JP6030385B2 - 印刷構造体及び印刷構造体の製造方法 - Google Patents
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Description
そして、現在屋外や屋内の広告看板等で使用される印刷構造体についても、使用箇所やその面積により、その下地材との組み合わせによる防火認定の取得がなされていることが必要条件となるケースが増加している。
また都市部においては、火災等による被害が大きくなることが予想されるので、建築物等の安全性が特に重要視されており、広告看板に使用される材料が防火認定を受けた不燃材料であることへの要求がより高くなってきている。
(1)加熱開始後20分間の総発熱量が、8MJ/m2以下であること、
(2)加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がないこと、及び、
(3)加熱開始後20分間、最高発熱速度が、10秒以上継続して200kW/m2を超えないこと、を満足することである。
特にこの中でも、(1)総発熱量8MJ/m2以下を満足することが重要であり、金属板以外の不燃下地材で不燃材料としての防火認定を取得する場合には厚さ12.5mmの石膏ボードに張り付けた状態で当条件を満足しなければならず、そのためには、如何に印刷構造体の厚さを低減し、その発熱量を抑えるかが重要な課題となっている。
なお、図6は、従来の印刷構造体の製造方法を説明するための模式図である。
また、印刷構造体に不燃性を付与するために、基材フィルム等に難燃剤を添加することも検討されているが、この場合、印刷構造体の印刷性、風合い、透明性を低下させるとの問題が生じることがあった。
上記印刷層は、溶剤系インクを用いて印刷されてなり、
上記基材フィルムは、平均重合度が600〜1300の塩化ビニル系樹脂と可塑剤とを含有する塩化ビニル樹脂組成物からなり、かつ、上記可塑剤の含有量が上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して15〜40重量部であり、
上記粘着剤層は、重量平均分子量60万〜100万のアクリル系粘着剤を含有する粘着剤組成物からなり、
上記積層体は、厚さが65〜160μmであり、かつ、厚さ12.5mmの石膏ボードを下地材としたコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験の総発熱量が8MJ/m 2 以下である
ことを特徴とする。
また、上記印刷構造体において、上記粘着剤組成物は、更に無機フィラーを含有することが好ましい。
また、上記積層体は、上記粘着剤層、上記印刷層及び上記基材フィルムのみからなることが好ましい。
また、上記印刷構造体は、上記積層体の上記粘着剤層側にセパレータが積層されていてもよい。
上記基材フィルム上に印刷層を形成して第一の積層体を作製する工程と、粘着剤層の一方の面に第一のセパレータを形成するとともに他方の面に第二のセパレータを形成して第二の積層体を作製する工程とを別々に行い、
次に、上記第二の積層体の第二のセパレータを剥離し、
その後、上記第一の積層体の印刷層側と、上記第二のセパレータが剥離された第二の積層体の粘着剤層側とを張り合わせることを特徴とする。
上記第一の積層体を作製する工程において、上記基材フィルムの片面に支持体層を形成した後、上記支持体層と反対側に上記印刷層を形成することが好ましい。
そのため、不燃材料として防火認定を取得するのに適している。
さらに、本発明の印刷構造体の製造方法では、第二の積層体が、粘着剤層の両面のそれぞれにセパレータを備えている(粘着剤層が2枚のセパレータで挟持されている)ため、厚み精度(特に、粘着剤層の厚み精度)に優れる印刷構造体を製造することができる。
本発明の印刷構造体は、粘着剤層、印刷層及び基材フィルムがこの順で積層された積層体からなる印刷構造体であって、
上記印刷層は、溶剤系インクを用いて印刷されてなり、
上記基材フィルムは、平均重合度が600〜1300の塩化ビニル系樹脂と可塑剤とを含有する塩化ビニル樹脂組成物からなり、かつ、上記可塑剤の含有量が上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して15〜40重量部であり、
上記粘着剤層は、重量平均分子量60万〜100万のアクリル系粘着剤を含有する粘着剤組成物からなり、
上記積層体は、厚さが65〜160μmであり、かつ、厚さ12.5mmの石膏ボードを下地材としたコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験の総発熱量が8MJ/m 2 以下である
ことを特徴とする。
ここで、上記総発熱量は、建築基準法第2条第9号および建築基準法施行令第108条の2に基づく防耐火試験方法と性能評価規格に従うコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験における総発熱量である。
