JP2012165608A - 回転機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高周波電圧信号を小さくすると、電気角の推定精度が低下すること。
【解決手段】モータジェネレータ10は、互いに中性点で連結された3相の固定子の組を2組(U相、V相およびW相と、X相、Y相およびZ相)を備える。U相とV相との間、V相とW相との間、W相とU相との間のそれぞれに、X相、Y相およびZ相が割り振られている。すなわち、これらU,V,W,X,Y,Z相は互いに対応するベクトルが平行とならないように配置されている。このため、モータジェネレータ10を流れる電流を指令電流idr,iqrに制御する場合、各相電流の位相は互いに相違することとなる。高周波電圧信号の重畳に伴う高周波電流信号として、U,V,W相を流れる電流とX,Y,Z相を流れる電流とのうちでゼロクロスしない方に関するものを用いて回転角度を推定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、突極性を有する回転機の端子を直流電圧源の正極および負極のそれぞれに選択的に接続するスイッチング素子および該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードを備える直流交流変換回路の操作によって前記回転機の制御量を制御するに際し、前記回転機の電気角周波数よりも高い周波数を有する高周波電圧信号を前記直流交流変換回路の出力電圧に重畳する重畳手段と、該重畳された高周波電圧信号に応じて前記回転機に流れる高周波電流信号の検出値に基づき前記回転機の回転角度を推定する推定手段と、を備える回転機の制御装置に関する。
この種の制御装置としては、例えば下記特許文献1に見られるように、3相電動機の推定d軸の正方向および負方向に振動する高周波電圧信号を印加した際に電動機に実際に伝播する高周波電流信号に基づき電動機の電気角を推定するものも提案されている。
特許第3312472号公報
ところで、上記高周波電圧信号の周波数は、通常、可聴周波数帯域内のものとなるため、電気角の推定に際して人に知覚されるノイズが生じるおそれがある。このノイズを低減するためには、高周波電圧信号を小さくすることが有効である。ただし、この場合、電気角の推定精度が低下することが発明者らによって見出された。
本発明は、上記課題を解決する過程でなされたものであり、その目的は、回転機の電気角周波数よりも高い周波数を有する高周波電圧信号を直流交流変換回路の出力電圧に重畳することで検出される高周波電流信号の検出値に基づき、回転機の回転角度を推定することのできる新たな回転機の制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、およびその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、突極性を有する回転機の端子を直流電圧源の正極および負極のそれぞれに選択的に接続するスイッチング素子および該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードを備える直流交流変換回路の操作によって前記回転機の制御量を制御するに際し、前記回転機の電気角周波数よりも高い周波数を有する高周波電圧信号を前記直流交流変換回路の出力電圧に重畳する重畳手段と、該重畳された高周波電圧信号に応じて前記回転機に流れる高周波電流信号の検出値に基づき前記回転機の回転角度を推定する推定手段と、を備える回転機の制御装置において、前記正極に接続するスイッチング素子と前記負極に接続するスイッチング素子とのいずれか一方および他方がそれぞれオンおよびオフとなる状態からいずれか一方および他方がそれぞれオフおよびオンとなる状態に切り替えるに際し、双方がオフ状態となるデッドタイム期間が設けられ、前記回転機は、互いに中性点で連結された複数の固定子の組を複数備え、前記推定手段は、前記固定子の前記複数の組のうちの少なくとも2つの組のそれぞれに関する前記高周波電流信号の検出値を前記回転角度の推定に用いることを特徴とする。
上記直流交流変換回路を用いる場合、デッドタイム期間において回転機の端子に印加される電圧は、その端子に流れる電流の極性に依存する。そして、この間に回転機の端子に印加される電圧は、重畳手段によって重畳することが意図された高周波電圧信号に対して誤差となりうる。この誤差電圧が高周波電圧信号に占める割合は、高周波電圧信号を小さくするほど大きくなる。このため、高周波電圧信号が小さくなるほど、実際に重畳される高周波電圧信号が意図したものに対して大きな誤差を有することとなる。
上記発明では、固定子の組のうちの少なくとも2つの組のそれぞれに関する高周波電流信号の検出値を利用することで、デッドタイム期間に起因した誤差が小さいものを選択的に利用したり、複数の組の高周波電流信号を同時に利用することで誤差の影響を低減したりすることができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記直流交流変換回路の操作信号のオン操作指令期間の始点および終点を同一時間ずつずらすことで、前記デッドタイムに起因した誤差を補償するデッドタイム補償機能と、前記複数の組の少なくとも一対の組について、固定子に流れる電流の位相を相違させる固定子位相離間手段とをさらに備え、前記推定手段は、前記回転角度の推定に際して、前記固定子の複数の組のうち構成要素としての固定子を流れる電流の絶対値が所定値以上となるものに関する前記高周波電流の検出値の利用度合いを前記所定値以下となるものに関する前記高周波電流の検出値の利用度合いよりも大きくする選択利用手段を備えることを特徴とする。
