JP2002113942A - インクジェットキャストコート紙用支持体及びそれを用いたインクジェットキャストコート紙 - Google Patents

インクジェットキャストコート紙用支持体及びそれを用いたインクジェットキャストコート紙

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JP2002113942A
JP2002113942A JP2000308805A JP2000308805A JP2002113942A JP 2002113942 A JP2002113942 A JP 2002113942A JP 2000308805 A JP2000308805 A JP 2000308805A JP 2000308805 A JP2000308805 A JP 2000308805A JP 2002113942 A JP2002113942 A JP 2002113942A
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Japan
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ink
coated paper
cast
coating layer
coating
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JP2000308805A
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English (en)
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Kazuhiro Iwasaki
和博 岩崎
Yuji Ozawa
裕司 小澤
Shoichi Endo
昭一 遠藤
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Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】インクジェットキャストコート紙を安定して製
造することができるインクジェットキャストコート紙用
支持体、及び、品質が優れるとともに生産性も優れたイ
ンクジェットキャストコート紙を提供する。 【解決手段】基紙の少なくとも片面に1層以上の塗工層
を設けたインクジェットキャストコート紙用支持体であ
って、塗工層のセロハンテープ剥離強度が、剥離速度20
0mm/min、剥離角度180°において2.5N/cm以上であ
り、かつ王研式透気度が200秒以下であることを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインクジェットキャスト
コート紙用支持体、それを用いたインクジェットキャス
トコート紙に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方法は、インクの微
少液滴を種々の方法により飛翔させ、紙などの記録材料
上に画像や文字を形成させる記録方式であり、騒音が小
さく、フルカラー化及び高速記録化が容易である等の特
徴を有し、装置が低価格であることから各種プリンタ
ー、プロッターとしてめざましい普及を遂げている。近
年ではインク滴の微少化やインクの改良が大幅に進んだ
結果、さらに画像の高画質化が進み、フォトタイプイン
クインクジェットプリンターに代表されるように銀塩写
真に迫るレベルの画像が得られるまでになり、デジタル
カメラ等で撮影したデジタル画像を直接インクジェット
プリンターで印刷するユーザーも増加している。
【0003】インクジェット記録方式はノズルから記録
媒体に向けてインク液滴を高速で吐出させるものであ
り、特にフォトタイプと呼ばれる高画質のインクジェッ
トプリンターにおいてはCMYKの4色に加え淡色イン
クを用いるため、多量のインクが吐出される。このた
め、記録媒体には速やかに多量のインクを吸収すること
が求められる。インク吸収やインク滲みを考慮して、イ
ンクジェット記録媒体にはシリカ等多孔質の顔料とバイ
ンダー樹脂から構成されるインク受容層が一般に設けら
れる。
【0004】また、コンピュータやデジタルカメラの普
及により銀塩写真に近い画像が求められるようになり、
