JP2004322339A - 化粧シート - Google Patents

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Abstract

【課題】塩化ビニル樹脂以外の材料を用いて、適度な柔軟性、耐摩耗性、耐傷性、耐薬品性、後加工性に加えて、常温のみならず90℃以上の高温でも十分なラミネート強度を有し、更に耐候性に優れ且つその強度発現を温乾養生なしに短時間で発現する化粧シートを提供する。
【解決手段】非塩化ビニル系材料からなる基材シート1の表面上に、アンカーコート層3と、不飽和カルボン酸あるいはその無水物で変性したランダムポリプロピレン樹脂からなる接着性樹脂層4と、ポリプロピレン樹脂層5とをこの順に具備してなる化粧シートにおいて、前記アンカーコート層3が、高分子ポリエステルポリオールからなる主剤成分と、ヘキサメチレンジイソシアネートのビューレット体からなる硬化剤成分との反応生成物であるイソシアネート硬化型樹脂からなり、且つ、その硬化塗膜の100%モジュラス値が10MPa以上25MPa以下であることを特徴とする化粧シートである。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木質系ボード類、無機質系ボード類、金属板等の表面に接着剤で貼り合わせて化粧板として用いる化粧シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、前記化粧板の用途に用いられる化粧シートとしては、塩化ビニル樹脂製シートが最も一般的であった。しかし近年になって、塩化ビニル樹脂は焼却時に酸性雨の原因となる塩化水素や猛毒物質であるダイオキシンの発生の要因となり、さらに塩化ビニル樹脂製シートに添加された可塑剤のブリードアウトの問題もあり、環境保護の観点から問題視されるようになった。係る事情により、塩化ビニル樹脂に替わる樹脂を使用した化粧シートが要望されるようになった。
【0003】
そこで、塩化ビニル樹脂に替わる樹脂としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アクリル等の樹脂または共重合体を使用した化粧シートが提案されるようになった。
【0004】
その中でも、化粧シートに要求される適度な柔軟性、耐摩耗性、耐傷性、耐熱性、耐薬品性、後加工性等を備え、なおかつ安価に供給されるポリプロピレンを用いた化粧シートが数多く提案されている。中には単層の物もあるが、意匠性も重視されるため2層以上の積層体から成る物が大部分を占める(特許文献1等)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−198831号公報
【0006】
ポリプロピレン樹脂は、同種又は異種の樹脂との接着性に乏しい樹脂であるため、ポリプロピレン樹脂層を他の樹脂層(基材シート)に溶融押出ラミネートする際は、例えば、マレイン酸変性ポリエチレン樹脂や、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などの接着性樹脂層と共に共押出ラミネートするのが一般的である(特許文献2等)。
【0007】
【特許文献2】
特開平8−230113号公報
【0008】
しかるに近年、単に塩化ビニル樹脂以外の非塩化ビニル系材料(非ハロゲン系材料)を使用した化粧シートというだけでなく、さらなる物性向上を要求する声が大きい。そのひとつに耐熱性のさらなる向上というものがある。従来の非塩化ビニル系化粧シートは表面温度又は雰囲気温度が90℃以上になるとラミネート強度が著しく低下してしまうからである。
【0009】
高温でのラミネート強度の低下の主たる原因は、前記した接着性樹脂層に用いていた、マレイン酸変性ポリエチレン樹脂やエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などが、90℃以上の高温では熱軟化により内部凝集力が低下してしまうことにあると考えられている。そこで、接着性樹脂層に、耐熱性の高いマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を採用することを、本発明者らは既に提案した(特許文献3)。
【0010】
【特許文献3】
特開2001−228498号公報
【0011】
しかし、上記の樹脂は一般に、90℃以上の高温でも常温と比較しての内部凝集力の低下は少ないものの、マレイン酸変性ポリエチレン樹脂等と比較すれば剛性が高く、柔軟性や界面粘着力には劣るので、剥離時の応力による変形に追従しきれずに界面剥離を発生しやすい傾向がある。従って、接着性樹脂層に単にマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を採用したのみでは、必ずしも十分なラミネート強度を得ることができない。
