JP2503111B2 - 磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造法 - Google Patents
磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造法Info
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- JP2503111B2 JP2503111B2 JP3026495A JP2649591A JP2503111B2 JP 2503111 B2 JP2503111 B2 JP 2503111B2 JP 3026495 A JP3026495 A JP 3026495A JP 2649591 A JP2649591 A JP 2649591A JP 2503111 B2 JP2503111 B2 JP 2503111B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は中磁場での磁気特性が高
く、かつ、高い固有抵抗値を有する無方向性電磁厚板の
製造法に関するものである。
く、かつ、高い固有抵抗値を有する無方向性電磁厚板の
製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年最先端科学技術である素粒子研究や
医療機器の進歩に伴って、大型構造物に磁気を用いる装
置が使われ、その性能向上が求められている。直流磁化
条件で使用される粒子加速器用磁極材、リターンヨーク
材では、高い飽和磁束密度の他に5Oe(400A/
m)付近の中磁場での高い磁束密度が求められている。
医療機器の進歩に伴って、大型構造物に磁気を用いる装
置が使われ、その性能向上が求められている。直流磁化
条件で使用される粒子加速器用磁極材、リターンヨーク
材では、高い飽和磁束密度の他に5Oe(400A/
m)付近の中磁場での高い磁束密度が求められている。
【0003】磁束密度に優れた電磁鋼板としては、従来
から薄板分野で珪素鋼板、電磁軟鉄板をはじめとする数
多くの材料が提供されているのは公知である。しかし、
構造部材として使用するには組立加工及び強度上の問題
があり、厚鋼板を利用する必要が生じてくる。これまで
電磁厚板としては純鉄系成分で製造されている。たとえ
ば、特開昭60−96749号公報が公知である。しか
しながら、近年の装置の大型化、能力の向上等に伴いさ
らに磁気特性の優れた、特に中磁場、たとえば5Oe
(400A/m)付近での磁束密度の高い鋼材開発の要
望が強い。従来5Oe付近での中磁場の高い磁束密度が
安定して得られていない。
から薄板分野で珪素鋼板、電磁軟鉄板をはじめとする数
多くの材料が提供されているのは公知である。しかし、
構造部材として使用するには組立加工及び強度上の問題
があり、厚鋼板を利用する必要が生じてくる。これまで
電磁厚板としては純鉄系成分で製造されている。たとえ
ば、特開昭60−96749号公報が公知である。しか
しながら、近年の装置の大型化、能力の向上等に伴いさ
らに磁気特性の優れた、特に中磁場、たとえば5Oe
(400A/m)付近での磁束密度の高い鋼材開発の要
望が強い。従来5Oe付近での中磁場の高い磁束密度が
安定して得られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は以上の
点を鑑みなされたもので、中磁場での磁気特性が高く、
かつ、高い固有抵抗値を有する磁気特性の優れた無方向
性電磁厚板の製造法を提供することである。
点を鑑みなされたもので、中磁場での磁気特性が高く、
かつ、高い固有抵抗値を有する磁気特性の優れた無方向
性電磁厚板の製造法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は次の通り
である。 (1) 重量%で、C:0.01%以下、Si:0.1
〜4.0%、Mn:0.20%以下、S:0.010%
以下、Al:0.040%以下、N:0.004%以
下、O:0.005%以下、H:0.0002%以下、
残部実質的に鉄からなる鋼組成の鋼片または、鋳片を9
50〜1150℃に加熱し、800℃以上で圧延形状比
Aが0.6以上の圧延パスを1回以上はとる圧延を行な
い、引き続き800℃以下で圧下率を35%超70%以
下とする圧延を行ない、板厚50mm以上の厚板とし、該
厚板を600〜750℃で脱水素熱処理を行なうことを
特徴とする中磁場での磁気特性が高く、かつ、高い固有
抵抗値を有する磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製
造法。
である。 (1) 重量%で、C:0.01%以下、Si:0.1
〜4.0%、Mn:0.20%以下、S:0.010%
以下、Al:0.040%以下、N:0.004%以
下、O:0.005%以下、H:0.0002%以下、
残部実質的に鉄からなる鋼組成の鋼片または、鋳片を9
50〜1150℃に加熱し、800℃以上で圧延形状比
Aが0.6以上の圧延パスを1回以上はとる圧延を行な
い、引き続き800℃以下で圧下率を35%超70%以
下とする圧延を行ない、板厚50mm以上の厚板とし、該
厚板を600〜750℃で脱水素熱処理を行なうことを
特徴とする中磁場での磁気特性が高く、かつ、高い固有
抵抗値を有する磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製
造法。
【数3】
【0006】(2) 板厚50mm以上の厚板を脱水素処
理後、750〜1150℃で焼鈍するかあるいは910
〜1200℃で焼準することを特徴とする(1)記載の
中磁場での磁気特性が高く、かつ、高い固有抵抗値を有
する磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造法。
理後、750〜1150℃で焼鈍するかあるいは910
〜1200℃で焼準することを特徴とする(1)記載の
中磁場での磁気特性が高く、かつ、高い固有抵抗値を有
する磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造法。
【0007】(3) 重量%で、C:0.01%以下、
Si:0.1〜4.0%、Mn:0.20%以下、S:
0.010%以下、Al:0.040%以下、N:0.
