JP2017052168A - 印刷用フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】被着体との間に噛み込んだ気泡を被着体に貼り付けた状態のままで除去することができる施工性に優れた印刷用フィルムを提供する。【解決手段】塩化ビニル樹脂層10及び粘着剤層20を有する印刷用フィルムであって、粘着剤層20の塗工量は、10〜90g/m2であり、粘着剤層20は、発泡構造21を有し、貼り合わせ面における接触面積率が50〜83%であり、粘着剤層20は、吸水性高分子を含有してもよく、更に、塩化ビニル樹脂層10の表面上に、印刷層を有してもよい印刷用フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、印刷用フィルムに関する。
看板の作製や、壁面の装飾等の目的で、インクジェット印刷等の印刷処理が施された基材フィルムと、被着体への貼り付け用の粘着剤層とを備えた印刷用フィルムを、被着体に貼り付ける施工方法が利用されている。この施工方法では、印刷用フィルムと被着体との間に気泡が入ってしまうことがあるが、印刷用フィルム越しに確認できる大きさの気泡は除去することが求められる。気泡を除去する方法としては、印刷用フィルムを剥がして再度貼り直す方法が挙げられるが、印刷用フィルムを剥がしたときの糊残りを防止しつつ、被着体に対する強い粘着力を確保することは一般的に困難であった。
ところで、粘着剤層は、種々の用途において広く利用されていることから、粘着剤層を構成する粘着剤の組成や粘着剤層の構成について、多様な観点からの検討が行われてきている。粘着剤や粘着剤層を開示した先行技術としては、例えば、特許文献1〜3が挙げられる。
特開2002−80817号公報 特開2011−166号公報 特開2011−208069号公報
印刷用フィルムを被着体に貼り付けた際に、印刷用フィルムと被着体との間に気泡が入ってしまうことがあった。これに対して、印刷用フィルムを貼り付けた状態のままで、スキージー等の治具で気泡を押し出すことによって気泡を除去できるようにすることが、施工性向上の観点から求められていた。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、被着体との間に噛み込んだ気泡を被着体に貼り付けた状態のままで除去することができる施工性に優れた印刷用フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、施工性に優れた印刷用フィルムについて種々検討し、発泡構造を有する粘着剤層を用いることに着目した。そして、粘着剤層の塗工量を10〜90g/mにするとともに、粘着剤層の貼り合わせ面における接触面積率を50〜83%に調整すれば、被着体との間に噛み込んだ気泡を被着体に貼り付けた状態のままで除去することができることを見出し、本発明を完成した。
本発明の印刷用フィルムは、塩化ビニル樹脂層及び粘着剤層を有する印刷用フィルムであって、上記粘着剤層の塗工量は、10〜90g/mであり、上記粘着剤層は、発泡構造を有し、貼り合わせ面における接触面積率が50〜83%であることを特徴とする。
上記粘着剤層は、吸水性高分子を含有することが好ましい。
本発明の印刷用フィルムは、更に、上記塩化ビニル樹脂層の表面上に、印刷層を有していてもよい。本発明の印刷用フィルムは、更に、上記印刷層の表面上に貼り付けられた印刷面保護フィルムを有するものであってもよい。
また、本発明の印刷用フィルムは、更に、上記粘着剤層の表面上に貼り付けられたセパレーターを有していてもよい。上記セパレーターは、紙の少なくとも一方の表面上に被覆層を設けたものであり、上記被覆層は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート又はクレー材を含有することが好ましい。
本発明の印刷用フィルムは、粘着剤層が特有の発泡構造を有するので、被着体との間に噛み込んだ気泡を被着体に貼り付けた状態のままで除去することができ、施工性に優れている。
本発明の印刷用フィルムの一例を模式的に示した断面図である。 本発明の印刷用フィルムにおける粘着剤層の表面の一例を模式的に示した平面図である。 セパレーターを備えた本発明の印刷用フィルムの一例を模式的に示した断面図である。 オーバーラミネート用フィルムを備えた本発明の印刷用フィルムの一例を模式的に示した断面図である。
本発明の印刷用フィルムは、塩化ビニル樹脂層及び粘着剤層を有する印刷用フィルムであって、上記粘着剤層の塗工量は、10〜90g/mであり、上記粘着剤層は、発泡構造を有し、貼り合わせ面における接触面積率が50〜83%であることを特徴とする。なお、本明細書において、「印刷用フィルム」とは、「印刷用シート」と同義である。
図1は、本発明の印刷用フィルムの一例を模式的に示した断面図である。図1に示した印刷用フィルムは、塩化ビニル樹脂層(基材フィルム)10、粘着剤層20及びセパレーター30が順に積層された積層体からなる。図2は、本発明の印刷用フィルムにおける粘着剤層の表面の一例を模式的に示した平面図である。粘着剤層20は、発泡構造を有するものであり、図2に示したように被着体への貼り合わせ面には、多数の気泡21が形成されている。気泡21の存在により、粘着剤層20を構成する粘着剤と被着体との接触面積は小さくなっている。
[塩化ビニル樹脂層]
塩化ビニル樹脂層10は、塩化ビニル系樹脂を含有する層である。上記塩化ビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニルと他の単量体との共重合体を挙げることができる。
