JP2008199842A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータ駆動システムの低コスト化と推定の安定化を図る。
【解決手段】モータ制御装置は、三相式のモータを駆動するインバータと直流電源との間に流れる電流から2相分の相電流を検出する1シャント電流検出方式と、高周波電圧重畳に応じて流れる重畳電流に基づいて回転子位置を推定する方式と、を組み合わせて実施する。2相分の相電流を検出可能とするために電圧指令値に補正処理を加えるが、重畳する高周波電圧を楕円形の回転電圧とし、この楕円の短軸の大きさを電圧補正量に応じた大きさとする。また、この短軸方向をq軸に対応するδ軸方向に一致させ、回転速度又は駆動電圧の増加に伴って楕円の短軸の大きさを減少させる。
【選択図】図25

Description

本発明は、モータを駆動制御するモータ制御装置に関し、特に、1シャント電流検出方式と高周波電圧印加に基づく回転子位置推定を利用したモータ制御装置に関する。
モータに三相交流電力を供給してモータをベクトル制御するためには、U相、V相及びW相の3相の内、2相分の相電流(例えばU相電流及びV相電流)を検出する必要がある。2相分の相電流を検出するために、通常、2つの電流センサ(カレントトランス等)が用いられるが、2つの電流センサの使用はモータを組み込んだシステム全体のコストアップを招く。
このため、従来より、インバータと直流電源間の母線電流(直流電流)を1つの電流センサにて検出し、その検出した母線電流から2相分の相電流を検出する方式が提案されている。この方式は、1シャント電流検出方式(シングルシャント電流検出方式)とも呼ばれており、この方式の基本原理は、例えば下記特許文献1に記載されている。
図41に、1シャント電流検出方式を採用した従来のモータ駆動システムの全体ブロック図を示す。インバータ(PWMインバータ)902は、上アームと下アームを備えたハーフブリッジ回路を3相分備え、制御部903から与えられた三相電圧指令値に従って各アームをスイッチングさせることにより、直流電源904からの直流電圧を三相交流電圧に変換する。該三相交流電圧は三相永久磁石同期式のモータ901に供給され、モータ901が駆動制御される。
インバータ902内の各下アームと直流電源904とを結ぶ線路を母線MLという。電流センサ905は、母線MLに流れる母線電流を表す信号を制御部903に伝達する。制御部903は、電流センサ905の出力信号を適切なタイミングでサンプリングすることにより、電圧レベルが最大となる相(最大相)の相電流と最小となる相(最小相)の相電流、即ち、2相分の相電流を検出する。
各相の電圧レベルが互いに十分離れている場合は、上述の処理によって2相分の相電流を検出することができるのであるが、電圧の最大相と中間相が接近すると或いは電圧の最小相と中間相が接近すると2相分の相電流が検出できなくなる。尚、この2相分の相電流が検出できなくなることについての説明を含む1シャント電流検出方式の説明は、図3〜図5を参照しつつ後にも行われる。
これに鑑み、1シャント電流検出方式において、2相分の相電流が検出できなくなるような期間には、3相のゲート信号に基づいてインバータ内の各アームに対するPWM信号のパルス幅を補正するという手法が提案されている(例えば、下記特許文献2参照)。
この補正にも対応する、一般的な電圧指令値(パルス幅)の補正例を図42に示す。図42において、横軸は時間を表し、920u、920v及び920wは、U相、V相及びW相の電圧レベルを表している。各相の電圧レベルは各相に対する電圧指令値(パルス幅)に従うため、両者は等価と考えることができる。図42に示す如く、電圧の「最大相と中間相」及び「最小相と中間相」が所定間隔以下に接近しないように、各相の電圧指令値(パルス幅)が補正される。これにより、2相分の相電流が検出できないほど各相電圧が接近することがなくなり、安定的に2相分の相電流を検出することが可能となる。
一方、位置センサを用いることなく回転子位置を推定する手法として、高周波電圧を印加する手法が提案されている(例えば、下記非特許文献1参照)。高周波電圧印加に基づく回転子位置の推定手法は、モータの磁気突極性を利用した推定手法であるため、回転停止時又は低速回転時において良好な推定を行えることが知られている。
特許第2712470号公報 特開2003−189670号公報 新中,「突極性永久磁石同期モータセンサレス駆動のための速応楕円形高周波電圧印加法の提案」,電気学会論文誌D,2006年,第126巻,第11号,p.1572−1584 比田、他2名,「最大トルク制御軸に基づく永久磁石同期モータの位置センサレスベクトル制御」,平成18年電気学会産業応用部門大会講演論文集,電気学会産業応用部門,平成18年8月,p.385−388(I−385〜I−388) 竹下、他3名,「センサレスPMSMのパラメータ計測法」,電気学会論文誌D,1999年,第119巻,第10号,p.1184−1191 森本、他2名,「PMモータシステムの停止時におけるパラメータ同定」,電気学会論文誌D,2003年,第123巻,第9号,p.1081−1082 浦崎、他3名,「PMモータドライブのオンラインデッドタイム補償法」,平成14年電気学会産業応用部門大会講演論文集,2002年,p.1491−1496
1シャント電流検出方式と高周波電圧印加に基づく回転子位置の推定手法とを組み合わせれば、低コスト化と回転停止時等における推定の安定化を享受することができるが、その組み合わせを実現する手法は未だ提案されていない。従って、当然、両者を組み合わせる際に考慮すべき事項についての技術も未だ存在しない。
そこで本発明は、低コスト化と推定の安定化に寄与するモータ制御装置及びモータ駆動システムを提供することを目的とする。
本発明に係る第1のモータ制御装置は、三相式のモータを駆動するインバータと直流電源との間に流れる電流から、前記モータの固定子の電機子巻線に流れる相電流を検出する電流検出手段を備え、前記モータの推定回転子位置に基づいて前記相電流を三相−二相変換し、この変換によって得られる制御用電流に基づいて前記モータに対する位置センサレスベクトル制御を行うモータ制御装置であって、前記モータを駆動するための駆動電圧に、所定の周波数を有する重畳電圧を重畳する重畳手段と、前記制御用電流から抽出され且つ前記重畳電圧に応じて前記モータに流れる重畳電流に基づいて前記推定回転子位置を求める推定手段と、を備え、前記重畳手段による前記重畳電圧の電圧ベクトル軌跡は、楕円を成すことを特徴とする。
そして例えば、二相分の相電流を検出可能とするために、前記重畳電圧が重畳された前記駆動電圧を補正する電圧補正手段を更に備え、この補正を介した電圧に従って前記モータを制御する。
モータをベクトル制御するためには二相分の相電流情報が必要である。上記電流検出手段を用いてその情報を得るべく電圧に対する補正を行った場合、その補正によって、モータに実際に印加される回転子位置推定用の重畳電圧が所望の重畳電圧と異なってしまう。仮に重畳電圧を交番電圧にすると補正の影響が大きくなる。そこで、上記モータ制御装置の如く、電圧ベクトル軌跡が楕円を成すような重畳電圧を重畳する。これにより、補正の影響が低減されて推定が安定化する。勿論、上記電流検出手段にて相電流を検出するため、電流センサは1つで足り、低コスト化も図られる。
また具体的には例えば、前記楕円の短軸は、前記電圧補正手段による電圧補正量に応じた大きさを有する。
これにより、推定に対する電圧補正の影響を抑制することが可能となる。
より具体的には例えば、U相、V相又はW相の固定軸に直交する軸をb軸とした場合、前記楕円の短軸の大きさは、前記電圧補正手段による電圧補正量のb軸成分の最大値よりも大きい。
或いは、より具体的には例えば、U相、V相又はW相の固定軸に直交する軸をb軸とした場合、前記モータの回転停止時における前記楕円の短軸の大きさは、前記電圧補正手段による電圧補正量のb軸成分の最大値よりも大きい。
また例えば、前記重畳手段は、前記モータの回転速度又は前記駆動電圧が増加するに従って、前記楕円の短軸の大きさを減少させる。
また例えば、前記重畳手段は、前記モータの回転速度が所定速度以上となった時或いは前記駆動電圧が所定電圧以上となった時、前記重畳電圧を交番電圧にして前記電圧ベクトル軌跡を前記楕円から線分へと変化させる。
また例えば、前記モータの回転子を構成する永久磁石が作る磁束に直交する軸をq軸、q軸に対応する制御上の推定軸をδ軸とした場合、前記楕円の短軸は、δ軸に平行とされる。
これにより、トルク脈動を低く抑えることが可能となる。
また、本発明に係る第2のモータ制御装置は、インバータに接続された三相式のモータの推定回転子位置に基づいて前記モータの固定子の電機子巻線に流れる相電流を三相−二相変換し、この変換によって得られる制御用電流に基づいて前記モータに対する位置センサレスベクトル制御を行うモータ制御装置であって、前記モータを駆動するための駆動電圧に、所定の周波数を有する重畳電圧を重畳する重畳手段と、前記制御用電流から抽出され且つ前記重畳電圧に応じて前記モータに流れる重畳電流に基づいて前記推定回転子位置を求める推定手段と、前記重畳電圧が重畳された前記駆動電圧に従って、前記インバータを構成するスイッチング回路に対するPWM信号を作成するPWM信号作成手段と、前記PWM信号にデッドタイムを付与するデッドタイム付与手段と、を備え、前記デットタイムが付与された前記PWM信号に基づく前記インバータの出力によって前記モータは駆動され、前記重畳手段による前記重畳電圧の電圧ベクトル軌跡は楕円を成し、前記楕円の短軸は前記デットタイムによる電圧降下量に応じた大きさを有することを特徴とする。
デッドタイム付与によってモータに実際に印加される回転子位置推定用の重畳電圧が所望の重畳電圧と異なってしまうが、デッドタイムによる電圧降下を外乱電圧と捉え、重畳電圧の電圧ベクトル軌跡の短軸の大きさをその電圧降下量を考慮して適切に設定すれば、推定精度に対するデッドタイム付与の影響を抑制することが可能となる。
また本発明に係るモータ駆動システムは、三相式のモータと、前記モータを駆動するインバータと、前記インバータを制御することにより前記モータを制御する上記の何れかに記載のモータ制御装置と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、低コスト化と推定の安定化に寄与するモータ制御装置及びモータ駆動システムを提供することができる。
本発明の意義ないし効果は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも本発明の一つの実施形態であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。後に第1〜第6実施例を説明するが、まず、各実施例に共通する事項又は各実施例にて参照される事項について説明する。
[全体構成及び1シャント電流検出方式]
まず、本発明の実施の形態に係るモータ駆動システムの全体的構成を説明しつつ、該モータ駆動システムに採用される1シャント電流検出方式を説明する。図1は、このモータ駆動システムの全体概略構成図である。
図1のモータ駆動システムは、三相永久磁石同期モータ1(以下、単に「モータ1」と記す)と、PWM(Pulse Width Modulation)インバータ2(以下、単に「インバータ2」という)と、モータ制御装置としての制御部3と、直流電源4と、電流センサ5と、を備える。直流電源4は、負出力端子4bを低電圧側として、正出力端子4aと負出力端子4bとの間に直流電圧を出力する。
モータ1は、永久磁石が設けられた回転子6と、U相、V相及びW相の電機子巻線(固定子巻線)7u、7v及び7wが設けられた固定子7と、を備えている。電機子巻線7u、7v及び7wは、中性点14を中心にY結線されている。電機子巻線7u、7v及び7wにおいて、中性点14の反対側の非結線端は、夫々、端子12u、12v及び12wに接続されている。
インバータ2は、U相用のハーフブリッジ回路、V相用のハーフブリッジ回路及びW相用のハーフブリッジ回路を備える。これらの3つのハーフブリッジ回路によって、モータ1を駆動するためのスイッチング回路が形成される。各ハーフブリッジ回路は、直列接続された一対のスイッチング素子を有する。各ハーフブリッジ回路において、一対のスイッチング素子は、直流電源4の正出力端子4aと負出力端子4bとの間に直列接続され、各ハーフブリッジ回路に直流電源4からの直流電圧が印加される。
U相用のハーフブリッジ回路は、高電圧側のスイッチング素子8u(以下、上アーム8uとも呼ぶ)及び低電圧側のスイッチング素子9u(以下、下アーム9uとも呼ぶ)から成る。V相用のハーフブリッジ回路は、高電圧側のスイッチング素子8v(以下、上アーム8vとも呼ぶ)及び低電圧側のスイッチング素子9v(以下、下アーム9vとも呼ぶ)から成る。W相用のハーフブリッジ回路は、高電圧側のスイッチング素子8w(以下、上アーム8wとも呼ぶ)及び低電圧側のスイッチング素子9w(以下、下アーム9wとも呼ぶ)から成る。また、スイッチング素子8u、8v、8w、9u、9v及び9wには、夫々、並列に、直流電源4の低電圧側から高電圧側に向かう方向を順方向としてダイオード10u、10v、10w、11u、11v及び11wが接続されている。各ダイオードは、フリーホイールダイオードとして機能する。
