JP6477000B2 - 不燃性化粧シート及び不燃性化粧部材 - Google Patents

不燃性化粧シート及び不燃性化粧部材 Download PDF

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Description

本発明は、住宅等の建築物における壁材、天井材、床材等の内外装材として使用される、不燃対応の化粧シート及びこれを用いた化粧部材に関する。
化粧シートは、例えば熱可塑性樹脂フィルムからなる基材シート上に、適宜の絵柄の印刷を施し、その上に透明な熱可塑性樹脂フィルムを積層した構成からなる。
上記熱可塑性樹脂フィルムとしては、かつてはポリ塩化ビニル樹脂フィルムが最も一般的であったが、用途によっては、表面側の透明な熱可塑性樹脂フィルムとして、耐候性や透明性に優れたアクリル系樹脂フィルムが採用される。
また、基材シートについても近年では、燃焼時の有害物質発生問題に鑑みて、ポリ塩化ビニル樹脂フィルムから非塩素系樹脂フィルムへの切り替えが進みつつあり、該非塩素系樹脂フィルムとしては、ポリオレフィン系樹脂フィルムが採用されるのが最も一般的である。
このような化粧シートはその用途によっては、落ち着きのある高級な外観意匠を持たせるために、表面を艶消し仕上げとすることが要求される場合がある。例えば、透明アクリル樹脂フィルムとして、表面が平滑な光沢面であるグロスクリヤーフィルムを使用する場合には、その表面に砂目状又は梨地状等の艶消面のエンボス加工を施すことになるが、このエンボス加工時の熱又は圧力の不足により十分な艶消し感が出なかったり、熱ムラ又は圧力ムラのために艶ムラが出てしまったりする場合がある。また、エンボス加工により艶消し仕上げとされたアクリル系樹脂フィルムは、アクリル系樹脂の耐熱性があまり高くないために、例えば60℃以上といった高温雰囲気に曝された際に、いわゆる絞戻り現象が発生して表面光沢が上がってしまうという問題もある。
また、グロスクリヤーフィルムを使用した化粧シートの表面に、シリカ等の艶消剤を添加した樹脂組成物による艶消状のトップコートを施すことにより、化粧シートの表面を艶消し仕上げとする方法もある。しかし、アクリル系樹脂フィルムは一般に耐溶剤性に劣り、有機溶剤系のトップコートを施すと樹脂が溶剤に侵され、膨潤して溶剤分が残留することにより巻取り保存中のブロッキングの原因となったり、溶剤の作用によって樹脂が白化して意匠感を損なったりするといった問題を発生し易い。水性のトップコート剤を使用すれば上記の様な問題はないが、その反面、アクリル系樹脂フィルムとの十分な密着性が得られない。
これらに対し、予め透明なアクリル系樹脂に艶消剤を添加してシート状に製膜してなる透明艶消シートを使用する方法もある(特許文献1等)。しかし、艶消剤としてシリカ等の無機系艶消剤を使用して、表面に十分な艶消し感が得られるだけの量を添加すると、フィルムが白濁して透明感を中心とした意匠感が損なわれる。一方、アクリル系やスチレン系等の有機系艶消剤を使用すると、その屈折率がアクリル系樹脂と近いために透明感の点では優れるが、有機系であるために耐熱性に難点があり、高温雰囲気に曝されると表面光沢が上昇してしまう。
また、化粧シートに木目導管溝状等の装飾エンボス加工が要求される場合があるが、有機系の艶消剤を添加した透明艶消アクリル系樹脂シートは、エンボス加工時の熱と圧力とにより表面が平坦化し、光沢が上昇してしまうので、例えば木目導管溝状等の装飾のためのエンボスと、表面の艶消し外観とを兼ね備えた化粧シートを得ることが難しいという問題もある。
また、近年需要者の住空間の安全性への意識の高まりから、住宅などの外装材である窓枠、玄関などに装飾を施すための化粧シートには、不燃性が求められ、不燃認定を受けることを要することが多くなっている。不燃性を有する化粧シートとしては例えば特許文献2に記載のものがある。
特開2000−72895号公報 特許第5630161号公報
本発明は、上述したような点に着目したもので、高温雰囲気に曝されたり、表面にエンボス加工が施されたりしても、高級な艶消し感を維持することができると共に所要の不燃性を有する化粧シートを提供することを目的としている。
課題を解決するために、本発明の一態様である不燃性化粧シートは、熱可塑性樹脂からなる基材シート上に、艶消剤が添加された艶消シート層が形成されると共に上記艶消シート層表面にエンボスが形成された化粧シートであって、上記基材シートは、厚さが50μm以上75μm以下で、上記艶消シート層は、アクリルゴムとアクリル樹脂を含む熱可塑性アクリル系樹脂からなり、そのアクリルゴムとアクリル樹脂との質量比が30:70〜60:40であり、且つ上記艶消シート層の厚さが20μm以上55μm以下で、上記艶消剤は、上記熱可塑性アクリル系樹脂よりも熱変形温度(JIS K 7207)が高いアクリル系架橋粒子からなる、ことを特徴とする。
また、本発明の一態様である不燃性化粧部材は、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼及び銅から選ばれる金属からなる基板に、本発明の一態様である不燃性化粧シートを貼り付けてなる。
本発明によれば、艶消シート層を構成するアクリルゴムとアクリル樹脂との質量比を30:70〜60:40に規定し、且つ基材シートの厚さを50μm以上75μm以下且つ艶消シート層の厚さを20μm以上55μm以下に規定して有機成分が抑制されることで、ISO5660−1に準拠したコーンカロリ燃焼試験による不燃性を満たすことが可能となる。