インクジェット記録用紙には写真調の光沢感が求められ
るようになった。インクジェット記録用紙に光沢を付与
する方法としては、インク受容層表面を平滑化して光沢
を付与するスーパーカレンダー法や、湿潤状態又は可塑
性を有している状態にあるインク受容層を加熱された鏡
面状のドラム(キャストドラム)面に圧着し、そのまま
の状態で乾燥と同時にその鏡面を記録用紙表面に写し取
るキャスト法がある。
【0005】キャスト法には代表的なものとして以下の
3つの方法がある。即ち支持体に塗布された塗工液が全
く乾燥されていない状態で加熱されたキャストドラムに
圧着される直接法、支持体に塗布された塗工液を一旦乾
燥、又は半ば乾燥した後、再湿液により再び可塑性を有
した状態に戻された後に加熱されたキャストドラムに圧
着されるリウエットキャスト法、支持体に塗布された塗
工液が、凝固液で処理され、流動性のないゲルの状態で
加熱されたキャストドラムに圧着される凝固法である。
これらのキャスト法は、何れも鏡面状のドラム表面を写
し取ることで高光沢塗工層表面を得る点で共通してい
る。
【0006】インクジェット記録用紙に十分なインク吸
収性を付与するために、インク受容層の乾燥塗工量を大
きくするのが一般的である。しかし、キャスト法で乾燥
塗工量の大きいインク受容層を設ける場合、乾燥効率が
悪くなり生産性が落ちる。このため、インク受容層を多
層にすることが検討されている。
【0007】インク吸収性と生産性を両立する方法とし
て、特開平11−81190号公報にコッブ吸水度と表
面平滑度を規定したキャストコート紙用基材が開示され
ているが、この方法では塗工直後では良好な面が得られ
るものの、塗工が進むにつれてキャストドラムの鏡面を
写し取る時に塗工層の一部がドラムからきちんと剥離さ
れずにドラム表面に残る、面とられと呼ばれる塗工層の
脱落が発生し、良好な塗工面を得られる長さ(塗工長
さ)を確保する事が難しい。
【0008】さらに、近年インクジェット記録方式によ
る記録画像を長期間保管したり、屋内外で長期間展示す
る用途が増え、耐光性や耐水性などの種々の耐性が求め
られるようになった。
【0009】耐光性を付与する方法としては、特開昭57
-87988号公報や特開昭57-87989号公報で、紫外線吸収剤
や酸化防止剤を記録層に添加することが開示されてい
る。これらの方法でも耐光性の改善効果は認められるも
のの実用上不十分であり、しかも印字品質に問題を生じ
ることが認められた。すなわち、前者は特に発色性の低
下が著しく、そもそも印字初期の時点で写真調の画像を
得ることはできず、後者は酸化防止剤そのものが茶色に
変色する結果、用紙そのものの白紙部分の保存性が問題
となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、イン
クジェットキャストコート紙を安定して製造するための
インクジェットキャストコート紙用支持体を提供するこ
とである。さらに、品質が優れるとともに生産性も優れ
たインクジェットキャストコート紙を提供することであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、基紙の少なく
とも片面に1層以上の塗工層を設けたキャストコート紙
用支持体であって、塗工層のセロハンテープ剥離強度
が、剥離速度200mm/minにおいて2.5N/cm以上であり、か
つ、王研式透気度が200秒以下であるインクジェット
キャストコート紙用支持体及びインクジェットキャスト
コート紙用支持体の塗工層面に、少なくとも顔料及び結
着剤を含有する水性塗工液を用い、キャスト法によって
設けて成るインク受容層を有するインクジェットキャス
トコート紙によって達成された。
【0012】また、支持体の塗工層が多孔性顔料と水溶
性高分子を含む結着剤を主成分とすることで、塗工層の
強度を高くすること、及び、インクジェットキャストコ
ート紙のインク吸収性を高くすることができる。
【0013】また、塗工層に耐光性付与薬品を含有する
ことにより、インクジェットキャストコート紙の画像耐
光性が向上する。特にキャスト法によって設けられたイ
ンク受容層中に耐光性付与薬品を含有しない場合、イン
ク発色性と画像耐光性の両立が可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のキャストコート紙用支持