直接接続された上アーム8uと下アーム9uの接続点、直接接続された上アーム8vと下アーム9vの接続点、直接接続された上アーム8wと下アーム9wの接続点は、夫々、端子12u、12v及び12wに接続される。尚、図1では、各スイッチング素子として電界効果トランジスタが示されているが、それらをIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などに置き換えることもできる。
インバータ2は、制御部3から与えられた三相電圧指令値に基づいて各相に対するPWM信号(パルス幅変調信号)を生成し、該PWM信号をインバータ2内の各スイッチング素子の制御端子(ベース又はゲート)に与えることで、各スイッチング素子をスイッチング動作させる。制御部3からインバータ2に供給される三相電圧指令値は、U相電圧指令値vu *、V相電圧指令値vv *及びW相電圧指令値vw *から構成され、vu *、vv *及びvw *によって、夫々、U相電圧vu、V相電圧vv及びW相電圧vwの電圧レベル(電圧値)が表される。そして、インバータ2は、vu *、vv *及びvw *に基づいて、各スイッチング素子のオン(導通)又はオフ(非導通)を制御する。
同一の相の上アームと下アームが同時にオンとなるのを防ぐためのデッドタイムを無視すると、各ハーフブリッジ回路において、上アームがオンである時は下アームはオフであり、上アームがオフである時は下アームはオンである。後にデッドタイムに着目した実施例も説明するが、特に記述しない限り上記デッドタイムを無視して考えるものとする。
インバータ2に印加されている直流電源4からの直流電圧は、インバータ2内の各スイッチング素子のスイッチング動作によって、例えば、PWM変調(パルス幅変調)された三相交流電圧に変換される。該三相交流電圧がモータ1に印加されることによって、各電機子巻線(7u、7v及び7w)に、三相交流電圧に応じた電流が流れてモータ1が駆動される。
電流センサ5は、インバータ2の母線MLに流れる電流(以下、「母線電流」という)を検出する。母線電流は直流成分を有するため、それを直流電流と解釈することもできる。インバータ2において、下アーム9u、9v及び9wの低電圧側は共通結線されて直流電源4の負出力端子4bに接続される。下アーム9u、9v及び9wの低電圧側が共通結線される配線が母線MLであり、電流センサ5は、母線MLに直列に介在している。電流センサ5は、検出した母線電流(検出電流)の電流値を表す信号を制御部3に伝達する。制御部3は、電流センサ5の出力信号等を参照しつつ上記三相電圧指令値を生成及び出力する。尚、電流センサ5は、例えば、シャント抵抗又はカレントトランス等である。また、下アーム9u、9v及び9wの低電圧側と負出力端子4bとを接続する配線(母線ML)にではなく、上アーム8u、8v及び8wの高電圧側と正出力端子4aとを接続する配線に電流センサ5を設けるようにしてもよい。
ここで、図2〜図6を用いて、母線電流と各相の電機子巻線に流れる相電流との関係等について説明する。図1の電機子巻線7u、7v及び7wに流れる電流を、夫々、U相電流、V相電流及びW相電流と呼び、それらの夫々を(或いはそれらを総称して)相電流と呼ぶ。また、相電流において、端子12u、12v又は12wから中性点14に流れ込む方向の電流の極性を正とし、中性点14から流れ出す方向の電流の極性を負とする。
図2は、モータ1に印加される三相交流電圧の典型的な例を示す。図2において、100u、100v及び100wは、夫々、モータ1に印加されるべきU相電圧、V相電圧及びW相電圧の波形を表す。U相電圧、V相電圧及びW相電圧の夫々を(或いはそれらを総称して)相電圧と呼ぶ。モータ1に正弦波状の電流を流す場合、インバータ2の出力電圧は正弦波状とされる。尚、図2の各相電圧は理想的な正弦波となっているが、本実施形態において、実際には該正弦波に歪みが加えられる(詳細は後述)。
図2に示す如く、U相電圧、V相電圧及びW相電圧の間の電圧レベルの高低関係は、時間の経過と共に変化していく。この高低関係は三相電圧指令値によって定まり、インバータ2は三相電圧指令値に従って各相に対する通電パターンを決定する。図3に、この通電パターンを表として示す。図3の左側から第1列目〜第3列目に通電パターンを表す。第4列目については後述する。
通電パターンには、
U、V及びW相の下アームが全てオンの通電パターン「LLL」と、
W相の上アームがオン且つU及びV相の下アームがオンの通電パターン「LLH」と、
V相の上アームがオン且つU及びW相の下アームがオンの通電パターン「LHL」と、
V及びW相の上アームがオン且つU相の下アームがオンの通電パターン「LHH」と、
U相の上アームがオン且つV及びW相の下アームがオンの通電パターン「HLL」と、
U及びW相の上アームがオン且つV相の下アームがオンの通電パターン「HLH」と、
U及びV相の上アームがオン且つW相の下アームがオンの通電パターン「HHL」と、
U、V及びW相の上アームが全てオンの通電パターン「HHH」と、
がある(上アーム及び下アームの符号(8u等)を省略して記載)。
図4に、3相変調を行う場合における、各相電圧の電圧レベルとキャリア信号との関係、並びに、その関係に応じたPWM信号及び母線電流の波形を示す。各相電圧の電圧レベルの高低関係は様々に変化するが、説明の具体化のため、図4は、図2に示す或るタイミング101に着目している。即ち、図4は、U相電圧の電圧レベルが最大であって且つW相電圧の電圧レベルが最小である場合を示している。電圧レベルが最大の相を「最大相」、電圧レベルが最小の相を「最小相」、電圧レベルが最大でも最小でもない相を「中間相」と呼ぶ。図4に示す状態では、最大相、中間相及び最小相は、夫々、U相、V相及びW相となっている。図4において、符号CSは各相電圧の電圧レベルと比較されるキャリア信号を表す。キャリア信号は周期的な三角波信号となっており、その信号の周期をキャリア周期という。尚、キャリア周期は、図2に示す三相交流電圧の周期よりも遥かに短いため、仮に図4に示すキャリア信号の三角波を図2上で表すと、その三角波は1本の線となって見える。
図5(a)〜(d)をも参照して相電流と母線電流との関係について説明する。図5は、図4の各タイミングにおける、電機子巻線周辺の等価回路である。
各キャリア周期の開始タイミング、即ちキャリア信号が最低レベルにあるタイミングをT0と呼ぶ。タイミングT0において、各相の上アーム(8u、8v及び8w)はオンとされる。この場合、図5(a)に示す如く、短絡回路が形成されて直流電源4への電流の出入りがない状態となるため、母線電流はゼロとなる。
インバータ2は、vu *、vv *及びvw *を参照して各相電圧の電圧レベルとキャリア信号を比較する。そして、キャリア信号のレベル(電圧レベル)の上昇過程において、最小相の電圧レベルがキャリア信号と交差するタイミングT1に至ると、最小相の下アームがオンとされ、図5(b)に示す如く、最小相の電流が母線電流として流れる。図4に示す例の場合、タイミングT1から後述のタイミングT2に至るまでの間は、W相の下アーム9wがオンとなるため、W相電流(極性は負)が母線電流として流れる。
更にキャリア信号のレベルが上昇して中間相の電圧レベルがキャリア信号と交差するタイミングT2に至ると、最大相の上アームがオン且つ中間相及び最小相の下アームがオンとなって、図5(c)に示す如く、最大相の電流が母線電流として流れる。図4に示す例の場合、タイミングT2から後述のタイミングT3に至るまでの間は、U相の上アーム8uがオン且つV相及びW相の下アーム9v及び9wがオンとなるため、U相電流(極性は正)が母線電流として流れる。
更にキャリア信号のレベルが上昇して最大相の電圧レベルがキャリア信号と交差するタイミングT3に至ると、全ての相の下アームがオンとなって、図5(d)に示す如く、短絡回路が形成されて直流電源4への電流の出入りがない状態となるため、母線電流はゼロとなる。
タイミングT3と後述するタイミングT4の中間タイミングにおいて、キャリア信号が最大レベルに達した後、キャリア信号のレベルは下降していく。キャリア信号のレベルの下降過程では、図5(d)、(c)、(b)及び(a)に示す状態が、この順番で訪れる。即ち、キャリア信号のレベルの下降過程において、最大相の電圧レベルがキャリア信号と交差するタイミングをT4、中間相の電圧レベルがキャリア信号と交差するタイミングをT5、最小相の電圧レベルがキャリア信号と交差するタイミングをT6、次のキャリア周期の開始タイミングをT7とすると、タイミングT4−T5間、タイミングT5−T6間、タイミングT6−T7間は、夫々、タイミングT2−T3間、タイミングT1−T2間、タイミングT0−T1間と同じ通電パターンとなる。
従って例えば、タイミングT1−T2間或いはT5−T6間で母線電流を検出すれば、母線電流から最小相の電流を検出することができ、タイミングT2−T3間或いはT4−T5間で母線電流を検出すれば、母線電流から最大相の電流を検出することができる。そして、中間相の電流は、三相電流の総和が0になることを利用して計算で得ることができる。図3の表の第4列目には、各通電パターンにおいて母線電流として流れる電流の相を、電流極性付きで示している。例えば、図3の表の8行目に対応する通電パターン「HHL」においては、母線電流としてW相電流(極性は負)が流れる。
尚、キャリア周期からタイミングT1とT6との間の期間を除いた期間は最小相に対するPWM信号のパルス幅を表し、キャリア周期からタイミングT2とT5との間の期間を除いた期間は中間相に対するPWM信号のパルス幅を表し、キャリア周期からタイミングT3とT4との間の期間を除いた期間は最大相に対するPWM信号のパルス幅を表す。
U相が最大相且つW相が最小相の場合を例に挙げたが、最大相、中間相及び最小相の組み合わせは、6通りある。図6に、この組み合わせを表として示す。U相電圧、V相電圧及びW相電圧を、夫々、vu、vv及びvwで表した場合において、
u>vv>vw、が成立する状態を第1モード、
v>vu>vw、が成立する状態を第2モード、
v>vw>vu、が成立する状態を第3モード、
w>vv>vu、が成立する状態を第4モード、
w>vu>vv、が成立する状態を第5モード、
u>vw>vv、が成立する状態を第6モード、
と呼ぶ。図4及び図5に示した例は、第1モードに対応している。また、図6には、各モードにおいて検出される電流の相も示されている。
U相電圧指令値vu *、V相電圧指令値vv *及びW相電圧指令値vw *は、具体的には、夫々、カウンタの設定値CntU、CntV及びCntWとして表される。相電圧が高いほど、大きな設定値が与えられる。例えば、第1モードにおいては、CntU>CntV>CntW、が成立する。
制御部3に設けられたカウンタ(不図示)は、キャリア周期ごとに、タイミングT0を基準としてカウント値を0からアップカウントする。そして、そのカウント値がCntWに達した時点でW相の上アーム8wがオンの状態から下アーム9wがオンの状態に切り替えられ、そのカウント値がCntVに達した時点でV相の上アーム8vがオンの状態から下アーム9vがオンの状態に切り替えられ、そのカウント値がCntUに達した時点でU相の上アーム8uがオンの状態から下アーム9uがオンの状態に切り替えられる。キャリア信号が最大レベルに達した後は、カウント値はダウンカウントされ、逆の切り替え動作が行われる。
従って、第1モードにおいては、上記のカウンタ値がCntWに達した時点がタイミングT1に対応し、CntVに達した時点がタイミングT2に対応し、CntUに達した時点がタイミングT3に対応することになる。このため、第1モードにおいては、カウンタ値がアップカウントされている状態で、カウンタ値がCntWより大きく且つCntVより小さいタイミングに電流センサ5の出力信号をサンプリングすることにより母線電流として流れるW相電流(極性は負)を検出することができ、カウンタ値がCntVより大きく且つCntUより小さいタイミングに電流センサ5の出力信号をサンプリングすることにより、母線電流として流れるU相電流(極性は正)を検出することができる。
同様に考えて、図6に示す如く、第2モードにおいては、上記のカウンタ値がCntWに達した時点がタイミングT1に対応し、CntUに達した時点がタイミングT2に対応し、CntVに達した時点がタイミングT3に対応することになる。このため、第2モードにおいては、カウンタ値がアップカウントされている状態で、カウンタ値がCntWより大きく且つCntUより小さいタイミングの母線電流からW相電流(極性は負)を検出することができ、カウンタ値がCntUより大きく且つCntVより小さいタイミングの母線電流からV相電流(極性は正)を検出することができる。第3〜第6モードについても同様である。
また、タイミングT1−T2間の、最小相の相電流を検出するサンプリングタイミング(例えば、タイミングT1とT2の中間タイミング)をST1にて表し、タイミングT2−T3間の、最大相の相電流を検出するサンプリングタイミング(例えば、タイミングT2とT3の中間タイミング)をST2にて表す。
尚、三相電圧指令値(vu *、vv *及びvw *)としてのカウンタの設定値CntU、CnuV及びCntWによって、各相に対するPWM信号のパルス幅(及びデューティ)は特定される。
