JP2024033461A - 化粧シート及びこれを利用する金属化粧部材 - Google Patents

化粧シート及びこれを利用する金属化粧部材 Download PDF

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Abstract

【課題】十分な接着性を有しながらも、優れた耐湿熱性及び耐候性を発現し得る化粧シート及びこれを利用する金属化粧部材を提供する。【解決手段】基材層11と、基材層11上に設けられる耐候性層14と、耐候性層14上に設けられる耐汚性層15と、基材層11と耐候性層14との間に設けられる接着層13とを備える化粧シート10において、接着層13は、ポリエステル樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂並びにイソシアネート硬化剤を含有し、ポリエステル樹脂は、フタル酸、直鎖ジカルボン酸及びアルキレンジオールを構成要素に有し、ポリエステル樹脂とビスフェノールA型エポキシ樹脂との質量割合(ポリエステル樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂)が、50:50から90:10までの範囲内にあることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、建設物の外装等に適用される化粧シート及びこれを利用する金属化粧部材に関する。
建設物の内装に適用される化粧シートは、通常、各種機能を付与した樹脂層を基材に対して接着層を介して接着して積層した構造である場合が多い。この接着層は、一般に、接着性に優れるポリエステル樹脂が多用されている。
特開2012-131112号公報 特開2020-100016号公報 特開2020-192797号公報
前述したような従来の化粧シートを建設物の外装に適用しようとすると、屋外環境下で長期にわたって曝されてしまうため、接着層のポリエステル樹脂が加水分解を生じて、基材と樹脂層との剥離を引き起こしてしまうおそれがあった。
このようなことから、本発明は、十分な接着性を有しながらも、優れた耐湿熱性及び耐候性を発現し得る化粧シート及びこれを利用する金属化粧部材を提供することを目的とする。
前述した課題を解決するための、本発明に係る化粧シートは、基材層と、前記基材層上に設けられる耐候性層と、前記耐候性層上に設けられる耐汚性層と、前記基材層と前記耐候性層との間に設けられる接着層とを備える化粧シートにおいて、前記接着層は、ポリエステル樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂並びにイソシアネート硬化剤を含有し、前記ポリエステル樹脂は、フタル酸、直鎖ジカルボン酸及びアルキレンジオールを構成要素に有し、前記ポリエステル樹脂と前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂との質量割合(ポリエステル樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂)が、50:50から90:10までの範囲内にあることを特徴とする。
また、本発明に係る化粧シートは、上述した化粧シートにおいて、前記フタル酸と前記直鎖ジカルボン酸とのモル割合(フタル酸:直鎖カルボン酸)が、45:55から85:15までの範囲内にあると、好ましい。
また、本発明に係る化粧シートは、上述した化粧シートにおいて、前記アルキレンジオールは、ネオペンチルグリコールを含有していると、好ましい。
また、本発明に係る化粧シートは、上述した化粧シートにおいて、前記イソシアネート硬化剤は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI),キシレンジイソシアネート(XDI),イソホロジンジイソシアネート(IPDI)のうちの少なくとも一種を含有していると、好ましい。
また、本発明に係る化粧シートは、上述した化粧シートにおいて、前記基材層と前記接着層との間に絵柄層が設けられていると、好ましい。
また、本発明に係る化粧シートは、上述した化粧シートにおいて、前記絵柄層は、ポリカプロラクトンポリオール、ポリアルキレングリコール及びポリイソシアネートを構成要素に有するウレタン樹脂をバインダ樹脂として含有していると、好ましい。
また、本発明に係る化粧シートは、上述した化粧シートにおいて、前記ウレタン樹脂は、さらに、ネオペンチルグリコールを構成要素に有していると、好ましい。
また、本発明に係る化粧シートは、上述した化粧シートにおいて、前記ポリアルキレングリコールは、ポリテトラメチレングリコールであると、好ましい。
また、本発明に係る化粧シートは、上述した化粧シートにおいて、前記ポリイソシアネートは、イソホロンジイソシアネートであると、好ましい。
また、本発明に係る化粧シートは、上述した化粧シートにおいて、前記接着層と前記耐候性層との間にアンカー層が設けられていると、好ましい。
また、本発明に係る化粧シートは、上述した化粧シートにおいて、前記アンカー層は、アクリル系ポリオール及びポリイソシアネートを構成要素に有するアクリル系ウレタン樹脂を含有していると、好ましい。
他方、前述した課題を解決するための、本発明に係る金属化粧部材は、本発明に係る化粧シートと、前記化粧シートの前記基材層へ貼り付けられる金属製の基板と、前記基板を前記化粧シートの前記基材層へ接着する接着剤とを備えていることを特徴とする。
また、本発明に係る金属化粧部材は、上述した金属化粧部材において、前記化粧シートの前記基材層と前記接着剤との間に位置するように前記基材層に下地層が設けられていると、好ましい。
本発明に係る化粧シート及びこれを利用する金属化粧部材によれば、接着層は、ポリエステル樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂並びにイソシアネート硬化剤を含有し、ポリエステル樹脂は、フタル酸、直鎖ジカルボン酸及びアルキレンジオールを構成要素に有し、ポリエステル樹脂とビスフェノールA型エポキシ樹脂との質量割合(ポリエステル樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂)が、50:50から90:10までの範囲内にあることから、十分な接着性を有しながらも、優れた耐湿熱性及び耐候性を発現することができるので、長期にわたって屋外環境下に曝される建設物の外装でも適用することができる。
本発明に係る化粧シートの第一の実施形態の概略構成を表す断面図である。 本発明に係る金属化粧部材の第一の実施形態の概略構成を表す断面図である。 本発明に係る化粧シートの第二の実施形態の概略構成を表す断面図である。 本発明に係る金属化粧部材の第二の実施形態の概略構成を表す断面図である。
