JP2017114979A - アクリル系粘着剤組成物、粘着テープ及び粘着テープの製造方法 - Google Patents

アクリル系粘着剤組成物、粘着テープ及び粘着テープの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017114979A
JP2017114979A JP2015250120A JP2015250120A JP2017114979A JP 2017114979 A JP2017114979 A JP 2017114979A JP 2015250120 A JP2015250120 A JP 2015250120A JP 2015250120 A JP2015250120 A JP 2015250120A JP 2017114979 A JP2017114979 A JP 2017114979A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acrylic
meth
sensitive adhesive
pressure
acid ester
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015250120A
Other languages
English (en)
Inventor
容一 滝沢
Yoichi Takizawa
容一 滝沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Soken Kagaku KK
Soken Chemical and Engineering Co Ltd
Original Assignee
Soken Kagaku KK
Soken Chemical and Engineering Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Soken Kagaku KK, Soken Chemical and Engineering Co Ltd filed Critical Soken Kagaku KK
Priority to JP2015250120A priority Critical patent/JP2017114979A/ja
Publication of JP2017114979A publication Critical patent/JP2017114979A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

【課題】硬化性に優れ、表面エネルギーの低いポリオレフィン系低極性素材の被着体に対する強力な粘着性を発現するアクリル系粘着剤組成物、粘着テープ及びその製造方法を提供すること【解決手段】アクリル系粘着剤組成物は、(A)(メタ)アクリル酸エステル成分単位を有する重量平均分子量3000以上20000以下のアクリル系粘着付与樹脂であって、上記(メタ)アクリル酸エステル成分単位100重量%中に脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルから誘導される成分単位を50重量%以上含み、上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルを重合したホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上80℃以下であるアクリル系粘着付与樹脂と、(B)セバシン酸エステルと、(C)(メタ)アクリル系ポリマーと、(D)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーと、を含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、自動車、車両、船舶、航空機、建築、建材、ディスプレイやOA機器などの電子機器、機械部品などの用途に広く使用されるアクリル系粘着剤組成物、粘着テープ及び粘着テープの製造方法に関する。
ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系低極性素材に代表される表面エネルギーが低い被着体は、自動車内装材や電気機器などにおいて多用されているが、このような被着体の接着にはアクリル系粘着テープがよく用いられている。従来、このような被着体に貼り付くことが可能な粘着特性を有するアクリル系粘着テープとしては、アクリル系ポリマーを主成分として、粘着付与樹脂、いわゆるタッキファイヤーを添加することで粘着性を高めたものが知られている。
しかしながら、このような粘着付与剤の添加によるアクリル系粘着テープの粘着特性の改善は、十分なものとは言えない。例えば、一般的な粘着付与剤であるロジン系や脂肪族炭化水素C5系の粘着付与樹脂をアクリル系粘着剤組成物に添加した場合、アクリル系粘着剤組成物のバルク重合反応時に、ラジカルトラップによって重合阻害や遅延が起きる可能性がある。また、粘着付与樹脂自体による紫外線吸収が強くても、アクリル系粘着剤組成物の重合阻害や遅延を生じる可能性がある。更に、これらの粘着付与剤は、耐候性や酸化劣化耐性が十分ではないため、アクリル系ポリマーが有する優れた耐候性や酸化劣化耐性を低下させることになる。
一方、このようにアクリル系粘着剤組成物の重合阻害や遅延を生じず、アクリル系ポリマーが有する優れた耐候性や酸化劣化耐性を損なわない粘着付与樹脂として、低分子量のアクリル樹脂で、常温程度にガラス転移温度を持つ樹脂を添加したアクリル系粘着剤組成物が知られている(特許文献1)。
特開2001−49200号公報
しかしながら、近年、アクリル系粘着テープの粘着特性に対する要求は益々高まっており、アクリル系粘着剤組成物の重合阻害や遅延を生じず、かつ、アクリル系ポリマーが有する優れた耐候性や酸化劣化耐性を損なわない粘着付与樹脂を含有するアクリル系粘着剤組成物又はそれを含む粘着テープであっても、さらなる改善が望まれている。
従って、本発明は、アクリル系粘着剤組成物の重合阻害や遅延を生じず、アクリル系ポリマーが有する優れた耐候性や酸化劣化耐性を損なわない粘着付与樹脂を含有するアクリル系粘着剤組成物であって、硬化性に優れ、表面エネルギーの低いポリオレフィン系低極性素材の被着体に対する強力な粘着性を発現するアクリル系粘着剤組成物、粘着テープ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、下記のとおり、特定のアクリル系粘着付与樹脂と、セバシン酸エステルと、(メタ)アクリル系ポリマーを構成成分として含むアクリル系粘着剤組成物、粘着テープ及びその製造方法である。
(1)本発明の一実施形態に係るアクリル系粘着剤組成物は、(A)(メタ)アクリル酸エステル成分単位を有する重量平均分子量3000以上20000以下のアクリル系粘着付与樹脂であって、上記(メタ)アクリル酸エステル成分単位100重量%中に脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルから誘導される成分単位を50重量%以上含み、上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルを重合したホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上80℃以下であるアクリル系粘着付与樹脂を5重量部以上30重量部以下と、(B)セバシン酸エステルを1重量部以上20重量部以下と、(C)上記アクリル系粘着付与樹脂よりも重量平均分子量が大きい(メタ)アクリル系ポリマーと、(D)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーと、を含有することを特徴とする。
(2)本発明の他実施形態に係るアクリル系粘着剤組成物は、上記(1)記載のアクリル系粘着剤組成物であって、上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、シクロヘキシルアクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートの少なくとも一方を含むことを特徴とする。
(3)本発明の他実施形態に係るアクリル系粘着剤組成物は、上記(1)記載のアクリル系粘着剤組成物であって、上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、シクロヘキシルアクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートの少なくとも一方を含み、かつ、上記(B)成分のセバシン酸エステルは、セバシン酸ジオクチルであることを特徴とする。
(4)本発明の他実施形態に係るアクリル系粘着剤組成物は、上記(1)記載のアクリル系粘着剤組成物であって、上記アクリル系粘着剤組成物は、実質的に溶剤を含有していないことを特徴とする。
(5)本発明の他実施形態に係るアクリル系粘着剤組成物は、上記(1)記載のアクリル系粘着剤組成物であって、上記(C)成分の(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が50000以上2000000以下であり、ガラス転移温度が−85℃以上0℃以下であることを特徴とする。
