JP2011168055A - インクジェット記録材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】顔料インクを多量に噴射した際においても、高接着強度を得ることができるインクジェット記録材料を提供する。
【解決手段】少なくとも基材層1とインク受容層2とを有するインクジェット記録材料であって、前記インク受容層を構成する樹脂の融点が40〜55℃であり、融解エネルギーが60〜90J/gであり、前記インク受容層がホットメルト接着性を有する親水性樹脂と可塑剤成分とを65:35〜85:15の質量比で含む混合物である、インクジェット記録材料。
【選択図】図1
【解決手段】少なくとも基材層1とインク受容層2とを有するインクジェット記録材料であって、前記インク受容層を構成する樹脂の融点が40〜55℃であり、融解エネルギーが60〜90J/gであり、前記インク受容層がホットメルト接着性を有する親水性樹脂と可塑剤成分とを65:35〜85:15の質量比で含む混合物である、インクジェット記録材料。
【選択図】図1
Description
本発明は、ディスプレー材料等に好適に用いられるインクジェット記録材料に関する。
インクジェット記録方式は、低コストで精細な記録が可能であることから、一般に広く普及している。近年、インクジェットヘッド等のハードウエアや、ラスターイメージプロセッサー等のソフトウエアの改良により、より高性能のインクジェットプリンタが開発されてきた。それに伴って、プリンタからの出力画像を高画質に記録でき、かつ長期保存可能なインクジェット記録材料の開発も進んでいる。その結果、インクジェット記録材料を用いた看板やパネルなどのディスプレー材料も多数市場で見られるようになってきた。
インクジェット記録材料のインク受容層には、主に、インクを吸収するための多孔質無機微粒子を疎水性樹脂のバインダで留めたものである「空隙型」と、親水性の樹脂自体がインクを吸収する「膨潤型」の2種類があるが、インクの乾燥性や耐水性などの点から、現在のところ空隙型のインク受容層が主流になっている。
しかし、インク受容層の樹脂が疎水性である空隙型のインクジェット記録材料は、多孔質無機微粒子の空孔が毛細管現象でインクを吸収するしくみであることから、インクの吸収量に限界がある。そのため、遠方からでもよく見えるように高い濃度、階調が求められる業務用ディスプレー材料用途に対しては、インクの吸収量が不十分であった。空隙型のインク受容層のインク吸収量を増やすためにインク受容層を厚くすることも考えられるが、空隙型のインク受容層は主に水系溶媒での溶液コーティングにより作られるため、水の高い沸点やコーティング性の悪さを考えるとコーティング量に限界があり、容易ではない。
それに対し、インク受容層に親水性樹脂を用いたものは、インク受容層を形成する樹脂自体がインクを吸収できるため、インク吸収能に優れ、ディスプレー材料用途のような高い濃度や階調が必要とされる用途に適している。
ディスプレー材料は屋外等の過酷な環境で使用されるため、ディスプレー材料としてインクジェット記録材料を使用する場合には、耐傷性や耐候性を付与するための表面保護層を設ける必要がある。この保護層を簡便に設けることができるインクジェット記録材料として、特許文献1には、感熱接着性のインク受容層に画像をバックプリント(鏡面プリント)し、インク受容層を接着対象となる物品に熱接着することによって、インクェット記録材料の基材層を表面保護層としたインクジェット記録材料が開示されている。
しかし、特許文献1には、インク受容層の感熱接着性樹脂が親水性樹脂のみ、あるいは疎水性樹脂のみからなる記録材料しか開示されていない。感熱接着性の親水性樹脂単独では、自身の高い吸水性から湿気による膨潤を起こして経時で接着力が低下していくという問題があった。特に、ディスプレー材料のように過酷な環境下に置かれる場合には接着した物品からすぐに剥がれてしまうため、実用できるものではなかった。また、疎水性樹脂に吸水性充填剤を添加した、いわゆる空隙型の記録材料は、前述したようにインク吸収量に限界があることから、濃度や階調に劣り、ディスプレー材料用途には向かないという問題があった。
また、昨今のディスプレー材料においては、より鮮明性、発色性を上げるために、より多くのインクが噴射される。また、インク自体の耐久性(退色、滲み等)の点から、顔料インクを使用することが多い。染料インクを使用した場合は、たとえインク受容層に多量に噴射したとしても、染料インクがインク受容層内に吸収される。よって、インク受容層を別素材に接着してディスプレー材料を作製する際に問題は生じない。
これに対して、顔料インクを多量に噴射した場合は、インク受容層が顔料インクを吸収せず、インク受容層表面に顔料インク層が形成される。そして、ディスプレー材料を形成する時には、この顔料インク層を通過して、インク受容層を別素材に接着する必要がある。そして、このように顔料インクを多量に噴射した場合においても、良好に接着し、ディスプレー材料とすることができるインクジェット記録材料が求められていた。
