JPH0611903B2 - 磁気シールド用電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

磁気シールド用電磁鋼板およびその製造方法

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JPH0611903B2
JPH0611903B2 JP1272592A JP27259289A JPH0611903B2 JP H0611903 B2 JPH0611903 B2 JP H0611903B2 JP 1272592 A JP1272592 A JP 1272592A JP 27259289 A JP27259289 A JP 27259289A JP H0611903 B2 JPH0611903 B2 JP H0611903B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、例えば漏洩磁気を遮断するのに好適な、優れ
た磁気特性を有する磁気シールド用電磁鋼板およびその
製造方法に関するものである。
(従来の技術) 近年の著しい科学技術の進展に伴い、強力な磁場を利用
した各種科学測定機器が実用化されてきている。例え
ば、医療機器の分野においては強力な磁場による核磁気
共鳴現象を利用した磁気共鳴断層撮影装置(以下「MR
I」という。)が実用化され、積極的に導入されてきて
いる。
しかし、このMRIの使用に際しては発生する多量の漏洩
磁気をシールドする必要がある。このような磁気シール
ドを行う手段として、MRI本体を囲む手段と、MRIを設置
した部屋自体を囲む手段とがあるが、そのどちらの手段
においても磁気遮断性の良い、すなわち高透磁率を有す
る磁気シールド用電磁鋼板は最適であり、またサイクロ
トン等の大形科学実験装置などのカバー・構造用部材と
して磁気シールド性を必要とする部分にも使用される材
料である。
そこで、近年の科学技術の成果をさらに進展させるため
には、かかる磁気シールド用電磁鋼板について、本来相
反する優れた機械的特性と透磁率、磁束密度等に代表さ
れる磁気特性とをともに満足することが各分野から強く
望まれている。
このような磁気遮断特性を有する鋼板としては電磁軟質
鋼板があり、一般的に変圧器に使用される薄板が周知で
ある。これは従来から磁気特性の優れた鋼材として、JI
S C 2503またはJIS C 2504に規定される電磁軟鉄棒、電
磁軟鉄板である。JIS C 2503に規定されるものは0.1〜1
6mmの直径の棒材であり、またJIS C 2504に規定される
ものは0.6〜4.5mm厚の薄板であり、いずれもリレー用ま
たは電磁石用としての小型部品への適用を対象としたも
のである。
また、磁気用としては分類されていないJIS G 4051に規
定される機械構造用炭素鋼材であるS10Cを用い、250mm
幅に熱間加工し、磁性材料として使用している例があ
る。
さらに特開昭60-96749号公報、特公昭63-45442号公報ま
たは特公昭63-45443号公報に開示されているように、so
l.Alの量を0.005〜1.00重量%と多く含有し、Siをある
程度低減したAl脱酸型極低炭素鋼である直流磁化用厚板
が近年提案されている。
(発明が解決しようとする課題) しかし、これらの公知方法では、たとえばMRIの使用の
際の漏洩磁気を遮断することができるような、優れた磁
気特性を有する磁気シールド用電磁鋼板を提供すること
はできない。すなわち (i)JIS C 2503またはJIS C 2504に示される電磁軟鉄
棒または電磁軟鉄板は、前述したように、小型の部品を
適用の対象にしており、構造用部材としての機械的特性
がまったく考慮されていない。したがって、たとえば前
述のMRIにこの電磁軟鉄板を適用する場合には、装置の
強度を確保するために、この電磁軟鉄板を数10枚程度
積層する必要があり、製造コスト、製品の品質の観点か
らは、現実には実施化を図ることができない。また、 (ii)JIS G 4051に示される機械構造用炭素鋼材を用
いた例では、磁気特性についての考慮が何らなされてい
ないため、最大透磁率μmaxが1800以下と極めて低い
値しか得られていない。したがって、やはり所望の磁気
シールド用電磁鋼板を提供することはできない。
