JP2007123835A - 積層セラミックコンデンサおよびその製法 - Google Patents

積層セラミックコンデンサおよびその製法 Download PDF

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Abstract

【課題】セラミック誘電体層の薄層化および多積層化を図るために微粒子の誘電体粉末を用いても高容量化できる積層セラミックコンデンサおよびその製法を提供する。
【解決手段】セラミック誘電体層7および内部電極層9が交互に複数積層された有効部1aと該有効部1aの積層方向の上下面に形成された前記セラミック誘電体層7からなる保護層1bにより構成されたコンデンサ本体1と、該コンデンサ本体1の両端部に形成された外部電極3とを具備してなる積層セラミックコンデンサにおいて、前記保護層1bのセラミック誘電体層7を形成する結晶粒子11の平均粒径が前記有効部1aのセラミック誘電体層7を形成する結晶粒子11の平均粒径よりも小さく、かつ前記コンデンサ本体1は、前記外部電極の対向する磁器に垂直な方向の側面が凹状に湾曲し、残留圧縮応力が250MPa以上である。
【選択図】図2

Description

本発明は、積層セラミックコンデンサおよびその製法に関し、特に、薄層化したセラミック誘電体層と内部電極層とが交互に積層され構成された有効部と、その上下面に重畳された保護層とを具備する高容量の積層セラミックコンデンサおよびその製法に関する。
近年、電子部品の小型化、高機能化に伴い、積層セラミックコンデンサは小型高容量化が求められ、そのためセラミック誘電体層の薄層化とセラミック誘電体層および内部電極層の多積層化が行われている。例えば、下記の特許文献1によれば、厚みが1.5μm以下のセラミック誘電体層を形成するために、粒径が0.01〜0.3μmの誘電体粉末を用いることが記載されている。
特開平11−67578号公報
しかしながら、上記のような粒径の細かい誘電体粉末を用いてセラミック誘電体層の薄層化と高積層化を図ったとしても、誘電体粉末の粒径が細かくなるに伴い誘電体粉末自体の比誘電率が低いものとなる。このため高容量化を目的としてセラミック誘電体層の薄層化と多積層化を図っても高容量化という点で期待したほどの効果が得られないという問題がある。
従って本発明は、セラミック誘電体層の薄層化および多積層化を図るために微粒子の誘電体粉末を用いても高容量化できる積層セラミックコンデンサおよびその製法を提供することを目的とする。
本発明の積層セラミックコンデンサは、セラミック誘電体層および内部電極層が交互に複数積層された有効部と該有効部の積層方向の上下面に形成されたセラミック誘電体からなる保護層により構成されたコンデンサ本体と、該コンデンサ本体の両端部に形成された外部電極とを具備してなる積層セラミックコンデンサにおいて、前記保護層のセラミック誘電体を形成する結晶粒子の平均粒径が前記有効部のセラミック誘電体層を形成する結晶粒子の平均粒径よりも小さく、かつ前記コンデンサ本体は、前記外部電極の対向する磁器に垂直な方向の側面が凹状に湾曲し、残留圧縮応力が−250MPa以下であることを特徴とする。
また上記積層セラミックコンデンサでは、前記保護層中の結晶粒子の平均粒径をD2、前記有効部のセラミック誘電体層中の結晶粒子の平均粒径をD1としたときに、各結晶粒子の平均粒径比D2/D1が0.6〜0.8の範囲であること、前記コンデンサ本体の前記外部電極方向中央部付近における内部電極層に平行な方向の最大幅をw1、最小幅をw2としたときに、X(%)={(w1−w2)/w1}×100で表されるXが3.4%以上3.6%以下であること、前記セラミック誘電体層を形成する結晶粒子がCa濃度が0.2原子%以下のチタン酸バリウムとCa濃度が0.4原子%以上のチタン酸バリウムカルシウムとが複合化されたものであることが望ましい。
本発明の積層セラミックコンデンサの製法は、平均粒径が0.3μm以下の誘電体粉末を含む複数の第1誘電体グリーンシート間に、平均粒径が0.25μm以下の卑金属粉末からなる内部電極パターンを積層してなる有効積層体と、該有効積層体の積層方向の上下面に形成され、前記第1誘電体グリーンシートを構成する誘電体粉末よりも平均粒径の小さい誘電体粉末を含む第2誘電体グリーンシートからなる保護シート層とにより形成される積層体を形成する工程と、該積層体を切断後焼成する工程とを具備することを特徴とする。
また上記の積層セラミックコンデンサの製法では、前記第2誘電体グリーンシート中の前記誘電体粉末の平均粒径をDG2、前記第1誘電体グリーンシート中の前記誘電体粉末の平均粒径をDG1としたときに、各誘電体粉末の平均粒径比DG2/DG1を0.6〜0.8の範囲とすること、前記内部電極パターンとして、MgO、MnOおよび希土類元素(Yを含む)の酸化物を被覆した小径のチタン酸バリウム粉末と、MgO、MnOおよび希土類元素(Yを含む)の酸化物を被覆していない大径のチタン酸バリウム粉末とを共材として含む内部電極パターンを積層すること、前記内部電極パターンとして、Os、Ru、TcおよびWから選ばれる1種の金属粉末を含む内部電極パターンを積層することが望ましい。