上記発明では、デッドタイム補償機能を有することで、端子を流れる電流(相電流)にゼロクロスするものがない場合には、デッドタイムに起因した高周波電圧信号の誤差が生じることを回避することができる。そして、ゼロクロスするものがある場合であっても、その固定子の組以外に関する高周波電流信号の利用度合いを大きくすることで、高周波電圧信号の誤差の影響を受ける高周波電流信号が回転角度の推定値に寄与する度合いを小さくすることができ、ひいてはデッドタイムに起因した高周波電圧信号の誤差の影響を好適に低減することができる。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記選択利用手段は、前記回転角度の推定に際しての入力パラメータとして、前記所定値以下となるものに関する前記高周波電流信号の検出値の利用を禁止する禁止手段を備えることを特徴とする。
上記発明では、禁止手段を備えることで、高周波電圧信号の誤差の影響を受ける高周波電流信号が回転角度の推定に用いられないため、デッドタイムに起因した高周波電圧信号の誤差が生じていない状況において回転角度を推定することができる。
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の発明において、前記固定子位相離間手段は、前記少なくとも一対の組について、互いの固定子によって定まるベクトルの方向を相違させることで構成されることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項2または3記載の発明において、前記複数の組は、互いに固定子によって定まるベクトルの方向が一致するものを含み、前記固定子位相離間手段は、該一致する組のそれぞれを流れる電流ベクトルの位相を互いに相違させるベクトル位相拡散手段を備えることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項2〜5のいずれか1項に記載の発明において、前記所定値は、前記直流交流変換回路を構成するスイッチング素子のスイッチング状態の切り替えに伴うリプル電流値以上に設定されることを特徴とする。
回転機を流れる電流がゼロとなる場合、微視的なタイムスケールにおいては、スイッチング素子のスイッチング状態の切り替えに伴うリプル電流によって、実際には、電流が負から正に反転している。そしてこの現象が、デッドタイム期間に起因した高周波電圧信号の誤差の要因となる。上記発明では、この点に鑑み、上記設定とすることで、デッドタイム期間に起因して高周波電圧信号に誤差が生じるものを確実に識別することができる。
請求項7記載の発明は、請求項2〜5のいずれか1項に記載の発明において、前記所定値は、前記高周波電流信号の振幅値以上に設定されることを特徴とする。
回転機を流れる電流がゼロとなる場合、微視的なタイムスケールにおいては、スイッチング素子のスイッチング状態の切り替えに伴うリプル電流によって、実際には、電流が負から正に反転している。そしてこの現象が、デッドタイム期間に起因した高周波電圧信号の誤差の要因となる。ここで、高周波電流信号は、リプル電流によって形成される。上記発明では、この点に鑑み、上記設定とすることで、デッドタイム期間に起因して高周波電圧信号に誤差が生じるものを確実に識別することができる。
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発明において、前記複数の組の各固定子と前記直流交流変換回路との間の電気経路の断線の有無を検出する断線検出手段をさらに備え、前記推定手段は、前記断線検出手段によって断線が検出された場合、前記複数の組のうち断線の検出されていないものに関する前記高周波電流信号の検出値を前記回転角度の推定に用いることを特徴とする。
上記発明では、断線が生じた場合であっても回転角度を推定することができる。
第1の実施形態にかかるシステム構成図。 同実施形態にかかる固定子の配置を示す図。 同実施形態にかかる回転角度の推定処理に関するブロック図。 同実施形態にかかるPWM処理を示すタイムチャート。 同実施形態にかかるデッドタイム補償処理を示すタイムチャート。 同実施形態にかかる高周波電圧信号に生じる誤差を説明するタイムチャート。 同実施形態にかかる高周波電圧信号に生じる誤差を説明するタイムチャート。 同実施形態にかかる高周波電圧信号に生じる誤差を示すベクトル図。 高周波電圧を小さくした場合の回転角度の推定精度を示すタイムチャート。 上記実施形態にかかる高周波電流信号の選択処理の手順を示す流れ図。 第2の実施形態にかかる回転角度の推定処理に関するブロック図。 第3の実施形態にかかるシステム構成図。 同実施形態にかかる固定子の配置と指令電流の設定を示す図。 同実施形態にかかる回転角度の推定処理に関するブロック図。 第4の実施形態にかかる回転角度の推定処理に関するブロック図。 第5の実施形態にかかる回転角度の推定処理に関するブロック図。 第6の実施形態にかかる高周波電流信号の選択処理の手順を示す流れ図。
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかる回転機の制御装置を車載主機としての回転機の制御装置に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかるシステム構成図を示す。
