JP2021016744A - 家具用化粧粘着シート - Google Patents

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光男 櫻井
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Abstract

【課題】リワーク性を備えた家具用化粧粘着シートを提供する。【解決手段】家具用化粧粘着シート1は、化粧層10と、化粧層10の裏面側に積層された粘着層13とを備え、粘着層13は、その両面に複数の凹形状13aを備えている。また、この粘着層13は、気泡を含有する液状の樹脂組成物を硬化したものであり、気泡に基づく凹形状13aが両面に複数形成されている。この凹形状13aが吸盤のように作用して、貼り直しが容易に行なえるので、リワーク性が良好である。【選択図】図1

Description

本発明は、家具用化粧粘着シートに関するものである。
机、食卓、箪笥、棚、家具調の家電の筐体、間仕切(パーティション)等の家具の表面に貼り付けて意匠性を高める家具用の化粧シートが従来から流通している。この家具用化粧粘着シートは、家具の製造時に用いることも可能であるが、汚れ、傷の補修用途としての需要も多い。
家具に化粧シートを貼り付けるときには、化粧シート、又は、家具に接着材(接着剤とも呼称される)を塗工し、家具に化粧シートの貼り付けを行うことが行われている。
また、一旦貼り付けた化粧シートを剥離して貼る位置を変更調整した上で再度貼り付けたり、又は、剥離した跡に別の化粧シートを貼り直したりするこが想定される場合には、接着材の代わりに剥離が比較的容易な粘着材(粘着剤とも呼称される)を使用することも可能である。ただし、現実には、従来の粘着材を用いてラミネートする形態の化粧シートは、再剥離して貼り直す等の再利用が意に反して困難であり、例えば、貼り付け時に皺が発生して貼り付けに失敗すると化粧シートを剥いで廃棄したり、家具に再貼り付けを試みる場合は家具表面に残留する粘着材を清掃したりする必要があった。このため、化粧シートを貼り付けるには、特別な設備が必要であったり、熟練した技術(者)が必要であったりして、難易度が高かった。そこで、化粧シートを利用しやすくするために、貼り付けを失敗した場合に剥がしてそのまま再度貼り付けを行える、所謂リワーク性を高めることが望まれていた。
一方、被着体表面に多数の微小な吸盤群を有する粘着層からなるマイクロ吸盤膜に関する技術が、特許文献1に開示されている。特許文献1のマイクロ吸盤膜は被着体との間で可逆的な貼り付け及び剥離が可能なため、このマイクロ吸盤膜からなる粘着層を備えた家具用化粧粘着シートを実現できれば、リワーク性を備えた家具用化粧粘着シートとすることが可能と考えられる。しかし、特許文献1に開示されている組成物は、常温程度の温度でもマイクロ吸盤膜を作製可能とされているものの、被着体に対する十分な吸着力と剥離力のバランスを実現し、十分なリワーク性を有する粘着層を安定生産することが困難であり、家具用化粧粘着シートに上記組成物を塗布して利用することができなかった。
特開2017−36404号公報
本発明の課題は、リワーク性を備えた家具用化粧粘着シートを提供することである。
本願発明者らは、各種試作、評価、検討を行った結果、特許文献1開示の組成物を用いても、微小吸盤群を有する粘着層の製造方法及び製造条件の如何により微小吸盤群における気泡、特にその表面近傍が粘着層表面に開口して構成される凹形状の形態が種々変化することにより、吸着力と剥離力のバランス、さらには、リワーク性が様々に変化する事を見出した。そして、粘着層の表面及び裏面の両方に凹形状からなる微小吸盤群を有する形態において、吸着力と剥離力が適正に均衡(バランス)し、十分なリワーク性が得られる事を見出して本発明に至った。
即ち、本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
第1の発明は、化粧層(10,20)と、前記化粧層(10,20)の裏面側に積層された粘着層(13)と、を備え、前記粘着層(13)は、その両面に複数の凹形状(13a)を備えており、前記凹形状(13a)は、前記粘着層(13)の両面に均等に形成されており、前記化粧層(10,20)側の面に開口する前記凹形状(13a)の各開口部の直径の平均値をDave とし、前記化粧層(10,20)とは反対側に開口する前記凹形状(13a)の各開口部の直径の平均値をDave としたときに、|Dave −Dave |/Dave ≦0.5の関係を満たす家具用化粧粘着シート(1)である。
第2の発明は、第1の発明に記載の家具用化粧粘着シート(1)において、前記粘着層(13)の層厚tは、20μm≦t≦60μmの範囲にあること、を特徴とする床材(1、1B、1C)である。
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明に記載の家具用化粧粘着シート(1)において、前記粘着層(13)は、気泡を含有する液状の樹脂組成物を硬化したものであり、前記気泡に基づく前記凹形状(13a)が両面に複数形成されていること、を特徴とする家具用化粧粘着シート(1)である。
第4の発明は、第1の発明から第3の発明までのいずれかに記載の家具用化粧粘着シート(1)において、前記化粧層(10,20)と前記粘着層(13)との間には、プライマー層(15)が設けられていること、を特徴とする家具用化粧粘着シート(1)である。
第5の発明は、第1の発明から第4の発明までのいずれかに記載の家具用化粧粘着シート(1)において、前記粘着層(13)は、密度が0.1g/cm以上0.7g/cm以下であること、を特徴とする家具用化粧粘着シート(1)である。
第6の発明は、第1の発明から第5の発明までのいずれかに記載の家具用化粧粘着シート(1)において、前記化粧層(10,20)は、基材層(11)を備えること、を特徴とする家具用化粧粘着シート(1)である。
