱間圧延を施し、次い
で圧延率40〜80%の冷間圧延を施し、その後還元性
雰囲気若しくは酸素分圧が0.5Pa以下の非酸化性雰
囲気、又は酸素分圧が0.5Pa以下の真空中において
1000〜1300℃の温度で焼鈍する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、Goss方位に集積した
結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】方向性珪素鋼板は、無方向性珪素鋼板よ
りも良好な磁気特性を有しており、主としてトランスの
鉄心として使用されている。Gossによる{110}<0
01>方位に揃った結晶粒を持つ方向性珪素鋼板の製造
方法の発明以来、このようなGoss 組織を有する方向性
珪素鋼板の製造方法が数多く提案されている。これらの
提案を大別すると以下の3つに要約される。
【0003】第一の方法は、2回冷圧法と呼ばれる方法
である。この方法はGoss法を改良した方法であり、製鋼
段階でMn,Sb,S,Se等を添加し、これらの元素
およびその微細析出物による結晶粒成長抑制作用を利用
して2次再結晶を行わせるもである。具体的には、C:
0.02〜0.08wt%、Si:2.0〜4.0wt
%、Mn:0.2wt%程度、S:0.005〜0.0
5wt%の成分を持つ鋼塊を溶製し熱間圧延によって板
厚2.0〜3.0mmに圧延後、熱延板焼鈍を施し、次
いで圧延率70%程度の冷間圧延を施し、引き続き85
0〜1050℃の中間焼鈍を施し、さらに圧延率60〜
70%で冷間圧延を施し、800〜850℃で脱炭焼鈍
後、1100℃以上の温度で5〜50時間焼鈍して2次
再結晶及びインヒビターの除去(純化焼鈍)を行い、Go
ss粒を成長させる(例えば、特公昭51−13469
号)。
【0004】第二の方法は1回冷圧法と呼ばれる方法で
ある。この方法は冷間圧延回数を1回にした方法で、2
回冷圧法よりもGoss粒の集積度が高いことで知られてい
る。具体的には、C:0.02〜0.08wt%、S
i:2.0〜4.0wt%、Mn:0.2wt%程度、
N:0.01〜0.05wt%、Al:0.1wt%程
度の成分を持つ鋼塊を溶製し熱間圧延によって板厚2.
0〜3.0mmに圧延後、熱延板焼鈍を施してAlN析
出処理を施し、次いで圧延率80〜95%の冷間圧延を
行った後、脱炭焼鈍を施し、しかる後、1200℃で2
0時間の高温焼鈍によって2次再結晶及びインヒビター
の除去(純化焼鈍)を行い、Goss粒を成長させる(例え
ば、特公昭40−15644号)。
【0005】第三の方法は、インヒビターを用いずにGo
ss組織を形成する方法である(例えば、特開昭64−5
5339号、特開平2−57635号等)。この方法
は、単純に特定条件の圧延と熱処理とを組み合わせるこ
とによりGoss粒を発達させるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように第一、
第二の方法は脱炭焼鈍、純化焼鈍が必須であるため、高
温長時間の焼鈍が不可欠である。このため製造コスト、
設備コストが高くなることが避けられない。
【0007】また、鉄損を低減するために最終板厚を
0.20mm以下にしようとすると2次再結晶現象が不
安定となり、全面Goss粒で占めることは困難となる。こ
のため現状では板厚0.23mm程度のものが製造限界
となっている。
【0008】上記第三の方法では脱炭焼鈍、純化焼鈍が
不要であるために製造コスト上は上記第一、第二の方法
に比べて有利である。しかしながら、本願発明者らによ
って特開昭64−55339号、特開平2−57635
号に開示されている方法の追試を行ったところ、そのGo
ss粒成長機構は極めて不安定であって、必ずしも常に全
面Goss粒で被われた材料が得られる訳ではなく、安定し
た品質を得ることが難しいことが判った。安定したGoss
粒生成は実用上方向性珪素鋼板には必須であり、Goss粒
以外の箇所を除いて使用するにしても歩留の低下に伴う
コスト高を招いてしまう。
【0009】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであって、安価な製造コストで優れた磁気特性を有
