JP2013195858A - 定着装置、及び、画像形成装置 - Google Patents

定着装置、及び、画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】減圧機構によって定着ベルトに対して加圧回転体を離間方向に移動させるときに、加圧回転体の移動範囲をそれほど大きくすることなく、加圧回転体のギアとそのギアに噛み合う相手方のギアとの噛み合いを維持しやすい、定着装置、及び、画像形成装置を提供する。
【解決手段】駆動源71から駆動力が入力されて回転駆動される加圧回転体31と、定着ベルト21に対して離間する方向に加圧回転体31を移動させて定着ベルト21に対する加圧回転体31の圧接力を減圧する減圧機構63、68、69と、が設けられている。そして、加圧回転体31は、幅方向一端側が定着ベルト21に対する圧接方向に沿った方向に延在する切欠43aが形成された第1保持部材43によって保持され、幅方向他端側が圧接方向に対して交差する方向に延在する長穴63bが形成された第2保持部材63によって保持されている。
【選択図】図12

Description

この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置と、そこに設置される定着装置と、に関するものである。
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、定着ベルトと加圧回転体とでニップ部を形成した定着装置であって、ウォームアップ時間やファーストプリント時間が短くて定着不良が生じにくい定着装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
詳しくは、特許文献1の図2、図4等に記載の定着装置は、定着ベルト(符号21)、ニップ部を除いて定着ベルトの内周面に対向するように固設されたパイプ状の加熱部材(符号22)、加熱部材を加熱するために加熱部材に内設されたヒータ(符号25)、定着ベルトを介して加圧ローラ(符号31)に圧接してニップ部を形成するために定着ベルトの内部に設置された固定部材(符号26)、固定部材に当接して固定部材を補強する略板状の補強部材(符号23)、等で構成されている。
このような定着装置は、加圧ローラ(加圧回転体)に設置されたギアに駆動源から駆動力が伝達されて、加圧ローラが回転駆動され、ニップ部における摩擦抵抗によって定着ベルトも従動回転することになる。
そして、ヒータによって加熱されたパイプ状の加熱部材によって定着ベルトが加熱されて、ニップ部に向けて搬送された記録媒体上のトナー像がニップ部にて熱と圧力とを受けて記録媒体上に定着されることになる。
一方、特許文献1等の定着装置には、定着ベルトに対して加圧ローラを離間させて、定着ベルトに対する加圧ローラの圧接力を減圧するための減圧機構(接離機構)が設置されている。そして、減圧機構によって加圧ローラの圧接力を減圧することにより、非稼働時においてニップ部における圧接力によって定着ベルトや加圧ローラに歪みが生じてしまう不具合が軽減されたり、ニップ部において紙詰まり(ジャム)した用紙(記録媒体)を除去しやすくなったりしている。
上述した特許文献1の定着装置は、減圧機構によって定着ベルトに対して加圧ローラ(加圧回転体)を離間方向に移動させるときに、加圧ローラの移動範囲を大きくすることなく、加圧ローラのギアとそのギアに噛み合う相手方のギアとの噛み合いを維持するのが難しかった。
詳しくは、減圧機構によって定着ベルトに対して加圧ローラを圧接方向に沿うように接離させる場合には、加圧ローラの移動範囲をそれほど大きくすることなく加圧ローラを離間させることができるものの、加圧ローラのギアと相手方のギアとの噛み合いを維持できなくなって接離時に互いのギアの歯先が衝突してしまう不具合が生じてしまうことがあった。これに対して、減圧機構によって定着ベルトに対して加圧ローラをギアの噛み合い方向に沿うように接離させる場合には、接離時に互いのギアの歯先が衝突してしまう不具合は防止されるものの、加圧ローラの移動範囲が大きくなってしまって装置が大型化したり加圧ローラの周囲に設置した部材に干渉してしまったりする不具合が生じてしまっていた。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、減圧機構によって定着ベルトに対して加圧回転体を離間方向に移動させるときに、加圧回転体の移動範囲をそれほど大きくすることなく、加圧回転体のギアとそのギアに噛み合う相手方のギアとの噛み合いを維持しやすい、定着装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
この発明の請求項1記載の発明にかかる定着装置は、所定方向に走行してトナー像を加熱して溶融するとともに、可撓性を有する無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトの内周面側に固設された固定部材が当該定着ベルトを介して圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成するとともに、駆動源から駆動力が入力されて回転駆動される加圧回転体と、前記定着ベルトに対して離間する方向に前記加圧回転体を移動させて前記定着ベルトに対する前記加圧回転体の圧接力を減圧する減圧機構と、を備え、前記加圧回転体は、幅方向一端側が前記定着ベルトに対する圧接方向に沿った方向に延在する長穴又は切欠が形成された第1保持部材によって保持され、幅方向他端側が前記圧接方向に対して交差する方向に延在する長穴又は切欠が形成された第2保持部材によって保持されたものである。
なお、本願において、固定部材や補強部材が「固設」された状態とは、固定部材や補強部材が回転駆動されることなく非回転で保持されている状態であるものと定義する。したがって、例えば、固定部材がスプリング等の付勢手段によってニップ部に向けて付勢されている場合であっても固定部材が非回転で保持されていれば、固定部材が「固設」された状態となる。
また、本願において、記録媒体の「搬送方向」とは、ニップ部において定着ベルトや加圧回転体が変形することなく理想的な円弧を描いて当接した場合におけるニップ部の接線方向と同じ方向であるものと定義する。
また、本願において、「幅方向」とは、記録媒体の搬送方向に対して直交する方向であって、定着ベルトや加圧回転体の回転軸方向と同じ方向であるものと定義する。
また、本願において、定着ベルトに対して加圧回転体が「離間」した状態とは、狙いのニップ部を形成するために定着ベルトに対して加圧回転体が圧接した状態から、ニップ部の圧接力が減圧された状態のすべてを含むものとする。したがって、定着ベルトに対して加圧回転体が完全に隙間をあけて離れた状態の他に、定着ベルトに対して加圧回転体が当接した状態でニップ部の圧接力が減圧された状態も「定着ベルトに対して加圧回転体が「離間」した状態」となる。
本発明において、加圧回転体は、幅方向一端側が圧接方向に沿った方向に延在する長穴や切欠が形成された第1保持部材によって保持され、幅方向他端側が圧接方向に対して交差する方向に延在する長穴や切欠が形成された第2保持部材によって保持されている。これにより、減圧機構によって定着ベルトに対して加圧回転体を離間方向に移動させるときに、加圧回転体の移動範囲をそれほど大きくすることなく、加圧回転体のギアとそのギアに噛み合う相手方のギアとの噛み合いを維持しやすい、定着装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。 定着装置を示す構成図である。 定着装置を幅方向にみた側面図である。 ニップ部の近傍を示す拡大図である。 定着ベルトがフランジ部材に保持された状態を示す断面側面図である。 定着ベルトと補強部材とがフランジ部材に保持された状態を示す概略正面図である。 シート状部材が設置された状態の固定部材を示す、(A)側面図と、(B)下面図と、である。 図7(A)における、(A)X1−X1断面を示す概略断面図と、(B)X2−X2断面を示す概略断面図と、(C)X3−X3断面を示す概略断面図と、である。 固定部材を示す、(A)上面図と、(B)側面図と、(C)下面図と、である。 シート状部材を示す展開図である。 板状部材を示す上面図である。 (A)加圧ローラの一端側が第1保持部材に保持された状態を示す概略図と、(B)加圧ローラの他端側が第2保持部材に保持された状態を示す概略図と、である。 従来の保持部材に加圧ローラが保持された状態を示す概略図である。 この発明の実施の形態2における定着装置を示す構成図である。