本発明に係る化粧シート及びこれを利用する金属化粧部材の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、本発明は、図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではなく、各実施形態で説明した技術的事項を必要に応じて適宜組み合わせることが可能なものである。
[第一の実施形態]
本発明に係る化粧シート及びこれを利用する金属化粧部材の第一の実施形態を図1,2に基づいて説明する。
〈化粧シート〉
図1に示すように、ベースとなる基材層11上には、絵柄を印刷された絵柄層12が設けられている。絵柄層12上には、耐候性を有する耐候性層14が設けられている。耐候性層14上には、耐汚性を有する耐汚性層15が設けられている。絵柄層12と耐候性層14との間には、当該間を接着する接着層13が設けられている。
つまり、本実施形態に係る化粧シート10は、基材層11と、基材層11上に設けられる耐候性層14と、耐候性層14上に設けられる耐汚性層15と、基材層11と耐候性層14との間に設けられる接着層13とを備え、基材層11と接着層13との間に絵柄層12が設けられているのである。
このような化粧シート10は、積層方向の厚さが、100μm以上150μm以下であると好ましく、110μm以上130μm以下であるとさらに好ましい。100μm未満であると、耐候性の低下を引き起こし易くなってしまい、あまり好ましくない。150μmを超えると、加工性の低下を引き起こし易くなってしまい、あまり好ましくない。
〈基材層11〉
基材層11は、熱可塑性樹脂からなるシート形状の層である。基材層11を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体又はその鹸化物、エチレン-(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体等のポリオレフィン系共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート、共重合ポリエステル(代表的には1,4-シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂である通称PET-G)等のポリエステル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、6-ナイロン、6,6-ナイロン、6,10-ナイロン、12-ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、セルロースアセテート、ニトロセルロース等の繊維素誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン-テトラフロロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂等、又はこれらから選ばれる2種又は3種以上の共重合体や混合物、複合体を挙げることができる。
特に、溶融押出装置での生産性、環境適合性、床材としての機械強度、耐久性、価格等を勘案すると、基材層11は、ポリオレフィン系樹脂で構成されていると、より好ましい。ここで、基材層11は、上記熱可塑性樹脂からなる層を複数重ねた積層構造とすることも可能である。
基材層11は、着色されていると好ましい。例えば、基材層11を構成する熱可塑性樹脂材料に着色剤を混合して練り込むことにより、着色した基材層11を得ることができる。この着色剤としては、有機染料や無機顔料(酸化チタンを含む)等を挙げることができる。また、基材層11上に絵柄層12を設ける前に、コーティング法や印刷法によって、基材層11上にベタインキ層となる着色層を別途設けるようにすることも可能である。基材層11は、絵柄層12の下地色として色相が適宜選定される。着色された基材層11は、化粧シート10に貼り合わされる基板(詳細は後述する)を隠蔽することができる。
基材層11は、隣接する層との密着性をより高めるため、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、電子線処理、紫外線処理、重クロム酸処理等の表面処理を予め施しておくことも可能である。また、基材層11は、難燃剤や紫外線吸収剤等が添加されることにより、難燃性や防褪色性が付与され得るものである。
難燃剤としては、無機系(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン等)、リン系(有機系:リン酸エステル、リン酸アンモニウム等、無機系:赤リン系)、反応型(ビニル付加重合させるビニル化合物、カルボン酸基、水酸基、エポキシ基等の官能基を有し、高分子の一部原料(共重合モノマー)として使用されるもの)等を挙げることができる。特に、樹脂への相溶性、難燃効果及び環境面の安全性等の点において優れている水酸化アルミニウムや、水酸化マグネシウムが好ましい。
紫外線吸収剤としては、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリシラート系、シアノアクリレート系、ホルムアミジン系、オキザニリド系等を挙げることができ、光安定剤としては、ヒンダードアミン系等を挙げることができる。特に、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系、オキザニリド系、ヒンダードアミン系、又はこれらの混合物であると、紫外線吸収性や光安定性に優れると共に、オレフィン樹脂等との相溶性にも優れるため好ましい。
なお、基材層11は、積層方向の厚さが、50μm以上100μm以下であると好ましく、60μm以上80μm以下であるとさらに好ましい。50μm未であると、耐候性の低下を引き起こし易くなってしまい、あまり好ましくない。100μmを超えると、加工性の低下を引き起こし易くなってしまい、あまり好ましくない。
〈絵柄層12〉
絵柄層12は、印刷された絵柄によって、意匠性を付与するものである。意匠としての絵柄としては、例えば、木目柄、コルク柄、石目柄、タイル柄、焼き物柄、抽象柄等、用途に応じて所望の柄を適宜選定することができる。また、絵柄層2は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷等の既知の印刷方法を適用することができる。さらに、絵柄層12は、全面的に着色するとき、印刷方法のほか、コーティングによる方法や装置を適用することも可能である。
絵柄層12の形成に用いられるインキは、バインダ樹脂を含有している。バインダ樹脂は、例えば、硝化綿、セルロース、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル系等の単独又は各変性物の中から適宜選定して適用することができ、水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでも適用可能であり、1液型でも硬化剤を使用した2液型でも適用可能である。