するGoss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼
板を製造することができる製造方法を提供することを目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、C:0.01
wt%以下、Si:2.5〜7.0wt%、S:0.0
1wt%以下、Al:0.01wt%以下、N:0.0
1wt%以下を含む鋼材を準備し、この鋼材を1000
℃以上に保持した後、仕上温度が700〜950℃にな
るような熱間圧延を施し、次いで圧延率40〜80%の
冷間圧延を施し、その後還元性雰囲気若しくは酸素分圧
が0.5Pa以下の非酸化性雰囲気、又は酸素分圧が
0.5Pa以下の真空中において1000〜1300℃
の温度で二次焼鈍することを特徴とするGoss方位に集積
した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方法を提供
する。
【0011】また、C:0.01wt%以下、Si:
2.5〜7.0wt%、S:0.01wt%以下、A
l:0.01wt%以下、N:0.01wt%以下を含
む鋼材を準備し、この鋼材を1000℃以上に保持した
後、仕上温度が700〜950℃になるような熱間圧延
を施し、次いで圧延率80%以下の冷間圧延を施し、そ
の後還元性雰囲気若しくは酸素分圧が0.5Pa以下の
非酸化性雰囲気、又は酸素分圧が0.5Pa以下の真空
中において1000〜1300℃の温度で焼鈍し、さら
に圧延率90%以上の冷間圧延を施し、その後還元性雰
囲気若しくは酸素分圧が0.5Pa以下の非酸化性雰囲
気、又は酸素分圧が0.5Pa以下の真空中において1
000〜1300℃の温度で焼鈍することを特徴とする
Goss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の
製造方法を提供する。
【0012】本願発明者らは上記課題を解決するため
に、純化焼鈍が不要な成分系を前提とし、鋼中成分の影
響、及び熱延条件を始めとして圧延条件、焼鈍条件を詳
細に検討した結果、鋼組成を特定範囲に規定し、さらに
上記製造条件を特定の狭い範囲に規定することにより、
最終的にGoss粒が安定して成長し、かつ珪素鋼板全面を
覆うようにすることができることを見い出した。上記構
成を有する本発明は本願発明者らのこのような知見に基
づきなされたものである。
【0013】
【作用】以下、本発明について詳細に説明する。まず、
化学成分の限定理由について説明する。
【0014】Cは製鋼段階でできるだけ低減しておくこ
とが磁気特性上好ましい。Cが0.01wt%を超える
と磁気特性が著しく劣化する。このためCの上限を0.
01wt%に規定する。
【0015】Siは、電気抵抗を高める作用と、2.5
wt%以上の含有により金属学的変態点をなくし鋼をα
単相にする作用を有している。また、6.5wt%付近
では磁歪がゼロとなるため極めて優れた軟磁気特性が得
られる。しかし、7wt%を超えると磁歪が再び増大し
磁気特性が悪化するとともに、極めて脆くなるため実用
的ではない。このためSiの含有量を2.5〜7.0w
t%の範囲に規定する。
【0016】S,Nは通常の鋼中に含まれる代表的な元
素であるが、これらの元素は、固溶した状態でも析出物
の形態を採った状態でも粒成長性を阻害するため、でき
る限り低減することが好ましい。但し、製鋼段階で極端
な低減を行うとコスト増の原因となるため、粒成長性を
阻害しない範囲としてこれらの含有量の上限をそれぞれ
0.01wt%に規定する。
【0017】Alはα鉄への固溶度が広く、かつ酸素と
の親和力が強い元素である。従って、最終的な熱処理に
よりGoss組織を形成する際に、熱処理雰囲気中の微量酸
素と反応して鋼板表面に酸化物層を形成してしまうた
め、表面エネルギーによる結晶粒成長が阻害されてしま
う。このため、Alの含有量をこのような不都合が生じ
ない0.01wt%以下に規定する。Al含有量のさら
に好ましい範囲は0.005wt%以下である。Alは
脱酸剤として通常添加されるものであるため、特に厳密