モータジェネレータ10は、永久磁石同期モータである。また、モータジェネレータ10は、突極性を有する回転機(突極機)である。詳しくは、モータジェネレータ10は、埋め込み磁石同期モータ(IPMSM)である。モータジェネレータ10は、互いに中性点で連結された3相の固定子の組を2組(U相、V相およびW相と、X相、Y相およびZ相)を備える。
U,V,W相の組は、インバータIV1を介して高電圧バッテリ12に接続されている。ここで、インバータIV1は、スイッチング素子S*p,S*n(*=u,v,w)の直列接続体を3組備えており、これら各直列接続体の接続点がモータジェネレータ10のU,V,W相にそれぞれ接続されている。これらスイッチング素子S*p,S*nとして、本実施形態では、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が用いられている。そして、これらにはそれぞれ、ダイオードD*p,D*nが逆並列に接続されている。
X,Y,W相の組は、インバータIV2を介して高電圧バッテリ12に接続されている。ここで、インバータIV2は、スイッチング素子S*p,S*n(*=x,y,z)の直列接続体を3組備えており、これら各直列接続体の接続点がモータジェネレータ10のX,Y,Z相にそれぞれ接続されている。これらスイッチング素子S*p,S*nとして、本実施形態では、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が用いられている。そして、これらにはそれぞれ、ダイオードD*p,D*nが逆並列に接続されている。
図2(a)に、U,V,W相と、X,Y,Z相との幾何学的な配置関係を示す。図示されるように、本実施形態では、U相とV相との間、V相とW相との間、W相とU相との間のそれぞれに、X相、Y相およびZ相が割り振られている。すなわち、これらU,V,W,X,Y,Z相は互いに対応するベクトルが平行とならないように配置されている。このため、モータジェネレータ10を流れる電流を指令電流idr,iqrに制御する場合、図2(b)に示すように、各相電流の位相は互いに相違することとなる。
先の図1に示す制御装置14は、インバータIV1,IV2を操作することで、モータジェネレータ10の制御量を制御するものである。制御装置14は、モータジェネレータ10の各相を流れる電流i*(*=u,v,w,x,y,z)を検出する電流センサや、インバータIVの入力電圧(電源電圧VDC)を検出する電圧センサの検出値に基づき、インバータIVを操作する操作信号を生成して出力する。ここで、インバータIV1,IV2のスイッチング素子S*p,S*nを操作する信号が、操作信号g*p,g*nである。
図3に、制御装置14の行う処理を示す。以下では、まず「制御量の制御」について説明した後、「回転角度の推定処理」について説明する。
「制御量の制御」
指令電流設定部21は、要求トルクTrに基づき、回転2相座標系の電流の指令値であるd軸上の指令電流idrおよびq軸上の指令電流iqrを設定する。一方、モータジェネレータ10のU,V,W相のそれぞれを流れる電流iu,iv,iwは、dq変換部20aにおいて、回転2相座標系の実電流であるd軸上の実電流idとq軸上の実電流iqとに変換される。dq変換部20aの出力する実電流id,iqは、それぞれローパスフィルタ22a,24aによってフィルタ処理される。偏差算出部26aは、d軸の指令電流idrと実電流id(ローパスフィルタ22aの出力)との差を算出し、偏差算出部28aは、q軸の指令電流iqrと実電流iq(ローパスフィルタ24aの出力)との差を算出する。電流制御器30aは、d軸上の実電流idを指令電流idrにフィードバック制御するための操作量としてのd軸上の指令電圧vdrと、q軸上の実電流iqを指令電流iqrにフィードバック制御するための操作量としてのq軸上の指令電圧vqrとを算出する。ここでは、比例要素の出力と積分要素の出力とを加算することで上記算出を行う。
3相変換部32aでは、回転2相座標系の指令電圧vdr、vqrを、3相の指令電圧vur,vvr,vwrに変換して且つ、これを電源電圧VDCによって規格化することでデューティ信号Du,Dv,Dwを算出する。デッドタイム補償部34aでは、デューティ信号Du,Dv,Dwのそれぞれを、該当する相電流iu,iv,iwに基づきフィードフォワード補正するためのデッドタイム補正量Δvu,Δvv,Δvwを算出する。そして、補正部36a,38a,40aのそれぞれでは、デッドタイム補正量Δvu,Δvv,Δvwのそれぞれに基づきデューティ信号Du,Dv,Dwのそれぞれを補正する。操作信号生成部42aでは、デューティ信号Du,Dv,Dwとキャリアとの大小比較に基づくPWM処理によって、操作信号g*#(*=u,v,w;#=p,n)を生成する。
図4に、操作信号生成部42aによる処理の詳細を示す。本実施形態では、漸増速度と漸減速度とが同一であって且つ漸増期間と漸減期間とが同一となる三角波形状のキャリアCSと各相のデューティ信号Du,Dv,Dwとの大小比較に基づき、PWM信号gu,gv,gwを生成する。そして、PWM信号g*(*=u,v,w)に基づき、上側アームの操作信号g*pと下側アームの操作信号g*nとを生成する。この際、デッドタイム生成処理を行うことで、操作信号g*#(*=u,v,w;#=p,n)は、その立上りタイミングがPWM信号g*に対してデッドタイムDTだけ遅延したものとなる。なお、デューティ信号Du,Dv,Dw(指令電圧vur,vvr,vwr)の更新周期は、キャリアCSの更新周期と一致させる。より詳しくは、本実施形態では、キャリアCSがピークとなるタイミングにおいてデューティ信号Du,Dv,Dwを更新する。