本発明によれば、積層セラミックコンデンサを構成する保護層のセラミック誘電体層について、それを構成する結晶粒子の平均粒径を有効部のセラミック誘電体層を形成する結晶粒子の平均粒径よりも小さくし、コンデンサ本体の側面が凹状に湾曲なるほどの残留圧縮応力を持たせるようにしたことにより、有効部のセラミック誘電体層および内部電極層を薄層高積層化しても、デラミネーションの発生を抑えた高容量の積層セラミックコンデンサを得ることができる。
また、上記のような積層セラミックコンデンサは、有効部を形成するための第1誘電体グリーンシート用に平均粒径が0.3μm以下の誘電体粉末を用い、また、その層間に形成する内部電極パターンに平均粒径が0.25μm以下の卑金属粉末を用い、さらに保護層となる第2誘電体グリーンシート用の誘電体粉末として前記第1誘電体グリーンシートに用いた誘電体粉末よりも微粒の誘電体粉末を用いることにより容易に形成できる。
また、本発明によれば、有効積層体を作製する際に、卑金属粉末とともに、共材として、MgO、MnOおよび希土類元素(Yを含む)の酸化物を被覆した小径のチタン酸バリウム粉末と、MgO、MnOおよび希土類元素(Yを含む)の酸化物を被覆していない大径のチタン酸バリウム粉末とを含む内部電極パターンを用いることにより、内部電極層中に含まれるチタン酸バリウム粉末の粒成長が抑制されるために、内部電極層の焼成による収縮開始温度を高めることができ、これにより、積層セラミックコンデンサの内部における残留圧縮応力を−250MPa以下に維持しつつ、静電容量の温度変化率の小さい積層セラミックコンデンサの形成が容易となる。
さらに本発明によれば、これも有効積層体を作製する際に、卑金属粉末とともに、Os、Ru、TcおよびWから選ばれる1種の金属粉末を含む内部電極パターンを用いることにより、Os、Ru、TcおよびWがチタン酸バリウムの焼結温度である1200℃付近の温度では融解し難いために、内部電極層中において、Niとの合金化によりNiのセラミック誘電体層中への拡散を抑制でき、これによりセラミック誘電体層の絶縁性の低下を抑制でき、残留圧縮応力を−250MPa以下に維持しつつ、高温負荷時の粒界抵抗変化率が小さい積層セラミックコンデンサの形成が容易となる。
以下、本発明の積層セラミックコンデンサおよびその製法について、実施の形態を示し、その特徴とするところを詳細に説明する。図1(a)は本発明の積層セラミックコンデンサを示す概略断面図であり、(b)は本発明の積層セラミックコンデンサにおける有効部と保護層間を示す拡大模式図である。
本発明の積層セラミックコンデンサは、コンデンサ本体1の端部に外部電極3が形成されている。コンデンサ本体1は容量発生に寄与する有効部1aと、この有効部1aの上下面側に配置された容量発生に寄与しない保護層1bとから形成されている。有効部1aはセラミック誘電体層7と内部電極層9とが交互に積層され構成されている。
そして、有効部1aの厚みをt1、保護層1bの厚みをt2としたときに、t2/t1≧0.05の関係を満足することが望ましく、特に、その比率が0.1以上0.3以下であることが望ましい。このように有効部1aに対して保護層1bの影響が大きくなる場合に本発明を適用することが効果的である。
即ち、セラミック誘電体層7はセラミック粒子からなる結晶粒子11と、この結晶粒子11の界面に形成された粒界13とから構成されている。結晶粒子11は少なくともBaTiOを主成分とするものであるが、本発明では、特に、ACバイアス依存性が大きいという特徴を生かして高容量化できるという点で、セラミック誘電体層を形成する結晶粒子11がCa濃度0.2原子%以下のチタン酸バリウムとCa濃度が0.4原子%以上含むチタン酸バリウムカルシウム(BaCaTiO)とが複合化されたものであることがより望ましい。
一方、粒界13はSiOを主成分とする2次相からなる。粒界13にSiOを主成分とする2次相を多く形成するとより保護層1bを高密度化でき機械的強度を高めることができる。
保護層1bもまた有効部1aを構成するセラミック誘電体層7と同様の成分からなる結晶粒子11および粒界13とからなる2次相により形成されている。
そして、本発明では保護層1bのセラミック誘電体層7を構成する結晶粒子11の平均粒径D2が有効部の前記セラミック誘電体層7を構成する結晶粒子11の平均粒径D1よりも大きいことが重要である。
具体的には、保護層1bの結晶粒子11の平均粒径D2がセラミック誘電体層7の結晶粒子11の平均粒径D1の0.6〜0.8倍であることが望ましい。D2/D1比がこのような範囲であると保護層1bを機械的に強くできることからデラミネーションを抑制できる。
図2は、本発明のコンデンサ本体の外部電極方向中央部の断面図である。本発明の積層セラミックコンデンサはコンデンサ本体の側面が凹状に湾曲していることを特徴とする。
本発明においてコンデンサ本体1の側面が湾曲した状態とは、コンデンサ本体1を対向する外部電極3の方向に見たときに、コンデンサ本体1の断面が積層方向の上下面側から中央部側に向けて幅が狭くなっている状態をいう。つまり、その形状はコンデンサ本体1の対向する前記外部電極3方向の中央部付近における内部電極層9に平行な方向である両サイドマージン(静電容量に寄与しない誘電体磁器のみの部分)端方向の最大幅をw1、最小幅をw2としたときに、X(%)={(w1−w2)/w1}×100で表される。この場合、前記式のXが3.4%以上3.6%以下であることが、半田耐熱試験によるクラックの発生を抑制できるという利点がある。なお、絶対値で2.5%以上であれば実体顕微鏡観察において湾曲であることが確認できる。
