JP5195820B2 - 積層コンデンサの製造方法及び積層コンデンサ - Google Patents

積層コンデンサの製造方法及び積層コンデンサ Download PDF

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本発明は、積層コンデンサの製造方法及び積層コンデンサに関する。
従来の積層コンデンサの製造方法として、グリーンシートと内部電極材料を交互に積層して焼成することによって形成した積層セラミックコンデンサ本体(積層体)の端面を金属粉末、ガラス粉末及びチクソトロピック剤を含む電子部品用導電性ペーストに浸漬させてペースト膜を形成し、焼成して外部電極を形成するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−190491号公報
上述の電子部品の製造方法においては、積層体を形成した後、導電性ペーストに端部を浸漬させて焼成することによって外部電極を形成している。しかしながら、この製造方法では、浸漬後に素体を引き離す際、端面の中央位置付近で導電性ペーストが引っ張られることによって、ペースト膜の中央位置付近の厚みが大きくなる一方、積層体の端面と側面の間の角部分付近の厚みが薄くなっていた。また、導電性ペーストを焼き付ける際に、金属粉末を完全に焼結させる条件とした場合、導電性ペーストに含まれるガラス粉末が過剰に析出するため、外部電極において緻密性を確保することができないといった問題がある。この結果、焼付工程後のメッキ工程において、薄くなった部分や緻密性が確保されていない部分からメッキ液等の水分が積層体内に侵入する虞があった。従って、従来の製造方法によって製造された積層コンデンサでは、メッキ工程の際に積層体内に侵入した水分の影響によって、積層コンデンサの特性が劣化してしまう虞があった。
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、メッキ液等の水分が積層体内に侵入することを防止し、信頼性を向上させることができる積層コンデンサの製造方法及び積層コンデンサを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る積層コンデンサの製造方法は、内部電極と誘電体層とが積層された積層体と、積層体の外表面に形成された外部電極とを備える積層コンデンサの製造方法であって、積層体の外表面に導電性ペーストにて形成されたペースト層を有する積層体を準備する積層体準備工程と、ペースト層を焼き付けて、焼付電極を形成する第一焼付工程と、焼付電極全体を覆うように金属メッキ層を形成するメッキ層形成工程と、金属メッキ層を酸素雰囲気中で加熱処理する第一熱処理工程と、第一熱処理工程の後、金属メッキ層を還元雰囲気中で加熱処理する第二熱処理工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係る積層コンデンサの製造方法では、焼付電極全体を覆うようにメッキ層を形成した後に、酸素雰囲気中で熱処理を行い、更にその後に還元雰囲気中において熱処理を行っている。金属メッキ層は、酸素雰囲気中において熱処理されることにより酸化し、水分やメッキ液等の残留物は、酸化分解、燃焼分解等によって離脱される。また、金属メッキ層内に形成された空隙やボイド等も、酸素雰囲気中の熱処理に伴う体積膨張により消滅させることができる。そして、還元雰囲気中において熱処理を行うことにより、緻密化された状態のまま金属メッキ層を金属に還元すると共に、焼付電極と金属メッキ層とを強固に結合することができる。これにより、緻密な外部電極を形成することができるので、積層体内へのメッキ液等の侵入を防止することができる。その結果、積層コンデンサの信頼性を向上させることができる。
第二熱処理工程の後、金属メッキ層を焼き付ける第二焼付工程を更に有することが好ましい。金属メッキ層は、第一熱処理工程において酸化され、更に第二熱処理工程において元の金属に戻る過程で初期の層の結晶構造が再構成されて緻密化される。この状態において、更に焼き付けることにより、金属メッキ層の焼結が進むので、外部電極の緻密化を更に図ることができる。
ペースト層及び金属メッキ層には、主成分としてCuが含有されている。このように、主成分としてペースト層及び金属メッキ層がCuを含有する場合、Sn、Niメッキ等の実装時のハンダ付け性を改善するメッキを施すことになる。この場合には、上述の積層コンデンサの製造方法が特に有効であり、Sn、Niメッキ液が積層体内に侵入することを確実に防止できる。
本発明に係る積層コンデンサは、上述のいずれかの積層コンデンサの製造方法によって製造された積層コンデンサである。上述の方法によって積層コンデンサを製造することにより、緻密な外部電極が形成されるので、積層体内へのメッキ液等の侵入を防止することができる。その結果、信頼性を向上させることができる。
本発明によれば、メッキ液等の水分が積層体内に侵入することを防止し、積層コンデンサの信頼性を向上させることができる。
第1実施形態に係る製造方法によって製造された積層コンデンサを示す断面図である。 積層コンデンサの製造方法を示すフロー図である。 素体保持工程及びペースト層形成工程の工程内容を示す図である。 第一焼付工程及びメッキ層形成工程の工程内容を示す図である。 酸化熱処理工程及び還元熱処理工程の工程内容を示す図である。 第一焼付工程及びメッキ層形成工程後の素体を拡大して示す図である。 酸化熱処理工程及び第二焼付工程後の素体を拡大して示す図である。 第2実施形態に係る積層コンデンサの製造方法によって製造された多端子型積層コンデンサを示す斜視図である。 図8に示す多端子型積層コンデンサの断面図である。 図8に示す多端子型積層コンデンサの分解斜視図である。 第3実施形態に係る積層コンデンサの製造方法によって製造された積層セラミックチップコンデンサを示す斜視図である。 図11に示す積層セラミックチップコンデンサの断面図である。 図11に示す積層セラミックチップコンデンサの分解斜視図である。 第4実施形態に係る積層コンデンサの製造方法によって製造された積層チップ型コンデンサを基板実装状態で示す図である。 図14に示す積層チップ型コンデンサにおける内部電極の積層構造を示す斜視図である。 図14に示す積層チップ型コンデンサにおける外部接続電極の形態を示す斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
[第1実施形態]
図1を参照して、本発明の実施形態に係る積層コンデンサの製造方法によって製造された積層コンデンサの構成を説明する。図1は、第1実施形態に係る積層コンデンサの製造方法によって製造された積層コンデンサを示す断面図である。
図1に示すように、積層コンデンサ1は、複数の板状のセラミックグリーンシートを積層して一体化することによって略直方体形状に構成された素体(積層体)2と、素体2の両端面(外表面)に形成された外部電極3,4とを備えて構成される。素体2は、素体2の長手方向に向かい合って互いに平行をなす一対の端面2a,2bと、端面2a,2bと直交すると共に端面2a,2b同士を連結する四つの側面2cを有する。外部電極3は、一方の端面2a及び端面2aと直交する四つの側面2cの各縁部の一部を覆うように形成されている。この四つの側面2cを覆う部分の大きさ、すなわち、外部電極3の端面2aを覆う部分における厚みが最大となる位置と側面2cを覆う部分における端部との間の寸法(図1においてBで示される)を以下B寸法と呼ぶ。このB寸法は、例えば、0.5mm〜0.6mm程度に設定される。また、外部電極4は、他方の端面2b及び端面2bと直交する四つの側面2cの各縁部の一部を覆うように形成されている。積層コンデンサ1は、例えば、縦が1.9mm〜2.2mm程度に設定され、横が1.1mm〜1.3mm程度に設定され、厚みが1.1mm〜1.3mm程度に設定されている。なお、略直方体形状とは、直方体形状も含む。