図5に、デッドタイム補償部34aの処理の詳細を示す。
図5(a)に示すように、相電流i*(*=u,v,w)が正である場合、デッドタイム期間の間、下側アームのダイオードD*nを介して電流が流れるため、操作信号g*pのオン期間は、PWM信号g*のオン期間と比較してデッドタイムDTだけ短くなり、且つその立上りエッジはデッドタイムDTだけ遅延する。このため、デッドタイム補償部34では、デューティ信号D*をデッドタイム補正量Δv*によって増加補正することで、PWM信号g*の立上りエッジおよび立ち下がりエッジの双方をデッドタイムDTの「1/2」ずつ補正する。これにより、操作信号g*pのオン期間を、補正前のPWM信号g*のオン期間と一致させることができ、また立上りエッジの遅延量を半減させることもできる。
図5(b)に示すように、相電流i*(*=u,v,w)が負である場合、デッドタイム期間の間、上側アームのダイオードD*pを介して電流が流れるため、操作信号g*pのオン期間は、PWM信号g*のオン期間と比較してデッドタイムDTだけ長くなる。このため、デッドタイム補償部34では、デューティ信号D*をデッドタイム補正量Δv*によって減少補正することで、PWM信号g*の立上りエッジおよび立ち下がりエッジの双方をデッドタイムDTの「1/2」ずつ補正する。これにより、操作信号g*pのオン期間を、補正前のPWM信号g*のオン期間と一致させることができる。ただし、この際、操作信号g*pの立上りエッジは、補正前のPWM信号g*の立上りエッジに対してデッドタイムDTの「1/2」だけ遅延する。
図5(c)に示すように、PWM信号g*の立上りから立下りまでの期間において相電流i*(*=u,v,w)が負から正に反転する場合、立上りに対応するデッドタイム期間の間、上側アームのダイオードD*pを介して電流が流れ、立下りに対応するデッドタイム期間の間、下側アームのダイオードD*nを介して電流が流れる。このため、操作信号g*pのオン期間は、PWM信号g*のオン期間に一致する。したがって、この場合には、デッドタイム補正量Δv*をゼロとする。
なお、先の図3に示すように、X,Y,Z相を流れる電流も指令電流idr,iqrにフィードバック制御される。これに関する処理については、上記の記載において、符号に付与されたアルファベットのaをbとしたものとなる。
「回転角度の推定処理」
先の図3に示す高周波電圧信号設定部52では、高周波電圧指令信号Vhr=(vdhr,vqhr)を設定する。ここで、本実施形態では、vqhr=0として且つ、vdhrを、PWM処理の半周期毎にその極性を反転させる信号とする。重畳部44aでは、電流制御器30aの出力するd軸の指令電圧vdrを、高周波電圧指令信号のd軸成分vdhrで補正して3相変換部32aに出力する。
一方、ハイパスフィルタ50aは、dq変換部20aの出力する実電流id,iqから高調波成分(高周波電流信号idh,iqh)を抽出する。ここで、高周波成分とは、基本波成分よりも周波数の高い成分のことである。特に、ここでは、高周波電圧指令信号Vhrと同一の周波数成分を抽出する。このハイパスフィルタ50aとしては、たとえば実電流id,iqについてのPWM信号の半周期前後の値の差を出力する手段とすればよい。
外積値演算部54aでは、高周波電圧指令信号Vhrと、高周波電流信号idh,iqhとの外積値を算出する。この外積値は、高周波電圧信号と高周波電流信号idh,iqhとのベクトル同士のなす角度と相関を有するものであり、ひいてはモータジェネレータ10の回転角度と相関を有するパラメータ(角度相関量)である。特に本実施形態では、回転角度θの誤差と相関を有する誤差相関量である。この誤差相関量としての外積値は、速度算出部58に入力される。速度算出部58では、上記外積値を入力とする比例要素および積分要素の和として電気角速度ωを算出する。そして、角度算出部60では、電気角速度ωの時間積分値として回転角度θを算出する。これにより、回転角度θは、外積値をその目標値であるゼロにフィードバック制御するための操作量となる。
上記外積値の目標値がゼロであるのは、モータジェネレータ10がIPMSMであるため、d軸のインダクタンスLdがq軸のインダクタンスLqよりも小さいためである。すなわちこの場合、インバータIVの出力電圧として、制御量の制御のための電圧にd軸方向の高周波電圧が重畳されるなら、高周波電流信号もd軸方向となり、外積値はゼロとなる。そして、外積値がゼロでない場合には、外積値がゼロとなるように回転角度θが操作され、回転角度θは、正しい角度に一致することとなる。
なお、先の図3に示すように、X,Y,Z相を流れる電流に基づく回転角度θの推定処理も実行される。この処理は、上記の記載において、符号に付与されたアルファベットのaをbとしたものとなる。
ところで、高周波電圧信号を小さくしていくことで、これを重畳したことによる操作信号g*#のオン時間やオフ時間の変化量についてのデッドタイムDTに対する比が小さくなる場合、実際に重畳される高周波電圧信号のデッドタイムDTに起因する誤差が大きくなり、ひいては回転角度θの推定精度を低下させる要因となる。こうした誤差は、上記デッドタイム補償部34a,34bを備えることで、PWM信号g*の立上りから立下りまでの期間において相電流i*(*=u,v,w,x,y,z)が負から正に反転する場合以外においては回避することができる。なぜなら、先の図4に示すように、デッドタイム補償部34a,34bによる補償によって操作信号g*#のオン期間がPWM信号g*によって規定されたものとなって且つ、位相が「DT/2」だけ遅延するため、線間電圧は、補正前のPWM信号g*によって規定されたものに一致するからである。すなわち、この場合には、キャリアCSの位相を「DT/2」だけ遅角させてPWM処理を行なった場合と等価となり、線間電圧に誤差を生じないのである。