さらに、特開昭60-96749号公報に開示された電磁鋼板
は、最大透磁率μmaxの値が12850から4260までとば
らついた値となっており、その値も磁気シールド用電磁
鋼板として充分な値ではない。
さらに、特公昭63-45442号公報または特公昭63-45443号
公報に開示された方法は、確かに最大透磁率μmax
2000〜5000程度に高めることが可能な方法であるが、た
とえばこの方法により得られる電磁鋼板を前述のMRIに
適用する場合を考えると十分な値とはいえず、一層の向
上が望まれる。
以上のように、これらの公知の手段では、たとえばMRI
に用いる鋼板として好適な、優れた磁気特性を窮する磁
気シールド用電磁鋼板を得ることはできなかったのであ
る。
ここに本発明の目的は、例えば漏洩磁気を遮断するのに
好適な、優れた磁気特性を有する磁気シールド用電磁鋼
板およびその製造方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明者は、上記の課題を解決するための種々検討を重
ねた結果、特開昭60-96749号公報に開示されているよう
に磁気シールド用電磁鋼板の素材としてAl脱酸型極低炭
素鋼を用いるのではなく、Si脱酸型極低炭素鋼を用いる
ことにより、極めて良好な磁気特性を有する磁気シール
ド用電磁鋼板を得ることができることを知見した。
すなわち、本発明者は磁気特性の良好な磁気シールド用
電磁鋼板の製造に際して重要な点は、減磁率を大きくす
る成分の含有量を極力低減すること、板厚方向における
磁気特性の均質性を高めることおよび結晶粒を著しく粗
大化させることであることを知見した。
つまり、第1の減磁率を大きくする成分元素としては、
C、S、Cu、Cr、sol.Al等があるが、これらの元素、と
りわけsol.Alの含有量を極力低減することが有効である
ことを本発明者は知見した。また透磁率を大きくする成
分元素としてはSiが挙げられ、このSiを適量添加するこ
とにより、磁気特性が著しく向上することもあわせて知
見した。
また、第2の磁気特性の均質性を確保するためには、非
金属介在物の生成原因元素、偏析し易い元素の含有量を
低減し、結晶粒の大きさを板厚方向に可能な限り均一に
することが必要であることも知見した。
さらに、第3の結晶粒を粗大化させるためには熱間加工
時には結晶粒に歪を付与するとともに、熱間加工後には
Ac1点以下の温度域に加熱することが必要であることを
知見して、本発明を完成した。
ここに、本発明の要旨とするところは、重量%で、 C:0.05%以下、Si:0.30%超〜1.50%、 Mn:0.50%以下、sol.Al:0.005%未満 残部Feおよび不可避的不純物 からなる鋼組成を有し、フェライト結晶粒度番号が0以
下であることを特徴とする磁気シールド用電磁鋼板であ
る。
また、別の面から本発明は、上記の鋼組成を有する鋼片
をAc3点以上の温度域に加熱した後、熱間加工を開始
し、Ar1点以下の温度域における圧下率が20%以上とな
るようにして熱間加工を終了し、冷却した後、850℃以
上Ac1点以下の温度域に加熱する処理を行うことを特徴
とする磁気シールド用電磁鋼板の製造方法である。
(作用) 以下、本発明を作用効果とともに詳述する。なお、本明
細書において、特にことわりがない限り「%」は「重量
%」を意味するものとする。
まず、本発明にかかる磁気シールド用電磁鋼板の組成を
上述のように限定した理由について説明する。
Cは、その含有により減磁率を最も増加させる元素であ
り、極力低減することが望ましい。しかしながら、Cの
低減化には多くの工程を要することから製造コストの上
昇につながるため、その含有量を0.05%以下に限定す
る。
Siは、本発明の作用効果を奏するために極めて重要な元
素であって、結晶粒の整粒化、磁気特性の向上を促進
し、かつ脱酸剤としても作用することから、0.30%超添
加する必要がる。しかし、あまり多量に添加すると鋼が
脆くなり、構造用厚板材として適当でなくなるため、上
限を1.50%と限定する。したがって、Si含有量は、0.30
%超1.50%以下に限定する。
Mnも、Cと同様に減磁率の観点からは低減することが望
ましいが、構造用厚板材として使用される場合には、磁
気特性以外にも必要最低限の強度の確保を行うために、
上限を0.50%と限定する。
P、Sはともに非金属介在物を鋼中に形成しやすいた
