JP2012227260A - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】強度および耐湿性が向上し、熱衝撃によるクラックの発生を効果的に防止することができる積層セラミックコンデンサを提供する。
【解決手段】積層セラミックコンデンサは、セラミック誘電体層2と内部電極3とが交互に積み重ねられた積層体ブロック4と、積層体ブロック4の上下に積み重ねられた一対のカバー層5と、積層体ブロック4の両側面に形成されたセラミック体6と、内部電極3と電気的に接続する一対の外部電極とを有し、セラミック体6を構成するセラミック誘電体粒子の平均粒子径が、積層体ブロック4に含まれるセラミック誘電体層2を構成するセラミック誘電体粒子の平均粒子径よりも小さくなるように構成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、積層セラミックコンデンサに関するものであり、さらに詳細には、強度および耐湿性が向上し、熱衝撃によるクラックの発生を効果的に防止することができる積層セラミックコンデンサに関するものである。
積層セラミックコンデンサを作製する場合、通常は、セラミックグリーンシートを用意する工程と、このセラミックグリーンシート上に、所望のパターンで導電ペーストを印刷して、内部電極層を形成する工程と、内部電極層が形成されたセラミックグリーンシートを多数重ね合せて、圧着して、積層体ブロックを作製する工程と、作製された積層体ブロックを所定のサイズに切断して、未焼成のグリーンチップを作製する工程と、グリーンチップを焼成して、チップ素体を得る工程と、チップ素体の両端面に導電ペーストを塗布して、焼け付けて外部電極を形成する工程と、外部電極上にニッケル、スズなどの金属をめっきする工程によって、積層セラミックコンデンサが作製される。
しかしながら、このようにして、積層セラミックコンデンサを作製する場合に、隣り合った内部電極が互いに正確に対向するように、多数のセラミックグリーンシートを重ね合わせて、圧着することは困難であり、その結果、隣り合ったセラミックグリーンシート上の内部電極が正確に対向していないため、コンデンサの容量を十分に高くすることができないという問題があった。
そこで、たとえば、特開2011−23707号公報(特許文献1)は、内部電極用の導電性ペーストを、略矩形形状のセラミックグリーンシートの少なくとも一辺の近傍を除く全面に印刷して、内部電極を形成し、内部電極が形成されたセラミックグリーンシートを多数積層して、積層体ブロックを生成し、積層体ブロックに高い圧力を加えて、圧着し、必要なサイズに切り取った後に、内部電極が露出している積層体ブロックの両側面に、サイドマージンと称される部分となるセラミック体を塗布などによって形成して、セラミックグリーンチップを作製し、セラミックグリーンチップに脱バインダ処理を施した後に、焼成することによって、積層セラミックコンデンサを製造する方法を提案している。
特開2011−23707号公報
しかしながら、積層体ブロックは高い圧力を加えて、圧着されたものであるのに対し、セラミック体は、積層体ブロックの両側面に塗布などによって形成されているにすぎないため、積層体ブロックとセラミック体(サイドマージン)とでは焼結性が異なり、その結果、積層体ブロックのセラミック誘電体層の焼結密度より、セラミック体(サイドマージン)の焼結密度が低い積層セラミックコンデンサができあがった。このような積層セラミックコンデンサは、サイドマージンから水分が浸入しやすくなる。この浸入した水分によって絶縁抵抗が低下し、信頼性が低下するという問題があった。
また、このような積層セラミックコンデンサは、たとえば、半田リフローによって、高温雰囲気下で、積層セラミックコンデンサを基板に実装する際に、内部電極を形成している金属の熱膨脹率とセラミック体の熱膨脹率とが異なることに起因して、発生する応力により、積層セラミックコンデンサにクラックが生じやすいという問題があった。
したがって、本発明は、内部電極が露出している積層体ブロックの両側面に、セラミック体を形成して、セラミックグリーンチップを作製し、セラミックグリーンチップに脱バインダ処理を施して作製され、強度および耐湿性が向上し、熱衝撃によるクラックの発生を効果的に防止することができる積層セラミックコンデンサを提供することを目的とするものである。
本発明者は、本発明のかかる目的を達成するため、鋭意研究を重ねた結果、内部電極が露出している積層体ブロックの両側面に形成されるセラミック体を、積層体ブロックに含まれるセラミック誘電体層を構成する誘電体粒子の粒子径よりも粒子径が小さい誘電体粒子によって構成すると、耐湿性向上および熱衝撃によるクラックの発生を効果的に防止することができる積層セラミックコンデンサを作製することが可能になることを見出した。
本発明はかかる知見に基づくものであり、本発明によれば、本発明の前記目的は、セラミック誘電体層と内部電極とが交互に積み重ねられた積層体ブロックと、前記積層体ブロックの上下に積み重ねられた一対のカバー層と、前記積層体ブロックの両側面に形成されたセラミック体と、前記内部電極と電気的に接続する一対の外部電極とを有する積層セラミックコンデンサであって、前記セラミック体を構成するセラミック誘電体粒子の平均粒子径が、前記積層体ブロックに含まれる前記セラミック誘電体層を構成するセラミック誘電体粒子の平均粒子径よりも小さいことを特徴とする積層セラミックコンデンサによって達成される。
本発明において、好ましくは、セラミック体を構成するセラミック誘電体粒子の平均粒子径は、0.10μmないし0.20μmである。セラミック体を構成するセラミック誘電体粒子の平均粒子径が0.10μm未満であるときは、焼成時に、セラミック誘電体粒子同士が接着して、粒子径が大きいセラミック誘電体粒子が生成されることがあるため、セラミック体を構成するセラミック誘電体粒子の粒子径を、セラミック誘電体層を構成するセラミック誘電体粒子の粒子径よりも小さくすることによって得られる効果を十分に奏することができず、好ましくない。
本発明者の研究によれば、本発明においては、内部電極が露出している積層体ブロックの両側面に形成されるセラミック体を、積層体ブロックに含まれるセラミック誘電体層を構成するセラミック誘電体粒子の粒子径よりも粒子径が小さいセラミック誘電体によって構成しているため、セラミック体は、高い圧力を加えて、圧着されたものでなくても、十分に焼結密度を向上させることができ、セラミック体を通じて、水分が積層セラミックコンデンサ中に浸入することを防止することができるため、積層セラミックコンデンサの耐湿性を向上させることが可能になる。加えて、半田リフローによって、積層セラミックコンデンサを基板に実装する際に、数分間にわたって、高温雰囲気下に置かれ、積層セラミックコンデンサに熱衝撃が加えられても、積層セラミックコンデンサにクラックが発生することを効果的に防止することが可能になることが見出されている。
本発明によれば、焼結密度および耐湿性が向上し、熱衝撃によるクラックの発生を効果的に防止することができる積層セラミックコンデンサを提供することが可能になる。
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる積層セラミックコンデンサの略斜視図である。 図2は、図1に示された積層セラミックコンデンサのA−A線に沿った略断面図である。 図3は、図1に示された積層セラミックコンデンサのB−B線に沿った略断面図である。
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる積層セラミックコンデンサの略横断面図であり、図2はそのA−Aに沿った略断面図、図3はそのB−B線に沿った略断面図である。
図1ないし図3に示されるように、本発明の好ましい実施態様にかかる積層セラミックコンデンサ1は、セラミック誘電体層2と内部電極3とが交互に積み重ねられた積層体ブロック4と、積層体ブロック4の上下に積み重ねられた一対のカバー層5、5と、積層体ブロック4の両側面に形成されたセラミック体6、6と、内部電極3と電気的に接続する一対の外部電極7、7とを有している。
本実施態様においては、図3に示されるように、積層体ブロック4の両側面に形成されたセラミック体6、6は、積層体ブロック4に含まれるセラミック誘電体層2を構成するセラミック誘電体粒子よりも平均粒子径が小さいセラミック誘電体粒子によって形成されている。
本発明者の研究によれば、このように、積層体ブロック4の両側面に形成されたセラミック体6、6が、積層体ブロック4に含まれるセラミック誘電体層2を構成するセラミック誘電体粒子よりも平均粒子径が小さいセラミック誘電体粒子によって形成された積層セラミックコンデンサにおいては、焼結密度および耐湿性が向上し、熱衝撃を受けた際のクラックの発生を効果的に防止できることが判明している。なお、ここでいう平均粒子径は、積層セラミックコンデンサの断面をSEM(走査型電子顕微鏡:Scanning Electron Microscope)によって拡大して観察し、任意の粒子の大きさを100個選択して測定し、その平均値を算出したものとする。
なお、本実施態様においては、カバー層5も、積層体ブロック4に含まれるセラミック誘電体層2を構成するセラミック誘電体粒子よりも平均粒子径が小さいセラミック誘電体粒子によって形成されている。カバー層5については、圧着工程を経るので、セラミック誘電体粒子の平均粒子径は、積層ブロック4のセラミック誘電体粒子の平均粒子径とほぼ同じでもよいが、積層セラミックコンデンサの耐湿性を向上させるために、このように平均粒子径が小さいセラミック誘電体粒子によってカバー層5を形成してもよい。
以下、本発明の作用効果をより明確なものにするため、実施例および比較例を掲げる。
実施例1
BaTiO3を主成分とする平均粒子径0.225μmの誘電体材料とバインダーとで構成されたセラミックグリーンシートを用意し、この上にスクリーン印刷によってNi導電ペーストを塗布し、帯状のペースト膜が所定の間隔で並ぶように形成した。この印刷したセラミックグリーンシートを複数枚用意し、帯状のペースト膜が半パターンずつずれて重なるようにして交互に積み重ねた。積み重ねたセラミックグリーンシートの上下に、さらに導電ペーストを印刷していないセラミックグリーンシートをカバー層として積み重ねた。これらのセラミックグリーンシートの積層体を圧着し、所定のチップサイズに切断して一対のカバー層を有する未焼成の積層体ブロックを得た。この積層体ブロックの両側面に、平均粒子径が0.200μmの誘電体材料とバインダーとで構成されたセラミックペーストを塗布し、セラミック体を形成した。次いでセラミック体を形成した積層体ブロックの両端面に外部電極用の導電ペーストを塗布し、これを1200℃の還元雰囲気で焼成して、内部電極と電気的に接続する一対の外部電極を有する積層セラミックコンデンサを得た。