本発明では、コンデンサ本体1の側面をこのように湾曲状に形成し、その度合いを調整してコンデンサ本体1に発生する残留圧縮応力を高めることができる。この残留圧縮応力はコンデンサ本体1において、有効部1aと保護層1bとの界面および有効部1a中のセラミック誘電体層7と内部電極層9との界面において発生するものと考えられる。なお、残留圧縮応力はX線回折により評価できる。
本発明ではコンデンサ本体1の側面が凹状に湾曲になるほどに、そして、残留圧縮応力を−250MPa以下(マイナス側へ応力の数値が大きくなる方向)にすることが重要である。積層セラミックコンデンサでは圧縮応力が大きいと半田耐熱衝撃試験においてクラックやデラミネーションが発生しやすいことから−280MPa以上(プラス側へ応力の数値が小さくなる方向)が好ましい。
これに対して、保護層1b中のセラミック誘電体層7を形成する結晶粒子11の平均粒径D2が、有効部1aのセラミック誘電体層7を形成する結晶粒子11の平均粒径D1と同じか大きい場合、もしくは、コンデンサ本体の側面が凹状に湾曲状ではなく、残留圧縮応力が−250MPaよりも+側にある場合には、保護層1bのセラミック誘電体層7を形成する結晶粒子11の平均粒径D2が、有効部1aのセラミック誘電体層7の結晶粒子11の平均粒径D1よりも小さくても高容量化を図ることは困難である。
そして、このような構成の本発明の積層セラミックコンデンサでは高容量化する因子として以下の要件を具備していることがより好ましい。セラミック誘電体層7の厚みは高容量化という点で3μm以下が好ましく、特に、0.5μm以上2μm以下が高絶縁性による高信頼性をも満足するという点でより好ましい。
積層数は高容量化という点で200層以上が好ましく、特に、生産歩留まりや高信頼性という点で200層以上1000層以下であることがより好ましい。
また、セラミック誘電体層7および保護層3を構成する主結晶粒子11の平均粒径D2、D1は0.3μm以下、特に、微粒子であっても高密度かつ高強度化できるという点で0.1μm以上0.2μm以下であることがより望ましく、このようにセラミック誘電体層7や保護層3を構成する主結晶粒子11の平均粒径D2、D1が小さくなる積層セラミックコンデンサに好適となる。
内部電極層9の厚みは、セラミック誘電体層7上での段差を低減し高積層化できるという点で2μm以下、特に、内部電極層9の有効面積を確保し、積層セラミックコンデンサが残留圧縮応力を有するという点で0.5μm以上1.5μm以下がより望ましい。
内部電極層9は、小型高容量の積層セラミックコンデンサの低コスト化を図る上で卑金属粉末であるNi、Cuが好適であり、特に、主成分であるBaTiOとの同時焼成を可能にできるという点でNiがより望ましい。
なお、本発明において、結晶粒子11の平均粒径D1、D2は磁器断面を電子顕微鏡観察後インターセプト法により求めることができる。具体的には、写真内の30μm角の領域の対角線方向の長さを、その線上に存在する粒子数で割って評価する。
図3(a)は、本発明の積層セラミックコンデンサにおける交流インピーダンス法を用いた誘電体層中の粒界の抵抗の評価手法を示す模式図である。図3において、20aは試料である積層セラミックコンデンサを装着して温度制御を行う恒温槽、20bは試料に直流電圧を印加する加速寿命試験(HALT:High Accelerated Life Test)測定装置、20cは交流電源を有するインピーダンス測定装置である。本発明では積層セラミックコンデンサにおける誘電体層5を構成するペロブスカイト型チタン酸バリウム系結晶粒子9が示すキュリー温度(静電容量の温度特性における最大の静電容量値)よりも高い温度、および積層セラミックコンデンサの定格電圧の1/3以上の電圧の高温負荷状態に放置する。この場合、放置時間を変えて試験を行う。そして、前述の条件で高温負荷状態に放置した前後において同じ条件の交流インピーダンスの測定を行い誘電体層5中の粒界13の抵抗変化率を測定する。放置時間を変更したものを複数個評価することにより抵抗変化率は時間の依存性(単位時間当たりの変化量)として評価できる。
図4(a)は、本発明の積層セラミックコンデンサにおける結晶粒子11、粒界13、および内部電極層9と誘電体層7との界面におけるインピーダンス変化のグラフ(コールコールプロット)である。
