JP3863343B2 - インクジェット用記録材 - Google Patents
インクジェット用記録材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3863343B2 JP3863343B2 JP2000137223A JP2000137223A JP3863343B2 JP 3863343 B2 JP3863343 B2 JP 3863343B2 JP 2000137223 A JP2000137223 A JP 2000137223A JP 2000137223 A JP2000137223 A JP 2000137223A JP 3863343 B2 JP3863343 B2 JP 3863343B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- recording material
- layer
- ink
- inkjet recording
- light emitting
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Ink Jet (AREA)
- Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録に好適なインクジェット用記録材に関し、特に太陽光等によるエネルギーを吸収し、暗所等で発光することができるインクジェット用記録材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、夜間の通路や暗室等、暗所で用いる標識、計器の目盛り、針等には電飾が利用されてきた。必要文字等を印刷し、後方から光を照らすことにより表示する。かかる場合には、電飾のため電力コストが、印刷を施すため印刷コストがかかり、また電飾の入れ替え等が頻繁に行われることもあり煩雑でもあった。一方、夜光塗料等を用いて印刷する方法も行われていたが、印刷コストがかかり、また、納期に時間がかかり手軽に利用できず不都合であった。
近年においては、かかる標識等の表示もライフサイクルが短くなりつつあり、その都度印刷等を施さなければならず、コスト面および煩雑さの面等から改善が望まれていた。
ところで、インクジェット法による記録は騒音が無く、高速印字が可能であり、低コストであることからカラーコピー、コンピューター等の画像情報出力装置に用いられ、急速に普及しつつあり、暗所での表示等の印刷にもインクジェット法を用いることが求められるようになってきた。しかし、蓄光性を有し、かつインクジェット用による印刷が可能な記録材は未だ存在しない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、夜間や暗所において発光性を有し、かつインクジェット法による印刷が可能なインクジェット用記録材を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェット用記録材は、吸水性樹脂を主成分とするインク吸着層を有するインクジェット用記録材であって、該インク吸着層はさらに蓄光性物質を含有し、該蓄光性物質が、刺激によって励起され、刺激が停止した後に発光が生じる物質であり、かつ、前記吸水性樹脂が、下記、一般式(1)
【化2】
であり、a、bおよびcはそれぞれ1以上の整数であり、a、b、cより計算さ
れる重量比、44(a+c)/(炭素数3以上のα−オレフィンオキシドの分子
量)b、は80/20〜94/6であり、X 1 は活性水素基を2個有する有機化合物の残基、Zは炭素数1以上の炭化水素基、R 11 はジカルボン酸類化合物残基またはジイソシアネート系化合物残基である)
で示されることを特徴とする。
ここで、前記インク吸着層の上面に蓄光性物質を含有する発光層を有することができ、該発光層に含有される蓄光性物質の濃度が、該インク吸着層に含有される蓄光性物質の濃度より高いことが好ましい。
また、前記発光層のバインダーが、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする樹脂組成物からなることができる。
【0005】
本発明のように、インクジェット用記録材のシート中に予め蓄光性物質を練り込み等により含有させておくことにより、インクジェット用記録材のシート自体に蓄光性を持たせることができ、また、このシートに必要な印刷を施しておけば、日中に太陽光等のエネルギーにより励起された蓄光性物質が夜間や暗所で発光し、印刷した部分以外の部分が明るく見えるので、表示機能を発揮することができる。表示内容が変更されても、インクジェット法による印刷内容を変更することにより容易に対処できるので、ライフサイクルの短いものでも十分に対応することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット用記録材は、蓄光性手段を有する。蓄光性手段とは、電磁波、粒子衝撃、化学的作用、機械的作用等の刺激によって励起され、励起源を取り去った後に、持続的に発光する機能を有するものをいう。例えば、インクジェット用記録材に蓄光性物質等を含有させることにより、かかる機能が発揮される。