004%以下、O:0.005%以下、H:0.000
2%以下、残部実質的に鉄からなる鋼組成の鋼片また
は、鋳片を950〜1150℃に加熱し、800℃以上
で圧延形状比Aが0.6以上の圧延パスを1回以上はと
る圧延を行ない、引き続き800℃以下で圧下率を35
%超70%以下とする圧延を行ない、板厚50mm未満の
厚板とし、該厚板を750〜1150℃で焼鈍するかあ
るいは910〜1200℃で焼準することを特徴とする
中磁場での磁気特性が高く、かつ、高い固有抵抗値を有
する磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造法。
Si:0.1〜4.0%、Mn:0.20%以下、S:
0.010%以下、Al:0.040%以下、N:0.
004%以下、O:0.005%以下、H:0.000
2%以下、残部実質的に鉄からなる鋼組成の鋼片また
は、鋳片を950〜1150℃に加熱し、800℃以上
で圧延形状比Aが0.6以上の圧延パスを1回以上はと
る圧延を行ない、引き続き800℃以下で圧下率を35
%超70%以下とする圧延を行ない、板厚50mm未満の
厚板とし、該厚板を750〜1150℃で焼鈍するかあ
るいは910〜1200℃で焼準することを特徴とする
中磁場での磁気特性が高く、かつ、高い固有抵抗値を有
する磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造法。
【数4】
【0008】
【作用】まず、磁化のプロセスについて述べる。消磁状
態の鋼を磁界の中に入れ、磁界を強めていくと次第に磁
区の向きに変化が生じ、磁界の方向に近い磁区が優勢に
なり他の磁区を蚕食併合していく。つまり、磁壁の移動
が起こる。さらに磁界が強くなり磁壁の移動が完了する
と、次に磁区全体が磁化方向に向きを変えていく。
態の鋼を磁界の中に入れ、磁界を強めていくと次第に磁
区の向きに変化が生じ、磁界の方向に近い磁区が優勢に
なり他の磁区を蚕食併合していく。つまり、磁壁の移動
が起こる。さらに磁界が強くなり磁壁の移動が完了する
と、次に磁区全体が磁化方向に向きを変えていく。
【0009】この磁化プロセスの中で低磁場での磁束密
度を決めているのは、磁壁の移動しやすさである。つま
り低磁場で高磁束密度を得るためには、磁壁の移動を障
害するものを極力減らすことであると定性的に言うこと
ができる。この観点から従来磁壁の移動の障害となる結
晶粒の粗大化が重要な技術となっていた(特開昭60−
96749号公報)。これに対し、中磁場で高磁束密度
を得るための方法については知見がなかった。
度を決めているのは、磁壁の移動しやすさである。つま
り低磁場で高磁束密度を得るためには、磁壁の移動を障
害するものを極力減らすことであると定性的に言うこと
ができる。この観点から従来磁壁の移動の障害となる結
晶粒の粗大化が重要な技術となっていた(特開昭60−
96749号公報)。これに対し、中磁場で高磁束密度
を得るための方法については知見がなかった。
【0010】発明者らは、ここにおいて中磁場で高磁束
密度を得るためには、単に結晶粒の粗大化だけでなく、
隣あった結晶粒間の磁化の方向が圧延方向に平行に揃っ
ていることが重要であることを見出した。超粗大粒で
も、細粒でもない比較的粗粒(フェライト粒度No.が0
〜4番程度)でかつ(100)方向が圧延方向に平行に
ランダムとなることで中磁場の磁気特性が大幅に向上す
ることを見出したのである。
密度を得るためには、単に結晶粒の粗大化だけでなく、
隣あった結晶粒間の磁化の方向が圧延方向に平行に揃っ
ていることが重要であることを見出した。超粗大粒で
も、細粒でもない比較的粗粒(フェライト粒度No.が0
〜4番程度)でかつ(100)方向が圧延方向に平行に
ランダムとなることで中磁場の磁気特性が大幅に向上す
ることを見出したのである。
【0011】このための熱間圧延条件として、800℃
以下において35%超70%以下の圧下率をとること
で、圧延後の熱処理前の結晶粒を微細化して再結晶させ
やすくするとともに、鋼中に歪みを導入して、この歪み
を熱処理時の再結晶の駆動力とすることで、比較的大き
な結晶粒を板厚全体にわたって安定的に得ると同時に、
(100)の結晶方位を圧延方向に平行にランダムとな
る。
以下において35%超70%以下の圧下率をとること