【0012】
そこで、上記マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂の中でも特に柔軟性に富む性質を持つマレイン酸変性ランダムポリプロピレン樹脂を採用する(特許文献4)と共に、アンカーコート層の硬化剤成分としてイソホロンジイソシアネート及び4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物を用いたイソシアネート硬化型樹脂を採用した化粧シートをも、本発明者らは既に提案した(特許文献5)。
【0013】
【特許文献4】
特開2001−353828号公報
【特許文献5】
特開2003−103735号公報
【0014】
上記アンカーコート層の樹脂は、マレイン酸変性ランダムポリプロピレン樹脂との接着性が高く界面剥離が発生しにくく、硬化速度も速い為、ラミネート強度に関しては良好な特性を示した。ところが、イソホロンジイソシアネートのポリプロピレンに対する密着性の高さがポリプロピレン最表層部の凝集破壊という剥離形態を発生させ、特に耐候性において強度低下が見られるという問題があることが判明した。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、塩化ビニル樹脂以外の材料を用いて、適度な柔軟性、耐摩耗性、耐傷性、耐薬品性、後加工性に加えて、常温のみならず90℃以上の高温でも十分なラミネート強度を有し、更に耐候性に優れ且つその強度発現を温乾養生なしに短時間で発現する化粧シートを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に係る発明は、非塩化ビニル系材料からなる基材シートの表面上に、アンカーコート層と、不飽和カルボン酸あるいはその無水物で変性したランダムポリプロピレン樹脂からなる接着性樹脂層と、ポリプロピレン樹脂層とをこの順に具備してなる化粧シートにおいて、前記アンカーコート層が、高分子ポリエステルポリオールからなる主剤成分と、ヘキサメチレンジイソシアネートのビューレット体からなる硬化剤成分との反応生成物であるイソシアネート硬化型樹脂からなり、且つ、その硬化塗膜の100%モジュラス値が10MPa以上25MPa以下であることを特徴とする化粧シートである。
【0017】
次に本発明の請求項2に係る発明は、前記ポリプロピレン樹脂層の表面上に、アクリルポリオールからなる主剤成分と、イソシアネート化合物からなる硬化剤成分との反応生成物であるイソシアネート硬化型樹脂からなる硬化塗膜層を少なくとも1層具備することを特徴とする請求項1記載の化粧シートである。
【0018】
さらに本発明の請求項3に係る発明は、前記基材シートの裏面に、ポリエステルポリオールからなる主剤成分と、イソシアネート化合物からなる硬化剤成分との反応生成物であるイソシアネート硬化型樹脂からなるプライマーコート層を少なくとも1層具備することを特徴とする請求項2記載の化粧シートである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に従って説明すれば、図1は本発明に係る化粧シートの断面図の一例を示す。
【0020】
本発明の請求項1、請求項2、請求項3に係る発明の化粧シートの基本構成は、図1に示すように、非塩化ビニル系の材料からなる基化粧シート用の材シート1と、アンカーコート層3と、化粧シート積層用の中間接着材層としての不飽和カルボン酸あるいはその無水物で変性したランダムポリプロピレン樹脂からなる接着性樹脂層4と、ポリプロピレン樹脂層5とを少なくとも具備して構成されるものである。
【0021】
基材シート1に対して、隠蔽性の付与のための隠蔽層や、意匠柄の付与のための模様層2を形成する方法としては、基材シート1の表面あるいは裏面、あるいはその両方にグラビア印刷、凹版印刷、フレキソ印刷、シルク印刷、静電印刷、インクジェット印刷等の公知の印刷方法により印刷するのが一般的であるが、必ずしもこの限りではない。また用いられるインキも公知の物、すなわちビヒクルに染料または顔料等の着色剤や体質顔料などを添加し、さらに可塑剤、安定剤、ワックス、グリース、乾燥剤、硬化剤、増粘剤、分散剤、充填剤等を任意に添加して溶剤、稀釈剤等で十分混練してなるインキでよい。
【0022】