絵柄層12に含有されるバインダ樹脂は、汎用ポリエステルポリオールを構成要素に有するウレタン樹脂を挙げることができるが、基材層11に対する密着性と耐湿熱性との観点から、ポリカプロラクトンポリオール、ポリアルキレングリコール及びポリイソシアネートを構成要素に有するウレタン樹脂であると、好ましい。
本実施形態に係るウレタン樹脂の構成要素となるポリカプロラクトンポリオールは、ε-カプロラクトンの開環重合で得られる材料であり、内部にエステル結合を有しているため、基材層11との密着性(基材密着性)を向上させることが可能となる。上記ポリカプロラクトンポリオールは、例えば、アジピン酸等のジカルボン酸とジオールとの重縮合で得られる汎用ポリエステルポリオールと比べて、耐加水分解性が優れている。
本実施形態に係るウレタン樹脂の構成要素となるポリアルキレングリコールは、ポリエーテル構造を有し、上述したポリカプロラクトンポリオールと比べて、耐加水分解性がさらに優れているが、耐熱性及び基材密着性が劣る傾向にある。そのため、本実施形態では、ポリアルキレングリコールとポリカプロラクトンポリオールとを併用することにより、基材密着性及び耐湿熱性の両方を向上させている。
上記ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を挙げることができ、特に、ポリテトラメチレングリコールを適用すると、疎水性を大きくして、耐湿熱性を高めることができるので、好ましい。
上記ポリカプロラクトンポリオール及び上記ポリアルキレングリコールは、市販の各種材料から分子量や官能基数(一分子あたりの水酸基数)等の観点より適宜選択して適用することができる。
本実施形態に係るウレタン樹脂の構成要素となるポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネートや、その水添物等を挙げることができ、特に、イソホロンジイソシアネートであると、耐湿熱性を高めることができるので、好ましい。
本実施形態に係るウレタン樹脂の構成要素として、ネオペンチルグリコールをさらに有していると、耐湿熱性をより高めることができるので、好ましい。
本実施形態に係るウレタン樹脂の組成は、特に限定されるものではないが、通常、絵柄層12を印刷手法によって形成することから、下記構造式に示すウレタン樹脂の各部位(カプロラクトンユニット(CL)、アルキレングリコールユニット(AG)、ジイソシアネートユニット(I)、ネオペンチルグリコール(NPG))の物質量を、それぞれX、Y、Z、Nとしたときに、下記の式(1)~(3)の関係を満たしていると、印刷適性を容易に向上させることができるため、好ましい。
Figure 2024033461000002
3<(X+Y+N)/Z<50・・・・(1)
0.1<X/Y<10・・・・・・・・(2)
N/(X+Y+Z+N)<0.2・・・(3)
本実施形態に係るウレタン樹脂の分子量は、特に限定されるものではないが、通常、絵柄層12を印刷手法によって形成することから、質量平均分子量(MW)を、5000以上100000以下の範囲内にすると、印刷適性の向上を容易に図ることができるため、好ましい。
本実施形態に係るウレタン樹脂の硬化に使用する硬化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)及びその水添物、又は、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及びその水添物等を含有するものを挙げることができ、これらを含有する市販の硬化剤を適宜選択して使用することが可能である。
絵柄層12は、上記ウレタン樹脂をバインダ樹脂として含有する絵柄用インキが基材層11に対して印刷されることにより形成されるが、その他の樹脂成分を必要に応じて含有することも可能である。このような絵柄用インキのバインダ樹脂以外の成分としては、例えば、顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、光安定剤等の各種添加剤を挙げることができる。
なお、顔料としては、例えば、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等を挙げることができる。
〈接着層13〉
接着層13は、ポリエステル樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂並びにイソシアネート硬化剤を含有している。ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、分子量やエポキシ当量の異なる一般入手可能な各種グレードから適宜選択して用いることができる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、耐湿熱性と接着性との両立の観点からすると、分子量(質量平均分子量MW)が、1000以上4000以下の範囲内にあると好ましく、1000以上2000以下の範囲内にあると特に好ましい。
上記ポリエステル樹脂は、フタル酸、直鎖ジカルボン酸及びアルキレンジオールを構成要素に有している。このようなポリエステル樹脂は、公知技術(例えば、ジカルボン酸とジオールとの重縮合反応等)により作製可能である。接着層13は、上記ポリエステル樹脂と上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂とを混合することにより、化粧シートとしての実用性に十分な耐湿熱性を発現させることができる。
上記ポリエステル樹脂の構成要素となるフタル酸(本明細書においては、オルトフタル酸及びテレフタル酸も含めた総称である。)は、耐湿熱性を強化するために用いられている。上記ポリエステル樹脂の構成要素となる直鎖ジカルボン酸は、特に限定されるものではないが、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等を挙げることができる。
上記ポリエステル樹脂の構成要素となるアルキレンジオールは、特に限定されるものではないが、例えば、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、(ポリ)ヘキサメチレングリコール等を挙げることができる。ここで、アルキレンジオールとして、ネオペンチルグリコールをさらに含有していると、耐湿熱性をより向上させることができるので好ましい。