で、圧延後の熱処理前の結晶粒を微細化して再結晶させ
やすくするとともに、鋼中に歪みを導入して、この歪み
を熱処理時の再結晶の駆動力とすることで、比較的大き
な結晶粒を板厚全体にわたって安定的に得ると同時に、
(100)の結晶方位を圧延方向に平行にランダムとな
る。
【0012】図1に0.008C−1.3Si−0.0
14Al鋼での800℃以下の圧下率と5Oeでの磁束
密度を示す。35超70%以下の圧下により、高磁束密
度が得られる。さらに中磁場での高磁束密度を得るため
の手段として、内部応力の原因となる元素及び空隙性欠
陥の作用につき詳細な検討を行ない、所期の目的を達成
した。
14Al鋼での800℃以下の圧下率と5Oeでの磁束
密度を示す。35超70%以下の圧下により、高磁束密
度が得られる。さらに中磁場での高磁束密度を得るため
の手段として、内部応力の原因となる元素及び空隙性欠
陥の作用につき詳細な検討を行ない、所期の目的を達成
した。
【0013】また、空隙性欠陥の影響についても種々検
討した結果、そのサイズが100μ以上のものが磁気特
性を大幅に低下することを知見したものである。そして
この100μ以上の有害な空隙性欠陥をなくすためには
圧延形状比Aが0.6以上必要であることを見出した。
討した結果、そのサイズが100μ以上のものが磁気特
性を大幅に低下することを知見したものである。そして
この100μ以上の有害な空隙性欠陥をなくすためには
圧延形状比Aが0.6以上必要であることを見出した。
【数5】
【0014】さらに、鋼中の水素の存在も有害で、特に
板厚50mm以上の厚板において、脱水素熱処理を行なう
ことによって磁気特性が大幅に向上することを知見し
た。高形状比圧延により空隙性欠陥のサイズを100μ
以下にし、かつ、脱水素熱処理により鋼中水素を減少す
ることで中磁場での磁束密度が大幅に上昇する。
板厚50mm以上の厚板において、脱水素熱処理を行なう
ことによって磁気特性が大幅に向上することを知見し
た。高形状比圧延により空隙性欠陥のサイズを100μ
以下にし、かつ、脱水素熱処理により鋼中水素を減少す
ることで中磁場での磁束密度が大幅に上昇する。
【0015】さらに、図3に示すように、鋼に高い固有
抵抗値を与え、かつ、Alの無添加の領域でAlに代わ
る脱酸剤として使える元素としてSiが最適であること
を知見した。
抵抗値を与え、かつ、Alの無添加の領域でAlに代わ
る脱酸剤として使える元素としてSiが最適であること
を知見した。
【0016】次に成分限定理由を述べる。Cは鋼中の内
部応力を高め、磁気特性、特に低磁場での磁束密度を最
も下げる元素であり、極力下げることが中磁場での磁束
密度を低下させないことに寄与する。また、磁気時効の
点からも低いほど経時低下が少なく、磁気特性の良い状
態で恒久的に使用できるものであり、このようなことか
ら、0.01%以下に限定する。図2に示すようにさら
に、0.005%以下にすることにより一層高磁束密度
が得られる。
部応力を高め、磁気特性、特に低磁場での磁束密度を最
も下げる元素であり、極力下げることが中磁場での磁束
密度を低下させないことに寄与する。また、磁気時効の
点からも低いほど経時低下が少なく、磁気特性の良い状
態で恒久的に使用できるものであり、このようなことか
ら、0.01%以下に限定する。図2に示すようにさら
に、0.005%以下にすることにより一層高磁束密度
が得られる。
【0017】Siは図3に示すように固有抵抗値、引張
強さを高めるには、不可欠な元素で、0.1%以上添加
する必要がある。しかし、4.0%を超えて添加すると
中磁場での磁束密度が低下するため、上限は4.0%と
する。Mnは中磁場での磁束密度の点から少ない方が好
ましく、MnS系介在物を生成する点からも低い方がよ
い。この意味からMnは0.20%以下に限定する。さ
らにMnS系介在物を生成する点より望ましくは0.1
0%以下がよい。
強さを高めるには、不可欠な元素で、0.1%以上添加
する必要がある。しかし、4.0%を超えて添加すると
中磁場での磁束密度が低下するため、上限は4.0%と
する。Mnは中磁場での磁束密度の点から少ない方が好
ましく、MnS系介在物を生成する点からも低い方がよ
い。この意味からMnは0.20%以下に限定する。さ