上記他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;エチレン、プロピレン、スチレン等のオレフィン;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル;マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル等のマレイン酸ジエステル;フマル酸ジブチル、フマル酸ジエチル等のフマル酸ジエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;塩化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記他の単量体の共重合体における含有量は、通常、50重量%以下であり、好ましくは10重量%以下である。50重量%を超えると、塩化ビニル樹脂層10の耐屈曲性が低下するおそれがある。上記塩化ビニル系樹脂のなかでも、優れた印刷適性及び視認性、更には寸法安定性が得られる点から、塩化ビニルの単独重合体が好ましい。
上記塩化ビニル系樹脂の平均重合度は特に限定されないが、600〜1300であることが好ましい。上記平均重合度が600〜1300の範囲内であると、溶剤系インクの印刷適性(例えば、印刷時の発色性等)に優れる。これに対して、上記平均重合度が600未満では、溶剤系インクを吸収し過ぎてしまい、塩化ビニル樹脂層10中で膨潤した状態でインクが滲んでしまうため、印刷時の発色性や鮮明性が不充分となるおそれがある。一方、上記平均重合度が1300を超えると、溶剤系インクの吸収力が低く、この場合も印刷適性が不充分となるおそれがある。
なお、本発明において、塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、JIS K−6721「塩化ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定した平均重合度を意味する。
塩化ビニル樹脂層10は、可塑剤を含有していてもよい。上記可塑剤としては特に限定されず、従来から塩化ビニル系樹脂に配合されているものを用いることができ、例えば、フタル酸オクチル(ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP))、フタル酸ジブチル、フタル酸ジノニル等のフタル酸ジエステル;アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル等の脂肪族二塩基酸ジエステル;トリクレジルホスフエート、トリオクチルホスフエート等のリン酸トリエステル;エポキシ化大豆油、エポキシ樹脂等のエポキシ系可塑剤;高分子ポリエステル可塑剤等を挙げることができる。
上記高分子ポリエステル可塑剤としては、例えば、フタル酸のポリエチレングリコールジエステル、ポリプロピレングリコールジエステル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールジエステル等のポリアルキレングリコールジエステル;アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族二塩基酸のポリエチレングリコールジエステル、ポリプロピレングリコールジエステル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールジエステル等のポリアルキレングリコールジエステルを挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記可塑剤は、フタル酸ジエステルであることが好ましい。その理由は、低分子量の可塑剤のなかでも特にインク吸収性に優れるからである。
上記可塑剤の数平均分子量は、350〜3000であることが好ましい。上記数平均分子量が350未満では、可塑剤が粘着剤層20に移行しやすく、粘着力の低下を引き起こすことがある。また、可塑剤が塩化ビニル樹脂層10の表面に移行し、印刷層を形成した際に、印刷ムラを引き起こす可能性がある。一方、上記数平均分子量が3000を超えると、可塑剤がインクを吸収しすぎてしまうため、印刷像が滲み、不鮮明性になる可能性がある。
上記可塑剤の含有量は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、15〜40重量部であることが好ましい。上記含有量が15重量部未満では、インクの吸収性に劣るため滲みが生じ、印刷適性が不充分となるおそれがある。一方、40重量部を超えると、本発明の印刷用フィルムの防耐火性が低下するおそれや、塩化ビニル樹脂層10が柔らかくなり過ぎることで、本発明の印刷用フィルムを下地材に貼り付けた際にしわ等が生じやすくなり、施工性が低下するおそれがある。上記可塑剤の含有量は、20〜30重量部がより好ましい。
上記塩化ビニル系樹脂は、必要に応じて、安定剤、紫外線吸収材、着色剤、発泡剤、滑剤、改質剤、無機粒子や無機繊維等の充填剤、希釈剤等の添加剤を含有してもよい。これらの添加剤としては、塩化ビニル系樹脂に一般的に配合されるものを使用することができる。
上記安定剤としては、例えば、脂肪酸カルシウム、脂肪酸亜鉛、脂肪酸バリウム等の金属石ケン;ハイドロタルサイト等が挙げられる。上記金属石ケンの脂肪酸成分としては、例えば、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム、ステアリン酸バリウム、リシノール酸バリウム等が挙げられる。
また、上記安定剤としては、エポキシ系安定剤;バリウム系安定剤;カルシウム系安定剤;スズ系安定剤;亜鉛系安定剤;カルシウム−亜鉛系(Ca−Zn系)、バリウム−亜鉛系(Ba−Zn系)等の複合安定剤も使用することができる。
上記安定剤を含有する場合、その含有量は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.3〜5.0重量部が好ましい。上記含有量が0.3重量部未満では、安定剤を配合することによる効果が充分に発揮されない場合があり、一方、上記含有量が5.0重量部を超えると、安定剤がブルーム(噴き出し)したりすることがあるからである。
また、上記紫外線吸収材を含有する場合、その含有量は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、0.3〜2.0重量部が好ましい。上記含有量が0.3重量部未満では、あまり効果がなく、一方、上記含有量が2.0重量部を超えると、基材フィルムの表面にブリードするおそれがあるからである。