更に、艶消剤は上記熱可塑性アクリル系樹脂よりも熱変形温度が高いアクリル系架橋粒子であることから、高温雰囲気に曝されたり、表面にエンボス加工が施されたりしても、表面の光沢度が上昇する艶変化が殆ど発生せず、高級な艶消し感を維持することができる。
ここで、最表層に、ポリフッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂からなるフッ素樹脂層を設けた場合には、屋外でも更なる耐候性を得ることが可能となる。
本発明に基づく実施形態に係る化粧シートの一例を説明するための模式的断面図である。
次に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
〈化粧シート〉
本実施形態の化粧シートは、図1に示すように、基材シート5の表面に、絵柄層4、接着剤層3、艶消シート層1がこの順に積層されて構成されている。符号2はエンボスを表し、符号6は裏面プライマー層を表す。なお本発明は、この構成に限定されるものではなく、絵柄層4は、無くても良く、また、艶消シート層1の裏面に、印刷等による絵柄層4が施された、単層裏刷り型の化粧シートなどであっても良い。
(基材シート5)
基材シート5は、熱可塑性樹脂からなるシート状の部材である。熱可塑性樹脂は着色されていることが好ましい。基材シート5の厚さは、不燃性の観点から50μ以上75μ以下に範囲に規定している。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はその鹸化物、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体等のポリオレフィン系共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート、共重合ポリエステル(代表的には1、4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂である通称PET−G)等のポリエステル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、6−ナイロン、6、6−ナイロン、6、10−ナイロン、12−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、セルロースアセテート、ニトロセルロース等の繊維素誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン−テトラフロロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂等、又はこれらから選ばれる2種又は3種以上の共重合体や混合物、複合体が例示出来る。基材シート5は、このような熱可塑性樹脂からなる積層体で構成されていても良い。
本実施形態の基材シート5は、ポリプロピレン樹脂から構成されて、厚さが50μ以上75μm以下とする。その有機固形分質量は、44g/m以上67g/m以下であることが好ましい。
基材シート5を着色することで、化粧シートを貼り合せる金属からなる基板を隠蔽し、また絵柄層4の下地色として色相を適宜、選択することができる。すなわち化粧シートには一般に、被貼着基材の表面の色彩や欠陥に対する隠蔽性が必要とされる場合が多い。そこで、目的の化粧シートに十分な隠蔽性を持たせるために、基材シート5を構成する熱可塑性樹脂に隠蔽性顔料を添加することにより、基材シート5を隠蔽性とすることもできる。また、基材シート5を隠蔽性とする代わりに、基材シート5の表面又は裏面に、隠蔽性顔料を含有する印刷インキ組成物又は塗料による隠蔽層を設けても良いし、両者を併用することも勿論可能である。また逆に、基材シート5を透明又は半透明の材質から構成し、隠蔽性の層を設けないことにより、被貼着基材の表面の色調や質感を活かすことができる透明又は半透明の化粧シートとすることも、勿論可能である。
(絵柄層4)
絵柄層4は、目的とする化粧シートに任意の所望の絵柄による意匠性を付与する目的で設けられるものである。従って、例えば単なる表面着色や色彩調整のみを目的とした無地の化粧シートの様に、基材シート5の着色や隠蔽ベタ印刷層の形成等によって十分に前記目的が達せられる場合や、基材シート5自体に顔料の練り込みや昇華性乃至溶融移行性染料の移行等により絵柄が施されている場合には、絵柄層4は特に設けられない場合もある。しかし一般的には、基材シート5の表面に、印刷法等の手段により適宜の絵柄を有する絵柄層4が設けられる場合が多い。
絵柄層4の構成材料や形成方法には一切制限はなく、従来より係る化粧シートの絵柄層4に適用されて来た任意の画像形成材料や画像形成方法を適宜適用することができる。具体的には例えば、染料又は顔料等の着色剤を、適当なバインダー樹脂と共に、適当な溶剤中に溶解又は分散してなる印刷インキ又は塗料等を使用することができる。
前記着色剤としては、例えばカーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、コバルトブルー等の無機顔料や、アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料、金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料、魚鱗粉、塩基性炭酸鉛、酸化塩化ビスマス、酸化チタン被覆雲母等の真珠光沢顔料等、又はこれらから選ばれる2種以上の混合物等を使用することができる。