また上記化粧シート用の基材シート1とは別の任意の転写用基材シートに、上記形成方法等によって隠蔽層あるいは模様層2、あるいはその両方を形成しておき、後に詳述する熱ラミネート法、ドライラミネート法、又はウェットラミネート法、押出ラミネート法等により、上記基材シート1と貼り合わせた後に、前記転写用基材シートを剥離して、隠蔽層あるいは模様層2あるいはその両方を基材シート1に転写する方法を用いる事もできる。
【0023】
また、基材シート1の製造方法としてTダイ押出法を用いる場合には、基材シート1を製膜するための合成樹脂材料を染料や顔料などの隠蔽性のある着色剤により直接着色して加熱溶融状態でTダイから押出して、基材シート1を製膜することにより隠蔽性の効果を持たせることもできる。
【0024】
この場合のTダイ押出法における基材シート1の着色方法としては、顔料を分散助剤や界面活性剤で処理した微粉末状の着色剤を、基材シート1を製膜するための着色されていない通常の合成樹脂材料中に直接混入して使用するドライカラー法、あるいは基材シート1を製膜するための着色されていない通常の合成樹脂材料と高濃度の顔料とを溶融混練して予備分散せしめたマスターバッチペレットを予め作成し、押出機のホッパ内で、このマスターバッチペレットと基材シート1を製膜するための着色されていない通常の合成樹脂材料とをドライブレンドするというマスターバッチ法等があるが、特に限定される物ではない。
【0025】
顔料の種類も通常用いられているものでよいが、特に耐熱性、耐候性を考慮して、酸化チタン、群青、カドミウム顔料、酸化鉄等の無機顔料が望ましい。また有機顔料でもフタロシアニン顔料、キナクリドン顔料等は使用できる。顔料の対樹脂比率や色は、必要な隠蔽の度合い、意匠性等を鑑みて適宜決められるものであり、特に制約はない。
【0026】
基材シート1に模様層2を施す方法としては、基材シート1の表面に施す方法と、基材シート1自体(基材シート1の層内)に施す方法とがあり、基材シート1の表面に施す方法としては前述した印刷方式や転写方式を用いることが出来、基材シート1自体に施す方法としては、高濃度の顔料を基材シート1の樹脂とは流動特性の異なる樹脂に溶融混練して予備分散せしめたマスターバッチペレット、あるいは木粉、ガラス粉末等を、基材シート1を製膜するための隠蔽性を付与した上記合成樹脂材料に添加して加熱溶融し、押出し、製膜して隠蔽性のある基材シート1自体にマスターバッチペレットや木粉、ガラス粉末等による模様を形成する方法もある。勿論、基材シート1自体を着色して隠蔽性を付与したり模様を形成したりするこれらの方法と前述した印刷方法、転写方法等とを併用することもできる。
【0027】
また、隠蔽性のある基材シート1の製造方法としてカレンダー法を用いる場合には、同様の手法、即ち基材シート1自体を着色して隠蔽性を付与したり模様を形成したりする方法、または前述した印刷方法、転写方法等、あるいはそれらを併用した手法で、基材シート1に対して隠蔽性の付与や模様の形成を行うことができる。
【0028】
本発明の上記請求項1、請求項2、請求項3に係る発明の化粧シートにおいて、隠蔽性のある基材シート1の表面上に、透明なポリプロピレン樹脂層5を積層する理由は、意匠性、模様層の保護および耐傷性、耐摩耗性、耐薬品性等を化粧シートに付与するためであり、又、模様層2及び透明なポリプロピレン樹脂層5自体の耐候劣化を防ぐ目的から、ポリプロピレン樹脂層5にベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等の紫外線吸収剤及びベンゾエート系、ヒンダードアミン系等の光安定剤を適宜添加しても良い。
【0029】
更に押し出し時又は使用環境での熱劣化対策としてヒンダードフェノール系、リン系等の熱安定剤、帯電防止剤、難燃剤等の添加剤を用途に応じて添加しても良い。
【0030】
本発明の上記請求項1、請求項2、請求項3に係る化粧シートにおける隠蔽性のある基材シート1と透明なポリプロピレン樹脂層5との積層方法としては、基材シート1上にポリプロピレン樹脂をTダイから溶融押出すると同時に積層する押出ラミネート法、両方の樹脂をTダイから溶融押出する共押出法等がある。この中で押出ラミネート法が最も生産性が良いため好適に用いられる。
【0031】
ここで問題となるのが、基材シート1とポリプロピレン樹脂層5とのラミネート強度である。特に、図1に示す本発明の請求項1、請求項2、請求項3に係る発明の化粧シートにおいて充分なラミネート強度を得るためには、基材シート1(模様層2が付与されている)にアンカーコート層3を塗布し、該アンカーコート層3上に接着性樹脂層4とポリプロピレン樹脂層5とを共押出しにて積層する方法が有利であることが知られている。なお、更に該接着性樹脂層4となる押し出された樹脂に対してオゾンガスを吹き付けてラミネート強度を更に向上させる方法も公知である(前記特許文献3等)。