図1に示すように、本発明の印刷構造体10は、粘着剤層13、印刷層12及び基材フィルム11がこの順で積層された積層体からなる。
印刷構造体10では、印刷層12は、基材フィルム11を介して視認されることとなる。
印刷構造体10において、基材フィルム11は、透明であり、印刷層を描画するための基材としての役割を有するとともに、印刷層を保護するためのオーバーラミネートフィルムとしての役割も有している。
上記塩化ビニル系樹脂は、その平均重合度が600〜1300であるため、溶剤系インクの印刷適性(例えば、印刷時の発色性等)に優れるとともに、基材フィルムを介して印刷層を視認した際の鮮明性に優れる。これに対して、上記平均重合度が600未満では、溶剤系インクを吸収し過ぎてしまい、フィルム中で膨潤した状態でインクが滲んでしまうため、印刷時の発色性や鮮明性が不充分となる。一方、上記平均重合度が1300を超えると、溶剤系インクの吸収力が低く、この場合も印刷適正が不充分となる。
なお、本発明において、塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、JIS K−6721「塩化ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定した平均重合度を意味する。
上記共重合可能な他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、エチレン、プロピレン、スチレン等のオレフイン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル等のマレイン酸ジエステル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジエチル等のフマル酸ジエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
この理由は、低分子量の可塑剤のなかでも特にインク吸収性に優れるからである。
上記可塑剤の含有量が15重量部未満では、インクの吸収性に劣るため滲みが生じ、印刷適正が不充分となる。一方、40重量部を超えると、積層体の発熱量が増加する傾向にあり、更には、基材フィルムが柔らかくなり過ぎるため、下地材に張り付けた際に印刷構造体にしわ等が生じることがあり、施工性に劣ることとなる。
上記可塑剤の含有量は、20〜30重量部がより好ましい。
特に、安定剤や紫外線吸収材を含有することが好ましい。オーバーラミネートフィルムとしても機能する基材フィルムの耐候性等の性能を向上させることができるからである。
また、上記安定剤としては、エポキシ系安定剤、バリウム系安定剤、カルシウム系安定剤、スズ系安定剤、亜鉛系安定剤;カルシウム−亜鉛系(Ca−Zn系)、バリウム−亜鉛系(Ba−Zn系)等の複合安定剤も使用することができる。
上記安定剤のなかでも、Ba−Zn系複合安定剤を使用することが好ましい。
また、上記紫外線吸収材を含有する場合、その含有量は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.3〜2.0重量部が好ましい。0.3重量部未満では、あまり効果がなく、一方、2.0重量部を超えると、基材フィルムの表面にブリードするおそれがあるからである。
40μm未満では、インクの吸収力が不充分となり、印刷時の発色性(意匠の鮮明性)が低下する場合があり、かつ、印刷構造体が柔軟になり過ぎて施工性に劣ることがある。更には、耐候性にも劣ることとなる。一方、130μmを超えると、印刷構造体の総発熱量が大きくなり、不燃性が低下することとなり、また、下地材への追従性が低下する場合もある。更には、柔軟性が乏しく印刷構造体の風合いが硬くなることがある。
溶剤系インクを用いて印刷された印刷層を備えた印刷構造体は耐候性に優れることとなる。また、溶剤系インクを用いた場合には、基材フィルムがインク受容層を備えなくても基材フィルムに直接印刷することができ、さらには印刷層が短時間で基材フィルムに定着するため、作業性にも優れることとなる。
上記顔料としては、カーボンブラック(ブラック)、銅フタロシアニン(シアン)、ジメチルキナクリドン(マゼンタ)、ピグメント・イエロー(イエロー)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ニッケル化合物等が挙げられるが、既に、種々の顔料が知られており、上記に限定されるものではない。
アクリル系粘着剤を含む粘着剤組成物を用いることで、耐候性に優れたものとなる。
上記アクリル系粘着剤は、その重量平均分子量が60万〜100万である。上記アクリル系粘着剤の重量平均分子量が上記範囲にあると、充分な粘着力を発現することができるともに、寸法安定性にも優れる点で有利である。これに対して、重量平均分子量が60万未満では、溶剤インクの影響により寸法が変化してしまうことがあり、一方、100万を超えると、濡れ性低下によって、所望の粘着力を発現することが難しいことがある。