め、その含有量は低いことが望ましいが、しかしこれら
の低減にはコスト上昇を生じることから、Pは0.10%以
下、Sは0.01%以下と限定することが望ましい。
Alは、本発明の作用効果を奏するためには極めて重要な
元素であって、減磁率を大きくする元素であるため、ま
たAlは鋼中のNと結合して窒化アルミニウムを形成して
鋼の混粒化を促進するため、その含有量は少ないことが
望ましい。具体的には、Alを0.005%以上含有すると、
最大透磁率μmaxおよび磁場10e(エルステッド)
の際の磁束密度B1がともに低下し、所望の磁気特性が
得られなくなる。よってAlの含有量は0.005%未満と限
定する。
なお、本発明にかかる組成を有する磁気シールド用電磁
鋼板は、所望の磁気特性を確保するという観点から、上
述した組成に加えてさらにCr、Mo、CuおよびNからなる
群から選んだ少なくとも1種、さらには酸素を下記に示
す如く含有してもよい。
すなわち、 Cr、Mo、CuまたはNは磁気特性の減磁率を大きくする元
素であり、特にNは前述したようにAlと結合して鋼の混
粒化を促進するため、また偏析度合を少なくするため、
極力少ないことが望ましい。しかし、Cr、Mo、Cuは溶製
段階において、耐火物からも混入するため極端な低減化
を図ることは困難である。したがって、Crは0.20%以
下、Moは0.02%以下、Cuは0.10%以下またはNは0.01%
以下をそれぞれ含有してもよい。
また、酸素は鋼中にあっては、非金属介在物を形成しか
つ偏析することにより、磁壁の移動を妨げ、その含有量
が増加するにつれて、鋼板の保磁力を増加させ、磁気特
性の低下を招く恐れがある。したがって、その含有量は
少ないほど望ましく、酸素の含有量は0.003%以下と限
定することがさらに望ましい。
また、本発明にかかる磁気シールド用電磁鋼板において
は、そのフェライト結晶粒度番号は、0以下であること
が必要である。すなわち、フェライト結晶粒度番号が0
超であると、成品の最大透磁率μmaxおよび磁束密度
1がともに低下し、所望の磁気特性が得られなくなる
からである。
なお、上記フェライト結晶粒度番号は、本発明において
は、任意の線分によって切断されるフェライト粒の数を
測定し、これを倍率100倍の顕微鏡による25mm平方中の
結晶粒の数に換算して粒度番号を決める方法、すなわち
JIS G 0552に規定されるいわゆる切断法により求めるこ
とが望ましい。フェライト結晶粒が著しく粗大化してい
るからである。ただし、比較法により測定してもよいこ
とはいうまでもなく、この場合も、フェライト結晶粒度
番号は0以下であることが必要である。
かかる組成およびフェライト結晶粒度番号を有する本発
明にかかる磁気シールド用電磁鋼板は、極めて優れた磁
気特性を有する。すなわち、磁気特性は電磁鋼板が具備
すべき最も重要な性質であって、磁気特性の具体的な指
標としては最大透磁率μmaxが挙げられるが、前述し
たような近年の科学技術の急速な進展に伴って高い透磁
率が要求されてきており、その必要最低値としてはμ
max≧30000を具備することが望ましいが、本発明の
かかる磁気シールド用電磁鋼板はこの値を優に越えた、
極めて高い透磁率を有する。
また、磁場10eの際の磁束密度(以下B1とする)も最大
透磁率μmaxと同様に、B1≧14000であることが望ま
しいが、本発明にかかる磁気シールド用電磁鋼板はこの
値をも十分に越えた極めて高い磁束密度を有する。
次に、本発明にかかる磁気シールド用電磁鋼板の製造方
法について述べる。
鋼の溶製は転炉溶製法あるいは電気炉溶製法のいずれの
溶製法でもよく、さらに必要に応じて取鍋精錬あるいは
真空脱ガス等の精錬工程を経て、減磁率を大きくさせる
元素(C、Al、Cr、Mo、Cu、N等)を極力低減するとと
もに、非金属介在物の生成および偏析を極力少なくさせ
るために、P、Sを減少させ、さらに酸素をSiを用いて
除去する。
このようにして得た、前述の組成を有する鋼片を、本発
明においては、まずAc3点以上、望ましくはAc3点以上12
00℃以下の温度域に加熱する。Ac3点以上に加熱するこ
とにより、オーステナイト単相としておき熱間加工を開
始する。したがって、この後に、オーステナイト−フェ
ライト2相域で熱間加工を行うことになり、熱間加工に
より加えられる歪が不均一になり、後述する再結晶時