上記塩化ビニル樹脂層10の厚さは、40〜130μmであることが好ましい。上記厚さが40μm未満では、塩化ビニル樹脂層10のインクの吸収力が不充分となり、印刷時の発色性(意匠の鮮明性)が低下するおそれがある。また、本発明の印刷用フィルムが柔軟になり過ぎて施工性が低下するおそれや、耐候性が低下するおそれがある。一方、上記厚さが130μmを超えると、本発明の印刷用フィルムの下地材への追従性が低下するおそれや、柔軟性が低下して風合いが硬くなるおそれがある。
上記塩化ビニル樹脂層10の少なくとも一方の面には、必要に応じて、エンボス加工等の表面加工が施されていてもよい。
[粘着剤層]
上記粘着剤層20は、発泡構造を有し、貼り合わせ面における接触面積率が50〜83%に調整されたものである。本発明の印刷用フィルムの貼り付け対象である被着体への貼り合わせ面における接触面積率が50〜83%の範囲となるように発泡量が調整された発泡構造が形成されることによって、本発明の印刷用フィルムは、被着体に貼り付けた状態のままで、被着体との間に噛み込んだ気泡を、スキージー等の治具を用いて押し出すことによって除去することが可能であり、良好な施工性(エア抜け性)が得られる。接触面積率が50%未満であると、粘着剤層20形成時の発泡によって粘着剤層20の硬化が不充分となり、被着体に対する糊残りが発生してしまう。また、粘着剤層20に圧力が加わった際に発泡が潰れやすくなる。上記接触面積率が83%を超えると、発泡が不充分であるため、気泡を適切に除去できなくなる。なお、上記接触面積率を測定する際には、まず、質量2kgの圧着ローラーを1往復させて加圧することによってアクリル板に粘着剤層20を貼り付ける。次に、倍率50倍のビデオマイクロスコープを用いてアクリル板と粘着剤層の接触状態を確認し、0.05mm以上の大きさの気泡21が存在する領域を非接触領域とし、その他の領域を接触領域とし、それぞれの面積を求める。そして、非接触領域の面積と接触領域の面積の和に対する接触領域の面積の比率として算出された値が上記接触面積率に相当する。
粘着剤層20に形成される気泡21の大きさは特に限定されず、各気泡21の大きさが互いに異なっていてもよい。気泡21の大きさの好適な範囲は、0.1mm(直径の下限)〜0.7mm(直径の上限)であり、50mm角の範囲で確認したときに、40%以上の数の気泡が、上記好適な範囲内の大きさであることが好ましい。
発泡構造を有する粘着剤層20は、例えば、粘着剤、発泡剤(通気剤)、架橋剤(硬化剤)等を含有する粘着剤組成物を支持体上に塗工して塗膜を形成した後、該塗膜を加熱乾燥することによって発泡させつつ硬化させる方法によって形成できる。また、貼り合わせ面における接触面積率は、発泡剤の添加量と加熱乾燥に用いる炉内の温度とを調整することにより所望の範囲内に制御でき、その他に、発泡剤の種類、架橋剤の種類及び量、粘着剤組成物の塗工量等の他の条件によっても調整できる。
上記粘着剤としては、感圧接着性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤等が挙げられる。なかでも、粘着性、加工性、耐熱老化性、耐湿老化性、耐候性に優れるとともに、比較的安価である点から、アクリル系粘着剤が好ましい。
上記アクリル系粘着剤は、アクリル系重合体を含む粘着剤である。上記アクリル系重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体又はその共重合体等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アルキル基の炭素数が2〜18、好ましくは4〜12の第一級〜第三級アルコールと、アクリル酸又はメタクリル酸とから得られるエステル等が挙げられる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記共重合体の合成に用いられる共重合性単量体としては、共重合反応に関与する不飽和二重結合を分子内に少なくとも1個有するとともに、カルボキシル基〔例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等〕、ヒドロキシル基〔例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル等〕、スルホキシル基〔例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸スルホプロピルエステル、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸等〕、アミノ基〔例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルアミノエチルエステル等〕、アミド基〔例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等〕、アルコキシル基〔例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシジエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル等〕等の官能基を側鎖に有する単量体を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
その他の共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニル−2−ピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクタム、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを40重量%以上の割合で重合した重合体が好ましい。特に、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル50〜98重量%と、1種又は2種以上の共重合性単量体2〜50重量%を共重合して得られる共重合体が好ましい。