インクジェット用記録材が吸水性樹脂を主成分とするインク吸着層を有する場合には、このインク吸着層に蓄光性物質を含有させることができ、インクジェット用記録材がインク吸着層の上に発光層を有する場合には、発光層に蓄光性物質を含有させることが、またインク吸着層および発光層の両方に蓄光性物質を含有させることができる。ただし、2層以上に蓄光性物質を含有させる場合には、表層の蓄光性物質の含有濃度がその下側の層の含有濃度より高くなるようにすることが好ましい。
【0007】
ここで、蓄光性物質とは、電磁波、粒子衝撃、化学的作用、機械的作用等の刺激によって励起され、刺激が停止した後に発光を生じさせる物質をいい、例えば、夜光塗料、夜光顔料、燐光塗料、燐光顔料等が挙げられる。例えば、「N夜光」(根本特殊化学社製)を商業的に入手することができる。
なお、活性化剤、発光時間を長くするための物質等の添加剤を適宜添加することができる。ただし、本発明の効果を阻害するような物質等は含ませないようにする。
【0008】
本発明のインクジェット用記録材は基体を有していてもよく、また、背面に粘着層を有していてもよい。基体としては、用途によってプラスチック、紙等の各種のものを用いることができ、例えば、オーバーヘッドプロジェクター等に用いられる場合には透明な基体が選択される。粘着層としては、例えば再剥離型の粘着剤の層、感圧粘着剤の層等、用途に応じて適宜選択採用することができる。
【0009】
本発明においては、例えば基体上にインク吸着層及び発光層を有することができる。発光層が耐熱層であり、インクジェット用記録材の最外層を構成している場合には、耐熱性、耐ブロッキング性、耐傷性等を有することができる。インク吸着層は基体と発光層との間に位置する。また、インク吸着層と基体との間には他の層を有していてもよい。
インク吸着層は吸水性樹脂を主成分とする樹脂組成物からなり、発光層は水溶性樹脂を含有する樹脂組成物からなることが好ましく、任意的に設けられる他の層は、例えば親水性樹脂層等の場合には汎用の親水性樹脂を含むことができる。
【0010】
インクジェット用記録材が、最外層に水溶性樹脂を有し、最外層のすぐ下のインク吸着層に吸水性樹脂を有する構造を採ることにより、非常に優れた耐水性を示すことができる。
なお、発光層を1μm以下にすれば、印字されたインクの殆どがインク吸着層に捕捉される。また、インク吸着層の厚さが20μm以上であれば、飛来したインクの殆ど全てを吸収することができる。
【0011】
発光層は水溶性樹脂を主成分とする樹脂組成物からなることが好ましく、水溶性樹脂としてはポリビニルアルコール(以下「PVA」ということもある)、変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール系樹脂等が好ましく用いられる。具体的には、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、他の樹脂と共重合したポリビニルアルコール、他の親水性ポリマーとブレンドしたポリビニルアルコール等が挙げられる。
なお、本発明に用いられる水溶性樹脂は、融点が80℃以上であることが好ましく、また、樹脂の構造単位に親水基、例えば−OH、−COOHを有することが好ましい。
【0012】
発光層の形成に用いられるポリビニルアルコール(PVA)としては、特に限定されることなく一般に用いられるものが挙げられるが、例えば、冷水可溶タイプのPVAであり、好ましくはケン化度が20〜100%、さらには20〜90%、特に40〜80%であることが好ましい。また、分解温度と融点(成形温度)との差が20℃以上であることが好ましい。
分解温度と融点(Tm)との温度差を20℃以上にするためには、例えば、PVAの粘度平均重合度を200〜1,000に調整することにより、またはPVAとエチレン性モノマーとの共重合体を形成することにより、またはPVAに可塑剤を添加することにより、温度差を20℃以上にすることができる。PVAとエチレン性モノマーとの共重合体を形成することにより温度差を設定する場合には、例えば、N−ビニルピロリドンを10モル%程度重合するとよい。可塑剤を添加することにより温度差を設定する場合には、グリセリン、エチレングリコール等を15重量%程度添加することが好ましい。このようにして、PVAの融点を180℃以下にすることができ、したがって分解温度と融点との温度差を20℃以上にすることができる。
【0013】
本発明に用いられるPVAの粘度平均重合度は40〜5,000であることが好ましく、さらには50〜2,000、特に100〜1,000であることが好ましい。
また、本発明に用いられるPVAはネッキング(押出機から押し出されたフィルムまたはシートが横方向に収縮してたわむこと)を改良するために、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2.8以上であることが好ましい。
【0014】
インク吸着層に用いられる吸水性樹脂としては熱可塑性樹脂等が挙げられ、例えば、ポリアルキレンオキシド、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリウレタン系樹脂、セルロース系化合物、およびこれらの変性物等が挙げられる。これらは単独で用いても、1以上を混合して用いてもよい。
【0015】
生産性に優れた押出法等のドライな方法でフィルム化できる吸水性樹脂としては、例えば、ポリエチレンオキシドが適しており、本発明においては、下記一般式(1)で表される繰り返し単位から構成される親水性の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