ただし、PWM信号g*の立上りから立下りまでの期間において相電流i*(*=u,v,w,x,y,z)が負から正に反転する場合には、その相の操作信号g*nの位相は遅れないため、その相のみ他の相と比較して「DT/2」だけ進角したのと等価となる。このためこの場合には、線間電圧が、補正前のPWM信号g*によって規定されたものからずれることとなり、ひいては高周波電圧信号に誤差が生じる。図6に、デッドタイム補償部34による処理の後のPWM信号g*を示す。図示される例では、U相がゼロクロス期間となっており、この場合、U相のみ電圧が「DT/2」だけ進角したのと同じ状態となる。換言すれば、キャリアCSの位相を「DT/2」だけ遅角させてPWM処理を行なうに際し、U相のみ電圧が「DT/2」だけ進角したのと等価となる。そしてこれにより、図中上方に一点鎖線にて示すように、高周波電圧信号(vdh)がPWMの半周期毎にそれぞれU軸の正および負の方向に順次重畳されるとすると、図中下方に2点鎖線にて示すように、実際に重畳される高周波電圧信号はその振幅が増大する。これに対し、高周波電圧信号(vdh)がPWMの半周期毎にそれぞれU軸の負および正の方向に順次重畳されるとすると、実際に重畳される高周波電圧信号はその振幅が減少し、最悪、図7に示すように高周波電圧信号の極性が反転する。なお、図6および図7に一点鎖線にて示すものは、正確には、高周波電圧指令信号のd軸成分vdhrが電源電圧VDCによって規格化されたものである。
このため、図8に示すように、相電流がゼロクロスする場合には、高周波電圧指令信号Vhrに対して実際に重畳される高周波電圧信号Vhは誤差を有することとなる。図9は、高周波電流信号に応じて算出される角度相関量(外積値)の時間変化を示したものである。図示されるように、角度相関量が相電流のゼロクロス付近で大きく変動する。なお、図中、図示される相電流のゼロクロス付近以外での角度相関量の変動は、図示されていない他の相のゼロクロス期間に対応している。
こうした問題を回避すべく、本実施形態では、U,V,W相を流れる電流(iu,iv,iw)に含まれる高周波電流信号と、X,Y,Z相を流れる電流(ix,iy,iz)に含まれる高周波電流信号とのうち、回転角度θの推定処理に用いる電流を切り替える処理を行う。すなわち、先の図3に示す外積値演算部54a,54bの出力は、セレクタ56を介して速度算出部58に出力されるようになっており、セレクタ56の切り替えによって、上記切替処理が可能となっている。
図10に、本実施形態にかかる高周波電流信号の選択処理の手順を示す。この処理は、制御装置14によって、たとえば所定周期で繰り替えし実行される。
この一連の処理では、まずステップS10において、U,V,W相を流れる電流(iu,iv,iw)の絶対値の最小値が所定値ith以上であるか否かを判断する。この処理は、U,V,W相を流れる電流(iu,iv,iw)に含まれる高周波電流信号を、回転角度θの推定処理に用いるか否かを判断するためのものである。ここで、所定値ithは、インバータIV1のスイッチング状態の切り替えに伴うリプル電流の大きさ以上に設定すればよい。これは、U,V,W相において相電流のゼロクロスが生じないための条件である。またこれに代えて、所定値ithを、高周波電流信号idh,iqhの振幅値以上に設定してもよい。
そして、ステップS10において肯定判断される場合、ステップS12において、U,V,W相を流れる電流(iu,iv,iw)に含まれる高周波電流信号に基づき算出された外積値を採用する。これに対し、ステップS10において否定判断される場合には、X,Y,Z相を流れる電流(ix,iy,iz)に含まれる高周波電流信号に基づき算出された外積値を採用する。ここで、ステップS10において否定判断される場合には、X,Y,Z相を流れる電流(ix,iy,iz)の絶対値の最小値は、所定値ith以上となっていると考えられる。これは、U,V,W相の方向とX,Y,Z相の方向とが相違するため、U,V,W相のいずれかのゼロクロス期間とX,Y,Z相のいずれかのゼロクロス期間とが相違するためである。逆に、U,V,W相の方向とX,Y,Z相の方向との設定は、ステップS10において否定判断される場合にX,Y,Z相を流れる電流(ix,iy,iz)の絶対値の最小値が所定値ith以上となるように設定する。
なお、上記ステップS12,S14の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)デッドタイム補償部34a,34bを備えた。これにより、ゼロクロスするものがない場合には、デッドタイムに起因して高周波電圧信号に誤差が生じることを回避することができる。
(2)U,V,W相の方向とX,Y,Z相の方向とを相違させ、ゼロクロス期間とならない方の相の組に流れる電流に基づき回転角度θを推定した。これにより、デッドタイムに起因して実際に高周波電圧信号に誤差が生じる際に、これに対応する高周波電流信号idh,iqhを用いて回転角度θの推定がなされることを回避することができる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図11に、本実施形態にかかる制御装置14の処理に関するブロック図を示す。なお図11において、先の図3に示した処理に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