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
図1〜図13にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1に示すように、本実施の形態1における画像形成装置1は、タンデム型カラープリンタである。画像形成装置本体1の上方にあるボトル収容部101には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナーボトル102Y、102M、102C、102Kが着脱可能(交換可能)に設置されている。
ボトル収容部101の下方には中間転写ユニット85が配設されている。その中間転写ユニット85の中間転写ベルト78に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部4Y、4M、4C、4Kが並設されている。
各作像部4Y、4M、4C、4Kには、それぞれ、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kが配設されている。また、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの周囲には、それぞれ、帯電部75、現像部76、クリーニング部77、除電部(不図示である。)等が配設されている。そして、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に各色の画像が形成されることになる。
感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、不図示の駆動モータによって図1中の時計方向に回転駆動される。そして、帯電部75の位置で、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、露光部3から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって各色に対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、現像装置76との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、各色のトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、中間転写ベルト78及び第1転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上のトナー像が中間転写ベルト78上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、クリーニング部77との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に残存した未転写トナーがクリーニング部77のクリーニングブレードによって機械的に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト78上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト78上にカラー画像が形成される。
ここで、中間転写ユニット85は、中間転写ベルト78、4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79K、2次転写バックアップローラ82、クリーニングバックアップローラ83、テンションローラ84、中間転写クリーニング部80、等で構成される。中間転写ベルト78は、3つのローラ82〜84によって張架・支持されるとともに、1つのローラ82の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動される。
4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kは、それぞれ、中間転写ベルト78を感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kに、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
そして、中間転写ベルト78は、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト78上に重ねて1次転写される。
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト78は、2次転写ローラ89との対向位置に達する。この位置では、2次転写バックアップローラ82が、2次転写ローラ89との間に中間転写ベルト78を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト78上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体P上に転写される。このとき、中間転写ベルト78には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
その後、中間転写ベルト78は、中間転写クリーニング部80の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト78上の未転写トナーが回収される。
こうして、中間転写ベルト78上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
ここで、2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体Pは、装置本体1の下方に配設された給紙部12から、給紙ローラ97やレジストローラ対98(タイミングローラ対)等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部12には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ97が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対98のローラ間に向けて給送される。
レジストローラ対98に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対98のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト78上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対98が回転駆動されて、記録媒体Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト21及び加圧ローラ31による熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録媒体P上に定着される。
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対99のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対99によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部100上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、図2〜図12にて、画像形成装置本体1に設置される定着装置20の構成・動作について詳述する。
図2〜図4等を参照して、定着装置20は、定着部材としての定着ベルト21(ベルト部材)、固定部材26(ニップ部形成部材)、補強部材23、加熱手段としてのヒータ25(熱源)、加圧回転体としての加圧ローラ31、第1温度センサ40、第2温度センサ41、シート状部材22、板状部材28(固定板)、反射部材27、等で構成される。