に、所望の著しい混粒組織を生じさせることができるか
らである。このような観点からは、鋼片の加熱温度はAc
3点以上であればよく、加熱温度の上限は特に設ける必
要がないが、実際の製造に際しては、1200℃超の温度に
加熱してしまうと、例えば厚板工場の加熱炉の炉壁の耐
火レンガが損傷するといった設備的な不具合の発生が懸
念されることから、1200℃以下と限定することが望まし
い。
このようにして、Ac3点以上の温度域に加熱された鋼片
に熱間加工を行って、所望の形状を付与するが、本発明
においては、Ar1点以下の温度域における圧下率が20%
以上となるようにして、熱間加工を行う。ここで、「Ar
1点以下の温度域における圧下率」とは、圧下開始時と
圧下終了時の板厚差をΔh、鋼片の温度がAr1点となっ
た時と圧下終了時の板厚差をΔhαとした場合に、 で表わされる。
まず、Ar1点以下の温度域における圧下率を限定するの
は、熱間加工により個々のフェライト結晶粒に同じ量
の、均一な歪を確実に付加することを目的として、フェ
ライト単相状態とするためであり、またその値を20%以
上と制限するのは、鋼片の板厚方向の中心まで十分にフ
ェライト結晶粒に加工歪を付与するためである。このよ
うな観点からは、圧下率は高ければ高いほどよく特に上
限を設ける必要はないが、Ar1点以下の温度域における
圧下率が70%超となると、低温域における圧下量が増大
し、圧延機等に多大な負荷をかけ、装置に早期損傷・損
壊等を生じる危険がある。したがって、Ar1点以下の温
度域における圧下率は70%以下とすることが望ましい。
なお、フェライト結晶粒に均一な歪を付与するという観
点からは、熱間加工時の加工温度の下限(熱間加工終了
温度)は、特に設ける必要はないが、650℃未満の温度
で熱間加工を行うと、圧延機に過大な負荷をかけてしま
い、ロール等の消耗を著しく促進するおそれがある。し
たがって、熱間加工時の加工温度の下限は650℃以上と
限定することが望ましい。
さらに、熱間加工においては、加工前の特別な作業等は
一切不要である。また、熱間加工の形態は、圧延機によ
る圧延または鍛造機による鍛圧のいずれでもよい。さら
に、フェライト結晶粒に加工時に歪を付与し、熱処理後
に該歪を解放させて、フェライト結晶粒を粗大化させる
ためには、鋼板の中心部まで変形がおよぶ熱間加工を行
うことが有効であり、かかる熱間加工として圧延法を採
用する場合は公知の高形状比圧延を適用することが好ま
しい。
このようにして熱間加工を終えた鋼片は次いで冷却す
る。脱水素処理を行うためである。脱水素処理を充分に
行うという観点からは、鋼片の冷却温度は300℃以下と
することが望ましい。300℃以下とすることにより、脱
水素のための時間を充分に確保することが可能となるか
らである。
そして、この鋼片に、結晶粒調整および歪取りのため
に、熱処理を施す。この際、磁気特性を向上させて所望
の値とするために、熱処理としては焼鈍を行うことが有
効である。焼鈍温度は、再結晶集合組織を形成させて、
フェライト結晶粒を充分に成長させるために、850℃以
上Ac1点以下とすることが有効である。上限値をAc1点と
するのは、Ac1点超に加熱した場合に形成される集合組
織は再結晶集合組織から変態集合組織となってしまい、
磁気特性が著しく劣化するためであり、一方、焼鈍温度
が850℃未満であると、フェライト結晶粒の成長を促す
のに十分なエネルギーを付与することができなくなって
しまうからである。
なお、焼鈍時間は、鋼板の板厚方向の中心部まで均一に
加熱する必要があることから、最終成品の板厚をt(m
m)とした場合、t/25(時間)以上とすることが好まし
い。
なお、焼鈍の後の冷却は、放冷、空冷、徐冷、水冷、焼
入等のいずれの方法による冷却であっても何ら成品の特
性は変わるものではなく、この冷却手段には制限を要さ
ない。
以上、説明したように、本発明により、例えば漏洩磁気
を遮断するのに好適な、優れた磁気特性を有する磁気シ
ールド用電磁鋼板を提供することができる。
さらに、本発明の効果をその実施例を用いて詳述する
が、これはあくまでも本発明の例示であり、これにより
本発明が限定されるものではない。
実施例1 第1表に示す組成を有し、厚さが230mmである鋼片No.A
ないしNo.Cを、第2表に示す如く1100〜1160℃の温度
