JP2020023156A - 壁紙シート - Google Patents
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Abstract
Description
壁に壁紙シートを貼り付けるときには、壁紙シート、又は、壁の一方又は両方の表面に澱粉糊に代表される接着材(接着剤とも呼称される)を塗工し、壁に壁紙シートの貼り付け(ラミネートとも言う)を行うことが行われている。
また、一旦貼り付けた壁紙シートを剥離して貼る位置を変更調整した上で再度貼り付けたり、又は、既に貼られている壁紙を剥離した跡に別の壁紙シートを貼り直したりすることが想定される場合には、接着材の代わりに剥離が比較的容易な粘着材(粘着剤とも呼称される)を使用することも可能である。ただし、現実には、従来の粘着材を用いて貼り付ける形態の壁紙シートは、再剥離して貼り直す等の再利用が意に反して困難であり、例えば、貼り付け時に皺が発生したり或いは貼り付け位置に誤差が生じたりして貼り付けに失敗すると、剥がした壁紙シートに変形や破れを生じる為に廃棄したり、壁に再貼り付けを試みる場合は壁表面に残留する粘着材を清掃したりする必要があった。このため、壁紙シートを貼り付けるには、特別な設備が必要であったり、熟練した職人が必要であったりして、難易度が高かった。特に、近年では、職人が不足しており、未熟連写や素人では、壁紙シートの貼り付け作業では、貼り損ないを頻発していた。
そこで、壁紙シートを利用しやすくするために、貼り付けを失敗した場合に剥がしてそのまま再度貼り付けを行える、所謂リワーク性を高めることが望まれていた。
即ち、本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
図1は、本発明による壁紙シートの実施形態を示す斜視図である。
なお、実写の図6、図7、及び図9から図13を除いて、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
本明細書において、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、本発明においては、このような使い分けには、技術的な意味は無い為、これらの文言は、適宜置き換えて使用することができるし、適宜置き換えても各請求項及び本願明細書の文言は同様に解釈することができるものとする。
また、壁紙シートの使用状態において、表側(樹脂層10側であって、図1における上側)となる側を表と呼び、その反対側(粘着層13側であって、図1における下側)を裏側と呼ぶこととする。
紙としては、公知の各種化粧紙に用いられる上質紙、薄葉紙、クラフト紙、リンター紙、パーチメント紙、グラシン紙、硫酸紙等、又はこれらの紙に硝子繊維や樹脂纖維を混抄した混抄紙、これらの紙にゴムラテックス、アクリル樹脂殿樹脂を含侵した含侵紙等を用いることができる。紙の坪量は、通常、20〜200g/m2程度の物を用いることができる。
織布、又は、不織布としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂殿樹脂、又は硝子からなる纖維を用いた織布、又は、不織布を用いることができる。織布、又は、不織布の坪量は、通常、20〜200g/m2程度の物を用いることができる。
基材層11の厚さは、20〜2000μm程度のものを用いることができる。
また、基材層11は、表現する意匠にあわせて適宜着色してもよい。ここで、着色とは、後述の如く基材層11の素材自体に色を着けて加飾することを指している。基材層11を着色することにより、加飾におけるベタ絵柄層の印刷を省略することもできる。
通常は、樹脂層10は裏面の基材層11や被着体を隠蔽する設計とされる。そのために樹脂層10にはチタン白等の隠蔽性の高い着色剤を添加して不透明且つ隠蔽性とする。但し、樹脂層10を透視して、その裏面の基材層11又は絵柄層の意匠外観を視認する必要がある場合は、樹脂層10は隠蔽性の着色剤や添加剤を含まず、裏目の意匠外観を視認するに足る透明なものとする。なお、ここで言う透明とは無色透明の他、着色透明、艷消透明も包含する。