第7の発明は、第6の発明に記載の家具用化粧粘着シート(1)において、前記基材層(11)は、着色されていること、を特徴とする家具用化粧粘着シート(1)である。
第8の発明は、第1の発明から第7の発明までのいずれかに記載の家具用化粧粘着シート(1)において、前記粘着層(13)の裏面側には、剥離性基材シート(14)が積層されていること、を特徴とする家具用化粧粘着シート(1)である。
第9の発明は、第1の発明から第8の発明までのいずれかに記載の家具用化粧粘着シート(1)において、ロール状に巻いた形態に構成されていること、を特徴とする家具用化粧粘着シート(1)である。
第10の発明は、第1の発明から第7の発明までのいずれかに記載の家具用化粧粘着シート(1)が貼り付けられた家具(50)である。
第11の発明は、第10の発明に記載の家具において、家電製品の筐体、又は、間仕切に前記家具用化粧粘着シート(1)が貼り付けられた、家具(50)である。
本発明によれば、リワーク性を備えた家具用化粧粘着シートを提供することができる。
本発明による家具用化粧粘着シートの実施形態を示す斜視図である。 家具用化粧粘着シート1の使用時の形態を順次示す図である。 家具用化粧粘着シート1の使用時の形態をより詳細に順次示す断面図である。 家具用化粧粘着シート1をロール1Rの形態に巻いた形態を示す斜視図である。 家具用化粧粘着シート1の製造装置を示す図である。 家具用化粧粘着シート1の製造方法を説明する図である。 実施例の家具用化粧粘着シート1の粘着層13を裏面側(粘着面側)の方向から見て拡大した写真である。 実施例の家具用化粧粘着シート1の粘着層13の裏面側(粘着面側)近傍部分についてシート面に直交する方向の断面で拡大した図である。 実施例及び比較例の剥離力を示す図である。 サンプル1の観察結果を示す図である。 サンプル2の観察結果を示す図である。 サンプル3の観察結果を示す図である。 サンプル4の観察結果を示す図である。 印刷により化粧層20を形成した例を示す図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
(実施形態)
図1は、本発明による家具用化粧粘着シートの実施形態を示す斜視図である。
なお、実写の図7及び図8並びに図10〜図13を除いて、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
本明細書において、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、本発明においては、このような使い分けには、技術的な意味は無い為、これらの文言は、適宜置き換えて使用することができるし、又適宜置き換えても各請求項及び本願明細書の文言は同様に解釈することができるものとする。
また、家具用化粧粘着シートの使用状態において、表側(化粧層10側であって、図1における上側)となる側を表と呼び、その反対側(粘着層13側であって、図1における下側)を裏側と呼ぶこととする。
以下の説明では、先ず、家具用化粧粘着シートの一例として、化粧層10として、図1に示すように基材層11と樹脂層12とが積層して貼り合せされてなり、積層後に観察可能に外部に露出する側の面、即ち表面に凹凸形状(凹凸模様)1aを有する形態の物を用いた家具用化粧粘着シート1を挙げて説明する。なお、後述するが、例えば、基材層11上に樹脂層12を備えずに印刷層のみを備えた家具用化粧粘着シートであってもよいし、基材層11上に樹脂層12と印刷層とを備えていてもよく、又は、基材層11上に樹脂層12を備えず基材表面に凹凸形状1aのみを備えていてもよい。
図1に図示する実施形態において、家具用化粧粘着シート1は、基材層11と樹脂層12とを積層貼り合せた表層シートである化粧層10と、粘着層13と、剥離性基材シート14と、プライマー層15とを備えている。
基材層11は、樹脂層12の形成に必要なベースとなる層である。基材層11は、例えば、紙、樹脂シート、金属、織布、又は、不織布等を素材として用いてもよい。
紙としては、公知の各種化粧紙に用いられる上質紙、薄葉紙、クラフト紙、リンター紙、パーチメント紙、グラシン紙、硫酸紙等、又はこれらの紙に硝子繊維や樹脂纖維を混抄した混抄紙、これらの紙にゴムラテックス、アクリル樹脂殿樹脂を含侵した含侵紙等を用いることができる。紙の坪量は、通常、20〜200g/m程度の物を用いることができる。
樹脂シートとしては、後述の樹脂層12で例示した材料及び厚みの物の中から適宜選択することができる。
金属としては、アルミニウム、鉄、銅、錫、チタニウム又はこれら金属を含む合金の中から適宜選択することができる。
織布、又は、不織布としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂等の樹脂、又は硝子からなる纖維を用いた織布、又は、不織布を用いることができる。織布、又は、不織布の坪量は、通常、20〜200g/m程度の物を用いることができる。
基材層11の厚さは、20〜2000μm程度のものを用いることができる。
また、基材層11は、表現する意匠にあわせて適宜着色してもよい。ここで、着色とは、基材層11の素材自体に色を着けることを指している。基材層11を着色することにより、ベタ印刷を省略することもできる。
樹脂層12は、基材層11の表側の面に積層されており、複数の凹凸形状1aがその表面に形成されている。なお、理解を容易にするために、図1に示す樹脂層12は、単層として示しているが、樹脂層12は、異なる組成及び構造を備える複数の層により構成されていてもよい。樹脂層12の凹凸形状1aは、例えば、木材の導管を表現したり、布地の表面凹凸形状を表現したり、石材の凹凸形状を表現したりしてもよく、その形態(模様)はどのような形態であってもよい。