本実施形態では、速度算出部58の入力パラメータを、外積値演算部54a,54bの各出力の加重平均値とする。すなわち、外積値演算部54aの出力に重み係数αが乗算されたものと外積値演算部54bの出力に重み係数βが乗算されたものとの和を速度算出部58に出力する。ここで、重み係数α、βは、U,V,W相とX,Y,Z相とのいずれのゼロクロス期間でもないなら、等しくすることが望ましい。一方、U,V,W相のいずれかのゼロクロス期間においては、重み係数αを重み係数βよりも小さくし(望ましくはゼロとし)、X,Y,Z相のいずれかのゼロクロス期間においては、重み係数βを重み係数αよりも小さくする(望ましくはゼロとする)。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図12に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。なお、図12において、先の図1に示した部材に対応するものについては便宜上同一の符号を付している。
本実施形態では、U,V,W相のそれぞれを、X,Y,Z相のそれぞれに一致させる。
図13(a)に、U,V,W相に流れる電流のベクトルの位相と、X,Y,Z相に流れる電流のベクトルの位相との関係を示す。図示されるように、本実施形態では、U,V,W相に流れる電流の指令値(指令電流idra,iqra)と、X,Y,Z相に流れる電流の指令値(指令電流idrb,iqrb)との位相を互いに相違させている。そして、これら電流ベクトルの合成ベクトルが最小電流最大トルク制御を実現するものに設定されている。これにより、モータジェネレータ10に流れる電流を最小電流最大トルク制御を実現可能なものとしつつも、図13(b)に示すように、U,V,W相のそれぞれに流れる電流の位相と、X,Y,Z相のそれぞれに流れる電流の位相とを互いに相違させることができる。
図14に、本実施形態にかかる制御装置14の処理に関するブロック図を示す。なお、図14に示す処理において、先の図3に示した処理に対応する処理については、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、指令電流設定部21a、21bではそれぞれ、U,V,W相に流れる電流の指令値(指令電流idra,iqra)と、X,Y,Z相に流れる電流の指令値(指令電流idrb,iqrb)とを設定する。
以上説明した本実施形態によれば、上記第1の実施形態の上記(1)の効果に加えて、さらに以下の効果が得られるようになる。
(3)U,V,W相に関する指令電流idra,iqraと、X,Y,Z相に関する指令電流idrb,iqrbとの合成ベクトルが最小電流最大トルク制御を実現するものとなるようにした。これにより、U,V,W相のそれぞれに流れる電流の位相と、X,Y,Z相のそれぞれに流れる電流の位相とを互いに相違させつつも、最小電流最大トルク制御を実現することができる。
<第4の実施形態>
以下、第4の実施形態について、先の第3の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図15に、本実施形態にかかる制御装置14の処理に関するブロック図を示す。なお、図15に示す処理において、先の図3に示した処理に対応する処理については、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態では、dq変換部20aの出力する実電流id,iq(詳しくは、ローパスフィルタ22a,24aの出力)と、dq変換部20bの出力する実電流id,iq(詳しくは、ローパスフィルタ22b,24bの出力)とが、合成部61,62において合成される。そして、電流制御器30aでは、合成されたd軸の実電流とq軸の実電流とを指令電流設定部21によって設定される指令電流idr,iqrにフィードバック制御すべく、指令電圧vdr,vqrを設定する。3相変換部32aでは、これに基づきデューティ信号Du,Dv,Dwを設定するに際し回転角度θをオフセット量Δにて増加補正したものを用いる一方、3相変換部32bでは、デューティ信号Du,Dv,Dwを設定するに際し、回転角度θをオフセット量Δにて減少補正したものを用いる。
これにより、U,V,W相のそれぞれに流れる電流の位相と、X,Y,Z相のそれぞれに流れる電流の位相とを互いに相違させつつも、モータジェネレータ10を流れる電流を最小電流最大トルク制御のための電流に制御することができる。
<第5の実施形態>
以下、第5の実施形態について、先の第4の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図16に、本実施形態にかかる制御装置14の処理に関するブロック図を示す。なお、図16に示す処理において、先の図15に示した処理に対応する処理については、便宜上同一の符号を付している。
本実施形態では、重畳部44において指令電圧vdrに高周波電圧指令信号のd軸成分vdhrを重畳する処理と、重畳部45において指令電圧vqrに高周波電圧指令信号のq軸成分vqhrを重畳する処理とを交互に行う。そして、乗算値算出部70a,70bでは、d軸成分vdhrを重畳する処理に伴う高周波電流信号idh,iqhのベクトルノルムと、q軸成分vqhrを重畳する処理にともなる高周波電流信号idh,iqhのベクトルノルムとの乗算値を算出する。一方、目標値算出部72では、合成部61,62の出力する合成電流に基づき、上記乗算値の目標値を算出する。そして、乗算値をその目標値にフィードバック制御すべく回転角度θを操作する。ここで、乗算値算出部70a,70bのいずれを用いるかの選択は、先の第1の実施形態に示した手法と同一である。なお、目標値の算出に際しては、さらに電気角速度ωを加味してもよい。
