JPH0689400B2 - 無方向性直流磁化用電磁厚板の製造方法 - Google Patents

無方向性直流磁化用電磁厚板の製造方法

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JPH0689400B2 JP15464488A JP15464488A JPH0689400B2 JP H0689400 B2 JPH0689400 B2 JP H0689400B2 JP 15464488 A JP15464488 A JP 15464488A JP 15464488 A JP15464488 A JP 15464488A JP H0689400 B2 JPH0689400 B2 JP H0689400B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 近年最先端科学技術である素粒子研究や医療機器の進歩
に伴って、大型構造物に磁気を用いる装置が使われ、そ
の性能向上が求められている。
本発明はここにおいて直流磁化条件で使用される磁石の
鉄心用、あるいは磁場を遮蔽するのに必要な磁気シール
ド用の磁束密度の高い電磁厚鋼板の製造法に関するもの
である。
[従来の技術] 磁束密度に優れた電磁鋼板としては、従来から薄板分野
で珪素鋼板、電磁軟鉄板をはじめとする数多くの材料が
提供されているのは公知である。しかし、構造部材とし
て使用するには組み立て加工及び強度上の問題があり、
厚鋼板を利用する必要が生じてくる。これまで電磁厚板
としては純鉄系成分で製造されている。たとえば、特開
昭60−96749号公報が公知である。
しかしながら、近年の装置の大型化、能力の向上等に伴
いさらに磁気特性の優れた、とくに低磁場、たとえば80
A/mでの磁束密度の高い鋼材開発の要望が強い。前掲の
特許等で開発された鋼材では、80A/mでの低磁場での高
い磁束密度が安定して得られない。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は以上の点を鑑みなされたもので、低磁場
での磁束密度の高く、その板厚方向での磁気特性差の少
ない無方向性直流磁化用電磁厚板の製造方法を提供する
ことにある。
[課題を解決するための手段] 本発明の要旨は次の通りである。
(1)重量%で、 C:0.01%以下、Si:0.02%以下、Mn:0.20%以下、P:0.01
5%以下、S:0.010%以下、Cr:0.05%以下、Mo:0.01%以
下、Cu:0.01%以下、Ca:0.0005〜0.01%、Al:0.005%以
下、N:0.004%以下、O:0.005%以下、H:0.0002%以下、
残部実質的に鉄からなる鋼組成の鋼片または、鋳片を11
50〜1300℃に加熱し、仕上げ温度を900℃以上となる条
件下で圧延形状比Aが0.7以上の圧延パスを1回以上と
る圧延を行い、板厚50mm以上の厚板とし、該厚板を600
〜750℃の温度で脱水素熱処理を行うことを特徴とする
磁場80A/mでの磁束密度が0.8テスラ以上の磁気特性を有
する無方向性直流磁化用電磁厚板の製造方法。
ただし、 A:圧延形状比 hi:入側板厚(mm) ho:出側板厚(mm) R:圧延ロール半径(mm) (2)板厚50mm以上の厚板を脱水素熱処理後750〜950℃
で焼鈍するかあるいは910〜1000℃で焼準することを特
徴とする(1)記載の無方向性直流磁化用電磁厚板の製
造法。
(3)重量%で、 C:0.01%以下、Si:0.02%以下、Mn:0.20%以下、P:0.01
5%以下、S:0.010%以下、Cr:0.05%以下、Mo:0.01%以
下、Cu:0.01%以下、Ca:0.0005〜0.01%、Al:0.005%以
下、N:0.004%以下、O:0.005%以下、H:0.0002%以下、
残部実質的に鉄からなる鋼組成の鋼片または、鋳片を11
50〜1300℃に加熱し、仕上げ温度を900℃以上となる条
件下で圧延形状比Aが0.7以上の圧延パスを1回以上と
る圧延を行い、板厚20mm以上50mm未満の厚板とし、該厚
板を750〜950℃の温度で焼鈍するかあるいは910〜1000
℃の温度で焼準することを特徴とする磁場80A/mでの磁
束密度が0.8テスラ以上の磁気特性を有する無方向性直
流磁化用電磁厚板の製造方法。
ただし、 A:圧延形状比 hi:入側板厚(mm) ho:出側板厚(mm) R:圧延ロール半径(mm) [作用] まず、低磁場での磁束密度を高くするために磁化のプロ