外部電極3,4は、素体2の外面にCuを主成分とする導電性ペーストを浸漬方法(後述)によって付着させた後に所定温度にて焼き付け、更に電気メッキを施すことにより、形成される。電気メッキには、Cu、Ni、Sn等を用いることができる。
素体2は、図1に示すように、複数の長方形板状の誘電体層6と、複数の内部電極7及び内部電極8とが積層された積層体として構成されている。内部電極7と内部電極8とは、素体2内において誘電体層6の積層方向(以下、単に「積層方向」と称する。)に沿ってそれぞれ一層ずつ配置されている。内部電極7と内部電極8とは、少なくとも一層の誘電体層6を挟むように対向配置されている。実際の積層コンデンサ1では、複数の誘電体層6は、互いの間の境界が視認できない程度に一体化されている。この素体2は、内部電極7,8と誘電体層6とが交互に複数積層される領域である第一領域2Aと、第一領域2Aを積層方向に挟み込む一対の誘電体層6からなる領域である第二領域2Bとを有している。なお、第二領域2Bは、二対以上の複数の誘電体層6から形成されていてもよい。素体2には、端面2a,2bと側面2cの間の角部分9が湾曲して所定の曲率半径を有するように面取り加工が施されている。図示されていないが、側面2cの外縁の角部分も湾曲して曲率半径を有するように面取り加工が施されている。素体2の角部分9の曲率半径は、例えば0.05mm〜0.15mm程度とされている。
内部電極7,8は、例えばNiやCuなどの導電材を含んでいる。内部電極7,8の厚みは、例えば1μm〜5μm程度である。内部電極7,8は、積層方向から見て互いに重なりあう領域を有するような形状であれば、特に形状は限定されず、例えば矩形状などの形状をなしている。内部電極7,8は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。内部電極7は外部電極3と電気的に接続されており、内部電極8は外部電極4と電気的に接続されている。
また、図1に示すように、積層コンデンサ1において、素体2の第一領域2Aと第二領域2Bの境界部分、すなわち積層方向の最も外側の内部電極8の位置における外部電極3,4の寸法(図1においてFで示される)を以下F寸法とし、素体2の側面2cにおける外部電極3,4の寸法(図1においてHで示される)を以下H寸法とし、素体2の端面2a,2bの中央位置付近における外部電極3,4の寸法(図1においてTで示される)を以下T寸法とする。
図2に示すように、積層コンデンサ1の製造工程は、素体準備工程S1から工程を開始する。この素体準備工程S1では以下の処理がなされる。すなわち、誘電体層6となるセラミックグリーンシートを形成した後、当該セラミックグリーンシート上に内部電極7,8のパターンを導電性ペーストで印刷し、乾燥することによって電極パターンを形成する。このように電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを複数枚重ね合わせ、そのセラミックグリーンシートの積層体をそれぞれ素体2の大きさのチップとなるように切断する。続いて、ポリエチレン等の材料からなる密閉回転ポットに水と複数のチップと研磨用のメディアを入れて、この密閉回転ポットを回転させることによって、チップの角部分9の面取りが行われ、それぞれの角部分9が湾曲して所定の曲率半径を有することとなる(バレル研磨)。面取り加工を施したチップに所定温度で所定時間加熱処理を施すことによって脱バインダを行う。脱バインダを行った後、更に焼成を行うことで素体2を得る。以上の処理によって、素体準備工程S1が終了する。
素体準備工程S1の後、素体保持工程S2が行われる。図3は、素体保持工程S2及びペースト層形成工程S3の工程内容を示す図である。この素体保持工程S2は、素体準備工程S1で準備した素体2を複数並べて保持する工程である。素体保持工程S2では、キャリアプレートなどの公知の保持治具100を用いて、素体2の一方の端面2aが下方を向くように他方の端面2b側において側面2cを保持する。
素体保持工程S2の後、ペースト層形成工程(積層体準備工程)S3が行われる。ペースト層形成工程S3は、図3に示すように、保持治具100で保持された素体2の端面2aを塗布用ベッドBDに入れられた導電性ペーストP中に浸漬させることによって、ペースト層16を形成する工程である。このペースト層形成工程S3を行うことによって、端面2aを周り込ませて素体2の四つの側面2cにも導電性ペーストPを付着させることができる。これによって、ペースト層16が形成される。なお、導電性ペーストPは、Cuを主成分とする金属粉末からなり、ガラスを含有している。
ペースト層形成工程S3が行われた後、ブロット工程S4が行われる。ペースト層形成工程S3において、端面2a側を導電性ペーストPに浸漬させて引き上げると、付着したペースト層16が引っ張られて端面2aの中央位置付近の厚みが大きくなる。従って、ブロット工程S4では、ペースト層16をプレートに押付けて引き離すことによって厚みの大きな部分の導電性ペーストPを拭い取り、中央位置におけるペースト層16の厚みを薄くすることができる。導電性ペーストPを拭い取って乾燥させた後、第一焼付工程S5が行われる。第一焼付工程S5では、ペースト層16を例えば780℃で熱処理を行うことによって、図4(a)に示すような焼付電極16aを形成する。
第一焼付工程S5が行われた後、メッキ層形成工程S6が行われる。メッキ層形成工程S6は、湿式メッキ工法によって焼付電極16a上にメッキ膜を析出させてメッキ層(金属メッキ層)17を形成する工程である。メッキ層形成工程S6においては、シアン化銅、硫酸銅、又はピロリン酸銅等にてメッキ浴を行い、図4(b)に示すように、メッキ層17を形成する。このとき、メッキ層17の厚みは、焼付電極16aを覆う程度の厚みであればよく、例えば3μm〜20μmである。メッキ層形成工程S6が行われた後、酸化熱処理工程(第一熱処理工程)S7が行われる。酸化熱処理工程S7は、酸素雰囲気中にてメッキ層17の熱処理を行う工程である。この酸化熱処理工程S7では、酸素雰囲気中の熱処理炉内においてメッキ層17が形成された素体2を例えば500℃にて加熱し、メッキ層17を酸化させると共に、メッキ層17の表面にCuO層18を形成する。この酸化熱処理工程S7における温度は、温度が低いとメッキ層形成工程S6における残留物の昇華、酸化分解、及び燃焼分解が不十分となり、更にメッキ層17のCuO化が不十分となる一方、温度が高すぎると焼付電極16aが過度に酸化され、更にガラス成分とCuOとが反応してしまうため、好ましくは300℃〜700℃であり、より好ましくは400℃〜600℃である。
酸化熱処理工程S7が行われた後、還元熱処理工程(第二熱処理工程)S8が行われる。還元熱処理工程S8は、酸化熱処理が施されたメッキ層17を還元雰囲気中にて熱処理を行うことにより、酸化されたメッキ層17(CuO)をCu金属に還元する工程である。この還元熱処理工程S8では、例えば水素を添加した窒素雰囲気中(還元雰囲気中)の熱処理炉内においてメッキ層17が形成された素体2を例えば500℃にて加熱して、酸化されたメッキ層17をCu金属に還元すると共に、メッキ層17の表面に形成されたCuO層18を連続した構造のCu金属層とする。この還元熱処理工程S8における温度は、温度が低すぎるとメッキ層17の還元が不十分となる一方、温度が高すぎると素体2の誘電体層6が還元されるため、好ましくは300℃〜600℃、より好ましくは350℃〜550℃である。