上記アクリル系粘着剤の重量平均分子量は、60万〜100万であることが好ましい。上記重量平均分子量が60万〜100万の範囲内であると、充分な粘着力を発現することができるともに、寸法安定性にも優れる点で有利である。これに対して、上記重量平均分子量が60万未満では、溶剤インクの影響により寸法が変化してしまうことがあり、一方、上記重量平均分子量が100万を超えると、濡れ性低下によって、所望の粘着力を発現することが難しいことがある。上記アクリル系粘着剤の重量平均分子量は、70万〜90万であることがより好ましい。
上記アクリル系粘着剤の重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)測定によるポリスチレン換算の測定値である。なお、測定条件は以下の通りである。
装置名:HLC−8120(東ソー社製)
カラム:G7000HXL 7.8mmID×30cm 1本 GMHXL 7.8mmID×30cm 2本 G2500HXL 7.8mmID×30cm 1本(東ソー社製)
サンプル濃度:1.5mg/mlになるようにテトラヒドロフランで希釈
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1.0ml/min
カラム温度:40℃
上記発泡剤(通気剤)としては特に限定されず、公知の発泡剤を用いることができる。硬化剤としてイソシアネート基を含有する化合物を用いる場合には、上記発泡剤として、水が好適に用いられる。水と硬化剤中のイソシアネート基とが反応することにより二酸化炭素ガスが生成し、該二酸化炭素ガスを発泡に利用することができる。硬化剤中のイソシアネート基にブロック剤を結合させることにより、発泡を生じる温度を調整することが可能であり、例えば、110〜130℃程度に調整すれば、上記粘着剤組成物の取扱い性を確保しつつ、発泡のタイミングを適切に制御することができる。
上記発泡剤として水を用いる場合には、上記粘着剤組成物に吸水性高分子化合物を添加することが好ましい。上記吸水性高分子化合物に水を保持させることにより、発泡のタイミングを適切に制御することができる。吸水性高分子化合物に吸水させてあらかじめ均一に分散させておくことにより、発泡孔は均一に形成され、かつ、互いに連通する傾向にあり、粘着剤層20のエア抜け性を向上させることができる。
上記吸水性高分子化合物としては、自重の倍から数百倍近い水を吸収して膨潤し、しかも溶解しないものであれば特に限定されず、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等のセルロースエステル、ポリアミド、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレングリコール又はポリエチレングリコールは、比較的安価であり、発泡性能及び安全性に優れている。
上記吸水性高分子化合物の含有量(乾燥時重量換算)は、上記粘着剤層20の固形分100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましい。上記含有量が0.1重量部未満では、充分な吸水性能が得られない場合がある。上記含有量が20重量部を超えると、粘着剤層20中に占める粘着剤の割合が相対的に少なくなり、充分な粘着力を確保できなくなるおそれがある。上記吸水性高分子化合物の含有量は、上記粘着剤層20の固形分100重量部に対して、0.1〜10重量部がより好ましい。
上記架橋剤(硬化剤)は、粘着剤中の官能基と化学反応又は相互作用をして架橋させる化合物であり、上述したように、発泡剤と反応させて発泡に用いられてもよい。上記架橋剤としては、イソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤等の公知の架橋剤を用いることができるが、なかでも、イソシアネート系硬化剤が好適に用いられる。なお、上記架橋剤は、ブロック剤が反応基に結合したものであってもよい。これにより、発泡を生じる温度を調整することが可能であり、例えば、110〜130℃程度に調整すれば、上記粘着剤組成物の取扱い性を確保しつつ、発泡のタイミングを適切に制御することができる。
上記イソシアネート系硬化剤はイソシアネート基を有する化合物であり、その具体例としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネート等の分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物;それらをトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと付加反応させた化合物や、それらをポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等と付加反応させたウレタンプレポリマー型の分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物等が挙げられる。
なかでも、分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物を多価アルコールと付加反応させた化合物が好ましく、トリレンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネートを多価アルコールと付加反応させた化合物がより好ましい。
上記エポキシ系硬化剤はエポキシ基を有する化合物であり、その具体例としては、例えば、ビスフェノールAエピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N′−ジアミングリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等の分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物が挙げられる。
上記架橋剤を含有させる場合、その含有量は、上記粘着剤100重量部(固形分)に対して0.05〜10重量部であることが好ましい。上記含有量が0.05重量部未満であると、架橋密度が低く、粘着剤層20の凝集力が不充分で、糊残りが発生することがある。上記含有量が10重量部を超えると、粘着力が低下するおそれがある。上記含有量は、0.1〜3重量部であることがより好ましい。なお、イソシアネート系硬化剤とエポキシ系硬化剤の両方が使用される場合、上記含有量は、イソシアネート系硬化剤とエポキシ系硬化剤の合計量を意味する。