上記アクリル系粘着剤の重量平均分子量は、70万〜90万が好ましい。
上述したモノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
装置名:HLC−8120(東ソー社製)
カラム:G7000HXL 7.8mmID×30cm 1本 GMHXL 7.8mmID×30cm 2本 G2500HXL 7.8mmID×30cm 1本(東ソー社製)
サンプル濃度:1.5mg/mlになるようにテトラヒドロフランで希釈
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1.0ml/min
カラム温度:40℃
上記無機フィラーを含有することにより、隠蔽性を付与することができ、本発明の印刷構造体を石膏ボード等の下地材に上記粘着剤層を介して張り付けた際に、下地材を隠蔽し、上記印刷層を視認した際の鮮明性を確保することができるからである。
これらのなかでは、酸化チタンが好ましい。白色で隠蔽性に優れ、印刷層を鮮明に視認することができるようになるからである。
無機フィラーの含有量が3重量部未満では、粘着剤層に充分な隠蔽性を付与することができない場合があり、一方、30重量部を超えると、粘着剤層の粘着性が不充分になる場合があるからである。
ここで、無機フィラーの平均粒子径とは、メジアン粒子径(50%体積粒子径)である。
これらの硬化剤は、上記官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー中の官能基と化学反応又は相互作用をして架橋させる化合物である。
上記イソシアネート系硬化剤はイソシアネート基を有する化合物であり、その具体例としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネート等の分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物;それらをトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと付加反応させた化合物、イソシアネート化合物やイソシアヌレート化合物、ビュレット型化合物、更には公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等と付加反応させたウレタンプレポリマー型の分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物等が挙げられる。
なかでも、分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物を多価アルコールと付加反応させた化合物が好ましく、トリレンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネートを多価アルコールと付加反応させた化合物がより好ましい。
なお、本発明において、イソシアネート系硬化剤とエポキシ系硬化剤の両方が使用される場合、上記配合量はこれらの合計量である。
より好ましい厚さは、20〜40μmである。
上記積層体の厚さが65μm未満では、そもそも製造が困難で、厚み精度にバラツキが発生しやすく、施工性にも劣ることとなる。更には、必然的に基材フィルムや粘着剤層の厚さを薄くする必要があるため、印刷構造体として要求される特性を満足しにくくなる。一方、上記厚さが160μmを超えると、総発熱量が大きくなり、防火性能に劣ることとなる。
より好ましい積層体の厚さは、100〜140μmである。
上記積層体の上記総発熱量は、4.5MJ/m 2 以下であることが好ましい。厚さ12.5mmの石膏ボートの発熱量が約3.5MJ/m 2 であるため、金属板以外の不燃下地材にて防火認定を受けるためには、上記範囲にある必要があるからである。
また、上記基材フィルムの表面には、必要に応じて、エンボス加工等の表面加工が施されていてもよい。
図2は、本発明の印刷構造体の別の一例を模式的に示す断面図である。
図2に示す印刷構造体20では、図1に示した印刷構造体10と同様の構成を備えた積層体の粘着剤層13側にセパレータ14が積層されている。
次に、本発明の印刷構造体の製造方法について説明する。
上記基材フィルム上に印刷層を形成して第一の積層体を作製する工程と、上記粘着剤層の一方の面に第一のセパレータを形成するとともに他方の面に第二のセパレータを形成して第二の積層体を作製する工程とを別々に行い、
次に、上記第二の積層体の第二のセパレータを剥離し、
その後、上記第一の積層体の印刷層側と、上記第二のセパレータが剥離された第二の積層体の粘着剤層側とを張り合わせることを特徴とする。