還元熱処理工程S8が終了すると、第二焼付工程S9が行われる。第二焼付工程S9では、例えば700℃で熱処理を行うことによって、図5(b)に示すように外部電極3,4を形成する。第二焼付工程S9における温度は、温度が低すぎると焼結効果を十分に得ることができないが、温度が高すぎると素体2に与える熱負荷が大きくなるため、好ましくは500℃〜850℃、より好ましくは550℃〜800℃である。第二焼付工程S9が行われた後、メッキ工程S10が行われる。メッキ工程S10は、積層コンデンサ1の表面にNiメッキ層やSnメッキ層を形成する工程である。具体的に、このメッキ工程S10では、バレル内のメッキ液に積層コンデンサ1を浸漬させた後、バレルを回転させつつ積層コンデンサ1の表面にメッキが施される。以上によって、図2に示す工程が終了し、積層コンデンサ1を得ることができる。
次に、本発明の実施形態に係る積層コンデンサ1の製造方法の作用・効果について、図6及び図7を参照しながら説明する。図6は、第一焼付工程S5及びメッキ層形成工程S6後の素体を拡大して示す図である。図7は、酸化熱処理工程S7及び第二焼付工程S9後の素体を拡大して示す図である。
従来の積層コンデンサの製造方法にあっては、素体を形成した後、導電性ペーストに端部を浸漬させて(本実施形態のS5と同様の処理を行う)焼き付けることによって外部電極を形成していた。しかし、この製造方法では、浸漬後に素体を引き離す際、端面の中央位置付近で導電性ペーストが引っ張られることによって、ペースト膜の中央位置付近の厚くなる一方、素体の角部分付近の厚みが薄くなっていた。この結果、外部電極の厚みは、曲率半径を有する角部分付近で薄くなり、焼付工程後のメッキ工程において、薄くなった部分からメッキ液等の水分が素体内に侵入する虞があった。従って、従来の製造方法によって製造された積層コンデンサでは、メッキ工程の際に素体に侵入した水分の影響によって、積層コンデンサの特性が劣化してしまう虞があった。特に、MLCC(Multi-Layer Ceramic Capacitor:積層セラミックコンデンサ)においては、メッキ液等が素体内に侵入して残留すると、信頼性、特に耐湿性が著しく低下する虞があった。
また、一般的に、焼付電極を形成する導電性ペーストは、Cuを主成分とする金属粉末からなり、素体(セラミックス)との付着性を確保するために低融点ガラスを含有している。低融点ガラスとしては、例えば融点650℃程度のSr−Al−Si−B−O系ガラス、Ba−Al−Si−B−O系ガラス、Si−Ba−Li-O系ガラス等をガラスフリットとして添加することが一般的である。ところで、この導電性ペーストにおいては、焼き付ける際に金属粉末を完全に焼結させる高温の条件にすると、低融点ガラスがCu電極内部から押し出されて、素体界面及び表面にガラスが過剰に析出してしまう。素体の表面に析出したガラスは、メッキ工程においてメッキ層の析出阻害層として働くため、均一でハンダ付け性の良いメッキ層の形成を阻害する要因となる。また、素体界面に析出したガラスは、素体の内部電極と焼付電極との電気的接続を阻害し、導通不良の原因となる。更に、Cu層内から過剰にガラスが押し出されることにより、素体と電極層との付着強度が低下し、電極剥離等の不具合の原因となる。このように、従来の積層コンデンサの製造方法においては、素体内へのメッキ液等の侵入を防止するために焼付電極を完全に緻密化することは困難であるため、外部電極を厚く形成せざるを得なかった。
これに対して、本発明の実施形態に係る積層コンデンサ1の製造方法では、焼付電極16a全体を覆うようにメッキ層17を形成した後に、酸素雰囲気中で熱処理を行い、更にその後に還元雰囲気中において熱処理を行っている。メッキ層17は、酸素雰囲気中において熱処理されることにより酸化し、水分やメッキ液等の残留物は、酸化分解、燃焼分解等によって離脱される。また、メッキ層17内に形成された空隙やボイド等も、酸素雰囲気中の熱処理に伴う体積膨張により消滅させることができる。そして、還元雰囲気中において熱処理を行うことにより、緻密化された状態のままメッキ層17を金属に還元すると共に、焼付電極16aとメッキ層17とを強固に結合することができる。これにより、緻密な外部電極3,4を形成することができるので、従来のように、素体2内へのメッキ液の侵入防止のために焼付電極16aを厚く形成しなくとも、素体2内へのメッキ液等の侵入を防止することができる。
そのため、従来のように素体2の角部分9における焼付電極16aの厚みを確保する必要がないので、これに伴い増大する素体2の側面2cにおける焼付電極16aの厚み(H寸法)、素体2の端面2a,2bの中央位置付近における焼付電極16aの厚み(T寸法)を小さくすることができる。これにより、外部電極3,4の外形寸法を小さくすることができるので、積層コンデンサ1の外形寸法の増大を抑えると共に実装時におけるチップ立ち等といった実装不良の発生を防止することができる。以上のように、メッキ液等の水分が素体2内に侵入することを防止すると共に積層コンデンサ1の実装不良及び製品寸法の増大を防止でき、積層コンデンサ1の信頼性を向上させることができる。
また、図6(a)に示すように、ペースト層16を焼き付けて形成した焼付電極16aは、導電性金属粒子の焼結によって形成されているため、表面に凹凸が発生する。このとき、図6(b)に示すように、焼付電極16a上には凹凸を覆うようにメッキ層17が形成されるため、焼付電極16aの微小な凹凸を埋めて欠陥を補修する効果が得られる。また、メッキ層17を形成する際に、メッキ液及びメッキ層形成工程S6に起因する水分が焼付電極16aの空隙や素体2内、及びメッキ層17自体に残留することがある。この残留成分Sは、電解質であるため、Ni、Snメッキと同様に、素体2及び外部電極3,4内に残留することで積層コンデンサ1の信頼性を低下させ、特に耐湿負荷特性を劣化させる。
これに対して、本実施形態の積層コンデンサ1の製造方法では、メッキ層形成工程S6の後に酸性雰囲気中において熱処理を行う酸化熱処理工程S7を実施することにより、図7(a)に示すように、水分の揮発だけでなく、積層コンデンサ1の信頼性を低下させるメッキ液等の残留物Sが酸化分解及び燃焼分解によって素体2内から離脱されると共に、非昇華性の残留物を安定的な酸化物とすることができる。また、メッキ層17も酸素雰囲気中の熱処理によりCuO層化するが、このとき体積膨張によって層内に形成された空隙やボイド等の消滅効果が得られる。そして、還元熱処理工程S8を実施することにより、図7(b)に示すように、メッキ層17の表面に形成されたCuO層18が連続した構造のCu金属層になり、また、焼付電極16aと酸化処理されたメッキ層17とが金属への還元過程を経ることでより強固に結合される。これにより、外部電極3,4が緻密化されるため、素体2内へのメッキ液等の侵入が確実に防止される。
更に、還元雰囲気中において熱処理をした後に更に高温で焼き付けることにより、外部電極3,4が更に緻密化されると共に、前述の凹凸形状が緩和されて平坦化し、外部電極3において局所的に厚みを有する部分が修正される。これにより、積層コンデンサ1の製品寸法を小さくすることができる。なお、第二焼付工程S9における焼付温度は、還元処理工程S8において外部電極3,4の表面に緻密で連続したCu層が形成されているため、焼付電極16a等からのガラス浮きが発生せず、従来よりも高温で熱処理が可能となっている。その結果、外部電極3,4の更なる緻密化を図ることができる。
