JP2015113433A - 低艶意匠用反応性インキ組成物及びこれを用いた積層塗膜 - Google Patents
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Abstract
Description
一般的に低艶化するには、電離放射線硬化型組成物にマイクロシリカなどのフィラーを添加することによって艶を下げる手法がとられてきた。この場合、全面の低艶化は可能であるが、部分的に低艶部を設けることは難しかった。また、電離放射線硬化型樹脂組成物の低艶化するためにフィラーなどを添加すると、添加したフィラーによって透明性が低下し、低艶化することで逆に意匠性が低下する恐れがある。
少なくとも、基材、低艶インキ層(部分的)、電離放射線硬化型樹脂層がこの順に設けられている積層塗膜において、優れた低艶意匠を発現させる手法として
(1)低艶インキを構成する樹脂が電離放射線硬化型樹脂組成物の一部を浸透させる。
(2)電離放射線硬化型樹脂組成物に含有させる微量の体質顔料やフィラーなどが複合積層塗膜の表面に出る、又は低艶インキ組成物に含有させる顔料や体質顔料、フィラーなどが積層塗膜の表面に出る、或いは、表面に微細な凹凸が形成させる。
(3)これにより、電離放射線硬化型樹脂組成物のみの層は高光沢、電離放射線硬化型樹脂層の下部に低艶インキ層が形成されていると部分的に低艶部が形成できる。
(4)高光沢部分と低艶部分を組み合わせることにより、意匠性を引き立てる効果がある。 例えば、パッケージの絵柄の表現で、目立たせたい部分を光沢部にし、その周りを低艶にすることで、メリハリのある意匠感が得られる。
(5)低艶意匠用インキ組成物に含有するバインダー樹脂として、下記のポリウレタン樹脂が電離放射線硬化型樹脂組成物の一部を浸透させることが可能。
本発明で用いるジイソシアネートとしては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種の脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、などのジイソシアネート等が挙げられる。
これらのジイソシアネートは単独で、又は2種類以上併用して用いることができる。これらのジイソシアネートの中でも、脂環族ジイソシアネートは黄変性等の諸物性に優れている観点から好ましく、特に優れるのはイソホロンジイソシアネートである。
本発明で用いる数平均分子量700〜6000の脂肪族ジオール(a1)としては、例えば、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、アクリルポリオールなどの一分子当たり2個の水酸基を有する高分子ジオール類が挙げられる。
また、3級アミノ基を有するN−アミノメチルジエタノールアミン、N−アミノブチルジエタノールアミン等のアルカノールアミンを用いてもよい。
2−ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、(N−アミノエチル)―2−エタノールアミン、2−ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類が挙げられる。
これらのジアミンは単独で、又は2種類以上混合して用いることができる。
これらのモノアミンは単独で、又は2種類以上混合して用いることができる。また、より優れた低艶性を得るためには、アミノアルコール類を用いることが好ましい。アミノアルコールを用いることで、樹脂末端に水酸基の導入が可能となる。
数平均分子量500以下の脂肪族ジオール(a2)、ジイソシアネート、数平均分子量700〜6000の脂肪族ジオール(a1)とを、必要に応じて有機溶剤に溶解して、反応触媒存在下、60〜90℃で反応し、イソシアネート基が残存するプレポリマー溶液を得たのち、さらに、有機溶剤で希釈した後、1級及び/又は2級アミノ基含有化合物(a3)を滴下して、反応し、反応性ポリウレタン樹脂を得る。
数平均分子量500以下の脂肪族ジオール(a2)、ジイソシアネートと数平均分子量700〜6000の脂肪族ジオール(a1)とを必要に応じて有機溶剤に溶解して、反応触媒存在下、60〜90℃で反応し、イソシアネート基が残存するプレポリマー溶液(I)を得る。
低艶意匠用インキ組成物と電離放射線硬化性樹脂組成物の両方に顔料若しくは有機又は無機フィラーを存在せることにより、低艶意匠をより効果的に発現させることができる。
また、下地の絵柄の上層に低艶意匠の絵柄を重ねる場合、低艶意匠用インキ組成物に顔料や体質顔料などを使用することができる。その場合、用いる顔料としては、
着色剤として、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。
メチルエチルケトン、メチルイソブブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸−N−プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤、プロピレングリコールやブチルカルビトール等のグリコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤。
本発明の低艶意匠用インキ組成物の塗工方法については、既知の印刷方法が使用できるが、インキの特性から、グラビア印刷方式が望ましい。
また、各種プラスチックフィルム、プラスチック板、金属シート、金属板等も使用できる。
また、低艶意匠用インキ層と下部層との間に浸透防止層を設けてもよい。浸透防止層は、基材へのインキの染込みを防止することが可能な樹脂系であれば何でも良いが、低艶意匠用インキ層が存在する部分との高い光沢差を得るためにはポリウレタン樹脂以外の樹脂系が望ましい。例えは、セルロール系樹脂、アクリル樹脂、アクリルポリオール等。その樹脂系インキにポリイソシアネートを添加しても良い。塗工方法は問わない。
前記ポリエーテルポリオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレンオキサイドの他に、ビスフェノールA及びビスフェノールFに上記アルキレンオキサイドを付加させたポリオールも含む。
ウレタン(メタ)アクリレートに用いられる前記の1分子に1個以上の水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート類、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
ここで、電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つロフラスコにアジピン酸と3−メチル−1,5ペンタンジオールから得られる数平均分子量(以下Mnという)2,000のポリエステルポリオール215.68部と1,4-ブタンジオール2.43部、イソホロンジイソシアネート59.91部、メチルエチルケトン100部、DICNATE 425(DIC社製)を0.03部を仕込み、窒素気流下に75℃で4時間反応させた。その後、メチルエチルケトン400部を加え、反応溶液を希釈した。反応液を45℃に調整後、イソホロンジアミン19.51部をイソプロピルアルコール50部に溶解して滴下し、攪枠下に50℃で3時間反応させた。その後、モノエタノールアミン2.47部をイソプロピルアルコール50部に溶解して添加し、攪枠下に50℃で1時間反応させた。最後にイソプロピルアルコール100部を加え、不揮発分30.0%、ガードナー粘度R(25℃)、数平均分子量(以下Mwという)41,700のポリウレタン樹脂Aを得た。
製造例3
合成方法B
(ポリウレタン樹脂C)
攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つロフラスコにアジピン酸と3−メチル−1,5ペンタンジオールから得られるMn2,000のポリエステルポリオール229.68部とイソホロンジイソシアネート51.04部、メチルエチルケトン50部、DICNATE 425(DIC社製)を0.03部を仕込み、窒素気流下に75℃で4時間反応させた。その後、メチルエチルケトン200部を加え、反応溶液(プレポリマー)を希釈した。希釈した反応溶液(プレポリマー)を、予め、別のフラスコにメチルエチルケトン100部、イソプロピルアルコール200部、イソホロンジアミン18.58部、モノエタノールアミン0.70部を混合し、40℃に調整した溶液(アミン溶液)に、5分間掛けて投入した。反応溶液(プレポリマー)が入っていたフラスコに、メチルエチルケトン150部を加えて、反応溶液を溶解し、アミン溶液に投入した。攪枠下に50℃で3時間反応させ、不揮発分30.0%、ガードナー粘度Q(25℃)、Mw44,400のポリウレタン樹脂Cを得た。
製造例4
下記表1に記載された原料を用いて、製造例1(合成方法A)と同様にして、ポリウレタン樹脂Dを得た。
製造例5
下記表1に記載された原料を用いて、製造例3(合成方法B)と同様にして、ポリウレタン樹脂Eを得た。
比較製造例1〜8
表2に記載された原料を用いて、合成方法Aと同様にしてポリウレタン樹脂F〜Mを得た。
基材/絵柄層/浸透防止層/低艶意匠用インキ層/電離放射線硬化型樹脂層
下記のそれぞれの材料を用いた。
・基材(王子マテリア社製コートボール紙(商品名:OKボール、270g/m2)
・絵柄層(DICグラフィックス社製グラビアインキXS-763墨(溶剤系グラビアインキ))
・浸透防止層(浸透防止シーラー)
CAB 381−0.5(Eastman社製セルロース・アセテート・ブチレート)12.5部とメチルエチルケトン87.5部を配合後、攪拌機で30分間攪拌し、完全に溶解したもの100部にFG700硬化剤(DICグラフィックス社製ポリイソシアネート)5部を加え、ザーンカップ#3で18秒になるように、メチルエチルケトンを加えて希釈したもの。