に制御する必要がある。このように一般的な添加元素で
あるAlを微量に制御してGoss粒の成長を促進させると
いう思想は本願発明者らが初めて見出したことである。
【0018】Cuはα鉄への固溶度が小さな元素であ
り、最終的な熱処理によりGoss組織を形成する際の結晶
粒成長を著しく阻害する元素である。また、Cuは製鋼
段階で0.05wt%程度含有される。従って、その含
有量を上述のような不都合が生じない0.01wt%以
下に減じることが好ましく、0.005wt%以下にす
ることが一層好ましい。ただし、Cuは融点が1083
℃であり、1000℃程度以上の熱処理により揮発する
成分であるため、0.01wt%よりも多く含有されて
いても比較的長時間の熱処理により0.01wt%以下
にすることが可能である。しかし、工程の効率化の観点
からは熱処理時間の延長は好ましくない。
【0019】これら元素以外の不可避不純物元素は通常
の鋼に含有される程度の量は許容される。しかし、磁気
特性等をより向上させる観点からは少ないほうが好まし
い。特に、α鉄への固溶度が低いSn等は、Cuと同様
に最終的な熱処理によりGoss組織を形成する際の結晶粒
成長を著しく阻害するので、その含有量が0.01wt
%以下、好ましくは0.005wt%以下になるように
注意する必要がある。また、α鉄への固溶度が広く、か
つ酸素との親和力が強いV,Zn等は、Alと同様に表
面エネルギーによる結晶粒成長を阻害する作用を有する
ため、その含有量が0.01wt%以下、好ましくは
0.005wt%以下になるように注意する必要があ
る。さらに、鋼中のOは3次再結晶挙動に影響を与える
ため、極力低いことが望ましく0.008wt%以下で
あることが好ましい。なお、他の鋼の基本元素であるM
n,Pも少ないほうが好ましい。
【0020】このようにして溶解された鋼は、インゴッ
トに鋳造されるか或いは連続鋳造法によりスラブとさ
れ、次いで、このインゴット又はスラブは1000℃以
上の温度に保持され、熱間圧延に供される。熱間圧延前
の保持温度を1000℃以上に規定したのは、粗圧延機
あるいは仕上げ熱間圧延機前段での熱延中の再結晶の促
進と、700〜950℃の熱延仕上げ温度を確保するた
めである。なお、熱間圧延は、インゴット又はスラブを
加熱炉にて1000℃以上に加熱してから行ってもよい
し、直接圧延により連続鋳造の後スラブ温度を1000
℃以上に保持したまま行ってもよい。
【0021】また、熱間圧延の仕上温度は700〜95
0℃の範囲であることが必要である。仕上温度が700
℃未満では熱間圧延の圧延負荷が大きくなり過ぎ製造上
好ましくない上に、最終的なGoss粒の成長にも悪影響を
及ぼす。また、仕上温度を950℃超にするにはインゴ
ット又はスラブの初期温度を高目に設定する必要があ
り、製造コスト上不利となる。
【0022】熱延板の板厚は最終製品の所望板厚によっ
て異なるが、概ね1.6mm程度から5.0mm程度と
なる。このようにして製造された熱延板は常法に従って
巻き取られるが、その巻取温度は560〜800℃とす
ることが好ましい。巻取温度が560℃未満では、熱延
終了後のランアウトテーブル上での冷却が実際上困難で
あるため実用性に欠け、一方、巻取温度が800℃を超
えると、巻取冷却中の表面酸化により酸洗性が悪化し、
実用的ではない。
【0023】なお、巻き取られた熱延コイルを、必要に
応じて連続炉或いはバッチ炉で熱延板焼鈍してもよい。
このときの熱延板焼鈍温度は700〜1100℃である
ことが好ましい。熱延板焼鈍温度が700℃未満では、
熱延時に形成された加工組織を消滅させることができな
いため、その効果が実質的に現われず、一方、熱延板焼
鈍温度が1100℃を超えると、操業上のコスト高の原
因となるために実用上問題となる。
【0024】このようにして得られた熱延板は常法に従
って一次冷間圧延される。この冷間圧延の圧延率は40
〜80%とする。圧延率が40%未満では、通常の熱延
板の板厚からして最終製品板厚(通常、1.0mm以
下)まで圧延することが難しく、また、表面エネルギー
の効果も相対的に小さくなってしまうため、引き続き行