ここで、定着ベルト21は、薄肉で可撓性を有する無端状ベルトであって、図2中の矢印方向(反時計方向)に回転(走行)する。定着ベルト21は、内周面21a(固定部材26との摺接面である。)側から、基材層、弾性層、離型層が順次積層されていて、その全体の厚さが1mm以下に設定されている。
定着ベルト21の基材層は、層厚が30〜50μmであって、ニッケル、ステンレス等の金属材料やポリイミド等の樹脂材料で形成されている。
定着ベルト21の弾性層は、層厚が100〜300μmであって、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、フッ素ゴム、等のゴム材料で形成されている。弾性層を設けることで、ニップ部における定着ベルト21表面の微小な凹凸が形成されなくなり、記録媒体P上のトナー像Tに均一に熱が伝わりユズ肌画像の発生が抑止される。
定着ベルト21の離型層は、層厚が5〜50μmであって、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PES(ポリエーテルサルファイド)、等の材料で形成されている。離型層を設けることで、トナーT(トナー像)に対する離型性(剥離性)が担保される。
また、定着ベルト21の直径は15〜120mmになるように設定されている。なお、本実施の形態1では、定着ベルト21の内径が30mmに設定されている。
定着ベルト21の内部(内周面側)には、固定部材26、ヒータ(加熱手段)、補強部材23、反射部材27、シート状部材22、両面テープ49(貼着手段)、ネジ24、板状部材28(固定板)、等が固設されている。
ここで、固定部材26は、定着ベルト21の内周面21aに摺接するように固定されている。そして、固定部材26が定着ベルト21を介して加圧ローラ31に圧接することで、記録媒体Pが搬送されるニップ部が形成される。図3及び図5を参照して、固定部材26は、その幅方向両端部が、定着装置20のフレーム43、44(側板)に固定支持されたフランジ部材29(支持部材)に回転可能に保持されている。なお、固定部材26やフランジ部材29の構成については、後でさらに詳しく説明する。
そして、定着ベルト21は、その内部に設置されたヒータ25(加熱手段)の輻射熱により直接的に加熱される。
加熱手段としてのヒータ25は、ハロゲンヒータ(又はカーボンヒータ)であって、その両端部が定着装置20のフレーム43、44(側板)に固定されている(図3を参照できる。)。そして、装置本体1の電源部により出力制御されたヒータ25(加熱手段)の輻射熱によって、定着ベルト21において主としてニップ部を除く部分が加熱される。さらに、加熱された定着ベルト21の表面から記録媒体P上のトナー像Tに熱が加えられる。なお、ヒータ25の出力制御(オン・オフ制御)は、定着ベルト21表面に接触又は対向するサーミスタ、サーモパイル等の第1温度センサ40によるベルト表面温度の検知結果に基いておこなわれる。また、このようなヒータ25の出力制御によって、定着ベルト21の温度(定着温度)を所望の温度に設定することができる。
なお、本実施の形態1では、定着ベルト21の内周面側に1本のヒータ25を設置したが、定着ベルト21の内周面側に複数のヒータを設置することもできる。
このように、本実施の形態1における定着装置20は、定着ベルト21の一部のみが局所的に加熱されるのではなく、定着ベルト21が周方向の比較的広い範囲にわたって加熱されることになるために、装置を高速化した場合であっても定着ベルト21が充分に加熱されて定着不良の発生を抑止することができる。すなわち、比較的簡易な構成で効率よく定着ベルト21を加熱できるために、ウォームアップ時間やファーストプリント時間が短縮化されるとともに、装置の小型化が達成される。
特に、本実施の形態1における定着装置20は、定着ベルト21がヒータ25(加熱手段)によって直接的に加熱されるように構成されているため、定着ベルト21の加熱効率がさらに向上するとともに、定着装置21をさらに低コスト化・小型化することができる。
図5及び図6を参照して、支持部材としての2つのフランジ部材29は、耐熱性樹脂材料等で形成されていて、定着装置20の幅方向両端部のフレーム43、44(側板)にそれぞれ嵌め込まれている。フランジ部材29には、定着ベルト21の円形姿勢を維持しながら定着ベルト21を保持するためのガイド部29aや、定着ベルト21の幅方向の移動(ベルト寄り)を規制するための規制部29b、等が設けられている。
なお、本実施の形態における定着装置20において、フランジ部材29の規制部29bの位置に、定着ベルト21の端部の磨耗を軽減するために、PEEK、PPS、PAI、PTFE等の低摩擦性・耐熱性材料からなるスリッピング部材(リング状部材)を、フランジ部材29とは別部材として設置することもできる。
ここで、定着ベルト21の幅方向両端部はフランジ部材29によって保持されているため、定着ベルト21の円形姿勢がある程度維持されるものの、定着ベルト21の剛性によっては走行時に幅方向中央部においてある程度のバタツキが発生する可能性がある。したがって、定着ベルト21のバタツキが生じても定着ベルト21が他の構成部材(補強部材23や反射部材27等である。)に当接しないように、定着ベルト21の剛性が比較的高い場合には他の構成部材との離間距離を0.02mm以上確保して、定着ベルト21の剛性が比較的低い場合には他の構成部材との離間距離を3mm以上確保するように設定することが好ましい。
また、定着ベルト21の内周面21aには、その幅方向(図5の左右方向である。)の両端部に、フランジ部材29のガイド部29aとの摺動部(図5中、破線で囲んだ部分である。)における摺動抵抗を減ずるための、低摩擦部21a1が形成されている。具体的に、低摩擦部21a1は、基材層の表面にフッ素樹脂等の低摩擦材料をコーティングして形成されたものである。このような構成により、定着ベルト21の回転(走行)によって定着ベルト21とフランジ部材29(ガイド部29a)とが摺接しても、定着ベルト21やフランジ部材29(ガイド部29a)が磨耗劣化しにくくなる。
なお、本実施の形態1において、定着ベルト21の内周面21aに接触する部材は、幅方向両端のフランジ部材29と、固定部材26と、のみであって、それ以外に内周面21aに接触して定着ベルト21の回転をガイドするような部材(ベルトガイド)は存在しない。
このように、本実施の形態1における定着装置20は、従来の定着装置(特許文献1等の定着装置である。)に比べて、定着ベルト21のさらなる加熱効率の向上や装置の低コスト化・小型化等を目的として、パイプ状の加熱部材を取り外して、パイプ状の加熱部材を介することなく定着ベルト21を加熱手段(ヒータ25)によって直接的に加熱する構成を採用している。具体的に、定着ベルト21の内周面21aをフランジ部材29で保持する構成を採用している。
ここで、本実施の形態1では、ニップ部を形成する固定部材26の強度を補強する補強部材23が、定着ベルト21の内周面側に固設されている。図3を参照して、補強部材23は、幅方向の長さが固定部材26と同等になるように形成されていて、その幅方向両端部が定着装置20のフランジ部材29(支持部材)に保持されている。詳しくは、補強部材23は、フランジ部材29と固定部材26との間に挟まれるようにして、その位置が定められることになる。なお、本実施の形態1では、図6に示すように、補強部材23の2つの起立部23c(対向面23aから離間した方向に向けて起立する部分である。)の端面(基準面23b)がフランジ部材29の支持部29c(図6を参照できる。)に当接して、補強部材23が保持されるように構成されている。これに対して、補強部材23を、フランジ部材29の支持部29cではなくて、フレーム43、44に当接させて保持させることもできる。
そして、補強部材23が固定部材26及び定着ベルト21を介して加圧ローラ31に当接することで、ニップ部において固定部材26が加圧ローラ31の加圧力を受けて大きく変形する不具合を抑止している。本実施の形態1において、補強部材23は、ヒータ25が位置する側に凹部が対向するように形成された略コの字状の板状部材である。この補強部材23は、上述した機能を満足するために、ステンレスや鉄等の機械的強度が高い金属材料で形成することが好ましい。