また、本実施形態の積層コンデンサ1の製造方法では、メッキ層17の厚みを3μm〜20μmとしている。メッキ層17は、その厚みが薄すぎると、焼付電極16aの表面の粗さや導電性ペーストに含有しているガラス浮きの影響によって不連続層となるおそれがある。一方、メッキ層17は、その厚みが厚すぎると、外部電極3,4の寸法が大きくなり、メッキ工程に要する時間が長くなるため非効率的であると共に、酸化及び還元熱処理時の応力によって剥離等の不具合が生じるおそれがある。しかし、メッキ層17の厚みを上記の厚みとすることにより、好適な外部電極3,4を形成することができる。
また、本実施形態の積層コンデンサ1の製造方法においては、外部電極3,4の表面にメッキの付着性を劣化させるガラスが発生しないので、より薄いメッキ層17でも十分な実装性を得ることができ、低コストで安定した実装性の積層コンデンサ1を製造することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
本発明者らは、上述の製造方法により積層コンデンサを作製した。外部電極を形成するため、導電性ペーストとして、電極ペーストA及び電極ペーストBを準備した。電極ペーストAは、Cu平均粒径2μm、固形分70wt%、粘度25Pas、アクリル系バインダペーストである。また、電極ペーストBは、Cu平均粒径2μm、固形分65wt%、粘度10Pas、アクリル系バインダペーストである。
(比較例1)
まず、素体の端面側に電極ペーストAを浸漬工法によって塗布し、焼き付け温度780℃で焼き付けて比較例1を得た。このとき、外部電極のT寸法は、68μmとなるように設定した。
(実施例1,4)
次に、素体の端面側に電極ペーストAを浸漬工法によって塗布し、焼き付け温度780℃で焼き付けて焼付電極を形成して、更にピロリン酸によるメッキ浴を用いてCuメッキ層を形成した。このとき、Cuメッキ膜(層)を狙い値10μmで析出させた。そして、酸素雰囲気中の熱処理炉において500℃にて酸化熱処理を行い、更に水素濃度3%の窒素雰囲気中の熱処理炉において500℃にて還元熱処理を行った。その後、窒素雰囲気中の熱処理炉において焼き付け温度700℃で焼き付けて、実施例1を得た。また、酸素雰囲気中の熱処理炉において500℃にて酸化熱処理を行った後に、水素濃度3%の窒素雰囲気中の熱処理炉において500℃にて還元熱処理を行い、実施例4を得た。
(比較例2,3)
また、実施例1と同様の方法にてCuメッキ層を形成した後、窒素雰囲気中の熱処理炉において焼き付け温度550℃にて焼き付けて、比較例2を得た。また、同様に、焼き付け温度を700℃として、比較例3を得た。
そして、比較例1〜3及び実施例1,4をそれぞれ複数個形成して、そのうち10個を抜き取り、断面を研磨した後に、金属顕微鏡にて外部電極の膜厚と緻密性とを評価した。また、100個を抜き取り、実体顕微鏡及び金属顕微鏡にて外部電極の表面の外観に異常がないかを確認した。
また、比較例1〜3及び実施例1,4に対して、電気メッキ法によってNiが4μm、Snが4μmとなるようにメッキを連続で形成した。このようにして得られた比較例1〜3及び実施例1を、プレッシャークッカー槽に投入し、121℃−湿度95%の雰囲気下で電圧印加を行う加速耐湿負荷試験(PCBT試験)を実施した。これらの試験によって得られた結果を表1に示す。
Figure 0005195820
表1に示すように、比較例1においては、端子外観に異常は見られなかったが、超加速耐湿負荷試験結果の結果、17%が絶縁抵抗不良となっていた。これに対して、本発明の積層コンデンサの製造方法で作製した実施例1,4は、端子外観及び超加速耐湿負荷試験結果のいずれも全て正常な結果を得ることができた。また、還元熱処理後に焼き付け処理を実施した実施例1は、還元処理後に焼き付け処理を実施していない実施例4よりもさらに好ましい結果を得ることができた。なお、表1において、Tmaxは、T寸法の最大値であり、Hmaxは、H寸法の最大値である(以下、表2においても同様)。
また、比較例2,3においては、端子外観を確認したところ、端子の表面に結晶状の析出物が発生していた。また、超加速耐湿負荷試験結果の結果においても多数の絶縁抵抗不良が確認された。端子表面の析出物は、Cuメッキ時の残渣が焼結処理時(焼き付け時)に素体内部から析出され、窒素雰囲気中の熱処理では分解できずに残渣として残留したものであると考えられる。
(比較例4)
続いて、素体の端面側に電極ペーストBを浸漬工法によって塗布し、焼き付け温度780℃で焼き付けて比較例4を得た。このとき、外部電極のT寸法は、23μmとなるように設定した。
(実施例2,3)
また、素体の端面側に電極ペーストBを浸漬工法によって塗布し、焼き付け温度780℃で焼き付けて焼付電極を形成して、更にピロリン酸によるメッキ浴を用いてCuメッキ層を形成した。このとき、Cuメッキ膜(層)を狙い値6μmで析出させた。そして、酸素雰囲気中の熱処理炉において550℃にて酸化熱処理を行い、更に水素濃度3%の窒素雰囲気中の熱処理炉において550℃にて還元熱処理を行った。その後、窒素雰囲気中の熱処理炉において焼き付け温度750℃で焼き付けて、実施例2を得た。また、実施例2と同様の方法により、Cuメッキ膜(層)を狙い値10μmで析出させて、酸素雰囲気中の熱処理炉において550℃にて酸化熱処理を行い、更に水素濃度3%の窒素雰囲気中の熱処理炉において550℃にて還元熱処理を行った。その後、窒素雰囲気中の熱処理炉において焼き付け温度750℃で焼き付けて、実施例3を得た。
そして、比較例4及び実施例2,3をそれぞれ複数個形成して、そのうち10個を抜き取り、断面を研磨した後に、金属顕微鏡にて外部電極の膜厚と緻密性とを評価した。また、100個を抜き取り、実体顕微鏡及び金属顕微鏡にて外部電極の表面の外観に異常がないかを確認した。
また、比較例4及び実施例2,3に対して、電気メッキ法によってNiが4μm、Snが4μmとなるようにメッキを連続で形成した。このようにして得られた比較例4及び実施例2,3を、プレッシャークッカー槽に投入し、121℃−湿度95%の雰囲気下で電圧印加を行う加速耐湿負荷試験(PCBT試験)を実施した。これらの試験によって得られた結果を表2に示す。
Figure 0005195820
表2に示すように、比較例4においては、端子の外観を確認したところ、全てにおいて素体の角部分付近で電極が掠れた様な状態となっていた。これは、外部電極を焼き付けた際に、外部電極のCuと素体の内部電極のNiとが反応した反応層が、外部電極の薄い部分において外観異常として検出されたことが原因であると考えられる。また、比較例4においては、超加速耐湿負荷試験結果の結果においても、全ての積層コンデンサにおいて絶縁抵抗不良が確認された。これに対して、実施例2,3においては、端子外観及び超加速耐湿負荷試験結果のいずれも全て正常な結果を得ることができた。
[第2実施形態]
続いて、第2実施形態について説明する。図8は、第2実施形態に係る積層コンデンサの製造方法によって製造された多端子型積層コンデンサを示す斜視図、図9は、図8に示す多端子型積層コンデンサの断面図、図10は、図8に示す多端子型積層コンデンサの分解斜視図である。
各図に示すように、誘電体層とされるセラミックグリーンシートを複数枚積層した積層体を焼成することで得られた直方体状の焼結体である誘電体素体(積層体)21を主要部として、多端子型積層コンデンサ20が構成されている。