上記ポリエステル樹脂と上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂との質量割合(ポリエステル樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂)は、50:50から90:10までの範囲内にある必要がある。ビスフェノールA型エポキシ樹脂が、上記割合よりも少ないと、目的とする耐湿熱性が得られず、上記割合よりも大きいと、必要とする接着性が得られなくなってしまう。
また、フタル酸と直鎖ジカルボン酸とのモル割合(フタル酸:直鎖ジカルボン酸)は、45:55から85:15までの範囲内にあると好ましい。フタル酸が上記割合よりも大きいと、脆化を起こし易くなり、接着性の低下を招くおそれがあり、好ましくない。他方、フタル酸が上記割合よりも小さいと、凝集力の低下を引き起こし易くなり、接着性の低下を招くおそれがあり、好ましくない。
さらに、アルキレンジオールと、フタル酸及び直鎖ジカルボン酸とのモル割合(アルキレンジオール:(フタル酸+直鎖ジカルボン酸))は、40:60から60:40までの範囲内にあると好ましい。上記範囲外となると、ポリエステル樹脂の分子量が小さくなって、接着性や耐熱性の低下を招いてしまうおそれがあり、好ましくない。
そして、イソシアネート硬化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI),キシレンジイソシアネート(XDI),イソホロジンジイソシアネート(IPDI)等が挙げられる。ポリエステル樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂とイソシアネート硬化剤との質量割合((ポリエステル樹脂+ビスフェノールA型エポキシ樹脂):イソシアネート硬化)は、100:5から100:20までの範囲内にあると好ましい。イソシアネート硬化剤が上記割合よりも小さいと、十分に硬化させることが難しくなってしまい、好ましくない。他方、イソシアネート硬化剤が上記割合よりも大きいと、硬くなり過ぎてしまい、好ましくない。
接着層13は、ポリエステル樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂とイソシアネート硬化剤との2液を混合して、例えば、グラビアコート、マイクログラビアコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコート等の一般的な塗布方法や付着方法を適用することにより形成することができる。
接着層13は、積層方向の厚さが、2μm以上20μm以下であると好ましく、5μm以上15μm以下であるとさらに好ましい。2μm未満であると、十分な密着力を発現し難くなってしまい、あまり好ましくない。20μmを超えると、必要以上に多過ぎてしまい、あまり好ましくない。
〈耐候性層14〉
耐候性層14は、アクリル系樹脂(ポリメチルメタクリレート系樹脂)とアクリル系ゴム(ポリメチルメタクリレート系ゴム)との混合物からなると好ましい。アクリル系樹脂とアクリル系ゴムとの質量割合(アクリル系樹脂:アクリル系ゴム)は、40:60から70:30までの範囲内であると好ましい。言い換えると、耐候性層14を形成するにあたって、アクリル系樹脂の混合割合が40質量%以上70質量%以下であり、アクリル系ゴムの混合割合が30質量%以上60質量%以下であると、好ましい。
耐候性層14は、紫外線吸収剤を含有していると好ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系等を挙げることができ、これらを単体又は両者を混合して使用することができる。耐候性層14を構成する材料(アクリル系樹脂及びアクリル系ゴムの混合物)に紫外線吸収剤を添加して混合することにより、耐光性及び耐候性をより向上させることができる。
耐候性層14は、紫外線吸収剤を、アクリル系樹脂及びアクリル系ゴムの合計質量に対して、0.2質量%以上0.8質量%以下で含有していると好ましい。紫外線吸収剤の含有量が0.2質量%未満であると、紫外線吸収剤の性能を十分に発現することが難しくなるおそれを生じてしまう。紫外線吸収剤の含有量が0.8%を越えると、紫外線吸収剤が耐候性層14中で均一に分散し難くなるおそれを生じてしまう。例えば、耐候性層14が着色してしまうほどの量で紫外線吸収剤を混合してしまうと、好ましくなくなってしまう。
耐候性層14は、積層方向の厚さが、20μm以上70μm以下であると好ましく、40μm以上60μm以下であるとさらに好ましい。20μm未満であると、十分な耐候性を得ることが難しくなってしまい、あまり好ましくない。70μmを超えると、加工性の低下を引き起こし易くなってしまい、あまり好ましくない。なお、耐候性層14には、意匠性を向上させるため、エンボス等の凹凸形状の模様加工を施すことも可能である。
〈耐汚性層15〉
耐汚性層15は、耐溶剤性、耐油性、耐汚性、透明性に優れるフッ素樹脂や、エチレンビニルアルコール樹脂(エチレンビニルアルコール共重合樹脂)(EVOH)を含有する樹脂層であると好ましく、特に、フッ素樹脂で形成されると、より好ましい。また、耐汚性層15は、アクリル系樹脂をさらに含有することも可能である。
フッ素樹脂としては、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、エチレン-テトラフロロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフロロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフロロエチレン-パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等を挙げることができる。特に、エチレン-テトラフロロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフロロエチレン-パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)であると、耐汚性等だけでなく溶融成形性にも優れるので、より好ましい。
EVOHとしては、エチレン含有率が82mol%以上90mol%以下のタイプと、25mol%以上50mol%以下のタイプとの2種類が存在するが、エチレン含有率25mol%以上50mol%以下のタイプであると、耐溶剤性、耐油性、耐汚性、透明性がより優れるので、好ましい。
耐汚性層15は、耐候性層14と同様に、紫外線吸収剤を含有していると、耐光性及び耐候性をより向上させることができるので、好ましい。耐汚性層15を構成する材料(アクリル系樹脂及びアクリル系ゴムの混合物)に紫外線吸収剤を添加して混合することにより、耐光性及び耐候性をより向上させることができる。なお、耐候性層14が着色してしまうほどの量で紫外線吸収剤を混合してしまうと、好ましくなくなってしまう。
耐汚性層15は、その表面にフッ素樹脂やEVOHをコーティングすることや、耐候性層14にフッ素樹脂フィルムやEVOHフィルムを貼り合わせることで設けることが可能である。
耐汚性層15は、フッ素樹脂フィルムを用いて形成する場合において、エンボス等の凹凸形状の模様を表面に加工するときには、フッ素系樹脂フィルムを耐候性層14に貼り合わせてから凹凸形状の模様加工を施すと好ましい。
また、EVOHを用いて耐汚性層15を形成する場合において、エンボス等の凹凸形状の模様を表面に加工するときには、EVOHフィルムを耐候性層14に貼り合わせてから凹凸形状の模様加工を施したり、EVOHを熱溶融ルーダーコーテングする際に凹凸形状の模様加工を施したりすると好ましい。例えば、耐候性層14の材料とEVOHとを共押し出しエクストルーダーラミネートする際に、併せて凹凸形状の模様加工を施すと好ましい。
なお、耐候性層14と耐汚性層15とを合わせた積層方向の厚さは、20μm以上80μm以下であると好ましく、40μm以上60μm以下であるとさらに好ましい。20μm未満であると、耐候性を十分に発現し難くなってしまい、あまり好ましくない。80μmを超えると、不燃性の低下を引き起こしてしまい、あまり好ましくない。
〈化粧シート10の製造方法〉
このような構造をなす本実施形態に係る化粧シート10においては、基材層11に絵柄層12を印刷した後、2液混合した接着層13を塗布付着させて、耐候性層14及び耐汚性層15を積層してドライラミネートすることにより、製造することができる。
〈化粧シート10の効果〉
このようにして得られる本実施形態に係る化粧シート10においては、接着層13が、ポリエステル樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂並びにイソシアネート硬化剤を含有し、ポリエステル樹脂が、フタル酸、直鎖ジカルボン酸及びアルキレンジオールを構成要素に有し、ポリエステル樹脂とビスフェノールA型エポキシ樹脂との質量割合(ポリエステル樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂)が、50:50から90:10までの範囲内になっているので、十分な接着性を有しながらも、優れた耐湿熱性及び耐候性を発現することができ、長期にわたって屋外環境下に曝される建設物の外装でも適用することができる。
また、フタル酸と直鎖ジカルボン酸とのモル割合(フタル酸:直鎖カルボン酸)が、45:55から85:15までの範囲内にあると、接着性をさらに向上させることができる。
さらに、アルキレンジオールと、フタル酸及び直鎖ジカルボン酸とのモル割合(アルキレンジオール:(フタル酸+直鎖ジカルボン酸))が、40:60から60:40までの範囲内にあると、接着性や耐熱性の低下を防止することができる。
くわえて、アルキレンジオールとして、ネオペンチルグリコールをさらに含有すると、耐湿熱性をより向上させることができる。
〈金属化粧部材〉
そして、図2に示すように、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、鋼板等の金属からなる基板101上には、接着剤102が塗布されている。接着剤102と化粧シート10の基材層11との間には、接着性を向上させる下地層16が設けられている。
つまり、本実施形態に係る金属化粧部材100は、化粧シート10の基材層11へ貼り付けられる金属製の基板101と、基板101を化粧シート10の基材層11へ接着する接着剤102とを備えると共に、化粧シート10の基材層11と接着剤102との間に位置するように基材層11に下地層16が設けられているのである。
接着剤102は、特に限定されるものではないが、例えば、2液硬化型のウレタン系接着剤等を挙げることができる。また、下地層16は、特に限定されるものではないが、例えば、先に説明した絵柄層12と同様な材料(ウレタン樹脂)を挙げることができる。
このような本実施形態に係る金属化粧部材100によれば、建築基準法第2条第9号及び建築基準法施工令第108条の2に基づく防耐火試験方法と性能評価規格に従うコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験において、(1)加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、(2)加熱開始後20分間、最大発熱速度が10秒以上継続して200KW/mを超えず、(3)加熱開始後20分間、防火上有害な亀裂及び穴がないだけの不燃性を備えることができる。
[第二の実施形態]
本発明に係る化粧シート及びこれを利用する金属化粧部材の第二の実施形態を図3,4に基づいて説明する。ただし、前述した実施形態と同様な部分については、前述した実施形態の説明で用いた符号と同様な符号を用いることにより、前述した実施形態での説明と重複する説明を省略する。
〈化粧シート〉
図3に示すように、基材層11上には、絵柄層12が設けられている。絵柄層12上には、耐候性層14が設けられている。耐候性層14上には、耐汚性層15が設けられている。絵柄層12と耐候性層14との間には、接着層13が設けられている。接着層13と耐候性層14との間には、当該間の接着性をより高めるためのアンカー層27が設けられている。
つまり、前述した実施形態に係る化粧シート10の接着層13と耐候性層14との間にアンカー層27を設けることにより、本実施形態に係る化粧シート20を構成している。
このような化粧シート20は、積層方向の厚さが、100μm以上150μm以下であると好ましく、110μm以上130μm以下であるとさらに好ましい。100μm未満であると、耐候性の低下を引き起こし易くなってしまい、あまり好ましくない。150μmを超えると、加工性の低下を引き起こし易くなってしまい、あまり好ましくない。
〈アンカー層27〉
アンカー層27は、接着層13と耐候性層14との間の接着性をより高めるものであり、特に、アクリル系樹脂を主鎖とするウレタン系樹脂を適用すると好ましい。アクリル系樹脂を主鎖とするウレタン系樹脂としては、アクリル系ポリオールとポリイソシアネートとを構成要素に有する2液硬化型アクリル系ウレタン樹脂からなるもの等を挙げることができる。この2液硬化型アクリル系ウレタン樹脂からなるものは、ラミネート後に架橋させることにより、準外装用途等における高温の使用条件下でも接着強度を失うことなく十分な耐剥離性を維持する特性を発現することができるので、好ましい。
2液硬化型アクリル系ウレタン樹脂としては、アクリル系ポリオールを主成分とする主剤100質量部に対して、ヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネートを3~10質量部添加したものが好適である。アクリル系樹脂を主鎖とすることにより、耐候性層14との密着性を向上させることができると共に、耐候性もさらに向上させることができる。また、ウレタン系樹脂による架橋を有することにより、接着層13との接着性を向上させることができると共に、耐熱性をさらに向上させることができる。