(6)本発明の一実施形態に係る粘着テープは、(A)(メタ)アクリル酸エステル成分単位を有する重量平均分子量3000以上20000以下のアクリル系粘着付与樹脂であって、上記(メタ)アクリル酸エステル成分単位100重量%中に脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルから誘導される成分単位を50重量%以上含み、上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルを重合したホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上80℃以下であるアクリル系粘着付与樹脂を5重量部以上30重量部以下と、(B)セバシン酸エステルを1重量部以上20重量部以下と、(C)上記アクリル系粘着付与樹脂よりも重量平均分子量が大きい(メタ)アクリル系ポリマーと、を含有するアクリル系粘着剤組成物、及び、上記アクリル系粘着剤組成物が表面に塗布された支持体、を備えることを特徴とする。
(7)本発明の他実施形態に係る粘着テープは、上記(6)記載の粘着テープであって、上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、シクロヘキシルアクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートの少なくとも一方であることを特徴とする。
(8)本発明の他実施形態に係る粘着テープは、上記(6)記載の粘着テープであって、上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、シクロヘキシルアクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートの少なくとも一方であり、かつ、上記(B)セバシン酸エステルは、セバシン酸ジオクチルであることを特徴とする。
(9)本発明の他実施形態に係る粘着テープは、上記(6)記載の粘着テープであって、上記アクリル系粘着剤組成物は、実質的に溶剤を含有していないことを特徴とする。
(10)本発明の一実施形態に係る粘着テープの製造方法は、(A)(メタ)アクリル酸エステル成分単位を有する重量平均分子量3000以上20000以下のアクリル系粘着付与樹脂であって、上記(メタ)アクリル酸エステル成分単位100重量%中に脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルから誘導される成分単位を50重量%以上含み、上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、上記(メタ)アクリル酸エステルを重合したホモポリマーのガラス転移温度は0℃以上80℃以下であるアクリル系粘着付与樹脂を5重量部以上30重量部以下と、(B)セバシン酸エステルを1重量部以上20重量部以下と、(C)上記アクリル系粘着付与樹脂よりも重量平均分子量が大きい(メタ)アクリル系ポリマーと、(D)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーと、を含有するアクリル系粘着剤組成物を支持体表面に塗布することと、活性エネルギー線を照射することで、上記支持体表面の前記アクリル系粘着剤組成物を硬化することと、を備えることを特徴とする。
本発明のアクリル系粘着剤組成物、粘着テープ及びその製造方法は、製造工程においてアクリル系粘着剤組成物の重合阻害や遅延を生じず、アクリル系ポリマーが有する優れた耐候性や酸化劣化耐性を損なわない粘着付与樹脂を含有するものであって、硬化性に優れ、表面エネルギーの低いポリオレフィン系低極性素材の被着体に対する強力な粘着性を示すものを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る粘着テープを巻回してロール状としたものを示す図である。 図1の粘着テープの断面図である。 本発明の一実施形態に係る粘着テープの変形例を示す断面図である。
[アクリル系粘着剤組成物100]
本発明の実施形態に係るアクリル系粘着剤組成物100は、下記(A)成分から(D)成分を含有する活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物である。(A)成分としては、(メタ)アクリル酸エステル成分単位を有する重量平均分子量3000以上20000以下のアクリル系粘着付与樹脂であって、上記(メタ)アクリル酸エステル成分単位100重量%中に脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルから誘導される成分単位を50重量%以上含み、上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルを重合したホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上80℃以下であるアクリル系粘着付与樹脂を5重量部以上30重量部以下含有する。(B)成分としては、セバシン酸エステルを1重量部以上20重量部以下含有する。(C)成分として、(メタ)アクリル系ポリマーと、を含有する。(D)成分としては、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーを含有する。なお、(A)成分及び(B)成分の各含有量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計を100重量部とした際の、各成分の含有量を重量部で示したものである。
これにより、アクリル系粘着剤組成物100の重合阻害や遅延を生じず、アクリル系ポリマーが有する優れた耐候性や酸化劣化耐性を損なうことなく、硬化性に優れ、表面エネルギーの低いポリオレフィン系低極性素材の被着体に対する強力な粘着性を発現するアクリル系粘着剤組成物100を得ることができる。
なお、活性エネルギー線としては、可視光線、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線などを挙げることができるが、反応速度が速く、エネルギー線発生装置が比較的安価であるという点からは、紫外線が最も好ましい。活性エネルギー線の強度は、0.5〜50mW/cmとすることができる。
アクリル系粘着剤組成物100は、(D)成分に、液状の(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーを備える場合、(A)成分である粘着付与樹脂、(B)成分であるセバシン酸エステル及び(C)成分である(メタ)アクリル系ポリマーを(D)成分に溶解又は分散できることにより、溶剤を実質的に含有しなくてもよくなる。溶剤とは、組成物を形成する成分を溶解又は分散させるためだけの作用を有し、それ自体は重合することがない成分である。一般に、分散溶媒などの溶剤は、粘着テープなどのアクリル系粘着剤組成物100を用いた成形体から製造工程中に除去されるものである。そして、「溶剤を実質的に含まない」とは、積極的に溶剤を配合しないことをいい、例えばアクリル系モノマーを製造する際などに使用した溶剤が残留してアクリル系粘着剤組成物100に含有されることとなった溶剤などのように無溶剤型塗工重合用シロップ状組成物を製造する際に含有されてしまう溶剤まで排除するものではない。例えば、溶剤の含有量がアクリル系粘着剤組成物100中に1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下の極めて低濃度(好ましくは5000ppm以下)でしか含まれておらず、理想的には、溶剤が配合されていないことが好ましい。アクリル系粘着剤組成物100を無溶剤型とすることで、溶剤の使用及び除去や回収に要するコストを削減できると共に、溶剤によって作業環境が汚染されることを防止でき、更に、アクリル系粘着剤組成物100によって形成される粘着剤層の密度を高くすることができる。なお、上述のように、メチルメタクリレートのような(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーは、常温で液体であり、組成物を形成する他の成分を溶解あるいは分散するが、このようなモノマー成分は重合性を有することから、本発明においてはこうした成分を「溶剤」とは言わない。
(A)アクリル系粘着付与樹脂、(C)アクリル系ポリマー及び(D)アクリル系モノマーとは、(メタ)アクリル酸エステルという共通の構成単位を有するので相溶性に優れる。また、(B)セバシン酸エステルも(A)アクリル系粘着付与樹脂、(C)アクリル系ポリマー、及び、(D)アクリル系モノマーとの相溶性に優れたものである。このため、本実施形態のアクリル系粘着剤組成物100は、比較的厚く粘着剤層を形成する場合であっても均質な粘着剤層を得ることができる。
アクリル系粘着剤組成物100は、十分の厚さで支持体20や被着体に塗布することができるように、25℃における粘度が500センチポイズ以上100000センチポイズ、好ましくは800センチポイズ以上50000センチポイズ以下の範囲にあり、粘稠なシロップ状組成物を呈することが好ましい。
アクリル系粘着剤組成物100は、更に(E)重合開始剤を含んでもよい。アクリル系粘着剤組成物100は、活性エネルギー線を照射することで重合させることもできるが、(D)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーを重合開始剤で重合させることにより、粘着性を制御性良く発現できるからである。アクリル系粘着剤組成物100は、更に、(F)架橋剤及び(G)充填材の少なくとも一方を有してもよい。上記(A)成分〜(G)成分は、いずれも溶剤を含まないことが好ましい。
アクリル系粘着剤組成物100には、更に、必要に応じて(A)〜(G)以外の各種の添加剤を含有していてもよい。この添加剤としては、例えば、滑り剤、着色剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤などを挙げることができる。
[(A)アクリル系粘着付与樹脂]
本実施形態のアクリル系粘着剤組成物100は、(A)アクリル系粘着付与樹脂を含有する。本実施形態の(A)アクリル系粘着付与樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル成分単位を有する重量平均分子量3000以上20000以下のアクリル系粘着付与樹脂であって、上記(メタ)アクリル酸エステル成分単位100重量%中に脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルから誘導される成分単位を50重量%以上含み、上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルを重合したホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上80℃以下であるものを用いる。なお、本発明において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により求めた値である。
このような(A)アクリル系粘着付与樹脂を、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計を100重量部として、5重量部以上30重量部以下配合することにより、アクリル系粘着剤組成物100の重合阻害や遅延を生じず、アクリル系ポリマーが有する優れた耐候性や酸化劣化耐性を損なわずに、アクリル系粘着剤組成物100の粘着性能を向上することができる。
(A)アクリル系粘着付与樹脂は、重合性不飽和結合を有するモノマーとして、脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルを主成分として調製されたものである。すなわち、(A)アクリル系粘着付与樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル全成分単位100重量%中に脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルから誘導される成分単位を50重量%以上、好ましくは、70重量%以上、更に好ましくは90重量%以上の量で有している。そして、この脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルから誘導される成分単位を50重量%以上有するアクリル系粘着付与樹脂は、重量平均分子量3000以上20000以下であって、脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルを重合したホモポリマーのガラス転移温度は0℃以上80℃以下である。アクリル系粘着付与樹脂は、室温下で粘着性を有することが好ましいからである。これにより、アクリル系粘着付与樹脂の粘度を好適に調整することができる。
ホモポリマーを構成した際のガラス転移温度が0℃以上80℃以下である脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、シクロヘキシルアクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートを挙げることができ、シクロヘキシルアクリレート又はシクロヘキシルメタクリレートを単独で重合したホモポリマー、シクロヘキシルアクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートを組み合わせて重合した共重合体、又は、シクロヘキシルアクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートの少なくとも一方と他の単量体を重合した共重合体として、アクリル系粘着付与樹脂を形成することができる。なお、シクロヘキシルメタクリレートのホモポリマーを構成した際のガラス転移温度は約66℃である。脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルに含有される脂肪族環としては、炭素数3〜14の脂肪族環を例示することができる。
他の単量体としては、上記の脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステル以外のアクリル酸エステルや上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体から誘導される繰り返し単位を有していてもよい。
上記の脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステル以外のアクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20、好ましくは1〜4のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステルであって、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上80℃以下でない脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルを用いることができる。
また、脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピルのような(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩などの塩、エチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、プロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルのような(ポリ)アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステルのような多価(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸−2−クロロエチルのようなハロゲン化ビニル化合物、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンのようなオキサゾリン基含有重合性化合物、(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸−2−アジリジニルエチルのようなアジリジン基含有重合性化合物、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−2−エチルグリシジルエーテルのようなエポキシ基含有ビニル単量体、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコール又はポリエチレングリコールとのモノエステル、ラクトン類と(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの付加物のようなヒドロキシル基含有ビニル化合物、フッ素置換メタクリル酸アルキルエステル、フッ素置換アクリル酸アルキルエステルなどの含フッ素ビニル単量体、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸のような不飽和カルボン酸(ただし(メタ)アクリル酸を除く)、これらの塩並びにこれらの(部分)エステル化合物及び酸無水物、2−クロルエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニルのような反応性ハロゲン含有ビニル単量体、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシエチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドのようなアミド基含有ビニル単量体、ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン、2−メトキシエトキシトリメトキシシランのような有機ケイ素基含有ビニル化合物単量体、ビニル基を重合したモノマー末端にラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー類を例示することができる。このような単量体は単独であるいは組み合わせて、脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルと共重合させることができる。
(A)アクリル系粘着付与樹脂は、脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステルを部分的に重合させたシロップ状物としてもよい。こうすることで、アクリル系粘着剤組成物100の粘度を好適に調整することができる。
[(B)セバシン酸エステル]
本実施形態のアクリル系粘着剤組成物100は、(B)セバシン酸エステルを含有する。アクリル系粘着剤組成物100に、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計を100重量部として、(B)成分のセバシン酸エステルを1重量部以上20重量部以下で配合することにより、アクリル系粘着剤組成物100の重合阻害や遅延を生じず、アクリル系ポリマーが有する優れた耐候性や酸化劣化耐性を損なわずに、(A)成分及び(B)成分の相乗効果によって、表面エネルギーの低いポリオレフィン系低極性素材の被着体に対する強力な粘着性を示す粘着剤を得ることができるものである。