域に加熱した後、熱間圧延を開始した。
そして、Ar1以下の温度域における圧下率が0〜50%と
なるようにして熱間圧延を行って、760〜911℃で熱間圧
延を終了し、引き続き150℃まで冷却して板厚が20mmで
ある熱延鋼板を得た。
かかる熱延鋼板を、880℃に加熱して焼鈍を行って、第
2状に示す試料No.1ないし試料No.36を得た。
これらの試料について、フェライト結晶粒度番号を前述
の切断法により、また最大透磁率μmaxと磁束密度B
1とを、それぞれ測定した。
なお、結果の判定基準は、前述のように、μmax≧30
000、B1≧14000を合格とした。
結果を第2表にまとめて示すとともに、フェライト結晶
粒度番号とμmaxとの関係を第1図に、またフェライ
ト結晶粒度番号とB1との関係を第2図に示す。
第2表、第1図および第2図から明らかなように、フェ
ライト結晶粒度番号が0以下である本発明にかかる試料
(No.1ないしNo.8)は、μmax≧30000、B1≧1400
0であり、極めて優れた磁気特性を有することがわか
る。
一方、フェライト結晶粒度番号が0超である比較例にか
かる試料(No.9ないしNo.36)は、μmax<30000、
または、B1<14000であり、所望の磁気特性が得られな
かったことがわかる。
すなわち、本発明にかかる磁気シールド用電磁鋼板にお
いては、フェライト結晶粒度番号が0以下であること
は、所望の磁気特性を得るためには必須の条件であるこ
とがわかる。
実施例2 第3表に示す組成を有する鋼片を1160℃に加熱した後、
熱間圧延を開始し、それぞれ第3表に示す圧下率で熱間
圧延を行った後、第3表に示す熱間圧延終了温度で熱間
圧延を終了した。そして、第3表に示す温度に冷却し
て、板厚が20mmまたは80mmの熱延鋼板とした。そしてこ
の後に、第3表に示す熱処理温度および時間で焼鈍を行
い、室温まで空冷して、試料No.1ないし試料No.30を得
た。
そして、これらの試料について、フェライト結晶粒度番
号を、JIS G 0552に規定される切断法により測定すると
ともに、 (i)磁気特性(最大透磁率μmaxおよび磁場10eに
おける磁束密度B1(Gauss) (ii)機械的特性(0℃におけるVノッチシャルピー
衝撃試験の平均値vEoAve(kgf・m)、引張強さTS(kgf/mm2) を測定した。
結果を第3表にまとめて示す。
なお、本実施例においては、 (i)μmax≧30000、B1≧14000 であって、かつ (ii)vEoAve≧4.8kgf・m、TS≧30kgf/mm2 を合格基準とした。
第3表において、試料No.1ないし試料No.17は、本発明
にかかる試料であり、試料No.18ないし試料No.30は比較
例の試料である。このうち、試料No.18ないし試料No.27
は、用いた鋼片の組成は本発明の範囲を満足するが、熱
間圧延温度、圧下率または熱処理温度の少なくとも1つ
が本発明の範囲を満足していない試料であり、試料No.2
8ないし試料No.30は用いた鋼片の組成が主として本発明
の範囲を満足していない試料である。
試料No.1および試料No.2は、鋼片中のSi含有量が本発
明の範囲の下限近傍であって、熱処理温度が、それぞれ
本発明の範囲の下限、上限近傍の条件により得られた試
料である。第1表から明らかなように、磁気特性、機械
的特性とも優れており、所望の磁気シールド用電磁鋼板
を得ることができたことがわかる。
試料No.3ないし試料No.5は、本実施例において、鋼片
組成を標準としたものであり、熱処理温度を本発明の範
囲内において、それぞれ下限、標準および上限と変化さ
せて得られた試料である。第3表から、磁気特性、機械
的特性とも優れており、所望の磁気シールド用電磁鋼板
を得ることができたことがわかる。
試料No.6ないし試料No.8は、本実施例において、鋼片
組成を標準とした他のものであり、熱処理温度を本発明
の範囲内において、それぞれ下限、標準および上限と変
化させえて得られた試料である。やはり、磁気特性、機
械的特性とも優れており、所望の磁気シールド用電磁鋼
板を得ることができたことがわかる。
試料No.9ないし試料No.11は、鋼片中のSi含有量が本発
明の範囲内で高めであって、熱処理温度がそれぞれ本発
明の範囲の下限、標準および上限の近傍の条件により得
られた試料である。やはり、磁気特性、機械的特性とも