上述の原理に基づき母線電流から各相電流を検出することができるのであるが、図4を参照して理解されるように、例えば最大相と中間相の電圧レベルが接近するとタイミングT2−T3間及びT4−T5間の時間長さが短くなる。母線電流は図1の電流センサ5からのアナログ出力信号をデジタル信号に変換することによって検出されるが、この時間長さが極端に短いと、必要なA/D変換時間やリンギング(スイッチングに由来して生じる電流脈動)の収束時間を確保できなくなって、最大相の相電流を検出できなくなる。同様に、最小相と中間相の電圧レベルが接近すると、最小相の相電流を検出できなくなる。2相分の相電流を実測できなければ、3相分の相電流を再現することはできず、モータ1をベクトル制御することはできない。
本実施形態(後述する各実施例)では、このような2相分の相電流を実測できなくなると考えられる期間において、モータ1への印加電圧を表す電圧ベクトル(電圧指令ベクトル)を補正して各相電圧間の電圧レベル差を所定値以上に保ち、これによって上記の不具合を解消する。或いは、電圧ベクトルを補正するのではなく三相電圧の段階で同様の補正を行うこともできる(三相電圧の段階で補正する例は、第2実施例で後述)
[状態量等の定義]
電圧ベクトル(電圧指令ベクトル)を補正する手法を詳説する前に、各種の状態量(状態変数)の説明及び定義等を行う。図7は、モータ1の解析モデル図である。図7には、U相、V相、W相の電機子巻線固定軸(以下、それらを、単に、U相軸、V相軸及びW相軸とも呼ぶ)が示されている。6aは、モータ1の回転子6に設けられた永久磁石である。永久磁石6aが作る磁束と同じ速度で回転する回転座標系において、永久磁石6aが作る磁束の方向をd軸にとる。また、図示していないが、d軸から電気角で90度進んだ位相にq軸をとる。
また、モータ1にベクトル制御を行うに際して回転子位置検出用の位置センサを用いない場合は、真のd軸及びq軸が不明であるため、制御上の推定軸が定義される。d軸に対応する制御上の推定軸をγ軸とし、q軸に対応する制御上の推定軸をδ軸とする。δ軸は、γ軸から電気角で90度進んだ軸である(図7において不図示)。通常、ベクトル制御は、γ軸及びδ軸がd軸及びq軸と一致するように実施される。d軸とq軸は、実軸の回転座標系の座標軸であり、それらを座標軸に選んだ座標をdq座標とよぶ。γ軸とδ軸は、制御上の回転座標系(推定回転座標系)の座標軸であり、それらを座標軸に選んだ座標をγδ座標とよぶ。
d軸(及びq軸)は回転しており、その回転速度(電気角速度)を実モータ速度ωと呼ぶ。γ軸(及びδ軸)も回転しており、その回転速度(電気角速度)を推定モータ速度ωeと呼ぶ。また、ある瞬間の回転しているdq座標において、d軸の位相をU相の電機子巻線固定軸を基準としてθ(実回転子位置θ)により表す。同様に、ある瞬間の回転しているγδ座標において、γ軸の位相をU相の電機子巻線固定軸を基準としてθe(推定回転子位置θe)により表す。そうすると、d軸とγ軸との軸誤差Δθは、Δθ=θ―θeで表される。
また、インバータ2からモータ1に印加される全体のモータ電圧をVaにて表し、インバータ2からモータ1に供給される全体のモータ電流をIaにて表す。そして、
モータ電圧Vaのγ軸成分、δ軸成分、d軸成分及びq軸成分を、それぞれγ軸電圧vγ、δ軸電圧vδ、d軸電圧vd及びq軸電圧vqで表し、
モータ電流Iaのγ軸成分、δ軸成分、d軸成分及びq軸成分を、それぞれγ軸電流iγ、δ軸電流iδ、d軸電流id及びq軸電流iqで表す。
また、後の各実施例でも参照されるが、
γ軸電圧vγ及びδ軸電圧vδに対する指令値を、夫々、γ軸電圧指令値vγ*及びδ軸電圧指令値vδ*にて表す。vγ*及びvδ*は、モータ駆動システム内において算出され、夫々、vγ及びvδが追従すべき電圧(電圧値)を表す。また更に、
γ軸電流iγ及びδ軸電流iδに対する指令値を、夫々、γ軸電流指令値iγ*及びδ軸電流指令値iδ*にて表す。iγ*及びiδ*は、モータ駆動システム内において算出され、夫々、iγ及びiδが追従すべき電流(電流値)を表す。
また、以下の説明において、
aは、モータ抵抗(モータ1の電機子巻線の抵抗値)であり、
d、Lqは、夫々d軸インダクタンス(モータ1の電機子巻線のインダクタンスのd軸成分)、q軸インダクタンス(モータ1の電機子巻線のインダクタンスのq軸成分)であり、
Φaは、永久磁石6aによる電機子鎖交磁束である。
尚、Ld、Lq、Ra及びΦaは、モータ駆動システムの設計時において予め設定される値である。また、後に示す各式において、sはラプラス演算子を表し、pは微分演算子を表す。
[電圧ベクトルの補正手法]
次に、上述の電圧ベクトルの補正手法について説明する。
図8に、固定軸であるU相軸、V相軸及びW相軸と、回転軸であるd軸及びq軸と、電圧ベクトルと、の関係を表す空間ベクトル図を示す。符号110が付されたベクトルが、電圧ベクトルである。q軸から見た電圧ベクトル110の位相をεにて表す。U相軸を基準とした電圧ベクトル110の位相は、(θ+ε+π/2)にて表される。
電圧ベクトル110は、モータ1に印加される電圧をベクトルとして捉えたものであり、例えばγδ座標に着目した場合、電圧ベクトル110のγ軸成分及びδ軸成分は、それぞれvγ及びvδである。実際には、モータ駆動システム内においてγ軸電圧指令値vγ*及びδ軸電圧指令値vδ*が算出され、vγ*及びvδ*によって電圧ベクトル110が表される。このため、電圧ベクトルは、電圧指令ベクトルとも読み替えられる。
U相軸近傍、V相軸近傍及びW相軸近傍のハッチングが施されたアスタリスク状の領域111は、2相分の相電流が検出できない領域を表している。例えば、V相電圧とW相電圧が近くて2相分の相電流が検出できない場合、電圧ベクトル110はU相軸近傍に位置することになり、U相電圧とW相電圧が近くて2相分の相電流が検出できない場合、電圧ベクトル110はV相軸近傍に位置することになる。
このように、2相分の相電流が検出不可能な領域111は、U相軸を基準として電気角で60度ごとに存在し、電圧ベクトル110が、その領域111に位置すると2相分の相電流が検出できない。従って、電圧ベクトルが領域111内にある場合に、電圧ベクトルが領域111外のベクトルとなるように電圧ベクトルを補正してやればよい。
この補正を実行するべく、今、2相分の相電流を検出不可能な領域111の特性に着目して、電気角60度ごとにステップ的に回転する座標を考える。この座標を、ab座標と呼ぶ(尚、dq座標やγδ座標は連続的に回転する座標である)。ab座標は、互いに直交するa軸とb軸を座標軸としている。図9に、a軸がとり得る6つの軸を示す。a軸は、電圧ベクトル110の位相(θ+ε+π/2)に応じて、a1軸〜a6軸の何れかとなる。a1軸、a3軸及びa5軸は、それぞれU相軸、V相軸及びW相軸に一致し、a2軸、a4軸及びa6軸は、それぞれa1軸とa3軸の中間軸、a3軸とa5軸の中間軸及びa5軸とa1軸の中間軸である。尚、符号131が付された円については後述する。
電圧ベクトル110が、符号121が付された範囲に位置する場合、即ち、
11π/6≦(θ+ε+π/2)<0、又は、0≦(θ+ε+π/2)<π/6、が成立する場合、a軸はa1軸となり、
電圧ベクトル110が、符号122が付された範囲に位置する場合、即ち、
π/6≦(θ+ε+π/2)<π/2、が成立する場合、a軸はa2軸となり
電圧ベクトル110が、符号123が付された範囲に位置する場合、即ち、
π/2≦(θ+ε+π/2)<5π/6、が成立する場合、a軸はa3軸となり
電圧ベクトル110が、符号124が付された範囲に位置する場合、即ち、
5π/6≦(θ+ε+π/2)<7π/6、が成立する場合、a軸はa4軸となり
電圧ベクトル110が、符号125が付された範囲に位置する場合、即ち、
7π/6≦(θ+ε+π/2)<3π/2、が成立する場合、a軸はa5軸となり
電圧ベクトル110が、符号126が付された範囲に位置する場合、即ち、
3π/2≦(θ+ε+π/2)<11π/6、が成立する場合、a軸はa6軸となる。
例えば、電圧ベクトル110が図9に示す位置にある場合、a軸はa4軸となる。
このように、a軸は、電圧ベクトルの回転に伴って、60度ごとにステップ的に回転し、b軸も、a軸と直交しつつa軸と共に60度ごとにステップ的に回転する。a軸及びb軸は60度ごとに量子化されて60度ごとに回転する座標軸である、とも表現できる。このため、a軸は、常に、2相分の相電流を検出不可能な領域の中心に位置することになる。本補正手法では、dq座標上の電圧ベクトルをab座標上に変換し、そのab座標上に変換された電圧ベクトルのa軸成分及びb軸成分を参照して、必要に応じてそれらを補正する(例えば、補正によってb軸成分を大きくする)。
この補正処理のより具体的な実現方法について説明する。a1軸〜a6軸の内、電圧ベクトル110が最も近い軸の位相は、U相軸を基準として、「(n+2)π/3」にて表される。ここで、nは、(θ+ε)をπ/3で割った時に得られる商である。便宜上、図10に示す如く、θを、上記の位相(n+2)π/3と、その位相(n+2)π/3とθとの差分位相θDと、に分解する。これらの位相の関係は、式(1−1)及び式(1−2)にて表される。
dq座標を差分位相θDだけ座標変換することにより、電圧ベクトル110をab座標上における電圧ベクトルとして捉える。ab座標上で考え、電圧ベクトル110のa軸成分及びb軸成分をa軸電圧va及びb軸電圧vbとすると、d軸電圧vd及びq軸電圧vqとa軸電圧va及びb軸電圧vbは、下記式(1−3)の座標変換式を満たす。
差分位相θDは、以下のように算出できる。下記式(1−4)を用いて算出されるεに合致するn(即ち、(θ+ε)をπ/3で割った時に得られる商)を、θを参照して求める。その求めたnとθを上記式(1−2)に代入すれば、差分位相θDが得られる。
そして、式(1−3)に従って算出されたa軸電圧va及びb軸電圧vbを参照して補正処理を行う。図11に、この補正処理の手順を示すフローチャートを示す。ステップS1では、式(1−3)に従う座標変換が行われる。続くステップS2において、va及びvbに対する補正処理が行われる。
ステップS2では、まず、b軸電圧vbの大きさ(絶対値)が所定の閾値Δ(但し、Δ>0)より小さいか否かを判断する。即ち、下記式(1−5)が満たされるか否かを判断する。そして、b軸電圧vbの大きさが閾値Δより小さい場合であって且つb軸電圧vbが正である場合は、vbがΔとなるように補正する。b軸電圧vbの大きさが閾値Δより小さい場合であって且つb軸電圧vbが負である場合は、vbが(−Δ)となるように補正する。b軸電圧vbの大きさが閾値Δ以上の場合、vbに対して補正は施されない。
また、ステップS2において、a軸電圧vaが下記式(1−6)を満たすか否かも判断する。そして、式(1−6)を満たす場合、vaが式(1−6)の右辺と等しくなるようにvaを補正する。vaが下記式(1−6)を満たさない場合、vaに対して補正は施されない。尚、式(1−6)によって、電圧ベクトル110が図9の円131の内部に含まれるかを判断している。電圧ベクトル110が円131の内部に含まれる状態は、三相の相電圧が互いに接近している状態に対応しており、この状態においては、b軸電圧vbの大きさに関わらず2相分の相電流は検出できない。
図12に、ステップS2による補正処理の前後の、ab座標上における電圧ベクトル(110)の軌跡を示す。図12(a)は、ab座標上における補正前の電圧ベクトル軌跡を表し、図12(b)は、ab座標上における補正後の電圧ベクトル軌跡を表す。図12(a)及び(b)は、b軸電圧vbが補正される場合を例示している。図12(a)及び(b)の夫々に、各タイミングの電圧を表すプロットが多数記されている。図12(a)に対応する補正前の電圧ベクトルは、2相分の相電流を検出不可能なa軸近傍にも位置しうるが、図12(b)に対応する補正後の電圧ベクトルは、vbに対する補正によってa軸近傍に位置することがない。
ステップS2による補正処理の後、ステップS3に移行し、補正後の電圧ベクトル110を「位相(n+2)π/3」だけ座標変換する。即ち、ab座標上における補正後の電圧ベクトル110を、αβ座標上の電圧ベクトル110に変換する。αβ座標(αβ固定座標)は、α軸とα軸に直交するβ軸とを座標軸に選んだ固定座標である。図13に示す如く、α軸はU相軸と一致している。電圧ベクトル110のα軸成分及びβ軸成分をα軸電圧vα及びβ軸電圧vβとすると、α軸電圧vα及びβ軸電圧vβと補正後のa軸電圧va及びb軸電圧vbは、下記式(1−7)の座標変換式を満たす。
また、補正後のa軸電圧va及びb軸電圧vbを、下記式(1−8)に従ってU相電圧vu及びV相電圧vvに変換することもできる。また、W相電圧vwは、下記式(1−9)に従って算出される。
上記の補正処理を経た電圧ベクトルのαβ座標上の軌跡を図14に示す。この補正処理により、固定座標であるαβ座標において、電圧ベクトルが位置しない領域が電気角60度ごとに存在するようになる。また、上記の補正処理を経て得られるvα及びvβの電圧波形を、横軸を時間にとり、図15(a)に示す。また、上記の補正処理を経て得られるvu、vv及びvwの電圧波形を、横軸を時間にとり、図15(b)に示す。図15(b)において、歪んだ正弦波上に並ぶプロット群142uはvuの軌跡を、歪んだ正弦波上に並ぶプロット群142vはvvの軌跡を、歪んだ正弦波上に並ぶプロット群142wはvwの軌跡を表す。図15(b)からも分かるように、上記の補正処理によって各相電圧間の電圧差が所定値以上、確保されている。