この誘電体素体21内の所定の高さ位置には、面状の第1の内部電極22が配置されており、誘電体素体21内においてセラミック層(誘電体層)21Aを隔てた第1の内部電極22の下方には、同じく面状の第2の内部電極23が配置されている。同じく誘電体素体21内においてセラミック層21Aを隔てた第2の内部電極23の下方には、同じく面状の第3の内部電極24が配置され、同じく誘電体素体21内においてセラミック層21Aを隔てた第3の内部電極24の下方には、同じく面状の第4の内部電極25が配置されている。
さらに、同じく誘電体素体21内においてセラミック層21Aを隔てた第4の内部電極25の下方には、同じく面状の第5の内部電極26が配置されており、誘電体素体21内においてセラミック層21Aを隔てた第5の内部電極26の下方には、同じく面状の第6の内部電極27が配置されている。同じく誘電体素体21内においてセラミック層21Aを隔てた第6の内部電極27の下方には、同じく面状の第7の内部電極28が配置され、同じく誘電体素体21内においてセラミック層21Aを隔てた第7の内部電極28の下方には、同じく面状の第8の内部電極29が配置されている。
このため、これら第1の内部電極22から第8の内部電極29までが誘電体素体21内においてセラミック層21Aを介して隔てられつつ相互に対向して配置されることになる。そして、これら第1の内部電極22から第8の内部電極29までの中心は、誘電体素体21の中心とほぼ同位置に配置されており、また、第1の内部電極22から第8の内部電極29までの縦横寸法は、対応する誘電体素体21の辺の長さより小さくされている。
さらに、図10に示すように、第1の内部電極22のから電極が1箇所引き出されることで、第1の内部電極22に1つの引出部22Aが形成されている。また、第2の内部電極23から電極が1箇所引き出されることで、第2の内部電極23に1つの引出部23Aが形成されている。一方、第3の内部電極24から電極が1箇所引き出されることで、第3の内部電極24に1つの引出部24Aが形成されている。また、第4の内部電極25から電極が1箇所引き出されることで、第4の内部電極25に1つの引出部25Aが形成されている。
そして、第5の内部電極26から電極が1箇所引き出されることで、第5の内部電極26に1つの引出部26Aが形成されている。また、第6の内部電極27から電極が1箇所引き出されることで、第6の内部電極27に1つの引出部27Aが形成されている。他方、第7の内部電極28から電極が1箇所引き出されることで、第7の内部電極28に1つの引出部28Aが形成されている。また、第8の内部電極29から電極が1箇所引き出されることで、第8の内部電極29に1つの引出部29Aが形成されている。以上より、引出部22A〜29Aまでの計8ヵ所の引出部分が相互に重ならない位置で内部電極22〜29からそれぞれ引き出されている。
さらに、図8〜図10に示すように、第1の内部電極22の引出部22Aに接続される第1の端子電極30、第2内部電極23の引出部23Aに接続される第2の端子電極31、第3の内部電極24の引出部24Aに接続される第3の端子電極32及び、第4の内部電極25の引出部25Aに接続される第4の端子電極33が、誘電体素体21の左側の側面21Bにそれぞれ配置されている。
つまり、第1の内部電極22の引出部22Aから第4の内部電極25の引出部24Aまでがこれらが相互に重ならずに位置しているので、これら引出部22A〜25Aを介して、隣り合う端子電極同士が相互に異なる内部電極21〜25に順次接続される形で、これら端子電極31〜34が誘電体素体21の側面(外表面)21Bに配置されて、例えば隣り合う端子電極同士が相互に逆の極性で使用可能となる。
また、第5の内部電極26の引出部26Aに接続される第5の端子電極34、第6の内部電極27の引出部27Aに接続される第6の端子電極35、第7の内部電極28の引出部28Aに接続される第7の端子電極36及び、第8の内部電極29の引出部29Aに接続される第8の端子電極37が、誘電体素体21の側面(外表面)21Bにそれぞれ配置されている。
つまり、第5の内部電極26の引出部26Aから第8の内部電極29の引出部29Aまでがこれらが相互に重ならずに位置しているので、これら引出部26A〜29Aを介して、隣り合う端子電極同士が相互に異なる内部電極26〜29に順次接続される形で、これら端子電極34〜37が誘電体素体21の側面12Bに配置されて、例えば隣り合う端子電極同士が相互に逆の極性で使用可能となる。以上より、本実施の形態では、多端子型積層コンデンサ20の一方の側面12Bに端子電極(外部電極)30〜33がそれぞれ配置され、他方の側面12Bに端子電極34〜37がそれぞれ配置されることで、直方体である六面体形状とされる誘電体素体21の4つの側面12B,12Cの内の2つの側面12Bに端子電極30〜37がそれぞれ配置されることになる。
次に、本実施の形態に係る多端子型積層コンデンサ20の製造について、図10を参照しながら説明する。まず、多端子型積層コンデンサ20の製造に際しては、コンデンサとして機能する誘電体材料よりなる複数枚のセラミックグリーンシート39〜47を用意する。
図10に示すように、1箇所の引出部22A〜25Aを有した内部電極22〜25を形成するために、セラミックグリーンシート40〜43の上面に、それぞれこれらの内部電極22〜25に応じて電極形成部が配置されている。さらに、1箇所の引出部26A〜29Aを有した内部電極26〜29を形成するために、セラミックグリーンシート44〜47の上面に、それぞれこれらの内部電極26〜29に応じて電極形成部が配置されている。
なお、セラミックグリーンシート40〜47の上面に配置される電極形成部は、例えば導電ペーストが印刷又はスパッタされて設けられる。また、セラミックグリーンシート40〜43とセラミックグリーンシート44〜47との間で、必要とされる特性に合わせてシート厚等を相違させてもよい。そして、それぞれ平面形状を矩形としたセラミックグリーンシート39〜47をこの図の順序で積層し、焼成を行うことで誘電体素体21を得る(素体準備工程)。
誘電体素体21を得た後、素体保持工程が行われる。素体保持工程では、図示しない保持治具にて誘電体素体21を複数並べて保持する。素体保持工程の後、ペースト層形成工程(積層体準備工程)が行われる。ペースト層形成工程では、第1の内部電極22の引出部22Aに接続される第1の端子電極30、第2の内部電極23の引出部23Aに接続される第2の端子電極31、第3の内部電極24の引出部24Aに接続される第3の端子電極32、第4の内部電極25の引出部25Aに接続される第4の端子電極33、第5の内部電極26の引出部26Aに接続される第5の端子電極34、第6の内部電極27の引出部27Aに接続される第6の端子電極35、第7の内部電極28の引出部28Aに接続される第7の端子電極36及び、第8の内部電極29の引出部29Aに接続される第8の端子電極37の形成部分に、導電性ペーストを付与してペースト層を形成する。導電性ペーストは、Cuを主成分とする金属粉末からなり、ガラスを含有している。
ペースト形成工程の後、第一焼付工程が行われる。第一焼付工程では、ペースト層が形成された後、ペースト層に熱処理を行うことによって、焼付電極を形成する。第一焼付工程が行われた後、メッキ層形成工程が行われる。メッキ層形成工程では、湿式メッキ法によって焼付電極上にメッキ膜を析出させてメッキ層を形成する。メッキ層形成工程が行われた後、酸化処理工程が行われる。酸化処理工程では、酸化雰囲気中の熱処理炉内においてメッキ層が形成された誘電体素体21を加熱し、メッキ層を酸化させると共に、メッキ層の表面にCuO層を形成する。