【0032】
接着性樹脂層4となる押し出された樹脂に対してオゾンガスを吹き付けるオゾン処理装置も一般的なものであれば良く、特に制約されるものではない。オゾン処理量としては、低濃度高流量型、高濃度低流量型があり一概には言えないが、あまり流量が多いと溶融樹脂の膜割れ、温度低下等の悪影響が考えられるため、オゾン処理条件としては、オゾン濃度20〜50g/Nm、オゾン流量1〜10Nm/hが良好である。
【0033】
しかし、マレイン酸変性ポリエチレン樹脂や、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などの接着性樹脂層を共押し出ししてラミネートする場合は上記方法で十分な常温ラミネート強度を得ることが可能であるが、高温下での十分なラミネート強度を得ることはできない。
【0034】
この為、係る化粧シートにおける常温下および高温下でのラミネート強度を両立させるために接着性樹脂層4に用いる樹脂として、不飽和カルボン酸あるいはその無水物で変性したランダムポリプロピレン樹脂(例えば無水マレイン酸でグラフト重合したランダムポリプロピレン樹脂)を用いることにより解決できることを、本発明者らは既に見出した(前記特許文献4)。
【0035】
上記不飽和カルボン酸あるいはその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸およびそれらの無水物が挙げられるが、これらの中で無水マレイン酸が特に好ましい。また、これらの不飽和カルボン酸あるいはその無水物の単位の量は、組成物1gあたりのカルボニル基として1×10−4ミリモル当量以上1×10−1ミリモル当量以下であることが好ましい。変性によって含有される不飽和カルボン酸あるいはその無水物の単位の量が1×10−4ミリモル当量未満では充分な効果は発現しないし、1×10−1ミリモル当量を越えても接着性を改善する効果は小さくなるからである。
【0036】
さらに本発明では上記接着性樹脂層4と基材シート1との界面に設けるアンカーコート層3として、高分子量ポリエステルポリオールからなる主剤成分と、ヘキサメチレンジイソシアネートのビューレット体からなる硬化剤成分との反応でウレタン結合を生成するイソシアネート硬化型樹脂であって、さらに硬化塗膜の100%モジュラス値が10MPa以上25MPa以下である様なイソシアネート硬化型樹脂を用いると、アンカーコート層3の柔軟性が増し、界面粘着力が向上して、剥離応力による変形に追従し界面剥離を発生しにくく且つ接着性樹脂層4に用いる不飽和カルボン酸あるいはその無水物で変性したランダムポリプロピレン樹脂の最表層剥離を発生させるほどの接着力はないため、耐候性能が向上する。
【0037】
上記イソシアネート硬化型樹脂の硬化塗膜の100%モジュラス値が10MPa未満であると、初期ラミネート強度の立ち上がりが低く、充分なラミネート強度を得る為に長時間放置若しくは温乾養生することが必要となり、生産性に悪影響を及ぼす。一方、100%モジュラス値が25MPaを越えると、アンカーコート層3の柔軟性が十分でなくなり、剥離時の応力による変形に追従しきれずに界面剥離を起こすため、十分なラミネート強度を得ることが出来ない。
【0038】
又、アンカーコート剤のイソシアネート成分としてヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体又は三量体若しくはヘキサメチレンジイソシアネート以外のイソシアネート化合物(トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート若しくは各々の誘導体)を用いると、硬化塗膜の100%モジュラス値が高くなり、アンカーコート層3の柔軟性が十分でなくなって、剥離時の応力による変形に追従しきれずに界面剥離を起こすため、十分なラミネート強度を得ることが出来ない。
【0039】
ここで、100%モジュラス値とはJIS K−6301により規定される試験方法により引張試験をした際の試料片の伸びが100%に達した時の弾性率の値である。この100%モジュラス値を希望とする値に近づける為には、イソシアネート硬化型樹脂にあたる高分子量ポリエステルポリオール成分の組成及び分子量を適宜変更することにより調整が可能であり、該高分子量ポリエステルポリオール成分の分子量としては、特に規定されるものではないが、20000〜100000の分子量を持つことが好ましい。
【0040】
また、アンカーコート層3の形成方法は、グラビア法(グラビア印刷法、グラビア塗布法)が好適に用いられるが、何ら限定されるものではない。
【0041】