また、バインダー樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニル系樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等の各種合成樹脂、又はそれらの2種以上の混合物、共重合体等を使用することができる。
その他、必要に応じて例えば体質顔料、可塑剤、分散剤、界面活性剤、粘着賦与剤、チキソトロピー性賦与剤、腰切り剤、レベリング剤、接着助剤、乾燥剤、安定剤、硬化剤、硬化促進剤又は硬化遅延剤等の各種の添加剤を適宜添加することもできる。
目的の化粧シートに優れた層間密着性を持たせるためには、絵柄層4のバインダー樹脂としては、接着性や凝集力の強い樹脂を使用することが好ましく、その観点からは熱硬化性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂等の架橋硬化性樹脂を使用することが好ましい。中でも、架橋硬化後に高い凝集力を有しつつも適度の可撓性や柔軟性を有しており、オレフィン系樹脂等の不活性な熱可塑性樹脂に対しても優れた接着性を示す点で、2液硬化型ウレタン系樹脂を主成分として少なくとも含むものを使用することが最も望ましい。
絵柄層4の形成方法には特に制限はなく、例えばグラビア印刷法やオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等、従来公知の各種の印刷方法を使用することができる。また、例えば全面ベタ状の場合には上記した各種印刷方法のほか、例えばロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、フローコート法等の各種塗工方法によることもできる。
また、絵柄層4の形成に先立ち必要に応じて、基材シート5の表面に例えばコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、酸処理、アルカリ処理、アンカー又はプライマー処理等の易接着処理を施すことによって、基材シート5と絵柄層4との間の密着性をさらに向上させることもできる。
絵柄層4が構成する絵柄の種類には特に制限はなく、例えば従来から係る化粧シートに広く採用されている木目柄や、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様、文字又は記号等、或いはそれらの複数種の組合せ等、若しくは単なる全面着色や色彩調整を目的とする場合には単色無地であっても良く、要するに、目的の化粧シートの用途に応じ任意の所望の絵柄を採用することができる。
(接着剤層3)
基材シート5と透明艶消シート層1とは、適宜の接着剤からなる接着剤層3を介して接着積層されるのが一般的である。これに使用される接着剤としては、溶剤賦活型、熱賦活型、圧力賦活型、反応硬化型等、化粧シートの用途や基材シート5の材質等に応じ任意であるが、溶剤賦活型且つ反応硬化型接着剤の一種であるドライラミネート接着剤か、若しくは熱賦活型である感熱接着剤(ヒートシール剤)が好ましく使用可能である。
ドライラミネート接着剤は、接着性樹脂の反応前駆体を適当な溶剤に溶解した塗工液を一方又は両方の被接着体の接着面に塗布し、溶剤分を乾燥除去した後に両者を重ね合わせ、反応硬化させて接着させるものであり、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオール等のポリオール類と、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物との反応を利用する2液硬化型ウレタン系接着剤が最も代表的である。
感熱接着剤は、常温では固体であり、加熱により溶融又は軟化して接着性を発現し、冷却すると固化して強固に接着する性質を有する熱可塑性樹脂を主体としたもので、これを適当な溶剤に溶解するか又は加温により溶融させるかして、一方又は両方の被接着体の接着面に塗布しておき、両者を重ね合わせて加熱加圧することにより接着させるものであり、その樹脂系としては例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂系、塩化酢酸ビニル樹脂系、アクリル樹脂系、ポリウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、ポリアミド樹脂系等、或いはそれらの2種以上の混合樹脂系等がある。
基材シート5と透明艶消シート層1との接着にあたっては、両者を著しく熱変形させない程度の比較的低温で十分に接着可能での低温接着性と共に、通常の使用条件温度範囲内では高温時でも溶融又は軟化して剥離することのない程度の加熱下凝集力が要求される。この要求を満足するものとして、アクリル−ポリエステル−塩化酢酸ビニル系樹脂からなる感熱接着剤等を好適に使用することができる。
これは、比較的低温の加熱により優れた接着性を発現するアクリル系樹脂や塩化酢酸ビニル系樹脂の長所を活かしつつ、加熱下での凝集力の低下の少ないポリエステル系樹脂の特性を加味したものである。その各樹脂の配合比は、アクリル系樹脂10〜60質量%、ポリエステル系樹脂10〜60質量%、塩化酢酸ビニル10〜60質量%の範囲とすることが好ましく、中でもアクリル系樹脂20〜50質量%、ポリエステル系樹脂20〜50質量%、塩化酢酸ビニル系樹脂20〜50質量%の範囲が最も好ましい。