この評価では誘電体層7を図の等価回路のように、結晶粒子11、粒界13および内部電極層9と誘電体層7との界面10の3つの成分に区別する。図中のZ’はインピーダンス信号の実部、Z”は虚部を示す。インピーダンスの変化を示すグラフは加速寿命試験(HALT)の前と後の違いおよびシミュレーションによるフィッティングである。本発明における評価は粒界13における抵抗変化に着目するものであり、その実部の変化率が1%/min以下であると高温負荷時の粒界抵抗変化率が小さく高温負荷寿命が高いものと判断した。抵抗変化率が1%/minを超えるものは高温負荷寿命の信頼性が低いものと判断した。なお、上述した評価は例えば加速寿命試験の前後における図3のコールコールプロットを専用ソフトによって結晶粒子11、粒界13および内部電極層9と誘電体層7との界面10の3つの成分に分けて求めることができる。具体的には、図4(b)のように、結晶粒子11、粒界13および内部電極層9と誘電体層7との界面10の3つの成分について等価回路で表したときに、実測値との誤差を最小にするようにして得られた各成分(R、C)の値から粒界13のR成分の変化率を求める。ここで、高温負荷雰囲気処理前後での誘電体層7中のイオンの拡散や電子の移動が大きくなり粒界13の抵抗変化率を顕著に見ることができるという点で、温度はキュリー温度の1.5倍、電圧は定格電圧の2/5V以上が好ましい。
次に、本発明の積層セラミックコンデンサの製法について説明する。先ず、チタン酸バリウム系の誘電体粉末と、ガラス粉末などの添加剤とを、バインダを含む分散媒に分散させてセラミックスラリを得る。
次に、得られたスラリを公知のコーター、例えばドクターブレード等を用いてシート成形を行い、焼成後に誘電体セラミック層7となる第1誘電体グリーンシートを得る。
また、焼成前の積層体を構成する保護シート層となる、つまり、焼成後に保護層3となる第2誘電体グリーンシートもまた、上記第1誘電体グリーンシートと同様の手順で作製される。
そして本発明では、第1誘電体グリーンシートを構成する誘電体粉末の平均粒径が0.3μm以下であることが重要であるが、特に、高誘電率という点で0.1μm以上0.25μm以下であることがより望ましい。
また、第2誘電体グリーンシート中の誘電体粉末の平均粒径が第1誘電体グリーンシート中の誘電体粉末よりも小さいことが重要である。
具体的には、第2誘電体グリーンシート中の誘電体粉末の平均粒径DG2が第1誘電体グリーンシート中の誘電体粉末の平均粒径DG1の平均粒径の0.6〜0.8倍であることが望ましい。
こうして有効部1および保護層3に用いる誘電体粉末の粒径差を規定することで、焼成収縮開始温度の違いによる有効部1と保護層3間の界面に発生する歪みを抑制して、界面の剥離およびその近傍に発生する内部電極層9とセラミック誘電体層7間のデラミネーションを防止でき、しかも、得られたコンデンサ本体4の側面に湾曲を形成し残留圧縮応力を発生させることができる。
本発明における第1誘電体グリーンシートの厚みは4μm以下、特に、成形したシートに発生するピンホールを抑制し高絶縁化するという点で2μm以上3μm以下であることがより望ましい。
次に、前記第1誘電体グリーンシート上にNi、Cuから選ばれる少なくとも1種の卑金属粉末を含有する導電ペーストを印刷し、乾燥することにより内部電極パターンが形成された第1誘電体グリーンシートを作製する。内部電極パターンの厚みは2μm以下、特に、印刷厚みのばらつきを抑制して有効面積を確保し、得られる積層セラミックコンデンサに残留圧縮応力を発生させるという点で1μm以上1.8μm以下であることがより望ましい。そしてこのように内部電極パターンを薄層化するための金属粉末の平均粒径は0.1〜0.3μmが好ましい。
内部電極パターン用の導体ペーストは平均粒径が0.1〜0.3μmのNiまたはCuなどの卑金属粉末100体積%に対して平均粒径が0.02〜0.05μmのチタン酸バリウム系粉末などのセラミック粉末を共材として20〜50体積%になるように添加し、これに有機ビヒクルを加えて調製される。このように本発明では内部電極パターンに用いる共材の粒径を細かくすることにより内部電極パターンの焼成収縮を高めることができる。この共材は焼成後にもこのサイズにて内部電極層9中に存在するものとなり、焼成時は内部電極パターンの過度の収縮を抑制し、焼成後においては内部電極層9の熱膨張係数をセラミック誘電体層7の熱膨張係数に近づけてクラックやデラミネーションを抑制する効果を発揮する。
上述のように、本発明では内部電極パターンに用いる共材の粒径を細かくすることにより内部電極パターンの焼成収縮を高められるものであるが、本発明ではさらに、この内部電極パターンを形成する導体ペースト組成に着目することにより誘電特性を高めることができる。
即ち、導体ペーストに含まれる共材のセラミック粉末として、MgO、MnOおよび希土類元素(Yを含む)の酸化物を被覆した小径のチタン酸バリウム粉末(BT)を、これらの酸化物を被覆していない大径のチタン酸バリウム粉末との混合粉末を用いると、被覆していない大径のチタン酸バリウム粉末によって卑金属粉末と焼結性を維持しつつ、MgO、MnOおよび希土類元素(Yを含む)の酸化物を被覆した小径のチタン酸バリウム粉末(BT)が被覆していない大径のチタン酸バリウム粉末の粒成長を抑制するために、内部電極層9の焼成による収縮開始温度を高めることができ、これにより、積層セラミックコンデンサの内部における残留圧縮応力を−250MPa以下に維持しつつ、積層セラミックコンデンサの静電容量の温度変化率を小さくできる。この場合、導体ペースト中に含まれる全セラミック粉末に対するMgO、MnOおよび希土類元素(Yを含む)の酸化物を被覆したセラミック粉末の量は、用いる誘電体粉末の粒径比DG2/DG1の範囲が0.6〜0.8の範囲において、10〜50質量%以下が好ましい。