本発明の壁紙シート1には、意匠外観を高める為に加飾(乃至加飾処理とも言う)を施す。加飾には着色加飾と形状加飾とに大別される。
着色加飾としては着色と絵柄層形成とに大別される。
着色とは、樹脂層10、基材層11等の所望の層に絵柄層を積層する事無く、着色剤を添加することによって、当該層全面に所望の色調を附与する形態である。ここで、色調とは、色相、明度、彩度、及び光沢度からなる視覚的属性を意味する。
また、所望の層の表面に所望の色調を附与するその他の形態として、所望の層の表面に真空蒸着、スパッタリング、無電解メッキ、金属箔の積層等によりアルミニウム、ニッケル、クロム、金、銀、銅、錫、真鍮等の金属薄膜を積層する形態も有る。本発明に於いては、着色の1形態として金属膜の全面への積層も包含する。
絵柄層形成とは、樹脂層10、基材層11等の所望の層の所望の面にインキ層を積層することによって、色調が(全面均一では無く)平面内に於いて変化して平面内で所望の模様を構成する形態である。絵柄層としては、図13の断面図に図示の如く、形成は平面内に於いて積層される領域が局在化している(即ち、全面被覆では無い)模様絵柄層17と平面内を全面被覆して平面内の色調が均一となったベタ絵柄層16とがある。
これら絵柄層は、後述の如き公知のインキを用いた公知の印刷法により形成する事ができる。
また、所望の面上に公知の転写印刷法により平面内で局在化した模様状の金属膜を転写したり、或いは一旦所望の面全面に金属膜を積層した後に公知の方法により不要な領域の金属膜を除去して所望の領域に局在化した模様状の金属膜を形成することにより、平面内で局在化した模様状の金属膜を形成する形態も有る。本発明に於いては、絵柄層形成の1形態として金属膜の局在化した模様状領域への積層も包含する。
形状加飾としては、壁紙シートの表面、各構成層の層間界面、或いはこれらの両面上に凹凸形状からなる凹凸模様を賦形する形態である。凹凸模様としては、前記の樹脂層10上の凹凸模様として例示の如き各種形状が適用できる。また、凹凸模様の賦形方法としては公知の各種賦形方法を適用する事ができる。通常多用される賦形方法は、所望の凹凸模様と平面視形状が同一で且つ逆凹凸のエンボス版(賦形型)を用意し、加熱軟化した樹脂層10の賦形すべき表面にエンボス版を押圧して、樹脂層10表面をエンボス版表面の凹凸形状に賦形すると共に軟化樹脂を冷却固化せしめて賦形した凹凸模様を固定し、而かる後にエンボス版を離型する方法である。
また、樹脂層10と基材層11との接着力を向上させるために、これら両層の間に公知の各種接着剤層、易接着プライマー層、又はこれらの両層を設けてもよい。
また、壁紙シート1の表面耐久性(耐擦傷性、耐摩耗性、耐汚染性等)を向上させたり、表面の光沢度を適宜に調整したりするため、壁紙シート1の表面上に、さらに、表面保護層を積層してもよい。表面保護層は、樹脂層の積層、塗膜の塗工、又は樹脂層の積層と塗膜の塗工の併用により形成することができる。
表面保護層に用いる樹脂層としては、樹脂層10として先に例示した材料及び厚みのものの中から適宜選択することができる。
適用可能な公知の印刷法としては、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、平版オフセット印刷、フレキソ印刷等の有版印刷法、或いはインキジェット印刷、各種転写印刷等の無版印刷法の中から適宜選択することができる。
インキは、樹脂バインダー中に着色剤、その他必要に応じて各種添加剤を添加してなる。
樹脂バインダーは、印刷する対象の材料と要求性能に応じて選択されるが、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキド系樹脂等が用いられる。着色剤としては、例えば、弁柄、バーミリオンレッド、カドミウムレッド、チタンイエロー、黄鉛、鉄黄、群青、紺青、コバルトブルー、緑青、鉄黒、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、アンチモン白等の無機顔料、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド、イソインドリノンイエロー、ニッケル−アゾ錯体、フタロシアニンブルー、アゾメチンアゾ系黒顔料、ペリレン系黒顔料等の有機顔料乃至染料、アルミニウム、真鍮、錫等の金属の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛、真珠貝等の貝殻等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等を1種単独で又は2種以上混合配色して用いることができる。