上記粘着剤組成物は、更に、触媒を含有してもよい。触媒としては、上記架橋剤の反応に用いられる触媒が挙げられ、例えば、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫、ジラウリル酸ジメチル錫、ジブチル錫オキシド、オクタン錫等の有機錫化合物;有機チタン化合物;有機ジルコニウム化合物;カルボン酸錫塩;カルボン酸ビスマス塩;トリエチレンジアミン等のアミン系触媒が挙げられる。
上記粘着剤組成物は、更に、疎水性有機溶剤等の溶剤を含有してもよい。上記疎水性有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、鉱油、石油エーテル等が挙げられる。上記粘着剤組成物が、発泡剤である水で膨潤した吸水性高分子化合物を含有するものである場合、粘着剤組成物を支持体等に塗布した後、乾燥処理を行うと、吸水性高分子化合物に吸収されていた水が溶剤よりも遅れて蒸発することを利用して、粘着剤層20中に多数の微細な発泡孔を形成することができる。
上記粘着剤組成物は、更に、無機フィラーを含有してもよい。上記無機フィラーを配合することにより、隠蔽性を付与することができ、本発明の印刷用フィルムを石膏ボード等の下地材に上記粘着剤層20を介して貼り付けた際に、下地材を隠蔽し、印刷を視認した際の鮮明性を向上することができる。
上記無機フィラーとしては、例えば、酸化チタン、カオリン、ベントナイト、炭酸カルシウム、タルク、カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン・酸化アンチモン・酸化ニッケル固溶体、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。なかでも、酸化チタンが好ましい。白色で隠蔽性に優れ、印刷層を鮮明に視認することができるようになるからである。
上記無機フィラーの含有量は、上記粘着剤100重量部に対して、3〜30重量部が好ましい。上記含有量が3重量部未満では、粘着剤層20に充分な隠蔽性を付与することができない場合があり、一方、上記含有量が30重量部を超えると、粘着剤層20の粘着性が不充分になる場合がある。
上記無機フィラーの平均粒子径は、0.05〜5μmが好ましい。上記平均粒子径が0.05μm未満では分散性に乏しい場合があり、一方、上記平均粒子径が5μmを超えると、隠蔽性や粘着力が低下するおそれがある。ここで、無機フィラーの平均粒子径とは、メジアン粒子径(50%体積粒子径)である。
また、上記粘着剤組成物には、本発明の印刷用フィルムに要求される特性を阻害しない範囲で、必要に応じて、安定剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、粘着付与剤、染料、顔料等の各種添加剤が添加されていてもよい。
上記粘着剤組成物の塗工量は、10〜90g/m(乾燥時重量換算)である。言い換えれば、上記粘着剤組成物を乾燥させた上記粘着剤層の塗工量が10〜90g/mである。上記塗工量が10〜90g/mの範囲に調整されることによって、粘着剤層20の粘着力を確保しつつ、発泡量を適切な範囲に制御することができる。また、粘着剤層20は発泡構造を有するため比較的柔らかく、塗工量を上記範囲内に制御すれば、被着体表面の凹凸又は曲面に対する追従性を得ることもできる。よって、本発明の印刷用フィルムを壁装材として用いる場合には、貼り付け済みの壁紙又は壁材上に直接貼り付けて用いることも可能である。上記塗工量が10g/m未満では、粘着力が不充分なことや、粘着剤層20の発泡が不充分となり上記接触面積率が大きくなり過ぎることがある。上記塗工量が90g/mを超えると、粘着剤層20が過度に発泡することで凝集力が低下し、糊残りが発生しやすくなる。上記塗工量の好ましい下限は50g/mである。上記塗工量が50g/m以上であると、被着体の表面に対する充分な追従性が得られる。上記塗工量の好ましい上限は70g/mである。
上記粘着剤層20の厚さは、10〜60μmが好ましい。上記厚さが10μm未満では、充分な粘着性を得ることができない場合があり、上記厚さが60μmを超えると、粘着性がさほど向上しない。上記粘着剤層20のより好ましい厚さは、20〜40μmである。
[印刷層]
本発明の印刷用フィルムは、塩化ビニル樹脂層10の少なくとも一方の面上に、印刷層を有していてもよい。印刷層は、塩化ビニル樹脂層10の表面全体を覆うものであってもよく、部分的に覆うものであってもよい。例えば、印刷層が、任意の図柄や情報等に対応する平面形状である場合には、印刷層が塩化ビニル樹脂層10の表面を部分的に覆うことになる。
上記印刷層を形成するための印刷方法は特に限定されないが、インクジェット印刷が好ましく、溶剤系インクが好適に用いられる。溶剤系インクは塩化ビニル樹脂層10に染み込んだ状態で塩化ビニル樹脂層10の表面に定着し印刷層となる。溶剤系インクを用いた場合には、本発明の印刷用フィルムがインク受容層を備えなくても塩化ビニル樹脂層10に直接印刷することができ、更には印刷層が短時間で塩化ビニル樹脂層10上に定着するため、作業性にも優れることとなる。
上記溶剤系インクとしては、従来公知の溶剤系インクを使用することができ、例えば、溶剤、顔料、ビヒクル等を含有するものが挙げられる。
上記溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤;低沸点芳香族ナフサ;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
上記顔料としては、例えば、カーボンブラック(ブラック)、銅フタロシアニン(シアン)、ジメチルキナクリドン(マゼンタ)、ピグメント・イエロー(イエロー)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ニッケル化合物等が挙げられる。