アクリル系ポリオールは、ガラス転移温度が95℃以上105℃以下であると、密着性及び耐熱性を高めることができるので好ましい。ガラス転移温度が95℃未満であると、耐熱性の低下を引き起こし、温水に浸漬されることにより空隙を生じ、接着力の低下を引き起こしてしまうおそれがある。
アンカー層27は、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤等の各種の添加剤を必要に応じて1種以上適宜含有することも可能である。
アンカー層27は、積層方向の厚さが、0.5μm以上5μm以下であると好ましく、1μm以上3μm以下であるとさらに好ましい。0.5μm未満であると、十分な接着性を発現することが難しくなってしまい、あまり好ましくない。5μmを超えると、必要以上に多過ぎてしまい、あまり好ましくない。
〈化粧シート20の製造方法〉
このような構造をなす本実施形態に係る化粧シート20においては、基材層11に絵柄層12を印刷した後、2液混合した接着層13を塗布付着させる一方、耐候性層14及び耐汚性層15を積層して耐候性層14に2液混合したアンカー層27を塗布付着させ、接着層13とアンカー層27とを重ね合わせるようにドライラミネートすることにより、製造することができる。
〈化粧シート20の効果〉
このようにして得られる本実施形態に係る化粧シート20においては、前述した実施形態に係る化粧シート10と同様な効果が得られるのはもちろんのこと、接着層13と耐候性層14との間にアンカー層27を設けたので、接着性のさらなる向上を図ることができる。
〈金属化粧部材〉
そして、図4に示すように、基板101上には、接着剤102が塗布されている。接着剤102と化粧シート20の基材層11との間には、下地層16が設けられている。
つまり、本実施形態に係る金属化粧部材200は、前述した実施形態に係る金属化粧部材100と同様に、化粧シート20の基材層11へ貼り付けられる金属製の基板101と、基板101を化粧シート20の基材層11へ接着する接着剤102とを備えると共に、化粧シート20の基材層11と接着剤102との間に位置するように基材層11に下地層16が設けられているのである。
このような本実施形態に係る金属化粧部材200によれば、前述した実施形態に係る金属化粧部材100と同様に、建築基準法第2条第9号及び建築基準法施工令第108条の2に基づく防耐火試験方法と性能評価規格に従うコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験において、(1)加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、(2)加熱開始後20分間、最大発熱速度が10秒以上継続して200KW/mを超えず、(3)加熱開始後20分間、防火上有害な亀裂及び穴がないだけの不燃性を備えることができる。
[他の実施形態]
なお、前述した実施形態においては、絵柄層12を有する化粧シート10,20の場合について説明したが、本発明はこれに限らない。他の実施形態として、例えば、絵柄層12を省略した化粧シートとすることも可能である。
また、前述した実施形態においては、下地層16を設けた化粧シート10,20と基板101とを接着剤102を介して接合した金属化粧部材100,200について説明したが、本発明はこれに限らない。他の実施形態として、例えば、下地層16を省略して、化粧シート10,20の基材11と基板101とを接着剤102を介して接合した金属化粧部材とすることも可能である。
本発明に係る化粧シート及びこれを利用する金属化粧部材の実施例を以下に具体的に説明する。なお、本発明は、具体的に説明する以下の実施例のみに限定されるものではなく、各実施例の技術的事項を必要に応じて適宜組み合わせることも可能なものである。
[試験体及び比較体の作製]
〈試験体1〉
《基材層》
着色されて隠蔽性のあるポリエチレンシート(厚さ70μm)を用意して基材層とした。
《絵柄層》
ポリオールとして、ポリカプロラクトンジオール、ポリテトラメチレングリコール及びネオペンチルグリコールを用い、ポリイソシアネートとして、イソホロンジイソシアネートを用い、公知の付加重合法により、数平均分子量が2×10の水酸基末端のウレタン樹脂を合成した。このウレタン樹脂と銅フタロシアニン系顔料との質量割合(ウレタン樹脂:顔料)が80:20となるようにウレタン樹脂に顔料を加えて混合分散させ、絵柄層用のインキを調整した。この絵柄層用のインキを前記基材層にグラビア印刷して木目柄の絵柄層(厚さ1μm)を基材層に形成した。
《下地層》
2液硬化型ポリエステルウレタン(ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとを100:5の質量割合で混合したもの)100質量部に対して、希釈溶剤(酢酸エチルとメチルイソブチルケトンとを1:1の質量割合で混合したもの)20質量部を添加して、混合攪拌した。これを前記基材層にグラビアコート法で塗布して乾燥させることにより下地層(厚さ1μm)を形成した。
《接着層》
フタル酸として、イソフタル酸(IP)を使用すると共に、直鎖ジカルボン酸として、アジピン酸(AD)を使用し、ジオールとして、エチレングリコール及びヘキサンジオールを使用することにより、ポリエステルジオール(ポリエステル樹脂)(P)を合成した(IP:AD=90:10(モル割合)、数平均分子量:1×10、固形分水酸基価:10mgKOH/g)。
得られたポリエステルジオール(ポリエステル樹脂)(P)とビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP)(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)1004AF(品番)」)との固形分の質量割合(P:EP)が70:30となるようにポリエステルジオール(ポリエステル樹脂)(P)にビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP)を添加する。さらに、ポリエステルジオール(ポリエステル樹脂)(P)及びビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP)とイソシアネート硬化剤であるHDI(CA)との質量割合((P+EP):CA)が、100:13となるようにHDI(CA)及び希釈溶剤を混合して接着層の原料液を用意する。そして、固化後の厚さが10μmとなるように基材層の絵柄層上にグラビアコート法で原料液を塗布した。
《耐候性層及び耐汚性層》