また、化粧シートの表面の手触り感や、より一層の意匠感を得るため、図1に示すように化粧シート表面の透明なポリプロピレン樹脂層5に凹陥模様5aを施し、その凹陥部内に充填インキを埋め込み(ワイピング)、そのポリプロピレン樹脂層5の最外表面に紫外線遮蔽及び耐傷性向上の目的によりトップコート層6を設けると、紫外線劣化によるラミネート強度の低下を遅らせる事が可能になる。
【0042】
凹陥模様5aを施す方法としては、通常の熱圧エンボス加工法でよく、何ら限定されるものではない。また、前記ポリプロピレン樹脂層5の積層方法としてTダイ押出法(接着性樹脂層4とポリプロピレン樹脂層5との2層共押出し製膜法)を用いる場合には、溶融押し出された樹脂を冷却固化させるチルロールの表面に凹陥模様5aを反転した凸状模様を設けておき、押し出された樹脂をチルロールとプレスロールとの間でエンボスして、ポリプロピレン樹脂層5の表面に凹陥模様5aを施す方法が一般的である。
【0043】
トップコート層6に使用する材料としては、アクリルポリオールからなる主剤成分とイソシアネート化合物からなる硬化剤成分とから構成されるイソシアネート硬化型樹脂が一般的であり、さらには耐候性を付与するために、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等の紫外線吸収剤や、ベンゾエート系、ヒンダードアミン系等の光安定剤を適宜添加しても良い。
【0044】
又、シリカ、アルミナ、ガラスビーズ等の無機充填剤を添加することにより表面の艶調整及び表面の耐傷付き性が付与されるので適宜添加すると良い。トップコート層6の形成方法はグラビア法(グラビア印刷法、グラビア塗布法)が好適に用いられるが何ら限定されるものではない。
【0045】
化粧シートと合板、中質繊維板、金属板等とを貼り合わせて化粧板とする際には、エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、ホットメルト接着剤等の接着剤を使用するが、該接着剤との密着性を向上させる手法として、化粧シート裏面(基材シート1の裏面)に例えばポリエステルポリオールからなる主剤成分とイソシアネート化合物からなる硬化剤成分とで構成される二液硬化型ウレタンタイプ、又は一液湿気硬化型ウレタンタイプのプライマーコート層7を形成する。塗布量としては前記貼り合わせに使用する接着剤にもよるが0.5〜2g/mが一般的であり、塗布方法としてはグラビア法(グラビア印刷法、グラビア塗布法)が一般的に用いられるが特に限定されるものではない。又、更に密着性を向上させる為に、プライマーコート層7にシリカ、硫酸バリウム等のフィラーを添加することも一般的に行われている。
【0046】
【実施例】
以下に、本発明の化粧シートの具体的実施例を説明する。
【0047】
<実施例1>
図1に示すように、基材シート1として、ランダムポリプロピレン樹脂に無機顔料を6重量%、フェノール系酸化防止剤を0.2重量%、ヒンダードアミン系光安定剤を0.3重量%、ブロッキング防止剤を0.2重量%添加した樹脂を、溶融押出したシートを用い、そのシート表面にコロナ処理を施した後、グラビア印刷法により絵柄用インキ(東洋インキ製造(株)製;ラミスター)を使用して木目模様を施し、模様層2を形成した。さらに該木目模様の模様層2上に、硬化塗膜の100%モジュラス値が15MPaとなる2液硬化型のウレタン系アンカーコート剤(主剤成分は重量平均分子量50000の高分子量ポリエステルポリオール、硬化剤成分はヘキサメチレンジイソシアネートのビューレット体を使用)をグラビア印刷法により塗工してアンカーコート層3を形成した。
【0048】
これとは別に、透明なポリプロピレン樹脂層5としてホモポリプロピレン樹脂にフェノール系酸化防止剤を0.2重量%、ヒンダードアミン系光安定剤を0.3重量%、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.5重量%、ブロッキング防止剤を0.2重量%添加した樹脂と、接着性樹脂層4として無水マレイン酸でグラフト重合した酸変性ランダムポリプロピレン樹脂(酸変性ランダムポリプロピレン1g中のカルボニル基含量は0.02ミリモル当量)とを、導管エンボスの施されたチルロールとプレスロールとの間に、前記基材シート1を介してTダイにより共押出を行い、さらに基材シート1とラミネートする直前に、前記接着性樹脂層4となる共押出した酸変性ランダムポリプロピレン樹脂面にオゾン処理装置によりオゾンガスを吹き付けて、ラミネートとエンボス付与とを同時に行うことにより、模様層2の施された基材シート1上のアンカーコート層3面に、接着性樹脂層4を介して、表面に凹陥模様5aがエンボスされたポリプロピレン樹脂層5をラミネートしたところ、何ら問題なくラミネート出来た。