われる焼鈍によっても十分な粒成長を引き起こすことが
できない。また、圧延率が80%超ではGoss 粒の発達
が十分ではなく、また、圧延負荷も大きくなるため得策
ではない。
【0025】ただし、後述するように二次冷間圧延を行
う場合には、大きな圧延率で二次冷間圧延されるため、
必ずしも上記のような圧延率の下限を規定する必要はな
い。しかし、二次冷間圧延を行う場合であっても一次焼
鈍時にある程度の表面エネルギーによる効果を発揮させ
るためには30%以上の圧延率で圧延することが好まし
い。なお、通常、冷間圧延では潤滑材を使用するが、潤
滑材を使用せず無潤滑で圧延を行なっても同様の効果が
得られる。
【0026】このようにして得られた一次冷延板は、1
000〜1300℃で焼鈍される。焼鈍温度が1000
℃未満では、表面エネルギーを利用した結晶粒成長の駆
動力が十分でないため所望のGoss 組織を得ることはで
きない。一方、焼鈍温度が1300℃を超えると、実質
的にこのような高温加熱のために必要なエネルギーコス
トが大きくなり過ぎ、実用上の問題を生じる。
【0027】この焼鈍は水素が必要量以上含まれている
実質的に還元性を有する雰囲気中か、実質的に窒素、A
r等の不活性ガスからなる酸素分圧が0.5Pa以下の
非酸化性雰囲気中又は酸素分圧が0.5Pa以下の真空
中で行う必要がある。これは、結晶方位のGoss方位への
集積を阻害する鋼板表面に対する酸化膜の形成を防止す
るためである。真空中又は不活性ガス雰囲気中に酸素分
圧が0.5Paを超える程度に酸素が含有される場合に
は、鋼板表面に酸化膜が形成され、上記のような効果は
得られない。焼鈍時間は通常3分以上であれば問題はな
い。このような焼鈍処理は箱型炉によるバッチ焼鈍又は
連続焼鈍にて実施することができる。
【0028】焼鈍処理における加熱条件は、連続焼鈍で
は加熱速度200〜500℃/分、保持時間が2〜5分
間程度が適当であり、バッチ焼鈍では加熱速度4〜20
℃/分、保持時間が1〜10時間が適当である。冷却速
度は、熱収縮による歪みが鋼板内に残留しない限りにお
いて、通常採用される冷却速度で構わない。例えば、6
00℃まで13.5℃/秒、300℃まで12℃/秒の
冷却速度が採用される。
【0029】このようにして得られた焼鈍板はそのまま
でもGoss組織を有し、高い磁束密度を示すが、さらに二
次冷間圧延及び二次焼鈍を施すことにより、より安定し
てGoss組織を得ることができ、高い磁気特性を示すよう
になる。
【0030】二次冷間圧延の圧延率は90%以上である
ことが必要である。90%未満では最終的なGoss粒の集
積が十分でない。この冷間圧延は、一次冷間圧延と同様
無潤滑、潤滑のいずれでも実施可能である。
【0031】このようにして得られた二次冷延板は10
00〜1300℃で二次焼鈍される。この場合も、焼鈍
温度が1000℃未満では、表面エネルギーを利用した
結晶粒成長の駆動力が十分でないため所望のGoss組織を
得ることはできない。一方、焼鈍温度が1300℃を超
えると、実質的にこのような高温加熱のために必要なエ
ネルギーコストが大きくなり過ぎ、実用上の問題を生じ
る。この焼鈍も、上記一次焼鈍と同様の理由から、還元
性雰囲気または酸素分圧が0.5Pa以下の非酸化性雰
囲気若しくは酸素分圧が0.5Pa以下の真空中で行う
必要がある。すなわち、この場合も鋼板表面に酸化膜が
形成されると、粒成長性が阻害され、最終的に満足なGo
ss粒の集積が得られないからである。焼鈍時間は一次焼
鈍と同様3分以上であれば問題ない。
【0032】上記の方法で得られた鋼板はいずれもGoss
粒が安定して集積し、しかも<001>軸の圧延方向か
らのずれが5度以内という高い集積度を有する。磁気特
性としては直流で800A/mの磁界を印加したときの
磁束密度B8 がいずれも1.6T以上の高磁束密度を示
す。特に最終の冷間圧延率を95%程度にまで高める
と、B8 =1.96Tという極めて高い磁束密度を示
す。
【0033】このように本発明法によって優れた特性を
有する鋼板が製造できるのは、特定の組成の鋼に対し、
一次冷間圧延後の一次焼鈍の際に表面エネルギーによる
好ましい結晶方位への選択的粒成長が生じること、及