このように、本補正手法では、dq座標から固定座標(例えば、αβ座標)へ座標変換する際、ab座標を介して2段階の座標変換を行うようにする。そして、補正のしやすいab座標上において電圧ベクトルに対する補正処理を実行することで、必要な補正を、簡素に且つ確実に実現する。ab座標において、電圧ベクトル(電圧指令ベクトル)の座標軸成分va及びvbを独立して補正するだけで済むため、補正内容が簡素である。特に印加電圧が低い時には3相全てに対して補正が必要となるが、このような場合にも補正量の決定が容易である。
尚、この2段階の座標変換と、dq座標とαβ座標との座標変換(通常の1段階の座標変換)とが等価であること、即ち下記式(1−10)が成立することは、上記式(1−2)より明らかである。また、回転子位置検出用の位置センサを用いず、位置センサレスベクトル制御を行う場合は、上述のd軸及びq軸をγ軸及びδ軸に置き換えて考えればよい。
また、上述の説明から明らかなように、a軸に直交するb軸は、固定軸であるU相軸、V相軸又はW相軸に直交する軸である(図9参照)。そして、電圧ベクトルのb軸成分の大きさ|vb|が閾値Δ未満の時のときに、図11のステップS2にて、その大きさ|vb|がΔまで増大せしめられる。従って、閾値Δというのは、ステップS2の補正処理における電圧補正量のb軸成分の最大値(換言すれば、b軸方向の電圧補正量の最大値)に相当する。
[高周波電圧印加に基づく位置センサレスベクトル制御]
後述する各実施例では、高周波電圧印加を利用して回転子位置を推定し位置センサレスベクトル制御を実現する。高周波電圧印加を利用した回転子位置の推定手法として様々な手法が提案されているが、以下に、出願人が提案する推定手法の原理説明を行う。この推定手法は、後述の各実施例にて利用可能である。
今、γ軸電流iγ及びδ軸電流iδがγ軸電流指令値iγ*及びδ軸電流指令値iδ*に追従するようにフィードバック制御がなされたモータ駆動システム(例えば後に示す図27のモータ駆動システム)において、γ軸電流指令値iγ*及びδ軸電流指令値iδ*に従って作成されたγ軸電圧指令値vγ*及びδ軸電圧指令値vδ*に、回転子位置推定のための高周波の重畳電圧を重畳することを考える。この重畳電圧は、原則として、電圧ベクトル軌跡が円を描く回転電圧である。
γ軸電流指令値iγ*及びδ軸電流指令値iδ*にて表される電流は、モータ1を駆動するための駆動電流を表し、γ軸電圧指令値vγ*及びδ軸電圧指令値vδ*にて表される電圧は、モータ1に上記駆動電流を流すためにモータ1に印加される駆動電圧を表す。上述の重畳電圧を駆動電圧に重畳することによって、重畳電圧に応じた重畳電流が駆動電流に重畳されることになる。
重畳電圧における「高周波」とは、その重畳電圧の周波数が駆動電圧の周波数よりも十分に大きいことを意味している。従って、この重畳電圧に従って重畳される上記重畳電流の周波数は、上記駆動電流の周波数よりも十分に大きい。また、「回転電圧」とは、図16の電圧ベクトル軌跡210の如く、電圧ベクトルの軌跡がγδ座標上で円を成すような電圧を意味する。例えば、上記回転電圧が3相で考えた場合における3相平衡電圧である場合、その電圧ベクトル軌跡は、図16の電圧ベクトル軌跡210のようにγδ座標上で原点を中心とする真円を成すことになる。この回転電圧は、モータ1の回転に同期しない高周波の電圧であるため、この回転電圧の印加によってモータ1が回転することはない。
モータ1が埋込磁石形同期モータ等であってLd<Lqが成立するとき、電圧ベクトル軌跡210を成す重畳電圧によってモータ1に流れる重畳電流の電流ベクトル軌跡は、図17の電流ベクトル軌跡211に示す如く、γδ座標上で原点を中心とし、γ軸方向を長軸方向且つδ軸方向を短軸方向とする楕円となる。但し、電流ベクトル軌跡211は、軸誤差Δθがゼロの場合の電流ベクトル軌跡である。軸誤差Δθがゼロでない場合における重畳電流の電流ベクトル軌跡は、電流ベクトル軌跡212にて表される楕円のようになり、その長軸方向(又は短軸方向)はγ軸方向(又はδ軸方向)と一致しない。即ち、軸誤差Δθがゼロでない場合は、モータ1の磁気突極性に起因して、γδ座標上で原点を中心として電流ベクトル軌跡211が傾き、電流ベクトル軌跡212を描くようになる。
重畳電流のγ軸成分及びδ軸成分を、夫々、γ軸重畳電流ihγ及びδ軸重畳電流ihδとすると、それらの積(ihγ×ihδ)には、電流ベクトル軌跡212にて表される楕円の傾きに依存した直流成分が存在する。積(ihγ×ihδ)は、電流ベクトル軌跡の第1及び第3象限で正の値をとる一方で第2及び第4象限で負の値をとるため、楕円が傾いていない時は(電流ベクトル軌跡211の場合は)直流成分を含まないが、楕円が傾くと(電流ベクトル軌跡212の場合は)直流成分を含むようになる。尚、図17(及び後述する図21等)におけるI、II、III及びIVは、γδ座標上での第1、第2、第3及び第4象限を表している。
図18に、時間を横軸にとり、軸誤差Δθがゼロの場合における積(ihγ×ihδ)とその積の直流成分を夫々曲線220及び221にて表す。図19に、時間を横軸にとり、軸誤差Δθがゼロではない場合における積(ihγ×ihδ)とその積の直流成分を夫々曲線222及び223にて表す。図18及び図19からも分かるように、積(ihγ×ihδ)の直流成分は、Δθ=0°の場合にゼロとなり、Δθ≠0°の場合にゼロとならない。また、この直流成分は、軸誤差Δθの大きさが増大するにつれて大きくなる(軸誤差Δθに概ね比例する)。従って、この直流成分がゼロに収束するように制御すれば、軸誤差Δθはゼロに収束するようになる。この特性を利用すれば、回転子位置を推定可能である。
重畳電圧は、下記式(2−1)によって表すことができる。ここで、
hγ*及びvhδ*は、駆動電圧(vγ*及びvδ*)に重畳される重畳電圧のγ軸成分及びδ軸成分である。また、
ωhは、vhγ*及びvhδ*の周波数(γδ座標上における電気角速度)を表し、
hγ及びVhδは、夫々、重畳電圧のγ軸方向の振幅(即ち、vhγ*の振幅)及び重畳電圧のδ軸方向の振幅(即ち、vhδ*の振幅)を表す。また、tは、時間を表す。
重畳電圧として回転電圧を重畳する場合、重畳電圧のγ軸方向の振幅Vhγとδ軸方向の振幅Vhδは異なっていても構わない(後に詳説するが、本実施形態では両者を積極的に異ならせる)。図20に、振幅Vhγを振幅Vhδに対して相対的に大きくした場合における、重畳電圧としての回転電圧の電圧ベクトル軌跡230を示す。電圧ベクトル軌跡230は、γδ座標上で原点を中心とし、γ軸方向を長軸方向且つδ軸方向を短軸方向とする楕円を成す。
図21に、電圧ベクトル軌跡230で表される重畳電圧の重畳に応じて流れる重畳電流の電流ベクトル軌跡(231及び232)を示す。この場合も、軸誤差Δθがゼロならば、重畳電流の電流ベクトル軌跡は電流ベクトル軌跡231のようにγδ座標上で原点を中心とし且つγ軸方向を長軸方向とする楕円を成すため、積(ihγ×ihδ)は直流成分を持たない。一方、軸誤差Δθがゼロでなくなると、重畳電流の電流ベクトル軌跡は電流ベクトル軌跡231から電流ベクトル軌跡232のように原点を中心として傾くこととなるため、積(ihγ×ihδ)は直流成分を持つようになる。このため、真円の回転電圧を重畳する場合と同様に、回転子位置を推定可能である。
更にまた、重畳電圧として交番電圧を採用することも可能である。振幅Vhγ及びVhδの内、一方のみをゼロとすれば重畳電圧は交番電圧となる。例えば、Vhγ≠0且つVhδ=0とすると、γ軸方向の交番電圧が重畳電圧となり、この重畳電圧の電圧ベクトル軌跡は、γδ座標上で原点を中点とするγ軸上の線分を成す。この場合も、軸誤差Δθがゼロならば、重畳電流の電流ベクトル軌跡は図22の電流ベクトル軌跡241のようにγδ座標上の原点を中点とするγ軸上の線分を成すため、積(ihγ×ihδ)は直流成分を持たない。一方、軸誤差Δθがゼロでなくなると、重畳電流の電流ベクトル軌跡は電流ベクトル軌跡241から電流ベクトル軌跡242のように原点を中心として傾くこととなるため、積(ihγ×ihδ)は直流成分を持つようになる。このため、真円の回転電圧を重畳する場合と同様に、回転子位置を推定可能である。
次に、上述の推定原理の理論式を考察する。d軸及びq軸を推定する(即ち、図7のΔθを推定する)場合を考える。まず、重畳成分に関する方程式は、下記式(3−1)によって表される。ここで、下記式(3−2a)、(3−2b)、(3−2c)、(3−2d)及び(3−2e)が成立する。尚、pは、微分演算子である。
印加する重畳電圧が上記式(2−1)によって表されるとすると、この重畳電圧の印加に応じて流れる重畳電流の直交2軸成分ihγ及びihδは、下記式(3−3)にて表される(γ軸とδ軸は直交するため、ihγとihδを、総称して直交二軸成分と呼ぶことができる)。式(3−3)中におけるsはラプラス演算子であり、θh=ωht、である。
上記式(3−3)に基づき、重畳電流の直交2軸成分の積を整理すると、下記式(3−4)が得られる。ここで、K1〜K7は、Ld、Lq、Vhγ及びVhδが特定されれば定まる係数である。
積(ihγ×ihδ)の直流成分を(ihγ×ihδ)DCと表記する。この直流成分は、θhにて変動する項を含まないので、式(3−5)のように表される。
Δθ≒0の場合は、sin(2Δθ)≒2Δθ、sin(4Δθ)≒4Δθ、と近似できるため、軸誤差Δθは、下記式(3−6)にて表すことができる。式(3−6)におけるKは、係数K2及びK3にて定まる係数である。尚、重畳電圧が真円の回転電圧である場合は、係数K3はゼロとなって、式(3−5)からΔθの4倍の正弦項は無くなる。
[1シャント電流検出方式と高周波電圧印加に基づく位置センサレスベクトル制御との組み合わせ]
上述の1シャント電流検出方式を採用すれば、電流センサが1つで足るためコストダウンが図られる。また、高周波電圧印加を利用すれば、特にモータ1の回転停止時や低速回転時において良好に回転子位置を推定可能である。従って、両者を組み合わせたモータ駆動システムは、コスト面及び制御面で優れた性能を発揮しうるが、両者を組み合わせる場合、特別な配慮が必要となる。1シャント電流検出方式を採用する場合、2相分の相電流を実測不可能な期間が生じないように図11等に示されるような電圧補正処理が必要となるが、この電圧補正によって、所望の重畳電圧(真に重畳したい重畳電圧)と実際に重畳される重畳電圧との間に差異が生じてしまうからである。制御系は、所望の重畳電圧が重畳されていることを前提として制御を行おうとするため、この差異は、位置推定精度(回転子位置の推定精度)の悪化を招きうる。
この問題を、図23を参照してより詳しく説明する。図23は、重畳電圧としてγ軸方向の交番電圧を重畳した場合における空間ベクトル図である。図23において、符合300が付された太い実線は、モータ1の回転停止時における、この重畳電圧の電圧ベクトル軌跡である。図23及び後述する図24(a)〜(c)並びに図25(a)〜(c)は、γ軸をd軸に一致させる制御を行った場合を想定している。図23に示す如く、2相分の相電流が検出不可能な領域111内にγ軸(d軸)が位置している時は、重畳電圧を含む電圧指令値(即ち、重畳電圧が重畳された駆動電圧)を補正してやる必要がある。重畳電圧がγ軸方向の交番電圧である場合は、この電圧補正によって重畳電圧が所望の重畳電圧から大きく変更され、位置推定精度が劣化する。このような問題は、回転停止時だけでなく、超低速回転時においても同様に生じる。超低速回転とは、モータ1の回転速度が非常に小さいことを表す。
これを考慮し、本実施形態に係るモータ駆動システムでは(特に回転停止時において)重畳電圧を回転電圧とする。図24(a)は、重畳電圧として楕円形の回転電圧を重畳した場合における空間ベクトル図である。符合301が付された楕円は、モータ1の回転停止時における、この重畳電圧の電圧ベクトル軌跡である。電圧ベクトル軌跡301には、領域111の外に電圧ベクトルが位置する部分が含まれている。重畳電圧の電圧ベクトルが領域111外に出る時、重畳電圧は電圧補正の影響を受けない。このため、重畳電圧を、電圧ベクトル軌跡301を描くような楕円形の回転電圧とすることにより、図23に示すような交番電圧を重畳する場合よりも電圧補正の影響が小さくなる。
尚、以下の説明において特に断りなき限り、楕円とは、空間ベクトル図における(例えば、γδ座標上における)重畳電圧の電圧ベクトル軌跡の形状を指す。
基本的に、回転電圧の振幅を大きくすれば電圧補正の影響は小さくなるのではあるが、δ軸方向の振幅を大きくするとトルクに関与する電流成分が増えるため、q軸電流が変動してトルク脈動が発生しやすくなる。そこで、電圧ベクトル軌跡301に示す如く、Vhγ>Vhδとして、楕円の短軸方向をδ軸方向と一致させる。これにより、重畳に由来するトルク脈動を低減することができる。