図3は、本発明の印刷構造体の製造方法を説明するための模式図である。
上記印刷構造体の製造方法では、まず、第一の積層体101と第二の積層体102とを別々に作製する。
基材フィルム111は、塩化ビニル樹脂組成物からなるものであり、その材質は既に説明した通りである。
基材フィルム111は、例えば、カレンダー成形、押出成形、射出成形等、従来公知の成形法によって製造することができる。上記カレンダー成形に用いられるカレンダー形式としては、例えば、逆L型、Z型、直立2本型、L型、傾斜3本型等が挙げられる。
これらのなかでは、インクジェット印刷が好ましく、溶剤系インクを用いたインクジェット印刷が特に好ましい。
溶剤系インクについては既に説明した通りである。
基材フィルム111は厚さが薄く、印刷時やその後の工程での作業性が不充分なことがあるが、支持フィルム115を積層しておくことにより作業性を確保することができるからである。支持フィルム115は、本発明の印刷構造体の製造方法においては必ずしも必須ではない。
なお、支持フィルム115としては、例えば、PETフィルム等が挙げられ、支持フィルム115は、熱ラミネート法を用いて積層する、粘着剤層を介して積層する等の方法により基材フィルム111に積層すれば良い。
具体的には、まず、第一のセパレータ114上に粘着剤層113を形成する。粘着剤層113の形成する方法としては特に限定されず、第一のセパレータ114上に直接バーコーター等を用いて、上記粘着剤組成物を塗工し、乾燥させる方法等の従来公知の方法を用いれば良い。その後、粘着剤層113の第一のセパレータ114を形成した面と反対側の面に、従来公知の方法を用いて第二のセパレータ116を張り合わせ、第二の積層体102とする。
なお、ここでは、第一のセパレータ114上に粘着剤層113を形成した後、第二のセパレータ116を張り合わせたが、先に第二のセパレータ116に粘着剤層113を形成した後、第一のセパレータ114を張り合わせても良い。
この理由は、次工程で第二のセパレータ116を剥離する際に、第一のセパレータ114と粘着剤層113との界面で剥離が発生せず、第二のセパレータ116のみを剥離しやすいからである。
また、上記第二のセパレータと粘着剤層との剥離力は、0.02〜0.3N/mmが好ましい。0.02N/mm未満では、展開時に第二のセパレータ層と粘着剤層との間で浮き現象が発生しやすく、一方、0.3N/mmを超えるとラミネーター機で第二のセパレータを剥離することが困難になる場合があるからである。
ここで、第一の積層体101と第二の積層体102との張り合わせは、従来公知の積層方法(ラミネート方法)を用いて張り合わせればよく、従来のラミネーター機を使用することができる。
このような工程を経ることにより、セパレータを備えた本発明の印刷構造体100を製造することができる。
ここで、上記製造方法における第一のセパレータ(図3中、114)が、本発明の印刷構造体におけるセパレータ(図2中、14)に相当する。そして、第一のセパレータを剥離すれば、図1に示した構成を有する印刷構造体となる。
また、支持フィルム115の剥離は、印刷構造体100を使用する直前に行ってもよい。
また、上記印刷構造体の製造方法によれば、別々に作製した第一の積層体と第二の積層体とを張り合わるため、既存のラミネート装置により、多品種、小ロットの印刷構造体を好適に製造することができる。
さらに、上記印刷構造体の製造方法では、第二の積層体が、粘着剤層の両面のそれぞれにセパレータを備えている(粘着剤層が2枚のセパレータで挟持されている)ため、厚み精度(特に、粘着剤層の厚み精度)に優れる印刷構造体を製造することができる。
(1)第一の積層体の作製
平均重合度1000の塩化ビニル樹脂(大洋塩ビ社製、TH1000)100重量部及び可塑剤としてDOP(フタル酸ジオクチル)30重量部のコンパウドを作製し、ブレンダーで15分間攪拌した後、逆L型カレンダーロールにて厚さ40μmにシーティングし、基材フィルムを得た。
次に、上記基材フィルムの片面に、厚さ100μmのPETフィルムを熱ラミネートにて張り合わせた。
次に、上記基材フィルムの支持フィルムを積層した側と反対側の面に、ミマキエンジニアリング製フルカラーインクジェットプリンターCJV−30、ES3インクを用いて、インク噴射量、C100%、M100%、Y100%、K100%、CM各100%(CM200%)、MY各100%(MY200%)、CY各100%(CY200%)、CMY各100%(CMY300%)、CMYK各100%(CMYK400%)、及び、白インク100%のそれぞれで300×300mmの四角形をベタ印刷して印刷層を形成し、第一の積層体を作製した。
表面をシリコーン樹脂で表面処理したPETフィルムからなる第一のセパレータ(ニッパ社製、PET38×1−G)のシリコーン処理面に、粘着剤組成物(アクリル系粘着剤溶液(総研化学社製、SKダイン1222)100重量部に対してイソシアネート系硬化剤(総研化学社製、L−45)を1.5重量部添加した配合溶液)をコンマコンバーターを用いて塗工した後、乾燥炉にて乾燥させることにより、厚さ30μmの粘着剤層を形成した。