なお、補強部材23の構成については、後でさらに詳しく説明する。
また、本実施の形態1では、補強部材23における、ヒータ25に対向する面の側に、反射部材27(反射板)が固設されている。これにより、ヒータ25から補強部材23に向かう熱(補強部材23を加熱する熱)が反射部材27で反射されて定着ベルト21の加熱に用いられることになるために、定着ベルト21の加熱効率がさらに向上することになる。なお、反射部材27の材料としては、アルミニウムやステンレス等を用いることができる。
なお、補強部材23における、ヒータ25に対向する面の一部又は全部に、鏡面処理を施したり断熱部材を設けたりした場合であっても、同じような効果を得ることができる。
図2を参照して、ニップ部の位置で定着ベルト21の外周面に当接する加圧回転体としての加圧ローラ31は、直径が30mmであって、中空構造の芯金32上に弾性層33を形成したものである。加圧ローラ31(加圧回転体)の弾性層33は、発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の材料で形成されている。なお、弾性層33の表層にPFA、PTFE等からなる薄肉の離型層を設けることもできる。加圧ローラ31は定着ベルト21に圧接して、双方の部材間に所望のニップ部を形成する。また、図3を参照して、加圧ローラ31には不図示の駆動源(駆動機構)から駆動力がアイドラギア65を介して伝達されるギア45が設置されていて、加圧ローラ31は図2中の矢印方向(時計方向)に回転駆動される。
ここで、本実施の形態1では、加圧ローラ31表面に接触するようにサーミスタ等の第2温度センサ41が設置されている。詳しくは、第2温度センサ41は、一端側が定着装置20のフレームに固定保持された板バネ部材61の他端側(自由端側)に固設されており、板バネ部材61の弾性力によって加圧ローラ31の表面に接触している。そして、装置の立ち上げ時において第2温度センサ41によって検知される加圧ローラ31の表面温度が所定値に達しないときにプリントを開始しないようにするなどの制御がおこなわれる。また、加圧ローラ31の内部にハロゲンヒータ等の熱源を設ける場合には、第2温度センサ41によって検知される温度に基いてその熱源を稼働制御(例えば、ヒータのオン・オフ制御である。)することができる。
なお、本実施の形態1において、加圧ローラ31は、図3に示すように、その幅方向一端側(図3の左側である。)の軸部が定着装置20のフレーム43(第1保持部材)に軸受42を介して回転可能に支持され、その幅方向他端側(図3の右側である。)の軸部が定着装置20のフレーム44に設置された可動部材63(第2保持部材)に軸受42を介して回転可能に支持されているが、これについては後で詳しく説明する。
なお、加圧ローラ31の弾性層33を発泡性シリコーンゴム等のスポンジ状の材料で形成した場合には、ニップ部に作用する加圧力を減ずることができるために、固定部材16に生じる負荷を軽減することができる。さらに、加圧ローラ31の断熱性が高められて、定着ベルト21の熱が加圧ローラ31側に移動しにくくなるために、定着ベルト21の加熱効率が向上する。
また、本実施の形態1では、定着ベルト21の直径が加圧ローラ31の直径とほぼ同等になるように形成したが、定着ベルト21の直径が加圧ローラ31の直径よりも小さくなるように形成することもできる。その場合、ニップ部における定着ベルト21の曲率が加圧ローラ31の曲率よりも小さくなるために、ニップ部から送出される記録媒体Pが定着ベルト21から分離され易くなる。
図4を参照して、定着ベルト21の内周面21aに摺接する固定部材26は、加圧ローラ31との対向面(摺接面)が、加圧ローラ31の曲率にならうように凹状に形成されている。これにより、記録媒体Pは加圧ローラ31の曲率にならうようにニップ部から送出されるために、定着工程後の記録媒体Pが定着ベルト21に吸着して分離しないような不具合を抑止することができる。
なお、本実施の形態1では、ニップ部を形成する固定部材26の形状を凹状に形成したが、ニップ部を形成する固定部材26の形状を平面状に形成することもできる。すなわち、固定部材26の摺接面(加圧ローラ31に対向する面である。)が平面形状になるように形成することができる。これにより、ニップ部の形状が記録媒体Pの画像面に対して略平行になって、定着ベルト21と記録媒体Pとの密着性が高まるために定着性が向上する。さらに、ニップ部の出口側における定着ベルト21の曲率が大きくなるために、ニップ部から送出された記録媒体Pを定着ベルト21から容易に分離することができる。
また、固定部材26を形成する材料としては、樹脂材料や金属材料を用いることができるが、加圧ローラ31による加圧力を受けても大きく撓むことがない程度の剛性があり、熱性と断熱性とを有する樹脂材料(液晶ポリマー(LCP)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等である。)が好適である。本実施の形態1では、固定部材26の材料として、液晶ポリマー(LCP)を用いている。
また、固定部材26には、定着ベルト21との摺動抵抗を減ずるために、PTFE等の低摩擦材料からなるシート状部材22が覆設されている。詳しくは、シート状部材22は、ニップ部の位置で固定部材26と定着ベルト21との間に幅方向にわたって介在されるように、固定部材26の周囲(図4に示すような断面でみた固定部材26の周囲である。)を覆うように設置されている。また、本実施の形態1におけるシート状部材22は、シリコーンオイル等の潤滑剤が含浸された繊維材料(PTFE等のフッ素樹脂からなる布部材である。)で形成されている。これにより、固定部材26と定着ベルト21とが当接する面に潤滑剤が保持された状態になる。したがって、固定部材26と定着ベルト21との摺接によって双方の部材21、26が磨耗する不具合が軽減される。
ここで、図4、図8、図9等を参照して、シート状部材22は、ニップ部の位置と、周方向上流側(ニップ部の位置に対して定着ベルト21の走行方向上流側に対応した位置である。)の位置と、が両面テープ49を介して固定部材26に幅方向にわたって固定(貼着)されている。これにより、定着ベルト21が図4の反時計方向に回転しても、その回転に沿うようにシート状部材22が固定部材26から剥離する不具合が確実に防止される。
ここで、本実施の形態1では、固定部材26とヒータ25(加熱手段)との間の空間を隔絶するように、補強部材23(及び、反射部材27)を設置している。
本実施の形態1では、定着ベルト21(内周面21a)の周方向の比較的広い範囲に対向するようにヒータ25が設置されているため、加熱待機時(プリント動作待機時)においても定着ベルト21を周方向に温度ムラなく加熱できる。したがって、プリント要求を受けた後、速やかにプリント動作をおこなうことができる。このとき、従来のオンデマンド方式の定着装置(例えば、特許第2884714号公報参照。)では、ニップ部で加熱待機時に加圧ローラを変形させたまま熱を与えてしまうと、加圧ローラのゴムの材質によっては、熱劣化を起こして加圧ローラの寿命が短くなってしまったり、加圧ローラに圧縮永久ひずみが発生してしまったりする(ゴムの圧縮永久ひずみは、ゴムの変形に加熱が加わることにより増大する。)。そして、加圧ローラに圧縮永久ひずみが発生すると、加圧ローラの一部が凹んだ状態になり、所望のニップ幅が得られないため、定着不良が発生したり、回転時に異音が生じたりする。
これに対して、本実施の形態1では、固定部材26とヒータ25との間に、ヒータ25の熱を遮るように補強部材23(及び、反射部材27)が設置されているために、加熱待機時に熱が固定部材26に達しにくくなる。したがって、加熱待機時に加圧ローラ31が変形した状態で高温加熱される不具合が軽減されて、上述の問題が生じるのを抑止することができる。
さらに、固定部材26と定着ベルト21との摩擦抵抗を低減するために双方の部材間に塗布された潤滑剤は、ニップ部における高圧条件に加えて高温条件による使用によって劣化して、定着ベルト21のスリップ等の不具合が生じてしまう可能性がある。