び、さらに二次冷間圧延で強加工することにより好まし
い集合組織が形成され、二次焼鈍による表面エネルギー
を利用した結晶粒成長によりGoss粒の選択的粒成長が生
じることによるものと推察される。
【0034】
【実施例】
[実施例1]表1に示す化学成分の鋼Aを溶製し、仕上
温度:800℃、巻取温度:600℃、仕上板厚1.8
mmの条件で熱間圧延を行なった。このようにして得ら
れた熱延板を表面酸化膜除去のため酸洗した後、40〜
98%の圧延率で冷間圧延した。次いで、これらの鋼板
に対して、酸素分圧0.25Paの真空中にて1200
℃で14時間の焼鈍処理を施し、エッチピットによる結
晶方位観察、直流磁気測定器でB8 を測定した。
【0035】図1に各圧延率で圧延した鋼板のエッチピ
ット観察の結果を示す。数字は<001>軸の圧延方向
からのずれを示している。なお、B8 の値も併記する。
図1から明らかなように、圧延率が40%未満のもの
は、十分に粗大結晶粒に成長しておらずGoss組織が得ら
れていない。これは表面エネルギーの効果が相対的に弱
いためであると考えられる。これに対して、圧延率が4
0〜80%の場合には、Goss粒が全体を覆い、ずれ角度
20°以下となることが確認された。
【0036】図2はB8 に及ぼす冷間圧延率の影響を示
したものである。この図から、圧延率を40〜80%に
することにより、B8 が1.60T以上という良好な直
流磁気特性が得られることがわかる。
【0037】[実施例2]表1に示す化学成分の鋼Bを
溶製し、仕上温度:900℃、巻取温度:600℃、仕
上板厚1.8mmの条件で熱間圧延を行なった。このよ
うにして得られた熱延板を表面酸化膜除去のため酸洗し
た後、40〜80%の圧延率で冷間圧延した。次いで、
100%水素雰囲気中または酸素分圧0.5Pa以下の
真空中にて700〜1300℃の温度で焼鈍を行なっ
た。この結果、100%水素雰囲気中で焼鈍を行った場
合には焼鈍温度1100℃以上で、また、真空焼鈍の場
合には焼鈍温度1000℃以上で、それぞれ粗大粒が鋼
板全面を覆うことが確認された。
【0038】これらの粗大粒が全面を覆った鋼板に対し
て、圧延率を70%から97%まで変化させて二次冷間
圧延を行ない、さらに、一次焼鈍と同様の条件で二次焼
鈍を行なった。この結果、100%水素雰囲気中での焼
鈍の場合には焼鈍温度1100℃以上で、また、真空焼
鈍の場合には焼鈍温度1000℃以上で、それぞれ粗大
粒が全面を覆うことが確認された。
【0039】これらの粗大粒が全面を覆った鋼板につい
て結晶方位の変化を調査したところ、<001>軸と圧
延方向とのずれの角度αは図3のような分布を示し、二
次冷間圧延率が90%以上の場合に90%以上の結晶粒
がα≦5°となった。
【0040】さらに、これらの鋼板のB8 を直流磁気測
定器で測定したところ、図4に示すように二次冷間圧延
率が90%以上の場合にB8 ≧1.6Tとなった。さら
に、95%以上の圧下率の場合にB8 ≧1.85Tの優
れた磁気特性を示すことが確認された。
【0041】図5に直流磁気測定器で測定した保持力H
cを示す。保持力は圧下率95%の近傍において急激に
低下し、それ以上の圧下率で極めて優れた軟磁気特性を
示すことが確認された。
【0042】[実施例3]表2に示すC1〜D3の化学
成分の鋼を溶製し、仕上温度:800℃、巻取温度:6
10℃、仕上板厚:1.8mmの条件で熱間圧延を行っ
た。この熱延板を表面酸化膜除去のため酸洗した後、板
厚0.8mm(圧延率:55.6%)まで冷間圧延し
た。次いで、これらの鋼板に対して酸素分圧が0.5P
a以下の水素雰囲気中にて1180℃で10時間の焼鈍
処理を施した。これらの鋼板のB8 を直流磁気測定装置
を用いて測定した。その結果を表3に示す。なお、鋼種
C1〜C3はCu量を変化させたもの、D1〜D3はA
l量を変化させたものである。表3から明らかなよう
に、Cu及びAlが0.01wt%以下になると高い磁
束密度が得られることが確認された。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【発明の効果】この発明によれば、安価な製造コストで
