JP2503122B2 - 磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造方法 - Google Patents
磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造方法Info
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Description
気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造方法を提供する
ものである。
医療機器の進歩に伴って、大型構造物に磁気を用いる装
置が使われ、その性能向上が求められている。直流磁化
条件で使用される粒子加速器用磁極材、リターンヨーク
材では、高い飽和磁束密度の他に、高強度で10Oe
(800A/m)付近の中磁場での高い磁束密度が求め
られている。
から薄板分野で珪素鋼板、電磁軟鉄板をはじめとする数
多くの材料が提供されているのは公知である。しかし、
構造部材として使用するには組立加工及び強度上の問題
があり、厚鋼板を利用する必要が生じてくる。これまで
電磁厚板としては純鉄系成分で製造されている。たとえ
ば、特開昭60−96749号公報が公知である。
の向上に伴い、強度の高い、さらに磁気特性の優れた、
特に中磁場、例えば10Oe(800A/m)付近での
磁束密度の高い鋼材開発の要望が強い。前掲の特許等で
開発された鋼材では、10Oe付近での中磁場の高い磁
束密度が安定して得られていない。
点を鑑みなされたもので、高強度で、中磁場での磁気特
性の優れた無方向性電磁厚板の製造方法を提供するもの
である。
0.01%以下、Si:0.02%以下、Mn:0.2
0%以下、S:0.010%以下、Al:0.040%
以下、N:0.004%以下、O:0.005%以下、
H:0.0002%以下、残部実質的に鉄からなる鋼組
成の鋼片または、鋳片を950〜1150℃に加熱し、
800℃以上で圧延形状比Aが0.6以上の圧延パスを
1回以上はとる圧延を行ない、引き続き800℃以下で
圧下率を35〜70%とする圧延を行なうことを特徴と
する高強度で、中磁場での磁気特性の優れた無方向性電
磁厚板の製造方法である。
壁の移動の障害となる結晶粒の粗大化が重要な技術とな
っていた(特開昭60−96749号公報)。これに対
し、中磁場で高磁束密度を得るための方法については知
見がなかった。
密度を得るためには、従来言われていた磁壁を移動しや
すくするための結晶粒の粗大化よりも、磁化容易方向が
板面に平行な方向を向いていることが重要であることを
見出した。つまり、〔100〕方向が板面に平行な方向
にランダムとなることで、中磁場の磁気特性が大幅に向
上することを見出したのである。
である値以上の圧下率を施し、かつ、圧延ままで製品と
することが重要であることを見出した。これらのための
熱間圧延条件として、800℃以下において35%以上
70%以下の圧下率をとることで、〔100〕の結晶方
位を圧延方向に平行にランダムとなると同時に、高強度
が得られる。
0.018Al鋼での800℃以下の圧下率と10Oe
での磁束密度を示す。35〜70%の圧下により、高磁
束密度が得られる。さらに中磁場での高磁束密度を得る
ための手段として、内部応力の原因となる元素及び空隙
性欠陥の作用につき詳細な検討を行ない、所期の目的を
達成した。また、空隙性欠陥の影響についても種々検討
した結果、そのサイズが100μ以上のものが磁気特性
を大幅に低下することを知見したものである。そしてこ
の100μ以上の有害な空隙性欠陥をなくすためには圧
延形状比Aが0.6以上必要であることを見出した。
部応力を高め、磁気特性、特に低磁場での磁束密度を最
も下げる元素であり、極力下げることが中磁場での磁束
密度を低下させないことに寄与する。また、磁気時効の
点からも低いほど経時低下が少なく、磁気特性の良い状
態で恒久的に使用できるものであり、このようなことか
ら、0.01%以下に限定する。図2に示すようにさら
に、0.005%以下にすることにより一層高磁束密度
が得られる。
少ない方が好ましく、MnはMnS系介在物を生成する
点からも低い方がよい。この意味からSiは0.02%
以下、Mnは0.20%以下に限定する。Mnに関して
はMnS系介在物を生成する点よりさらに望ましくは
0.10%以下がよい。
し、結晶粒の粗大化を妨げる害を及ぼし含有量が多くな
るに従って磁束密度の低下が見られ、磁気特性を低下さ
せるので少ない程よい。このため、Sは0.010%以
下、Oは0.005%以下とした。
多くなりすぎると介在物を生成し鋼の性質を損なうので
上限は0.040%とする。さらに結晶粒粗大化を妨げ
る析出物であるAlNを減少させるためには低いほどよ
く、望ましくは0.020%以下がよい。
粒微細化作用により中磁場での磁束密度を低下させるの
で上限は0.004%とする。Hは磁気特性を低下さ
せ、かつ、空隙性欠陥の減少を妨げるので0.0002
%以下とする。
いては、まず圧延前加熱温度を1150℃以下にするの
は、1150℃を超える加熱温度では、加熱γ粒径の板
厚方向のバラツキは大きく、このバラツキが圧延後も残
り最終的な結晶粒が不均一となるため、上限を1150
℃とする。加熱温度が950℃未満となると圧延の変形
抵抗が大きくなり、以下に述べる空隙性欠陥をなくすた
めの形状比の高い圧延負荷が大きくなるため、950℃
を下限とする。
凝固過程で大小はあるが、必ず発生するものでありこれ
をなくす手段は圧延によらなければならないので、熱間