また、セバシン酸エステルは、アクリル系粘着剤組成物100との相溶性が高く、ベンゼン環などの活性エネルギー線吸収部位がないため、活性エネルギー線透過性に優れる。従って、(B)セバシン酸エステルを含むアクリル系粘着剤組成物100は、均質な粘着剤を得ることができ、かつ、硬化反応を円滑に行うことができる。また、ベンゼン環を含まないため、環境安全性が高く、粘着特性や製品特性に影響を与えにくい。
(B)セバシン酸エステルとしては、例えば、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジブチルオクチル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジノニル、セバシン酸ジカプリル、セバシン酸ジトリデシルなどが挙げることができる。なかでも、分子長が長く、環境安全性を高くすることができるために、(B)セバシン酸エステルとして、セバシン酸ジオクチルを用いることが好ましい。
[(C)(メタ)アクリル系ポリマー]
本実施形態のアクリル系粘着剤組成物100は、(C)(メタ)アクリル系ポリマーを含有する。(メタ)アクリル系ポリマーを所定量含有することで、アクリル系粘着剤組成物100の粘度を好適に調整することができる。(C)成分の(メタ)アクリル系ポリマーは、(D)成分の(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマー100重量部に対して、5〜200重量部でアクリル系粘着剤組成物100に配合されていることが好ましく、10〜150重量部で配合されていることが更に好ましい。上記(D)成分に対する上記(C)成分の配合量が少なすぎると、光重合反応時の発熱及び流延した組成物の収縮が大きくなり、得られるテープの粘着性能が不均質になるからであり、上記(D)成分に対する上記(C)成分の配合量が多すぎると、粘度が高くなりアクリル系粘着剤組成物100の流延が困難になるからである。
(C)成分の(メタ)アクリル系ポリマーは、室温で粘着性を有することが好ましく、(A)成分のアクリル系粘着付与樹脂よりも高い重量平均分子量(Mw)を有するものである。室温下での粘着性付与の観点から、(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が50000以上2000000以下、更に好ましくは100000以上1500000以下の高分子量であることが好ましい。重量平均分子量が50000未満であると、得られる粘着剤層の耐熱性能が著しく低下することがあり、2000000を超えると、均一な流延が困難になることがある。なお、この重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により求めた値である。また、同様の観点から、(C)成分の(メタ)アクリル系ポリマーは、ガラス転移温度(Tg)が−85℃以上0℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が0℃を超えるものは、粘着剤組成物のタックが低下し、−85℃未満のものは剥離特性が低下する場合があるからである。
(C)成分の(メタ)アクリル系ポリマーは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの少なくとも一方を主成分とする重合性不飽和結合を有するモノマーの重合によって形成される。すなわち、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの少なくとも一方から誘導される繰り返し単位((メタ)アクリル酸エステル成分単位)を、単量体換算で50重量%以上、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは90重量%以上の量で有している。(C)成分の(メタ)アクリル系ポリマーとしては、ブチルアクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸/2−ヒドロキシエチルアクリレートの共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸/2−ヒドロキシエチルアクリレートの共重合体を例示することができる。
主成分となるアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとしては、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステル、炭素数3〜14の脂環族アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステル、炭素数6〜14の芳香族アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルを用いることができる。
例えば、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルを例示することができる。また、炭素数3〜14の脂環族アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレートを例示することができ、炭素数6〜14の芳香族アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルとしては、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アリールエステルを挙げることができる。このような(メタ)アクリル酸エステルは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
(C)(メタ)アクリル系ポリマーは、上記の(メタ)アクリル酸エステル成分単位のほかに、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体から誘導される繰り返し単位を有していてもよい。このような単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピルのような(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩などの塩、エチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、プロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルのような(ポリ)アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステルのような多価(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸-2-クロロエチルのようなハロゲン化ビニル化合物、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンのようなオキサゾリン基含有重合性化合物、(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸−2−アジリジニルエチルのようなアジリジン基含有重合性化合物、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−2−エチルグリシジルエーテルのようなエポキシ基含有ビニル単量体、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコール又はポリエチレングリコールとのモノエステル、ラクトン類と(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの付加物のようなヒドロキシル基含有ビニル化合物、フッ素置換メタクリル酸アルキルエステル、フッ素置換アクリル酸アルキルエステルなどの含フッ素ビニル単量体、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸のような不飽和カルボン酸(ただし(メタ)アクリル酸を除く)、これらの塩並びにこれらの(部分)エステル化合物及び酸無水物、2−クロルエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニルのような反応性ハロゲン含有ビニル単量体、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシエチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドのようなアミド基含有ビニル単量体、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン、2−メトキシエトキシトリメトキシシランのような有機ケイ素基含有ビニル化合物単量体、ビニル基を重合したモノマー末端にラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー類を例示することができる。上記単量体は単独であるいは組み合わせて、(メタ)アクリル酸エステルと共重合させることができる。
[(D)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマー]