感熱接着剤を用いた積層において、高温雰囲気下での耐剥離性を向上させるためには、感熱接着剤にイソシアネート化合物等の架橋剤を配合しておき、熱接着時の熱により、若しくは熱接着後の養生工程において、感熱接着剤を架橋させて高耐熱化させる手法が有効である。例えば、上記した塩化酢酸ビニル系樹脂を含む感熱接着剤において、塩化酢酸ビニル系樹脂の酢酸ビニル成分の一部を鹸化して水酸基を導入した塩化酢酸ビニル−ポリオール系樹脂を使用し、架橋剤としてイソシアネート化合物を使用することにより、分子間架橋構造により優れた加熱下凝集力を発現する塩化酢酸ビニル−ウレタン系樹脂を生成することができる。なお、感熱接着剤の塗工形成工程から熱接着工程までの期間が長い場合には、架橋剤としてブロックイソシアネート化合物を使用すれば、湿気等によるイソシアネート化合物の失活を防止し、安定して熱接着可能となる利点がある。
(艶消シート層1)
艶消シート層1は、アクリルゴムとアクリル樹脂を含む熱可塑性アクリル系樹脂からなり、そのアクリルゴムとアクリル樹脂との質量比が30:70〜60:40である。また艶消シート層1の厚さは、不燃性の観点から20μm以上55μm以下に範囲としている。適宜、公知の紫外線吸収剤などの添加剤が添加されていても良い。
アクリルゴムと該アクリル樹脂との質量比が30:70〜60:40とすることで、ISO5660−1に準拠したコーンカロリ燃焼試験により、上記化粧シートと金属からなる基板とを貼着してなる化粧板の時間に対する総発熱量及び時間に対する発熱速度を求めた際に、(i)加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、(ii)加熱開始後20分間、最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えず、かつ(iii)加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がないことを満たす不燃性を確保可能となる。
ここで、質量比が30:70よりも小さい、すなわちアクリルゴムの量が少なすぎると、優れた不燃性が得られず、また折り曲げ加工性が低下してしまう。一方、質量比が60:40よりも大きい、すなわちアクリルゴムの量が多すぎると、艶消シート層1の形成が困難となり、また耐候性が低下してしまう。このような観点から、アクリルゴムとアクリル樹脂との質量比は、30:70〜60:40が好ましい。
アクリルゴムを含むことで、優れた折り曲げ加工性が得られる。
熱可塑性アクリル系樹脂は、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体を主成分として単独又は共重合させて得られる熱可塑性樹脂であり、必要に応じて例えば(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸等のアクリル系単量体や、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族系単量体等が共重合成分として添加されていたり、例えばスチレン−ブタジエン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン−ブタジエン共重合体等のゴム成分がグラフト共重合、ブロック共重合又はブレンドされていたりしても良い。中でも、メタクリル酸メチルを主成分とするものが、耐候性や透明性、加工性、機械的物性や表面物性等の各種物性面で最も望ましく用いられる。
アクリルゴムは、特に制限されないが、好ましくは少なくとも(メタ)アクリル酸エステルモノマーを構成単位とする重合体からなる合成ゴムである。該アクリルゴムは、該構成単位を60質量%以上含むものが好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上を含むものである。(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、炭素数1〜8のアルカノールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。これらのなかでも(メタ)アクリル酸エチル及び(メタ)アクリル酸n−ブチルが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、炭素数2〜8のアルコキシアルカノールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチルなどが挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル及び(メタ)アクリル酸2−メトキシエチルが好ましい。
また、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとして、多官能性の(メタ)アクリル酸エステルモノマーも好ましく挙げられる。
多官能性の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸とアリルアルコールなどの不飽和アルコールとのエステル、該不飽和モノカルボン酸とエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどのグリコールとのジエステル、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸などのジカルボン酸と該不飽和アルコールとのエステルなどが好ましく挙げられる。より具体的には、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸メタリル、桂皮酸アリル、桂皮酸メタリル、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、アクリルゴムは、架橋点を有する構成単位を含有する共重合体であることが好ましい。かかる共重合体をアクリルゴムとして用いたゴム組成物は、成形時に効果的に架橋を行うことができるので弾性のある架橋物を得ることができる。架橋点を有する構成単位としては、カルボキシル基、ハロゲン原子、エポキシ基または水酸基を有するものなどが挙げられる。