こうして得られた積層セラミックコンデンサを積層セラミックコンデンササンプル#1として100個用意し、400℃の溶融半田に3秒間浸漬し、クラックの発生を検査した。その結果、クラックの発生が認められた積層セラミックコンデンササンプル#1はなかった。
実施例2
平均粒子径が0.170μmの誘電体材料とバインダーとで構成されたセラミックペーストを用いてセラミック体を形成した点を除き、実施例1と同様にして、合計で100個の積層セラミックコンデンササンプル#2を作製した。
こうして作製された積層セラミックコンデンササンプル#2を、400℃の溶融半田に3秒間浸漬し、クラックの発生を検査した。その結果、クラックの発生が認められた積層セラミックコンデンササンプル#2はなかった。
実施例3
平均粒子径が0.135μmの誘電体材料とバインダーとで構成されたセラミックペーストを用いてセラミック体を形成した点を除き、実施例1と同様にして、合計で100個の積層セラミックコンデンササンプル#3を作製した。
こうして作製された積層セラミックコンデンササンプル#3を、400℃の溶融半田に3秒間浸漬し、クラックの発生を検査した。その結果、クラックの発生が認められた積層セラミックコンデンササンプル#3はなかった。
実施例4
平均粒子径が0.100μmの誘電体材料とバインダーとで構成されたセラミックペーストを用いてセラミック体を形成した点を除き、実施例1と同様にして、合計で100個の積層セラミックコンデンササンプル#4を作製した。
こうして作製された積層セラミックコンデンササンプル#4を、400℃の溶融半田に3秒間浸漬し、クラックの発生を検査した。その結果、クラックの発生が認められた積層セラミックコンデンササンプル#4はなかった。
比較例1
平均粒子径が0.230μmの誘電体材料とバインダーとで構成されたセラミックペーストを用いてセラミック体を形成した点を除き、実施例1と同様にして、合計で100個の積層セラミックコンデンサ比較サンプル#1を作製した。
こうして作製された積層セラミックコンデンサ比較サンプル#1を、400℃の溶融半田に3秒間浸漬し、クラックの発生を検査した。その結果、100個のうち、1個の積層セラミックコンデンサ比較サンプル#1に、クラックが発生したことが認められた。
比較例2
平均粒子径が0.250μmの誘電体材料とバインダーとで構成されたセラミックペーストを用いてセラミック体を形成した点を除き、実施例1と同様にして、合計で100個の積層セラミックコンデンサ比較サンプル#2を作製した。
こうして作製された積層セラミックコンデンサ比較サンプル#2を、400℃の溶融半田に3秒間浸漬し、クラックの発生を検査した。その結果、100個のうち、5個の積層セラミックコンデンサ比較サンプル#2に、クラックが発生したことが認められた。
実施例1ないし4ならびに比較例か1および2から、積層体ブロックに含まれるセラミック誘電体層を構成しているセラミック誘電体粒子よりも粒子径が小さいセラミック誘電体粒子によって、セラミック体が形成された積層セラミックコンデンサは、熱的衝撃によるクラックの発生を効果的に防止することできることが判明した。
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
たとえば、前記実施例においては、未焼成の積層体ブロックに外部電極用の導電性ペーストを塗布して、セラミック積層体の焼成と同時に外部電極の形成を行っていたが、積層体ブロックの焼成後に導電性ペーストを塗布して焼き付ける方法で外部電極を形成してもよい。
1 積層セラミックコンデンサ
2 セラミック誘電体層
3 内部電極
4 積層体ブロック
5 カバー層
6 セラミック体
7 外部電極

Claims (2)

  1. セラミック誘電体層と内部電極とが交互に積み重ねられた積層体ブロックと、前記積層体ブロックの上下に積み重ねられた一対のカバー層と、前記積層体ブロックの両側面に形成されたセラミック体と、前記内部電極と電気的に接続する一対の外部電極とを有する積層セラミックコンデンサであって、前記セラミック体を構成するセラミック誘電体粒子の平均粒子径が、前記積層体ブロックに含まれる前記セラミック誘電体層を構成するセラミック誘電体粒子の平均粒子径よりも小さいことを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
  2. 前記セラミック体を構成するセラミック誘電体粒子の平均粒子径が0.10μmないし0.20μmであることを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
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