そこで、本発明は、顔料インクを多量に噴射した際においても、高接着強度を得ることができるインクジェット記録材料を提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。
第二の本発明は、少なくとも基材層とインク受容層とを有するインクジェット記録材料であって、前記インク受容層を構成する樹脂の融点が40〜55℃であり、融解エネルギーが60〜90J/gである、インクジェット記録材料である。この発明によれば、顔料インクを高濃度に印刷した際においても、高接着強度を得ることができる、インクジェット記録材料を提供することができる。
第二の本発明において、インク受容層は、ホットメルト接着性を有する親水性樹脂と可塑剤成分との混合物であることが好ましい。これにより、顔料インクを高濃度に印刷した際においても、高接着強度を得ることができる。
第二の本発明において、ホットメルト接着性を有する親水性樹脂は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位から構成される樹脂であることが好ましい。
第二の本発明において、前記インク受容層における親水性樹脂と可塑剤成分との質量比は、65:35〜85:15であることが好ましい。
第三の本発明は、上記いずれかに記載のインクジェット記録材料、およびこのインクジェット記録材料におけるインク受容層がホットメルト接着した別素材を有する、ディスプレー材料である。
第四の本発明は、上記いずれかに記載のインクジェット記録材料のインク受容層に印刷を施す工程、印刷を施したインク受容層を別素材にホットメルト接着する工程、を有するディスプレー材料の製造方法である。
本発明のインクジェット記録材料は、インク受容層を構成する樹脂の融点、および融解エネルギーを所定の範囲のものとすることで、顔料インクを高濃度に印刷した際においても、高接着強度を得ることができるインクジェット記録材料とすることができる。
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は、本発明のインクジェット記録材料の断面図である。本発明のインクジェット記録材料は、図1の(A)のように、基材層1とインク受容層2とが積層された構造をしている。インク受容層2に画像が鏡面印刷された記録材料(A)は、インク受容層2面で被接着材となる別素材3の表面と重ねられ、熱によって別素材3に接着され、ディスプレー材料(B)とされる。ディスプレー材料(B)においては、基材層1が、印刷が施されたインク受容層2の保護層となるものである。
<基材層1>
基材層1は、インクジェットプリンタで印刷する際にはインク受容層2の支持体としての役割を果たすと共に、インク受容層2が別素材3と接着された後は、インク受容層2の保護層としての役割も果たすものである。基材層1は、基材層1を通じてインク受容層2に記録された画像が認識できるように透明であることが必要であるが、完全に透明である必要はなく、基材層1を通じてインク受容層2の画像が認識できる程度の透過性を有していれば着色されていてもよい。基材層1として好ましく用いられる樹脂としては、加工性、耐候性等の点から、二軸延伸ポリエステル、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等が挙げられる。基材層1の厚みは、強度の点から25μm以上であるのが好ましく、加熱時のインク受容層2への熱伝導性を考慮すると、100μm以下であるのが好ましい。
基材層1は、インクジェットプリンタで印刷する際にはインク受容層2の支持体としての役割を果たすと共に、インク受容層2が別素材3と接着された後は、インク受容層2の保護層としての役割も果たすものである。基材層1は、基材層1を通じてインク受容層2に記録された画像が認識できるように透明であることが必要であるが、完全に透明である必要はなく、基材層1を通じてインク受容層2の画像が認識できる程度の透過性を有していれば着色されていてもよい。基材層1として好ましく用いられる樹脂としては、加工性、耐候性等の点から、二軸延伸ポリエステル、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等が挙げられる。基材層1の厚みは、強度の点から25μm以上であるのが好ましく、加熱時のインク受容層2への熱伝導性を考慮すると、100μm以下であるのが好ましい。
<インク受容層2>