但し、図24(a)に示す如く、重畳電圧のδ軸方向の振幅Vhδを、電圧補正量のb軸成分の最大値としての上記閾値Δ(上記式(1−5)及び図12等を参照)よりも大きくすべきである。図24(b)の楕円302はVhδ=Δとした場合における回転停止時の重畳電圧の電圧ベクトル軌跡を示しているが、Vhδ>Δとすることによって、回転停止時であって且つd軸が電機子巻線固定軸に一致している場合でも、γ軸方向の振幅Vhγを適切に設定すれば電圧ベクトル軌跡の一部が領域111外に出るからである。逆に、Vhδ<Δとすると、d軸が領域111内に含まれる時に電圧補正の影響が大きくなり回転子位置の推定誤差が大きくなる。
まとめると、下記式(4−1)が満たされるような重畳電圧を重畳すべきである。しかしながら、下記式(4−1)を満たすようにしても、Vhγによっては、重畳電圧の電圧ベクトル軌跡が領域111に出なくなる場合が生じる。そこで、望ましくは、下記式(4−2)を満たすような楕円形の回転電圧を重畳電圧にするとよい。図24(c)の楕円303はVhδを3の平方根とΔとの積(この積は、図9の円131の半径に相当)に一致させた場合における回転停止時の重畳電圧の電圧ベクトル軌跡を示しているが、下記式(4−2)を満たすことにより、如何なる状態でも必ず重畳電圧の電圧ベクトルが領域111外に出るタイミングが生じるからである。尚、式(4−1)及び式(4−2)において、Vhδの右側の不等号“>”を“≧”に置換することも可能である。
上記式(4−1)又は式(4−2)は、モータ1の回転停止時に満たすべき式を表しており、モータ1が回転している時には、上記式(4−1)又は式(4−2)を満たす必要は必ずしもない(但し、満たすようにしてもよい)。例えば、モータ1の回転速度(ωeや後述するω*)又は駆動電圧が増加するにつれて、楕円の短軸の大きさ(即ち、振幅Vhδ)を小さくするようにしても良い。ここにおける駆動電圧とは、駆動電圧の大きさを表しており、それは、例えばvγ*の2乗とvδ*の2乗との和の平方根で表すことができる。
モータ1の回転が停止している状態はモータ1に印加される駆動電圧がゼロである場合に対応しており、モータが回転している状態はモータ1に印加される駆動電圧がゼロでない場合に対応している。通常、駆動電圧(駆動電圧の大きさ)の増加に従って回転速度も増加するので、モータ1の回転速度の増加に従って楕円の短軸の大きさを小さくする事と、駆動電圧の増加に従って楕円の短軸の大きさを小さくする事は、同様の概念(或いは類似する概念)である。
例えば、図25(a)〜(c)に示すように、回転速度(又は駆動電圧)に応じて重畳電圧の電圧ベクトル軌跡を変化させる。図25(a)、(b)、(c)は、それぞれ、モータ1の回転停止時(ωe=0)、低速回転時(ωe=ω1>0)及び高速回転時(ωe=ω2>ω1)における空間ベクトル図を表す。図25(a)の符号311、図25(b)の符号312及び図25(c)の符号313は、それぞれ、モータ1の回転停止時、低速回転時及び高速回転時における、重畳電圧の電圧ベクトル軌跡の例を表す。図25(b)の符号322及び図25(c)の符号323は、それぞれ、モータ1の低速回転時及び高速回転時における駆動電圧の電圧ベクトルを表している。モータ1が回転し、駆動電圧が0でない時は、駆動電圧の電圧ベクトルの分だけ、重畳電圧の電圧ベクトル軌跡は空間ベクトル図内でシフトする。
また、図25(b)の破線楕円319は、回転停止時の電圧ベクトル軌跡311を、電圧ベクトル322の終点を中心として図25(b)上に表したものである。尚、上述の図16、図17、図20〜図22は、駆動電圧がゼロである時の電圧ベクトル軌跡又は電流ベクトル軌跡を表した図である。
モータ1の回転時には駆動電圧の電圧ベクトル分だけ重畳電圧の電圧ベクトル軌跡がシフトするため、該電圧ベクトル軌跡が領域111外に出やすくなる。従って、モータ1の回転時には楕円の短軸の大きさを小さくすることが可能である。これにより、トルク脈動の低減効果が得られる。また、十分に駆動電圧が大きい高速回転時には、図25(c)に示す如く、Vhδ=0として、重畳電圧をγ軸方向の交番電圧とすることも可能である(但し、楕円形の回転電圧のままでも良い)。重畳電圧を交番電圧とすると重畳電圧の電圧ベクトル軌跡が線分を描くようになるが、駆動電圧が大きければ楕円でなくとも電圧ベクトル軌跡が十分に領域111外に出るからである。重畳電圧をγ軸方向の交番電圧とすれば、トルク脈動の更なる低減効果が得られる。
モータ1の回転速度又は駆動電圧の増加に伴う楕円の短軸の大きさ減少は、図26(a)に示す如く連続的に行っても良いし、図26(b)に示す如く段階的に行っても良い。即ち、回転速度又は駆動電圧が増加すればその増加分に相当する分だけ楕円の短軸の大きさを減少させるようにしてもよいし、回転速度又は駆動電圧が一定量増加した時点でステップ的に楕円の短軸の大きさを減少させるようにしてもよい。そして、図25(c)又は図26(b)に示す例のように、回転速度(ωeや後述するω*)が所定速度以上になった時、或いは、駆動電圧(駆動電圧の大きさ)が所定電圧以上となった時、Vhγ≠0且つVhδ=0として、重畳電圧をγ軸方向の交番電圧にするようにしてもよい。
また、低速回転時において、仮に、楕円の短軸の大きさを回転停止時と同じ程度としておくと、重畳電圧の電圧ベクトル軌跡は図25(b)の破線楕円319のようになって、電圧ベクトル軌跡が電圧ベクトル軌跡312よりも領域111内に入りやすくなる。このことからも、回転時には、回転停止時よりも短軸の大きさを減少させることが望ましい。
尚、上記非特許文献1の方式は、次式(A)の如く、回転速度増加に応じて高周波電圧(vlh)の楕円の短軸の大きさを増加させる方式であり、回転停止時には、該高周波電圧はγ軸方向の交番電圧となる(上記非特許文献1の式(23)参照)。このため、仮に上記非特許文献1の方式を1シャント電流検出方式に適用した場合、回転停止時及び超低速回転時において、電圧補正の影響を大きく受けて回転子位置の推定誤差が大きくなってしまう。また、回転速度増加に伴ってトルク脈動が増加するという問題も生じる。尚、式(A)において、Vh及びωhは固定値とされている。
以下に、上述のモータ駆動システムの具体的な実施例として、第1〜第6実施例を説明する。或る実施例に記載した事項は、矛盾なき限り、他の実施例にも適用可能である。
<<第1実施例>>
まず、第1実施例について説明する。図27は、第1実施例に係るモータ駆動システムの全体構成ブロック図である。図27において、図1と同一の部分には同一の符号を付す。
図27のモータ駆動システムは、モータ1、インバータ2、直流電源4及び電流センサ5を備えていると共に、図1の制御部3(モータ制御装置)として機能する制御部3aを備えている。制御部3aは、減算器13及び14、電流制御部15、磁束制御部16、速度制御部17、電流検出部18、減算器19、位置・速度推定器20(以下、推定器20と略記する)、座標変換器21及び22、加算器23及び24、並びに、重畳電圧生成部25を有している。
上述の如く、電流センサ5は、母線電流を検出し該母線電流の電流値を表す信号を出力する。母線電流をidcにて表す。電流検出部18は、座標変換器22が出力する三相電圧指令値vu *、vv *及びvw *を参照して(即ち、図6のカウンタの設定値CntU、CntV及びCntWを参照して)、何れの相が最大相、中間相及び最小相であるかを特定すると共に電流センサ5の出力信号をサンプリングするタイミングST1及びST2を決定し、そのタイミングにおいて得た母線電流の電流値からU相電流iu及びV相電流ivを算出及び出力する。この際、必要に応じて、iu+iv+iw=0、の関係式を用いる(iwはW相電流を表す)。
座標変換器21は、推定回転子位置θeに基づいてU相電流iu及びV相電流ivを、制御用電流であるγ軸電流iγ及びδ軸電流iδに変換して出力する。
推定器20は、座標変換器21からのiγ及びiδに基づいて、回転子位置及びモータ速度(回転速度)を推定し、推定回転子位置θe及び推定モータ速度ωeを出力する。推定器20の内部ブロックを、図28に示す。図28の推定器20は、バンドパスフィルタ(以下「BPF」と記す)31及び32と、掛算器33と、ローパスフィルタ(以下「LPF」と記す)34と、比例積分演算器35と、積分器36と、を有して構成される。
BPF31は、座標変換器21から出力されるγ軸電流iγの値から、重畳電流のγ軸成分であるihγを抽出する。同様に、BPF32は、座標変換器21から出力されるδ軸電流iδの値から、重畳電流のδ軸成分であるihδを抽出する。掛算器33は、BPF31及び32によって抽出されたihγとihδの積(ihγ×ihδ)を算出する。LPF34は、この積(ihγ×ihδ)から高周波成分を除去して、積(ihγ×ihδ)の直流成分(ihγ×ihδ)DCを抽出する。
比例積分演算器35は、PLL(Phase Locked Loop)制御を実現すべく、制御部3aを構成する各部位と協働しつつ比例積分制御を行って、LPF34から出力される直流成分(ihγ×ihδ)DCがゼロに収束するように(即ち、軸誤差Δθがゼロに収束するように)推定モータ速度ωeを算出する。積分器36は、比例積分演算器35から出力される推定モータ速度ωeを積分して推定回転子位置θeを算出する。ここで算出されたωe及びθeは、共に推定器20の出力値として、その値を必要とする制御部3aの各部位に与えられる。
再度、図27を参照する。モータ駆動システムには、外部から、モータ1(回転子6)を所望の回転速度で回転させるための指令値としてモータ速度指令値ω*が与えられる。減算器19は、モータ速度指令値ω*から推定器20が出力する推定モータ速度ωeを減算し、その減算結果(速度誤差)を出力する。速度制御部17は、減算器19の減算結果(ω*−ωe)に基づいて、δ軸電流iδが追従すべき電流値を表すδ軸電流指令値iδ*を算出する。例えば、比例積分制御によって(ω*−ωe)がゼロに収束するようにiδ*を算出する。磁束制御部16は、ωeとiδ*を用いて、γ軸電流iγが追従すべき電流値を表すγ軸電流指令値iγ*を算出する。例えば、最大トルク制御を実現するためのiγ*を算出する。
減算器13は、磁束制御部16が出力するiγ*から座標変換器21が出力するiγを差し引いて、電流誤差(iγ*−iγ)を算出する。減算器14は、速度制御部17が出力するiδ*から座標変換器21が出力するiδを差し引いて、電流誤差(iδ*−iδ)を算出する。
電流制御部15は、減算器13及び14にて算出された各電流誤差、座標変換器21からのiγ及びiδ並びに推定器20からのωeに基づいて、iγがiγ*に追従するように且つiδがiδ*に追従するように、モータ1の駆動電圧のγ軸成分及びδ軸成分を表すγ軸電圧指令値vγ*とδ軸電圧指令値vδ*を算出する。
重畳電圧生成部25は、上述の重畳電圧を駆動電圧に重畳するべく、上記式(2−1)に表されるvhγ*及びvhδ*を作成して出力する。加算器23及び24は、電流制御部15からのvγ*及びvδ*に重畳電圧生成部25からのvhγ*及びvhδ*を加えることにより、重畳電圧が重畳された駆動電圧を表す(vγ*+vhγ*)及び(vδ*+vhδ*)を算出する。
座標変換器22は、推定器20からのθeを参照しつつ、(vγ*+vhγ*)及び(vδ*+vhδ*)に2相分の相電流を検出可能とするための電圧補正を施してから、三相電圧指令値vu *、vv *及びvw *を作成する。インバータ2は、この三相電圧指令値に従って、上述の如く三相交流電圧をモータ1に供給する。
図29に、座標変換器22の内部ブロック図を示す。座標変換器22は、座標回転部51及び53と、ベクトル補正部52と、を有する。
座標回転部51には、θe、(vγ*+vhγ*)及び(vδ*+vhδ*)が与えられる。座標回転部51は、上記式(1−1)〜式(1−4)におけるθ、vd及びvqを夫々θe、(vγ*+vhγ*)及び(vδ*+vhδ*)と取り扱った上で、上記式(1−3)に従い、(vγ*+vhγ*)及び(vδ*+vhδ*)をva及びvbに変換する。つまり、(vγ*+vhγ*)及び(vδ*+vhδ*)によって表される、γδ座標上の2相の電圧指令ベクトルを、va及びvaによって表される、ab座標上の2相の電圧指令ベクトルに変換する(これらの電圧指令ベクトルは、図8の電圧ベクトル110に相当する)。
式(1−3)に基づく演算を実施する上で差分位相θDが必要となるが、差分位相θDは、式(1−4)を参照して上述した手法を用いて算出される。また、差分位相θDを算出する際に座標回転部51にて求められたnは、座標回転部53での演算に利用される。
ベクトル補正部52は、図11のステップS2における補正処理をva及びvbに対して施し、補正後のva及びvbを、夫々vac及びvbcとして出力する。但し、補正が不要の場合は、vac=va且つvbc=vb、となる。
座標回転部53は、上記式(1−8)及び式(1−9)に従って、補正後のa軸電圧及びb軸電圧(即ちvac及びvbc)を三相電圧指令値(vu *、vv *及びvw *)に変換する。この際、上記式(1−8)及び式(1−9)におけるva、vb、vu、vv及びvwを、それぞれ、vac、vbc、vu *、vv *及びvw *として取り扱う。