上記ビヒクルとしては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂、アクリル−酢酸ビニル共重合系樹脂等のビニル系樹脂;アクリル系樹脂等が挙げられる。
上記溶剤系インクの具体例としては、例えば、SS21インク、ES3インク(共にMimaki社製)、Eco Sol MAX(Roland社製)等が挙げられる。
[セパレーター]
本発明の印刷用フィルムは、粘着剤層20の表面(塩化ビニル樹脂層10と接しない側の面)上にセパレーター30を有していてもよい。セパレーター30を設けることにより、本発明の印刷用フィルムの製造、運搬、保存中に粘着剤層20が露出しないようにして、粘着剤層20の劣化防止や、本発明の印刷用フィルムの取扱い性向上が可能となる。セパレーター30は、被着体への貼付の直前に剥離すればよい。
上記セパレーター30としては特に限定されないが、粘着剤層20を損傷することなく容易に剥離できるものが好適であり、例えば、粘着剤層20と接触する面にシリコーン樹脂、フッ素樹脂等を塗布することによって剥離処理が施されたポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の樹脂フィルム;上質紙、グラシン紙等の紙;紙と被覆層との積層フィルム等が挙げられる。セパレーター30の厚さは、12〜200μmであることが好ましく、50〜150μmであることがより好ましい。
図3は、セパレーターを備えた本発明の印刷用フィルムの一例を模式的に示した断面図である。図3に示したように、セパレーター30は、紙31の両面を被覆層32で被覆した積層フィルムであってもよい。被覆層32の材質としては特に限定ないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂が好ましい。また、被覆層32は、クレー材等の無機材料を含有する層、例えば、クレー材(カオリン)、炭酸カルシウム等の白色顔料と、デンプン等の接着剤(バインダー)とを混合して作製されたクレー層であってもよい。粘着剤層20を発泡させるために加熱する場合には、本発明の印刷用フィルムに反り等の変形が生じることを防止する観点から、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、クレー材等の高耐熱性の材料が好適に用いられる。被覆層32の厚さは、5〜40μmであることが好ましく、10〜25μmであることがより好ましい。なお、被覆層32は、紙31の一方の面のみに設けられていてもよい。
[印刷面保護フィルム]
本発明の印刷用フィルムは、印刷層の表面(塩化ビニル樹脂層10と接しない側の面)上に貼り付けられた印刷面保護フィルム(以下、「オーバーラミネート用フィルム」ともいう)を有していてもよい。
図4は、オーバーラミネート用フィルムを備えた本発明の印刷用フィルムの一例を模式的に示した断面図である。オーバーラミネート用フィルム50は、印刷層40の表面(印刷面)上にラミネートすることによって印刷面を保護するフィルムである。オーバーラミネート用フィルム50は、塩化ビニル樹脂層51と粘着剤層52を含み、粘着剤層52を印刷面に貼付、積層して使用される。
上記塩化ビニル樹脂層51は、上述した塩化ビニル樹脂層10と同様のものを用いることができる。塩化ビニル樹脂層51の好ましい例としては、平均重合度700〜1300の塩化ビニル樹脂及び数平均分子量380〜3000の可塑剤を特定量配合したものが挙げられる。
上記可塑剤としては、上記塩化ビニル樹脂と相溶性を有するものであれば特に限定されないが、優れた粘着物性が得られる点から、脂肪族二塩基酸のポリアルキレングリコールジエステルを使用することが好ましく、アジピン酸のポリアルキレングリコールジエステルを使用することがより好ましい。
上記可塑剤の含有量は、上記塩化ビニル樹脂100質量部に対して15〜40質量部であることが好ましい。上記可塑剤の含有量が上記範囲内であれば、オーバーラミネート加工後において、溶剤の浸透によるフィルム50の軟化、粘着剤層52の凝集力の低下(粘着力低下)を抑制することができる。上記含有量が15質量部未満であると、被着体への貼り合わせ時に、折れシワが残ったり、曲面形状への追従性が悪いために施工性が悪くなるおそれがある。上記含有量が40質量部を超えると、オーバーラミネート加工後において、フィルム50の軟化、粘着剤層52の凝集力の低下(粘着力の低下)が生じるおそれがある。
上記塩化ビニル樹脂層51は、必要に応じて、上述した安定剤、紫外線吸収材、着色剤、発泡剤、滑剤、改質剤、充填剤、希釈剤等の添加剤を含有してもよい。
上記塩化ビニル樹脂層51の厚さは、40〜160μmであることが好ましい。上記厚さが40μm未満であると、引張特性が不充分となるおそれがある。上記厚さが160μmを超えると、フィルム50の柔軟性が低下するおそれがある。上記厚さは50〜100μmであることがより好ましい。
上記粘着剤層52は、感圧接着性を有するものであれば特に限定されず、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤等の従来公知の粘着剤によって形成できる。なかでも、アクリル系粘着剤が好適に用いられる。
上記粘着剤層52の厚さは、20〜60μmであることが好ましい。上記厚さが20μm未満であると、凝集力が不足するために粘着力が不充分となるおそれがある。上記厚さが60μmを超えると、粘着力が高くなりすぎたり、剥がすときに粘着剤層52の凝集破壊が生じるおそれがある。上記厚さは20〜40μmであることがより好ましい。
上記オーバーラミネート用フィルム50は、JIS K 7105に準拠する全光線透過率が80%以上であることが好ましい。このような特性を有する場合、印刷用フィルムに印刷された意匠を充分に視認することができる。上記全光線透過率が80%未満であると、意匠性が損なわれるおそれがある。塩化ビニル樹脂層51に添加する顔料成分の量を0.5質量%以下とすること等によって80%以上の全光線透過率を得ることができる。上記全光線透過率は、90%以上であることがより好ましい。
本発明の印刷用フィルムには、塩化ビニル樹脂層10、粘着剤層20、セパレーター30、印刷層40及びオーバーラミネート用フィルム50以外に、例えば、プライマー層等の他の層が設けられていてもよい。