セスについて述べると、消磁状態の鋼を磁界の中に入
れ、磁界を強めていくと次第に磁区の向きに変化が生
じ、磁界の方向に近い磁区が優勢になり他の磁区を蚕食
併合していく。つまり、磁壁の移動が起こる。
さらに磁界が強くなり磁壁の移動が完了すると、次に磁
区全体の磁力方向が向きを変えていく。この磁化プロセ
スの中で、低磁場での磁束密度を決めるのは磁壁の移動
しやすさである。つまり低磁場で高磁束密度を得るため
には、磁壁の移動を障害するものを極力減らすことであ
る。
発明者らはここにおいて、低磁場で高磁束密度を得るた
めの手段として、粒径への元素の効果と内部応力の原因
となる元素及び空隙性欠陥の作用につき、詳細な検討を
行い低磁場で高磁束密度特性を有する鋼板の製造法を発
明したものである。
まず、粗粒化のためには、結晶粒微細化作用を有するAl
Nを減少するため、Al,Nの低下することが必要である。
特に、Alについては第1図に示すように低くするに従い
フェライト粒の粒成長が起こるが、無添加の領域、つま
り0.005%以下になると結晶粒の異常な粒成長が起こる
ことを知見した。ただし、Alを無添加にすると別の脱酸
剤を添加する必要がある。
本発明者らはここにおいて、このAlに代わる脱酸剤でか
つ低磁場での磁束密度を低下させない元素としてCaがよ
いことを知見した。
さらに、製造方法としては、加熱温度を極力上げ加熱オ
ーステナイト粒の粗大化、圧延仕上げ温度を極力高めに
し、圧延による結晶粒の微細化を防止すること並びに圧
延後の焼鈍をすることである。
内部応力減少のためには、Cの低下が必要である。第2
図に示す0.01Si-0.1Mn-0.01Al鋼にあってC含有量の増
加につれ低磁場(80A/m)での磁束密度が低下すること
がわかる。
さらに鋼中の水素の存在も有害で、第3図に示すよう
に、脱水素熱処理を行うことによって磁気特性が大幅に
向上することを知見した。第3図で示すように0.007C-
0.01Si-0.1Mn鋼にあって高形状比圧延により空隙性欠陥
のサイズを100μ以下にし、かつ、脱水素熱処理により
鋼中水素を減少することで内部応力も減少し低磁場での
磁束密度が大幅に上昇することがわかる。
空隙性欠陥の影響についても種々検討した結果、そのサ
イズが100μ以上のものが磁気特性を大幅に低下するこ
とを知見した。そしてこの空隙性欠陥をなくすためには
圧延形状比Aが0.7以上が必要であることを見出した。
さらに、磁気特性の均質性を確保することも重要である
が、本発明による方法によれば、これに対しても極めて
有効な手段である。
次に本発明の成分限定理由をのべる。
Cは鋼中の内部応力を高め、磁気特性、とくに低磁場で
の磁束密度を最も下げる元素であり、極力下げることが
低磁場での磁束密度を低下させないことに寄与する。ま
た、磁気時効の点からも低いほど経時劣化が少なく、磁
気特性の良い状態で恒久的に使用できるものであり、こ
のようなことから0.010%以下に限定する。第2図に示
すようにさらに0.005%以下にすることにより一層高磁
束密度が得られる。
Si,Mnは低磁場での磁束密度の点から少ない方が好まし
く、MnはMnS系介在物を生成する点からも低い方がよ
い。この意味からSiは0.02%以下、Mnは0.20%以下に限
定する。Mnに関してはMnS系介在物が生成する点より、
さらに望ましくは0.10%以下がよい。
P,S,Oは鋼中において非金属介在物を形成し、かつ偏析
することにより磁壁の移動を妨げる害を及ぼし、含有量
が多くなるに従って磁束密度の低下が見られ、磁気特性
を低下させるので少ないほどよい。このためPは0.015
%以下、Sは0.010%以下、Oは0.005%以下とした。
Cr,Mo,Cuは低磁場での磁束密度を低下させるので少ない
程好ましく、また偏析度合を少なくすることから極力低
くすることが必要であり、この意味からCrは0.05%以
下、Moは0.01%以下、Cuは0.01%以下とする。
CaはAlに代わる脱酸元素として用いるため0.0005%以上
添加されるが、0.01%以上では低磁場での磁束密度を低
下させるので、0.0005〜0.01%に限定する。
AlはAlNを生成し結晶粒微細化作用を有するため極力低
下させる必要があるので、0.005%以下とする。
Nは内部応力を高めかつAlNにより結晶粒微細化作用に
より、低磁場での磁束密度を低下させるので上限は、0.