また、本発明では、内部電極層9の主な金属成分であるNi金属に対して、Niよりも高融点のOs、Ru、TcおよびWから選ばれる1種の金属粉末をNi粉末100モル部に対して所定量添加することが望ましい。Ni粉末に対してOs、Ru、TcおよびWから選ばれる1種の金属粉末を添加すると、Os、Ru、TcおよびWがチタン酸バリウムの焼結温度である1200℃付近の温度では融解し難いために、内部電極層9中において、Niとの合金化によりNiのセラミック誘電体層7中への拡散を抑制でき、これによりセラミック誘電体層7の絶縁性の低下を抑制でき、残留圧縮応力を−250MPa以下に維持しつつ、高温負荷時の粒界抵抗変化率が小さいものとなる。なお、Os、Ru、TcおよびWから選ばれる1種の金属粉末はNi粉末100モル部に対して0.1〜1モル部が好ましい。
また、近年の積層セラミックコンデンサの高積層化において、内部電極パターンの形成されていない部分は、内部電極パターンの厚みによる段差として積層セラミックコンデンサに多大な構造欠陥の影響を及ぼすことから、これを回避するために前記第1誘電体グリーンシートの内部電極パターンを除く部分に、この第1誘電体グリーンシートと略同組成の誘電体セラミックペーストを印刷してセラミックパターンを形成することが好ましい。
次に、前記した内部電極パターンを形成した第1誘電体グリーンシートを複数枚積層して、焼成後に静電容量を発現する有効積層体を形成し、次に、この有効積層体の上下両面側に、保護層1bとなる第2誘電体グリーンシートを複数枚積層して熱圧着して積層体を形成する。次いで、この積層体を所望のサイズに切断した後、個々の未焼成であるコンデンサ本体成形体を得る。
この後、上記未焼成のコンデンサ本体成形体を、所定の条件下で焼成してコンデンサ本体1を得る。
次に、図1に示すように、このコンデンサ本体1の内部電極層9が導出された端面に外部電極ペーストを付着、焼付けし、外部電極3の附設された積層セラミックコンデンサを得る。
本発明の積層セラミックコンデンサは上述した製法により製造されるものであるが、本発明では焼成前の誘電体粉末の平均粒径について、保護シート層である第2誘電体グリーンシート側の平均粒径DG2を、第1誘電体グリーンシート側の平均粒径DG1よりも小さくすることで保護シート層の焼成収縮を増大させている。
第1誘電体グリーンシートと保護シート層となる第2誘電体グリーンシートに含まれる誘電体粉末の平均粒径が同等の場合には、焼結時に保護シート層の収縮が小さいために、内部電極パターンの収縮に伴う第1誘電体グリーンシートの収縮が抑制されるが、本発明では、第1誘電体グリーンシートおよび保護シート層となる第2誘電体グリーンシートに用いる誘電体粉末、並びに、内部電極パターンに用いる卑金属粉末の粒径を規定し、焼成後において、得られたコンデンサ本体1の側面の形状を積層方向の上下面側からその中央部側に向けて積層体の幅が狭くなるように凹上に湾曲させ、しかもその残留圧縮応力が−250MPa以下になるように調整することにより、セラミック誘電体層7を構成する結晶粒子11が微粒子であっても積層セラミックコンデンサの高容量化を図ることができる。
次に本発明における実施例を以下に示す。先ず、第1誘電体グリーンシート用のセラミックスラリに用いる誘電体粉末として平均粒径が0.3μmのチタン酸バリウム粉末(BaTiO(BT))とチタン酸バリウムカルシウム粉末(Ba0.95Ca0.05TiO(BCT))を用いた。なお、表1の試料No.7は平均粒径が0.28μmのチタン酸バリウム粉末を用いて形成したものである。ここでBTは焼成後にCa濃度が0.2原子%以下のチタン酸バリウムとなり、BCTはCa濃度が0.4原子%以上のチタン酸バリウムカルシウムとなる。また、焼結助剤として平均粒径が0.6μmのガラス粉末を用いた。その組成はSiO=50、BaO=20、CaO=20、LiO=10(モル%)とした。焼結助剤の添加量は誘電体粉末100質量部に対して1.2質量部とした。
次に、セラミックスラリの溶媒としてトルエンとエタノールを1:1の重量比で混合した混合溶媒に、ポリビニールブチラール、可塑剤を溶解させたバインダ溶液に、BaTiO粉末とガラス粉末を所定の混合比で調整し、ボールミルにより分散させてセラミックスラリを調製した。このセラミックスラリを用いて、PET等のキャリアフィルム上にドクターブレード法で、厚さ3μmの第1誘電体グリーンシートを作製した。
一方、第2誘電体グリーンシート用のセラミックスラリとしては、表1に示すように、上記第1誘電体グリーンシート用のセラミックスラリ中の誘電体粉末よりも平均粒径の小さい粒径比の誘電体粉末を用い、焼結助剤とその添加量など他は上記作製方法にてセラミックスラリを作製した。なお、第1および第2の誘電体グリーンシートには同じ組成のチタン酸バリウム系粉末を用いた。
調製したセラミックスラリを用いて、これもキャリアフィルム上にドクターブレード法で10μmの保護シート層用の第2誘電体グリーンシートを作製した。なお、粉砕混合するスラリの調製条件は両シートとも同じ条件とした。
用いた誘電体粉末は組成式がBaTiO(BT)とBa0.95Ca0.05TiO(BCT)を用い、誘電体粉末の添加剤として、チタン酸バリウム系粉末100質量部に対してMgOを0.09質量部、Yを0.5質量部、MnOを0.1質量部を加えた。BT粉末とBCT粉末を混合して用いる場合には等モルの配合とした。