これに対して、本実施の形態1では、固定部材26とヒータ25との間に、ヒータ25の熱を遮るように補強部材23(及び、反射部材27)が設置されているために、ヒータ25の熱がニップ部の潤滑剤に達しにくくなる。したがって、潤滑剤の高温による劣化が軽減されて、上述の問題が生じるのを抑止することができる。
また、本実施の形態1では、固定部材26とヒータ25との間に、ヒータ25の熱を遮るように補強部材23(及び、反射部材27)が設置されているために、固定部材26が断熱されて、ニップ部では積極的に定着ベルト21は加熱されないことになる。そのため、ニップ部に送入された記録媒体Pの温度がニップ部から送出されるときには低くなる。すなわち、ニップ部出口では、記録媒体P上に定着されたトナー像の温度が低くなって、トナーの粘性が低下して、定着ベルト21に対するトナー接着力が小さくなった状態で、記録媒体Pは定着ベルト21から分離される。したがって、定着工程直後の記録媒体Pが定着ベルト21に巻き付いてジャムになる不具合が防止されるとともに、定着ベルト21に対するトナー固着も抑制される。
以下、上述のように構成された定着装置20の通常時の動作について簡単に説明する。
装置本体1の電源スイッチが投入されると、ヒータ25に電力が供給されるとともに、不図示の駆動源から駆動力が入力されて加圧ローラ31の図2中の矢印方向の回転駆動が開始される。これにより、ニップ部における加圧ローラ31との摩擦力によって、定着ベルト21も図2中の矢印方向に従動(回転)する。
その後、給紙部12から記録媒体Pが給送されて、2次転写ローラ89の位置で、記録媒体P上に未定着のカラー画像が担持(転写)される。未定着画像T(トナー像)が担持された記録媒体Pは、不図示のガイド板に案内されながら図2の矢印Y10方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト21及び加圧ローラ31のニップ部に送入される。
そして、ヒータ25によって加熱された定着ベルト21による加熱と、補強部材23によって補強された固定部材26と加圧ローラ31との押圧力とによって、記録媒体Pの表面にトナー像Tが定着される。その後、ニップ部から送出された記録媒体Pは、矢印Y11方向に搬送される。
以下、本実施の形態1における定着装置20において特徴的な構成・動作について、詳しく説明する。
本実施の形態1における定着装置20には、定着ベルト21に対して離間する方向に加圧ローラ31を移動させて定着ベルト21に対する加圧ローラ31の圧接力を減圧する減圧機構63、68、69(接離機構)が設置されている。
そして、非通紙時には、制御部によって減圧機構63、68、69が制御されて、加圧ローラ31が離間方向に移動してニップ部における圧接力が減圧される。これにより、長時間にわたって圧接状態が続いて、ニップ部における圧接力によって定着ベルト21や加圧ローラ31に歪みが生じてしまう不具合が軽減されることになる。
さらに、ニップ部において記録媒体Pの紙詰まり(ジャム)が発生した場合には、制御部によって減圧機構63、68、69が制御されて(又は、手動で減圧機構を操作して)、加圧ローラ31が離間方向に移動してニップ部における圧接力が減圧される。これにより、ニップ部において紙詰まりした記録媒体Pを除去する作業を容易におこなうことができることになる。
ここで、本実施の形態1では、図12(A)(又は、図3)を参照して、加圧ローラ31(加圧回転体)は、その幅方向一端側(図3の左側である。)が、定着ベルト21に対する圧接方向(図12(A)の左右方向である。)に沿った方向に延在する切欠43aが形成された第1保持部材としてのフレーム43(側板)によって保持されている。詳しくは、加圧ローラ31の一端側の軸部が、軸受42を介して、フレーム43の切欠43a(圧接方向が長手方向になるように形成されている。)に挿入され保持されている。
また、図12(B)(又は、図3)を参照して、加圧ローラ31(加圧回転体)は、その幅方向他端側(図3の右側である。)が、圧接方向に対して交差する方向(本実施の形態1では、ほぼ直交する方向である。)に延在する長穴63bが形成された第2保持部材としての可動部材63(可動板)によって保持されている。詳しくは、可動部材63(第2保持部材)は、駆動源から駆動力が入力される側(ギア45が設置された側である。)において、支軸64(穴部63aに挿設されている。)を中心にして回動可能に設置されている。そして、可動部材63の穴部63aから離れた位置には、圧接方向に対してほぼ直交する方向が長手方向になるように形成された長穴63bが設けられている。そして、加圧ローラ31の他端側の軸部が、軸受42を介して、可動部材63の長穴63bに挿入され保持されている。さらに、可動部材63の中央部には、可動部材63(加圧ローラ31)を離間方向(定着ベルト21から離れる方向である。)に付勢する引張スプリング69(付勢部材)の一端側が接続されている(他端側はフレーム44に接続されている。)。また、可動部材63の側部には、不図示のステッピングモータによって回転駆動されるカム68が当接している。
そして、このような構成により、制御部によってステッピングモータが制御されてカム68が図12(B)の位置に回転したとき、引張スプリング69の付勢力に抗するように、可動部材63が支軸64を中心に反時計方向に回動して、加圧ローラ31が定着ベルト21に圧接して所望のニップ部が形成されることになる。これに対して、制御部によってステッピングモータが制御されてカム68が図12(B)の位置から矢印方向に所定角度回転したとき、引張スプリング69の付勢力によって、可動部材63が支軸64を中心に時計方向に回動して、加圧ローラ31が定着ベルト21から離れる方向に移動してニップ部における圧接力が減圧されることになる。
なお、本実施の形態1では、加圧ローラ31の幅方向他端側の軸部にギア45が設置されている。このギア45は、可動部材63の回動の中心となる支軸64に設置されたアイドラギア65(装置本体1の駆動源に設置された駆動ギア71に噛合する。)に噛合して、アイドラギア65を介して駆動源から駆動力が入力されて加圧ローラ31を回転させる。
このように、減圧機構63、68、69によって加圧ローラ31が定着ベルト21から離れる方向に移動するときに、加圧ローラ31の一端側がフレーム43の切欠43aによって規制されているため、加圧ローラ31は圧接方向に沿って移動することになる(図12の白矢印方向の移動である。)。すなわち、加圧ローラ31は、フレーム43の切欠43aに案内されて、図12の上下方向に移動することなく、図12の左右方向にのみ移動することになる。
このとき、幅方向他端側では、可動部材63が支軸64を中心に時計方向に回動することになるが、加圧ローラ31の他端側の軸部(軸受42)が長穴63bをスライドするように移動するため、加圧ローラ31の他端側も圧接方向に沿って移動することになる(図12の白矢印方向の移動である。)。しかし、このとき、可動部材63の回動により、ギア45と、ギア45に噛合する相手方のギア(アイドラギア65)と、が噛み合いながら(噛み合いが突然になくなるのではなく、噛み合いが漸減しながら)、加圧ローラ31が白矢印方向に移動することになる。特に、本実施の形態1では、可動部材63が、ギア45に噛合する相手方のギア(アイドラギア65)の回転中心を中心として回動するため、上述した効果(減圧時におけるギア45とアイドラギア65との噛み合いを維持する効果である。)が発揮されやすくなる。
さらに詳しくは、図13(A)に示すように、加圧ローラ31の幅方向両端部を、それぞれ、圧接方向に沿うように形成された長穴143aが設けられたフレームにて保持する場合、減圧機構によって定着ベルト21に対して加圧ローラ31を圧接方向に沿うように接離させることになる。このような場合には、加圧ローラ31を定着ベルト21から最短ルートで離間方向に移動させることができるため、加圧ローラ31の移動範囲をそれほど大きくすることなく加圧ローラを離間させることができるものの、加圧ローラ31のギア45と相手方のギア65との噛み合いを維持できなくなって接離時に互いのギア31、45の歯先が衝突してしまう不具合が生じてやすくなる。