図27の重畳電圧生成部25は、上記式(2−1)にて表される重畳電圧を生成する。この際、上述の如く、モータ1の回転速度或いは駆動電圧に応じた重畳電圧を生成する。即ち例えば、モータ1の回転速度を表すωe又はω*を参照し、モータ1の回転停止時には上記式(4−1)又は式(4−2)を満たす重畳電圧を重畳し、回転速度の増加或いは駆動電圧の増加に伴って重畳電圧の楕円の短軸の大きさを連続的に或いは段階的に減少させる。また例えば、回転速度(ωe又はω*)が所定速度以上になった時、或いは、駆動電圧(駆動電圧の大きさ)が所定電圧以上となった時、Vhγ≠0且つVhδ=0として、重畳電圧をγ軸方向の交番電圧にするようにしてもよい。
<<第2実施例>>
また、図29の座標変換器22の代わりに、図30に示す座標変換器22aを用いるようにしてもよい。図29の座標変換器22では、2相の電圧指令ベクトルの段階で電圧補正が行われるのに対し、図30の座標変換器22aでは、3相電圧の段階で、図29の座標変換器22における電圧補正と同じ結果を導く電圧補正が施される。座標変換器22aを説明する実施例として第2実施例を説明する。第2実施例に係るモータ駆動システムの全体構成ブロック図は、第1実施例(図27)におけるそれと同様であるため、重複する図示を省略する。但し、第2実施例では、座標変換器22として図30の座標変換器22aが用いられる。
図30の座標変換器22aは、座標回転部56及びパルス幅補正部57を備える。図29の座標回転部51に対する入力と同様、座標回転部56には、θe、(vγ*+vhγ*)及び(vδ*+vhδ*)が与えられる。座標回転部56は、下記式(5−1)に従って、2相の電圧指令値を表す(vγ*+vhγ*)及び(vδ*+vhδ*)を、一旦、3相の電圧指令値を表すvu1、vv1及びvw1に変換する。パルス幅補正部57は、このvu1、vv1及びvw1に対して図29の座標変換器22における電圧補正と同じ結果を導く電圧補正(パルス幅補正)を施すことによって、三相電圧指令値vu *、vv *及びvw *を作成する。パルス幅補正部57にて作成される三相電圧指令値vu *、vv *及びvw *は、図29の座標回転部53にて作成されるそれらと同じものとなる。パルス幅補正部57によって作成された三相電圧指令値vu *、vv *及びvw *は、図27のインバータ2及び電流検出部18に送られる。
2相分の相電流を検出可能とするべく、3相電圧の段階で電圧指令値(各相に対するPWM信号のパルス幅)を補正する手法は公知である。例えば、その手法として、上記特許文献2に記載の手法を利用すればよい。
<<第3実施例>>
次に、第1又は第2実施例に係るモータ駆動システムの推定精度を評価したシミュレーション結果を、第3実施例として説明する。このシミュレーションでは、2相分の相電流の検出を可能とするための期間を約5[μs](マイクロ秒)と設定し、該期間を確保するために、電圧補正量のb軸成分の最大値を表す閾値Δを10[V](ボルト)とした。即ち、図4におけるタイミングT1−T2間及びタイミングT2−T3間の時間長さが約5[μs]以上確保されるように、Δ=10[V]とした。また、図27の直流電源4が出力する直流電圧を280[V]とし、重畳電圧のγ軸方向の振幅(Vhγ)を40[V]で固定した。
図31(a)及び(b)並びに図32(a)及び(b)に、このシミュレーション結果を示す。図31(a)及び(b)並びに図32(a)及び(b)に示されるグラフにおいて、横軸は時間(単位は秒)を表す。時刻t=0〜t=1の期間において、2[Hz]に相当する実モータ速度でモータ1が回転し、時刻t=1〜t=2の期間において、4[Hz]に相当する実モータ速度でモータ1が回転する状態を想定した。このような条件の下で、重畳電圧のδ軸方向の振幅Vhδを様々に変化させた。
図31(a)において、太い実線で表される符合400は実モータ速度ωの想定値を表し、破線401及び実線402は、図27の推定器20にて算出される推定モータ速度ωeを表し、破線401はVhδ=0[V]である時のそれを、実線402はVhδ=5[V]である時のそれを表す。図31(b)において、破線411及び実線412は、軸誤差Δθの推定値(単位は電気角における度)を表し、破線411はVhδ=0[V]である時のそれを、実線412はVhδ=5[V]である時のそれを表す。軸誤差Δθの推定値は、図28のLPF34の出力から算出することができる(上記式(3−6)も参照)。
時刻t=0〜t=1の期間は、超低速回転を行っている期間に相当し、この期間において、重畳電圧を交番電圧とすると(即ち、Vhδをゼロとすると)、モータ速度及び軸誤差の推定が良好に行えていないことが分かる。これは、1シャント電流検出のための電圧補正が推定に影響を及ぼしているためである。重畳電圧を楕円とすると、これが改善する。但し、実線402及び412のように楕円の短軸の大きさが小さい(Vhδ=5[V])と、その改善効果は十分とは言えない。
一方、時刻t=1〜t=2の期間のように、回転速度が上昇して電圧補正の影響が少なくなれば、Vhδが0[V]及び5[V]の何れであっても、良好な推定が行えていることが分かる。従って、回転速度が比較的大きいときは、Vhδを小さくして良好な推定を維持しつつトルク脈動の低減を図ることができる。
図32(a)は、図31(a)のグラフに、更に実線403及び404を追加したグラフであり、図32(b)は、図31(b)のグラフに、更に実線413及び414を追加したグラフである。図32(a)における破線401及び実線402は図31(a)におけるそれらと同じものであり、図32(b)における破線411及び実線412は図31(b)におけるそれらと同じものである。但し、図32(a)及び(b)では、時刻t=0〜t=1の期間のみを拡大表示している。図32(a)において、実線403及び404は、図27の推定器20にて算出される推定モータ速度ωeを表し、実線403はVhδ=10[V]である時のそれを、実線404はVhδ=17[V]である時のそれを表す。図32(b)において、実線413及び414は、軸誤差Δθの推定値を表し、実線413はVhδ=10[V]である時のそれを、実線414はVhδ=17[V]である時のそれを表す。
楕円の短軸の大きさを表す振幅Vhδを閾値Δ(10[V])以上とすると、超低速回転状態においても良好な推定が行えていることが分かる。特に、振幅Vhδを、概ね“(3の平方根)×Δ”である17[V]とすると特に効果が大きい(上記式(4−1)及び式(4−2)を参照)。
<<第4実施例>>
第1及び第2実施例並びに後述する第5及び第6実施例は、モータ1が埋込磁石形同期モータ等であって、構造上、モータ1が磁気突極性を有していることを想定している。しかしながら、上述してきた技術内容を、非突極機である表面磁石形同期モータ(以下、SPMSMという)に適用することも可能である。即ち、モータ1としてSPMSMを採用しても良い。但し、モータ1をSPMSMにした場合、軸誤差Δθ≠0となっても、通常、図21や図22に示すような電流ベクトル軌跡の傾きを捉えることができない。
従って、この場合は、磁気飽和を生じさせて、モータ1としてのSPMSMに磁気突極性を持たせるとよい。具体的には、重畳電流のγ軸方向の振幅Vhγを大きくすることによって重畳電流のγ軸成分(ihγ)を増大させ、意図的にモータ1に磁気飽和を起こさせると良い。磁気飽和が起こるとd軸インダクタンスLdが減るため、重畳電流がd軸方向に流れやすくなる。即ち、SPMSMが磁気突極性を持ったように振る舞うため、モータ1を突極機とする場合と同様の推定処理が可能となる。
<<第5実施例>>
次に、第5実施例について説明する。第5実施例では、上述の電圧補正処理を上記非特許文献2にて示された最大トルク制御軸に適用する。
まず、図33及び図34を参照して、最大トルク制御軸に相当するdm軸及びqm軸についての説明を行う。図33及び図34は、本実施例に適用されるモータ1の解析モデル図である。図33には、U相、V相、W相の電機子巻線固定軸が示されている。本実施例においても、d軸、q軸、γ軸及びδ軸、並びに、θ、θe、Δθ、ω及びωeを、図7と同様に定義する。
更に、最大トルク制御を実現する際にモータ1に供給されるべき電流ベクトルの向きと向きが一致する回転軸をqm軸と定める。そして、qm軸から電気角で90度遅れた軸をdm軸と定める。dm軸とqm軸を座標軸に選んだ座標をdmqm座標とよぶ。
最大トルク制御を実現するモータ電流は、正のq軸成分と負のd軸成分を有する。このため、qm軸はq軸よりも位相が進んだ軸となる。図33及び図34において、反時計回りの方向が位相の進みの方向である。
qm軸から見たq軸の位相(角度)をθm、δ軸から見たqm軸の位相(角度)をΔθm、と表す。この場合、勿論、dm軸から見たd軸の位相もθm、γ軸から見たdm軸の位相もΔθmとなる。θmは、q軸(d軸)からみたqm軸(dm軸)の進み角である。Δθmは、qm軸とδ軸との間の軸誤差を表している。d軸とγ軸との間の軸誤差であるΔθは、Δθ=Δθm+θm、にて表される。
上述のごとく、dm軸はd軸よりも位相が進んでおり、この際、θmは負の値をとるものとする。同様に、γ軸がdm軸よりも位相が進んでいる場合、Δθmは負の値をとる。図34に示されているベクトル(Em等)については、後述する。
また、モータ電流Iaのdm軸成分及びqm軸成分を、夫々、dm軸電流idm及びqm軸電流iqmで表す。モータ電圧Vaのdm軸成分及びqm軸成分を、それぞれdm軸電圧vdm及びqm軸電圧vqmで表す。
本実施例では、qm軸(dm軸)とδ軸(γ軸)との間の軸誤差Δθmを推定して推定軸であるγ軸をdm軸に収束させる(即ち、軸誤差Δθmをゼロに収束させる)。上記非特許文献2にも記載されているように、dmqm座標の適用は、パラメータ調整の容易化に寄与する。また、qm軸の定義からも明らかなように、最大トルク制御を実現する際におけるモータ電流の電流軌跡はqm軸上にのる。従って、iδ(iδ*)の値に関係なく、iγ*をゼロまたはゼロ近傍の所定値とするだけで最大トルク制御が実現される。このため、演算負荷の容易化に寄与する。
[最大トルク制御軸における拡張誘起電圧モデルの説明]
dmqm座標の推定に関与する理論式の説明を行う。尚、dm軸及びqm軸に関する詳細な説明は、日本国特許出願番号2006−177646の明細書等に記載されていると共に、上記非特許文献2にも記載されている。
一般的なdq座標上での拡張誘起電圧方程式は、式(6−1)にて表され、拡張誘起電圧Eexは式(6−2)にて表される。尚、下記の各式中におけるpは、微分演算子である。
実軸上の式(6−1)を、制御系のγδ座標上に座標変換すると、式(6−3)が得られ、簡単化のために式(6−3)の右辺第3項を無視すると、式(6−4)が得られる。
dmqm座標に着目して、式(6−4)を書き改めると、式(6−5)が得られる。
ここで、Lq1qmを式(6−6)のように定義すると、式(6−5)から式(6−7)が得られる。但し、Emは、式(6−8)によって表される。Lq1は、θmに依存する仮想インダクタンスである。Lq1は、式(6−5)の右辺第2項に存在するEex・sinθmを、仮想インダクタンスによる電圧降下として取り扱うために便宜上定められる。尚、Lq1は、負の値をとる。
更に、Lm=Lq+Lq1、と定義すると、式(6−7)から式(6−9)が得られる。ここで、Eexmは、下記式(6−10)によって表される。
γ軸とdm軸との間に軸誤差Δθmがあったとすると、式(6−9)は下式(6−11)のように変形される。
また、pΔθm≒0、idm≒0、(Ld−Lq)(piq)≒0、と近似すると、式(6−10)によって表されるEexmは、下記式(6−12)のように近似される。
また、上記式(6−6)に「Lm=Lq+Lq1」を代入して得られる式をθmについて解き、更に、iδ≒iqmと仮定すると、下記式(6−13)が得られる。式(6−13)で表されるように、θmはiδの関数であるから、Eexmもiδの関数となる。
dmqm座標を推定するためのパラメータLmの値は、下記式(6−14)で表される。上記式(6−6)に「idm=0と下記式(6−15)及び(6−16)」を代入して得られた式をLq1について解き、その結果を利用することで、式(6−14)を得ることができる。
更に、最大トルク制御に一致するd軸電流idの式(6−17)と、idとiqとiqmの関係式である式(6−15)とを利用して、上記式(6−14)を変形すると、Lmはiqmの関数となる(即ち、Lmの算出式からidとiqの項がなくなる)。従って、iδ≒iqmとすることにより、iqmの関数で表されるLmの値をiδに基づいて算出可能である。
尚、パラメータLmを算出する際、iδ≒iqmとして、Lmをiδの関数として表した近似式を利用するようにしても構わないし、iδに応じたLmの値を事前にテーブルデータとして用意しておき該テーブルデータを参照することによってLmの値を得るようにしても構わない。
尚、上記式(6−2)及び式(6−8)等に現れるEex及びEmは、回転座標系における電圧ベクトルと捉えることができる。図34には、それらがベクトルとして表記されている。また、Eex及びEmに対応する磁束ベクトルΦex及びΦmも、図34にベクトルとして表記されている。
[モータ駆動システムの構成例]
次に、第5実施例に係る、dmqm座標に基づくモータ駆動システムの構成例を示す。図35は、第5実施例に係るモータ駆動システムの全体構成ブロック図である。図35において、図1及び図27と同一の部分には同一の符号を付す。