次に、第1誘電体グリーンシートにNiを含有する導体ペーストを塗布して内部電極パターンを形成し、内部電極パターンが形成された第1誘電体グリーンシートをキャリアフィルムから剥離し、これを300層積層し、その上下面に第2誘電体グリーンシートを各20層積層して積層体を作製した。内部電極パターンの厚みは第1誘電体グリーンシート厚みの0.5倍となる厚みに調整した。この場合、内部電極パターンを付与していない誘電体グリーンシート上には第1誘電体グリーンシート用の誘電体粉末を含むセラミックペーストを印刷した。
内部電極パターン用の導体ペーストは平均粒径0.2μmのNi粉末100体積%に対して平均粒径が0.03μmのチタン酸バリウム(BaTiO)を30体積%になるように添加し、エチルセルロースバインダおよびアルコールとテルピネオールとの混合溶媒を添加して調製した。
次に、この積層体を切断し、コンデンサ本体成形体を作製し、脱脂処理後、還元雰囲気にて、最高温度1200℃、2時間の焼成を行いコンデンサ本体を得た。各第1誘電体グリーンシートおよび第2誘電体グリーンシートの組み合わせを表1に示した。
次に、このコンデンサ本体の両端面に外部電極ペーストを塗布し、焼き付けて外部電極を形成し、3.2mm×2.5mm×2.5mmサイズの積層セラミックコンデンサを作製した。作製された積層セラミックコンデンサにおける容量部の厚みt1と保護層の厚みt2との厚み比t2/t1は0.22であった(試料No.7は0.26)。
セラミック誘電体層および保護層を構成する磁器組成の評価として磁器組織の電子顕微鏡の観察を行い、得られた電子顕微鏡写真について主結晶粒子の平均粒径D1、D2は磁器断面を電子顕微鏡観察後インターセプト法により求めた。具体的には、写真内の30μm角の領域の対角線方向の長さを、その線上に存在する粒子数で割って求めた。試料数は10個とした。
積層セラミックコンデンサに発生する残留圧縮応力は得られた積層セラミックコンデンサについて、そのセラミック誘電体層の積層方向の一方主面側にX線をあてて評価した。具体的には、得られた積層セラミックコンデンサを用意し、その積層面に外部電極方向にX線回折するように配置した。X線管球はFeを用い、2θ=129°付近の(3 1 2)ピークを用いた。異方性の無い多結晶材料に対して残留応力があるとX線回折ピークがシフトすることから、そのピークシフト量を次式(σ={E/2(1+ν)}・cotθ・(δ2θ/δsinΨ))からσ(残留圧縮応力)として求めた。このとき、チタン酸バリウムのヤング率Eは110GPa、ポアソン比νは0.34とした。なお、θは回折角、Ψは試料面法線と結晶面法線とのなす角、試料数は10個とした。
積層セラミックコンデンサの凹状の形状評価はコンデンサ本体の対向する外部電極方向に対して垂直な面における中央部付近の内部電極層の面方向の最長長さをw1、最短長さをw2としたときに、寸法比X(%)={(w1−w2)/w1}×100の式から求めた。Xは絶対値とした。試料数は10個とした。
積層セラミックコンデンサの静電容量はLCRメータを用いて、25℃において、ac電圧1V、周波数1kHzの条件にて30秒後の値として評価し、次いで、コンデンサ本体のセラミック誘電体層厚み、積層数および内部電極層の面積から比誘電率を求めた。試料数は100個とした。静電容量の温度変化率ΔCは125℃における静電容量C125を上記と同じ交流電圧、周波数および時間の条件で測定し、125℃における静電容量値C125から25℃における静電容量値C25を減じた値を25℃における静電容量値で除した値として求めた(ΔC=(C125−C25)/C25)。
デラミネーションは焼成後の積層セラミックコンデンサを実体顕微鏡観察してその発生率を求めた。試料数は100個とした。
半田耐熱衝撃試験は半田浴の温度を室温との温度差を280℃として試料をこの半田浴中に浸漬させて、試験前後でのクラックの有無を評価した。試料数は100個とした。
高温負荷試験としての粒界の抵抗変化率は交流インピーダンス法を用いて測定した。この場合の高温負荷条件としては、温度250℃、積層セラミックコンデンサの外部電極に印加する電圧は2V/μmとした。測定時の電圧は0.1V、周波数は10mHz〜10kHzの間、放置時間は1時間とし、その処理前後における交流インピーダンスを試料数30個について評価した。以上の結果を表1に示した。
Figure 2007123835
表1の結果から明らかなように、保護層を構成する結晶粒子の平均粒径が有効部を構成するセラミック誘電体層よりも小さい試料では積層セラミックコンデンサの有効部の残留圧縮応力が増加すると共に静電容量および比誘電率が高くなった。特に、有効部を構成するセラミック誘電体層を構成する結晶粒子の平均粒径D1に対する保護層を構成する結晶粒子の平均粒径D2の比D2/D1が0.6〜0.8のものは高容量とともに残留圧縮応力が−250MPa以下であり、デラミネーションや耐熱衝撃試験でのクラックが見られなかった。また、誘電体粉末としてBaTiO(BT)とBa0.95Ca0.05TiO(BCT)を混合して用いた試料ではいずれもCa濃度が0.2原子%以下のチタン酸バリウムの結晶粒子とCa濃度が0.5原子%のチタン酸バリウムカルシウムの結晶粒子とが混在し、得られた試料の静電容量の温度変化率が−14.7%以内、かつ交流インピーダンス法により求めた高温負荷時の粒界の抵抗変化率が−1.1%以内であった。