本発明の印刷用フィルムは、従来公知の製造方法を利用して製造することができる。基材フィルムとなる塩化ビニル樹脂層10は、例えば、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の従来公知の成形法によって作製することができる。上記カレンダー成形に用いられるカレンダー形式としては、例えば、逆L型、Z型、直立2本型、L型、傾斜3本型等が挙げられる。
塩化ビニル樹脂層10に印刷する方法は特に限定されず、例えば、直接グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、静電印刷、インクジェット印刷等の従来公知の印刷方法を用いることができる。なかでも、インクジェット印刷が好ましく、溶剤系インクを用いたインクジェット印刷が特に好ましい。
粘着剤層20の形成する方法は特に限定されず、例えば、セパレーター30上に直接バーコーター等を用いて、上記粘着剤組成物を塗工し、乾燥させる方法等の従来公知の方法を用いることができる。
その後、セパレーター30上に形成された粘着剤層20と、塩化ビニル樹脂層10とを貼り合わせた後、必要に応じて、裁断、ロール状に巻き取る等の工程を行うことによって本発明の印刷用フィルムが製造される。
本発明の印刷用フィルムの用途は特に限定されず、例えば、屋内外の看板、壁装材に貼り付けて用いられる。本発明の印刷用フィルムの特に好適な使用方法としては、壁紙の上に直接貼り付けるものが挙げられる。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本明細書において、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を意味する。
(実施例1)
まず、平均重合度1050の塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、可塑剤を20重量部添加し、PVC(ポリ塩化ビニル)コンパウンドを得た。得られたPVCコンパウンドを、ブレンダーで15分間攪拌した後、逆L字型カレンダーにて厚さ80μmのシート状に成形し、基材フィルム(塩化ビニル樹脂層)を作製した。基材フィルムの厚さは、80μmであった。
次に、シリコン処理層、第一のクレー層、紙層及び第二のクレー層が順に積層された厚さ130μmの紙セパレーター(リンテック社製、商品名「EV130R」)のシリコン処理層上に、コンマバーコーターにて粘着剤混合溶液を塗工し、塗膜を形成した。なお、第一及び第二のクレー層は、クレー(カオリン)、炭酸カルシウム等の白色顔料と、デンプン等の接着剤(バインダー)とを混合して作製されたものである。粘着剤混合溶液は、主剤のアクリル系粘着剤(ビッグテクノス社製、商品名「AR2317」)に、通気剤(ビッグテクノス社製、商品名「AR739M」)及び硬化剤(ビッグテクノス社製、商品名「HD−739D」)を添加したものであった。通気剤としては、吸水性高分子(ポリアクリル酸ナトリウム)1%、ポリプロピレングリコール1%及び水98%を含有するものを用いた。硬化剤としては、常温での反応を抑制するためのブロック剤を結合させたイソシアネート基を有する変性イソシアネート系硬化剤を用いた。粘着剤混合溶液の塗工量は、加熱乾燥後に得られる粘着剤層の重量が60g/mになるように調整した。
上記塗膜を乾燥炉にて110℃で1分間、加熱乾燥することによって、塗膜中の溶剤を除去しつつ、水とイソシアネート基との反応によって生じる二酸化炭素ガスを利用して塗膜を発泡させ、発泡構造を有する粘着剤層を得た。
次に、粘着剤層を介して紙セパレーターと基材フィルムとを貼り合わせ、紙セパレーター上に形成された粘着剤層を基材フィルム側に転写した。そして、紙セパレーター、粘着剤層及び基材フィルムからなる積層体を巻き取り、両耳部分を切断して除去した。これにより、20m巻のロールとして、実施例1のセパレーター付き印刷用フィルムを得た。
(実施例2〜5及び比較例1〜6)
下記表1に示したように粘着剤混合溶液の配合及び塗工量(乾燥状態)を変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜5及び比較例1〜6のセパレーター付き印刷用フィルムをそれぞれ作製した。
(評価試験1)
実施例及び比較例で作製したセパレーター付き印刷用フィルムについて、下記の方法により、(1)接触面積率、(2)粘着力、(3)糊残り、(4)発泡の潰れにくさ、及び、(5)エア抜け性を評価した。その結果を下記表1に示した。
(1)接触面積率
セパレーター付き印刷用フィルムを50mm角に断裁後、紙セパレーターを剥がして粘着剤層が露出した印刷用フィルムとした。そして、印刷用フィルムの粘着剤層側の面を透明アクリル板に接触させつつ、質量2kgの圧着ローラーを基材フィルム上で1往復させて加圧することにより、透明アクリル板に印刷用フィルムを貼り付けた。透明アクリル板の裏面側(印刷用フィルムが貼り付けられていない側)から、倍率50倍のビデオマイクロスコープにより、アクリル板と粘着剤層の非接触部分の面積を測定し、その結果を用いて、アクリル板に対する粘着剤層の接触面積Sを算出し、以下の式により接触面積率を算出した。
接触面積率(%)=S/2500×100
(2)粘着力
JIS Z0237に準じて測定した。具体的には、セパレーター付き印刷用フィルムを幅25mm×長さ150mmに断裁後、紙セパレーターを剥がして粘着剤層が露出した印刷用フィルムとした。そして、印刷用フィルムの粘着剤層側の面をアルミ板に接触させつつ、質量2kgの圧着ローラーを基材フィルム上で1往復させて加圧することにより、アルミ板に印刷用フィルムを貼り付けた。それから、温度23℃、相対湿度50%の条件で24時間放置した後、引張速度300mm/min、引張角度180°の条件でアルミ板から印刷用フィルムを引き剥がしたときの粘着力(単位:N/25mm)を測定した。粘着力の測定は、実施例及び比較例の各々について2回ずつ行い、得られた2つの測定値の平均を各実施例及び比較例の粘着力とした。