・低艶インキ層
メチルエチルケトン30部、イソプロピルアルコール10部、前記ポリウレタン樹脂A〜Lをそれぞれ60部を配合後攪拌機で約10分間攪拌して混合し、インキ粘度がザーンカップ#3で18秒になるようにメチルエチルケトンで希釈した。
・電離放射線硬化型樹脂層(UV硬化型OPニス)
UVフレキソ GA28ニス(F)(DICグラフィックス社製UV硬化型OPニス)
絵柄インキ:印刷機GP-X(クラボウ社製)、版-175Lによりグラビア塗工
浸透防止シーラー:印刷機 GP-X(同上)、版-54Lによりグラビア塗工
低艶意匠用インキ:バーコーター#6により塗工
UV硬化型OPニス:バーコーター#4により塗工
UV硬化型ニスの硬化条件
UV照射機:高圧水銀ランプオゾン有で、120W/cm、20m/分
表1〜3に示す組成で、前記の方法で積層塗膜を作成し、光沢値差を測定した。
IPDI :イソホロンジイソシアネート
ポリオールA:アジピン酸/3-メチル-1,5-ペンタンジオール=1/1からなる
ポリエルテスポリオール。平均分子量 Mn:2000
ポリオールB:ポリテトラメチレングリコール(PTMG)平均分子量 Mn:2000
ポリオールC:ポリカーボネートジオール (PCD)平均分子量 Mn:2000
ポリオールD:アジピン酸/ネオペンチルグリコール=1/1からなる
ポリエルテスポリオール。平均分子量 Mn:2000
ポリオールE:アジピン酸/プロピレングリコール=1/1からなる
ポリエルテスポリオール。平均分子量 Mn:2000
ポリオールF :アジピン酸/テレフタル酸/3-メチル-1,5-ペンタンジオール=1/1/2から
なるポリエルテスポリオール。平均分子量 Mw:2000
ポリオールG:アジピン酸/3-メチル-1,5-ペンタンジオール=1/1からなる
ポリエルテスポリオール。平均分子量 Mn:5000
ポリオールH:アジピン酸/3-メチル-1,5-ペンタンジオールからなる
ポリエステルポリオール。平均分子量 Mn:1000
14BD :1,4−ブタンジオール
MDEA :N−メチルジエタノールアミン
BEPD :2−ブチル−2−エチルプロパンジオール
IPDA :イソホロンジアミン
MEA :モノエタノールアミン
DnBA :ジ−n−ブチルアミン
MEK :メチルエチルケトン
IPA :イソプロピルアルコール
※2:紙/墨インキ/浸透防止層/低艶インキ/UV硬化型ニスにおける、低艶インキ層ありなしの光沢差。
光沢部の光沢値−低艶部の光沢値(この値が25以上あればメリハリのある意匠となる)
※1:ガードナー粘度
※2:紙/墨インキ/浸透防止層/低艶インキ/UV硬化型ニスにおける、低艶インキ層ありなしの光沢差。
光沢部の光沢値−低艶部の光沢値(この値が25以上あればメリハリのある意匠となる)
※3:-R基はアルキル基
光沢測定
スガ試験機:HANDY GLOSS MOBILE MODEL GM-1
樹脂の重量分子量測定
トーソー株式会社:HLC-8220 GPG
検出器;RI(示差屈折計)
測定条件;カラム温度 40℃ 溶媒 テトラヒドロフラン
Claims (7)
- ジイソシアネート、数平均分子量700〜6000の脂肪族ジオール(a1)、および、数平均分子量500以下の脂肪族ジオール(a2)、1級及び/又は2級アミノ基含有化合物(a3)を反応させて得られる重量平均分子量が25000〜80000、且つ、末端が、水酸基及び/又はアミノ基を有する反応性ポリウレタン樹脂を必須成分として含有することを特徴とする低艶意匠用インキ組成物。
- 前記ジオール(a1)がポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、および、アクリルポリオールからなる群から選ばれる1種以上のジオールである請求項1記載の低艶意匠用インキ組成物。
- 前記脂肪族ジオール(a1)がポリテトラメチレングリコールまたはアジピン酸系ポリエステルポリオールである請求項2記載の低艶意匠用インキ組成物。
- 基材上に設けられた低艶意匠用インキ層と、該低艶意匠用インキ層上に被覆された電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化された表面保護層を有する積層塗膜であって、前記低艶意匠用インキ層を構成する低艶意匠用インキが、請求項1〜3の何れか1つに記載の低艶意匠用インキ組成物を用いた積層塗膜。
- 更に、基材と低艶意匠用インキ層との間に、絵柄層を設けた請求項4記載の積層塗膜。
- 更に、基材と低艶意匠用インキ層との間に、浸透防止層を設けた請求項4または5記載の積層塗膜。
- 低艶意匠用インキ組成物又は、電離放射線硬化性樹脂組成物のいずれかに、顔料若しくは有機又は無機フィラーを有する請求項4、5又は6、記載の積層塗膜。
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