これに対して、D2/D1比が1以上の試料では積層セラミックコンデンサの側面が湾曲となったものの残留圧縮応力が小さく、デラミネーションや耐熱衝撃試験でのクラックが発生した。
ここで、保護層を構成する結晶粒子の平均粒径が有効部を構成するセラミック誘電体層よりも小さくなる場合に、積層セラミックコンデンサの有効部の残留圧縮応力が増加するという、上記結果は以下のように説明できる。
Figure 2007123835
表2には、表1における試料No.1〜3の積層セラミックコンデンサの保護層となる第2誘電体グリーンシートに使用した誘電体粉末を用いて得られた焼結体の各試料の磁器密度、ヤング率、ポアソン比および熱膨張係数の数値を示した。なお、熱膨張係数、ヤング率およびポアソン比との関係で示される熱応力の方程式は、σth=(α−α)E/(1−ν)で表され、ここで、σthは熱応力、Eはヤング率、νはポアソン比、αは焼結体の熱膨張係数、αは電極の熱膨張係数である。内部電極層に用いたNi金属粉末の焼結体の熱膨張係数は温度38℃、206℃、480℃、763℃および1033℃において、それぞれ12×10−6/℃、13.5×10−6/℃、15×10−6/℃、16.2×10−6/℃および16.6×10−6/℃である。なお、表2に示した熱膨張係数は上記各温度における熱膨張係数の対象とする温度の前後における試料長さの差を各温度差で除したものである。例えば、38℃の熱膨張係数は測定温度の下限である室温と97℃との間での測定、206℃の熱膨張係数は97℃と341℃の間、1166℃の熱膨張係数は1033℃と測定温度の上限である1200℃の間とした。
表2の結果から明らかなように、誘電体粉末の平均粒径が小さいほどヤング率およびポアソン比が大きくなる。また、熱膨張係数については平均粒径が0.12μmと0.18μmとでは熱膨張係数の差が小さいが、平均粒径が0.24μmの誘電体粉末を用いて得られた焼結体は平均粒径が0.12μmおよび0.18μmの誘電体粉末を用いて作製した焼結体に比較して熱膨張係数の差が見られる。つまり、これは、表1に示すように、平均粒径の小さい誘電体粉末を用いた試料は焼結が進み磁器密度が向上して強固になるからである。従って、有効層に用いる誘電体粉末に対して保護層に用いる誘電体粉末の平均粒径を小さくすると、用いた誘電体粉末の粒径に依存して熱膨張係数の差が発生し、このため積層セラミックコンデンサの残留圧縮応力が高くなるのである。
次に、実施例1とは導体ペーストの組成のみを異なるようにして、その他は実施例1と同様の製法により積層セラミックコンデンサを作製し評価を行った。導体ペーストは、平均粒径0.2μmのNi粉末100体積%に対して平均粒径が0.03μmのチタン酸バリウム(BaTiO)を30体積%になるように添加し、エチルセルロースバインダおよびアルコールとテルピネオールとの混合溶媒を添加して調製した。この場合、導体ペーストに含まれるセラミック粉末として、MgO、YおよびMnOを被覆した平均粒径0.03μmのチタン酸バリウム粉末とMgO、YおよびMnOを被覆していない平均粒径0.05μmのチタン酸バリウム粉末との混合粉末を表3に示す混合割合で用いた。MgO、YおよびMnOはBT粉末100質量部に対して、0.13質量部、1質量部、0.15質量部とした。
Figure 2007123835
表3の結果から明らかなように、内部電極層となる導体ペーストに、セラミック粉末として、MgO、YおよびMnOを被覆した平均粒径0.03μmのチタン酸バリウム粉末とMgO、YおよびMnOを被覆していない平均粒径0.05μmのチタン酸バリウム粉末との混合粉末を用いた試料(No.18〜35)では、内部電極層の収縮のばらつきを低減できたため、共材として、MgO、YおよびMnOを被覆していないチタン酸バリウム粉末を使用して作製した表1に示した積層セラミックコンデンサと比較した場合に静電容量が高まるとともに、静電容量の温度特性の変化率を小さくできた(試料No.の対比は、表1のNo.1、2、3、4、7、8、9、10、11、14、15、および16が、それぞれ表3の試料No.18〜36に対応する)。この場合、特に、誘電体粉末としてBaTiO(BT)とBa0.95Ca0.05TiO(BCT)を混合して用いた試料ではいずれもCa濃度が0.2原子%以下のチタン酸バリウムの結晶粒子とCa濃度が0.5原子%のチタン酸バリウムカルシウムの結晶粒子とが混在し、得られた試料の静電容量の温度変化率が−14.3%以内、かつ高温負荷時の粒界抵抗変化率が−1.1%以内であった。