体は基紙の少なくとも片面に塗工層を設けたものであ
る。上記基紙は、木材パルプ及び填料、助剤等から構成
される。用いることのできる木材パルプとしては、公知
の化学パルプ、機械パルプ、及び脱墨パルプ等が挙げら
れる。また、これら各種パルプは必要に応じて単独また
は併用して用いられる。
【0015】上記基紙には、填料やサイズ剤、紙力増強
剤、歩留まり向上剤、pH調整剤、及び各種染料等、公
知の填料及び助剤を適宜選択して内添あるいは外添する
ことが出来る。
【0016】本発明のキャストコート紙用支持体の塗工
層は、基紙の少なくとも一方の面に1層以上設けられ
る。本発明の塗工層の剥離速度200mm/min、剥離角度1
80°におけるセロハンテープ剥離強度は、2.5N/cm以
上であることが必要であり3.5N/cm以上であることが好
ましい。塗工層のセロハンテープ剥離強度が上記値より
小さい場合は、キャストドラムの鏡面を写し取る時にキ
ャスト層の一部がドラムから剥離されずにドラム表面に
残る、いわゆる面とられが塗工開始後短時間で発生し、
安定して生産することができない。
【0017】なお、本発明において、セロハンテープ剥
離強度の測定は次のように行う。まず、20℃65%R
Hの室内において試料を1時間放置する。次に試料の塗
工層表面に、セロハンテープ(JIS Z 1522の
規格値を満たすもの)を接着させたのち、200mm/minの
剥離速度において180°の角度で剥離を行い、塗工層か
らセロハンテープが剥離する際に要する荷重をセロハン
テープの幅で除したものをセロハンテープ剥離強度とし
て扱う。
【0018】本発明のインクジェットキャストコート紙
用支持体の王研式透気度は200秒以下であることが必
要であり、150秒以下が好ましい。透気度が200秒
以下であると塗工層上にキャスト法にて設けられるイン
ク受容層、すなわちキャスト層表面の面感が良くなる。
これは、塗工層の透気度が低い程キャスト層の乾燥時に
発生する水蒸気が支持体を通過しやすくなり、キャスト
層表面に影響を与えないためと考えられる。
【0019】また、本発明のインクジェットキャストコ
ート紙においては塗工層を設けるため、キャスト法にて
設けられるインク受容層の塗工量が小さくてもインクジ
ェットキャストコート紙のインク吸収性を大きくするこ
とができる。
【0020】本発明の塗工層は顔料と結着剤を主成分と
することが好ましい。塗工層の顔料としては、合成非晶
質シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、水酸化アルミニウム、カオリン、焼成カオリン、タ
ルク、二酸化チタン、酸化亜鉛、及び各種プラスチック
顔料等公知の各種顔料が挙げられ、1種、又は複数種選
択して用いることができる。特に、JIS−K5101
による吸油量が50ml/100g以上、好ましくは1
00ml/100gである顔料を用いるとインク吸収性
に優れたポーラスな層を形成し、結果として塗工層の透
気度を低くすることができるので好ましい。このような
顔料の具体例としては、合成非晶質シリカやアルミナ等
をあげることができる。
【0021】塗工層の結着剤は特に限定されるものでは
なく、塗布乾燥後、被膜を形成する樹脂であればいずれ
を用いることができる。例えば、水溶性樹脂としては酸
化デンプン、エステル化デンプン等のデンプン類、カル
ボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース
等のセルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、大豆蛋白
等の蛋白質類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロ
リドン及びそれらの誘導体等を用いることができる。
又、その他の樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン−
アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、尿素
樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン−ブタジエンラテ
ックス、及びそれらの誘導体等公知の結着剤を単独また