アクリルゴムの形状は、特に制限はないが、作業性を考慮すると粒子状のものが好ましい。アクリルゴムが粒子状の場合、その平均粒子径は、透明性やアクリル樹脂層6の成形加工性を考慮すると、30〜150nmが好ましく、40〜120nmがより好ましい。アクリル樹脂層6で使用されるアクリル樹脂は、特に制限されないが、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルモノマーを構成単位とする重合体であることが好ましい。より具体的には、(メタ)アクリル酸エステルモノマーの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体、あるいは(メタ)アクリル酸エステルモノマーと他のモノマーとの共重合体が好ましい。
ここで、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ノルマルブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸セカンダリーブチル、(メタ)アクリル酸ターシャリーブチル、(メタ)アクリル酸イソボニル、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートなどが好ましく挙げられ、折り曲げ加工性や耐候性を考慮すると、(メタ)アクリル酸メチルがより好ましい。
2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体としては、上記例示されたものから選ばれる2種以上の(メタ)アクリル酸エステルの共重合体が例示され、これらの共重合体はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共重合体を形成する他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なものであれば特に限定されないが、本発明では、(メタ)アクリル酸、スチレン、(無水)マレイン酸、フマル酸、ジビニルベンゼン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニルアルコール、アクリロニトリル、アクリルアミド、ブタジエン、イソプレン、イソブテン、1−ブテン、2−ブテン、N−ビニル−2−ピロリドン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ノルボルネン類などの脂環式オレフィンモノマー、ビニルカプロラクタム、シトラコン酸無水物、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド類、ビニルエーテル類などが好ましく挙げられ、特にスチレン及び(無水)マレイン酸が共重合成分として好適である。すなわち、(メタ)アクリル酸エステルとスチレン又は(無水)マレイン酸の二元共重合体、(メタ)アクリル酸エステルとスチレン及び(無水)マレイン酸の三元共重合体が好適である。なお、(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
(艶消剤)
艶消シート層1には、艶消剤が添加されている。
熱可塑性アクリル系樹脂からなる艶消シート層1に添加される艶消剤の有機架橋粒子としては、熱変形温度が該アクリル系樹脂よりも高く、好ましくは8℃以上、より好ましくは15℃以上高いものであれば、その材質には特に制限はない。艶消剤としては、アクリル系、スチレン系、ウレタン系、シリコーン系等が例示できるが、マトリックス樹脂であるアクリル系樹脂との親和性や分散性、屈折率が近似し透明性を阻害しないこと等を考慮して、本実施形態の艶消剤として、アクリル系架橋粒子を使用する。
アクリル系架橋粒子は、特開昭56−36535号公報等に記載されている様に、分子中に1個の重合性二重結合を有する非架橋性単量体と、分子中に2個以上の重合性二重結合を有する架橋性単量体との混合物を懸濁重合することによって得られる、平均粒径35〜500μm、好ましくは40〜200μm程度の架橋高分子からなる粒子である。
アクリル系架橋粒子は、共重合成分としてアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル及び/又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルを含有するポリメチルメタクリレート系架橋粒子であることが好ましい。
上記非架橋性単量体としては例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類を主成分とし、必要に応じて例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族系単量体や、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、酢酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類等が適宜添加される。