らにMnS系介在物を生成する点より望ましくは0.1
0%以下がよい。
【0018】S,Oは鋼中において非金属介在物を形成
し、結晶粒の粗大化を妨げる害を及ぼし含有量が多くな
るに従って磁束密度の低下が見られ、磁気特性を低下さ
せるので少ない程よい。このため、Sは0.010%以
下、Oは0.005%以下とした。Alは脱酸剤として
用いるもので、多くなりすぎると介在物を生成し鋼の性
質を損なうので上限は0.040%とする。さらに結晶
粒粗大化を妨げる析出物であるAlNを減少させるため
には低いほどよく、望ましくは0.020%以下がよ
い。Nは内部応力を高めかつAlNにより結晶粒微細化
作用により中磁場での磁束密度を低下させるので上限は
0.004%とする。Hは磁気特性を低下させ、かつ、
空隙性欠陥の減少を妨げるので0.0002%以下とす
る。
し、結晶粒の粗大化を妨げる害を及ぼし含有量が多くな
るに従って磁束密度の低下が見られ、磁気特性を低下さ
せるので少ない程よい。このため、Sは0.010%以
下、Oは0.005%以下とした。Alは脱酸剤として
用いるもので、多くなりすぎると介在物を生成し鋼の性
質を損なうので上限は0.040%とする。さらに結晶
粒粗大化を妨げる析出物であるAlNを減少させるため
には低いほどよく、望ましくは0.020%以下がよ
い。Nは内部応力を高めかつAlNにより結晶粒微細化
作用により中磁場での磁束密度を低下させるので上限は
0.004%とする。Hは磁気特性を低下させ、かつ、
空隙性欠陥の減少を妨げるので0.0002%以下とす
る。
【0019】次に製造法について述べる。圧延条件につ
いては、まず圧延前加熱温度を1150℃以下にするの
は、1150℃を超える加熱温度では、加熱γ粒径の板
厚方向のバラツキは大きく、このバラツキが圧延後も残
り最終的な結晶粒が不均一となるため、上限を1150
℃とする。加熱温度が950℃未満となると圧延の変形
抵抗が大きくなり、以下に述べる空隙性欠陥をなくすた
めの形状比の高い圧延の圧延負荷が大きくなるため、9
50℃を下限とする。
いては、まず圧延前加熱温度を1150℃以下にするの
は、1150℃を超える加熱温度では、加熱γ粒径の板
厚方向のバラツキは大きく、このバラツキが圧延後も残
り最終的な結晶粒が不均一となるため、上限を1150
℃とする。加熱温度が950℃未満となると圧延の変形
抵抗が大きくなり、以下に述べる空隙性欠陥をなくすた
めの形状比の高い圧延の圧延負荷が大きくなるため、9
50℃を下限とする。
【0020】熱間圧延にあたり前述の空隙性欠陥は鋼の
凝固過程で大小はあるが、必ず発生するものでありこれ
をなくす手段は圧延によらなければならないので、熱間
圧延の役目は重要である。すなわち、熱間圧延1回当た
りの変形量を大きくし板厚中心部にまで変形が及ぶ熱間
圧延が有効である。
凝固過程で大小はあるが、必ず発生するものでありこれ
をなくす手段は圧延によらなければならないので、熱間
圧延の役目は重要である。すなわち、熱間圧延1回当た
りの変形量を大きくし板厚中心部にまで変形が及ぶ熱間
圧延が有効である。
【0021】具体的には800℃以上で圧延形状比Aが
0.6以上の圧延パスが1回以上を含む高形状比圧延を
行ない、空隙性欠陥のサイズを100μ以下にすること
が磁気特性によい。圧延中にこの高形状比圧延により空
隙性欠陥をなくすことで、後で行なう脱水素熱処理にお
ける脱水素効率が飛躍的に上昇するのである。ここに8
00℃以上で高形状比圧延を行なう理由は、800℃未
満の低温では変形抵抗が大きく通常の圧延機では圧下が
困難となるからである。
0.6以上の圧延パスが1回以上を含む高形状比圧延を
行ない、空隙性欠陥のサイズを100μ以下にすること
が磁気特性によい。圧延中にこの高形状比圧延により空
隙性欠陥をなくすことで、後で行なう脱水素熱処理にお
ける脱水素効率が飛躍的に上昇するのである。ここに8
00℃以上で高形状比圧延を行なう理由は、800℃未
満の低温では変形抵抗が大きく通常の圧延機では圧下が
困難となるからである。
【0022】次に800℃以下の温度において累積圧下
率35%超にすることにより結晶粒を微細化するととも
に歪みを導入し、これに続く熱処理時の再結晶を促進さ
せる。さらにこの圧延により(100)の結晶方位を圧
延方向に平行にランダムとする。ただし70%超の圧下