は併用して用いることができる。
【0022】塗工層上にキャスト層を安定して設けるた
めには、塗工層中の顔料粒子同士を強固に結合させるこ
とに加え、塗工層全体を基紙に強固に接着させる必要が
ある。このため、塗工層の結着剤としては、水溶性高分
子を用いることが好ましい。複数の樹脂を併用する場合
は、水溶性高分子を結着剤全体の50重量%以上、より
好ましくは60%以上にすることで塗工層のセロハンテ
ープ剥離強度を大きくすることができる。
【0023】水溶性高分子の中でもポリビニルアルコー
ルは顔料、セルロース繊維等の極性表面を持つ材料の接
着に非常に優れた効果があり、少ない配合量で塗工層の
強度が得られるため好ましく用いられる。また、ポリビ
ニルアルコールの重合度を大きくすると、塗工層のセロ
ハンテープ強度は大きくなる。ポリビニルアルコールの
重合度は1000以上であることが好ましく、特に15
00以上2000未満のポリビニルアルコールを用いる
と塗工層塗工液の塗工性が優れるため好ましい。さら
に、ポリビニルアルコールのけんか度を大きくすると塗
工層の強度が上がる傾向にあり、完全けんかのポリビニ
ルアルコールを用いることが好ましい。
【0024】塗工層の顔料と結着剤の配合比率は、塗工
層の性状、処方に応じて変更可能であるが、結着剤の配
合割合を小さくすると、透気度は低くなるもののセロハ
ンテープ剥離強度が損なわれる傾向にある。また、逆に
結着剤の配合割合が大きくなると、セロハンテープ剥離
強度は上昇するものの、透気度は高くなる傾向にある。
結着剤と顔料の好ましい配合比率は、顔料100重量部
に対して結着剤が15〜80重量部であり、顔料100
重量部に対して結着剤が25〜60重量部であるとより
好ましい。
【0025】本発明のインクジェットキャストコート紙
用支持体において、基紙上に設ける塗工層の乾燥塗工量
は目的に応じて変更可能であるが、塗工量を大きくする
とセロハンテープ剥離強度は低下する傾向にある。基紙
上に設ける塗工層の乾燥塗工量は、必要とするセロハン
テープ剥離強度が得られる限り上限は規定しないが、生
産性の観点からはより小さい方が好ましく、20g/m
2以下であることが好ましい。また、塗工層の塗工量を
小さくすると、支持体表面の平滑性が低くなったり、イ
ンクジェットキャストコート紙のインク吸収性が劣る傾
向にあるため、塗工層の塗工量は4g/m2以上設ける
ことが好ましい。
【0026】また塗工層には、必要に応じて、顔料分散
剤、保水剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、着色剤、耐水化
剤、湿潤剤、可塑剤、蛍光染料、紫外線吸収剤、酸化防
止剤、及びカチオン性高分子電解質等の公知の助剤を適
宜配合することができる。塗工液の安定性を考慮する
と、これらの助剤は塗工層全体の20重量%以下の配合
率であることが好ましい。
【0027】支持体上に塗工層を設ける手段としては、
各種ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコ
ーター、カーテンコーター、キスコーター、バーコータ
ー、ゲートロールコーター、及びグラビアコーター等公
知の塗工装置を用いることができる。
【0028】本発明のインクジェットキャストコート紙
は、塗工層面に、少なくとも顔料及び結着剤を含有する
水性塗工液を用い、キャスト法によって設けて成るイン
ク受容層(キャスト層)を有する。キャスト層を構成す
る顔料としては、合成非晶質シリカ、コロイダルシリ
カ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水
酸化アルミニウム、カオリン、焼成カオリン、タルク、
二酸化チタン、酸化亜鉛、及び各種プラスチック顔料等
公知の各種顔料が挙げられ、1種、又は複数種選択して
用いることができる。このうち、多孔性で塗工層中で比
較的透明となる合成非晶質シリカやアルミナ等の多孔性
顔料は他の顔料と比較してインク吸収性に優れたポーラ
スな層を形成するので好ましい。また、キャスト層中で
比較的透明となるため、インクジェットキャストコート
紙に記録を行った際にインク発色性が向上するため、好
ましく用いられる。
【0029】キャスト層を構成する結着剤としては、酸
化デンプン、エステル化デンプン等のデンプン類、カル
ボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース
等のセルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、大豆蛋白
等の蛋白質類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロ
リドン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、酢酸
ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹
脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂、スチレン−ブタジエンラテックス、及びそれ
らの誘導体等公知の各種結着剤が挙げられ、1種、又は
複数種選択して用いることができる。
【0030】キャスト層を構成する顔料と結着剤の配合
比率は、その性状、処方及び支持体に応じて変更可能で
あり、インク吸収性などの要求品質を損なわない範囲で
適宜設定する事が出来る。
【0031】またキャスト層には、必要に応じて、顔料
分散剤、保水剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、着色剤、耐
水化剤、湿潤剤、可塑剤、蛍光染料、紫外線吸収剤、酸
化防止剤、剥離剤、pH調整剤、及びカチオン性高分子
電解質等の公知の助剤を適宜添加することができるが、
これらのうち、紫外線吸収剤や酸化防止剤のように耐光
性を付与する助剤は記録画像の発色性に悪影響を及ぼす
ため、塗工層のみに添加することが好ましい。
【0032】本発明のインクジェットキャストコート紙
においては通常公知のキャスト法でキャスト層を設ける
ことができるが、特に凝固法で設けることが好ましい。
凝固法は塗工層がゲル化し、可塑化の度合いが高いた
め、リウエットキャスト法に比較し、光沢ムラやドラム
への密着ムラが少なく優れた面感のキャスト層を得るこ
とが出来る。
【0033】凝固法における凝固液に用いる凝固剤とし
て、例えば蟻酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、塩
酸、硫酸、炭酸、等のカルシウム、亜鉛、マグネシウ
ム、ナトリウム、カリウム、バリウム、鉛、カドミウ
ム、アンモニウム等との塩、及びホウ砂、各種ホウ酸塩
等が挙げられ、1種、又は複数種選択して用いることが
できる。
【0034】
【発明の効果】本発明においては、支持体の塗工層上に
キャスト法でインク受容層(キャスト層)を設ける場合
においても、面とられ等の問題が発生することなく、表
面の面感が優れたインクジェットキャストコート紙を得
ることができる。また、キャスト層の塗工量を少なくす
ることができるため、インクジェットキャストコート紙
の生産性を向上することができる。さらに、支持体の塗
工層のみに耐光性付与薬品を添加することで、画像の耐
光性と発色性を両立することができ、凝固法でキャスト
層を設ける場合は、面感の優れたインクジェットキャス
トコート紙を提供することができる。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳述する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。
尚、特に断らない限り以下に記載する「%」、及び
「部」は、それぞれ「重量%」、「重量部」を意味す
る。
【0036】<基紙の抄造>広葉樹漂白クラフトパルプ
(濾水度280ml)90重量%と針葉樹漂白クラフト
パルプ(濾水度600ml)10重量%を混合し、カチ
オン化デンプンを対パルプ0.39%、アルキルケテン
ダイマーを対パルプ0.03%、硫酸バンドを対パルプ
2%、炭酸カルシウムを対パルプ12%添加した紙料を
長網抄紙機で紙匹を形成した。3段のウエットプレスを
行い、多筒式ドライヤーで乾燥した。次いで酸化デンプ
ン4%とポリビニルアルコール0.5%の混合液を用
い、サイズプレスで乾燥重量が3.5g/m2となるよ
うに塗布し、乾燥した後マシンカレンダー処理して、坪
量110g/m2の本発明のインクジェットキャストコ
ート紙用支持体用の基紙を得た。