004%以下とする。
Hは電磁特性を低下させ、かつ、空隙性欠陥の減少を妨
げるので0.0002%以下とする。
次に製造法について述べる。
圧延条件については、まず圧延前加熱温度を1150℃以上
にするのは加熱オーステナイト粒を粗大化し磁気特性を
よくするためである。1300℃を超す加熱はスケールロス
の防止、省エネルギーの観点から不必要であるため上限
を1300℃とした。圧延仕上げ温度については、900℃以
下の仕上げでは、低温圧延により結晶粒が微細化し、磁
気特性が低下するため結晶粒の粗大化による磁束密度の
上昇を狙い900℃以上とした。
さらに熱間圧延にあたり前述の空隙性欠陥は鋼の凝固過
程で大小はあるが、必ず発生するものでありこれをなく
す手段は圧延によらなければならないので、熱間圧延の
役目は重要である。
すなわち、熱間圧延1回当たりの変形量を大きくし板厚
中心部にまで変形が及ぶ熱間圧延が有効である。具体的
には圧延形状比Aが0.7以上の圧延パスが1回以上を含
む高形状比圧延を行い、空隙性欠陥のサイズを100μ以
下にすることが電磁特性によい。
圧延中にこの高形状比圧延により空隙性欠陥をなくすこ
とで、後で行う脱水素熱処理における脱水素効率が飛躍
的に上昇するのである。
次に熱間圧延に引き続き結晶粒粗大化、内部歪除去及び
板厚50mm以上の厚手材については脱水素熱処理を施す。
板厚50mm以上では水素の拡散がしにくく、これが空隙性
欠陥の原因となり、かつ、水素自身の作用と合わさって
低磁場での磁束密度を低下させる。このため、脱水素熱
処理を行うがこの脱水素熱処理温度としては600℃未満
では脱水素効率が悪く750℃超では変態が一部開始する
ので600〜750℃の温度範囲で行う。
脱水素時間としては種々検討の結果〔0.6(t−50)+
6〕時間(t:板厚)が適当である。
焼鈍は結晶粒粗大化及び内部歪除去のために行うが、75
0℃未満では結晶粒粗大化が起こらず、また、950℃以上
では結晶粒の板厚方向の均質性が保てないため、焼鈍温
度としては750〜950℃に限定する。
焼準は板厚方向の結晶粒調整及び内部歪除去のために行
うが、焼準温度は910〜1000℃に限定する。910℃未満で
はオーステナイト域とフェライト域の混在により結晶粒
が混粒となり、1000℃超では結晶粒の板厚方向の均質性
が保てない。なお、磁気特性向上のためには、結晶粒粗
大化と内部歪除去とが考えられるが、特に内部歪み除去
は必須条件である。内部歪み除去は、板厚50mm以上の厚
手材では脱水素熱処理で行うことができる。したがっ
て、本発明の厚手材では脱水素熱処理で、上記焼鈍ある
いは焼準を兼ねることができる。
一方、板厚20mm以上50mm未満のものは水素の拡散が容易
なため、脱水素熱処理は不要で前述の焼鈍または焼準を
施せば良い。
〔実施例〕
第1表に電磁厚板の製造条件とフェライト粒径、低磁場
での磁束密度を示す。
例1〜12は本発明の実施例を示し、例13〜33は比較例を
示す。
例1〜7は板厚100mmに仕上げたもので、均一かつ粗粒
で高い磁気特性を示す。例1に比べ、さらに例4は低
C、例5,6は低Mn、例7は低Alであり、より高い磁気特
性を示す。
例8〜10は500mm、例11は40mm、例12は20mmに仕上げた
もので、均一かつ粗粒で高い磁気特性を示す。
例13はCが高く、例14はSiが高く、例15はMnが高く、例
16はPが高く、例17はSが高く、例18はCrが高く、例19
はMoが高く、例20はCuが高く、例21はCaが高く、例22,2
3はAlが高く、例24はNが高く、例25はOが高く、例26
はHが高く、それぞれ上限を超えるため低磁気特性値と
なっている。