樹脂層12を形成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、アイオノマー、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレングリコール−テレフタル酸−イソフタル酸共重合体、テレフタル酸−エチレングリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)等のスチレン系樹脂、ポリイソプレン、天然ゴム、エチレンプロピレンゴム(EPR)、クロロプレンゴム等のゴム、ウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。なお、上記例示した樹脂以外を用いてもよい。樹脂層12の厚みは用途、要求性能等に応じて適宜選定すればよいが、通常、20μm〜10000μm程度とされる。
樹脂層12を透視して、その裏面の基材層11又は絵柄層の意匠外観を視認する必要がある場合は、樹脂層12は隠蔽性の顔料や添加剤を含まず、裏目の意匠外観を視認するに足る透明なものとする。なお、ここで言う透明とは無色透明の他、着色透明、艷消透明も包含する。
また、図1で例示する本実施形態では、化粧層10は、樹脂層12の裏面に基材層11が直接積層貼り合せされて構成されている例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、基材層11と樹脂層12との間に、さらに別の層を設けてもよい。例えば、基材層11と樹脂層12との間に、絵柄を印刷した絵柄層(印刷層)を設けて、樹脂層12の全部又は一部を透明な樹脂により構成してもよい。
また、樹脂層12と基材層11との接着力を向上させるために、これら両層の間に公知の各種接着剤層、易接着プライマー層、又はこれらの両層を設けてもよい。
また、家具用化粧粘着シート1の表面耐久性(耐擦傷性、耐摩耗性、耐汚染性等)を向上させたり、表面の光沢度を適宜に調整したりするため、家具用化粧粘着シート1の表面上に、さらに、表面保護層を積層してもよい。表面保護層は、樹脂層の積層、塗膜の塗工、又は樹脂層の積層と塗膜の塗工の併用により形成することができる。
表面保護層に用いる樹脂層としては、樹脂層12として先に例示した材料及び厚みのものの中から適宜選択することができる。
塗膜の塗工の場合には、例えば、熱硬化型ウレタン樹脂、熱硬化型ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の公知の熱硬化型樹脂(1液硬化型又は2液硬化型のもの)、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により架橋乃至重合するアクリル酸エステル系、エポキシ系、不飽和ポリエステル系等の公知の電離放射線硬化型樹脂等の中から適宜選択することができる。塗膜の厚さは、通常、1〜100μm程度(硬化後の膜厚)とすることができる。
絵柄層は、公知のインキを用い公知の印刷法により適宜所望の絵柄を印刷して形成する。絵柄層は、基材層11、樹脂層12、又はその他の適宜層に視認可能に形成すればよい。
インキは、樹脂バインダー中に着色剤、その他必要に応じて各種添加剤を添加してなる。
樹脂バインダーは、印刷する対象の材料と要求性能に応じて選択されるが、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキド系樹脂等が用いられる。着色剤としては、例えば、弁柄、バーミリオンレッド、カドミウムレッド、チタンイエロー、鉄黄、群青、紺青、コバルトブルー、緑青、鉄黒、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、アンチモン白等の無機顔料、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド、イソインドリノンイエロー、ニッケル−アゾ錯体、フタロシアニンブルー、アゾメチンアゾ系黒顔料、ペリレン系黒顔料等の有機顔料乃至染料、アルミニウム、真鍮、錫等の金属の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛、真珠貝等の貝殻等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等を1種単独で又は2種以上混合配色して用いることができる。
絵柄としては、木目柄、石目柄、タイル貼り乃至煉瓦積み柄、布目柄、皮シボ柄、幾何学模様、文字、全面ベタ又はこれら組合せを、所望の意匠外観に応じて適宜選択することができる。
粘着層13は、基材層11の樹脂層12とは反対側(図1上では、下側となる面であり、これを基材層11の裏面側とも呼称する)の面に積層されており、家具50(図2,3参照)に対する粘着性を有する層である。粘着層13は、その両面、即ち、基材層11に接する側及び剥離性基材シート14に接する側に開口した複数の凹形状13aを備えている。また、粘着層13は、弾性を備えており、複数の凹形状13aがそれぞれ微細な吸盤として作用することから、様々な家具50に対して粘着力(吸着力)を発揮することができる(図3(c)参照)。
粘着層13は、例えば、特許文献1(特開2017−36404号公報)に開示されている液状の樹脂組成物(アクリルエマルジョン)を用いて後述する製造方法により形成される。粘着層13に用いる樹脂組成物としては、例えば、ポリアクリル酸2−エチルヘキシルを主成分とし、硫黄、ビシン:N,N−Bis(2−hydroxyethyl)glycine、N.N.−ジメチルオクタデカアミン等を含有するものを用いることができる。
粘着層13の層厚は、1μm以上、500μm以下であることが望ましい。上記層厚範囲の下限値を下回ると、凹形状の形成が困難になったり、凹形状の大きさが小さくなりすぎて、粘着(吸着)特性が低下したりする。また、上記層厚範囲の上限値を越えると、家具用化粧粘着シートの柔軟性が低下して、作業性が悪くなる。
さらに、粘着層13の両面に凹形状13aを均等に設けるためには、粘着層13の層厚tは、20μm≦t≦60μmの範囲とすることが望ましい。この点については、後述する。
