JP7326407B2 - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents
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上記積層部は、第1平均結晶粒径を有する第1セラミックスからなり、第1の方向に積層された複数のセラミック層と、上記複数のセラミック層の間に配置された内部電極と、を有する。
上記サイドマージン部は、第2平均結晶粒径を有する第2セラミックスからなり、上記第1の方向に直交する第2の方向から上記積層部を覆っている。
上記接合部は、上記第1及び第2平均結晶粒径よりも大きい第3平均結晶粒径を有する第3セラミックスからなり、上記積層部と上記サイドマージン部との間に配置される。
接合部を5μm以下に抑えることにより、接合部が積層セラミックコンデンサの形状や性能に及ぼす影響を小さく留めることができる。
これにより、接合部、積層チップ及びサイドマージン部から構成される未焼成の素体を焼成して焼結させる上で、積層チップ、サイドマージン部及び接合部の収縮挙動が均一化される。
従って、焼結後の接合部の両界面において、クラックや、積層部及びサイドマージン部の剥離の発生を防止することができる。
上記第1の方向に直交する第2の方向を向いた上記積層チップの側面に、第2平均粒径を有する第2セラミックスを主成分とするサイドマージン部を、上記第1及び第2平均粒径よりも小さい第3平均粒径を有する第3セラミックスを主成分とする接合部を介して設けることにより素体が作製される。
上記素体が焼成される。
従って、焼結後の接合部の両界面において、クラックや、積層部及びサイドマージン部の剥離の発生を防止することができる。
上記積層部は、第1平均結晶粒径を有する第1セラミックスからなり、第1の方向に積層された複数のセラミック層と、上記複数のセラミック層の間に配置された内部電極と、を有する。
上記サイドマージン部は、第2平均結晶粒径を有する第2セラミックスからなり、上記第1の方向に直交する第2の方向から上記積層部を覆っている。
上記接合部は、上記第1及び第2平均結晶粒径よりも大きい第3平均結晶粒径を有する第3セラミックスからなり、上記積層部と上記サイドマージン部との間に配置される。
上記稜部は、上記積層部と、上記接合部と、上記サイドマージン部に亘る曲面からなる。
上記第1の方向に直交する第2の方向を向いた上記積層チップの側面に、第2平均粒径を有する第2セラミックスを主成分とするサイドマージン部を、上記第1及び第2平均粒径よりも小さい第3平均粒径を有する第3セラミックスを主成分とする接合部を介して設けることにより素体が作製される。
上記素体が焼成される。
焼成前又は焼成後の上記素体にバレル研磨を行うことにより、上記素体に、上記積層部と、上記接合部と、上記サイドマージン部に亘る曲面からなる稜部が形成される。
従って、焼成前の素体はバレル研磨により稜部が形成されても、接合部とサイドマージン部との間と、接合部と積層チップとの間の両界面において、クラックやデラミネーション等の発生が防止される。
また、焼成前の素体において接合部を介した積層チップとサイドマージン部との密着性が向上しているため、焼成後の素体においても、焼成後の積層チップと接合部との間と、焼成後の接合部とサイドマージン部との間の密着性が向上する。
従って、焼成後の素体にバレル研磨が施され、稜部が形成されても、焼成後の接合部とサイドマージン部との間と、焼成後の接合部と積層チップとの間の両界面において、クラックやデラミネーション等の発生が防止される。
図面には、適宜相互に直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。X軸、Y軸、及びZ軸は全図において共通である。
[積層セラミックコンデンサ10の全体構成]
図1~3は、本発明の第1の実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10を示す図である。図1は、積層セラミックコンデンサ10の斜視図である。図2は、積層セラミックコンデンサ10の図1のA-A'線に沿った断面図である。図3は、積層セラミックコンデンサ10の図1のB-B'線に沿った断面図である。
素体11は、典型的には、Y軸方向を向いた2つの側面と、Z軸方向を向いた2つの主面と、を有する。素体11の各面を接続する稜部は面取りされている。なお、素体11の形状はこのような形状に限定されない。例えば、素体11の各面は曲面であってもよく、素体11は全体として丸みを帯びた形状であってもよい。
第1及び第2外部電極14,15は、素体11のX軸方向両端面を覆い、X軸方向両端面に接続する4つの面に延出している。これにより、第1及び第2外部電極14,15のいずれにおいても、X-Z平面に平行な断面及びX-Y軸に平行な断面の形状がU字状となっている。
積層部16は、X-Y平面に沿って延びる平板状の複数のセラミック層がZ軸方向に積層された構成を有する。
サイドマージン部17は、積層部16のY軸方向を向いた両側面の全領域をそれぞれ覆っている。接合部18は、積層部16と各サイドマージン部17との間にそれぞれ設けられている。つまり、各サイドマージン部17はそれぞれ、接合部18を介して積層部16の両側面に接合されている。