絵柄としては、木目柄、石目柄、布目柄、皮シボ柄、幾何学模様、文字、全面ベタ又はこれら組み合わせを、所望の意匠外観に応じて適宜選択することができる。
また、粘着層13は、弾性を備えており、複数の凹形状13aがそれぞれ微細な吸盤として作用することから、様々な壁に対して粘着力(吸着力)を発揮することができる(図2(c)参照)。
なお、各開口部の直径の平均値の求め方としては、上述した手法は、一例であって、実際の粘着層13の形態に応じて、適宜最適化することが望ましい。例えば、極端に直径が大きな開口部や、開口形状が歪んだ開口部等の特異な開口部については、平均値の演算から除外するとよい。また、直径が大きい開口部から順に3個をサンプルとせずに、直径が大きい開口部から順に3個までは除外して、それ以降の大きさの開口部について、平均値の演算のサンプルとしてもよい。また、サンプル数Nも、3個よりも多くして精度を向上してもよい。
なお、平均値を求める際のサンプル数Nの決定については、サンプル数Nに於ける平均値Dave 1(N)及びDave 2(N)の標準偏差σ(Dave 1(N))及びσ(Dave 2(N))がNの増加に対して十分に收束すると判斷される最小のサンプル数として決定すれば良い。通常の場合、3≦N≦100程度、好ましくは、10≦N≦30程度とする。
さらに、粘着層13の両面に凹形状13aを均等に設けるためには、粘着層13の層厚tは、20μm≦t≦40μmの範囲とすることが望ましい。この点については、後述する。
また、剥離性基材シート14としては、市販のものを使用してもよく、例えば、片面にシリコーン系剥離剤による易剥離処理が施されている厚さ38μmのポリエステルフィルム(三井化学東セロ株式会社製、商品名:SP−PET−01)等が挙げられる。
なお、本実施形態では、剥離性基材シート14を備える形態を例示したが、使用形態によっては、剥離性基材シート14を省略してもよい。
上述した壁紙シート1は、図2(a)に示すように、剥離性基材シート14を備えている。壁紙シート1を被着体である壁50に貼り付けるときには、剥離性基材シート14を剥離する(図2(b))。そして、露出した粘着層13を壁50に貼り付けて、その表面に適度な圧力を加えることにより、粘着層の露出面に多数存在する凹形状13aが弾性変形することにより従来のマイクロ吸盤と同様な作用によって壁50に対して吸着(粘着)することとなる(図2(c))。
即ち、凹形状13aの周囲の弾性変形によって、凹形状13aには、変形状態から元の形状に戻ろうとする力が働く。この力により、凹形状13a内の密閉空間が負圧となって、壁50への吸着作用が生じる。なお、凹形状13a単体での吸着力は、弱いものであるが、多数の凹形状13aが形成されているので、全体としては必要な吸着力を確保できる。また、粘着層13の作製時に、凹形状13aが含まれる量を、例えば、密度をパラメータとして調整すれば、粘着層13の粘着力(吸着力)を調整可能である。
尚、図50に於いては、壁紙シート1を、直接、壁50表面に貼り付ける形態を図示している。但し、本発明の壁紙シート1の使用形態は、図2の形態に限らず、例えば、図示は略すが、壁紙シート1を粘着層13を介して、一旦、適宜の板の表面に貼り付け、而かる後に該板の壁紙シート1とは反対側の面を壁50表面に設置する形態としてもよい。
此の場合の、板としては、珪酸カルシウム、石膏等の非金属無機材、アルミニウム、鉄等の金属、杉、松、檜、樫、ラワン等の木材、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等の樹脂等からなる厚さ1〜10mm程度の物を適宜選択する事ができる。また該板の壁50表面への設置手段としては、釘や螺子、接着材等適宜手段を用いることができる。