【0037】<インクジェットキャストコート紙用支持
体及びインクジェットキャストコート紙の製造>上記の
ようにして得られた基紙にそれぞれ以下に示す支持体用
塗工液を各例に示したとおりに塗工し、インクジェット
キャストコート紙用支持体を得た。さらに得られた支持
体にキャスト層用塗工液を各例に示したとおりに塗工
し、インクジェットキャストコート紙を得た。
【0038】・支持体用塗工液の調整 (塗工液1)合成非晶質シリカ:ファインシールX−3
7B(トクヤマ社製)100部、ポリビニルアルコー
ル:PVA―117(クラレ社製)40部を含有する固
形分濃度20%の塗工液を調整した。 (塗工液2)合成非晶質シリカ:ファインシールX−3
7B(トクヤマ社製)100部、ポリビニルアルコー
ル:PVA―117(クラレ社製)20部を含有する固
形分濃度20%の塗工液を調整した。
【0039】(塗工液3)合成非晶質シリカ:ファイン
シールX−37B(トクヤマ社製)100部、ポリビニ
ルアルコール:PVA―117(クラレ社製)20部、
エチレン酢酸ビニル共重合体エマルション:スミカフレ
ックス401(住友化学社製)20部を含有する固形分
濃度20%の塗工液を調整した。 (塗工液4)合成非晶質シリカ:ファインシールX−3
7B(トクヤマ社製)100部、エチレン酢酸ビニル共
重合体エマルション:スミカフレックス401(住友化
学社製)40部を含有する固形分濃度20%の塗工液を
調整した。
【0040】(塗工液5)合成非晶質シリカ:ファイン
シールX−37B(トクヤマ社製)100部、ポリビニ
ルアルコール:PVA―117(クラレ社製)5部を含
有する固形分濃度20%の塗工液を調整した。 (塗工液6)合成非晶質シリカ:ファインシールX−3
7B(トクヤマ社製)100部、ポリビニルアルコー
ル:PVA―117(クラレ社製)60部を含有する固
形分濃度20%の塗工液を調整した。
【0041】(塗工液7)合成非晶質シリカ:ファイン
シールX−37(トクヤマ社製)100部、ポリビニル
アルコール:PVA―105(クラレ社製)20部を含
有する固形分濃度20%の塗工液を調整した。 (塗工液8)合成非晶質シリカ:ファインシールX−3
7(トクヤマ社製)100部、ポリビニルアルコール:
PVA―105(クラレ社製)65部を含有する固形分
濃度20%の塗工液を調整した。
【0042】(塗工液9)合成非晶質シリカ:ファイン
シールX−37B(トクヤマ社製)100部、ポリビニ
ルアルコール:PVA―117(クラレ社製)20部、
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤:ケミソーブS11(ケミ
プロ化成社製)を5部含有する固形分濃度20%の塗工
液を調整した。 (塗工液10)合成非晶質シリカ:ファインシールX−
37B(トクヤマ社製)100部、ポリビニルアルコー
ル:PVA―117(クラレ社製)20部、ベンゾフェ
ノン系紫外線吸収剤:ケミソーブS11(ケミプロ化成社
製)を10部含有する固形分濃度20%の塗工液を調整
した。
【0043】(塗工液11)合成非晶質シリカ:ファイ
ンシールX−37B(トクヤマ社製)100部、ポリビ
ニルアルコール:PVA―117(クラレ社製)20
部、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤:ケミソーブS11
(ケミプロ化成社製)を15部含有する固形分濃度20
%の塗工液を調整した。
【0044】・キャスト層用塗工液の調整 (キャスト層要塗工液1)合成非晶質シリカ:ファイン
シールX−37B(トクヤマ社製)100部、スチレン
ブタジエン共重合体ラテックス:JSR−0617(日
本合成ゴム社製)30部、カゼイン:ALACID lactic ca
sein(ニュージーランド産)30部、離型剤:ノプコー
トSYC(サンノプコ社製)5部を含有する固形分濃度
30%のキャスト層用塗工液を調整した。 (キャスト層要塗工液2)合成非晶質シリカ:ファイン
シールX−37B(トクヤマ社製)100部、スチレン
ブタジエン共重合体ラテックス:JSR−0617(日
本合成ゴム社製)30部、カゼイン:ALACID lactic ca
sein(ニュージーランド産)30部、離型剤:ノプコー
トSYC(サンノプコ社製)5部、ベンゾフェノン系紫