酸化熱処理工程が行われた後、還元熱処理工程が行われる。還元熱処理工程では、水素を添加した窒素雰囲気中(還元雰囲気中)の熱処理炉内においてメッキ層が形成された誘電体素体21を加熱して、酸化させたメッキ層をCu金属に還元すると共に、メッキ層の表面に形成されたCuO層を連続した構造の金属層とする。還元処理工程が終了すると、第二焼付工程が行われる。第二焼付工程では、熱処理を行うことによって、端子電極30〜37を形成する。第二焼付工程が行われた後、メッキ工程が行われる。メッキ工程では、Niメッキ層やSnメッキ層を形成する。
以上によって、誘電体素体21の4つの側面12B,12Cの内の一方の側面12Bに端子電極30〜33が配置されると共に他方の側面12Bに端子電極34〜37が配置された多端子型積層コンデンサ20を得ることができる。
以上説明したように、多端子型積層コンデンサ20では、第1実施形態と同様に、焼付電極全体を覆うようにメッキ層を形成した後に、酸素雰囲気中で熱処理を行い、更にその後に還元雰囲気中において熱処理を行っている。メッキ層は、酸素雰囲気中において熱処理されることにより酸化し、水分やメッキ液等の残留物は、酸化分解、燃焼分解等によって離脱される。また、メッキ層内に形成された空隙やボイド等も、酸素雰囲気中の熱処理に伴う体積膨張により消滅させることができる。そして、還元雰囲気中において熱処理を行うことにより、緻密化された状態のままメッキ層を金属に還元すると共に、焼付電極とメッキ層とを強固に結合することができる。これにより、緻密な端子電極30〜37を形成することができるので、誘電体素体21内へのメッキ液等の侵入を防止することができる。その結果、信頼性の向上を図ることができる。
[第3実施形態]
続いて、第3実施形態について説明する。図11は、第3実施形態に係る積層コンデンサの製造方法によって製造された積層セラミックチップコンデンサを示す斜視図、図12は、図11に示す積層セラミックチップコンデンサの断面図、図13は、図11に示す積層セラミックチップコンデンサの分解斜視図である。
各図に示すように、誘電体層とされるセラミックグリーンシートを複数枚積層した積層体を焼成することで得られた直方体状の焼結体である誘電体素体51を主要部として、積層セラミックチップコンデンサ50が構成されている。
この誘電体素体51内のある高さ位置には、面状の第1の内部電極52が配置されており、誘電体素体51内においてセラミック層(誘電体層)51Aを隔てた第1の内部電極52の下方には、同じく面状の第2の内部電極53が配置されている。このため、これら第1の内部電極52と第2の内部電極53とが誘電体素体51内において誘電体層を介して隔てられつつ相互に対向して配置されることになる。これら第1の内部電極52及び第2の内部電極53の中心は、誘電体素体51の中心とほぼ同位置に配置されており、また、第1の内部電極52及び第2の内部電極53の縦横寸法は、対応する誘電体素体51の辺の長さより若干小さくされているので、これら第1の内部電極52及び第2の内部電極53の端部は誘電体素体51の端部に面さない構造となっている。
この誘電体素体51内には、第2の内部電極53を貫通して第1の内部電極52に電気的に接続される第1のスルーホール電極54及び、第1の内部電極52を貫通して第2の内部電極53に電気的に接続される第2のスルーホール電極55が、これら内部電極52,53と直交するように交差してそれぞれ延びる形で、柱状に設けられている。なお、これら内部電極52,53及びスルーホール電極54,55はニッケル(Ni)系の金属で形成されている。
図11に示すように、誘電体素体51には、この第1のスルーホール電極54と第2のスルーホール電極55とが交互に2つずつ配置されることで、列が形成されている。この列と隣り合う誘電体素体51の奥側寄りの部分には、この列と平行であって逆の配列で第1のスルーホール電極54と第2のスルーホール電極55とが交互に2つずつ配置される列が同様に配置されている。これら第1のスルーホール電極54は、誘電体素体21の表面である上下の平面部(外表面)51Bに島状に配置された第1の外部電極56に電気的に接続されており、また、これら第2のスルーホール電極55は、誘電体素体51の平面部に島状に配置された第2の外部電極57に電気的に接続されている。
つまり、誘電体素体51の手前側寄りの部分には、この第1の外部電極56と第2の外部電極57とが交互に2つずつ配置されることで、第1列58が形成されている。この第1列58と隣り合う誘電体素体51の奥側寄りの部分には、第1列58と平行であって、第1列58と逆の配列で第1の外部電極56と第2の外部電極57とが交互に2つずつ配置される第2列59が同様に配置されている。このため、第1の外部電極56と第2の外部電極57とが互いに隣同士に配置されるように、これら外部電極56,57が誘電体素体21の表面に千鳥状に交互に並んで複数列配置されることになる。
次に、積層セラミックチップコンデンサ50の製造について、図13を参照しながら説明する。まず、積層セラミックチップコンデンサ50の製造に際しては、コンデンサとして機能する誘電体材料よりなる複数枚のセラミックグリーンシート60〜63を用意する。
図13に示すように、上面に電極が印刷またはスパッタされていないセラミックグリーンシート60の下方にセラミックグリーンシート61が位置している。このセラミックグリーンシート61上には、第1の内部電極52を形成するために、この第1の内部電極52に応じて例えば導電ペーストが印刷又はスパッタされている。さらに、セラミックグリーンシート61の下方に上面に電極が印刷またはスパッタされていないセラミックグリーンシート62が位置している。このセラミックグリーンシート62の下方にセラミックグリーンシート63が位置している。このセラミックグリーンシート63上には、第2の内部電極53を形成するために、この第2の内部電極53に応じて同様に印刷又はスパッタされている。
これらセラミックグリーンシート60〜63には、相互に同位置で2列に並んで計8個のスルーホール64が設けられている。また、内部電極層とされるセラミックグリーンシート61,63の内部電極52,53にスルーホール64と接触しない様に交互に抜き穴65が設けられている。
つまり、第1の内部電極52に配置されたスルーホール64には、このスルーホール64とそれぞれ同軸状の抜き穴65がこれらスルーホール64より大径に形成されている。また、第2の内部電極53には、第1の内部電極52上で抜き穴65が設けられていないスルーホール64に、上記と同様に抜き穴65が形成されている。そして、それぞれ平面形状を矩形としたセラミックグリーンシート60〜63を積層すると共に、貫通したスルーホール64と各内部電極52,53の抜き穴65がない箇所とを接続するようにニッケル金属を主成分としたペーストを流しこんで第1のスルーホール電極54及び第2のスルーホール電極55を形成し、グリーン状態の素体を得る。
グリーン状態の素体を得た後、素体保持工程が行われる。素体保持工程では、図示しない保持治具にて素体を複数並べて保持する。素体保持工程の後、ペースト層形成工程(積層体準備工程)が行われる。ペースト層形成工程では、素体の両平面部(第1スルーホール電極54及び第2スルーホール電極55の両端部)に、導電性ペーストを例えばスクリーン印刷にて付与してペースト層を形成する。導電性ペーストは、Niを主成分とする金属粉末からなる。