アクリル樹脂(PPMA樹脂、構成単位:メタクリル酸メチル)40質量部と、アクリルゴム(株式会社クラレ製PMMAゴム「パラペット(登録商標)SA-FW001(品番)」、構成単位:メタクリル酸メチル、平均粒子径:100nm)60質量部と、紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤「チヌビン(登録商標)326(品番)」)0.5質量部とを混合して耐候性層用の原材料を調整した。
耐候性層用の原材料の上記混合物と、ポリフッ化ビニリデン樹脂(フッ素樹脂)とをTダイで溶融押し出しすることにより、耐候性層(厚さ15μm)とフッ素樹脂からなる耐汚性層(厚さ5μm)との積層体(厚さ20μm)を得た。そして上記積層体を基材層の絵柄層上に接着層を介して積層した後、ドライラミネートすることにより、化粧シート(厚さ120μm)を得た。
《金属化粧部材》
アルミニウム製の基板(厚さ1mm)に2液硬化型ウレタン系接着剤を乾燥状態で25g/mの塗布量となるように塗布した後、化粧シートの下地層に貼り合わせることにより、金属化粧部材の試験体1を得た。
〈試験体2〉
接着層のポリエステルジオール(ポリエステル樹脂)(P)とビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP)との固形分の質量割合(P:EP)を80:20とする以外は、試験体1と同一にすることにより、金属化粧部材の試験体2を得た。
〈試験体3〉
接着層のポリエステルジオール(ポリエステル樹脂)(P)とビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP)との固形分の質量割合(P:EP)を60:40とする以外は、試験体1と同一にすることにより、金属化粧部材の試験体3を得た。
〈試験体4〉
接着層のポリエステルジオール(ポリエステル樹脂)(P)とビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP)との固形分の質量割合(P:EP)を50:50とする以外は、試験体1と同一にすることにより、金属化粧部材の試験体4を得た。
〈試験体5〉
接着層のポリエステルジオール(ポリエステル樹脂)(P)とビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP)との固形分の質量割合(P:EP)を90:10とする以外は、試験体1と同一にすることにより、金属化粧部材の試験体5を得た。
〈試験体6〉
接着層のフタル酸としてのイソフタル酸(IP)と直鎖ジカルボン酸としてのアジピン酸(AD)とのモル割合(IP:AD)を65:35とする以外は、試験体1と同一にすることにより、金属化粧部材の試験体6を得た。
〈試験体7〉
接着層のフタル酸としてのイソフタル酸(IP)と直鎖ジカルボン酸としてのアジピン酸(AD)とのモル割合(IP:AD)を85:15とする以外は、試験体1と同一にすることにより、金属化粧部材の試験体7を得た。
〈試験体8〉
接着層のフタル酸としてのイソフタル酸(IP)と直鎖ジカルボン酸としてのアジピン酸(AD)とのモル割合(IP:AD)を45:55とする以外は、試験体1と同一にすることにより、金属化粧部材の試験体8を得た。
〈試験体9〉
接着層のフタル酸としてのイソフタル酸(IP)と直鎖ジカルボン酸としてのアジピン酸(AD)とのモル割合(IP:AD)を40:60とする以外は、試験体1と同一にすることにより、金属化粧部材の試験体9を得た。
〈試験体10〉
接着層のジオールとして、エチレングリコール及びヘキサンジオールと併せてネオペンチルグリコール(NPG)を使用する以外は、試験体6と同一にすることにより、金属化粧部材の試験体10を得た。
〈試験体11〉
アクリル系ポリオールを主成分とする主剤100質量部に対して、ヘキサメチレンジイソシアネートを5質量部添加した2液硬化型アクリル系ウレタン樹脂を、耐候性層と耐汚性層との積層体の耐候性層側に、固化後の厚さが2μmとなるようにグラビアコート法にて塗工してアンカー層を形成し、接着層とアンカー層とを重ね合わせるようにドライラミネートする以外は、試験体6と同一にすることにより、金属化粧部材の試験体11を得た。
〈試験体12〉
接着層のフタル酸としてのイソフタル酸(IP)と直鎖ジカルボン酸としてのアジピン酸(AD)とのモル割合(IP:AD)を90:10とする以外は、試験体11と同一にすることにより、金属化粧部材の試験体12を得た。
〈比較体1〉
接着層のポリエステルジオール(ポリエステル樹脂)(P)とビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP)との固形分の質量割合(P:EP)を100:0、すなわち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP)を省いてポリエステルジオール(ポリエステル樹脂)(P)だけとした以外は、試験体10と同一にすることにより、金属化粧部材の比較体1を得た。
〈比較体2〉
接着層のポリエステルジオール(ポリエステル樹脂)(P)とビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP)との固形分の質量割合(P:EP)を40:60とした以外は、試験体10と同一にすることにより、金属化粧部材の比較体2を得た。
[試験内容]
〈接着性試験〉
試験体1~12及び比較体1,2からサンプル(幅25mm)をそれぞれ切り取って室温環境で24時間保存した後、絵柄層(基材層)と耐候性層との間におけるT字剥離強度(引張速度:50mm/min)を測定した。その結果を下記の表1に示す。なお、表1において、「◎」は、界面で剥離を生じることなく基材が破断、「○」は、基材層が変形しながら界面に剥離を生成、「△」は、基材層が変形することなく界面に剥離を生成、「×」は、サンプルのハンドリング時に剥離を生じて測定不可、を表している。評価結果が「◎」及び「○」を合格とした。
〈耐湿熱性試験〉
試験体1~12及び比較体1,2からサンプル(幅25mm)をそれぞれ切り取って室温環境で24時間保存した後、高加速寿命試験装置(HASTチャンバ)を用いて、プレッシャークッカーテスト(PCT)を下記の条件で行った。
・温度:105℃
・湿度:100%RH
・時間:96時間
続いて、絵柄層(基材層)と耐候性層との間におけるT字剥離強度(引張速度:50mm/min)を測定した。その結果を下記の表1に示す。なお、表1において、「◎」は、界面で剥離を生じることなく基材が破断、「○」は、基材層が変形しながら界面に剥離を生成、「△」は、基材層が変形することなく界面に剥離を生成、「×」は、サンプルのハンドリング時に剥離を生じて測定不可、を表している。評価結果が「◎」及び「○」を合格とした。
〈耐候性試験〉
試験体1~12及び比較体1,2に対して超促進耐候性試験機(メタルハライドランプ式ウェザメータ)を用いて、下記の条件の紫外線照射モード(20時間)と結露モード(4時間)とを行い、これを1サイクル(24時間)として25サイクル(600時間)を行った。