図27のモータ駆動システムは、モータ1、インバータ2、直流電源4及び電流センサ5を備えていると共に、図1の制御部3として機能する制御部3bを備えている。制御部3bは、図27の制御部3aの構成と類似している。図27の制御部3aにおける推定器20及び重畳電圧生成部25の代わりに、制御部3bには位置・速度推定器20b(以下、推定器20bと略記する)及び重畳電圧生成部25bが設けられており、その他の点において制御部3aと3bの構成は同様である。但し、制御部3bの磁束制御部16は、上述したように、最大トルク制御を実現するべくiγ*としてゼロ又はゼロ近傍の所定値を出力する。
以下、制御部3aと同様の部分に関する重複する説明を省略し、制御部3bに特有の推定器20b及び重畳電圧生成部25bに関する説明を行う。尚、第1実施例に記載した事項を第5実施例に適用する場合、符号20と20bの相違と符号25と25bの相違は、適宜、無視される。
推定器20bは、dm軸及びqm軸を推定するために、d軸とγ軸との軸誤差Δθではなくdm軸とγ軸との軸誤差Δθmがゼロに収束するように推定動作を行う。
図36に、推定器20bの内部ブロック図を示す。推定器20bは、軸誤差推定部61と、比例積分演算器62と、積分器63と、を有して構成される。
軸誤差推定部61は、図35の座標変換器21からのiγ及びiδを用いて軸誤差Δθmを算出する。比例積分演算器62は、PLL(Phase Locked Loop)制御を実現すべく、制御部3bを構成する各部位と協働しつつ比例積分制御を行って、軸誤差推定部61が算出した軸誤差Δθmがゼロに収束するように推定モータ速度ωeを算出する。積分器63は、比例積分演算器62から出力される推定モータ速度ωeを積分して推定回転子位置θeを算出する。算出されたωe及びθeは、共に推定器20bの出力値として、その値を必要とする制御部3bの各部位に与えられる。また、軸誤差推定部61は、位相θm(図33参照)をも算出して、算出した位相θmを図35の重畳電圧生成部25bに送る。
軸誤差推定部61の内部構成例を、図37に示す。図37に示す如く、軸誤差推定部61は、BPF(バンドパスフィルタ)71と、LPF(ローパスフィルタ)72と、θm算出部73と、座標回転部74と、軸誤差算出部75と、を有する。また、図38に示す如く、軸誤差算出部75は、乗算器76と、LPF77と、係数乗算器78と、を有する。尚、図35の重畳電圧生成部25bが生成する重畳電圧の周波数(γδ座標上における電気角速度)は、図27の重畳電圧生成部25と同様、ωhである。
BPF71は、図35の座標変換器21より与えられるiγ及びiδからωhの周波数成分を抽出して、γ軸重畳電流ihγ及びδ軸重畳電流ihδを出力する。BPF71は、iγ及びiδを入力信号として受ける、ωhの周波数を通過帯域内に含むバンドパスフィルタであり、典型的には例えば、その通過帯域の中心周波数はωhとされる。また、BPF71によって駆動電流の周波数成分は除去される。
LPF72は、図35の座標変換器21より与えられるiγ及びiδからωhの周波数成分を除去したものをθm算出部73に送る。即ち、LPF72によって、iγ及びiδから、重畳電流(ihγ及びihδ)の成分が除去される。
θm算出部73は、ωhの周波数成分が除去されたiγ及びiδの値に基づいて、位相θmを算出する。具体的には、ωhの周波数成分が除去されたiδの値を上記式(6−13)におけるiδとして利用しつつ、上記式(6−13)を用いてθmを算出する。この際、iδに応じたθmの値を事前にテーブルデータとして用意しておき該テーブルデータを参照することによってθmの値を得るようにしても構わない。
座標回転部74は、下記式(7−1)を用い、BPF71からのihγ及びihδによって形成される電流ベクトルihを、θmで表される位相分だけ座標回転させて、電流ベクトルihmを算出する。この際、θm算出部73にて算出されたθmの値が用いられる。電流ベクトルih及びihmは、下記式(7−2a)及び(7−2b)のように表される。ihγ及びihδは、電流ベクトルihを形成する直交2軸成分であり、それらは、それぞれ電流ベクトルihのγ軸成分とδ軸成分である。ihmγ及びihmδは、電流ベクトルihmを形成する直交2軸成分である。座標回転部74にて算出されたihmγ及びihmδは、軸誤差算出部75に送られる。
この座標回転の前後の電流ベクトル軌跡例を表す図39を参照して、座標回転の意義について補足説明する。楕円形の回転電圧を重畳する場合を考える。後にも述べられるが、この回転電圧における楕円は、γ軸から時計回り方向にθmだけ傾いた楕円(即ち、γ軸とdm軸が一致しているという仮定の下における、d軸に対して軸対象な楕円)とされる。この場合、モータ1の磁気突極性に起因して、回転座標軸上における電流ベクトルihの軌跡は、電流ベクトル軌跡501の如く、d軸に対して軸対象な楕円を成す(即ち、d軸方向と長軸方向とが一致した楕円を成す)。座標回転部74は、この楕円が、dm軸に対して軸対象となるように、電流ベクトルihに回転行列をかけて電流ベクトルihmを算出する。これによって、電流ベクトルihmの軌跡は電流ベクトル軌跡502のようになる。
回転座標軸上において電流ベクトル軌跡502は楕円を成し、その長軸方向は、Δθm=0°のときにはdm軸方向と一致するが、Δθm≠0°のときにはdm軸方向と一致しない。従って、電流ベクトルihmの直交2軸成分の積(ihmγ×ihmδ)の直流成分を(ihmγ×ihmδ)DCと表記すると、積(ihγ×ihδ)の直流成分と軸誤差Δθとの関係と同様、直流成分(ihmγ×ihmδ)DCは、軸誤差Δθmがゼロの場合にゼロとなり、軸誤差Δθmに概ね比例する。このため、比例係数をKとすると、軸誤差Δθmを、下記式(7−3)によって表すことができる。
式(7−3)にて表される算出を実現すべく、軸誤差算出部75は、図38に示すように構成される。即ち、乗算器76は、座標回転部74にて算出されたihmγとihmδの積を算出し、LPF77は、その積(ihmγ×ihmδ)の直流成分を抽出して、(ihmγ×ihmδ)DCを得る。係数乗算器78は、LPF77から出力される直流成分(ihmγ×ihmδ)DCに比例係数Kを乗算して、式(7−3)にて表される軸誤差Δθmを算出する。係数乗算器78から出力される軸誤差Δθmは、図36の軸誤差推定部61が推定した軸誤差Δθmとして比例積分演算器62に送られ、上述の如く、軸誤差Δθmがゼロに収束するようにωe及びθeの算出が行われる。つまり、γ軸がdm軸に追従するようになる(dmqm座標が推定される)。
また、図40に、d軸成分のみを持つ交番電圧を重畳電圧として印加した場合における電流ベクトルih及びihmの軌跡を示す。
本実施例でも上述したように、重畳電圧生成部25bは、楕円形の回転電圧または交番電圧を重畳電圧として駆動電圧に重畳する。一方で、直流成分(ihmγ×ihmδ)DCに基づく上記軸誤差推定を行うために電流ベクトルihの電流ベクトル軌跡をd軸に対して軸対称とする必要があり、そのためには、重畳電圧の電圧ベクトル軌跡をd軸に対して軸対象とする必要がある。
第1実施例に係る重畳電圧生成部25は上記式(2−1)に表される重畳電圧(vhγ*及びvhδ*)を生成して出力するのであるが、重畳電圧生成部25bは、上記の必要性を満たすべく、推定器20bから与えられた位相θmを参照して下記式(7−4)によって表される重畳電圧(vhγ*及びvhδ*)を生成して出力する。図35の制御部3bにおいて、加算器23及び24は、電流制御部15からのvγ*及びvδ*に重畳電圧生成部25bからのvhγ*及びvhδ*を加えることにより(vγ*+vhγ*)及び(vδ*+vhδ*)を算出し、算出値を座標変換器22に送る。座標変換器22の機能は、第1または第2実施例で述べたものと同様である。
重畳電圧生成部25bも、重畳電圧生成部25と同様、モータ1の回転速度或いは駆動電圧に応じた重畳電圧を生成する。即ち例えば、モータ1の回転速度を表すωe又はω*を参照し、モータ1の回転停止時には上記式(4−1)又は式(4−2)を満たす重畳電圧を重畳し、回転速度の増加或いは駆動電圧の増加に伴って重畳電圧の楕円の短軸の大きさを連続的に或いは段階的に減少させる。また例えば、回転速度(ωe又はω*)が所定速度以上になった時、或いは、駆動電圧(駆動電圧の大きさ)が所定電圧以上となった時、Vhγ≠0且つVhδ=0として、重畳電圧をγ軸方向の交番電圧にするようにしてもよい。
尚、最大トルク制御(或いはそれに近似した制御)を実現することを前提として本実施例の説明を行ったが、上述してきた内容を流用することによって最大トルク制御と異なる所望のベクトル制御を得ることも可能である。例えば、最大トルク制御を実現する際にモータ1に供給されるべき電流ベクトルの向きと向きが一致する回転軸よりも更に位相が進んだ回転軸をqm軸として採用する。これにより、鉄損を低減することができ、モータの効率が向上する。qm軸の位相を適切に進めれば最大効率制御を実現することも可能である。
<<第6実施例>>
ところで、インバータを用いてモータを駆動制御する際、直列接続された一対のスイッチング素子が同時にオンとなるのを防止するためにデッドタイムが設けられる。インバータにおいて、一方のスイッチング素子(図1において例えば上アーム8u)がオンからオフに切り換わった後、対となる他方のスイッチング素子(図1において例えば下アーム9u)をオフからオンに切り換えるための信号の出力が一定期間禁止されるが、その一定期間が、デッドタイムである。デッドタイムに特に注意を払った実施例として、第6実施例を説明する。第6実施例に記載の内容は、上述の他の実施例と組み合わせて利用される。
デッドタイムの付与によって電圧降下が生じる。その電圧降下を考慮したモータの電圧方程式は下記式(8−1)にて表され、その電圧降下は下記式(8−2)にてモデル化できることが知られている(上記非特許文献3及び4参照)。ここで、sgn(iu)は、iu≧0の時に1をとり、iu<0の時に−1をとる。sgn(iv)及びsgn(iw)についても同様である。
Δvd及びΔvqは、夫々、デッドタイムの付与による電圧降下のd軸成分及びq軸成分である。Δvd及びΔvq並びにΔVは、三相電圧指令値(vu *、vv *及びvw *)によって表されるモータ1への印加電圧と実際のモータ1への印加電圧との間における電圧誤差を表す。この電圧誤差は、デッドタイム付与によって生じるが、インバータ2内の各スイッチング素子のオン電圧による電圧誤差をも含みうる。
モータ1への印加電圧が小さい回転停止時及び低速回転時では、デッドタイムによる電圧降下Δvd及びΔvqの影響が大きくなり、何ら対策を施さなければ回転子位置の推定精度が悪くなる。これに対し、上記非特許文献5等に記載されているようなデッドタイム補償法が従来より提案されているが、これを用いようとすると、デッドタイム補償のための演算負荷が増大してしまう。
ところで、上述してきた1シャント電流検出を行うための補正電圧(該補正電圧のb軸方向の最大値は閾値Δ)は、回転子位置の推定にとっての外乱電圧として考えることができる。そして、この外乱電圧の影響を抑制するために、重畳電圧の楕円の短軸の大きさを閾値Δ以上とすることを説明してきた。一方において、Δvd及びΔvqは下記式(8−3)のように書き換えることができるため、Δvd及びΔvqを、1シャント電流検出の実現のための外乱電圧と同様、iu,iv及びiwの極性によってΔdだけ変化する、デッドタイム付与による外乱電圧と捉えることが可能である。
従って、1シャント電流検出を行うための電圧補正の影響を抑制するのと同様に、重畳電圧の楕円の短軸の大きさをΔd以上とすれば、上記非特許文献5等に記載されているようなデッドタイム補償を行うことなく、回転子位置の推定精度に対するデッドタイム付与の影響を低減することができる。尚、Δdに関しては予め設定しておくことができる。
このデッドタイムを考慮したモータ駆動システムの構成例は、図27又は図35に示したものと同様である。図27に示すモータ駆動システムを例にとり、デッドタイム付与の影響を低減する手法を説明する。特に説明しない部分は、上述の他の実施例と同様である。
重畳電圧生成部25は、上記式(2−1)に表されるvhγ*及びvhδ*を作成して出力する。この際、Vhγ>Vhδ>Δd、或いは、Vhγ>Vhδ≧Δd、が成立するようにする。加算器23及び24は、電流制御部15からのvγ*及びvδ*に重畳電圧生成部25からのvhγ*及びvhδ*を加えることにより、重畳電圧が重畳された駆動電圧を表す(vγ*+vhγ*)及び(vδ*+vhδ*)を算出する。
座標変換器22は、第1又は第2実施例と同様、(vγ*+vhγ*)及び(vδ*+vhδ*)から三相電圧指令値(vu *、vv *及びvw *)を算出する。この三相電圧指令値に従ってインバータ2を形成する各スイッチング素子に対するPWM信号が生成される。この際、PWM信号にデッドタイムが付与される。即ち、三相電圧指令値に従って算出されたPWM信号がデッドタイムを考慮して補正され、この補正後のPWM信号が実際にインバータ2内の各スイッチング素子の制御端子(ベース又はゲート)に供給されて、モータ1が駆動される。