ペースト形成工程の後、第一焼付工程が行われる。第一焼付工程では、ペースト層が形成された素体を一体焼成する。これにより、素体が焼成されて焼成後の誘電体素体51が得られると共に、ペースト層に熱処理が行われることで、焼付電極が形成される。第一焼付工程が行われた後、メッキ層形成工程が行われる。メッキ層形成工程では、湿式メッキ法によってNiペースト層の焼付電極上にCuメッキ膜を析出させてメッキ層を形成する。メッキ層形成工程が行われた後、酸化処理工程が行われる。酸化処理工程では、酸化雰囲気中の熱処理炉内においてメッキ層が形成された誘電体素体51を加熱し、メッキ層を酸化させると共に、メッキ層の表面にCuO層を形成する。
酸化熱処理工程が行われた後、還元熱処理工程が行われる。還元熱処理工程では、水素を添加した窒素雰囲気中(還元雰囲気中)の熱処理炉内においてメッキ層が形成された誘電体素体21を加熱して、酸化させたメッキ層をCu金属に還元すると共に、メッキ層の表面に形成されたCuO層を連続した構造の金属層とする。還元処理工程が終了すると、第二焼付工程が行われる。第二焼付工程では、熱処理を行うことによって、第1の外部電極56及び第2の外部電極57を形成する。第二焼付工程が行われた後、必要に応じてメッキ工程を行ってもよい。メッキ工程では、Niメッキ層やSnメッキ層を形成する。
以上によって、誘電体素体51の平面部51Bに第1の外部電極56及び第2の外部電極57が配置された積層セラミックチップコンデンサ50を得ることができる。
以上説明したように、積層セラミックチップコンデンサ50では、第1実施形態と同様に、焼付電極全体を覆うようにメッキ層を形成した後に、酸素雰囲気中で熱処理を行い、更にその後に還元雰囲気中において熱処理を行っている。メッキ層は、酸素雰囲気中において熱処理されることにより酸化し、水分やメッキ液等の残留物は、酸化分解、燃焼分解等によって離脱される。また、メッキ層内に形成された空隙やボイド等も、酸素雰囲気中の熱処理に伴う体積膨張により消滅させることができる。そして、還元雰囲気中において熱処理を行うことにより、緻密化された状態のままメッキ層を金属に還元すると共に、焼付電極とメッキ層とを強固に結合することができる。これにより、緻密な第1及び第2の外部電極56,57を形成することができるので、誘電体素体51内へのメッキ液等の侵入を防止することができる。その結果、信頼性の向上を図ることができる。
なお、上述の説明では、セラミックグリーンシート60〜63を積層した焼成前のグリーン状態の素体に第1及び第2スルーホール電極54,55を形成し、素体の両平面部にNiのペースト層を形成した後に一体焼成しているが、第1及び第2スルーホール電極54,55を形成して素体を焼成した後に、ペースト層を形成して焼き付けてもよい。
また、誘電体素体51をセラミックグリーンシート60〜63を積層して構成しているが、セラミックグリーンシート62は、必ずしも積層されなくてもよい。この場合、積層セラミックチップコンデンサ50の高さ寸法を確保する場合には、セラミックグリーンシート61の厚み寸法を大きくすればよい。
[第4実施形態]
続いて、第4実施形態について説明する。図14は、第4実施形態に係る積層コンデンサの製造方法によって製造された積層チップ型コンデンサを基板実装状態で示す図、図15は、図14に示す積層チップ型コンデンサにおける内部電極の積層構造を示す斜視図、図16は、図14に示す積層チップ型コンデンサにおける外部接続電極の形態を示す斜視図である。
図14及び図15に示すように、図部品本体71は、誘電体層と内部電極72,73とを交互に積層し、互いに電気的に接続されない内部電極72,73の端面の一部72a,72b,73a,73bを、その端面と平行する部品本体71の両端部寄りに、各面内で隔離して露出することにより形成されている。この内部電極72,73は、後で詳述する如く各端部72a,72b,73a,73bが部品本体71の上下各面側に引き出されるT字状等の電極パターンで誘電体層となる誘電体グリーンシートに印刷し、その電極パターンを逆向きに印刷した誘電体グリーンシートを複数積層することから形成できる。
部品本体71においては、図16で示すように左右対の外部接続電極(外部電極)74a,74b,75a,75bが部品本体71の上下各面(外表面)に設けられている。この対の外部接続電極74a,74b,75a,75bは上述した互いに電気的に接続されない内部電極72,73の端面の一部72a,72b,73a,73bとそれぞれ個別に電気的に接続するもので、部品本体71の外周縁より各面内に距離L1,L2を保って部品本体71の上下各面でそれぞれ同形態を呈するように設けられている。
チップ部品70の搭載用とし、回路基板CBの板面には図14で示す如く各対の外部接続電極74a,74b,75a,75bが渡るよう位置合わせて導電パターンのランド部R1,R2が印刷形成されている。このランド部R1,R2は半田ペーストが外部接続電極74a,74b,75a,75bの厚み面回りに凝集することを考慮し、外部接続電極74a,74b,75a,75bが部品本体71の外郭辺より内側に隔てる距離L1,L2の範囲内において外部接続電極74a,74b,75a,75bよりも広面積に広げて形成することができる。なお、この回路基板CBは導電パターンのランド部R1,R2を除き、板面がソルダーレジスト膜(図示せず)で被覆されている。
上述したチップ部品70は、リフローソルダリングで回路基板CBの板面に半田付け固定することができる。このリフローソルダリングでは、まず、クリーム半田を導電パターンのランド部R1,R2に印刷する。次に、チップ部品70を回路基板CBの板面に載置するが、そのチップ部品70は外部接続電極74a,74b,75a,75bが部品本体71の上下各面で同形態に設けられているため、部品本体71の上下各面のいずれかからでも回路基板CBの板面に向けて載置することにより、外部接続電極74a,74b又は外部接続電極75a,75bをクリーム半田に接触させて仮止めすることができる。それと同様に、他の電子部品も回路基板CBの板面上に載置したならば、赤外線の照射炉に送り込んでクリーム半田を溶融することにより半田付け処理すればよい。
この半田付け処理に伴ってはクリーム半田が溶融固化することにより半田フィレットS1,S2が形成されるが、その半田フィレットS1,S2は部品本体71の外郭辺より内側に離隔位置する外部接続電極74a,74b又は外部接続電極75a,75bとの間に形成されるため、少なくとも部品本体1より側方にはみ出さない。また、この半田フィレットS1,S2が外部接続電極74a,74b又は外部接続電極75a,75bの厚み面回りに凝集しても、ランド部R1,R2の面積を越えないから部品本体71より側方にはみ出ない。
従って、上述した構成のチップ部品70によると、導電パターンのランド部R1,R2として回路基板CBの板面上で部品本体71より側方に広げるよう形成しないでよいばかりでなく、半田フィレットS1,S2も部品本体71より側方にはみ出さないから、相隣接する電子部品の搭載位置乃至は導電パターンのランド部は部品本体71より卑近の狭間位置に設定することができる。これにより、回路基板の限られた板面の面積内を有効活用できて高密度実装可能な積層チップ型電子部品として構成できる。
このチップ部品70を製造するには、まず、誘電材ペーストからグリーンシートを得た後に、内部電極をCu,Ag,Pd,Ni等の導電性ペーストを誘電体グリーンシートのシート面にスクリーン印刷することにより内部電極を形成する。その内部電極は、T字状を呈する電極パターンのものではT字の頭部辺で横方向に連続させて複数個分を一列に並べることにより複数列を共通パターンで誘電体グリーンシートのシート面に形成することができる。