圧延の役目は重要である。すなわち、熱間圧延1回当た
りの変形量を大きくし板厚中心部にまで変形が及ぶ熱間
圧延が有効である。具体的には圧延形状比Aが0.6以
上の圧延パスが1回以上を含む高形状比圧延を行ない、
空隙性欠陥のサイズを100μ以下にすることが磁気特
性によい。
率35%以上にすることにより、〔100〕の結晶方位
を圧延方向に平行にランダムとする。ただし70%超の
圧下率になると、熱処理後結晶粒度が板厚方向に不均一
になり、磁束密度のばらつきを大きくする。さらに、図
3に示すように、800℃以下の温度において累積圧下
率を35%以上にすることにより高強度が得られる。従
って、高強度で、中磁場で高い磁気特性を得るために、
圧下率を35〜70%とする。
径、中磁場での磁束密度を示す。
20は比較例を示す。例1〜5は板厚75mmに仕上げた
もので、高強度で、中磁場で高磁束密度を示す。例1に
比べ、例2はさらに低C、例3,4は低Mn、例5は低
Alであり、より高い磁気特性を示す。例6は350m
m、例7は40mm、例8は6mmに仕上げたもので、高磁
束密度である。
11はMnが高く、例12はSが高く、例13はAlが
高く、例14はNが高く、例15はOが高く、例16は
Hが高く、それぞれ上限を超えるため低磁気特性値とな
っている。例17は加熱温度が上限を超え低磁束密度と
なっている。例18は加熱温度が下限をはずれ最大形状
比が小さいため、低磁束密度となっている。例19は8
00℃以下の圧下率が下限をはずれ、強度が低く、低磁
束密度となっている。例20は最大形状比が下限をはず
れ低磁束密度となっている。
厚い厚鋼板に均質な高電磁特性を具備せしめることに成
功し、直流磁化による磁気特性を利用する構造物に適用
可能としたものであり、かつその製造方法も前述の成分
限定と熱間圧延を行なう方式であり、極めて経済的に製
造する方法を提供するもので、産業上多大な効果を奏す
るものである。
下の圧下率の影響を示すグラフである。
影響を示すグラフである。
を示すグラフである。
Claims (1)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.01%以下、 Si:0.02%以下、 Mn:0.20%以下、 S :0.010%以下、 Al:0.040%以下、 N :0.004%以下、 O :0.005%以下、 H :0.0002%以下、 残部実質的に鉄からなる鋼組成の鋼片または、鋳片を9
50〜1150℃に加熱し、800℃以上で圧延形状比
Aが0.6以上の圧延パスを1回以上はとる圧延を行な
い、引き続き800℃以下で圧下率を35〜70%とす
る圧延を行なうことを特徴とする高強度で中磁場での磁
気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造方法。 【数1】
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3104487A JP2503122B2 (ja) | 1991-05-09 | 1991-05-09 | 磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3104487A JP2503122B2 (ja) | 1991-05-09 | 1991-05-09 | 磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04333517A JPH04333517A (ja) | 1992-11-20 |
JP2503122B2 true JP2503122B2 (ja) | 1996-06-05 |
Family
ID=14381911
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3104487A Expired - Lifetime JP2503122B2 (ja) | 1991-05-09 | 1991-05-09 | 磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2503122B2 (ja) |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63171825A (ja) * | 1987-01-12 | 1988-07-15 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 歪付与型強磁性厚鋼板 |
JPH079040B2 (ja) * | 1989-03-16 | 1995-02-01 | 新日本製鐵株式会社 | 切削性が良く板厚方向の磁気特性の均一な良電磁厚板の製造方法 |
JP2609723B2 (ja) * | 1989-05-31 | 1997-05-14 | 株式会社東芝 | 増幅回路 |
JP2503110B2 (ja) * | 1991-02-20 | 1996-06-05 | 新日本製鐵株式会社 | 磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造方法 |
-
1991
- 1991-05-09 JP JP3104487A patent/JP2503122B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04333517A (ja) | 1992-11-20 |
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