次に、実施例1に対して第2の誘電体グリーンシートに用いる誘電体粉末をBT−BCT(50/50モル%)とし、導体ペーストの組成を異なるようにして、その他は実施例1と同様の製法により積層セラミックコンデンサを作製し評価を行った。導体ペーストは、平均粒径0.2μmのNi粉末100体積%に対して、MgO、YおよびMnOを被覆した平均粒径0.03μmのチタン酸バリウム粉末、またはMgO、YおよびMnOを被覆していない平均粒径0.03μmのチタン酸バリウム粉末を30体積%になるように添加し、(MgO、YおよびMnOはBT粉末100質量部に対して、0.13質量部、1質量部、0.15質量部:試料No.32が基本組成)、さらに、平均粒径0.5μmのOs、Ru、TcおよびWから選ばれる1種の金属粉末をNi粉末100体積%に対して表4に示す量になるように添加し、これにエチルセルロースバインダおよびアルコールとテルピネオールとの混合溶媒を添加して調製した。試料No.55〜60はMgO、YおよびMnOを被覆していない平均粒径0.03μmのチタン酸バリウム粉末を用いた試料である。
Figure 2007123835
表4の結果から明らかなように、内部電極層となる導体ペーストに、Os、Ru、TcおよびWの金属粉末を添加した試料では、内部電極層のNi成分の誘電体層への拡散が抑制されたため誘電体層中の結晶粒子間の粒界におけるNi濃度が低減し、Os、Ru、TcおよびWの金属粉末を添加していない試料No.32に比較して、高温負荷時の粒界抵抗変化率を向上できた。この場合、得られた試料の静電容量の温度変化率が−14.1%〜−14.4%であり、かつ高温負荷時の粒界抵抗変化率が−0.6〜−0.8%であった。
図1(a)は本発明の積層セラミックコンデンサを示す概略断面図であり、(b)は本発明の積層セラミックコンデンサにおける有効部と保護層間を示す拡大模式図である。 本発明のコンデンサ本体の外部電極方向中央部の断面図である。 本発明の積層セラミックコンデンサにおける交流インピーダンス法を用いた誘電体層中の粒界の抵抗の評価手法を示す模式図である。 本発明の積層セラミックコンデンサにおける結晶粒子、粒界、および内部電極層と誘電体層との界面におけるインピーダンス変化のグラフ(コールコールプロット)である。
符号の説明
1 コンデンサ本体
1a 有効部
1b 保護層
3 外部電極
7 セラミック誘電体層
9 内部電極層
11 結晶粒子
D1、D2 平均粒径

Claims (8)

  1. セラミック誘電体層および内部電極層が交互に複数積層された有効部と該有効部の積層方向の上下面に形成されたセラミック誘電体からなる保護層により構成されたコンデンサ本体と、該コンデンサ本体の両端部に形成された外部電極とを具備してなる積層セラミックコンデンサにおいて、前記保護層のセラミック誘電体を形成する結晶粒子の平均粒径が前記有効部のセラミック誘電体層を形成する結晶粒子の平均粒径よりも小さく、かつ前記コンデンサ本体は、前記外部電極の対向する磁器に垂直な方向の側面が凹状に湾曲し、残留圧縮応力が−250MPa以下であることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
  2. 前記保護層中の結晶粒子の平均粒径をD2、前記有効部のセラミック誘電体層中の結晶粒子の平均粒径をD1としたときに、各結晶粒子の平均粒径比D2/D1が0.6〜0.8の範囲である請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
  3. 前記コンデンサ本体の前記外部電極方向中央部付近における内部電極層に平行な方向の最大幅をw1、最小幅をw2としたときに、X(%)={(w1−w2)/w1}×100で表されるXが3.4%以上3.6%以下である請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ。
  4. 前記セラミック誘電体層を形成する結晶粒子がCa濃度が0.2原子%以下のチタン酸バリウムとCa濃度が0.4原子%以上のチタン酸バリウムカルシウムとが複合化されたものである請求項1乃至3のうちいずれか記載の積層セラミックコンデンサ。
  5. 平均粒径が0.3μm以下の誘電体粉末を含む複数の第1誘電体グリーンシート間に、平均粒径が0.25μm以下の卑金属粉末を主成分とする内部電極パターンを積層してなる有効積層体と、該有効積層体の積層方向の上下面に形成され、前記第1誘電体グリーンシートを構成する誘電体粉末よりも平均粒径の小さい誘電体粉末を含む第2誘電体グリーンシートからなる保護シート層とにより形成される積層体を形成する工程と、該積層体を切断後焼成する工程とを具備することを特徴とする積層セラミックコンデンサの製法。
  6. 前記第2誘電体グリーンシート中の前記誘電体粉末の平均粒径をDG2、前記第1誘電体グリーンシート中の前記誘電体粉末の平均粒径をDG1としたときに、各誘電体粉末の平均粒径比DG2/DG1を0.6〜0.8の範囲とする請求項5に記載の積層セラミックコンデンサの製法。
  7. 前記内部電極パターンとして、MgO、MnOおよび希土類元素(Yを含む)の酸化物を被覆した小径のチタン酸バリウム粉末と、MgO、MnOおよび希土類元素(Yを含む)の酸化物を被覆していない大径のチタン酸バリウム粉末とを共材として含む内部電極パターンを積層する請求項5または6に記載の積層セラミックコンデンサの製法。
  8. 前記内部電極パターンとして、Os、Ru、TcおよびWから選ばれる1種の金属粉末を含む内部電極パターンを積層する請求項5乃至7のうちいずれかに記載の積層セラミックコンデンサの製法。
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