率になると、熱処理後結晶粒度が板厚方向に不均一にな
り、磁束密度のばらつきを大きくする。従って板厚方向
に均一な比較的粗大な粒を得るために、圧下率を35%
超70%以下とする。
率35%超にすることにより結晶粒を微細化するととも
に歪みを導入し、これに続く熱処理時の再結晶を促進さ
せる。さらにこの圧延により(100)の結晶方位を圧
延方向に平行にランダムとする。ただし70%超の圧下
率になると、熱処理後結晶粒度が板厚方向に不均一にな
り、磁束密度のばらつきを大きくする。従って板厚方向
に均一な比較的粗大な粒を得るために、圧下率を35%
超70%以下とする。
【0023】次に熱間圧延に引き続き結晶粒粗大化、内
部歪除去及び板厚50mm以上の厚手材については脱水素
熱処理を施す。板厚50mm以上では水素の拡散がしにく
く、これが空隙性欠陥の原因となり、かつ、水素自身の
作用と合わさって中磁場での磁束密度を低下させる。こ
のため、脱水素熱処理を行なうが、その際600℃未満
では脱水素効率が悪く750℃超では変態が一部開始す
るので600〜750℃の温度範囲で行なう。脱水素時
間としては種々検討の結果〔0.6(t−50)+6〕
時間(t:板厚)が適当である。
部歪除去及び板厚50mm以上の厚手材については脱水素
熱処理を施す。板厚50mm以上では水素の拡散がしにく
く、これが空隙性欠陥の原因となり、かつ、水素自身の
作用と合わさって中磁場での磁束密度を低下させる。こ
のため、脱水素熱処理を行なうが、その際600℃未満
では脱水素効率が悪く750℃超では変態が一部開始す
るので600〜750℃の温度範囲で行なう。脱水素時
間としては種々検討の結果〔0.6(t−50)+6〕
時間(t:板厚)が適当である。
【0024】焼鈍は結晶粒粗大化及び内部歪除去のため
に行なうが、750℃未満では結晶粒粗大化が起こら
ず、また、1150℃超では結晶粒の板厚方向の均質性
が保てないため、焼鈍温度としては750〜1150℃
に限定する。
に行なうが、750℃未満では結晶粒粗大化が起こら
ず、また、1150℃超では結晶粒の板厚方向の均質性
が保てないため、焼鈍温度としては750〜1150℃
に限定する。
【0025】焼準は板厚方向の結晶粒調整及び内部歪除
去のために行なうが、焼準温度は910〜1200℃に
限定する。910℃未満ではオーステナイト域とフェラ
イト域の混在により結晶粒が混粒となり、1200℃超
では結晶粒の板厚方向の均一性が保てない。
去のために行なうが、焼準温度は910〜1200℃に
限定する。910℃未満ではオーステナイト域とフェラ
イト域の混在により結晶粒が混粒となり、1200℃超
では結晶粒の板厚方向の均一性が保てない。
【0026】なお、磁気特性向上のためには、結晶粒粗
大化と内部歪除去とが考えられるが、特に内部歪除去は
必須条件である。内部歪除去は、板厚50mm以上の厚手
材では脱水素熱処理で行うことができるので、本発明の
厚手材では脱水素熱処理で、上記焼鈍あるいは焼準を兼
ねることができる。
大化と内部歪除去とが考えられるが、特に内部歪除去は
必須条件である。内部歪除去は、板厚50mm以上の厚手
材では脱水素熱処理で行うことができるので、本発明の
厚手材では脱水素熱処理で、上記焼鈍あるいは焼準を兼
ねることができる。
【0027】
【実施例】次の本発明の実施例を比較例とともにあげ
る。表1に電磁厚板の製造条件とフェライト粒径、中磁
場での磁束密度を示す。
る。表1に電磁厚板の製造条件とフェライト粒径、中磁
場での磁束密度を示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】例1〜10は本発明の実施例を示し、例1
1〜26は比較例を示す。例1〜5は板厚100mmに仕
上げたもので、中磁場で高磁束密度を示す。例1に比
べ、例2はさらに低C、例3,4は低Mn、例5は低A
lであり、より高い磁気特性を示す。例6〜8は500
mm、例9は40mm、例10は5mmに仕上げたもので、高
磁束密度である。
1〜26は比較例を示す。例1〜5は板厚100mmに仕
上げたもので、中磁場で高磁束密度を示す。例1に比
べ、例2はさらに低C、例3,4は低Mn、例5は低A
lであり、より高い磁気特性を示す。例6〜8は500
mm、例9は40mm、例10は5mmに仕上げたもので、高