これに対して、図13(B)に示すように、加圧ローラ31の幅方向両端部を、それぞれ、ギア45、65の噛み合い方向に沿って回転軸163aを中心にして回動する可動部材163の穴163bに挿入して保持する場合、減圧機構によって定着ベルト21に対して加圧ローラ31をギア45、65の噛み合い方向に沿うように接離させることになる。このような場合には、接離時に互いのギア45、65の歯先が衝突してしまう不具合は防止されるものの、加圧ローラ31を定着ベルト21から最短ルートで離間方向に移動させずに噛み合い方向に沿って移動させるので、加圧ローラ31の移動範囲が大きくなってしまって装置が大型化する不具合が生じることになる。また、加圧ローラ31が周囲に設置した部材に干渉する不具合も生じやすくなる。特に、加圧ローラ31の温度を検知する第2温度センサ41(図2を参照できる。)は加圧ローラ31に近接して設置されるため、加圧ローラ31が噛み合い方向に迂回して移動することにより、第2温度センサ41を押圧して板バネ部材61が変形してしまう不具合が生じやすくなる。
これに対して、本実施の形態1では、加圧ローラ31の幅方向一端側が圧接方向に沿った方向に延在する切欠43aが形成されたフレーム43(第1保持部材)によって保持され、加圧ローラ31の幅方向他端側が圧接方向に対して交差する方向に延在する長穴63bが形成された可動部材63(第2保持部材)によって保持されているため、減圧機構63、68、69によって定着ベルト21に対して加圧ローラ31を離間方向に移動させるときに、加圧ローラ31の移動範囲をそれほど大きくすることなく、加圧ローラ31のギア45とそのギア45に噛み合う相手方のギア65との噛み合いを維持しやすくすることができる。
ここで、本実施の形態1では、減圧機構63、68、69によって加圧ローラ31が離間方向に移動したときにギア45とアイドラギア65との噛み合いが完全になくならないように、加圧ローラ31の離間方向の移動を制限するストッパ部が形成されている。具体的に、図12(A)を参照して、加圧ローラ31が離間方向に移動すると、ストッパ部として機能する切欠43aの端部43a1(離間方向の端部である。)に当接して、それ以上離間方向に移動しないことになる。そして、切欠43aの端部43a1の位置(加圧ローラ31の移動範囲N)は、ギア45とアイドラギア65との噛み合いが完全になくならない位置に設定されている。
これにより、減圧機構63、68、69によって定着ベルト21に対して加圧ローラ31を離間方向に移動させるときに、加圧ローラ31のギア45と相手方のアイドラギア65との噛み合いを確実に維持することができる。
なお、本実施の形態1では、加圧ローラ31の離間方向の移動を制限するストッパ部としてフレーム43の切欠43aの端部43a1を用いたが、ストッパ部として可動部材63の長穴63bの端部を用いることもできるし、ストッパ部としてカム68を用いることもできるし、ストッパ部として加圧ローラ31に干渉する位置に設けた突起部を用いることなどもできる。
また、本実施の形態1における定着装置20において、幅方向一端側(切欠43aが形成されたフレーム43の側である。)にも、減圧機構として機能するカム機構を設けることもできる。その場合、定着ベルト21に対して加圧ローラ31が幅方向にわたってバランスよく接離方向に移動させることができる。
また、本実施の形態1では、第1保持部材としてのフレーム43に圧接方向に延在する切欠43aを形成して、第2保持部材としての可動部財63に圧接方向に交差する方向に長穴63bを形成した。これに対して、第1保持部材としてのフレーム43に圧接方向に延在する長穴を形成したり、第2保持部材としての可動部財63に圧接方向に交差する方向に切欠を形成したりすることもできる。
さらに、本実施の形態1では、第1保持部材として、定着装置20のフレーム43(側板)を用いた。これに対して、第1保持部材として、定着装置20のフレーム43(側板)にネジ締結等によって固定された部材(第2側板)を用いることもできる。
そして、これらの場合であっても、本実施の形態1のものと同様の効果を得ることができる。
ここで、先に説明したように、本実施の形態1における定着装置20には、定着ベルト21の内周面側に固設されて定着ベルト21を介して加圧ローラ31に圧接してニップ部を形成する固定部材26と、定着ベルト21の内周面側に固設されて定着ベルト21の内側から固定部材26に当接して固定部材26を補強する補強部材23と、が設置されている。
そして、本実施の形態1では、図4に示すように、固定部材26に、補強部材23に当接するように補強部材23の対向面23aに向けて突出する突出部26a、26bが、記録媒体Pの搬送方向(又は、定着ベルト21の回転方向)に沿って複数列設けられている。具体的に、複数列の突出部として、記録媒体Pの搬送方向に対する上流側において補強部材23に当接するように補強部材23の対向面23aに向けて突出する上流側突出部26aと、記録媒体Pの搬送方向に対する下流側において補強部材23に当接するように補強部材23の対向面23aに向けて突出する下流側突出部26bと、が形成されている。すなわち、固定部材26には、補強部材23に対向する側において搬送方向に離間した2列の突出部26a、26b(上流側端部と下流側端部との距離がBに設定されている。)が設けられていて、これらの2列の突出部26a、26bが補強部材23の対向面23aにそれぞれ面接触することになる。
このような構成により、固定部材26を嵌め込んで固定するパイプ状の加熱部材を設置しない場合であっても、補強部材23が圧接した状態の固定部材26がバランスよく保持されるため、固定部材26に倒れが生じてしまう不具合が抑止される。そして、所望のニップが精度よく形成されて、出力画像に定着不良が生じてしまったり記録媒体の搬送不良が生じてしまったり不具合が防止されることになる。
すなわち、固定部材26が搬送方向上流側や搬送方向下流側に偏って補強部材23に当接する場合や、補強部材23に当接する固定部材26の当接幅(距離B)が狭小である場合などには、ニップ部で圧接力を受けた固定部材26が補強部材23との当接部を支点として、図4の時計方向又は反時計方向に回転しやすく(倒れやすく)なってしまうことになる。これに対して、本実施の形態では、固定部材26が搬送方向上流側や搬送方向下流側に偏って補強部材23に当接することなく、補強部材23に当接する固定部材26の当接幅(距離B)が充分大きく設定されているため、ニップ部で圧接力を受けた固定部材26が補強部材23によってバランスよく支持されて、補強部材23との当接部を支点として固定部材26が倒れにくくなる。
さらに、本実施の形態1では、固定部材26において上流側突出部26aと下流側突出部26bとに分割した部分のみが補強部材23に当接するように構成しているため、固定部材26における上流側から下流側にかけて広範囲に形成された1つの平面が補強部材23に当接するように構成した場合に比べて、補強部材23と固定部材26との接触面積を減ずることができるため、固定部材26に熱が伝達されにくくなる。すなわち、ニップ部において定着ベルト21から固定部材26を通って補強部材26に向けて伝達される熱を少なくすることができる(定着ベルト21から固定部材26を介して補強部材23に向けて逃げる熱量を低減することができる。)。特に、定着ベルト21の厚みを薄くした場合(例えば、厚みを160μm以下に設定した場合である。)やニップ幅を広く設定した場合には、定着ベルト21から固定部材26へ熱量が移動しやすくなるため、本実施の形態1のように補強部材23と固定部材26との接触面積を減ずる構成が有用になる。
ここで、本実施の形態1における固定部材26は、図7及び図9を参照して、複数列の突出部(上流側突出部26aと下流側突出部26bとである。)が、それぞれ、幅方向(図7、図9の左右方向である。)に間隔をあけて複数に分割されている。詳しくは、本実施の形態1では、上流側突出部26aと下流側突出部26bとが、それぞれ、幅方向にほぼ等間隔に8つ形成されている。このような構成により、補強部材23と固定部材26との接触面積をさらに減ずることができるため、上述した効果がさらに確実に発揮されることになる。
なお、本実施の形態1では、複数列の突出部26a、26bが補強部材23の対向面23aにそれぞれ面接触するように構成したが、上述した効果をさらに確実にするために、複数列の突出部26a、26bが補強部材23の対向面23aにそれぞれ線接触や点接触(又は、それに近い状態で接触)するように構成することもできる。また、本実施の形態1では、複数列の突出部として上流側突出部26aと下流側突出部26bとの2列の突出部を設けたが、複数列の突出部として3列以上の突出部を設けることもできる。