【化3】
であり、a、bおよびcはそれぞれ1以上の整数であり、a、b、cより計算される重量比、44(a+c)/(炭素数3以上のα−オレフィンオキシドの分子量)b、は80/20〜94/6であり、X1は活性水素基を2個有する有機化合物の残基、Zは炭素数1以上の炭化水素基、R11はジカルボン酸類化合物残基またはジイソシアネート系化合物残基である。
ここで、a、b、cより計算される重量比、44(a+c)/(炭素数4以上のα−アルキレンオキシドの分子量)b、が80/20〜94/6であり、c/(a+c)が50重量%であり、Zが炭素数2以上の炭化水素基であることが好ましい。
【0016】
活性水素基を2個有する有機化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールA、アニリンプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等がある。
【0017】
上述した重量比、すなわち44(a+c)/(炭素数3以上のα−オレフィンオキシドの分子量)b、が80/20より小さいと親水性が低下し、インク吸水性、印刷適性で劣るものとなる。一方、94/6を超えると、インクの滲み耐水性等の点で劣るものとなる。Zは前記一般式(1)で示される樹脂組成物に疎水性を付与する機能を有するものであり、例えば好ましいものとしてはエチル基等のアルキル基等が上げられ、a、b、cの割合を上述の範囲内とすることにより、親水性を失わず、かつ、水に対して不溶化することができる。
かかる熱可塑性樹脂は、エチレングリコールにエチレンオキシドを付加重合した後、アルキレンオキシドを付加重合し、さらにエチレンオキシドを付加重合して生成したポリアルキレンオキシドにジカルボン酸化合物またはジイソシアネート化合物を反応させて生成することができる。
【0018】
上記ジカルボン酸化合物としては環状ジカルボン酸化合物または直鎖状ジカルボン酸化合物が望ましく、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物、ジカルボン酸の低級アルキルエステルが挙げられる。上記ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、コハク酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、イタコン酸が挙げられる。上記ジカルボン酸無水物としては、上記各種ジカルボン酸の無水物が挙げられる。また、上記ジカルボン酸の低級アルキルエステルとしては、上記各種のジカルボン酸のメチルエステル、ジメチルエステル、エチルエステル、ジエチルエステル、プロピルエステル、ジプロピルエステル等が挙げられる。
特に好ましくは、炭素数12〜36の直鎖状ジカルボン酸およびその低級アルキルエステルが挙げられ、1,10−デカメチレンジカルボン酸、1,14−テトラデカメチレンジカルボン酸、1,18−オクタデカメチレンジカルボン酸、1,32−ドトリアコンタンメチレンジカルボン酸等が挙げられる。上記その低級アルキルエステルとしては、これらジカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ジプロピルエステル等が挙げられる。これらは単独で、もしくは2種以上併せて用いることができる。なかでも、反応の容易性という観点から、上記ジカルボン酸無水物およびジカルボン酸の低級アルキルエステルを用いることが好ましい。
【0019】
上記ジイソシアネート化合物としては、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上併せて用いることができる。
【0020】
本発明のインクジェット用記録材には、インクの滲み特性を改良する目的等で、カチオン性ポリマーを含有することができる。カチオン性ポリマーが添加される層は特に限定があるわけではなく、例えばインク吸着層および耐熱層のいずれか1層または両方に含有することができる。本発明に好ましく用いられるカチオン性ポリマーとしては、例えばポリアリルアミン塩酸塩、ポリアルキルアミノアクリレート等、第4級化されたアミノ基を有するモノマーからなる共重合体等の高分子化合物が挙げられる。これらの高分子化合物は、融点(Tm)が60℃〜200℃の範囲であり、分子量が1,000〜10万の範囲内であることが好ましい。
【0021】
本発明において、カチオン性ポリマーの含有量は約5〜70重量%であることが好ましい。カチオン性ポリマーの含有量が5重量%以上であれば、インクの滲みを効果的に抑制することができる。
【0022】
インクジェット用記録材の各層、例えばインク吸着層、耐熱層等には、更にカチオン性活性剤またはノニオン性活性剤を含めることができる。本発明において、カチオン性活性剤またはノニオン性活性剤の樹脂中の含有量は1重量%〜10重量%の範囲内であることが好ましい。
本発明に好ましく用いられるカチオン性活性剤としては、ポリエチレンイミン、第4級アンモニウムクロライド、第4級アンモニウムサルフェート等が挙げられ、本発明に好ましく用いられるノニオン性活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0023】