また、インク受容層2を構成する樹脂の融点が40〜55℃であり、融解エネルギーが60〜90J/gであることが好ましく、この場合は、インク受容層はホットメルト接着性を有する親水性樹脂と可塑剤成分との混合物であることが好ましい。インク受容層2中における、ホットメルト接着性を有する親水性樹脂と可塑剤成分とのブレンド比率(質量比)は、好ましくは「65:35」〜「85:15」(親水性樹脂:可塑剤成分)であり、さらに好ましくは「75:25」〜「85:15」(親水性樹脂:可塑剤成分)である。
また、インク受容層2を構成する樹脂の融点が40〜55℃であり、融解エネルギーが60〜90J/gであることが好ましく、この場合は、インク受容層はホットメルト接着性を有する親水性樹脂と可塑剤成分との混合物であることが好ましい。インク受容層2中における、ホットメルト接着性を有する親水性樹脂と可塑剤成分とのブレンド比率(質量比)は、好ましくは「65:35」〜「85:15」(親水性樹脂:可塑剤成分)であり、さらに好ましくは「75:25」〜「85:15」(親水性樹脂:可塑剤成分)である。
インク受容層2を構成する樹脂の融点は、DSC(示査走査熱天秤)により測定することができる。また、インク受容層2を構成する樹脂の融解エネルギーは、同じくDSC(示査走査熱天秤)により測定することができる。
昨今のディスプレー材料においては、鮮明性および発色性を向上させるためにより多くのインクを噴射している。また、インク自体の耐久性(退色、にじみ等)の点から顔料インクを使用することが多い。染料インクであればインク受容層2にインク成分が吸収されることから、インク量が多くても接着性への影響は少ない。しかし顔料インクを使用した場合には印刷面表層に顔料インク層が生じ、別素材3に接着する場合は、インク受容層2が、顔料インク層を通過して別素材3へ到達する必要がある。
つまり、ラミネーターの設定条件である100〜140℃、ライン速度3〜20mm/秒において、インク受容層2の粘度が十分に低下し、さらに顔料インク層を通過して別素材3に接触することが必要となる。
本発明においては、インク受容層2を構成する樹脂の融点および融解エネルギーを上記の範囲内とすることによって、上記の課題を解決し、顔料インクを多量に噴射した場合においても、インク受容層2を別素材3にホットメルト接着することを可能とした。
インク受容層2を構成する樹脂の融点が高すぎると、通常のラミネーター条件においてインク受容層2の融解が困難となり、インク受容層2の別素材3へのホットメルト接着が困難となる。また、融解エネルギーが高すぎると、インク受容層2を構成する樹脂の結晶融解にラミネーターの余熱が消費されてしまい、インク受容層2の粘度を低下するまでに至らない。また、インク受容層2を構成する樹脂の結晶を融解したとしても、インク受容層2の粘度が高いと、顔料インク層を通過することができない。
また、逆に、インク受容層2を構成する樹脂の融点が低すぎると、インクジェット記録材料の保管・輸送時に、冷却が必要になる等の問題が生じる。また、インク受容層2を構成する樹脂の融解エネルギーが低すぎると、別素材3と貼り合わせて、ディスプレー材料とした時に、耐熱性の問題が生じる。
インク受容層2を構成するホットメルト接着性を有する親水性樹脂としては、下記一般式(1)で表される繰り返し単位から構成されるポリエチレンオキシド系の親水性樹脂を用いることが好ましい。
一般式(1)において、X1は活性水素基を2個有する有機化合物の残基であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールA、アニリンプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。R1はジカルボン酸類化合物残基もしくはジイソシアネート系化合物残基であり、ジカルボン酸化合物としては、例えば、環状ジカルボン酸化合物または直鎖状ジカルボン酸化合物が望ましく、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物、ジカルボン酸の低級アルキルエステルが挙げられる。
上記ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、コハク酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、イタコン酸が挙げられる。上記ジカルボン酸無水物としては、上記各種ジカルボン酸の無水物が挙げられる。また、上記ジカルボン酸の低級アルキルエステルとしては、上記各種のジカルボン酸のメチルエステル、ジメチルエステル、エチルエステル、ジエチルエステル、プロピルエステル、ジプロピルエステル等が挙げられる。特に好ましくは、炭素数12〜36の直鎖状ジカルボン酸およびその低級アルキルエステルが挙げられ、1,10−デカメチレンジカルボン酸、1,14−テトラデカメチレンジカルボン酸、1,18−オクタデカメチレンジカルボン酸、1,32−ドトリアコンタンメチレンジカルボン酸等が挙げられる。