本実施形態のアクリル系粘着剤組成物100は、(D)成分の(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーを含む。(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーとは、(D)成分のモノマーを100重量%として、(D)成分中に(メタ)アクリル酸エステルを50重量%以上含有するものであり、好ましくは70重量%以上含有し、更に好ましくは90重量%以上含有するものである。(D)成分の(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーは、(A)成分のアクリル系粘着付与樹脂、(B)成分のセバシン酸エステル及び(C)成分の(メタ)アクリル系ポリマーを溶解若しくは分散すると共に、(D)成分の(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマー自身が重合又は共重合して、粘着剤層を形成するものである。
本実施形態のアクリル系粘着剤組成物100は、上記(C)成分の(メタ)アクリル系ポリマーを得るためのモノマーの重合反応時に未反応であった(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーを含有してもよい。すなわち、(C)成分の(メタ)アクリル系ポリマーは、所定量の(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーを重合させた部分重合物であってもよい。すなわち、(D)成分は、(C)成分を得るために用いたアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの少なくとも一方を主成分とする重合性不飽和結合を有するモノマーと同義であってもよい。
従って、(D)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの少なくとも一方を含み、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステル、炭素数3〜14の脂環属アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステル、炭素数6〜14の芳香族アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルを例示することができる。
例えば、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルを例示することができる。また、炭素数3〜14の脂環属アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレートを例示することができ、炭素数6〜14の芳香族アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルとしては、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アリールエステルを挙げることができる。このような(メタ)アクリル酸エステルは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
[(E)重合開始剤]
アクリル系粘着剤組成物100は、(E)成分の重合開始剤を含むものであってもよい。(E)成分の重合開始剤としては、光重合開始剤、熱重合開始剤などの公知の重合開始剤を用いることができる。本実施形態のアクリル系粘着剤組成物100は、紫外線などの活性エネルギー線を照射して、アクリル系粘着剤組成物100を硬化させるものであるから、重合開始剤には、光ラジカル重合開始剤及び/又は光カチオン重合開始剤を含む光重合開始剤を用いることが好ましい。
(E)成分の重合開始剤としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(例えばチバガイギー社製、商品名:ダロキュアー2959)、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン(例えばチバガイギー社製、商品名:ダロキュアー1173)、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトン(例えばチバガイギー社製、商品名:イルガキュアー651)、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン(例えばチバガイギー社製、商品名:イルガキュアー184)、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノンとベンゾフェノンの1:1共融混合物(例えばチバガイギー社製、商品名:イルガキュアー500)などのアセトフェノン系光重合開始剤;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系光重合開始剤;その他のハロゲン化ケトン、アシルフォスフィノキシド、アシルフォスファナートなどを例示することができる。
[(F)架橋剤]
アクリル系粘着剤組成物100は、(F)成分の架橋剤を含むものであってもよい。(F)成分の架橋剤としては、アクリル系粘着剤組成物100の(A)成分、(C)成分及び(D)成分が重合することにより形成される成分の間で、架橋構造を形成し得る化合物を用いることが好ましい。このような化合物としては、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、アミノ樹脂、金属キレート化合物及び多官能アクリレート化合物を例示することができる。このエポキシ化合物の例としては、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン及び1,3−ビス(N,N’−ジアミングリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどを挙げることができ、イソシアネート化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート及びこれらのトリメチロールプロパンなどのポリオールとのアダクト体を例示することができる。また、多官能アクリレートの例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートなどを例示することができる。
アクリル系粘着剤組成物100中の(F)成分の架橋剤の配合量としては、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計量100重量部に対して、0.005重量部〜5重量部配合することが好ましい。そして、(F)成分の架橋剤と反応する官能基は、(A)成分、(C)成分及び(D)成分の少なくともいずれか一つに含まれればよく、(A)成分、(C)成分及び(D)成分のすべてに含まれていてもよい。
[(G)充填材]
アクリル系粘着剤組成物100は、(G)成分の充填材を含むものであってもよい。(G)成分の充填材は、活性エネルギー線透過性を有するものであることが好ましく、無機又は有機材料からなる中空充填材及び中実充填材の少なくとも一方を含むものとすることができる。
(G)成分の充填材としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、クレー、タルク、酸化チタンなどの無機充填材、ナイロンビーズ、アクリルビーズ、シリコンビーズなどの有機充填材を例示することができる。中空充填材としては非晶質中空粒子であるガラスバルーン、天然物から合成されるシラスバルーン、結晶性成分を有するセラミックバルーン、塩化ビニリデンバルーン、アクリルバルーンなどを例示することができる。特に、中空充填材を用いた場合には、アクリル系粘着剤組成物100の体積あたりの重量を軽くすることができ、アクリル系粘着剤組成物100の粘着性を更に高めることができる。中空充填材は、アクリル系粘着剤組成物100中の樹脂量に対して25〜55体積%、好ましくは30〜50体積%程度で使用することができる。中空充填材の配合割合が25体積%に満たないと、形成される粘着剤層の弾性が低下し、低歪みにおける剪断強度が弱く、また応力分散性が悪くなり、他方、55体積%を超えると、形成される粘着剤層の伸びや引き裂き強度が低下することがあるからである。
また、充填材の形状は球状であっても、不定形であってもよい。充填材を球状粒子とした場合は、得られる粘着剤層の応力分散性能を良好にすることができる。また、表面の平滑性の低い中空粒子、例えば表面に多数の微細孔を有するシラスバルーンを使用した場合、アクリル系粘着剤組成物100の粘度を効果的に高くすることができると共に、この混合物に良好なチキソ性が付与され、塗工適性を極めて良好にすることができる。また、粒子の表面は、金属、顔料、染料、難燃剤、半導体、その他の無機・有機系材料で改質してもよい。
粒子の平均粒子径は、1μm〜100μmの範囲内にあるものを使用することが好ましく、10μm〜80μmの範囲内にあるものを使用することが更に好ましい。すなわち、アクリル系粘着剤組成物100のチキソ性は粒子の粒子径が小さいほど大きくなるが、粒子の粒子径が1μmに満たない粒子は高価であり、実用的な価値に乏しい。更に、10μm以下の粒子を配合すると、アクリル系粘着剤組成物100の粘度増加が大きく、塗布が困難になると共に、粘着テープ1の柔軟性、伸びが失われ、高弾性となって物性バランスが悪くなることがある。また、粒子の平均粒子径が100μmを超えた場合、チキソ性が得られず、別の増粘剤を添加しなければならなくなると共に、得られる粘着剤層の表面に凹凸ができ、表面平滑性が十分でなくなる。
[アクリル系粘着剤組成物100の製造方法]
本実施形態のアクリル系粘着剤組成物100の製造方法は、(A)成分のアクリル系粘着付与樹脂、(B)成分のセバシン酸エステル、及び、(C)成分の(メタ)アクリル系ポリマーをそれぞれ個別に調製して混合し、この混合物に(D)成分の(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーを添加して調製することにより得ることができる。この場合、(E)成分〜(G)成分も個別に調製して、上記混合物に混合することができる。