その内部電極の形成後に、誘電体グリーンシートは複数層を内部電極72,73と交互になるよう上下に積層する。この積層にあたっては、内部電極72,73が上下の相対する誘電体グリーンシートの間で逆向きの電極パターンとなるよう位置し、所定枚複数層を順次に重ね合わせてプレス成形することにより多数個取り用の積層体として形成する。なお、特に図示しないが、積層体の最外層には誘電体の保護層が積層されている。
積層体は、部品素体単位に個々に切断する。この切断は、上述したT字の頭部辺で横方向に連続させたものでは各T字の頭部辺毎に切断する方向C1と、複数列形成したT字毎に切断する方向C2とに沿ってそれぞれ行うことにより、互いに電気的に接続されない内部電極72,73の端面の一部72a,72b,73a,73bが上下二面の各面内で両端部寄りに露出する部品素体を得ることができる。また、その切断は積層体が未焼成の生の状態で行うため、通常の直線刃状のスライサーを用いて容易に行うことができる。
その部品素体単位に切断後、内部電極の端面の一部が露出するように研削仕上する。この後に、各部品素体は焼成炉に送り込むことにより焼成処理を施す。その焼成処理は1000〜1400℃程度の温度で行い、誘電体層を一体に焼結する。これにより、図15で示すような内部電極72,73の互いに電気的に接続されない端面の一部72a,72b,73a,73bが上下二面の各面内で両端部寄りに露出する部品本体(積層体)71を得ることができる(素体準備工程)。
その焼成処理後の部品本体71に対し、Cuの導電性ペーストを塗布することにより外部接続電極74a,74b,75a,75bを形成する。この電極74a,74b,75a,75bの形成は、部品本体71を凹部に収容させて複数整列保持するパレット状の治具と、部品本体71の研削面に露出する内部電極の各端部と対応する開孔部を有するメタルマスクと、導電性ペーストを移動するスキージとを用い、部品本体71を治具で保持(素体保持工程)して反転させることにより部品本体71の両面に印刷処理することができる(ペースト層形成工程)。その印刷処理によると、複数個の部品本体を治具で整列保持することにより一括処理できるばかりでなく、導電性ペーストを部品本体71の研削面に高精度に塗布することができる。
その印刷された導電性ペーストには500〜900℃程度の温度で焼付け処理を施し、焼付電極を形成する(第一焼付電極)。第一焼付工程が行われた後、メッキ層形成工程が行われる。メッキ層形成工程では、湿式メッキ法によって焼付電極上にメッキ膜を析出させてメッキ層を形成する。メッキ層形成工程が行われた後、酸化処理工程が行われる。酸化処理工程では、酸化雰囲気中の熱処理炉内においてメッキ層が形成された部品本体71を加熱し、メッキ層を酸化させると共に、メッキ層の表面にCuO層を形成する。
酸化熱処理工程が行われた後、還元熱処理工程が行われる。還元熱処理工程では、水素を添加した窒素雰囲気中(還元雰囲気中)の熱処理炉内においてメッキ層が形成された部品本体71を加熱して、酸化させたメッキ層をCu金属に還元すると共に、メッキ層の表面に形成されたCuO層を連続した構造の金属層とする。還元処理工程が終了すると、第二焼付工程が行われる。第二焼付工程では、熱処理を行うことによって、図16に示すように、外部接続電極74a,74b,75a,75bを形成する。第二焼付工程が行われた後、メッキ工程が行われる。メッキ工程では、Niメッキ層やSnメッキ層を形成する。
以上によって、外部接続電極74a,74b,75a,75bが配置されたチップ部品70を得ることができる。
以上説明したように、チップ部品70では、第1実施形態と同様に、焼付電極全体を覆うようにメッキ層を形成した後に、酸素雰囲気中で熱処理を行い、更にその後に還元雰囲気中において熱処理を行っている。メッキ層は、酸素雰囲気中において熱処理されることにより酸化し、水分やメッキ液等の残留物は、酸化分解、燃焼分解等によって離脱される。また、メッキ層内に形成された空隙やボイド等も、酸素雰囲気中の熱処理に伴う体積膨張により消滅させることができる。そして、還元雰囲気中において熱処理を行うことにより、緻密化された状態のままメッキ層を金属に還元すると共に、焼付電極とメッキ層とを強固に結合することができる。これにより、緻密な外部接続電極74a,74b,75a,75bを形成することができるので、部品本体71内へのメッキ液等の侵入を防止することができる。その結果、信頼性の向上を図ることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、外部電極を形成した後に、Niメッキ層やSnメッキ層を形成しているが、Niメッキ層やSnメッキ層は、必ずしも形成されなくてもよい。
また、第1実施形態では、素体2において、端面2a,2bと側面2cの間の角部分9が湾曲して所定の曲率半径を有するように面取り加工が施されているが、本発明では、素体2の角部分9が必ずしも所定の曲率半径を有するように面取り加工が実施される必要はない。
また、外部電極は、焼成された後の素体にCuのペースト層を付与して焼き付け、焼付電極を形成した後にメッキ層形成工程、酸化熱処理工程、還元熱処理工程を行って形成してもよいし、或いは、焼成前のグリーン状態の素体にペースト層を付与して一体焼成することで、グリーン状態の素体を焼成すると共に焼付電極を形成し、その後にCuのメッキ層形成工程、酸化熱処理工程、還元熱処理工程を行って形成してもよい。
1…積層コンデンサ、2…素体、2a,2b…端面(外表面)、2c…側面、3,4…外部電極、16…ペースト層、16a…焼付電極、17…メッキ層、20…多端子型積層コンデンサ、21B…側面(外表面)、30〜33…端子電極(外部電極)、50…積層セラミックチップコンデンサ、51B…平面部(外表面)、56…第1の外部電極(外部電極)、57…第2の外部電極(外部電極)、70…積層チップコンデンサ、74a,74b,75a,75b…外部接続電極(外部電極)、P…導電性ペースト、S3…ペースト層形成工程(積層体準備工程)、S5…第一焼付工程、S6…メッキ層形成工程、S7…酸化熱処理工程(第一熱処理工程)、S8…還元熱処理工程(第二熱処理工程)、S9…第二焼付工程。

Claims (4)

  1. 内部電極と誘電体層とが積層された積層体と、前記積層体の外表面に形成された外部電極とを備える積層コンデンサの製造方法であって、
    前記積層体の外表面に導電性ペーストにて形成されたペースト層を有する積層体を準備する積層体準備工程と、
    前記ペースト層を焼き付けて、焼付電極を形成する第一焼付工程と、
    前記焼付電極全体を覆うように金属メッキ層を形成するメッキ層形成工程と、
    前記金属メッキ層を酸素雰囲気中で加熱処理する第一熱処理工程と、
    前記第一熱処理工程の後、前記金属メッキ層を還元雰囲気中で加熱処理する第二熱処理工程と、
    を有することを特徴とする積層コンデンサの製造方法。
  2. 前記第二熱処理工程の後、前記金属メッキ層を焼き付ける第二焼付工程を更に有することを特徴とする請求項1記載の積層コンデンサの製造方法。
  3. 前記ペースト層及び前記金属メッキ層には、主成分としてCuが含有されていることを特徴とする請求項1又は2記載の積層コンデンサの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項記載の積層コンデンサの製造方法によって製造された積層コンデンサ。
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