○:10〜26N/25mm
×:26N/25mmよりも大、又は、10N/25mm未満
(3)糊残り
上記方法で粘着力を測定した後のアルミ板を目視で確認し、以下の基準で評価した。
○:糊残りなし(粘着剤層とアルミ板の間で界面剥離)
△:糊残りが貼り付け部分の一部に発生(粘着剤層の凝集破壊又は基材フィルムと粘着剤層の間の界面剥離が部分的に発生)
×:糊残りが貼り付け部分の全面に発生(粘着剤層の凝集破壊又は基材フィルムと粘着剤層の間で界面剥離が全面に発生)
(4)発泡の潰れにくさ
セパレーター付き印刷用フィルムを100mm角に断裁後、5.0kgの荷重をかけた状態で、23℃で1週間放置した。放置後のセパレーター付き印刷用フィルムから紙セパレーターを剥がし、露出させた粘着剤層の発泡状態を目視で評価した。
○:発泡の潰れなし
×:発泡の潰れあり
(5)エア抜け性
セパレーター付き印刷用フィルムを100mm角に断裁後、紙セパレーターを剥がして粘着剤層が露出した印刷用フィルムとした。そして、中心に5mmの切り込みの入った直線状のスキージーを縦横に移動させることによって、印刷用フィルムの粘着剤層側の面をアルミ板に圧着した。以上のようにして、アルミ板と粘着剤層の間に5mmのエア(気泡)が存在した状態で、アルミ板と印刷用フィルムとが貼り合わされた試験片を準備した。各試験片について、切り込みのない直線状のスキージーで試験体の表面を擦ることによってエアの除去を試みた。エアの除去作業後のエアの残り方を目視で確認し、以下の基準で評価した。
○:エア残りなし(充分にエア抜け)
△:部分的にエア残り(エア抜けが不充分)
×:全面でエア残り(エア抜けなし)
Figure 2017052168
表1から分かるように、実施例1〜5の印刷用フィルムは、接触面積率が50〜83%の範囲内に制御されていた。その結果、実施例2〜5の印刷用フィルムは、粘着力、糊残り、発泡の潰れにくさ及びエア抜け性のいずれについても良好な結果であった。但し、硬化剤の配合量が少ない実施例1の印刷用フィルムは、糊残りが貼り付け部分の一部に発生し、ロールの巻き芯部分で発泡の潰れも見られた。
一方、比較例1の印刷用フィルムは、粘着剤混合溶液の塗工量を減らしたことに起因して、接触面積率が上記範囲の上限よりも高く、粘着剤層の発泡が不充分であったため、エア抜け性において劣っていた。また、比較例1の印刷用フィルムは、粘着剤層が薄いため、粘着力が不充分であった。比較例2及び3の印刷用フィルムは、通気剤の配合量を減らしたことに起因して、接触面積率が上記範囲の上限よりも大幅に高く、粘着剤層の発泡が不充分であったため、エア抜けさせることができなかった。比較例4の印刷用フィルムは、通気剤の配合量を増やしたことに起因して、接触面積率が上記範囲の下限よりも低く、粘着剤層が過度に発泡していたため、粘着剤層の凝集力が低く、糊残りが顕著に発生し、発泡の潰れも見られた。比較例5の印刷用フィルムは、粘着剤混合溶液の塗工量を大幅に減らしたことに起因して、接触面積率が上記範囲の上限よりも大幅に高く、粘着剤層の発泡が不充分であったため、エア抜け性において劣っていた。また、比較例5の印刷用フィルムは、粘着剤層が薄いため、粘着力が不充分であった。比較例6の印刷用フィルムは、粘着剤混合溶液の塗工量を大幅に増やしたことに起因して塗工後の溶液中に含まれる気泡の総量が増加し、粘着剤層の内部に気泡が多く表れた。その結果、粘着剤層中の空隙が多く、粘着剤層の凝集力が低下したため、糊残りが顕著に発生した。
(評価試験2)
紙セパレーター(離型紙)の耐熱温度を評価するため、被覆層の材質が異なる下記(A)〜(C)の紙セパレーターをギアオーブン内に吊るし、140℃、5分間の条件で加熱した。加熱完了後、紙セパレーター表面における膨れ発生の有無を目視で確認した。
(A)クレーコート紙セパレーター(リンテック社製、商品名「EV130R」)
(B)ポリプロピレンコート紙セパレーター(王子エフテックス社製、商品名「110EPS(PP)」)
(C)ポリエチレンコート紙セパレーター
確認の結果、(A)クレーコート紙セパレーター及び(B)ポリプロピレンコート紙セパレーターの表面には膨れが発生していなっかった。一方、(C)ポリエチレンコート紙セパレーターの表面には膨れが発生していた。以上のことから、(C)ポリエチレンコート紙セパレーターよりも(A)クレーコート紙セパレーター及び(B)ポリプロピレンコート紙セパレーターの方が耐熱性に優れていることが分かった。
10 塩化ビニル樹脂層
20 粘着剤層
21 気泡
30 セパレーター
31 紙
32 被覆層
40 印刷層
50 オーバーラミネート用フィルム
51 塩化ビニル樹脂層
52 粘着剤層

Claims (6)

  1. 塩化ビニル樹脂層及び粘着剤層を有する印刷用フィルムであって、
    前記粘着剤層の塗工量は、10〜90g/mであり、
    前記粘着剤層は、発泡構造を有し、貼り合わせ面における接触面積率が50〜83%であることを特徴とする印刷用フィルム。
  2. 前記粘着剤層は、吸水性高分子を含有することを特徴とする請求項1に記載の印刷用フィルム。
  3. 前記印刷用フィルムは、更に、前記塩化ビニル樹脂層の表面上に、印刷層を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷用フィルム。
  4. 前記印刷用フィルムは、更に、前記印刷層の表面上に貼り付けられた印刷面保護フィルムを有することを特徴とする請求項3に記載の印刷用フィルム。
  5. 前記印刷用フィルムは、更に、前記粘着剤層の表面上に貼り付けられたセパレーターを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに印刷用フィルム。
  6. 前記セパレーターは、紙の少なくとも一方の表面上に被覆層を設けたものであり、
    前記被覆層は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート又はクレー材を含有することを特徴とする請求項5に記載の印刷用フィルム。
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