また、本実施の形態1では、図4を参照して、固定部材26が、幅方向に直交する断面でみたときに、ニップ部における搬送方向の中心を通り搬送方向に直交する仮想直線(図4の一点鎖線で示した直線である。)に対してほぼ線対称になるように形成されている。
このような構成により、ニップ部で圧接力を受けた固定部材26が補強部材23によってさらにバランスよく支持されやすくなって、固定部材26の倒れがさらに生じにくくなる。
さらに、本実施の形態1では、図4に示すように、記録媒体の搬送方向に対するニップ部の長さ(ニップ幅)をAとして、搬送方向上流側において固定部材26と補強部材23とが当接する上流側当接部から搬送方向下流側において固定部材26と補強部材23とが当接する下流側当接部までの長さをBとして、搬送方向に対する補強部材23の固定部材26に対向する対向面23aの長さをCとしたときに、
A<B<C
なる関係が成立するように形成されている。
さらに、搬送方向に対して、ニップ部の範囲(図4中のAの範囲である。)が上流側当接部から下流側当接部までの範囲(図4中のBの範囲である。)に含まれるとともに、上流側当接部から下流側当接部までの範囲(図4中のBの範囲である。)が補強部材23の対向面23aの範囲(図4中のCの範囲である。)に含まれるように形成されている。
換言すると、補強部材23に当接する固定部材26の搬送方向(図4の上下方向である。)の範囲内に、ニップ幅の範囲が内包されている。さらに、補強部材23の対向面23aの搬送方向の範囲内に、補強部材23に当接する固定部材26の搬送方向の範囲が内包されている。
このような構成により、ニップ部で圧接力を受けた固定部材26が補強部材23によってさらにバランスよく支持されやすくなって、固定部材26の倒れがさらに生じにくくなる。
ここで、先に説明したように、本実施の形態1における定着装置20には、ニップ部の位置で固定部材26と定着ベルト21との間に幅方向にわたって介在されるように、固定部材26の周方向に沿ってシート状部材22(低摩擦材料からなり潤滑剤が含浸されている。)が覆設されている。
このシート状部材22は、厚さが150〜500μmの範囲内で設定され、PTFE等のフッ素樹脂からなる繊維材料で形成され、粘度が50〜1000csの範囲内で設定された潤滑剤(シリコーンオイル等である。)が繊維内に含浸されている。
このように、シート状部材22を繊維材料で形成することで、それらの繊維の目に潤滑剤が浸透しやすくなるため、潤滑剤の保持性が向上することになる。また、シート状部材22は、低摩擦材料であるフッ素樹脂繊維材料で形成されているため、シート状部材22に保持された潤滑剤が枯渇してしまった場合であっても、固定部材26と定着ベルト21とのニップ部における摺動抵抗をある程度まで低くすることができる。
また、図7〜図11を参照して、シート状部材22には、複数列の突出部(上流側突出部26aと下流側突出部26bとである。)に嵌合する複数の穴部22bが形成されている。そして、シート状部材22は、複数列の突出部26a、26bを除く位置で周方向に沿って固定部材26に密着するように設置される。
詳しくは、図10に示すように、シート状部材22は、単独の部品として展開したときの形状が矩形である。そして、矩形のシート状部材22の両端には、それぞれ、複数の穴部22a、22b(突出部26a、26bに嵌合する穴部である。)と、ネジ用穴部22c(ネジ24のネジ部を挿通させるための穴部である。)と、が形成されている。
そして、シート状部材22は、固定部材26に覆設されるときに、矩形の両端が上流側突出部26aと下流側突出部26bとの間(複数列の突出部の間)で折り重なって重合部(図8において破線で囲んだ領域であって、図10におけるハッチング領域である。)が形成されることになる。
そして、図8に示すように、シート状部材22の重合部を挟み込むように固定部材26に対して板状部材28(固定板)が複数のネジ24によって固定される。詳しくは、シート状部材22の重合部を挟み込むように固定部材26上に重合部を介して板状部材28が載置され、板状部材28のネジ用穴部28c(図11を参照できる。)と、シート状部材22のネジ用穴部22cと、を挿通させて固定部材26の雌ネジ部26c(図9(C)を参照できる。)にネジ24のネジ部が螺合される。ここで、複数のネジ24は、そのネジ頭の高さが突出部26a、26bの高さを超えて補強部材23に接触しないように形成されている。
このように、シート状部材22は、展開時における、搬送方向上流側に相当する端部と、搬送方向下流側に相当する端部と、が固定部材26上にて固定保持されている。そのため、シート状部材22が下流側に向けて走行する定着ベルト21との間に摩擦力を受けた場合(通常の定着工程時である。)に加えて、シート状部材22が上流側に向けて走行する定着ベルト21との間に摩擦力を受けた場合(ジャム処理時に定着ベルト21や加圧ローラ31が手動で逆回転される場合等である。)であっても、シート状部材22がずれて固定部材26との間に隙間ができたりシワが生じたりしてしまう不具合が生じにくくなる。
特に、本実施の形態1では、シート状部材22の重合部を、板状部材28で挟んで、幅方向にほぼ均等に配列された複数のネジ24で板状部材28を固定部材26に締結しているため、他の固定保持方法(例えば、重合部を接着剤で接着する場合や、重合部をフック形状にして突出部26a、26bに引っ掛ける場合等である。)に比べて、固定部材26に対してシート状部材22を安定的かつ強固に固定することができる。
また、シート状部材22の穴部22a、22bを固定部材26の突出部26a、26bに嵌合させるとともに、板状部材28やネジ24を突出部26a、26bの間(搬送方向中央部)に設置しているので、シート状部材22が設置された状態の固定部材26がコンパクト化されることになる。
また、シート状部材22が設置された状態の固定部材26を、サブ・アッセンブリされた1つの部品単位で管理することができるため、製造時や保守メンテナンス時における部品管理性や組立て性を向上させることができる。
また、シート状部材22は、幅方向にほぼ等間隔で分割された複数の突出部26a、26bに嵌合して保持されるため、シート状部材22が摺接力を受けても複数の穴部22a、22bに均等に力がかかりやすく、局所的な応力集中によってシート状部材22が損傷する不具合を軽減することができる。
以上説明したように、本実施の形態1では、加圧ローラ31(加圧回転体)は、幅方向一端側が圧接方向に沿った方向に延在する切欠43aが形成されたフレーム43(第1保持部材)によって保持され、幅方向他端側が圧接方向に対して交差する方向に延在する長穴63bが形成された可動部材63(第2保持部材)によって保持されている。これにより、減圧機構63、68、69によって定着ベルト21に対して加圧ローラ31を離間方向に移動させるときに、加圧ローラ31の移動範囲をそれほど大きくすることなく、加圧ローラ31のギア45とそのギア45に噛み合う相手方のギア65との噛み合いを維持しやすくすることができる。
なお、本実施の形態1では、定着ベルトとして複層構造の定着ベルト21を用いたが、定着ベルトとしてポリイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、金属等からなる無端状の定着フィルムを用いることもできる。そして、その場合にも、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態1における定着装置20では、定着ベルト21がヒータ25によって直接的に加熱されるように構成したが、定着ベルト21とヒータ15との間にパイプ状の加熱部材(金属部材)を設置して定着ベルト21がヒータ25に加熱された加熱部材を介して間接的に加熱されるように構成することもできる。すなわち、特許文献1の図2、図4に記載の定着装置のように、ニップ部を除いて定着ベルトの内周面に対向するようにパイプ状の加熱部材が固設された定着装置に対しても、本発明を適用することができる。そして、そのような場合であっても、本実施の形態1とほぼ同様の効果を得ることができる。
実施の形態2.