インクジェット用記録材の各層を形成する樹脂組成物、例えば、インク吸着層を形成する樹脂組成物、耐熱層を形成する樹脂組成物等は、これらを配合した後、二軸押出機を用いて、好ましくは同方向二軸押出機を用いて混合してから、ペレット化しておくことができる。なお、ペレット化は約160℃の温度で行うことが好ましい。
【0024】
本発明においては、本発明の特性を損なわない範囲内で酸化防止剤、紫外線防止剤等の各種の添加剤をさらに含有させることができる。例えば、溶融押出時の熱劣化を防止するために、樹脂組成物中に酸化防止剤を含有させることが出来る。なお、熱安定性向上のために添加する酸化防止剤の量としては、0.5重量%程度が適当である。
【0025】
また、インクジェット用記録材の手触りや柔らかさ等、材料の風合いを改良するため可塑剤等を含めることができる。本発明に好ましく用いられる可塑剤としては、ポリエチレングリコール(PEG)等が挙げられる。また、ブロッキングを防止するために充填剤を含めることができる。本発明に好ましく用いられる充填剤としては例えばタルク等の無機充填剤を挙げることができる。
【0026】
本発明のインクジェット用記録材が、基体上にインク吸着層および発光層を有する場合には、例えば、各層の樹脂組成物を共押出しして積層する共押出法、2層以上を共押出しでフィルム状に形成し、これを他のシートと積層する押出ラミネート法等により製造することができる。例えば、基体、インク吸着層および発光層の各層の樹脂組成物をそれぞれ配合し、あるいは必要に応じてペレット状にして、Tダイを共有連結した3層Tダイ押出機の各ホッパーにそれぞれ投入し、温度80〜200℃の範囲で溶融して、3層Tダイから共押出しし、冷却ロール、水中または空冷等で冷却固化して、3層積層体のインクジェット用記録材を形成することができる。または、インク吸着層および発光層の各層の樹脂組成物を2層Tダイ押出機に搭載して溶融し、2層Tダイから基体上に直接押出して、インクジェット用記録材を作製することもできる。また、2層共押出しにより積層フィルムを形成した後、この積層フィルムを基体上にラミネートしてもよいし、あるいは基体上に接着剤を介して積層してもよい。なお、発光層を形成する樹脂としてPVAが用いられる場合には、PVAの重合度とケン化度とを適宜選択して共押出しすることにより、インク吸着層と発光層との積層体を形成することが好ましい。
3層以上の層が基体上に設けられる場合には、共押出しに必要な数のTダイを具備するTダイ押出機を用いて同様に作製することができる。また、インク吸着層と基体との間に1層以上の層が設けられている場合には、例えば基体上にかかる層を設けたシートを形成し、一方でインク吸着層と発光層とを共押出しにより形成しておき、これらをラミネート等することによって設けることもできる。
【0027】
本発明においては、発光層をコーティング等により形成してもよい。例えば、発光層を形成する樹脂組成物を水等の溶媒に溶かした溶液を、インク吸着層上にバーコーター、グラビアコーター等で塗布することにより形成することができる。または、上記溶液を一旦仮支持体上に塗布して膜を形成し、この膜をインク吸着層上に転写することにより形成することもできる。
【0028】
このようなインクジェット用記録材は公知の方法により形成することができ、例えば、特開平10−71763号第(6)〜(7)頁の記載に従って得ることができる。
なお、粘着層は粘着剤を塗布する等、通常使用されている方法により設けることができる。
【0029】
本発明のインクジェット用記録材を用いて、通常のインクジェット法により画像記録を行うことができ、良好な画像を得ることができる。
【0030】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
エチレングリコールにエチレンオキシドを付加重合した後、ブチレンオキシドを付加重合し、さらにエチレンオキシドを付加重合して得たポリアルキレンオキシドにオクタデカン−1,18−ジカルボン酸メチルを加え、エステル交換反応を行って、重量平均分子量が15万の熱可塑性樹脂を得た。これに熱安定剤としてトコフェロール(「UVINUL2000AO」、BASF社製)を1部配合し(試料A)、これに更に蓄光性顔料(「N夜光」、根本特殊化学社製)を10部添加した(試料A’)。
試料A’をTダイ押出機のホッパーに投入し、温度120℃で溶融押出しして厚さ30μmのフィルムを形成した。
次いで、得られたフィルムを再剥離型粘着シート(「はるぴた」、(株)きもと製)と熱融着させてインクジェット用記録材を作製した。
【0031】
実施例2
親水性樹脂(「パオゲン」、第一工業製薬(株)製)に熱安定剤としてトコフェロール(「UVINUL2000AO」、BASF社製)を1部配合し(試料B)、これに更に蓄光性顔料(「N夜光」、根本特殊化学社製)を10部添加した(試料B’)。
試料B’をTダイ押出機のホッパーに投入し、温度120℃で溶融押出しして厚さ30μmのフィルムを形成した。
次いで、得られたフィルムを再剥離型粘着シート(「はるぴた」、(株)きもと製)と熱融着させてインクジェット用記録材を作製した。
【0032】
実施例3