優れており、所望の磁気シールド用電磁鋼板を得ること
ができることがわかる。
試料No.12ないし試料No.14は、鋼片中のSi含有量が本発
明の範囲内で上限近傍であって、熱処理温度がそれぞれ
本発明の範囲の下限、標準および上限の近傍の条件によ
り得られた試料である。やはり、磁気特性、機械的特性
とも優れており、所望の磁気シールド用電磁鋼板を得る
ことができたことがわかる。
試料No.15ないし試料No.17は、鋼片中のMn含有量が本発
明の範囲内で上限近傍であって、熱処理温度がそれぞれ
本発明の範囲の下限、標準および上限の近傍の条件によ
り得られた試料である。やはり、磁気特性、機械的特性
ともに優れており、所望の磁気シールド用電磁鋼板を得
ることができたことがわかる。
一方、試料No.18は、熱間圧延終了温度が本発明の範囲
の上限を超えたために、Ar1点以下の温度域における圧
下率が0%となって本発明の範囲の下限を下回る条件に
より得られた試料であるため、フェライト結晶粒に同じ
量の加工歪を充分に付与することができず、熱処理後の
フェライト結晶粒が充分に粗大化しなかった(フェライ
ト結晶粒度番号:2.4)ため、磁気特性が向上していな
いことがわかる。
また、試料No.19は、Ar1点以下の温度域における圧下率
が12%と、本発明の範囲の下限を下回る条件により得ら
れた試料であるため、やはりフェライト結晶粒に加工歪
を充分に付与することができず、磁気特性が向上してい
ないことがわかる。
試料No.20ないし試料No.22は、試料No.3ないし試料No.
5と同一の、標準の組成の鋼片を用い、熱間圧延終了温
度、Ar1点以下の温度域における圧下率および熱処理温
度が、それぞれ本発明の範囲の上限、下限および上限を
超えた条件により得られた試料であるため、いずれにし
てもフェライト結晶粒を充分に粗大化することができな
かった(フェライト結晶粒度番号:1.7〜2.8)ため、磁
気特性が向上していないことがわかる。
試料No.23および試料No.24は、熱間圧延終了温度および
熱処理温度が、それぞれ本発明の範囲の上限を超えた条
件により得られた試料であるため、やはり磁気特性が向
上していないことがわかる。
試料No.25および試料No.26は、熱間圧延温度、およびAr
1点以下の温度域における圧下率がそれぞれ本発明の範
囲の上限、下限を超えた条件により得られた試料である
ため、やはり磁気特性が向上していないことがわかる。
試料No.27は熱間圧延終了温度が高過ぎたために、Ar1
以下の温度域における圧下率が本発明の範囲の下限を下
回った条件により得られた試料であるため、やはり磁気
特性が向上していないことがわかる。
試料No.28、試料No.29および試料No.30は、主として用
いた鋼片中のC、sol.Al、Mnの含有量が、それぞれ本発
明の範囲を超えているため、鋼片の減磁率が増加し、や
はり磁気特性が向上していないことがわかる。
(発明の効果) 以上詳述したように、本発明により、例えば漏洩磁気を
遮断するのに好適な、優れた磁気特性を窮する磁気シー
ルド用電磁鋼板を得ることが可能となった。
かかる効果を有する本発明の意義は、極めて著しい。
【図面の簡単な説明】
第1図は、磁場10eにおける磁束密度B1に対するフェラ
イト結晶粒度番号の影響を示すグラフ; および 第2図は、最大透磁率μmaxに対するフェライト結晶
粒度番号の影響を示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、 C:0.05%以下、Si:0.30%超〜1.50%、 Mn:0.50%以下、sol.Al:0.005%未満 残部Feおよび不可避的不純物 からなる鋼組成を有し、フェライト結晶粒度番号が0以
    下であることを特徴とする磁気シールド用電磁鋼板。
  2. 【請求項2】請求項1記載の鋼組成を有する鋼片をAc3
    点以上の温度域に加熱した後、熱間加工を開始し、Ar1
    点以下の温度域における圧下率が20%以上となるように
    して熱間加工を終了し、冷却した後、850℃以上Ac1点以
    下の温度域に加熱する処理を行うことを特徴とする磁気
    シールド用電磁鋼板の製造方法。
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