また、上記架橋性単量体としては、例えばアリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル化合物や、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類や、プロピレングリコールジアリルエーテル、ジビニルベンゼン等が使用され、上記非架橋性単量体100質量部当たり0.5〜5質量部程度配合されるのが一般的である。
透明艶消シート層1の主成分である熱可塑性アクリル系樹脂として、上述した様にメタクリル酸メチルを主成分とする樹脂を用いる場合、このアクリル系架橋粒子としても、メタクリル酸メチルを主成分とするものを使用することが、両者の親和性及び低屈折率差(透明性)の観点から望ましい。
アクリル系架橋粒子は、架橋性単量体が配合されて架橋されているため、同一の単量体を主成分とする実質的に非架橋の熱可塑性アクリル系樹脂と比較すれば、熱変形温度は高くなる。但し、本発明の目的に十分な高さの熱変形温度を、架橋性単量体の配合量を増して架橋密度を上昇させることで達成しようとすると、樹脂が硬くなるため熱可塑性アクリル系樹脂との親和性が低下して、折り曲げ加工等の際に層間剥離によりボイドを発生して白化し易くなったり、熱可塑性アクリル系樹脂との屈折率差が増して白濁感を生じたりする原因となる場合がある。
この様な問題を発生することなく十分な熱変形温度のアクリル系架橋粒子を得るためには、非架橋性単量体の一部を例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルで置換すると良い。その配合量としては通常、非架橋性単量体の全量に対し5〜30質量%程度で良好な結果が得られる。
(エンボス2)
艶消シート層1の表面には、エンボス2が施されている。エンボス2は例えば熱エンボス加工によって形成する。
本実施形態の化粧シートは上述した様に、マトリックス樹脂である熱可塑性アクリル系樹脂よりも熱変形温度が高い有機架橋粒子からなる艶消剤を添加した透明艶消シート層1を用いている。このため、使用中に高温雰囲気に曝されることがあっても艶消し感の変化(光沢の上昇)が発生しにくいのみならず、この透明艶消シート層1の表面から例えば木目導管溝状等のエンボス2を施しても、該エンボス2加工時の熱により上記艶消剤の艶消効果が消滅することなく、表面に良好な艶消し感を維持することができるので、エンボス2による立体的な意匠感と、艶消し表面による落ち着きのある高級な意匠感とを併せ持つ化粧シートを、容易に得ることができる。
(裏面プライマー層6)
裏面プライマー層6は設けなくても良い。
本実施形態の化粧シートは、従来の化粧シートと同様、例えば木質系基材や無機質系基材等の各種の基材の表面に貼着(ラミネート)して使用されるものであり、一般的には該貼着の際には例えばウレタン系や酢酸ビニル系等の適宜の接着剤が使用される。このとき、基材シート5の材質によっては(例えばオレフィン系樹脂フィルムである場合等)、係る一般的なラミネート用接着剤との接着性が不十分である場合もある。その様な場合には、基材シート5の裏面に、一般的なラミネート用接着剤との接着性に優れた樹脂組成物からなる裏面プライマー層6を設けておくことが好ましい。
裏面プライマー層6としては、例えばウレタン系、アクリル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系等の各種のプライマー剤が知られており、これらの中から基材シート5の材質に合わせたものを選んで使用すればよい。なお、裏面プライマー層6に例えばシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の粉末を添加しておくと、裏面プライマー層6の表面が粗面化することによって、化粧シートの巻取保存時のブロッキングが防止できると共に、投錨効果による上記ラミネート用接着剤との接着性の向上を図ることもできる。
(その他)
最表層にフッ素樹脂層を設けても良い。
フッ素樹脂層は、下側の絵柄層4の絵柄が視認可能なだけの透明性を有することが好ましい。フッ素樹脂層は、化粧シートに、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性、耐汚染性などの表面特性を付与するものである。
フッ素樹脂としては、既知のものを使用することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレンペルフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、四フッ化エチレン・エチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニルフロライド(PVF)などが使用可能であり、特には折り曲げ加工性、前述の艶消シート層1との密着性の点でポリフッ化ビニリデンが好適である。なお、ポリフッ化ビニリデンのガラス転移点(Tg)は−39℃である。
フッ素樹脂層の厚さは、1〜15μm程度であることが好ましく、1〜10μmがより好ましい。また、フッ素樹脂層7は、艶消シート層1の厚さに対する比率(フッ素樹脂層7の厚さ/艶消シート層1の厚さ)として、不燃性及び折り曲げ加工性の観点から、0.05〜1.0が好ましく、0.05〜0.8がより好ましい。