実施例1と同様にして、試料Aを調整した。すなわち、エチレングリコールにエチレンオキシドを付加重合した後、ブチレンオキシドを付加重合し、さらにエチレンオキシドを付加重合して得たポリアルキレンオキシドにオクタデカン−1,18−ジカルボン酸メチルを加え、エステル交換反応を行って、重量平均分子量が15万の熱可塑性樹脂を得た。これに熱安定剤としてトコフェロール(「UVINUL2000AO」、BASF社製)を1部を配合した(試料A)。実施例1と同様にして、試料Aを溶融押出しにより厚さ30μmのフィルムに形成した。
これとは別に、PVA(「CP−1000」、(株)クラレ製)に蓄光性顔料(「N夜光」、根本特殊化学社製)を50部配合(試料C’)し、180℃で溶融押出しして厚さ5μmのシートを得た。このシートを試料Aからなるフィルム上に80℃で熱ラミネートした。次いで、試料Aからなるフィルム側に再剥離型粘着シート(「はるぴた」、(株)きもと製)を熱融着により貼り合わせてインクジェット用記録材を作製した。
【0033】
実施例4
実施例1と同様にして試料A’を調整した。すなわち、試料Aに更に蓄光性顔料(「N夜光」、根本特殊化学社製)を10部添加して試料A’を得た。この試料A’を用い、実施例1と同様にして溶融押出しにより厚さ30μmのフィルムを形成した。
次いで、実施例3と同様にして試料C’からなるシートを、得られた試料A’からなるシート上に80℃で熱ラミネートして積層した。
その後、得られた2層シートを実施例3と同様にして、再剥離型粘着シートと熱融着により貼り合わせてインクジェット用記録材を作製した。
【0034】
得られたインクジェット用記録材について、印字品質および発光性の評価を下記に従い行った。なお、印字品質においては、比較のためインクジェット用記録紙(「純正シート」、ヒューレットパッカード社製)を基準シートとして同様の評価を行った。その結果を、印字品質の評価については表1に、発光性の評価については表2に示した。
(1)印字品質
インクジェット用記録材にヒューレットパッカード社製の「デザインジェット 2500CP」を用いて、独自に作製した模様パターンをA4版で印刷し、その印刷状態を肉眼で観察し、印字品質を評価した。ただし、印字品質が優れているものを「○」、ややムラがあるのものを「△」、印字品質にムラがあるものを「×」で示した。
(2)発光性
印字品質の評価において印刷したシートについて、暗室内で明るさおよび画像の明確さを目視評価した。ただし、明るさについては、印刷したシートが非常に明るく見えたものを記号「◎」、明るかったものを「○」、暗かったものを「×」で示し、また画像の明確さについては、印刷画像が明瞭に確認できるものを記号「○」、確認できないものを「×」で示した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
表1から明らかなように、実施例1〜4のインクジェット用記録材は、一般に用いられるインクジェット用記録紙と比較しても、同等以上の印字品質を有するものであることが分かった。
表2から明らかなように、実施例1〜4のインクジェット用記録材は、蓄光性を有し、暗所においても十分に明るく見え、画像も明確に認識できることが分かった。
なお、実施例3〜4のインクジェット用記録材は最外層に耐熱層を有し、耐熱性、ブロッキング性、耐傷性にも優れていた。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のインクジェット用記録材は、蓄光性に優れ、かつインクジェットでの印字が可能であり、優れた印字品質が得られる。
Claims (3)
- 吸水性樹脂を主成分とするインク吸着層を有するインクジェット用記録材であって、該インク吸着層はさらに蓄光性物質を含有し、該蓄光性物質が、刺激によって励起され、刺激が停止した後に発光が生じる物質であり、かつ、前記吸水性樹脂が、下記、一般式(1)
れる重量比、44(a+c)/(炭素数3以上のα−オレフィンオキシドの分子
量)b、は80/20〜94/6であり、X 1 は活性水素基を2個有する有機化合物の残基、Zは炭素数1以上の炭化水素基、R 11 はジカルボン酸類化合物残基またはジイソシアネート系化合物残基である)
で示されることを特徴とするインクジェット用記録材。 - 前記インク吸着層の上面に蓄光性物質を含有する発光層を有し、該発光層に含有される蓄光性物質の濃度が、該インク吸着層に含有される蓄光性物質の濃度より高いことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用記録材。
- 前記発光層のバインダーが、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする樹脂組成物からなることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット用記録材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000137223A JP3863343B2 (ja) | 2000-05-10 | 2000-05-10 | インクジェット用記録材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000137223A JP3863343B2 (ja) | 2000-05-10 | 2000-05-10 | インクジェット用記録材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001315429A JP2001315429A (ja) | 2001-11-13 |