粘着層13の凹形状13aの大きさ(直径)や密度は、後述する製造工程における各種条件を変更することにより、調整可能である。例えば、粘着層13は、凹形状13aが含まれる程度を表す指標として、粘着層13の密度を用いることができる。この粘着層13の密度としては、特に限定されないが、例えば、0.1g/cm以上、0.7g/cm以下とすることができる。また、凹形状13aの大きさ(直径)は、特に限定されないが、例えば、1μm以上、300μm以下とすることができる。なお、凹形状13aの大きさは、凹形状13aが球と見做し得る場合は、斯かる球の直径を凹形状13aの大きさとする。もし、凹形状13aが球と見做し得無い場合は、当該凹形状13aと同体積の球の直径を斯かる凹形状13aの大きさとする。
剥離性基材シート14は、粘着層13の基材層11とは反対側(図1上では、下側となる面であり、これを粘着層13の裏面側とも呼称する)に積層されている。剥離性基材シート14は、家具用化粧粘着シート1を使用するまでの間の取扱性を考慮して設けられるものであり、家具用化粧粘着シート1の使用時、即ち家具50上に家具用化粧粘着シート1を貼り合せる際に剥離される。剥離性基材シート14としては、従来公知の離型フィルム、セパレート紙、セパレートフィルム、剥離フィルム、剥離紙等と呼称される各種形態のものを適宜使用できる。例えば、上質紙、コート紙、含浸紙、プラスチックフィルム等の片面又は両面に離型層を形成したものを用いてもよい。離型層としては、離型性を有する材料であれば、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂、有機樹脂変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は、エマルジョン型、溶剤型又は無溶剤型のいずれもが使用できる。離型層を備えた離型フィルムを用いる場合には、例えば、シリコーン離型タイプのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、未処理PETフィルム、PP(ポリプロピレン)フィルム、シリコーン離型タイプの紙等を用いることができる。
剥離性基材シート14の厚さは、例えば、10μm以上、170μm以下とすることが望ましく、PET系の剥離性基材シートの場合20μm以上、60μm以下とすることがさらに望ましい。上記層厚範囲の下限値を下回ると、コシがなく、剥離しづらくなる。また、上記層厚範囲の上限値を越えると、コシが強すぎて貼り付け時の作業性が低下するからである。紙系の剥離性基材シートの場合80μm〜150μmが塗料の均一塗工の面で好ましい。
また、剥離性基材シート14としては、市販のものを使用してもよく、例えば、片面にシリコーン系剥離剤による易剥離処理が施されている厚さ38μmのポリエステルフィルム(三井化学東セロ株式会社製、商品名:SP−PET−01)等が挙げられる。
紙系の剥離性基材シートとしては、住化加工紙SLK製のSLK−110WH3(ポリエチレンシート/坪量150g/m2の上質紙/ポリエチレンシート/シリコーン離型層)などが好ましい。
なお、本実施形態では、剥離性基材シート14を備える形態を例示したが、使用形態によっては、剥離性基材シート14を省略してもよい。
プライマー層15は、基材層11と粘着層13との接合力又は剥離性基材シート14又は被着体である家具50との接合力を向上させたり或いは低下させたりして後述の如き粘着力のバランスを調整、適正化するために設けられている。基材層11と粘着層13との接合力を強める場合のプライマー層15としては、基材層11がポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル系樹脂等の場合、ポリオールとイソシアネートとからなりイソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂や、イソシアネートを硬化剤とする塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂等を、又基材層がポリオレフィン樹脂の場合には、塩素化ポリプロピレンを用いることができる。
なお、剥離性基材シート14又は家具50と粘着層13との接合力を弱める場合のプライマー層15としては、剥離性基材シートや家具50の材質や表面状態如何に応じて、所望の接合力を得られる材料を個別に選択する必要が有るが、例えば、珪素系樹脂又は弗素系樹脂を適量含む樹脂組成物を用いると、多くの剥離性、基材シートや被着体に対して接合力を弱めることができる。
図2は、家具用化粧粘着シート1の使用時の形態を順次示す図である。
図2に示す例では、家具の一例として、間仕切(パーティション)の例を例示した。間仕切は、一時的、又は、所定の期間だけ室内空間を仕切るために使用される場合が多い。したがって、次に使用される場合には、前回使用された空間とは全く異なる空間で使用される場合も多い。そのような場合には、使用される空間に合った外観の間仕切を使用したいという要求が高く、本発明の家具用化粧粘着シートを利用すれば、簡単に間仕切の外観を変更可能である。
図3は、家具用化粧粘着シート1の使用時の形態をより詳細に順次示す断面図である。
上述した家具用化粧粘着シート1は、図3(a)に示すように、剥離性基材シート14を備えている。家具用化粧粘着シート1を家具50に貼り付けるときには、剥離性基材シート14を粘着層13から剥離する(図3(b))。そして、露出した粘着層13を家具50に貼り付けて、その表面に適度な圧力を加えることにより、粘着層の露出面に多数存在する凹形状13aが弾性変形することにより従来のマイクロ吸盤と同様な作用によって家具50表面の所定の領域に対して吸着(粘着)することとなる(図3(c))。
即ち、凹形状13aの周囲の弾性変形によって、凹形状13aには、変形状態から元の形状に戻ろうとする力が働く。この力により、凹形状13a内の密閉空間が負圧となって、家具50への吸着作用が生じる。なお、凹形状13a単体での吸着力は、弱いものであるが、多数の凹形状13aが形成されているので、全体としては必要な吸着力を確保できる。また、粘着層13の作製時に、凹形状13aが含まれる量を、例えば、密度をパラメータとして調整すれば、粘着層13の粘着力(吸着力)を調整可能である。