尚、図2の実施形態に於いては、基材層11上に、樹脂層10を介すること無く、直接、模様絵柄層17を積層した構成とされている。
本実施形態の壁紙シート1は、例えば図3に示すようにロール1Rの形態に巻いた形態として製造され、流通させることができる。このような形態であれば、貼り付け施工対象の壁に合せて必要所定量の壁紙シート1を図3に図示の如くロール1Rから巻き出した後、必要な大きさ及び形状にカットして用いることができる。また、流通時に折り曲がってしまうことも防止できる。なお、壁紙シート1は、ロール1Rの形態に巻いた形態に限らず、枚葉の形態としてもよい。
斯かるロール1Rは、図3の如く通常、紙管等の巻軸1Sの周囲に長方形帯状の壁紙シート1を巻き取るが、巻軸1S無しで壁紙シート1のみを巻き取る形態も可能である。ロールRに於ける壁紙シート1の長さ即ち巻メーター数は、通常、50m程度であるが、用途、貼り付け施工対象面積、施工状況等を勘案して適宜増減し得る。ロール1Rを構成する壁紙シート1は剥離性基材シート14を含む構成とする事も、或いは剥離性基材シート14を含まない構成とする事もいずれも可能であるが、巻出し時の壁紙シート1の円滑な巻出し性、及び樹脂層10表面と粘着層13との相互作用による艷等の位相外観変化の防止の為には、剥離性基材シート14を含む形態の壁紙シート1を巻き取ってロー1Rの形態とする方が好ましい。
図4は、壁紙シート1の製造装置を示す図である。
図5は、壁紙シート1の製造方法を説明する図である。
以上のように、本実施形態の壁紙シート1の製造では、樹脂層や基材層に粘着層13形成時の熱及び/又は気泡含有組成物中の溶剤等の低分子量成分によるダメージを与えることなく、壁紙シート1を効率よく製造可能である。なお、壁紙シートは、その後、ロール状に巻き取ってもよいし、必要なサイズに裁断されてもよい。
実施例の壁紙シート1では、剥離性基材シート14に離型性を備えた2軸延伸PETフィルム上に、200μmのクリアランスを有するコンマコータを用いて泡立て工程済みの気泡含有組成物130を塗布した。これを100℃の乾燥路内で1分間乾燥を行って粘着層13を形成した。一方、基材層11として米坪量80g/m2の壁紙用裏打紙を用意し、該裏打紙上に厚さ200μmのポリ塩化ビニル樹脂からなる樹脂層20を積層した。次いで、該樹脂層20表面(基材層11とは反対側面)に、樹脂バインダーが塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との1対1重量比の混合物からなり着色剤としてカーボンブラック、弁柄、及び黄鉛を配合してなる茶褐色インキにて木目模様をグラビア印刷し模様絵柄層17とした。さらに、該模様絵柄層17表面に2液硬化型ウレタン樹脂組成物をグラビアロールコートし、乾燥し、加熱硬化せしめて厚さ2μmの表面保護層18を形成して、ビニル壁紙を作成した。尚、斯かるポリ塩化ビニル樹脂層は、可塑剤としてDOP(ジオクチルフタレート)を樹脂100質量部に対して60質量部、着色剤としてチタン白、弁柄、フタロシアニンブルー、及び黄鉛を合計20質量部配合した淡黄褐色の着色隠蔽性の層とした。而かる後、作成済みの前記剥離性基材シート14付きの粘着層13上に作成済みの前記ビニル壁紙の基材層11(裏打紙)側を圧着して積層せしめた。斯くして、図13に図示の如き壁紙シート1を得た。なお、この場合の粘着層13の密度は、0.58g/cm3であり、厚さ50μmであった。
図6は、実施例の壁紙シート1の粘着層13を裏面側(粘着面側)の方向から見て拡大した写真である。
図7は、実施例の壁紙シート1の粘着層13の裏面側(粘着面側)近傍部分についてシート面に直交する方向の断面で拡大した図である。
図6及び図7に示すように、粘着層13には、多数の凹形状13aが形成されていることが確認できる。
尚、本明細書中においてシート面とは、各シートにおいて、其のシート全体として見た場合に、シートの平面方向となる面を示すものであるとする。図1においては、基材層11の表面又は裏面、或るいはこれらの面と平行な任意の面がシート面に相当する。
比較例2として、アクリル樹脂である綜研化学社製:SK2094を用いて泡立て工程無しで塗工して粘着層を作製した壁紙シート(アクリル粘着Aタイプとする)を用意した。
比較例3として、アクリル樹脂である綜研化学社製:SK1502Cを用いて泡立て工程無しで塗工して粘着層を作製した壁紙シート(アクリル粘着Bタイプとする)を用意した。
図8は、実施例及び比較例の剥離力を示す図である。
図8中の剥離力は、引っ張り試験機を用いて、引っ張り速度300mm/minで180°剥離を行って、そのときの剥離力を測定した結果である。また、剥離力の測定は、貼り付け直後(0.5時間)と、貼り付け後1000時間経過とについて行った。
比較例1は、小片であれば比較的小さな剥離力で剥離できるが、大サイズの場合は剥離にある程度の力が必要であった。また、剥離後には被着体表面に粘着層の残留が見られ、完全な再貼り付けは不可能であった。
比較例2は、大サイズの場合は剥離にある程度の力が必要であり、また、貼り付け直後であれば、剥がすことは可能であるが、1000時間経過後では、剥離力が大幅に上昇してしまっており、手作業では剥離が困難であったり、無理に剥がすと基材層11が破損したりするおそれがある状態になっていた。
比較例3は、貼り付け直後から剥離力が大きすぎて、手作業では剥離が困難であったり、無理に剥がすと基材層11が破損したりするおそれがある状態になっていた。
また、比較例2及び比較例3のいずれも、剥離後は、試験用被着体に粘着材が一部残ってしまったり、粘着力の低下があったりして、再貼り付けには適していなかった。
上述したように、本発明において、粘着層13の凹形状13aが、粘着力に大きな影響を与える。凹形状13aが粘着層13の両面に均等に設けられていないと、粘着層の一方の面が他方の面に比べて粘着力(吸着力)が低下、又は、増加してしまうおそれがある。また、凹形状13aが粘着層13の両面に均等に設けられることにより、粘着層13の物理的性質も均質になり、基材層11と剥離性基材シート、又は、基材層11と被着体との両者に対する十分な粘着力及び被着体との再剥離性の発現の上でも好ましい。
検証実験として、4種類の粘着層のサンプルを作製し、その両面の凹形状13aをSEMで観察した。サンプルは、以下の4種類である。
サンプル1:粘着層の層厚t=25μm
サンプル2:粘着層の層厚t=30μm
サンプル3:粘着層の層厚t=35μm
サンプル4:粘着層の層厚t≒2000μm
なお、上記サンプルの層厚は、乾燥後の層厚である。また、サンプル1〜3については、コーターを用いてガラス面に発泡処理後の気泡含有組成物を塗工し、100度の乾燥炉を用いて乾燥処理を行なった。サンプル4については、ガラス面への滴下塗布とし、常温下(室温20°C)の自然乾燥とした。なお、サンプル4について乾燥条件を変えたのは、特許文献1における常温乾燥で十分であるとの記載についても検証するためである。また、いずれのサンプルも、発泡処理後の粘着層の密度は、0.4g/cm3とした。
図10は、サンプル2の観察結果を示す図である。
図11は、サンプル3の観察結果を示す図である。
図12は、サンプル4の観察結果を示す図である。
図9から図11のように、粘着層の層厚tを管理し且つ加熱乾燥したサンプル1からサンプル3については、微細な凹形状13aが両面に均等に形成されていることが確認できた。
これに対して、図12に示す膜厚が厚いと共に常温乾燥したサンプル4では、乾燥面とガラス側面とで凹形状13aの大きさに極端な差異が認められ、特許文献1の図2と同様な結果が得られた。
よって、粘着層13の両面に凹形状13aを均等に設けるためには、粘着層13の層厚tは、20μm≦t≦40μmの範囲とすることが望ましいと判断できる。
上述の説明では、樹脂層10は、凹凸模様を有した樹脂層を備える形態を例示した。しかし、樹脂層は、凹凸模様を設けず、絵柄層の印刷のみにより意匠性を付与する形態としてもよい。
図13は、印刷により樹脂層20を形成した例を示す図である。
図9に示す例では、樹脂層20は、さらにその上にベタ絵柄層16と、模様絵柄層17と、表面保護層18とを備えている。これらの各層を構成するためのインキとしては、先に説明した絵柄層に用いるインキとして例示した各種インキを適宜用いることがでる。
また、図13に示した構成に限らず、適宜構成と省略したり、追加したりしてもよい。
例えば、模様絵柄層17と、表面保護層18とを設けずにベタ絵柄層16のみを設けてもよい。
また、ベタ絵柄層16を設けず、模様絵柄層17と、表面保護層18とを設けてもよい。
さらに、模様絵柄層17を設けずに、ベタ絵柄層16と、表面保護層18とを設けてもよい。
さらにまた、表面保護層18を設けずに、ベタ絵柄層16と、模様絵柄層17とを設けてもよい。
また、ベタ絵柄層16と、表面保護層18とを設けずに、模様絵柄層17のみを設けてもよい。
さらに、模様絵柄層17に相当する層を複数層設けてもよい。
その他、印刷により形成されるインキ層からなる模様絵柄層17に代えて、金属薄膜からなる模様絵柄層17を公知の転写印刷法により構成することができる。
また、粘着層13の粘着力は、凹形状13aの吸着力によるものであるから、リワーク性が高く、貼り付けを失敗したとしても張り直しが容易であり、使い勝手がよい。
さらに、凹形状13aは、微細なサイズであって多数設けられていることから、壁の表面に多少の凹凸が有ったとしても、粘着力(吸着力)を発揮することができる。
さらにまた、壁紙シート1を剥がした後の壁の表面には、糊残りのような現象は発生しないことから、清掃の必要がなく、そのまま再貼り付けを行うことができ、作業性が良好である。
また、本実施形態の壁紙シート1は、加熱することなく粘着層13を形成可能であることから、熱に弱い樹脂層を含め、様々な形態の樹脂層を利用して壁紙シートを構成することが可能である。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
10,20 樹脂層
11 基材層
1a 凹凸模様
13 粘着層
13a 凹形状
14 剥離性基材シート
15 プライマー層
16 ベタ絵柄層
17 模様絵柄層
18 表面保護層
50 壁
130 気泡含有組成物
Claims (9)
- 加飾を施した基材層と、
前記基材層の裏面側に積層された粘着層と、
を備え、
前記粘着層は、その両面に複数の凹形状を備えており、
前記凹形状は、前記粘着層の両面に均等に形成されており、
前記基材層側の面に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave 1とし、前記基材層とは反対側に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave 2としたときに、
|Dave 1−Dave 2|/Dave 2≦0.5
の関係を満たす壁紙シート。 - 請求項1に記載の壁紙シートにおいて、
前記粘着層の層厚tは、20μm≦t≦40μmの範囲にあること、
を特徴とする壁紙シート。 - 請求項1又は請求項2に記載の壁紙シートにおいて、
前記粘着層は、気泡を含有する液状の樹脂組成物を硬化したものであり、
前記気泡に基づく前記凹形状が両面に複数形成されていること、
を特徴とする壁紙シート。 - 請求項1から請求項3までのいずれかに記載の壁紙シートにおいて、
前記基材層と前記粘着層との間には、プライマー層が設けられていること、
を特徴とする壁紙シート。 - 請求項1から請求項4までのいずれかに記載の壁紙シートにおいて、
前記粘着層は、密度が0.1g/cm3以上、0.7g/cm3以下であること、
を特徴とする壁紙シート。 - 請求項1から請求項5までのいずれかに記載の壁紙シートにおいて、
前記基材層に積層された樹脂層を備えること、
を特徴とする壁紙シート。 - 請求項6に記載の壁紙シートにおいて、
前記基材層は、着色されていること、
を特徴とする壁紙シート。 - 請求項1から請求項7までのいずれかに記載の壁紙シートにおいて、
前記粘着層の裏面側には、剥離性基材シートが積層されていること、
を特徴とする壁紙シート。 - 請求項1から請求項8までのいずれかに記載の壁紙シートにおいて、
ロール状に巻いた形態に構成されていること、
を特徴とする壁紙シート。
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