また、本実施形態のアクリル系粘着剤組成物100は、(C)成分の(メタ)アクリル系ポリマーを形成する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする重合性不飽和結合を有するモノマーを、固形分が10〜50重量%となるように部分重合させることで、上記(C)成分と上記(D)成分との混合物を製造することと、この混合物に上記(A)成分と上記(B)成分とを混合することと、を備える方法によっても製造することができる。このように部分重合させることにより得られた上記(C)成分と上記(D)成分との混合物は、粘稠な液体であり、実質的に溶剤を含有しないものである。この場合、(E)成分〜(G)成分も個別に調製して、上記(A)成分と上記(B)成分と共に混合物に混合することができる。
[粘着シート1]
次に、アクリル系粘着剤組成物100を用いた粘着シート1に係る実施形態を説明する。図1は本実施形態の粘着シート1の一例を示すものであり、図2は本実施形態の粘着シート1の断面を示し、図3は本実施形態の変形例に係る粘着シート1aの断面を示すものである。
粘着シート1は、支持体20の表面に、上述のアクリル系粘着剤組成物100を重合させることにより得られる粘着剤層10が設けられたものである。粘着シート1aは、粘着シート1の変形例であり、粘着剤層12,14に挟まれた芯材30を有するものである。すなわち、粘着シート1aは、支持体20の表面に、粘着剤層14と芯材30と粘着剤層12とが積層して設けられたものであり、粘着剤層12,14の少なくとも一方は、上述のアクリル系粘着剤組成物100を重合させることにより得られる粘着剤層12,14である。被着体の表面特性に応じて、粘着剤層12,14の両方をアクリル系粘着剤組成物100を重合して得られる粘着剤層とすることもできるし、粘着剤層12,14のいずれか一方のみをアクリル系粘着剤組成物100を重合することにより得られる粘着剤層とし、粘着剤層12,14の他方を別のアクリル系粘着剤組成物100以外の粘着剤組成物からなるものとすることもできる。
粘着剤層10,12,14は、厚みを0.01mm以上5.0mm以下として、比較的厚手の粘着剤層としてもよい。比較的厚手の粘着剤層10,12,14を有する粘着シート1は、接着の際や被着体の伸縮、変形や振動に伴う応力を吸収して高い接着強度を長期間維持でき、接着信頼性を高くすることができ、また、凹凸のある被着体に貼る場合、凹凸面への追隋性に優れる。粘着シート1,1aは、粘着剤層10,12,14がそれぞれ1層のみからなるものを図示したが、成分が同じ又は異なる複数の粘着剤層を粘着剤層10,12,14に更に積層したものであってもよい。
粘着剤層10及び粘着剤層12,14の少なくとも一方は、上述のように、(A)成分の(メタ)アクリル酸エステル成分単位を有する重量平均分子量3000以上20000以下のアクリル系粘着付与樹脂であって、上記(メタ)アクリル酸エステル成分単位100重量%中に脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルから誘導される成分単位を50重量%以上含み、上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルを重合したホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上80℃以下であるアクリル系粘着付与樹脂を5重量部以上30重量部以下と、(B)セバシン酸エステルを1重量部以上20重量部以下と、(C)(メタ)アクリル系ポリマーと、を含有することになる。
これにより、アクリル系ポリマーが有する優れた耐候性や酸化劣化耐性を損なわず、硬化性に優れ、従来から接着が困難な表面エネルギーの低いポリオレフィン系低極性素材の被着体に対する強力な粘着性を発現する粘着テープを得ることができる。詳細に説明すると、ポリオレフィンは、一般に粘着剤との親和性が低く、粘着剤を介してポリオレフィンと他の被着物とを接着させる場合、通常粘着剤とポリオレフィン系低極性素材との界面における接着強度が最も低くなる。この点が、ポリオレフィンが他の合成樹脂と異なる点の一つである。ところが、本発明のアクリル系粘着剤組成物100を用いて形成された粘着剤は、特定のアクリル系粘着付与樹脂とセバシン酸エステルとを配合することにより、これらの一方を単独で配合した場合や両方とも配合しない場合と比較して、こうしたポリオレフィン系低極性素材の被着体への接着強度が著しく向上する。この特定のアクリル系粘着付与樹脂及びセバシン酸エステルは、室温においては、粘着性を有していないにも拘わらず、両者を配合しない場合に比べてポリオレフィンに対する接着強度を1.5倍以上向上させることができるものである。
支持体20は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリイミドフィルム及びポリスルフォンフィルムなどの合成樹脂フィルム、アクリル発泡体やウレタン発泡体などの柔軟な起泡フォーム体、紙、金属箔、布、不織布などの可撓性部材であってもよいし、合成樹脂板・ガラス板及びステンレス板などの剛性部材であってもよい。
支持体20は、支持体20から粘着剤層10,14を容易に剥離できるように、シリコーンなどによる剥離処理が表面に施されたものを用いてもよいし、表面にコロナ処理などを施して表面エネルギーを変化させたものであってもよい。なかでも、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、耐熱性が高く、重合による自己発熱によっても熱変形することが少ない。支持体20は、特に制限はないが、通常は12μm以上500μm以下、好ましくは、25μm以上200μm以下の厚みで形成される。
芯材30としては、アクリル発泡体やウレタン発泡体などの柔軟な起泡フォーム体、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエステルフィルムやポリオレフィンフィルムなどの合成樹脂フィルム、紙、金属箔、布、不織布などの可撓性部材を例示することができる。芯材30の対向する両主面の一方又は両方には、粘着剤層12,14が設けられる。
粘着シート1及び1aは、用途に応じて、図1に示すように巻回されてロール状に形成されてもよいし、図示しない枚葉状に形成されてもよい。また、粘着シート1及び1aには、支持体20が設けられた面と対向する面に、図示しない保護シートを更に有してもよい。なお、保護シートとしては、支持体20について例示された可撓性部材や剛性部材を適用することができる。
[粘着シート1の製造方法]
次に、粘着シート1の製造方法に係る実施形態を説明する。本実施形態の粘着シート1の製造方法は、(A)(メタ)アクリル酸エステル成分単位を有する重量平均分子量3000以上20000以下のアクリル系粘着付与樹脂であって、上記(メタ)アクリル酸エステル成分単位100重量%中に脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルから誘導される成分単位を50重量%以上含み、上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、上記(メタ)アクリル酸エステルを重合したホモポリマーのガラス転移温度は0℃以上80℃以下であるアクリル系粘着付与樹脂を5重量部以上30重量部以下と、(B)セバシン酸エステルを1重量部以上20重量部以下と、(C)(メタ)アクリル系ポリマーと、(D)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーと、を含有するアクリル系粘着剤組成物100を支持体20の表面に塗布することと、活性エネルギー線を照射して、上記支持体表面の上記アクリル系粘着剤組成物100を硬化することと、を備える。
詳細に説明すると、本実施形態の粘着シート1の製造方法は、まず、前述の支持体20の表面に、アクリル系粘着剤組成物100を塗布する。このアクリル系粘着剤組成物100は、厚みが0.01mm以上5.0mm以下となるように支持体20に塗布される。アクリル系粘着剤組成物100は、例えばドクターブレード、コンマコーター、ダイコーター、リバースコーター、ロールコーターなどの塗工装置を用いて支持体20に塗布することができる。アクリル系粘着剤組成物100は、必要に応じて冷却又は加熱しながら支持体20に塗布してもよい。
こうして形成された支持体20の表面のアクリル系粘着剤組成物100を、活性エネルギー線を照射することで半硬化させて粘着剤層10を形成する。この粘着剤層10を形成する方法は、アクリル系粘着剤組成物100中に配合される(E)重合開始剤の種類によって異なる。例えば、(E)重合開始剤が熱重合開始剤の場合は、加熱により(D)成分が重合し、更に架橋剤を配合した場合には、架橋構造が形成されることで粘着剤層10が形成され、光重合開始剤の場合には、紫外線などの活性エネルギー線照射により同様に粘着剤層10が形成される。(E)重合開始剤を含まない場合には、活性エネルギー線照射により粘着剤層10が形成される。