図4は、家具用化粧粘着シート1をロール1Rの形態に巻いた形態を示す斜視図である。
本実施形態の家具用化粧粘着シート1は、例えば図4に示すようにロール1Rの形態に巻いた形態として製造され、流通させることができる。このような形態であれば、貼り付け対象の家具に合せて必要所定量の家具用化粧粘着シート1を図4に図示の如くロール1Rから巻き出した後、必要な大きさ及び形状にカットして用いることができる。また、流通時に折り曲がってしまうことも防止できる。なお、家具用化粧粘着シート1は、ロール1Rの形態に巻いた形態に限らず、枚葉の形態としてもよい。
斯かるロール1Rは、図4の如く通常、紙管等の巻軸1Sの周囲に家具用化粧粘着シート1を巻き取るが、巻軸1S無しで家具用化粧粘着シート1のみを巻き取る形態も可能である。ロール1Rを構成する家具用化粧粘着シート1は剥離性基材シート14を含む構成とする事も、或いは市販のセロファン粘着テープの如く剥離性基材シート14を含まない構成とする事も何れも可能であるが、巻出し時の家具用化粧粘着シート1の円滑な巻出し性、及び化粧層10表面と粘着層13との相互作用による艷等の位相外觀変化の防止の為には、剥離性基材シート14を含む形態の家具用化粧粘着シート1を巻き取ってロー1Rの形態とする方が好ましい。
次に、家具用化粧粘着シート1の製造方法について説明する。
図5は、家具用化粧粘着シート1の製造装置を示す図である。
図6は、家具用化粧粘着シート1の製造方法を説明する図である。
家具用化粧粘着シート1の製造を行うためには、先ず、粘着層13を形成するための特許文献1に開示されているアクリルエマルジョンの組成物を攪拌機301に入れ、この組成物中に配管302経由で窒素ガスを混合しながら攪拌を行い、組成物中に気泡Bを含め、気泡含有組成物130を作製する(図中のP1:泡立て工程)。
次に、剥離性基材シート14上に気泡含有組成物130を塗工裝置303にて塗工する(図中のP2:塗工工程)。塗工工程では、例えば、塗工裝置(塗工ユニット)としてコンマコータを用いることができるが、その他の公知の塗工手法を用いてもよい。
剥離性基材シート14上に気泡含有組成物の液状塗工層130CLを塗工したら、該液状塗工層130CLを乾燥装置304内に気泡組成物130を塗工した性基材シート14を通過させることにより加熱しながら乾燥させて気泡含有組成物の固化塗工層130CSとして粘着層13を形成する(図中のP3:乾燥工程)。乾燥工程では、例えば、内部の雰囲気温度を60℃〜140℃程度とした乾燥炉を用いることができる。乾燥時間としては、例えば、30秒〜10分程度を例示することができる。また、乾燥工程では、気泡含有組成物130に対して所定温度の高温空気を送風を行いながら乾燥を促進してもよい。又、赤外線輻射、誘電加熱等の他の乾燥方式を採用することもできる。乾燥工程を行うことにより、気泡含有組成物130の固化塗工層130CSの露出面側(図6においては上側)及び剥離性基材シート14側の両面に凹形状13aが形成されて、粘着層13が形成される。この凹形状13aは、気泡含有組成物130中に含まれていた気泡のうち該露出面側近傍の気泡が破泡して固化塗工層130CSの露出面側に気泡の形状の一部が残り、一方、固化塗工層130CSと剥離性基材シート14との界面及びその近傍に集まった気泡が気泡含有組成物の固化によって、固化した該組成物中の気泡との界面形状が固定化することにより形成される。ここで、気泡含有組成物130の硬化が不十分な状態で気泡が破泡すると凹形状13aが残りにくくなる。一方、気泡が破泡する前に気泡含有組成物130が硬化してしまうと、凹形状13aが形成されないおそれがある。よって、ある程度、気泡含有組成物130の硬化が進んだ状態で破泡が行われる条件で乾燥工程が行われることが望ましい。したがって、乾燥工程における温度や送風量が、凹形状13aの状態に大きく影響を与える。
乾燥工程により粘着層13を形成した後、別途用意した基材層11及び樹脂層12を備える化粧層10を粘着層13と接合させる(図中のP4:ラミネート工程)。このラミネート工程では、粘着層13の凹形状13aによる吸着力(粘着力)によってラミネートを行うので、加熱が不要であり、また、僅かな加圧力だけで接合が可能である。よって、基材層11及び樹脂層12にダメージを与えることがない。
上記ラミネート工程が完了すれば、家具用化粧粘着シート1が完成する。
以上のように、本実施形態の家具用化粧粘着シート1の製造では、化粧層に粘着層13形成時の熱によるダメージを与えることなく、家具用化粧粘着シート1を効率よく製造可能である。なお、家具用化粧粘着シートは、その後、ロール状に巻き取ってもよいし、必要なサイズに裁断されてもよい。
次に、本実施形態の家具用化粧粘着シート1を実際に作製した例を示し、比較例と比較した結果を説明する。
実施例の家具用化粧粘着シート1では、剥離性基材シート14に離型性を備えた2軸延伸PETフィルム上に、200μmのクリアランス(塗工間隙)を有するコンマコータを用いて泡立て工程済みの気泡含有組成物130を塗布した。これを100℃の乾燥路内で1分間乾燥を行って粘着層13を形成し、化粧層10をラミネートして家具用化粧粘着シート1を得た。なお、この場合の粘着層13の密度は、0.58g/cmであり、厚さ50μmであった。
図7は、実施例の家具用化粧粘着シート1の粘着層13を裏面側(粘着面側)の方向から見て拡大した写真である。
図8は、実施例の家具用化粧粘着シート1の粘着層13の裏面側(粘着面側)近傍部分についてシート面に直交する方向の断面で拡大した図である。
図7及び図8に示すように、粘着層13には、多数の凹形状13aが形成されていることが確認できる。
なお、本明細書中においてシート面とは、各シートにおいて、其のシート全体として見た場合に、シートの平面方向となる面を示すものであるとする。図1においては、基材層11の表面又は裏面、或るいはこれらの面と平行な任意の面がシート面に相当する。