【0049】
このラミネートされた積層体の凹陥模様5aが施された透明ポリプロピレン樹脂層5の最外表面に、ウレタン系トップコート剤を用いてトップコート層6を施し、さらに基材シート1裏面にウレタン系プライマーコート層7を施して、図1に示す本発明の化粧シートを得た。
【0050】
<比較例1>
上記実施例1において、接着性樹脂層4に無水マレイン酸でグラフト重合した酸変性ポリエチレン樹脂を使用した他は、上記実施例1と同様の手順で化粧シートを作成し、比較例1の化粧シートを得た。
【0051】
<比較例2>
上記実施例1において、接着性樹脂層4に無水マレイン酸でグラフト重合した酸変性ホモポリプロピレン樹脂を使用した他は、上記実施例1と同様の手順で化粧シートを作成し、比較例2の化粧シートを得た。
【0052】
<比較例3>
上記実施例1において、アンカーコート層3に用いるアンカーコート剤に配合するイソシアネート化合物からなる硬化剤成分をヘキサメチレンジイソシアネートの三量体に変更した他は、上記実施例1と同様の手順で化粧シートを作成し、比較例3の化粧シートを得た。
【0053】
<比較例4>
上記実施例1において、アンカーコート層3に用いるアンカーコート剤を、硬化塗膜の100%モジュラス値が27MPaとなるようなアンカーコート剤に変更した他は、上記実施例1と同様の手順で化粧シートを作成し、比較例4の化粧シートを得た。
【0054】
<比較例5>
上記実施例1において、アンカーコート層3に用いるアンカーコート剤を、硬化塗膜の100%モジュラス値が5MPaとなるようなアンカーコート剤に変更した他は、上記実施例1と同様の手順で化粧シートを作成し、比較例5の化粧シートを得た。
【0055】
このようにして上記実施例1、比較例1〜5にて得られたそれぞれの化粧シートについて、ラミネート直後より5℃雰囲気下に放置した際にラミネート強度が1200N/mに達するまでの時間(単位[時間])、及び、その後23℃雰囲気下、90℃にて120時間加熱、サンシャインウェザオメーター(SWOM)耐候性試験機にて紫外線照射1000時間後の各化粧シートのラミネート強度(単位[N/m])を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0056】
【表1】
Figure 2004322339
【0057】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明の化粧シートは、塩化ビニルを一切使用しないため環境問題の心配もなく、且つ適度な柔軟性、耐摩耗性、耐傷性、耐薬品性、後加工性に加えて、90℃以上の高温や紫外線に曝されてもラミネート強度の低下が少ない耐熱性、耐候性を有するという高性能を備えており、しかも製造後長期間の放置や温乾養生を経なくても短時間でラミネート強度を発現するので生産性にも優れた化粧シートを提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による化粧シートの一例を示す側断面図。
【符号の説明】
1…基材シート 2…模様層 3…アンカーコート層
4…接着性樹脂層 5…ポリプロピレン樹脂層
5a…凹陥模様 6…トップコート層
7…プライマーコート層

Claims (3)

  1. 非塩化ビニル系材料からなる基材シートの表面上に、アンカーコート層と、不飽和カルボン酸あるいはその無水物で変性したランダムポリプロピレン樹脂からなる接着性樹脂層と、ポリプロピレン樹脂層とをこの順に具備してなる化粧シートにおいて、前記アンカーコート層が、高分子ポリエステルポリオールからなる主剤成分と、ヘキサメチレンジイソシアネートのビューレット体からなる硬化剤成分との反応生成物であるイソシアネート硬化型樹脂からなり、且つ、その硬化塗膜の100%モジュラス値が10MPa以上25MPa以下であることを特徴とする化粧シート。
  2. 前記ポリプロピレン樹脂層の表面上に、アクリルポリオールからなる主剤成分と、イソシアネート化合物からなる硬化剤成分との反応生成物であるイソシアネート硬化型樹脂からなる硬化塗膜層を少なくとも1層具備することを特徴とする請求項1記載の化粧シート。
  3. 前記基材シートの裏面に、ポリエステルポリオールからなる主剤成分と、イソシアネート化合物からなる硬化剤成分との反応生成物であるイソシアネート硬化型樹脂からなるプライマーコート層を少なくとも1層具備することを特徴とする請求項2記載の化粧シート。
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