<第6の実施形態>
以下、第6の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図17に、本実施形態にかかる高周波電流信号の選択処理の手順を示す。この処理は、制御装置14によって、たとえば所定周期で繰り替えし実行される。
この一連の処理では、まずステップS20において、U,V,W相のいずれかに断線が生じたか否かを判断する。ここで断線検出手法は、従来の手法を用いればよい。そして、ステップS20において肯定判断される場合、ステップS22において、フェールセーフ処理として、X,Y,Z相を流れる電流(ix,iy,iz)に基づき算出される外積値を回転角度θの推定に用いる。
一方、ステップS10において否定判断される場合、ステップS24において、X,Y,Z相のいずれかに断線が生じたか否かを判断する。そして、ステップS24において肯定判断される場合、ステップS26において、フェールセーフ処理として、U,V,W相を流れる電流(iu,iv,iw)に基づき算出される外積値を回転角度θの推定に用いる。
なお、上記ステップS22、S26の処理が完了する場合や、ステップS24において否定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。また、ステップS20,S24において肯定判断される場合には、高周波電圧指令信号のベクトルノルムを大きくすることで、デッドタイムに起因した誤差を抑制することが望ましい。
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
「選択利用手段について」
利用度合いを決定する際に用いるパラメータとしては、相電流に限らない。たとえば回転角度θ(電気角)であってもよい。すなわち、各相のゼロクロス期間は回転角度θに依存して周期性を有するため、これに着目することで、ゼロクロス期間を特定することができる。
上記第3〜第5の実施形態(図14〜図16)において、上記第2の実施形態の要領で、重み係数α、βを用いて最終的な誤差パラメータを算出してもよい。
またたとえば、ハイパスフィルタ50a,50bのそれぞれの出力を用いて回転角度θを一旦算出し、これらの加重平均処理によって最終的な回転角度を算出してもよい。また、これに代えて、上記一対の回転角度の算出値のいずれを用いるかを上記第1の実施形態の要領で選択するものであってもよい。
「ベクトル位相拡散手段について」
上記第3,4の実施形態において、U,V,W相に流れる電流に関する電流ベクトルとX,Y,Z相に流れる電流に関する電流ベクトルとのいずれが進角側かを固定する代わりに、時分割で切り替えてもよい。
合成電流ベクトルが最小電流最大トルク制御のための電流となるものに限らない。たとえば最大効率制御を行うための電流となるものであってもよい。
「固定子位相離間手段について」
固定子によって定まる電圧ベクトルの方向を相違させるものとしては、特定の相のスイッチング状態が切り替えられることでその相における電流の極性反転のないものが存在するような設定に限らず、固定子によって定まる電圧ベクトルの方向を適宜相違させつつ、上記第3、第4の実施形態のように各固定子の組を流れる電流ベクトルの位相を互いに相違させてもよい。
「デッドタイム補償機能について」
デッドタイム電圧に起因した指令電圧の誤差を直接の制御量としてこれをゼロに制御するデッドタイム補償手段としては、相電流の極性に基づき指令電圧(Duty信号)をフィードフォワード補正するものに限らない。たとえば、インバータの各相の出力電圧の検出値を指令値にフィードバック制御するものであってもよい。この場合であっても、オン操作指令期間の始点および終点を同一時間ずつずらすような補正を行うなら、ゼロクロス期間以外において高周波電圧信号に誤差が生じることを好適に回避することができる。
また、デッドタイム電圧に起因した指令電圧の誤差を直接の制御量としてこれをゼロに制御するデッドタイム補償手段を備えなくても、たとえば先の図2に示した電流フィードバック制御のように、モータジェネレータ10の制御量をフィードバック制御する機能自体にデッドタイム補償機能を有するものを採用してもよい。すなわち、上記電流フィードバック制御によれば、デッドタイムに起因する各相の電圧の誤差によって、PWM処理の1周期Tc内の平均線間電圧に生じる誤差は、制御量の誤差となるため、フィードバック制御によって補正がかかる。ここで、三角波PWM処理を行う場合には、指令電圧の補正は、操作信号のオン操作指令期間の始点および終点を同一時間ずつずらす補正となる。このため、ゼロクロスするものがない場合には、線間電圧のずれは完全に補償される。一方、ゼロクロスする相がある場合、この相の電圧には誤差が生じず、この相の電圧の位相ずれは、PWM処理の1周期Tc内の平均線間電圧に誤差を生じさせることもない。このため、上記各実施形態の場合と同様の事情が生じる。ただし、ゼロクロスするものがない期間においてデッドタイムに起因して高周波電圧信号に誤差が生じなくなるのは、フィードバック制御によるフィードバック補正が完了した後という相違はある。
もっともデッドタイム補償機能を備えない場合であっても、たとえば先の第2の実施形態(図11)のように、複数のハイパスフィルタ(ハイパスフィルタ50a,50b)の出力の双方を同時に利用するなら、一方のみを利用する場合と比較してデッドタイム期間に起因した誤差の影響を低減することも可能となる。また、デッドタイム補償機能を備えない場合であっても、デッドタイム期間に起因した誤差の影響が少ない方を選択的に用いることも有効である。