比較例1として、泡立て工程を行わない他は、上記実施例と同様にして作製した家具用化粧粘着シートを作製した。作製後の粘着層の密度は、0.87g/cmであり、厚さ100μmであった。
比較例2として、アクリル樹脂である綜研化学社製:SK2094を用いて泡立て工程無しで塗工して粘着層を作製した家具用化粧粘着シート(アクリル粘着Aタイプとする)を用意した。
比較例3として、アクリル樹脂である綜研化学社製:SK1502Cを用いて泡立て工程無しで塗工して粘着層を作製した家具用化粧粘着シート(アクリル粘着Bタイプとする)を用意した。
以上の4種類の家具用化粧粘着シートを用意し、剥離力について比較した。
図9は、実施例及び比較例の剥離力を示す図である。
図9中の剥離力は、引っ張り試験機を用いて、引っ張り速度300mm/minで180°剥離を行って、そのときの剥離力を測定した結果である。また、剥離力の測定は、貼り付け直後(0.5時間)と、貼り付け後1000時間経過とについて行った。
実施例では、貼り付け直後及び1000時間経過後の双方において、比較的小さな剥離力で剥離できることがわかる。この程度の剥離力であれば、自然に剥がれてしまうことはなく、かつ、剥がそうとして力を加えれば簡単に剥がすことが可能である。しかも、凹形状13aによる吸着であることから、剥離後に家具50に見立てた試験用被着体の表面に粘着層13の残留が無く、また、粘着層13自体の粘着力(剥離力)も実質上の変化は無く、再貼り付け可能であった。
比較例1は、小片であれば比較的小さな剥離力で剥離できるが、大サイズの場合は剥離にある程度の力が必要であった。また、剥離後には被着体表面に粘着層の残留が見られ、完全な再貼り付けは不可能であった。
比較例2は、大サイズの場合は剥離にある程度の力が必要であり、また、貼り付け直後であれば、剥がすことは可能であるが、1000時間経過後では、剥離力が大幅に上昇してしまっており、手作業では剥離が困難であったり、無理に剥がすと化粧層10が破損したりするおそれがある状態になっていた。
比較例3は、貼り付け直後から剥離力が大きすぎて、手作業では剥離が困難であったり、無理に剥がすと化粧層が破損したりするおそれがある状態になっていた。
また、比較例2及び比較例3のいずれも、剥離後は、試験用被着体に粘着材が一部残ってしまったり、粘着力の低下があったりして、再貼り付けには適していなかった。
(粘着層13の凹形状13aについて検証実験)
上述したように、本発明において、粘着層13の凹形状13aが、粘着力に大きな影響を与える。凹形状13aが粘着層13の両面に均等に設けられていないと、粘着層の一方の面が他方の面に比べて粘着力(吸着力)が低下、又は、増加してしまうおそれがある。また、凹形状13aが粘着層13の両面に均等に設けられることにより、粘着層13の物理的性質も均質になり、化粧層10と剥離性基材シート、又は、化粧層10と被着体との両者に対する十分な粘着力及び被着体との再剥離性の発現の上でも好ましい。
凹形状13aを粘着層13の両面に均等に設けるためには、粘着層13の塗布量(層厚t)の管理が重要である。この点、特許文献1(特開2017−36404号公報)においては、何ら考慮されておらず、単にマイクロ吸盤が形成されていればよいとされている。特許文献1では、WET膜厚800μmとして形成した実施例1の断面写真である図2(特許文献1の図2)において、マイクロ吸盤を有する面として示されている部分には、微細な吸盤構造が形成されているものの、ガラス基板から剥離した面として示されている部分には、先の微細な吸盤構造とは比べものにならない程巨大な気泡と思われる構成が確認できる。すなわち、特許文献1の構成では、粘着層の一方の面にはマイクロ吸盤(本実施形態における凹形状13aに相当)が形成されているが、他方の面には、マイクロ吸盤(凹形状13a)が略形成されていない。
この点を本件出願人においても、検証実験を行なった。
検証実験として、4種類の粘着層のサンプルを作製し、その両面の凹形状13aをSEMで観察した。サンプルは、以下の4種類である。
サンプル1:粘着層の層厚t=25μm
サンプル2:粘着層の層厚t=40μm
サンプル3:粘着層の層厚t=60μm
サンプル4:粘着層の層厚t≒2000μm
なお、上記サンプルの層厚は、乾燥後の層厚である。また、サンプル1〜3については、コーターを用いてガラス面に発泡処理後の気泡含有組成物を塗工し、100度の乾燥炉を用いて乾燥処理を行なった。サンプル4については、ガラス面への滴下塗布とし、常温下(室温20°C)の自然乾燥とした。なお、サンプル4について乾燥条件を変えたのは、特許文献1における常温乾燥で十分であるとの記載についても検証するためである。また、いずれのサンプルも、発泡処理後の粘着層の密度は、0.4g/cmとした。
図10は、サンプル1の観察結果を示す図である。
図11は、サンプル2の観察結果を示す図である。
図12は、サンプル3の観察結果を示す図である。
図13は、サンプル4の観察結果を示す図である。
図10から図12のように、粘着層の層厚tを管理し且つ加熱乾燥したサンプル1からサンプル3については、微細な凹形状13aが両面に均等に形成されていることが確認できた。
これに対して、図13に示す膜厚が厚いと共に常温乾燥したサンプル4では、乾燥面とガラス側面とで凹形状13aの大きさに極端な差異が認められ、特許文献1の図2と同様な結果が得られた。
よって、粘着層13の両面に凹形状13aを均等に設けるためには、粘着層13の層厚tは、20μm≦t≦60μmの範囲とすることが望ましいと判断できる。
ここで、この凹形状13aが粘着層13の両面に均等に設けられている状態について、より詳しくは、以下に示すような関係を満たすことが望ましい。
化粧層10側の面に開口する凹形状13aの各開口部の直径の平均値をDave とし、剥離性基材シート側(化粧層とは反対側)に開口する凹形状13aの各開口部の直径の平均値をDave としたときに、
|Dave −Dave |/Dave ≦0.5