容量形成部19は、複数の第1内部電極12と、複数の第2内部電極13と、を有する。第1及び第2内部電極12,13は、複数のセラミック層の間に、Z軸方向に沿って交互に配置されている。第1内部電極12は、第1外部電極14に接続され、第2外部電極15から絶縁されている。第2内部電極13は、第2外部電極15に接続され、第1外部電極14から絶縁されている。
カバー部20は、容量形成部19のZ軸方向上下面をそれぞれ覆っている。カバー部20には、第1及び第2内部電極12,13が設けられていない。
なお、サイドマージン部17、容量形成部19及びカバー部20は、例えば、希土類元素、あるいはケイ素(Si)やその酸化物等を含んでいてもよい。接合部18については後述する。
また、図2,3では、第1及び第2内部電極12,13の対向状態を見やすくするために、第1及び第2内部電極12,13の枚数をそれぞれ4枚に留めている。しかし、実際には、積層セラミックコンデンサ10の容量を確保するために、より多くの第1及び第2内部電極12,13が設けられている。
図4は、積層セラミックコンデンサ10の図3の一点鎖線で囲んだ領域Pの微細組織を模式的に示す図である。積層セラミックコンデンサ10の断面の微細組織は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)によって観察することができる。
積層部16の容量形成部19では、実質的に均一なセラミックスの多結晶体からなるセラミック層を介して第1及び第2内部電極12,13がZ軸方向に積層された組織が見られる。
サイドマージン部17では、実質的に均一なセラミックスの多結晶体の組織が見られる。
接合部18では、図4に示すように、積層部16の複数のセラミック層とサイドマージン部17が有する結晶粒よりも粒径が大きい結晶粒18aを含むセラミックスの多結晶体の組織が見られる。
なお、実際には、図4に示す積層部16と接合部18との界面B1や、サイドマージン部17と接合部18との界面B2は、視認できない場合がある。
例えば、複数のセラミック層及びサイドマージン部17を構成するセラミックスの平均結晶粒径が数十~数百nmであるのに対し、接合部18を構成するセラミックスの平均結晶粒径は数μmである。
なお、上記複数のセラミック層を構成するセラミックスの平均結晶粒径と、サイドマージン部17を構成するセラミックスの平均結晶粒径は同程度であってもよく、異なってもいてもよい。
更に、接合部18の主相は、積層部16及びサイドマージン部17の主相の組成系と共通の組成系の多結晶体であることが好ましい。
加えて、接合部18は上記の作用を良好に得るために、積層部16及びサイドマージン部17とは異なる元素が添加されていてもよい。例えば、接合部18は、希土類元素、あるいはケイ素(Si)やその酸化物等を含んでいてもよい。
例えば、積層部16、サイドマージン部17及び接合部18の主相がチタン酸バリウム(BaTiO3)系材料の多結晶体から構成されている場合に、当該主相に含まれるバリウム(Ba)、チタン(Ti)及び酸素(O)の比率が、積層部16、サイドマージン部17及び接合部18ごとにそれぞれ異なっていてもよい。
図5は、積層セラミックコンデンサ10の製造方法を示すフローチャートである。図6~10は積層セラミックコンデンサ10の製造過程を示す図である。以下、積層セラミックコンデンサ10の製造方法について、図5に沿って、図6~10を適宜参照しながら説明する。
ステップS01では、容量形成部19を形成するための第1セラミックシート101及び第2セラミックシート102と、カバー部20を形成するための第3セラミックシート103と、を準備する。第1~第3セラミックシート101,102,103は、未焼成の誘電体グリーンシートとして構成され、例えば、ロールコーターやドクターブレードを用いてシート状に成形される。
ステップS02では、ステップS01で準備した第1~第3セラミックシート101,102,103を積層することにより積層シート104を作製する。
また、積層シート104では、交互に積層された第1及び第2セラミックシート101,102のZ軸方向上下面にカバー部20に対応する第3セラミックシート103が積層される。なお、図7に示す例では、第3セラミックシート103がそれぞれ3枚ずつ積層されているが、第3セラミックシート103の枚数は適宜変更可能である。
ステップS03では、ステップS02で得られた積層シート104を回転刃や押し切り刃などによって切断することにより未焼成の積層チップ116を作製する。
ステップS04では、ステップS03で得られた積層チップ116に未焼成のサイドマージン部117及び接合部118を設けることにより、未焼成の素体111を作製する。
特に、ステップS04では、ステップS03における積層チップ116の切断面であるY軸方向を向いた両側面にサイドマージン部117及び接合部118が設けられる。このため、ステップS04では、予め保持部材Cから積層チップ116を剥がし、積層チップ116の向きを90度回転させておくことが好ましい。
サイドマージン部117は、第1~第3セラミックシート101,102,103と同様の組成で、所定の厚さに成形されたシートとして用意される。第1~第3セラミックシート101,102,103の組成は、所定のセラミックスの仕込み組成として決定される。
接合部118は、所定の厚さに成形されたシートとして用意される。そして、サイドマージン部117が接合部118を介して積層チップ116の側面に貼り付けられる。
ステップS05では、ステップS04で得られた未焼成の素体111を焼成して焼結させることにより、図1~3に示す積層セラミックコンデンサ10の素体11を作製する。つまり、ステップS05により、積層チップ116が積層部16になり、サイドマージン部117がサイドマージン部17になり、接合部118が接合部18になる。
これにより、これまでの積層セラミックコンデンサでは、クラックや、積層部及びサイドマージン部の剥離等が発生し、積層部とサイドマージン部との接合性を確保することが困難であった。
つまり、上記のとおり、積層チップ116はステップS02の積層工程において高密度化されるのに対し、サイドマージン部117及び接合部118が設けられた素体111はステップS04において高密度化されない。このため、サイドマージン部117では、積層チップ116よりも密度が低くなる。
これにより、積層チップ116とサイドマージン部117とで、昇温速度に差が生じるため、収縮のタイミングにも差が生じる。また、サイドマージン部117では積層チップ116よりも空隙が多いため、積層チップ116とサイドマージン部117とでは収縮量にも差が生じる。
つまり、積層チップ116は第1及び第2内部電極112,113を有するのに対し、サイドマージン部117は内部電極を有さない。積層チップ116では、セラミック層と第1及び第2内部電極112,113とが同時に焼結するため、内部電極を有しないサイドマージン部117とは収縮挙動が異なる。
つまり、サイドマージン部117では、例えば機械的強度を向上させるために、積層チップ116とは異なる組成が採用されることがある。より詳細に、サイドマージン部117では、積層チップ116に含まれない元素が添加されたり、積層チップ116とは異なる組成比とされたりする場合がある。このような場合には、積層チップ116とサイドマージン部117とでは、セラミックス自体の焼結温度に差が生じるため、焼結時の収縮挙動に差が生じる。
例えば、積層チップ116及びサイドマージン部117を構成するセラミックスの平均粒径が数百nmであるのに対し、接合部118は平均粒径が数十nmのセラミックスから構成される。
よって、焼成前の素体111において、接合部118を介した積層チップ116とサイドマージン部117との密着性が向上する。
よって、接合部118は、積層チップ116及びサイドマージン部117のそれぞれの収縮挙動に応じて自由に変形可能である。このため、焼成時において、積層チップ116とサイドマージン部117とで収縮の度合いに差が生じても、積層チップ116とサイドマージン部117とが相互に応力を及ぼし合わない。
従って、焼結後の接合部18の両界面B1,B2において、クラックや、積層部16及びサイドマージン部17の剥離の発生を防止することができる。
さらに、焼成時の接合部118において空隙が粒成長して肥大化した粒子で充填されるため、焼成後の接合部18では空隙が少ない組織が得られる。これにより、積層セラミックコンデンサ10では、高い耐湿性が得られる。
これらの観点から、接合部118の厚さは充分に薄いことが好ましく、具体的には、焼成後の接合部18の厚さが5μm以下となるように設定されることが好ましい。
ステップS06では、ステップS05で得られた素体11に第1及び第2外部電極14,15を形成することにより、図1~3に示す積層セラミックコンデンサ10を作製する。
本発明の第2の実施形態を説明する。以下、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
11…素体
12…第1内部電極
13…第2内部電極
14…第1外部電極
15…第2外部電極
16…積層部
17…サイドマージン部
18…接合部
19…容量形成部
20…カバー部
Claims (5)
- 第1の方向に積層された複数のセラミック層と、前記複数のセラミック層の間に配置された内部電極と、を有する積層部と、
前記第1の方向に直交する第2の方向から前記積層部を覆うサイドマージン部と、
前記第1の方向を向いた主面と、
前記第2の方向を向いた側面と、
前記主面と前記側面とを接続する曲面を構成し、前記積層部と前記サイドマージン部との境界部において前記積層部と前記サイドマージン部との結晶粒界より結晶粒界が少ない領域を有する稜部と、
を具備する積層セラミックコンデンサ。 - 請求項1に記載の積層セラミックコンデンサであって、
前記領域は、前記複数のセラミック層及び前記サイドマージン部とは異なる元素が添加されている
積層セラミックコンデンサ。 - 請求項2に記載の積層セラミックコンデンサであって、
前記元素は、希土類元素またはケイ素である
積層セラミックコンデンサ。 - 請求項1から3のいずれかに記載の積層セラミックコンデンサであって、
前記複数のセラミック層、前記サイドマージン部及び前記稜部がチタン酸バリウム系材料の多結晶体を主相とする
積層セラミックコンデンサ。 - 請求項4に記載の積層セラミックコンデンサであって、
前記複数のセラミック層、前記サイドマージン部及び前記領域の前記主相に含まれるバリウム、チタン及び酸素の比率が異なる
積層セラミックコンデンサ。
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