ジイソシアネート系化合物残基の例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
上記の中でも、R1としては、反応の容易性という観点から、上記ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸の低級アルキルエステルを用いることが好ましい。これらは単独で、もしくは2種以上併せて用いることができる。
また、A1は下記一般式(2)によって表される。
一般式(2)において、Zは炭素数2以上の炭化水素基であり、例えば好ましいものとしてはエチル基、プロピル基等のアルキル基が挙げられる。a、b、cはそれぞれ1以上の整数であり、a、b、cより計算される質量比、{44×(a+c)/(炭素数4以上のアルキレンオキシドの分子量)×b}は、80/20〜94/6である。80/20より小さくても、前記親水性樹脂として使用することができるが、この場合は、親水性が低下したり、インク吸水性、印刷適性が劣るものとなったり等の問題が生じる。一方、94/6を超えても、前記親水性樹脂として使用することがきできるが、この場合は、インクの滲み耐水性等の点で劣るという問題が生じる。a、b、cの割合を上述の範囲内とすることにより、親水性を失わず、かつ水に対して不溶化することができる。また、c/(a+c)は0.5以上1.0未満に設定される。
かかる熱可塑性樹脂は、エチレングリコールにエチレンオキシドを付加重合した後、アルキレンオキシドを付加重合し、さらにエチレンオキシドを付加重合して生成したポリアルキレンオキシドにジカルボン酸化合物を反応させて生成することができる。
また、インク受容層2に使用される材料樹脂として、水分により反応を起こす官能基を有する樹脂をもちいると、分子間で架橋反応が生じ、耐湿性に優れたインクジェット記録材料とすることができるため好ましい。そのような官能基としてはアルコキシシラン基、シラノール基が挙げられる。
また、インク受容層2を構成する可塑剤成分としては、ホットメルト接着性を有する親水性樹脂と相溶性が高いもので、ホットメルト接着性を有する親水性樹脂および可塑剤成分の混合物全体として、上記の融点の範囲および融解エネルギーの範囲に入るものが好ましい。また。可塑剤成分としては、ブリードアウトを防止するため、常温で固体であるものが好ましい。可塑剤成分がブリードアウトした場合は、インク受容層2の別素材3への接着性が低下する。具体的な可塑剤成分としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等の樹脂を用いることが好ましい。
なお、上記した、インク受容層2における親水性樹脂と可塑剤成分との質量比を外れて、可塑剤成分の含有量が多すぎると、印刷性の問題や分散性の問題からディスプレー材料の外観が悪くなる。また、可塑剤成分の含有量が少なすぎると、インク受容層2を構成する樹脂の融解エネルギーを低下させる効果が低く、インク受容層2の別素材3への接着性が向上しない。
インク受容層2には、必要に応じて様々な添加剤を添加することができる。中でも、インクの吸収性を高めるために多孔質の無機微粒子を含有させることが好ましい。多孔質の無機微粒子としては、ナノポーラスシリカやメソポーラスシリカ等のシリカ類やアルミナなど、空隙型のインクジェット記録材料に通常使用されている無機微粒子が例示できる。なお、シリカやアルミナは混合して添加してもよい。また、これらの無機微粒子の添加量は、インク受容層2全体の質量を基準(100質量%)として、5〜70質量%であることが好ましい。
また、インク受容層2には、インクの滲み特性や定着性を改良する目的でカチオン性樹脂を添加することができる。好ましく用いられるカチオン性樹脂としては、例えば、ポリアリルアミン塩酸塩やポリアルキルアミノアクリレート等の4級化されたアミノ基を有するモノマーからなる共重合体等の高分子化合物が挙げられる。カチオン性樹脂の添加量は、インク受容層2全体の質量を基準(100質量%)として、5〜50質量%であることが好ましい。また、カチオン性樹脂に、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等の低融解エネルギーの樹脂をブレンドしたものを添加してもよい。低融解エネルギーの樹脂をブレンドすることにより、インク受容層2と基材層1および別素材3との接着性を向上させることができる。インク受容層2にはこれら以外の添加物を添加してもよく、その他の添加剤としては、例えばトコフェロールやブチルヒドロキシアニソール等の酸化防止剤や、シランカップリング剤等が挙げられる。
<インクジェット記録材料の製造方法>