《紫外線照射モード》
・照度:65mW/cm
・ブラックパネル温度:63℃
・相対湿度:50%
《結露モード》
・環境温度:30℃
・相対湿度98%
*モード切替時10秒間シャワー噴霧実施
試験終了後、試験体1~12及び比較体1,2を試験機から取り出し、外観を目視確認した。その結果を下記の表1に示す。なお、表1において、「○」は、著しい変退色及び剥離のいずれも生じなかった、「△」は、著しい変退色又は剥離の一方が生じている、「×」は、著しい変退色及び剥離の両方が生じている、を表している。評価結果が「○」を合格とした。
[試験結果]
各試験の試験結果を表1に示す。
Figure 2024033461000003
表1からわかるように、接着層のポリエステルジオール(ポリエステル樹脂)(P)とビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP)との固形分の質量割合(P:EP)を100:0、すなわち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP)を省いてポリエステルジオール(ポリエステル樹脂)(P)だけとした比較体1においては、接着性に優れるものの、耐湿熱性が悪く、耐候性も悪かった。
また、接着層のポリエステルジオール(ポリエステル樹脂)(P)とビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP)との固形分の質量割合(P:EP)を40:60とした比較体2においては、接着性が悪いだけでなく、耐湿熱性及び耐候性も悪かった。
これに対し、接着層のポリエステルジオール(ポリエステル樹脂)(P)とビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP)との固形分の質量割合(P:EP)が、50:50から90:10までの範囲内にある試験体1~12においては、接着性、耐湿熱性、耐候性のいずれにおいても良好な結果を得られることが確認できた。
なかでも、接着層のイソフタル酸(IP)とアジピン酸(AD)とのモル割合(IP:AD)が、45:55から85:15までの範囲内にある試験体6~8においては、より優れた接着性をさらに得られることが確認できた。
特に、接着層のジオールとして、エチレングリコール及びヘキサンジオールと併せてネオペンチルグリコール(NPG)を使用した試験体10と、アンカー層を設けた試験体11とにおいては、より優れた接着性及び耐湿熱性をさらに得られることが確認できた。
本発明に係る化粧シート及びこれを利用する金属化粧部材は、長期にわたって屋外環境下に曝される建設物の外装でも適用することができるので、建設業を始めとする各種産業において、極めて有益に利用することができる。
10,20 化粧シート
11 基材層
12 絵柄層
13 接着層
14 耐候性層
15 耐汚性層
16 下地層
27 アンカー層
100,200 金属化粧部材
101 基板
102 接着剤

Claims (13)

  1. 基材層と、
    前記基材層上に設けられる耐候性層と、
    前記耐候性層上に設けられる耐汚性層と、
    前記基材層と前記耐候性層との間に設けられる接着層と
    を備える化粧シートにおいて、
    前記接着層は、
    ポリエステル樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂並びにイソシアネート硬化剤を含有し、
    前記ポリエステル樹脂は、フタル酸、直鎖ジカルボン酸及びアルキレンジオールを構成要素に有し、
    前記ポリエステル樹脂と前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂との質量割合(ポリエステル樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂)が、50:50から90:10までの範囲内にある
    ことを特徴とする化粧シート。
  2. 前記フタル酸と前記直鎖ジカルボン酸とのモル割合(フタル酸:直鎖カルボン酸)が、45:55から85:15までの範囲内にある
    ことを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記アルキレンジオールは、ネオペンチルグリコールを含有している
    ことを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  4. 前記イソシアネート硬化剤は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI),キシレンジイソシアネート(XDI),イソホロジンジイソシアネート(IPDI)のうちの少なくとも一種を含有している
    ことを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  5. 前記基材層と前記接着層との間に絵柄層が設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  6. 前記絵柄層は、ポリカプロラクトンポリオール、ポリアルキレングリコール及びポリイソシアネートを構成要素に有するウレタン樹脂をバインダ樹脂として含有している
    ことを特徴とする請求項5に記載の化粧シート。
  7. 前記ウレタン樹脂は、さらに、ネオペンチルグリコールを構成要素に有している
    ことを特徴とする請求項6に記載の化粧シート。
  8. 前記ポリアルキレングリコールは、ポリテトラメチレングリコールである
    ことを特徴とする請求項6に記載の化粧シート。
  9. 前記ポリイソシアネートは、イソホロンジイソシアネートである
    ことを特徴とする請求項6に記載の化粧シート。
  10. 前記接着層と前記耐候性層との間にアンカー層が設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  11. 前記アンカー層は、アクリル系ポリオール及びポリイソシアネートを構成要素に有するアクリル系ウレタン樹脂を含有している
    ことを特徴とする請求項10に記載の化粧シート。
  12. 請求項1から11のいずれか一項に記載の化粧シートと、
    前記化粧シートの前記基材層へ貼り付けられる金属製の基板と、
    前記基板を前記化粧シートの前記基材層へ接着する接着剤と
    を備えていることを特徴とする金属化粧部材。
  13. 前記化粧シートの前記基材層と前記接着剤との間に位置するように前記基材層に下地層が設けられている
    ことを特徴とする請求項12に記載の金属化粧部材。
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