の関係を満たすことが望ましい。
また、
|Dave −Dave |/Dave ≦0.25
の関係を満たすことがさらに望ましい。
これらの関係を満たすことにより、粘着層の両面における粘着力の差異を少なくすることができ、また、化粧層10と剥離性基材シート、又は、化粧層10と被着体との両者に対する十分な粘着力及び被着体との再剥離性を良好に発現させることができる。
このように粘着層の両面における粘着力の差異を少なくすることによって、家具用化粧粘着シート1の利便性を大幅に向上させることができる。すなわち、粘着層の両面における粘着力に差異がないことから、家具用化粧粘着シート1の具体的な使用形態に応じて、必要な粘着力の調整を行うことが容易となる。
例えば、家具用化粧粘着シート1を張り付ける被着体である家具50或いは剥離性基材シート14と粘着層との間の粘着力が強過ぎる場合には、家具用化粧粘着シート1を剥がすときに、化粧層10と粘着層13との界面で剥離してしまう(所謂「糊残り」を生じる)おそれがある。このような場合には、あらかじめ被着体側に粘着力を弱めるプライマー処理を行うことにより、粘着力のバランス調整を容易に行うことが可能である。
又、化粧層10と粘着層13との間の粘着力が弱過ぎる場合には、やはり、家具用化粧粘着シート1を剥がすときに、化粧層10と粘着層13との界面で剥離してしまうおそれがある。このような場合には、予め化粧層10側に粘着力を強めるプライマー処理を行うことにより、粘着力のバランス調整を容易に行うことが可能である。
なお、各開口部の直径の平均値とは、全ての開口部の平均を求めることは現実的には不可能であるので、ここでは、1500μm×1100μmの観察範囲内において、直径が大きい開口部から順に3個の開口部について直径の計測を行ない、その平均値とした。
ここで、図10から図13のサンプルについて、開口部の計測を行ない、|Dave −Dave |/Dave を求めたところ、サンプル1:0.04、サンプル2:0.06、サンプル3:0.12、サンプル4:0.69であった。
なお、各開口部の直径の平均値の求め方としては、上述した手法は、一例であって、実際の粘着層13の形態に応じて、適宜最適化することが望ましい。例えば、極端に直径が大きな開口部や、開口形状が歪んだ開口部等の特異な開口部については、平均値の演算から除外するとよい。また、直径が大きい開口部から順に3個をサンプルとせずに、直径が大きい開口部から順に3個までは除外して、それ以降の大きさの開口部について、平均値の演算のサンプルとしてもよい。また、サンプルの数Nも、3個よりも多くして精度を向上してもよい。特異な開口部形状を含む場合の他、開口部の直径の分散σ(バラツキ)が大きい場合については、サンプル数Nは、i=1又は2として、N個の開口部直径の数値を平均値Davgi(N)をN個のサンプルデータを別のデータに変えながら複数個求めた場合のDavgi(N)の値の分散σi(N)が所望の精度に收束するに足るような大きさのサンンプル数Nを決定すればよい。一般的には、Nは多い程分散σi(N)が小さくなる(收束する)為、好ましいが、Nの増加に伴い測定と計算とが煩雜となる。通常は、本発明の粘着層の開口部の場合、N=5〜100、より好ましくはN=10〜30が平均値の精度(收束性)と測定、計算の手間とのバランンスの点から好ましい。
(家具)
本発明の家具用化粧粘着シート1は、各種の家具に貼ることができ、家具用化粧粘着シート1を貼り付けた家具が構成される。
本発明の家具用化粧粘着シートを適用する家具としては、図2に例示した間仕切に限らず、例えば、机、食卓、箪笥、食器棚等の棚、流し台、下駄箱、寝台、椅子、テレビジョン受像機の置台等の各種家具であってもよいし、テレビジョン受像機の筐体、冷蔵庫の筐体、エアーコンディショナーの筐体等の各種電化製品の筐体であってもよい。したがって、本発明における家具とは、机、食卓、箪笥、食器棚等の棚、流し台、下駄箱、寝台、椅子、テレビジョン受像機の置台等の各種家具、間仕切、テレビジョン受像機の筐体、冷蔵庫の筐体、エアーコンディショナーの筐体等の各種電化製品の筐体を含むものである。また、家具の材料としては、杉、檜、松、ラワン等の各種樹種からなる木材、鉄、銅、アルミニウム、チタニウム、又はこれらを含む合金等の金属、各種セラミックス、セメント、石膏、珪酸カルシウム等の窯業系非金属無機材料、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等の材料が1種単独で又は2種以上を積層、混合、その他形態で複合化した物、電化製品の筐体に用いられるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート等の各種熱可塑性樹脂が使用できる。また、家具用化粧粘着シート1は、家具の全面に貼り付けてもよいし、部分的に貼り付けて部分加飾(アクセントカラー)として、或いは家具表面の傷や汚れを生じた箇所の表面上に貼り付けて、傷や汚れの補修用として用いてもよい。
(化粧層10の他の形態)
上述の説明では、化粧層10は、凹凸形状を有した樹脂層12を備える形態を例示した。しかし、化粧層は、凹凸形状を設けず、印刷のみにより意匠性を付与する形態としてもよい。
図14は、印刷により化粧層20を形成した例を示す図である。
図14に示す例では、化粧層20は、ベタ印刷層16と、模様印刷層17と、表面保護層18とを備えている。これらの各層を構成するためのインキとしては、先に説明した絵柄層に用いるインキとして例示した各種インキを適宜用いることがでる。
また、図14に示した構成に限らず、適宜構成と省略したり、追加したりしてもよい。
例えば、模様印刷層17と、表面保護層18とを設けずにベタ印刷層16のみを設けてもよい。
また、ベタ印刷層16を設けず、模様印刷層17と、表面保護層18とを設けてもよい。
さらに、模様印刷層17を設けずに、ベタ印刷層16と、表面保護層18とを設けてもよい。
さらにまた、表面保護層18を設けずに、ベタ印刷層16と、模様印刷層17とを設けてもよい。