例27は加熱温度が下限をはずれ、例28は圧延仕上げ温度
が下限をはずれ、例29は最大形状比が下限をはずれ、例
30は脱水素熱処理温度が下限をはずれ、例31は焼鈍温度
が下限をはずれ、例32は焼準温度が上限を超え、例33は
脱水素熱処理がないため低磁気特性値となっている。
[発明の効果] 以上詳細に述べた如く、本発明によれば適切な成分限定
により、板厚の厚み厚鋼板に均質な高電磁特性を具備せ
しめることに成功し、直流磁化による磁気性質を利用す
る構造物に適用可能としたものであり、かつその製造法
も前述の成分限定と、熱間圧延後結晶粒調整及び脱水素
熱処理を同時に行う方式であり、極めて経済的な製造法
を提供するもので、産業上多大な効果を奏するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はフェライト粒径に及ぼすAl含有量の影響を示す
グラフ、第2図は80A/mにおける磁束密度に及ぼすC含
有量の影響を示すグラフ、第3図は80A/mにおける磁束
密度に及ぼす空隙性欠陥の大きさ及び脱水素熱処理の影
響を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.01%以下、Si:0.02%以
    下、Mn:0.20%以下、P:0.015%以下、S:0.010%以下、C
    r:0.05%以下、Mo:0.01%以下、Cu:0.01%以下、Ca:0.0
    005〜0.01%、Al:0.005%以下、N:0.004%以下、O:0.00
    5%以下、H:0.0002%以下、残部実質的に鉄からなる鋼
    組成の鋼片または、鋳片を1150〜1300℃に加熱し、仕上
    げ温度を900℃以上となる条件下で圧延形状比Aが0.7以
    上の圧延パスを1回以上とる圧延を行い、板厚50mm以上
    の厚板とし、該厚板を600〜750℃の温度で脱水素熱処理
    を行うことを特徴とする磁場80A/mでの磁束密度が0.8テ
    スラ以上の磁気特性を有する無方向性直流磁化用電磁厚
    板の製造方法。 ただし、 A:圧延形状比 hi:入側板厚(mm) ho:出側板厚(mm) R:圧延ロール半径(mm)
  2. 【請求項2】板厚50mm以上の厚板を脱水素熱処理後750
    〜950℃で焼鈍するかあるいは910〜1000℃で焼準するこ
    とを特徴とする(1)記載の無方向性直流磁化用電磁厚
    板の製造方法。
  3. 【請求項3】重量%で、C:0.01%以下、Si:0.02%以
    下、Mn:0.20%以下、P:0.015%以下、S:0.010%以下、C
    r:0.05%以下、Mo:0.01%以下、Cu:0.01%以下、Ca:0.0
    005〜0.01%、Al:0.005%以下、N:0.004%以下、O:0.00
    5%以下、H:0.0002%以下、残部実質的に鉄からなる鋼
    組成の鋼片または、鋳片を1150〜1300℃に加熱し、仕上
    げ温度を900℃以上となる条件下で圧延形状比Aが0.7以
    上の圧延パスを1回以上とる圧延を行い、板厚20mm以上
    50mm未満の厚板とし、該厚板を750〜950℃の温度で焼鈍
    するかあるいは910〜1000℃の温度で焼準することを特
    徴とする磁場80A/mでの磁束密度が0.8テスラ以上の磁気
    特性を有する無方向性直流磁化用電磁厚板の製造方法。 ただし、 A:圧延形状比 hi:入側板厚(mm) ho:出側板厚(mm) R:圧延ロール半径(mm)
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