磁束密度である。
【0031】例11はCが高く低磁気特性値となってい
る。例12はSiが低く、固有抵抗値が低くなってい
る。例13はSiが高く、例14はMnが高く、例15
はSが高く、例16はAlが高く、例17はNが高く、
例18はOが高く、例19はHが高く、それぞれ上限を
超えるため低磁気特性値となっている。例20は加熱温
度が上限を超え低磁束密度となっている。例21は加熱
温度が下限をはずれているため、低磁束密度となってい
る。例22は800℃以下の圧下率が下限をはずれ低磁
束密度となっている。例23は最大形状比が下限をはず
れ、例24は脱水素熱処理温度が下限をはずれ、例25
は焼鈍温度が下限をはずれ、例26は脱水素熱処理がな
いため低磁束密度となっている。
る。例12はSiが低く、固有抵抗値が低くなってい
る。例13はSiが高く、例14はMnが高く、例15
はSが高く、例16はAlが高く、例17はNが高く、
例18はOが高く、例19はHが高く、それぞれ上限を
超えるため低磁気特性値となっている。例20は加熱温
度が上限を超え低磁束密度となっている。例21は加熱
温度が下限をはずれているため、低磁束密度となってい
る。例22は800℃以下の圧下率が下限をはずれ低磁
束密度となっている。例23は最大形状比が下限をはず
れ、例24は脱水素熱処理温度が下限をはずれ、例25
は焼鈍温度が下限をはずれ、例26は脱水素熱処理がな
いため低磁束密度となっている。
【0032】
【発明の効果】本発明は、適切な成分限定により板厚の
厚い厚鋼板に均質な高電磁特性を具備せしめることに成
功し、直流磁化による磁気特性を利用する構造物に適用
可能としたものであり、かつその製造法も前述の成分限
定と熱間圧延後結晶粒調整及び脱水素熱処理を同時に行
なう方式であり、極めて経済的に製造する方法を提供す
るもので産業上多大な効果を奏するものである。
厚い厚鋼板に均質な高電磁特性を具備せしめることに成
功し、直流磁化による磁気特性を利用する構造物に適用
可能としたものであり、かつその製造法も前述の成分限
定と熱間圧延後結晶粒調整及び脱水素熱処理を同時に行
なう方式であり、極めて経済的に製造する方法を提供す
るもので産業上多大な効果を奏するものである。
【図1】5Oeにおける磁束密度に及ぼす800℃以下
の圧下率の影響を示すグラフである。
の圧下率の影響を示すグラフである。
【図2】5Oeにおける磁束密度に及ぼすC含有量の影
響を示すグラフである。
響を示すグラフである。
【図3】固有抵抗値に及ぼすSi含有量の影響を示すグ
ラフである。
ラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.01%以下、 Si:0.1〜4.0%、 Mn:0.20%以下、 S :0.010%以下、 Al:0.040%以下、 N :0.004%以下、 O :0.005%以下、 H :0.0002%以下、 残部実質的に鉄からなる鋼組成の鋼片または、鋳片を9
50〜1150℃に加熱し、800℃以上で圧延形状比
Aが0.6以上の圧延パスを1回以上はとる圧延を行な
い、引き続き800℃以下で圧下率を35%超70%以
下とする圧延を行ない、板厚50mm以上の厚板とし、該
厚板を600〜750℃で脱水素熱処理を行なうことを
特徴とする中磁場での磁気特性が高く、かつ、高い固有
抵抗値を有する磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製
造法。 【数1】 - 【請求項2】 板厚50mm以上の厚板を脱水素処理後、
750〜1150℃で焼鈍するかあるいは910〜12
00℃で焼準することを特徴とする請求項1記載の中磁
場での磁気特性が高く、かつ、高い固有抵抗値を有する
磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造法。 - 【請求項3】 重量%で、 C :0.01%以下、 Si:0.1〜4.0%、 Mn:0.20%以下、 S :0.010%以下、 Al:0.040%以下、 N :0.004%以下、 O :0.005%以下、 H :0.0002%以下、 残部実質的に鉄からなる鋼組成の鋼片または、鋳片を9
50〜1150℃に加熱し、800℃以上で圧延形状比