優れた磁気特性を有するGoss方位に集積した結晶方位を
有する方向性珪素鋼板を製造することができる製造方法
が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において得られた鋼板の各圧延率にお
けるエッチピット観察の結果を示す図。
【図2】実施例1における磁束密度B8 に及ぼす冷間圧
延率の影響を示す図。
【図3】実施例2において得られた各板厚の鋼板につい
て、ずれ角度αの分布を示すグラフ。
【図4】実施例2における二次冷間圧延率(又は最終板
厚)と鋼板の磁束密度B8 との関係を示す図。
【図5】実施例2における二次冷間圧延率(又は最終板
厚)と鋼板の保磁力Hcとの関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 靖 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 日裏 昭 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 浪川 操 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.01wt%以下、Si:2.5
    〜7.0wt%、S:0.01wt%以下、Al:0.
    01wt%以下、N:0.01wt%以下を含む鋼材を
    準備し、この鋼材を1000℃以上に保持した後、仕上
    温度が700〜950℃になるような熱間圧延を施し、
    次いで圧延率40〜80%の冷間圧延を施し、その後還
    元性雰囲気若しくは酸素分圧が0.5Pa以下の非酸化
    性雰囲気、又は酸素分圧が0.5Pa以下の真空中にお
    いて1000〜1300℃の温度で焼鈍することを特徴
    とするGoss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素
    鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記鋼材はさらに0.01wt%以下の
    Cuを含有していることを特徴とする請求項1に記載の
    Goss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 C:0.01wt%以下、Si:2.5
    〜7.0wt%、S:0.01wt%以下、Al:0.
    01wt%以下、N:0.01wt%以下を含む鋼材を
    準備し、この鋼材を1000℃以上に保持した後、仕上
    温度が700〜950℃になるような熱間圧延を施し、
    次いで圧延率80%以下の冷間圧延を施し、その後還元
    性雰囲気若しくは酸素分圧が0.5Pa以下の非酸化性
    雰囲気、又は酸素分圧が0.5Pa以下の真空中におい
    て1000〜1300℃の温度で焼鈍し、さらに圧延率
    90%以上の冷間圧延を施し、その後還元性雰囲気若し
    くは酸素分圧が0.5Pa以下の非酸化性雰囲気、又は
    酸素分圧が0.5Pa以下の真空中において1000〜
    1300℃の温度で焼鈍することを特徴とするGoss方位
    に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記鋼材はさらに0.01wt%以下の
    Cuを含有していることを特徴とする請求項3に記載の
    Goss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の
    製造方法。
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DE69214554T DE69214554T2 (de) 1991-07-29 1992-07-29 Verfahren zur Herstellung von Siliziumstahlbändern mit feiner Körnung in GOSS Textur
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