外線吸収剤:ケミソーブS11(ケミプロ化成社製)10
部を含有する固形分濃度30%のキャスト層用塗工液を
調整した。 (凝固液)凝固剤:蟻酸カルシウム(朝日化学工業社
製)5%、染料定着剤:ダイフィックスYK−50(大
和化学社製)1%を含有した凝固液を調整した。
【0045】実施例1 塗工層用塗工液1をバーブレードコーターを用いて、乾
燥塗工量8g/m2となるように基紙上に塗布し、スキャッ
フドライヤーで乾燥してキャストコート紙用支持体を製
造した。キャスト層塗工液1をコンマコーターを用い
て、乾燥塗工量16g/m2となるように支持体上に塗
工した後、凝固液で凝固処理し、塗工層が湿潤状態にあ
るうちに、100℃に加熱されたキャストドラムに圧着
し、乾燥してインクジェット記録用キャストコート紙を
製造した。
【0046】実施例2 塗工層用塗工液2を塗布した以外は実施例1と同じ方法
でキャストコート用支持体及びインクジェットキャスト
コート紙を製造した。
【0047】実施例3 塗工層用塗工液3を塗布した以外は実施例1と同じ方法
でキャストコート用支持体及びインクジェットキャスト
コート紙を製造した。
【0048】実施例4 塗工層用塗工液4を塗布した以外は実施例1と同じ方法
でキャストコート用支持体及びインクジェットキャスト
コート紙を製造した。
【0049】比較例1 塗工層用5塗工液を塗布した以外は実施例1と同じ方法
でキャストコート用支持体及びインクジェットキャスト
コート紙の製造を試みた。
【0050】比較例2 塗工層用塗工液6を塗布した以外は実施例1と同じ方法
でキャストコート用支持体及びインクジェットキャスト
コート紙を製造した。
【0051】比較例3 塗工層用塗工液7を塗布し、塗工層の塗工量を15g/
2とした以外は実施例1と同様にしてキャストコート
紙用支持体及びインクジェットキャストコート紙を製造
した。
【0052】比較例4 塗工層用塗工液8を塗布し、塗工層の塗工量を15g/
2とした以外は実施例1と同様にしてキャストコート
紙用支持体及びインクジェットキャストコート紙を製造
した。
【0053】比較例5 基紙上に塗工層を設けなかった以外は実施例1と同じ方
法でインクジェットキャストコート紙を製造した。
【0054】(評価方法) (1)支持体セロハンテープ剥離強度 剥離強度は支持体の塗工層に20℃65%RHの室内に
て、セロハンテープを接着させた後、オリエンティック
社製テンシロン万能試験機により、200mm/minの剥離速
度において180°剥離を行い、セロハンテープ剥離に要
する荷重を強度として測定した。 (2)王研式透気度 J.TAPPINo.5に準じて、王研式透気度計(KY−
5、旭精工株式会社製)で測定を行った。
【0055】(3)面とられまでの塗工長 支持体塗工層上にキャスト層を形成する際、塗工開始時
点から面とられ(塗工層が加熱されたキャストドラムに
圧着され、塗工層の乾燥と同時にその鏡面を写し取る時
に、塗工層の一部がドラムからきちんと剥離されずにド
ラム表面に残る現象)が発生するまでのキャストコート
紙の長さを測定した。 ○:塗工長が500m以上 △:塗工長が1m以上、500m未満 ×:塗工長が1m未満 (4)インク吸収性 インクジェットプリンター(PM−700C:セイコー
エプソン社製)を用いて720dpiの解像度にてマゼ
ンダとグリーン(シアンとイエローの混色)のベタ画像
が隣接するパターンをインクジェットキャストコート紙
に印字し、その境界部における滲み(ブリード)を下記
の基準にて目視評価した。 ○:境界部で滲みが殆ど認められない。 △:境界部で滲みがやや認められる。 ×:境界部で滲みが著しく認められる。
【0056】実施例1〜4及び比較例1〜5で得られた
インクジェット記録用キャストコート紙の評価結果を表
1にまとめた。表1の結果から明らかな様に、本発明に
より生産性、品質ともに優れたインクジェットキャスト
コート紙が得られる。
【0057】
【表1】
【0058】実施例5 塗工層用塗工液9を塗布した以外は実施例1と同じ方法
でキャストコート用支持体及びインクジェットキャスト
コート紙を製造した。
【0059】実施例6 塗工層用塗工液10を塗布した以外は実施例1と同じ方
法でキャストコート用支持体及びインクジェットキャス
トコート紙を製造した。
【0060】実施例7 塗工層用塗工液11を塗布した以外は実施例1と同じ方