Aが0.6以上の圧延パスを1回以上はとる圧延を行な
い、引き続き800℃以下で圧下率を35%超70%以
下とする圧延を行ない、板厚50mm未満の厚板とし、該
厚板を750〜1150℃で焼鈍するかあるいは910
〜1200℃で焼準することを特徴とする中磁場での磁
気特性が高く、かつ、高い固有抵抗値を有する磁気特性
の優れた無方向性電磁厚板の製造法。 【数2】
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3026495A JP2503111B2 (ja) | 1991-02-20 | 1991-02-20 | 磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3026495A JP2503111B2 (ja) | 1991-02-20 | 1991-02-20 | 磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04268021A JPH04268021A (ja) | 1992-09-24 |
JP2503111B2 true JP2503111B2 (ja) | 1996-06-05 |
Family
ID=12195075
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3026495A Expired - Fee Related JP2503111B2 (ja) | 1991-02-20 | 1991-02-20 | 磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2503111B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2503123B2 (ja) * | 1991-05-09 | 1996-06-05 | 新日本製鐵株式会社 | 磁気特性の優れた無方向性電磁厚板の製造法 |
CN109082596B (zh) * | 2018-09-04 | 2019-12-13 | 马鞍山钢铁股份有限公司 | 一种低铁损高磁极化强度的无取向硅钢及其制备方法 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6096749A (ja) * | 1983-11-01 | 1985-05-30 | Nippon Steel Corp | 直流磁化用厚板及びその製造方法 |
JPH0266119A (ja) * | 1988-08-31 | 1990-03-06 | Nkk Corp | 磁気シールド特性に優れた高透磁率軟磁性純鉄板の製造方法 |
JPH02243716A (ja) * | 1989-03-16 | 1990-09-27 | Nippon Steel Corp | 板厚方向の磁気特性の均一な無方向性電磁厚板の製造法 |
JPH034606A (ja) * | 1989-05-31 | 1991-01-10 | Toshiba Corp | 増幅回路 |
-
1991
- 1991-02-20 JP JP3026495A patent/JP2503111B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS6096749A (ja) * | 1983-11-01 | 1985-05-30 | Nippon Steel Corp | 直流磁化用厚板及びその製造方法 |
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JPH02243716A (ja) * | 1989-03-16 | 1990-09-27 | Nippon Steel Corp | 板厚方向の磁気特性の均一な無方向性電磁厚板の製造法 |
JPH034606A (ja) * | 1989-05-31 | 1991-01-10 | Toshiba Corp | 増幅回路 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04268021A (ja) | 1992-09-24 |
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