特に本実施形態では、(E)重合開始剤としてラジカル性光重合開始剤を配合したアクリル系粘着剤組成物100を支持体20表面に塗布し、塗布層に活性エネルギー線照射を行って重合させることが好ましい。このような場合、活性エネルギー線の照射は、配合した(D)成分の(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーの残存量が2.0重量%以下、好ましくは5000ppm以下となり、実質的にこの塗工層にモノマーが残存しなくなるまで行うことができる。塗布層の厚さによっても異なるが、通常は10秒以上5分以下、好ましくは30秒以上3分以下である。また、残存モノマーを減少させるために、加熱乾燥を行ってもよい。これにより、配合した(D)成分の(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーはほぼ全量が重合し、粘着剤層10は、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーを実質的に含有しない。最後に、粘着テープ1を紙管などに巻回してロール状とするか、所定の寸法に切断して枚葉状とする工程を含んでもよい。
このようにして、(A)(メタ)アクリル酸エステル成分単位を有する重量平均分子量3000以上20000以下のアクリル系粘着付与樹脂であって、上記(メタ)アクリル酸エステル成分単位100重量%中に脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルから誘導される成分単位を50重量%以上含み、上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、上記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルを重合したホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上80℃以下であるアクリル系粘着付与樹脂を5重量部以上30重量部以下と、(B)セバシン酸エステルを1重量部以上20重量部以下と、(C)(メタ)アクリル系ポリマーと、を含有する粘着剤層10を備える粘着テープ1を製造することができる。
上述の本実施形態の粘着シート1の製造方法では、アクリル系粘着剤組成物100を少なくとも支持体20に塗布した状態でアクリル系粘着剤組成物100を硬化させたが、アクリル系粘着剤組成物100を支持体20と保護シートとの間に介在させて、密閉系で活性エネルギー線硬化させることで半固体状の粘着剤層を生成せしめることもできる。アクリル系粘着剤組成物100は硬化反応の際に温度上昇が少ないから、支持体20の熱変形あるいは熱収縮が起こりにくく、形状や寸法安定性に優れた粘着テープ1を製造することができる。支持体20と保護シートとを、活性エネルギー線透過性かつ酸素不透過性の材料から構成すると、重合禁止作用のある酸素の影響を減少させることができる。活性エネルギー線透過性かつ酸素不透過性の材料としては、ポリエチレンテレフタレートなどを例示できる。
また、支持体20の表面に、アクリル系粘着剤組成物100を塗布する工程の前にアクリル系粘着剤組成物100を脱泡処理する工程を含んでもよい。この脱泡処理は、アクリル系粘着剤組成物100を常温で減圧状態において保持することによって行われる。このように脱泡処理を行うことによって、得られる粘着シート1中に気泡が含有されなくなり、粘着剤層10の表面の平滑性が高く、密度の高い粘着剤層10を有する粘着シート1を形成することができる。
[実施例1〜6及び比較例1〜5]
(アクリル系粘着剤組成物の調製)
表1に示す配合量で下記(1)〜(7)の材料を混合して実施例1〜6と比較例1〜5のアクリル系粘着剤組成物を調製した後、シリコーンで剥離処理された100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、これらのアクリル系粘着剤組成物を0.05mmの厚さで塗布し、紫外線強度5mW/cmのブラックライトで、紫外線を3分間照射して、アクリル系粘着剤組成物を重合することで実施例1〜6と比較例1〜5のアクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層を備える粘着テープを得た。
(1)シロップ1;
2−エチルヘキシルアクリレート96重量部とβ−カルボキシエチルアクリレート4重量部とを固形分30%となるように部分重合(重量平均分子量 350000、粘度1000mPs)させたもの
(2)アクリル系粘着付与樹脂(アクリルタッキファイヤー);
アクリル系粘着付与樹脂Aa:シクロヘキシルアクリレート95重量部とメタクリル酸5重量部との共重合体(重量平均分子量5000)
アクリル系粘着付与樹脂Ab:シクロヘキシルアクリレート57重量部とイソボルニルアクリレート40重量部との共重合体(重量平均分子量3500)
アクリル系粘着付与樹脂Ac:tert−ブチルメタクリレート97重量部とメタクリル酸3重量部との共重合体(重量平均分子量5000)
(3)セバシン酸エステル
セバシン酸ジオクチル
セバシン酸ジブチル
(4)アクリル系モノマー
2−エチルヘキシルアクリレート96重量部とβ−カルボキシエチルアクリレート4重量部とを含む混合物
(5)架橋剤
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
(6)充填材
ガラスバルーン Qセル7014(ポッターズ・バロティーニ株式会社製)
(7)光重合開始剤
イルガキュアー500(チバガイギー社製)
Figure 2017114979
[ 測 定 方 法 ]
以下の(1)〜(3)の手法により、実施例1〜6と比較例1〜5のアクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層を備える粘着テープの粘着特性の測定を行った。結果を表2に示す。
(1)粘 着 力
実施例1〜6と比較例1〜5のアクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層を備える粘着テープを幅25mm×長さ150mmに切断して試験片として、片面のPETフィルムを剥離し、粘着剤塗布表面を被着体に対向させて、2kgの圧着ローラーを1往復させて圧着し、被着体に貼り付けて、23℃/65%RH条件下で静置し、貼り合わせから20分後に試験片を180°方向に300mm/minで剥離し、その粘着剤層の粘着力(N/cm)を測定した。被着体には、ステンレス板(表2中、「SUS」という。)、ポリカーボネート板(表2中、「PC」という。)及びポリプロピレン板(表2中、「PP」という。)を用いた。
(2)保持力
実施例1〜6と比較例1〜5のアクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層を備える粘着テープの試験片(幅20mm×長さ50mm)を、片面のPETフィルムを剥離し、粘着剤層を被着体に対向させて、貼付面積20mm×20mmとなるように試験片の一端を被着体に貼り付けた後、圧着ローラーで貼り付け部を1往復圧着し、23℃/65%RH条件下で静置し、試験片の他端に1kgのおもりを取り付け、1時間後のもとの位置からのズレの距離を測定した。なお、測定時間内に試験片が落下した場合は、落下までに要した時間を測定した。被着体には、ステンレス板(表2中、「SUS」という。)、ポリカーボネート板(表2中、「PC」という。)及びポリプロピレン板(表2中、「PP」という。)を用いた。1時間経過時点で落下しなかった場合を「○」、1時間以内に落下した場合を「×」とした。
(3)定荷重試験
実施例1〜6と比較例1〜5のアクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層を備える粘着テープの試験片(幅20mm×長さ50mm)を、片面のPETフィルムを剥離し、粘着剤層を被着体に対向させて、貼付面積20mm×20mmとなるように試験片の一端を被着体に貼り付けた後、圧着ローラーで貼り付け部を1往復圧着し、23℃の雰囲気中で20分間放置した後、試験片の他端に100gのおもりを取り付け、1時間後のはがれを測定した。なお、測定時間内に試験片が落下した場合は、落下までに要した時間を測定した。1時間経過時点で落下しなかった場合を「○」、1時間以内に落下した場合を「×」とした。
Figure 2017114979
この結果から、(A)成分又は(B)成分のいずれか、又は両方を有さない比較例1〜5と比較して、(A)成分及び(B)成分を有する実施例1〜6は、いずれも表面エネルギーの低いポリオレフィン系低極性素材の被着体に対する粘着力が1.5〜2倍となり、強力な粘着力を示した。成分(A)及び成分(B)の相乗効果によって、本発明のアクリル系粘着剤組成物は表面エネルギーの低いポリオレフィン系低極性素材の被着体に対して強力な粘着力を示すことが明らかになった。
1 粘着テープ
10,12,14 粘着剤層
20 支持体
30 芯材
100 アクリル系粘着剤組成物

Claims (10)

  1. (A)(メタ)アクリル酸エステル成分単位を有する重量平均分子量3000以上20000以下のアクリル系粘着付与樹脂であって、前記(メタ)アクリル酸エステル成分単位100重量%中に脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルから誘導される成分単位を50重量%以上含み、前記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、前記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルを重合したホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上80℃以下であるアクリル系粘着付与樹脂を5重量部以上30重量部以下と、
    (B)セバシン酸エステルを1重量部以上20重量部以下と、