法でキャストコート用支持体及びインクジェットキャス
トコート紙を製造した。
【0061】比較例6 原紙上に塗工層を設けず、キャスト塗工液2を塗布した
以外は実施例1と同じ方法でインクジェットキャスト記
録用キャストコート紙を製造した。
【0062】(耐光性の評価) (5)インクジェット記録試験 記録試験の評価は、インクジェットプリンター(PM−
750C、セイコーエプソン株式会社製)を用いて所定
のベタ及び画像パターンを記録し、下記の基準によって
評価した。 a、発色性 フルカラー画像を記録し、プリンター専用光沢紙と色あ
いを比較し、下記の基準によって目視で評価した。 ○:白色部分、画像部とも専用紙と色あいはほとんど変
わらない。 △:白色部分及び画像部の色合いが異なる。
【0063】b、画像耐光性 耐光性試験機(キセノンウェザーメーターSC700−
WN、スガ試験機社製)を用いて25時間処理した後の
画像を、下記の基準によって目視で評価した。 ○:記録画像の変化はほとんどが見られない △:記録画像が色あせている。 ×:記録画像がほとんどみえない。
【0064】実施例2、5〜7及び比較例6で得られた
インクジェット記録用キャストコート紙の耐光性評価結
果を表2にまとめた。表2の結果から明らかな様に、塗
工層に耐光性付与薬品を添加することで、耐光性の優れ
たインクジェットキャストコート紙が得られる。特に、
塗工層のみに添加した場合は、記録画像の発色性及び耐
光性を両立することができる。
【0065】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 昭一 東京都北区王子5丁目21番1号 日本製紙 株式会社商品研究所内 Fターム(参考) 2C056 EA13 FC06 2H086 BA12 BA15 BA16 BA21 BA33 BA35 BA38 BA41 4L055 AA02 AA03 AC06 AG18 AG34 AG54 AG63 AG64 AG76 AG89 AH02 AH25 AH37 AJ01 AJ04 BE09 EA07 EA12 FA11 FA12 FA22 FA23 GA09 GA20

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基紙の少なくとも片面に1層以上の塗工層
    を設けたキャストコート紙用支持体であって、塗工層の
    セロハンテープ剥離強度が、剥離速度200mm/min、剥離
    角度180°において2.5N/cm以上であり、かつ、王研
    式透気度が200秒以下であるインクジェットキャスト
    コート紙用支持体。
  2. 【請求項2】塗工層が多孔性顔料と水溶性高分子を含む
    結着剤を主成分とする請求項1に記載されたインクジェ
    ットキャストコート紙用支持体。
  3. 【請求項3】塗工層に耐光性付与薬品を含有する請求項
    1又は2に記載されたインクジェットキャストコート紙
    用支持体。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載されたイン
    クジェットキャストコート紙用支持体の塗工層面に、少
    なくとも顔料及び結着剤を含有する水性塗工液を用い、
    キャスト法によって設けて成るインク受容層を有するイ
    ンクジェットキャストコート紙。
  5. 【請求項5】請求項3に記載されたインクジェットキャ
    ストコート紙用支持体の塗工層面に、少なくとも顔料及
    び結着剤を含有し、かつ、耐光性薬品は含有しない水性
    塗工液を用い、キャスト法によって設けて成るインク受
    容層を有するインクジェットキャストコート紙。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007261006A (ja) * 2006-03-28 2007-10-11 Nippon Paper Industries Co Ltd インクジェット記録用紙の製造方法
JPWO2006019134A1 (ja) * 2004-08-19 2008-05-08 三菱樹脂株式会社 インクジェット記録材料

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