本発明のインクジェット記録材料は、基材層1上にインク受容層2を塗布成形したり、あらかじめ成形した基材層1とインク受容層2とを熱により貼り合わせたりして作製することができる。また、本発明のインクジェット記録材料は、基材層1なる樹脂フィルム上に、インク受容層2を押出し成形すると同時にラミネートする方法により作製することができ、この製法が、簡便かつ高品質な記録材料を作製できる、好ましい製法である。この好ましい製法を具体的に示すと、例えば、親水性樹脂とホットメルト性を有する疎水性樹脂を、二軸混錬押出機を用いてブレンドを行った後に、T型マニホールドダイで溶融成形すると同時に、ニップロールで基材層1となるフィルムとラミネートをすることにより、インクジェット記録材料となる積層フィルムを得ることができる。
本発明のインクジェット記録材料は、基材層1上にインク受容層2を塗布成形したり、あらかじめ成形した基材層1とインク受容層2とを熱により貼り合わせたりして作製することができる。また、本発明のインクジェット記録材料は、基材層1なる樹脂フィルム上に、インク受容層2を押出し成形すると同時にラミネートする方法により作製することができ、この製法が、簡便かつ高品質な記録材料を作製できる、好ましい製法である。この好ましい製法を具体的に示すと、例えば、親水性樹脂とホットメルト性を有する疎水性樹脂を、二軸混錬押出機を用いてブレンドを行った後に、T型マニホールドダイで溶融成形すると同時に、ニップロールで基材層1となるフィルムとラミネートをすることにより、インクジェット記録材料となる積層フィルムを得ることができる。
以下、実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
<評価用サンプルの作成>
(実施例4)
エチレングリコールにエチレンオキシドを付加重合した後、ブチレンオキシドを付加重合し、さらにエチレンオキシドを付加重合して得たポリアルキレンオキシドにオクタデカン−1,18−ジカルボン酸メチルを加えエステル交換反応を行って、重量平均分子量15万の樹脂Aを得た。ホットメルト接着性を有する親水性樹脂として、樹脂A80質量部、および、可塑剤成分(HPRVR105、三井デュポンポリケミカル社製)20質量部を二軸混錬押出機にて溶融混錬したのち、T型マニホールドダイにて30μmに溶融成形し、成形と同時にニップロールにて基材層となる二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱化学ポリエステル社製、T600E、50μm)とラミネートすることにより、インクジェット記録材料となる積層フィルムを得た。
<評価用サンプルの作成>
(実施例4)
エチレングリコールにエチレンオキシドを付加重合した後、ブチレンオキシドを付加重合し、さらにエチレンオキシドを付加重合して得たポリアルキレンオキシドにオクタデカン−1,18−ジカルボン酸メチルを加えエステル交換反応を行って、重量平均分子量15万の樹脂Aを得た。ホットメルト接着性を有する親水性樹脂として、樹脂A80質量部、および、可塑剤成分(HPRVR105、三井デュポンポリケミカル社製)20質量部を二軸混錬押出機にて溶融混錬したのち、T型マニホールドダイにて30μmに溶融成形し、成形と同時にニップロールにて基材層となる二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱化学ポリエステル社製、T600E、50μm)とラミネートすることにより、インクジェット記録材料となる積層フィルムを得た。
(実施例5)
可塑剤成分として、NUC6090(日本ユニカー社製)を使用した以外は、実施例4と同様にして、インクジェット記録材料を得た。
可塑剤成分として、NUC6090(日本ユニカー社製)を使用した以外は、実施例4と同様にして、インクジェット記録材料を得た。
(比較例4)
可塑剤成分を配合せずに、樹脂Aのみを用いた以外は、実施例4と同様にして、インクジェット記録材料となる積層フィルムを得た。
可塑剤成分を配合せずに、樹脂Aのみを用いた以外は、実施例4と同様にして、インクジェット記録材料となる積層フィルムを得た。
(比較例5)
実施例5において、樹脂Aを60質量部、可塑剤成分であるNUC6090(日本ユニカー社製)を40質量部配合した以外は、実施例5と同様にして、インクジェット記録材料となる積層フィルムを得た。
実施例5において、樹脂Aを60質量部、可塑剤成分であるNUC6090(日本ユニカー社製)を40質量部配合した以外は、実施例5と同様にして、インクジェット記録材料となる積層フィルムを得た。
(比較例6)
実施例5において、樹脂Aを90質量部、可塑剤成分であるNUC6090(日本ユニカー社製)を10質量部配合した以外は、実施例5と同様にして、インクジェット記録材料となる積層フィルムを得た。
実施例5において、樹脂Aを90質量部、可塑剤成分であるNUC6090(日本ユニカー社製)を10質量部配合した以外は、実施例5と同様にして、インクジェット記録材料となる積層フィルムを得た。