図14にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図14は、実施の形態2における定着装置を示す構成図であって、前記実施の形態1における図2に相当する図である。本実施の形態2における定着装置は、定着ベルト21が電磁誘導によって加熱される点が、前記実施の形態1のものとは相違する。
図14に示すように、本実施の形態2における定着装置20も、前記実施の形態1のものと同様に、定着ベルト21(ベルト部材)、固定部材26、補強部材23、加圧ローラ31(加熱回転体)、第1温度センサ40、第2温度センサ41、シート状部材22、板状部材28(固定板)、等で構成される。
また、図示は省略するが、本実施の形態2でも、前記実施の形態1と同様に、加圧ローラ31は、幅方向一端側が圧接方向に沿った方向に延在する切欠43aが形成されたフレーム43(第1保持部材)によって保持され、幅方向他端側が圧接方向に対して交差する方向に延在する長穴63bが形成された可動部材63(第2保持部材)によって保持されている。
また、固定部材26に、補強部材23に当接するように補強部材23の対向面23aに向けて突出する複数列の突出部(上流側突出部26aと下流側突出部26bとである)が形成されている。
ここで、本実施の形態2における定着装置20は、加熱手段として、ヒータ25の代わりに、誘導加熱部50が設置されている。そして、本実施の形態2における定着ベルト21は、ヒータ25の輻射熱によって加熱される前記実施の形態1のものとは異なり、誘導加熱部50による電磁誘導によって加熱される。
誘導加熱部50は、励磁コイル、コア、コイルガイド、等で構成される。励磁コイルは、定着ベルト21の一部を覆うように、細線を束ねたリッツ線を幅方向(図14の紙面垂直方向である。)に延設したものである。コイルガイドは、耐熱性の高い樹脂材料等からなり、励磁コイルやコアを保持する。コアは、フェライト等の強磁性体(比透磁率が1000〜3000程度である。)からなる半円筒状部材であって、定着ベルト21に向けて効率のよい磁束を形成するためにセンターコアやサイドコアが設けられている。コアは、幅方向に延設された励磁コイルに対向するように設置されている。
一方、定着ベルト21には、前記実施の形態1で説明した基材層、弾性層、離型層とは別に、誘導加熱部50によって電磁誘導加熱される発熱層(例えば、弾性層と離型層との間に形成することもできるし、基材層を発熱層として用いることもできる。)が形成されている。発熱層の材料としては、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、コバルト、クロム、アルミニウム、金、白金、銀、スズ、パラジウム、これらのうち複数の金属からなる合金、等を用いることができる。
このように構成された定着装置20は、次のように動作する。
定着ベルト21が図14中の矢印方向に回転駆動されると、定着ベルト21は誘導加熱部50との対向位置で加熱される。詳しくは、励磁コイルに高周波の交番電流を流すことで、定着ベルト21の周囲に磁力線が双方向に交互に切り替わるように形成される。このとき、定着ベルト21の発熱層の表面に渦電流が生じて、発熱層自身の電気抵抗によってジュール熱が発生する。このジュール熱によって、発熱層が電磁誘導加熱されて、定着ベルト21が加熱される。
なお、定着ベルト21を効率的に電磁誘導加熱するためには、誘導加熱部50を定着ベルト21の周方向全域に対向するように構成することが好ましい。
以上説明したように、本実施の形態2においても、前記各実施の形態と同様に、加圧ローラ31(加圧回転体)は、幅方向一端側が圧接方向に沿った方向に延在する切欠43aが形成されたフレーム43(第1保持部材)によって保持され、幅方向他端側が圧接方向に対して交差する方向に延在する長穴63bが形成された可動部材63(第2保持部材)によって保持されている。これにより、減圧機構63、68、69によって定着ベルト21に対して加圧ローラ31を離間方向に移動させるときに、加圧ローラ31の移動範囲をそれほど大きくすることなく、加圧ローラ31のギア45とそのギア45に噛み合う相手方のギア65との噛み合いを維持しやすくすることができる。
なお、本実施の形態2では、定着ベルト21を電磁誘導加熱により加熱したが、定着ベルト21を抵抗発熱体の熱によって加熱することもできる。具体的に、定着ベルト21の内周面又は外周面の一部又は全部に抵抗発熱体を当接させる。抵抗発熱体は、セラミックヒータ等の面状発熱体であって、その両端部に電源部が接続されている。そして、抵抗発熱体に電流が流されると、抵抗発熱体自身の電気抵抗によって抵抗発熱体が昇温して、当接する定着ベルト21を加熱する。
このような場合にも、加圧ローラ31(加圧回転体)を本実施の形態2のものと同様にフレーム43(第1保持部材)と可動部材63(第2保持部材)とによって保持することで、本実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
1 画像形成装置本体(装置本体)、
20 定着装置、
21 定着ベルト(定着部材)、
22 シート状部材、
23 補強部材、
25 ヒータ(加熱手段)、
26 固定部材、
26a 上流側突出部、 26b 下流側突出部、
29 フランジ部材、
31 加圧ローラ(加圧回転体)、
43 フレーム(第1保持部材)、
43a 切欠、 43a1 端部(ストッパ部)、
45 ギア、
63 可動部材(第2保持部材)、
63b 長穴、
64 支軸、
65 アイドラギア(相手方のギア)、
68 カム(減圧機構)、
69 引張スプリング(減圧機構)、
71 駆動ギア。
特許2010−96782号公報

Claims (8)

  1. 所定方向に走行してトナー像を加熱して溶融するとともに、可撓性を有する無端状の定着ベルトと、
    前記定着ベルトの内周面側に固設された固定部材が当該定着ベルトを介して圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成するとともに、駆動源から駆動力が入力されて回転駆動される加圧回転体と、
    前記定着ベルトに対して離間する方向に前記加圧回転体を移動させて前記定着ベルトに対する前記加圧回転体の圧接力を減圧する減圧機構と、
    を備え、
    前記加圧回転体は、幅方向一端側が前記定着ベルトに対する圧接方向に沿った方向に延在する長穴又は切欠が形成された第1保持部材によって保持され、幅方向他端側が前記圧接方向に対して交差する方向に延在する長穴又は切欠が形成された第2保持部材によって保持されたことを特徴とする定着装置。
  2. 前記第2保持部材は、前記駆動源から前記駆動力が入力される側において、支軸を中心にして回動可能に設置された可動部材であって、
    前記第1保持部材は、装置のフレーム、又は、当該フレームに固定された部材であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記加圧回転体の幅方向他端側に設置されたギアに前記駆動力を伝達するとともに、前記駆動源から前記駆動力が入力されるアイドラギアを備え、
    前記アイドラギアは、前記可動部材の回動の中心となる前記支軸に設置されたことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記加圧回転体の幅方向他端側に前記駆動力が伝達されるギアを備え、
    前記減圧機構によって前記加圧回転体が離間方向に移動したときに前記ギアと当該ギアに噛合する相手方のギアとの噛み合いが完全になくならないように前記加圧回転体の離間方向の移動を制限するストッパ部が形成されたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記ストッパ部は、前記第1保持部材に形成された前記長穴又は前記切欠の端部であることを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
  6. 前記定着ベルトの内周面側に固設されて、前記定着ベルトの内側から前記固定部材に当接して当該固定部材を補強する補強部材を備え、
    前記固定部材は、前記補強部材に当接するように前記補強部材の対向面に向けて突出する突出部を記録媒体の搬送方向に沿って複数列具備したことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置。
  7. 前記定着ベルトの幅方向両端部を保持するフランジ部材と、
    前記定着ベルトに対向又は接触して前記定着ベルトを加熱する加熱手段と、
    をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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