JP3863343B2 true JP3863343B2 (ja) | 2006-12-27 |
Family
ID=18645031
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000137223A Expired - Fee Related JP3863343B2 (ja) | 2000-05-10 | 2000-05-10 | インクジェット用記録材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3863343B2 (ja) |
-
2000
- 2000-05-10 JP JP2000137223A patent/JP3863343B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001315429A (ja) | 2001-11-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5736101B2 (ja) | 真空成形用化粧シート | |
US8012570B2 (en) | Printing paper | |
JP2011168055A (ja) | インクジェット記録材料 | |
JP4911935B2 (ja) | 無延伸印刷用紙 | |
JP6030385B2 (ja) | 印刷構造体及び印刷構造体の製造方法 | |
JP5720374B2 (ja) | 真空成形用化粧シート、及び該化粧シートを用いてなる化粧材 | |
JP3863343B2 (ja) | インクジェット用記録材 | |
JP4419254B2 (ja) | 白色ポリエステル積層フィルム、並びにそれを用いた磁気カードおよびicカード | |
JPH11123869A (ja) | 水性インク印刷用シート | |
KR100618758B1 (ko) | 잉크젯 기록 시트용 수지 조성물, 기록 시트, 이의 기록방법 및 기록 시트의 제조 방법 | |
JP3378895B2 (ja) | 崩壊性記録シートの製造方法 | |
JP3907378B2 (ja) | インクジェット用記録材 | |
JPH1111012A (ja) | 水性インク印刷用シート | |
JP2001287450A (ja) | インクジェット用記録材 | |
JP3907381B2 (ja) | インクジェット用記録材の製造方法 | |
JP2001287447A (ja) | インクジェット用記録材 | |
JP3109159B2 (ja) | 記録シート | |
JP2001315428A (ja) | インクジェット用記録材 | |
JP2000127612A (ja) | インクジェット記録シート用樹脂組成物、インクジェット記録シート、インクジェット記録方法及びインクジェット記録シートの製造方法 | |
JP2002052807A (ja) | インクジェット用記録材 | |
JP2007038508A (ja) | インクジェット記録材料およびディスプレー材料 | |
JP2004034456A (ja) | インクジェット記録用シート及びその成形加工品 | |
JP2004216570A (ja) | 記録材およびその製造方法 | |
JP2004181935A (ja) | インクジェット記録用シート | |
JPH10278419A (ja) | 水性インク記録用シート |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040402 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060628 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060704 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060904 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060926 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060928 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091006 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101006 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111006 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121006 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131006 Year of fee payment: 7 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |