JP2006095973A - 化粧材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基材上に少なくとも、部分的に設けられた低艶絵柄インキ層と、該低艶絵柄インキ層上に存在してこれと接触すると共に、低艶絵柄インキ層が形成された領域及び低艶絵柄インキ層が形成されていない領域を含む全面にわたって被覆する表面保護層を有する化粧材であって、低艶絵柄インキ層を構成する低艶絵柄インキが体質顔料を含み、表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、かつ該表面保護層中には、該低艶絵柄インキ層の直上部及びその近傍に視覚的に凹部として認識される低光沢領域が形成されてなる化粧材である。
【選択図】 図1
Description
このような表面化粧板に使用される化粧シートには、ラミネート加工、ラッピング加工、Vカット加工などの二次加工のための適度な柔軟性、切削性、耐破断性などの加工適性、使用状態における耐候性、耐光性、耐熱性、耐水性、耐溶剤性、表面硬度、耐摩耗性、耐擦傷性など、種々の特性が要求される。
こうした要求を満たすために、上記加工適性を十分に満足する基材を用い、該基材の表面に表面保護層を施すことが行われており、表面保護層としては電離放射線硬化性樹脂組成物が好ましく用いられている。
例えば、基材上に模様状に設けた塗装面によって電子線硬化型塗料又は光硬化型塗料に対する濡れ易さが基材表面と異なった区域を形成させた後に、基材上に電子線硬化型塗料又は光硬化型塗料を塗布して、該塗料に対して濡れ易い区域で塗料表面を陥没させ、濡れ難い区域で塗料表面を隆起させる方法が提案されている(例えば特許文献1、特許請求の範囲参照)。しかしながら、この方法では凹部、すなわち濡れ易い区域が細い場合には、凹凸がきれいに出ないという問題がある。また、ある程度の太さの凹部がある場合には、基材表面に凹凸模様は得られるものの、陥没部と隆起部の境界領域において、塗料の表面張力等によって、凸部から凹部に移行する端部が丸味を帯びて凹凸の鮮映性(シャープネス)に欠けるとともに、隆起部の高さ以上の凸部が生じ、例えば木目模様の場合にはリアル感がなく、外観及び手触り感がよくないという問題がある。
さらに、基材上に、通常インキからなる模様層及び電子線硬化性組成物からなる凸状模様層の2種の模様層を順次に設け、その上に透明樹脂層を被覆し、被覆後、前記透明樹脂層を介して電子線を照射して凸状模様を硬化した化粧材が提案されている(特許文献3、特許請求の範囲参照)。しかしながら、こうした化粧材は物理的に比較的大きな凹凸があるため、凸部が傷つきやすく、特に凸部の面積が大きい場合にはそれが顕著となり問題となる。またこの手法は例えば木目調などの艶の強弱を出したい場合、すなわち、木目導管溝のように大部分が凸部で極めて狭い幅の凹状部が存在するような場合には、透明樹脂層を構成する塗料の流動によって該凹状部が埋まってしまい、しかもその埋まり方の程度がばらつきを生じるため不適当であり、さらには物理的に凹凸があるため、手触り感がよくないという問題がある。
さらに、表面が剥離性を有する電離放射線透過剥離基材の表裏いずれかの面に電離放射線遮蔽性材料で模様を設け、該剥離基材と、表面に電離放射線硬化樹脂の未硬化物の層を有する凹凸模様形成用基材とを重ね、剥離基材側より電離放射線を照射して、電離放射線遮蔽性材料で形成した模様のない部分に相当する電離放射線硬化樹脂のみを硬化させた後、剥離基材とともに電離放射線硬化樹脂層の未硬化部の樹脂を除去して、凹凸模様を形成する方法が提案されている(特許文献5、請求項8参照)。この発明によれば、電離放射線遮蔽性材料で形成した模様のある部分は、電離放射線硬化樹脂が硬化せずに、剥離基材に付着して、剥離基材と一緒に除去され、一方、電離放射線遮蔽性材料で形成した模様のない部分では電離放射線硬化樹脂が硬化して残ることから、絵柄と同調した凹凸模様が形成される。しかしながら、この方法では、剥離材料や電離放射線遮蔽性材料等の材料を必要とするという不利な点があり、また未硬化樹脂を剥離基材に付着除去する方法では、深く鮮映な凹部を形成できないという欠点がある。さらに、電離放射線硬化樹脂として電子線硬化樹脂を用いた場合には、電子線を遮蔽する材料の選定が困難であるという欠点がある。
そこで、基材の上に塗布装置を用いて電子線硬化性樹脂を塗布し、電子線照射機内で型ロールと接触させて型ロールの凹凸を賦形しながら電子線を照射して硬化させる連続的に凹凸を形成させる方法が提案されている(例えば特許文献7、特許請求の範囲、第1図参照)。しかしながら、この方法には特殊な型ロール装置が必要であり、通常の印刷装置では凹凸を賦形することができないという不都合があり、また型ロールによる賦形の速度には限界があって生産性が低いという欠点がある。
(1) 基材上に少なくとも、部分的に設けられた低艶絵柄インキ層と、該低艶絵柄インキ層上に存在してこれと接触すると共に、低艶絵柄インキ層が形成された領域及び低艶絵柄インキ層が形成されていない領域を含む全面にわたって被覆する表面保護層を有する化粧材であって、低艶絵柄インキ層を構成する低艶絵柄インキが体質顔料を含み、表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、かつ該表面保護層中には、該低艶絵柄インキ層の直上部及びその近傍に視覚的に凹部として認識される低光沢領域が形成されてなる化粧材、
(2)電離放射線硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物である上記(1)記載の化粧材、
(3)低光沢領域の上部に位置する表面保護層の表面が凸形状を有する上記(1)又は(2)記載の化粧材、
(4)基材と低艶絵柄インキ層の間にさらに浸透防止層を有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の化粧材、
(5)基材が浸透性基材である上記(4)記載の化粧材、
(6)基材上に着色層、絵柄層、浸透防止層が積層され、その上に低艶絵柄インキ層と該低艶絵柄インキ層上に存在してこれと接触すると共に、低艶絵柄インキ層が形成された領域及び低艶絵柄インキ層が形成されていない領域を含む全面にわたって被覆する表面保護層を有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載の化粧材、
(7)絵柄層が木目模様を形成するものであり、低艶絵柄インキ層が導管部の低艶部分を形成するものである上記(6)記載の化粧材、及び
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の化粧材を基板に貼付した化粧板、
を提供するものである。
本発明の化粧材の典型的な構造を、図1〜図3を用いて説明する。図1〜図3は本発明の化粧材1の断面を示す模式図である。図1に示す例では、基材2上に全面を被覆する一様均一な着色層6、絵柄層7、一様均一な浸透防止層8、低艶絵柄インキ層3、電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化した表面保護層5がこの順に積層されたものである。低艶絵柄インキ層3は部分的に存在し、その直上部及びその近傍における表面保護層には低光沢領域4が形成される。表面保護層5側から本発明の化粧材を見ると、低光沢領域を有する低艶絵柄インキ層3は視覚的に凹部として認識されるため、全体として、この低光沢領域4によって視覚的に凹凸模様として認識される。なお、低光沢領域4は図中で点の集合により表現されている。
本発明では、低艶絵柄インキ層3を構成する低艶絵柄インキが、体質顔料を含有することが特徴である。体質顔料を添加することで、凸部から凹部に移行する端部における凹凸の鮮映性(シャープネス)が強調され、メリハリのある意匠表現が可能となる。
また、表面保護層5の最表面における、低光沢領域4の上部は、低艶絵柄インキ層3の形成に伴って隆起し、凸形状9を有していてもよい。表面保護層5の表面がこのように凸形状を有することによって、この部分で光が散乱されるため、また表面積が増加し、かつ低艶が認識できる視野角も広がるため、上記低光沢領域4の効果と協調してさらに視覚的な凹凸感が強調される。なお、該凸形状の高さについては、本発明の効果を奏する範囲で特に限定されないが、通常2〜3μmの範囲である。
表面保護層5中に形成される低光沢領域4の広がりの程度については、本発明の効果を奏する範囲内であれば特に限定されず、図1及び図2に示す如く、低艶絵柄インキ層3の表面から表面保護層5の厚み方向の途中で留まっていてもよく、また図3に示すように表面保護層5の最表面に達するものであってもよい。さらには図3に示すように表面保護層5の最表面に凸形状を形成してもよい。
本発明で用いられる基材2としては、通常化粧材として用いられるものであれば、特に限定されず、各種の紙類、プラスチックフィルム、プラスチックシート、金属箔、金属シート、金属板、木材などの木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラスチックフィルムの複合体等、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
これらの基材、特にプラスチックフィルムやプラスチックシートを基材として用いる場合には、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法などの物理的または化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
また該基材はプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
これらの他、リンター紙、板紙、石膏ボード用原紙、又は紙の表面に塩化ビニル樹脂層を設けたビニル壁紙原反等、建材分野で使われることの多い各種紙が挙げられる。さらには、事務分野や通常の印刷、包装などに用いられるコート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、又は和紙等を用いることもできる。また、これらの紙とは区別されるが、紙に似た外観と性状を持つ各種繊維の織布や不織布も基材として使用することができる。各種繊維としてはガラス繊維、石綿繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、若しくは炭素繊維等の無機質繊維、又はポリエステル繊維、アクリル繊維、若しくはビニロン繊維などの合成樹脂繊維が挙げられる。
着色層の形成に用いられるインキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。
この着色層6は厚さ1〜20μm程度の、いわゆるベタ印刷層が好適に用いられる。
絵柄層7に用いる絵柄インキとしては、着色層6に用いるインキと同様のものを用いることができる。なお、本発明の化粧材においては、後に詳述する低艶絵柄インキ層3及び低光沢領域4により、化粧を施すことができるので、絵柄層7は必須の構成要素ではない。
本発明における艶差発生の機構については、十分解明されるには至っていないが、各種実験と観察、測定の結果から、低艶絵柄インキ層3の表面に表面保護層5を形成するための電離放射線硬化性樹脂の未硬化物を塗工した際に、各材料の組合せ、塗工条件の適当な選択によって、低艶絵柄インキ層3の樹脂成分と表面保護層が、一部溶出、分散、混合等の相互作用を発現することによるものと推測される。この際、低艶絵柄インキ層3のインキと電離放射線硬化性樹脂の未硬化物におけるそれぞれの樹脂成分は、短時間には完全相溶状態にならずに懸濁状態となって、低艶絵柄インキ層3の直上部及びその近傍に存在し、該懸濁状態となった部分が光を散乱して低光沢領域をなすものと考えられる。この懸濁状態を有したまま、表面保護層を架橋硬化せしめることにより、かかる状態が固定されると、表面保護層中に低光沢領域を有する低光沢領域4が部分的に形成され、目の錯覚により、その部分が凹部であるかの如く認知されるものと推測される。
低艶絵柄インキ層3を形成する低艶絵柄インキは表面保護層5を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物に溶出する性質を有するものであり、該電離放射線硬化性樹脂組成物(未硬化物)との関連で適宜選定されるものである。具体的には、バインダー樹脂として非架橋性樹脂を有するインキであることが好ましく、例えば熱可塑性(非架橋型)ウレタン樹脂などが好適である。また、必要に応じて、低光沢領域の発現の程度、低艶領域とその周囲との艶差のコントラストを調整するため、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、又は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などを混合することができる。
低艶絵柄インキ層3を形成する低艶絵柄インキは着色層6や絵柄層7で用いるインキ組成物と同様に、着色剤を有し、それ自体でも絵柄模様を与えることができるが、図1に示すような着色層6や絵柄層7を有する場合には、既に基材2に対して色彩や模様を与えているので、低艶絵柄インキ層3を形成するための低艶絵柄インキ組成物には、必ずしも着色剤を添加して着色する必要はない。すなわち、絵柄層7を有する場合には、絵柄層7が表現しようとする模様のうち、艶を消して、視覚的に凹部を表現したい部分と低艶絵柄インキ層3を同調させることによって艶差による視覚的凹部を有する模様が得られる。例えば、絵柄層7によって木目模様を表現しようとする場合には、木目の導管部分に低艶絵柄インキ層3のインキ部分を同調させることにより、艶差により導管部分が視覚的に凹部となった模様が得られる。あるいは絵柄層7によって、タイル貼模様を表現しようとする場合には、タイル貼の目地溝部分に低艶絵柄インキ層3のインキ部分を同調させることにより、艶差によって、目地溝部分が視覚的に凹部となった模様が得られる。
本発明で用いる体質顔料としては特に限定されず、例えばシリカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等から適宜選択される。これらのうち、吸油度、粒径、細孔容積等の材料設計の自由度が高く、意匠性、白さ、インキとしての塗工安定性に優れた材料であるシリカが好ましく、特に微粉末のシリカが好ましい。シリカの粒径としては、0.1〜5μmの範囲が好ましい。0.1μm以上であるとインキに添加した際にインキのチキソ性が極端に高くならず、またインキの粘性が上がりすぎず印刷のコントロールがしやすい。また、導管模様部分の艶消しを表現しようとした場合、導管模様部分のインキの塗布厚みが通常5μm以下であり、シリカの粒径が塗布厚みよりも小さければ粒子の頭だしが比較的押えられ目立たないことから、視覚的な違和感がおこりにくい。
これらの体質顔料の低艶絵柄インキ組成物における含有量は、5〜15質量%の範囲であることが好ましい。5質量%以上であると低艶絵柄インキ組成物に十分なチキソ性を付与することができ、15質量%以下であると低艶を付与する効果の低下が全く見られず好ましい。
低艶絵柄インキ層3を形成する低艶絵柄インキの塗布量については、2〜20g/m2の範囲であることが好ましい。2g/m2以上であると、上述した低艶絵柄インキの電離放射線硬化性樹脂組成物への溶出量が十分であり、低光沢領域が十分得られるため、化粧材表面の十分な艶差が得られる。一方20g/m2以下であると、低艶絵柄インキの印刷に際して機械的制約がなく、また経済的にも有利である。以上の観点から、低艶絵柄インキの塗布量はさらに5〜10g/m2の範囲であることが好ましい。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、上述のように低艶絵柄インキ層3を構成する低艶絵柄インキと表面保護層5を構成する電離放射線硬化性樹脂組成物とが、一部溶出、分散、混合等の相互作用を発現することが重要であり、この観点から適当なインキと電離放射線硬化性樹脂組成物が選定されるが、電離放射線硬化性樹脂組成物としては、多官能性(メタ)アクリレートモノマーを含有することが好ましい。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラックなどの公知の着色用顔料などが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
本発明においては、このようにして調製された塗工液を、基材の表面に、硬化後の厚さが1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上であると所望の機能を有する硬化樹脂層が得られる。硬化後の表面保護層の厚さは、好ましくは2〜20μm程度である。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
被着体となる基板は、特に限定されず、プラスチックシート、金属板、木材などの木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの基板、特にプラスチックシートを基板として用いる場合には、化粧材との密着性を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法などの物理的または化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
木質系の板としては、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等各種素材の突板、木材単板、木材合板、パーチクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質材等が挙げられる。これらは単独で、または積層して用いることもできる。なお、木質系の板には、木質板に限らず、紙粉入りのプラスチック板や、補強され強度を有する紙類も包含される。
窯業系素材としては、石膏板、珪酸カルシウム板、木片セメント板などの窯業系建材、陶磁器、ガラス、琺瑯、焼成タイル、火山灰を主原料とした板等が例示される。
これらの他、繊維強化プラスチック(FRP)の板、ペーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂を挟んだもの等、各種の素材の複合体も基材として使用できる。
化粧材の基板上への貼着は、通常、本発明の化粧材の裏面に接着剤層を形成し、基板を貼着するか基板の上に接着剤を塗布し、化粧材を貼着する等の方法による。
実施例1
基材2として、米秤量30g/m2の建材用紙間強化紙を用い、その片面にアクリル樹脂と硝化綿をバインダーとし、チタン白、弁柄、黄鉛を着色剤とするインキを用いて、塗工量5g/m2の(全面ベタ)層をグラビア印刷にて施して着色層6とした。その上に硝化綿をバインダーとし、弁柄を主成分とする着色剤を含有するインキを用いて、木目模様の絵柄層7をグラビア印刷にて形成した。
次いで、数平均分子量20,000、ガラス転移温度(Tg)−59.8℃のポリエステルウレタン系樹脂とトリレンジイソシアネートからなるポリイソシアネートをバインダーとする塗料組成物を用いて、塗工量7g/m2で全面にグラビア印刷して浸透防止層8(プライマー層)を形成した。
次に、数平均分子量30,000、ガラス転移温度(Tg)−62.8℃のポリエステルウレタン系樹脂をバインダーとした透明インキ(導管インキ)に対して、平均粒子径1.5μmのシリカ粒子を10質量%配合したインキ組成物を用いて木目模様の導管部分に位置同調するようにグラビア印刷にて低艶絵柄インキ層3を形成した。
これらインキ層の上に3官能アクリレートモノマーであるエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリアクリレートを60質量部と6官能アクリレートモノマーであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを40質量部、平均粒子径5μmのシリカ粒子2質量部及びシリコーンアクリレートプレポリマー1質量部からなる電子線硬化性樹脂組成物を塗工量5g/m2でグラビアオフセットコータ法により塗工した。塗工後、加速電圧175kV、照射線量30kGy(3Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて、表面保護層5とした。次いで、70℃で24時間の養生を行い、化粧材を得た。該化粧材の導管部はシャープな形状をとっていることが目視で観察された。
導管インキにシリカを入れなかったこと以外は実施例1と同様にして化粧材を得た。該化粧材の導管部は実施例にて製造した化粧材と比較して、シャープさに欠ける形状をとっていることが目視で観察された。
導管インキ中のシリカの含有量を20質量%としたこと以外は実施例1と同様にして化粧材を得た。該化粧材の導管部の艶があまり低くならずに意匠感としては必ずしも十分なものではなかったが、導管部はシャープな形状をとっていることが目視で観察された。
導管インキに使用する版を、インキの転移量が異なるように版深を変えて製版したこと以外は実施例1と同様にして化粧材を得た。版深は最も深い部分を70μmとし、無段階に版深を調整して、セルのない部分から深さ70μmの部分までの階調版とした。セルのない部分に対応する部分での艶はグロス値60、版深が30〜40μmに対応する部分での艶はグロス値30、版深が60〜70μmに対応する部分での艶はグロス値10であって、その間は連続的に無段階に艶が変化した。この版を用い、本発明に係る導管インキを用いることによって、より天然物に近い木目調の化粧材が得られた。
なお、グロス値はグロスメーター(村上色彩技術研究所製「GMX−203」)を用い、入射角75度の条件で測定した。数字が高いほど高光沢(高艶)であることを示し、数字が低いほど低光沢(低艶)であることを示す。
実施例1で作製した化粧材の裏面と基板として厚さ2.5mmのラワン合板10とを、中央理化(株)製の水性エマルジョンであるエチレン・酢酸ビニル系接着剤「BA−820」で木材合板に塗布量60g/m2(wet)の条件で塗工して形成した接着剤層を介して接着せしめることにより、木質化粧板を作製した。
2.基材
3.低艶絵柄インキ層
4.低光沢領域
5.表面保護層
6.着色層
7.絵柄層
8.浸透防止層
9.凸形状
10.接着剤層
11.基板
Claims (8)
- 基材上に少なくとも、部分的に設けられた低艶絵柄インキ層と、該低艶絵柄インキ層上に存在してこれと接触すると共に、低艶絵柄インキ層が形成された領域及び低艶絵柄インキ層が形成されていない領域を含む全面にわたって被覆する表面保護層を有する化粧材であって、低艶絵柄インキ層を構成する低艶絵柄インキが体質顔料を含み、表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、かつ該表面保護層中には、該低艶絵柄インキ層の直上部及びその近傍に視覚的に凹部として認識される低光沢領域が形成されてなる化粧材。
- 電離放射線硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物である請求項1記載の化粧材。
- 低光沢領域の上部に位置する表面保護層の表面が凸形状を有する請求項1又は2記載の化粧材。
- 基材と低艶絵柄インキ層の間にさらに浸透防止層を有する請求項1〜3のいずれかに記載の化粧材。
- 基材が浸透性基材である請求項4記載の化粧材。
- 基材上に着色層、絵柄層、浸透防止層が積層され、その上に低艶絵柄インキ層と該低艶絵柄インキ層上に存在してこれと接触すると共に、低艶絵柄インキ層が形成された領域及び低艶絵柄インキ層が形成されていない領域を含む全面にわたって被覆する表面保護層を有する請求項1〜5のいずれかに記載の化粧材。
- 絵柄層が木目模様を形成するものであり、低艶絵柄インキ層が導管部の低艶部分を形成するものである請求項6記載の化粧材。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の化粧材を基板に貼付した化粧板。
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