<サンプルの評価>
上記の実施例4〜5および比較例4〜6において作製したサンプルに対して以下の評価を実施した。各評価方法は以下のとおりである。評価結果を表1に示す。なお、インク受容層を構成する樹脂の融点をDSC(示査走査熱天秤)により測定し、また、融解エネルギーをDSC(示査走査熱天秤)により測定し、その結果を表1に併せて示した。
上記の実施例4〜5および比較例4〜6において作製したサンプルに対して以下の評価を実施した。各評価方法は以下のとおりである。評価結果を表1に示す。なお、インク受容層を構成する樹脂の融点をDSC(示査走査熱天秤)により測定し、また、融解エネルギーをDSC(示査走査熱天秤)により測定し、その結果を表1に併せて示した。
(印字品質評価)
各サンプルのインク受容層にエプソン社製PX−9000により顔料ブラックインクにて、印刷を施した。印刷の設定は、印刷設定ソフト「PSリッパー」経由で、用紙種類「MC写真用紙」、解像度「2880dpi×1440dpi」とし、最高濃度にてインク受容層の全面に印刷を施した。乾燥後、厚さ2mmのPVC板に120℃、ライン速度5mm/秒にてラミネートした。そして、得られたディスプレー材料の印字品質を目視により以下の基準で評価した。
◎:色同士の境界線が明確でありムラが無い
○:色同士の境界線が明確であり、わずかにムラが認められる
×:境界線を越えて色が流出しており、ムラがある
各サンプルのインク受容層にエプソン社製PX−9000により顔料ブラックインクにて、印刷を施した。印刷の設定は、印刷設定ソフト「PSリッパー」経由で、用紙種類「MC写真用紙」、解像度「2880dpi×1440dpi」とし、最高濃度にてインク受容層の全面に印刷を施した。乾燥後、厚さ2mmのPVC板に120℃、ライン速度5mm/秒にてラミネートした。そして、得られたディスプレー材料の印字品質を目視により以下の基準で評価した。
◎:色同士の境界線が明確でありムラが無い
○:色同士の境界線が明確であり、わずかにムラが認められる
×:境界線を越えて色が流出しており、ムラがある
(接着強度)
作製したディスプレー材料について、JIS K 6854に準じて90°剥離試験を実施して、接着強度を測定した。
(外観評価)
各シートの外観を目視で評価した。
○:ムラ、スジがなく良好
×:ムラ、スジが見受けられる
作製したディスプレー材料について、JIS K 6854に準じて90°剥離試験を実施して、接着強度を測定した。
(外観評価)
各シートの外観を目視で評価した。
○:ムラ、スジがなく良好
×:ムラ、スジが見受けられる
本発明のインクジェット記録材料(実施例4および実施例5)は、印字品質が優れており、接着強度が大きいものであった。これに対して、可塑剤成分を添加しなかった比較例4は、接着強度が小さかった。また、可塑剤の比率が高すぎる比較例5は、印字品質が劣っていた。また、逆に、可塑剤の比率が少なすぎる比較例6は、接着強度が小さかった。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うインクジェット記録材料もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明のインクジェット記録材料は、顔料インクを多量に噴射した際においても、高接着強度を得ることができるインクジェット記録材料として利用することができる。特に、これらの好ましい特性を有することから、遠方からでもよう見えるように高い濃度、階調が求められ、かつ、過酷な環境下において使用されるディスプレー材料用途に対して、好ましく利用することができる。
1 基材層
2 インク受容層
3 別素材
2 インク受容層
3 別素材
Claims (4)
- 少なくとも基材層とインク受容層とを有するインクジェット記録材料であって、前記インク受容層を構成する樹脂の融点が40〜55℃であり、融解エネルギーが60〜90J/gであり、前記インク受容層がホットメルト接着性を有する親水性樹脂と可塑剤成分とを65:35〜85:15の質量比で含む混合物である、インクジェット記録材料。
- 前記ホットメルト接着性を有する親水性樹脂が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位から構成される樹脂である、請求項1に記載のインクジェット記録材料。
- 請求項1又は2に記載のインクジェット記録材料、およびこのインクジェット記録材料におけるインク受容層がホットメルト接着した別素材を有する、ディスプレー材料。
- 請求項1又は2のいずれかに記載のインクジェット記録材料のインク受容層に印刷を施す工程、印刷を施したインク受容層を別素材にホットメルト接着する工程、を有するディスプレー材料の製造方法。
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