また、ベタ印刷層16と、表面保護層18とを設けずに、模様印刷層17のみを設けてもよい。
さらに、模様印刷層17に相当する層を複数層設けてもよい。
その他、印刷により構成される化粧層20の構成は、公知の様々な印刷手法を用いて構成することができる。
以上説明したように、本実施形態の家具用化粧粘着シート1は、粘着層13の両面に気泡に基づく凹形状が複数形成されている。よって、化粧層を加熱することなく家具用化粧粘着シートとすることができ、化粧層にダメージを与えることなく容易に製造可能である。
また、粘着層13の粘着力は、凹形状13aの吸着力によるものであるから、リワーク性が高く、貼り付けを失敗したとしても張り直しが容易であり、使い勝手がよい。
さらに、凹形状13aは、微細なサイズであって多数設けられていることから、家具の表面に多少の凹凸が有ったとしても、粘着力(吸着力)を発揮することができる。
さらにまた、家具用化粧粘着シート1を剥がした後の家具の表面には、糊残りのような現象は発生しないことから、清掃の必要がなく、そのまま再貼り付けを行うことができ、作業性が良好である。
また、本実施形態の家具用化粧粘着シート1は、加熱することなく粘着層13を形成可能であることから、熱に弱い化粧層を含め、様々な形態の化粧層を利用して家具用化粧粘着シートを構成することが可能である。
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)実施形態において、化粧層の構成は、基材と樹脂層とを備える構成である例を挙げて説明した。ただし、本発明においてはこれに限らず、例えば、化粧層は、単層であってもよいし、3層以上のより複雑な構成であってもよい。また、化粧層の素材は、実施例に挙げた例の他、紙や熱可塑性樹脂等により構成されていてもよい。
(2)図においては、家具50の化粧対象面(何れか片面又は両面)の全面に亙って本発明の家具用化粧粘着シート1を貼り付けて化粧する形態を例に挙げて説明した。ただし、本発明においてはこれに限らず、例えば、家具50の化粧対象面の一部領域表面にのみ家具用化粧粘着シート1を貼り付けて化粧してもよい。
なお、各実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
1 家具用化粧粘着シート
10,20 化粧層
11 基材層
12 樹脂層
1a 凹凸形状
13 粘着層
13a 凹形状
14 剥離性基材シート
15 プライマー層
16 ベタ印刷層
17 模様印刷層
18 表面保護層
50 家具
130 気泡含有組成物
301 攪拌機
302 配管
303 塗工裝置
304 乾燥裝置
305 ラミネート裝置

Claims (11)

  1. 化粧層と、
    前記化粧層の裏面側に積層された粘着層と、
    を備え、
    前記粘着層は、その両面に複数の凹形状を備えており、
    前記凹形状は、前記粘着層の両面に均等に形成されており、
    前記化粧層側の面に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave とし、前記化粧層とは反対側に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave としたときに、
    |Dave −Dave |/Dave ≦0.5
    の関係を満たす家具用化粧粘着シート。
  2. 請求項1に記載の家具用化粧粘着シートにおいて、
    前記粘着層の層厚tは、20μm≦t≦60μmの範囲にあること、
    を特徴とする家具用化粧粘着シート。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の家具用化粧粘着シートにおいて、
    前記粘着層は、気泡を含有する液状の樹脂組成物を硬化したものであり、
    前記気泡に基づく前記凹形状が両面に複数形成されていること、
    を特徴とする家具用化粧粘着シート。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれかに記載の家具用化粧粘着シートにおいて、
    前記化粧層と前記粘着層との間には、プライマー層が設けられていること、
    を特徴とする家具用化粧粘着シート。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれかに記載の家具用化粧粘着シートにおいて、
    前記粘着層は、密度が0.1g/cm以上、0.7g/cm以下であること、
    を特徴とする家具用化粧粘着シート。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれかに記載の家具用化粧粘着シートにおいて、
    前記化粧層は、基材層を備えること、
    を特徴とする家具用化粧粘着シート。
  7. 請求項6に記載の家具用化粧粘着シートにおいて、
    前記基材層は、着色されていること、
    を特徴とする家具用化粧粘着シート。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれかに記載の家具用化粧粘着シートにおいて、
    前記粘着層の裏面側には、剥離性基材シートが積層されていること、
    を特徴とする家具用化粧粘着シート。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれかに記載の家具用化粧粘着シートにおいて、
    ロール状に巻いた形態に構成されていること、
    を特徴とする家具用化粧粘着シート。
  10. 請求項1から請求項7までのいずれかに記載の家具用化粧粘着シートが貼り付けられた、家具。
  11. 請求項10に記載の家具において、
    家電製品の筐体、又は、間仕切に前記家具用化粧粘着シートが貼り付けられた、家具。
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