次に、粘着剤層の第一のセパレータと反対側の面に、表面をシリコーン樹脂で表面処理したPETフィルムからなる第二のセパレータ(ニッパ社製、PET38×1−C)を張り合わせて第二の積層体を作製した。
なお、上記第二の積層体において、粘着剤層からの剥離力は、第一のセパレータの方が第二のセパレータよりも大きくなっている。
上記第二の積層体から第二のセパレータのみを剥離した後、ラミネーター機を用いて、第一の積層体の印刷層側に第二の積層体の粘着剤層を張り合わせることにより、印刷構造体を製造した。
なお、本実施例で製造した印刷構造体を構成する積層体の厚さは70μmである。
逆L型カレンダーロールを用いて作製する基材フィルムの厚さを、それぞれ70μm(実施例2)、100μm(実施例3)及び130μm(実施例4)に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷構造体を製造した。
なお、各印刷構造体を構成する積層体の厚さは、それぞれ100μm(実施例2)、130μm(実施例3)及び160μm(実施例4)である。
第二の積層体を作製する際に、下記粘着剤組成物を用いた以外は実施例3と同様にして印刷構造体を製造した。
粘着剤組成物として、アクリル系粘着剤溶液(総研化学社製、SKダイン1222)100重量部に対して、イソシアネート系硬化剤(総研化学社製、L−45)1.5重量部と、平均粒子径0.25μmの酸化チタン粒子(御国色素社製、SAホワイト14664(濃度50wt%))1重量部を添加した配合溶液を用いた。
粘着剤組成物中の酸化チタン粒子の配合量を、それぞれ3重量部(実施例6)、10重量部(実施例7)、30重量部(実施例8)及び40重量部(参考例1)に変更した以外は、実施例5と同様にして印刷構造体を製造した。
第一の積層体を作製する際に、可塑剤として、DOPに代えて、ポリエステル系可塑剤(分子量2300、アデカ社製、PN−7535)を使用した以外は、実施例3と同様にして印刷構造体を製造した。
逆L型カレンダーロールを用いて作製する基材フィルムの厚さを、それぞれ30μm(比較例1)、150μm(比較例2)に変更した以外は、実施例1と同様にして印刷構造体を製造した。
なお、比較例1、2の印刷構造体を構成する積層体の厚さは、それぞれ60μm(比較例1)、180μm(比較例2)である。
下記の方法で作製した第一の積層体を用いた以外は、実施例3と同様にして印刷構造体を作製した。
第一の積層体の作製は、ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロピレン社製、WT2002)100重量部及びリアクターTPO(サンアロー社製、KS 359P)30重量部のコンパウドを作製し、ブレンダーで15分間攪拌した後、逆L型カレンダーロールにて厚さ100μmにシーティングし、基材フィルムを得た。
その後、実施例3と同様にして厚さ100μmのPETフィルムを熱ラミネートにて張り合わせ、さらに実施例3と同様にして印刷層を形成することにより行った。
下記の方法で作製した第一の積層体を用いた以外は、実施例3と同様にして印刷構造体を作製した。
第一の積層体の作製は、PET樹脂(イーストマンケミカル社製、PETG TSUNAMI GS2)100重量部及び可塑剤としてDOP(フタル酸ジオクチル)30重量部のコンパウドを作製し、ブレンダーで15分間攪拌した後、逆L型カレンダーロールにて厚さ100μmにシーティングし、基材フィルムを得た。
その後、実施例3と同様にして厚さ100μmのPETフィルムを熱ラミネートにて張り合わせ、さらに実施例3と同様にして印刷層を形成することにより行った。
下記の方法で作製した第一の積層体を用いた以外は、実施例3と同様にして印刷構造体を作製した。
第一の積層体の作製は、アクリル樹脂(住友化学工業社製、スミペックスFA)100重量部及び可塑剤としてDOP(フタル酸ジオクチル)30重量部のコンパウドを作製し、ブレンダーで15分間攪拌した後、逆L型カレンダーロールにて厚さ100μmにシーティングし、基材フィルムを得た。
その後、実施例3と同様にして厚さ100μmのPETフィルムを熱ラミネートにて張り合わせ、さらに実施例3と同様にして印刷層を形成することにより行った。
実施例1〜9、参考例1及び比較例1〜5で作製した印刷構造体について、下記の評価を行った。結果を表1及び2に示した。
(1)印刷発色性
印刷状態を目視で観察し、下記の基準で評価した。なお、下記評価基準の見本となるカラー写真を図4に示した。
×:インクの濃度ムラ、インクのにじみが目立つ。
△:インクの濃度ムラ、インクのにじみが少し目立つ。
○:インクの濃度ムラ、インクのにじみがあまり見られない。