基材シート5や透明艶消シート層1、更にはフッ素樹脂層には、目的とする化粧シートの用途や要求品質等により、必要に応じて例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、抗菌剤、防黴剤、難燃剤、充填剤等、従来公知の各種の添加剤の1種以上が添加されていても良い。
なお、絵柄層4を設けない場合には、艶消シート層1は透明である必要はない。
〈不燃性化粧部材〉
本実施形態の不燃性化粧部材は、上記不燃性化粧シートを、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼及び銅から選ばれた金属からなる基板に貼着して構成される。
ここで、基板の形状は、平板形状に限定されず、表面形状の断面プロフィールが、矩形、円形、三角形形状など、所望の立体形状であっても良い。
軽量化や加工性の点では、基板はアルミニウムが好ましい。
〈本実施形態の効果〉
(1)熱可塑性樹脂からなる基材シート5の厚さを50μm以上75μm以下、艶消シート層1は、アクリルゴムとアクリル樹脂を含む熱可塑性アクリル系樹脂からなり、そのアクリルゴムとアクリル樹脂との質量比が30:70〜60:40であり、且つ上記艶消シート層1の厚さが20μm以上55μm以下とすることで、ISO5660−1に準拠した不燃性を、化粧シート及び化粧部材に付与することが可能となる。
ISO5660−1に準拠した不燃性とは、コーンカロリ燃焼試験により、上記不燃性化粧シートとアルミニウム、鉄、ステンレス鋼及び銅から選ばれる金属からなる基板とを貼着してなる不燃化粧板の時間に対する総発熱量及び時間に対する発熱速度を求めた際に、(i)加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、(ii)加熱開始後20分間、最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えず、かつ(iii)加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がないことを満たすだけの不燃性を表す。
(2)艶消シート層1表面にエンボス2が形成されている。艶消剤として、艶消シート層1を構成する熱可塑性アクリル系樹脂よりも熱変形温度(JIS K 7207)が高い、好ましくは8℃以上高いアクリル系架橋粒子からなる。
これによって、エンボスを形成しても透明感や深み感と表面の艶消し感とを併せ持つ高級感のある透明艶消アクリル系樹脂シートを用いた化粧シートを提供可能となる。
また本実施形態の化粧シートは上述した様に、マトリックス樹脂である熱可塑性アクリル系樹脂よりも熱変形温度が高い有機架橋粒子からなる艶消剤を添加した透明艶消シート層1を用いたことにより、使用中に高温雰囲気に曝されることがあっても艶消し感の変化(光沢の上昇)が発生しにくいのみならず、この透明艶消シート層1の表面から例えば木目導管溝状等のエンボス2を施しても、該エンボス2加工時の熱により上記艶消剤の艶消効果が消滅することなく、表面に良好な艶消し感を維持することができるので、エンボス2による立体的な意匠感と、艶消し表面による落ち着きのある高級な意匠感とを併せ持つ化粧シートを、容易に得ることができる。
(3)化粧シートの最表層にフッ素樹脂層を有する。フッ素樹脂としてはポリフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
これによって、屋外でも更なる耐候性を得ることが可能となる。
(4)アクリル系架橋粒子が、共重合成分としてアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル及び/又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルを含有するポリメチルメタクリレート系架橋粒子であってもよい。
これによって、アクリル系架橋粒子とアクリルゴムとアクリル樹脂からなるアクリル樹脂層との、相溶性を向上させる。
以上のように、本実施形態の化粧シートは、艶消剤として熱変形温度の高い有機架橋粒子を配合したアクリル系透明艶消シート層1を使用したことにより、透明度が高く透明感や深み感に優れ、しかも耐熱性が高く、例えば60℃以上といった高温雰囲気に曝されたり、表面にエンボス2加工を施したりしても、表面光沢が著しく上昇することがなく、落ち着いた艶消し感のある高級な外観意匠性を維持することができるという顕著な効果を奏すると共に、ISO5660−1に準拠した不燃性を有する。
次に本発明の実施例について図面を参照して説明する。
〈実施例1〉
熱変形温度(JIS K 7207)が100℃である透明なアクリルゴムとアクリル樹脂からなるアクリル系樹脂100質量部に、艶消剤として熱変形温度が115℃である2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合ポリメチルメタクリレート系架橋粒子10質量部を配合した樹脂組成物を、厚さ50μmに押出製膜して、透明艶消シートを作製した。
また、有機固形分質量60.4g/mのポリプロピレン樹脂フィルム(厚さ70μm)を基材シート5として、その表面に、ウレタン系印刷インキにて木目柄の絵柄層4を印刷形成した。
ここで、アクリルゴムとアクリル樹脂からなるアクリル系樹脂は、次の混合物のものを使用した。
アクリル樹脂(構成単位:メタクリル酸メチル):45質量部
アクリルゴム(「SA−FW001(商品名)」、株式会社クラレ製、メタクリル樹脂、構成単位:メタクリル酸メチル、粒子状、平均粒子径:100nm):55質量部