    (C)前記アクリル系粘着付与樹脂よりも重量平均分子量が大きい(メタ)アクリル系ポリマーと、
    (D)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーと、
    を含有することを特徴とするアクリル系粘着剤組成物。
  2. 請求項1記載のアクリル系粘着剤組成物であって、
    前記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、シクロヘキシルアクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートの少なくとも一方を含むことを特徴とするアクリル系粘着剤組成物。
  3. 請求項1記載のアクリル系粘着剤組成物であって、
    前記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、シクロヘキシルアクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートの少なくとも一方を含み、かつ、前記(B)成分のセバシン酸エステルは、セバシン酸ジオクチルであることを特徴とするアクリル系粘着剤組成物。
  4. 請求項1記載のアクリル系粘着剤組成物であって、
    前記アクリル系粘着剤組成物は、実質的に溶剤を含有していないことを特徴とするアクリル系粘着剤組成物。
  5. 請求項1記載のアクリル系粘着剤組成物であって、
    前記(C)成分の(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が50000以上2000000以下であり、ガラス転移温度が−85℃以上0℃以下であることを特徴とするアクリル系粘着剤組成物。
  6. (A)(メタ)アクリル酸エステル成分単位を有する重量平均分子量3000以上20000以下のアクリル系粘着付与樹脂であって、前記(メタ)アクリル酸エステル成分単位100重量%中に脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルから誘導される成分単位を50重量%以上含み、前記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、前記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルを重合したホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上80℃以下であるアクリル系粘着付与樹脂を5重量部以上30重量部以下と、(B)セバシン酸エステルを1重量部以上20重量部以下と、(C)前記アクリル系粘着付与樹脂よりも重量平均分子量が大きい(メタ)アクリル系ポリマーと、を含有するアクリル系粘着剤組成物、及び、
    前記アクリル系粘着剤組成物が表面に塗布された支持体、
    を備えることを特徴とする粘着テープ。
  7. 請求項6記載の粘着テープであって、
    前記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、シクロヘキシルアクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートの少なくとも一方であることを特徴とする粘着テープ。
  8. 請求項6記載の粘着テープであって、
    前記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、シクロヘキシルアクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートの少なくとも一方であり、かつ、前記(B)セバシン酸エステルは、セバシン酸ジオクチルであることを特徴とする粘着テープ。
  9. 請求項6記載の粘着テープであって、
    前記アクリル系粘着剤組成物は、実質的に溶剤を含有していないことを特徴とする粘着テープ。
  10. (A)(メタ)アクリル酸エステル成分単位を有する重量平均分子量3000以上20000以下のアクリル系粘着付与樹脂であって、前記(メタ)アクリル酸エステル成分単位100重量%中に脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルから誘導される成分単位を50重量%以上含み、前記脂肪族環含有(メタ)アクリル酸エステルは、前記(メタ)アクリル酸エステルを重合したホモポリマーのガラス転移温度は0℃以上80℃以下であるアクリル系粘着付与樹脂を5重量部以上30重量部以下と、(B)セバシン酸エステルを1重量部以上20重量部以下と、(C)前記アクリル系粘着付与樹脂よりも重量平均分子量が大きい(メタ)アクリル系ポリマーと、(D)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするモノマーと、を含有するアクリル系粘着剤組成物を支持体表面に塗布することと、
    活性エネルギー線を照射することで、前記支持体表面の前記アクリル系粘着剤組成物を硬化することと、
    を備えることを特徴とする粘着テープの製造方法。
JP2015250120A 2015-12-22 2015-12-22 アクリル系粘着剤組成物、粘着テープ及び粘着テープの製造方法 Pending JP2017114979A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015250120A JP2017114979A (ja) 2015-12-22 2015-12-22 アクリル系粘着剤組成物、粘着テープ及び粘着テープの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015250120A JP2017114979A (ja) 2015-12-22 2015-12-22 アクリル系粘着剤組成物、粘着テープ及び粘着テープの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017114979A true JP2017114979A (ja) 2017-06-29

Family

ID=59234344

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015250120A Pending JP2017114979A (ja) 2015-12-22 2015-12-22 アクリル系粘着剤組成物、粘着テープ及び粘着テープの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017114979A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7040661B1 (ja) 2021-06-29 2022-03-23 東洋インキScホールディングス株式会社 粘着剤組成物及び粘着シート

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7040661B1 (ja) 2021-06-29 2022-03-23 東洋インキScホールディングス株式会社 粘着剤組成物及び粘着シート
JP2023005349A (ja) * 2021-06-29 2023-01-18 東洋インキScホールディングス株式会社 粘着剤組成物及び粘着シート

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4825992B2 (ja) アクリル系粘着剤組成物、該組成物を用いた粘着テープの製造方法および粘着テープ
EP2551102B1 (en) Self-stick foam adhesive
JP5568290B2 (ja) 粘着テープ
JP5634803B2 (ja) アクリル系粘着テープ
WO2010064358A1 (ja) 太陽電池モジュール用両面粘着テープ
JP4878423B2 (ja) アクリル系粘着テープの製造法およびアクリル系粘着テープ
JP6525961B2 (ja) アクリルフォーム粘着テープおよびこれを適用したフラットパネルディスプレイ
WO2009116504A1 (ja) アクリル系粘着剤、アクリル系粘着剤層、アクリル系粘着テープ又はシート
WO2010122943A1 (ja) 加熱膨張型再剥離性アクリル系粘着テープ又はシート
JP4145783B2 (ja) 気泡含有粘弾性組成物、及び感圧性接着テープまたはシート
JP5570706B2 (ja) アクリル系感圧接着テープ又はシート
JP2017132911A (ja) 粘着シート
JPWO2013133167A1 (ja) 粘着テープ
JP5950669B2 (ja) 粘着シート及び粘着剤組成物
JP6849533B2 (ja) 粘着シート
JP7063690B2 (ja) 粘着シート
WO2012108348A1 (ja) 粘接着剤
US20220251428A1 (en) Adhesive tape
JP2008239839A (ja) 粘着シート
JP5002777B2 (ja) アクリル系粘着テープの製法およびアクリル系粘着テープ
JP2010155973A (ja) 太陽電池モジュール用両面粘着テープ
JP2017114979A (ja) アクリル系粘着剤組成物、粘着テープ及び粘着テープの製造方法
JP6317938B2 (ja) 粘着シート
KR102518118B1 (ko) 점착 시트 및 전자 기기
JP2011046961A (ja) アクリル系粘着剤組成物、該組成物を用いた粘着テープの製造方法および粘着テープ