尚、PWM信号の生成及びデッドタイムの付与は、座標変換器22とインバータ2間に設けられた図示されないPWM信号作成部及びデッドタイム付与部によって実現され、それらは図27の制御部3a又は図35の制御部3bに含まれている、と考えることができる。このPWM信号作成部及びデッドタイム付与部がインバータ2内に含まれている、と考えることも可能である。
また、第6実施例にて説明した、デッドタイムによる電圧降下を考慮した重畳電圧の生成手法は、1シャント電流検出方式と別個に実施可能であり、1シャント電流検出方式を採用しないモータ駆動システムに対しても有効に作用する。1シャント電流検出方式を採用しない場合、ホール素子等から成る電流センサを2つ設けて、2つの電流センサにてU相電流iu及びV相電流iwを実測し、座標変換器21(図27又は図35)が、この実測値とθeに基づきiγ及びiδを算出する。そして、1シャント電流検出方式を採用しないのであるから、座標変換器22における電圧補正処理は不要である。即ち、1シャント電流検出方式を採用しない場合、(vγ*+vhγ*)及び(vδ*+vhδ*)をθeに基づいて単に三相−二相変換することによって三相電圧指令値を算出し、この三相電圧指令値に基づくPWM信号にデッドタイムを付与して、デッドタイム付与後のPWM信号をインバータ2内の各スイッチング素子の制御端子(ベース又はゲート)に供給すればよい。
<<変形等>>
上述した説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の実施形態の変形例または注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈5を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
[注釈1]
インバータ2にて3相変調を用いる場合を取り扱ったが、本発明は変調方式に依存しない。例えば、インバータ2にて2相変調を行う場合、通電パターンは、図3に示した3相変調のそれと異なってくる。2相変調では、最小相の下アームが常にオンとされるため、図4におけるタイミングT0−T1間及びT6−T7間に対応する通電パターンが存在しない。しかしながら、結局、タイミングT1−T2間及びT2−T3間に対応する通電パターンにて母線電流を検出するようにすれば、最大相及び最小相の電流を検出できることに変わりはない。
[注釈2]
上述のモータ駆動システムを構成する各部位は、必要に応じてモータ駆動システム内で生成される値の全てを自由に利用可能となっている。
[注釈3]
上述の各種の指令値(iγ*、iδ*、vγ*及びvδ*など)やその他の状態量(θe及びωe等)を含む、導出されるべき全ての値の導出手法は任意である。即ち、例えば、それらを、制御部内での演算によって導出するようにしてもよいし、予め設定しておいたテーブルデータから導出するようにしてもよい。
[注釈4]
制御部(3、3a又は3b)の機能の一部または全部は、例えば汎用マイクロコンピュータ等に組み込まれたソフトウェア(プログラム)を用いて実現される。ソフトウェアを用いて制御部を実現する場合、制御部の各部の構成を示すブロック図は機能ブロック図を表すこととなる。勿論、ソフトウェア(プログラム)ではなく、ハードウェアのみによって、或いは、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって、制御部を形成することも可能である。
[注釈5]
本明細書では、記述の簡略化上、記号(iγなど)のみの表記によって、その記号に対応する状態量などを表現している場合もある。即ち、本明細書では、例えば、「iγ」と「γ軸電流iγ」は同じものを指す。
また、本明細書において下記の点に留意すべきである。上記の数m(mは1以上の整数)と表記した墨付きかっこ内の式(式(2−1)等)の記述において、所謂下付き文字として表現されているγ及びδ等は、それらの墨付きかっこ外において、下付き文字でない標準文字として表記されうる。このγ及びδ等の下付き文字と標準文字との相違は無視されるべきである。
本発明は、モータを用いるあらゆる電気機器に好適である。位置センサを用いることなく、モータの回転停止時及び低速回転時においてモータを良好に駆動することができるため、特に、モータの回転によって駆動する電気自動車及び電動二輪車などに好適である。
本発明の実施形態に係るモータ駆動システムの全体概略構成図である。 図1のモータに印加される三相交流電圧の典型的な例を示す図である。 図1のモータに対する通電パターンと、各通電パターンと母線電流との関係を表として示した図である。 図1のモータにおける各相電圧の電圧レベルとキャリア信号との関係、並びに、その関係に応じたPWM信号及び母線電流の波形を示す図である。 図4の各タイミングにおける、図1の電機子巻線周辺の等価回路図である。 図1のモータにおける各相電圧の高低関係の組み合わせ(モード)及び各組み合わせにおいて検出される電流の相を、表として示した図である。 図1のモータの解析モデル図である。 固定軸であるU相軸、V相軸及びW相軸と、回転軸であるd軸及びq軸と、電圧ベクトルと、の関係を表す空間ベクトル図である。 本発明にて定義されるa軸を説明するための図である。 図9のa軸との関係を考慮して回転子の位相(θ)を分解した様子を示す図である。 本発明の実施形態に係る、電圧ベクトルの補正処理の手順を表すフローチャートである。 図11の補正処理の前後の、ab座標上における電圧ベクトルの軌跡を示す図である。 U相軸、V相軸及びW相軸と、α軸及びβ軸と、の関係を示す図である。 図11の補正処理を経て得られる電圧ベクトルのαβ座標上での軌跡を示す図である。 図11の補正処理を経て得られるα軸電圧及びβ軸電圧の電圧波形と、図11の補正処理を経て得られるU相電圧、V相電圧及びW相電圧の電圧波形と、を示す図である。 図1のモータに対する駆動電圧に重畳可能な重畳電圧の電圧ベクトル軌跡例を示す図である(真円の回転電圧を重畳)。 図16の重畳電圧に応じてモータに流れる重畳電流の電流ベクトル軌跡例を示す図である。 図17の重畳電流のγ軸成分とδ軸成分の積及びその積の直流成分を表す図である(但し、軸誤差Δθ=0°の時)。 図17の重畳電流のγ軸成分とδ軸成分の積及びその積の直流成分を表す図である(但し、軸誤差Δθ≠0°の時)。 図1のモータに対する駆動電圧に重畳可能な重畳電圧の電圧ベクトル軌跡例を示す図である(楕円形の回転電圧を重畳)。 図1のモータに対する駆動電圧に楕円形の回転電圧を重畳した時の、重畳電流の電流ベクトル軌跡例を示す図である。 図1のモータに対する駆動電圧に交番電圧を重畳した時の、重畳電流の電流ベクトル軌跡例を示す図である。 、重畳電圧としてγ軸方向の交番電圧を重畳した場合における空間ベクトル図である(但し、モータ回転停止時)。 本発明の実施形態に係る重畳電圧の特性を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る重畳電圧の特性を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る重畳電圧の電圧ベクトル軌跡である楕円の短軸の大きさが、回転速度又は駆動電圧の増加に従って減少する様子を示す図である。 本発明の第1実施例に係るモータ駆動システムの全体構成ブロック図である。 図27の推定器の内部ブロック図である。 図27の座標変換器(二相−三相座標変換器)の内部ブロック図である。 本発明の第2実施例に係り、図27の座標変換器(二相−三相座標変換器)の変形内部ブロック図である。 図27のモータ駆動システムの推定に関するシミュレーション結果を表す図である。 図27のモータ駆動システムの推定に関するシミュレーション結果を表す図である。 本発明の第5実施例に係る解析モデル図である。 本発明の第5実施例に係る解析モデル図である。 本発明の第5実施例に係るモータ駆動システムの全体構成ブロック図である。 図35の推定器の内部ブロック図である。 図36の軸誤差推定部の内部ブロック図である。 図37の軸誤差算出部の内部ブロック図である。 本発明の第5実施例に係り、重畳電圧に応じて流れる重畳電流の電流ベクトル軌跡を表す図である(重畳電圧が楕円形の回転電圧の場合)。 本発明の第5実施例に係り、重畳電圧に応じて流れる重畳電流の電流ベクトル軌跡を表す図である(重畳電圧が交番電圧の場合)。 1シャント電流検出方式を採用した、従来のモータ駆動システムの全体構成ブロック図である。 従来技術に係り、1シャント電流検出方式を採用した場合における電圧指令(パルス幅)の補正例を示す図である。
符号の説明
1 モータ
2 インバータ
3、3a、3b 制御部
4 直流電源
5 電流センサ
6 回転子
7 固定子
7u、7v、7w 電機子巻線
18 電流検出部
20、20b 位置・速度推定器
25、25b 重畳電圧生成部

Claims (9)

  1. 三相式のモータを駆動するインバータと直流電源との間に流れる電流から、前記モータの固定子の電機子巻線に流れる相電流を検出する電流検出手段を備え、
    前記モータの推定回転子位置に基づいて前記相電流を三相−二相変換し、この変換によって得られる制御用電流に基づいて前記モータに対する位置センサレスベクトル制御を行うモータ制御装置であって、
    前記モータを駆動するための駆動電圧に、所定の周波数を有する重畳電圧を重畳する重畳手段と、
    前記制御用電流から抽出され且つ前記重畳電圧に応じて前記モータに流れる重畳電流に基づいて前記推定回転子位置を求める推定手段と、を備え、
    前記重畳手段による前記重畳電圧の電圧ベクトル軌跡は、楕円を成す
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 二相分の相電流を検出可能とするために、前記重畳電圧が重畳された前記駆動電圧を補正する電圧補正手段を更に備え、この補正を介した電圧に従って前記モータを制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記楕円の短軸は、前記電圧補正手段による電圧補正量に応じた大きさを有する
    ことを特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。
  4. U相、V相又はW相の固定軸に直交する軸をb軸とした場合、
    前記楕円の短軸の大きさは、前記電圧補正手段による電圧補正量のb軸成分の最大値よりも大きい
    ことを特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。
  5. 前記重畳手段は、前記モータの回転速度又は前記駆動電圧が増加するに従って、前記楕円の短軸の大きさを減少させる
    ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載のモータ制御装置。
  6. 前記重畳手段は、前記モータの回転速度が所定速度以上となった時或いは前記駆動電圧が所定電圧以上となった時、前記重畳電圧を交番電圧にして前記電圧ベクトル軌跡を前記楕円から線分へと変化させる
    ことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載のモータ制御装置。
  7. 前記モータの回転子を構成する永久磁石が作る磁束に直交する軸をq軸、q軸に対応する制御上の推定軸をδ軸とした場合、
    前記楕円の短軸は、δ軸に平行とされる
    ことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載のモータ制御装置。
  8. インバータに接続された三相式のモータの推定回転子位置に基づいて前記モータの固定子の電機子巻線に流れる相電流を三相−二相変換し、この変換によって得られる制御用電流に基づいて前記モータに対する位置センサレスベクトル制御を行うモータ制御装置であって、
    前記モータを駆動するための駆動電圧に、所定の周波数を有する重畳電圧を重畳する重畳手段と、
    前記制御用電流から抽出され且つ前記重畳電圧に応じて前記モータに流れる重畳電流に基づいて前記推定回転子位置を求める推定手段と、
    前記重畳電圧が重畳された前記駆動電圧に従って、前記インバータを構成するスイッチング回路に対するPWM信号を作成するPWM信号作成手段と、
    前記PWM信号にデッドタイムを付与するデッドタイム付与手段と、を備え、
    前記デットタイムが付与された前記PWM信号に基づく前記インバータの出力によって前記モータは駆動され、
    前記重畳手段による前記重畳電圧の電圧ベクトル軌跡は楕円を成し、前記楕円の短軸は前記デットタイムによる電圧降下量に応じた大きさを有する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  9. 三相式のモータと、
    前記モータを駆動するインバータと、
    前記インバータを制御することにより前記モータを制御する請求項1〜請求項8の何れかに記載のモータ制御装置と、を備えた
    ことを特徴とするモータ駆動システム。
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