さらに、絵柄層4を形成した基材シート5の上に、ヒートシール剤(アクリル/塩化酢酸ビニル/ポリエステル=1/1/1、イソシアネート系硬化剤配合)を乾燥後の膜厚1μmに塗布して接着剤層3を形成し、該接着剤層3面に、上記透明艶消シートを重ね合わせ、フィルム表面温度120℃の条件で熱ラミネートした。
さらに透明艶消シート面に、シート表面温度120℃の条件で木目導管溝柄のエンボス2を施し、最後に基材シート5の裏面にシリカ粉末を添加したウレタン系プライマー剤を乾燥後の膜厚1μmに塗布して裏面プライマー層6を形成して、実施例1の化粧シートを作製した。
〈実施例2〉
ポリフッ化ビニリデン樹脂5μと実施例1にて記載のアクリル樹脂層形成用混合物をTダイ溶融して押し出し、フッ素樹脂層とアクリル樹脂層からなる積層体を形成した以外は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。
〈比較例1〉
有機固形分全質量が77.6g/m(厚さ:90μ)の基材を使用した以外は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。
〈比較例2〉
有機固形分全質量が40.0g/m(厚さ:50μ)の基材を使用した以外は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。
〈比較例3〉
艶消剤の熱変形温度が105℃のアクリル系架橋粒子に変更した以外は、実施例1と同様にして化粧シートを得た
〈評価判定方法〉
実施例及び比較例に対して、次の評価判定を実施した。
〈ラミネート適性〉
ラミネートの適性評価として、上記の熱ラミネート時において、シワ、ひずみの入りやすかったものを「×」と判断した。それ以外を「○」とした。
〈不燃性評価〉
ISO5660−1に準拠 加熱開始後20分間の総発熱量(MJ/m)が、8MJ/m以下、且つ加熱開始後20分間の最大発熱速度として、10秒以上継続して200kW/mを超えなければ合格「○」とした。但し、基材の亀裂の評価 亀裂や穴のないことを条件とした。
〈表面光沢測定〉
表面光沢の評価として、各化粧シートについて、製造直後と、60〜80℃の各温度の雰囲気中に1時間放置後との各時点でそれぞれ、60°表面光沢度を測定した。但し、測定位置はエンボス2凹陥部を避けて選んだ。その結果を表1に示す。ここで、表1では、製造直後を基準とし、△は光沢上昇、▽は光沢低下で示している。
評価結果を表1に示す。
Figure 0006477000
表1から分かるように、艶消シート層を構成するアクリルゴムとアクリル樹脂との質量比が30:70〜60:40の範囲とし、その艶消シート層を構成するアクリル樹脂層の厚さを20μm以上55μm以下とし、更に、基材の厚さを50μm以上75μm以下とした実施例1、2では、ISO5660−1に準拠した不燃性を有することが分かる。
また、実施例1、2では、ラミネート適性及び表面光沢についての良好であることが分かる。
ここで、実施例1において、アクリル樹脂層の厚さを20μm若しくは55μmとし、更に基材の厚さが50μm若しくは75μmに対応する有機固形分に調整して実施してみたところ、実施例1と同様な効果を得た。
1 艶消シート層
2 エンボス
3 接着剤層
4 絵柄層
5 基材シート
6 裏面プライマー層
7 フッ素樹脂層

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂からなる基材シート上に、艶消剤が添加された艶消シート層が形成されると共に上記艶消シート層表面にエンボスが形成された化粧シートであって、
    上記基材シートは、厚さを50μm以上75μm以下に規制し、且つポリプロピレン樹脂からなり、その有機成分を44g/m 以上67g/m 以下に規制し、
    上記艶消シート層は、アクリルゴムとアクリル樹脂を含む熱可塑性アクリル系樹脂からなり、そのアクリルゴムとアクリル樹脂との質量比が30:70〜60:40であり、且つ上記艶消シート層の厚さを20μm以上55μm以下に規制し、
    上記艶消剤は、上記熱可塑性アクリル系樹脂よりも熱変形温度(JIS K 7207)が高いアクリル系架橋粒子からな
    ISO5660−1に準拠する発熱性試験にて不燃認定取得可能要件を満たす、
    ことを特徴とする不燃性化粧シート。
  2. 化粧シートの最表層にフッ素樹脂層を有することを特徴とする請求項1に記載の不燃性化粧シート。
  3. 上記アクリル系架橋粒子が、共重合成分としてアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル及び/又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルを含有するポリメチルメタクリレート系架橋粒子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の不燃性化粧シート。
  4. 上記基材シートと艶消シート層との間に絵柄層が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の不燃性化粧シート。
  5. アルミニウム、鉄、ステンレス鋼及び銅から選ばれる金属からなる基板に、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の不燃性化粧シートを貼り付けてなる不燃性化粧部材。
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