◎:インクの濃度ムラ、インクのにじみがほとんどわからない。
石膏ボートからなる下地材に印刷構造体を張り付けた際の施工性を下記の基準で評価した。
×:印刷構造体が柔らかく、貼り付けた際に印刷構造体にしわが入りやすい。
△:貼り付けた際に、少しシワが入りやすい。
○:貼り付けた際に、シワが入りにくい。
◎:貼り付けた際に、ほとんどシワにならない。
ガラス板からなる曲面状の下地材に印刷構造体を張り付けた際の状態を下記の基準で評価した。
×:張り付ける際に硬く伸びないため、曲面に追従しない。
△:曲面に追従しにくい。
○:曲面に追従しやすい。
◎:曲面に追従する。
厚さ12.5mmの石膏ボート(単体での発熱量3.5MJ/m 2 )に印刷構造体を張り付けた後、(財)建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」および「防火材料の発熱性試験装置(コーンカロリーメーター)」に基づきコーンカロリーメーター燃焼試験を行い、総発熱量を測定した。
ガラス板に貼り付けて24時間経過した後に剥がしたときの粘着力を測定した。ここで、粘着力の測定は、JIS Z 0237に準拠して、180°引き剥がし法にて行った。
なお、本発明では、上記の方法で測定した粘着力が、10N/25mm以上であることが好ましい。
(6)隠蔽性
白ベタ印刷した印刷層について、色差計SZ−Σ90(日本電色工業社製)を用いて白バックと黒バックとの色差ΔEを測定した。ここで、色差ΔEの値が小さいほど、双方(白・黒)の色の影響を受けていないので、隠蔽性が優れていることになる。
なお、本発明では、上記の方法で測定した色差ΔEが、2.0未満であることが好ましい。
サンシャインWOM500時間照射後の変退色を下記の基準で目視にて評価した。なお、下記評価基準の見本となるカラー写真を図5に示した。
×:著しく変退色が目立つ
△:少し変退色が目立つ
○:あまり目立たない
◎:目立たない
11、21、111、211 基材フィルム
12、22、112、212 印刷層
13、23、113、213、216 粘着剤層
14、114 セパレータ(第一のセパレータ)
101 第一の積層体
102 第二の積層体
115 支持フィルム
116 第二のセパレータ
201 インクジェットメディア
202 ラミネートフィルム
214、217 セパレータ層
215 オーバーラミネートフィルム
Claims (7)
- セパレータ、粘着剤層、印刷層及び基材フィルムがこの順で積層された積層体からなる印刷構造体であって、
前記印刷層は、溶剤系インクを用いて印刷されてなり、前記基材フィルムを介して視認され、前記基材フィルムによって保護されるものであり、
前記基材フィルムは、平均重合度が600〜1300の塩化ビニル系樹脂と可塑剤とを含有する塩化ビニル樹脂組成物からなり、かつ、前記可塑剤の含有量が前記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して15〜40重量部であり、
前記粘着剤層は、重量平均分子量60万〜100万のアクリル系粘着剤を含有する粘着剤組成物からなり、
前記積層体は、厚さが65〜160μmであり、かつ、厚さ12.5mmの石膏ボードを下地材としたコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験の総発熱量が8MJ/m2以下である
ことを特徴とする印刷構造体。 - 前記可塑剤は、フタル酸ジエステルである請求項1に記載の印刷構造体。
- 前記粘着剤組成物は、更に無機フィラーを含有する請求項1又は2に記載の印刷構造体。
- 前記積層体は、セパレータ、粘着剤層、印刷層及び基材フィルムのみからなる請求項1〜3のいずれかに記載の印刷構造体。
- 前記粘着剤層の厚さは、10〜60μmであり、
前記基材フィルムの厚さは、40〜130μmである
請求項1〜4のいずれかに記載の印刷構造体。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の印刷構造体を製造する方法であって、
前記基材フィルム上に印刷層を形成して第一の積層体を作製する工程と、粘着剤層の一方の面に第一のセパレータを形成するとともに他方の面に第二のセパレータを形成して第二の積層体を作製する工程とを別々に行い、
次に、前記第二の積層体の第二のセパレータを剥離し、
その後、前記第一の積層体の印刷層側と、前記第二のセパレータが剥離された第二の積層体の粘着剤層側とを張り合わせることを特徴とする印刷構造体の製造方法。 - 前記印刷構造体が更に前記基材フィルム上に支持体層を備え、
前記第一の積層体を作製する工程において、前記基材フィルムの片面に支持体層を形成した後、前記支持体層と反対側に前記印刷層を形成する請求項6に記載の印刷構造体の製造方法。
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