「回転機について」
互いに中性点で連結された3つの固定子を2組備えるものに限らず、3組以上備えるものであってもよい。また、互いに中性点で連結された固定子の数としても3つに限らず、たとえば2つまたは4つ以上であってもよい。
「キャリアCSについて」
キャリアCSが山となるタイミングを、指令電圧vur,vvr,vwrの更新タイミングとしてもよい。
キャリアCSとしては、三角波に限らず、漸増速度および漸減速度が互いに等しくて且つ漸増期間および漸減期間が互いに等しい設定とすることで、漸増期間と漸減期間とが対称性を有するものであればよい。この場合、デッドタイム補償機能によって、操作信号のオン操作指令期間の始点および終点を同一時間ずつずらす補正がなされる設定とすることが容易となる。
「そのほか」
・モータジェネレータ10の最終的な制御量としては、トルクに限らず、例えば回転速度等であってもよい。また、電流ベクトル制御を行うものにも限らず、例えばトルクフィードバック制御を行うものであってもよい。この際、制御量の制御のための操作量として指令電圧を設定し、対称性を有するキャリアと指令電圧との大小比較に基づき操作信号を設定するものであるなら、制御量のフィードバック制御によってデッドタイム補償機能をもたせることができる。
・構造上、突極性を有する回転機としては、上記モータジェネレータ10に限らない。例えば同期リラクタンスモータ(SynRM)でもよい。
・回転機としては、車載主機に限らない。例えば車載パワーステアリングに搭載される電動機であってもよい。
10…モータジェネレータ、14…制御装置、50…高周波電圧信号設定部、54a,54b…外積演算部。

Claims (8)

  1. 突極性を有する回転機の端子を直流電圧源の正極および負極のそれぞれに選択的に接続するスイッチング素子および該スイッチング素子に逆並列接続されたダイオードを備える直流交流変換回路の操作によって前記回転機の制御量を制御するに際し、前記回転機の電気角周波数よりも高い周波数を有する高周波電圧信号を前記直流交流変換回路の出力電圧に重畳する重畳手段と、該重畳された高周波電圧信号に応じて前記回転機に流れる高周波電流信号の検出値に基づき前記回転機の回転角度を推定する推定手段と、を備える回転機の制御装置において、
    前記正極に接続するスイッチング素子と前記負極に接続するスイッチング素子とのいずれか一方および他方がそれぞれオンおよびオフとなる状態からいずれか一方および他方がそれぞれオフおよびオンとなる状態に切り替えるに際し、双方がオフ状態となるデッドタイム期間が設けられ、
    前記回転機は、互いに中性点で連結された複数の固定子の組を複数備え、
    前記推定手段は、前記固定子の前記複数の組のうちの少なくとも2つの組のそれぞれに関する前記高周波電流信号の検出値を前記回転角度の推定に用いることを特徴とする回転機の制御装置。
  2. 前記直流交流変換回路の操作信号のオン操作指令期間の始点および終点を同一時間ずつずらすことで、前記デッドタイムに起因した誤差を補償するデッドタイム補償機能と、
    前記複数の組の少なくとも一対の組について、固定子に流れる電流の位相を相違させる固定子位相離間手段とをさらに備え、
    前記推定手段は、前記回転角度の推定に際して、前記固定子の複数の組のうち構成要素としての固定子を流れる電流の絶対値が所定値以上となるものに関する前記高周波電流の検出値の利用度合いを前記所定値以下となるものに関する前記高周波電流の検出値の利用度合いよりも大きくする選択利用手段を備えることを特徴とする請求項1記載の回転機の制御装置。
  3. 前記選択利用手段は、前記回転角度の推定に際しての入力パラメータとして、前記所定値以下となるものに関する前記高周波電流信号の検出値の利用を禁止する禁止手段を備えることを特徴とする請求項2記載の回転機の制御装置。
  4. 前記固定子位相離間手段は、前記少なくとも一対の組について、互いの固定子によって定まるベクトルの方向を相違させることで構成されることを特徴とする請求項2または3記載の回転機の制御装置。
  5. 前記複数の組は、互いに固定子によって定まるベクトルの方向が一致するものを含み、
    前記固定子位相離間手段は、該一致する組のそれぞれを流れる電流ベクトルの位相を互いに相違させるベクトル位相拡散手段を備えることを特徴とする請求項2または3記載の回転機の制御装置。
  6. 前記所定値は、前記直流交流変換回路を構成するスイッチング素子のスイッチング状態の切り替えに伴うリプル電流値以上に設定されることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  7. 前記所定値は、前記高周波電流信号の振幅値以上に設定されることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  8. 前記複数の組の各固定子と前記直流交流変換回路との間の電気経路の断線の有無を検出する断線検出手段をさらに備え、
    前記推定手段は、前記断線検出手段によって断線が検出された場合、前記複数の組のうち断線の検出されていないものに関する前記高周波電流信号の検出値を前記回転角度の推定に用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
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