JP5387878B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、モータ(とくにブラシレスモータ)を駆動するためのモータ制御装置に関する。ブラシレスモータは、たとえば、電動パワーステアリング装置における操舵補助力の発生源として利用される。
ブラシレスモータのためのモータ制御装置は、モータの電機子巻線を流れる電流を検出する電流検出部と、モータのロータ回転位置を検出する回転位置検出部と、d軸目標電流値およびq軸目標電流値を演算するdq軸目標電流値演算部と、電機子巻線電流およびロータ回転位置に基づいてd軸電流およびq軸電流を求めるdq軸電流演算部と、d軸電圧指令値演算部と、q軸電圧指令値演算部とを備えている。d軸電圧指令値演算部は、d軸目標電流値とd軸電流との間のd軸偏差を低減するように、d軸偏差のPI演算に基づいてd軸電圧指令値を求める。q軸電圧指令値演算部は、q軸目標電流値とq軸電流との間のq軸偏差を低減するように、q軸偏差のPI演算に基づいてq軸電圧指令値を求める。こうして求められたd軸電圧指令値、q軸電圧指令値、および検出されたロータ回転位置に基づいて、モータ制御装置は、電機子巻線に電圧を印加する。これにより、ロータの回転力が発生する。
一方、PI演算値に対して非干渉化制御量を加算する非干渉化制御が知られている(特許文献1参照)。非干渉化制御とは、ロータの回転に伴ってモータ内部で生じる速度起電力を補償するように電圧指令値を定める制御である。非干渉化制御を行うことによって、速度起電力による応答性や追従性の低下を効果的に抑制できると期待されている。
特開2001−187578号公報
モータ内部で生じる速度起電力は、回転角速度および電流に依存する。したがって、これを補償するための非干渉化制御量も同様に回転角速度および電流に依存する。より具体的には、d軸非干渉化制御量は回転角速度およびq軸電流に依存し、q軸非干渉化制御量は回転角速度およびd軸電流に依存する。
しかし、回転角速度は回転位置検出部の出力信号に基づいて算出され、また、モータ電流値は電流検出部の検出結果から得られるものであるため、これらには高周波ノイズが含まれている。その結果として、非干渉化制御量にも高周波ノイズが含まれることになる。この高周波ノイズは、振動や異音の原因となり、たとえば、電動パワーステアリング装置の使用者に違和感を与え、操舵フィーリングを悪化させるおそれがある。
そこで、この発明の目的は、振動や異音の発生を抑制することができるモータ制御装置を提供することである。
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、モータ(1)に供給すべき目標電流値を設定する目標電流値設定手段(15,16)と、この目標電流値設定手段によって設定された目標電流値に基づいて、前記モータを駆動するための基本電圧値を演算する基本電圧値演算手段(511,521,51a,52a)と、前記モータの回転角速度を演算する回転角速度演算手段(23)と、モータ電流値と、前記回転角速度演算手段によって演算される回転角速度とに基づいて、前記基本電圧値を補正するための補正値を演算する補正値演算手段(50,512,515,516,522,525,526)と、前記基本電圧値演算手段によって演算される基本電圧値を前記補正値演算手段によって演算された補正値で補正して電圧指令値を求める補正手段(513,523)と、この補正手段によって求められた電圧指令値を用いて前記モータを駆動する駆動手段(13)とを含み、前記補正値演算手段が、平滑化された補正値を求めるための補正値用平滑化手段(50,515,516,525,526)を含み、前記補正値用平滑化手段が、前記回転角速度演算手段によって演算される回転角速度を平滑化する回転角速度平滑化手段(50)を含み、当該平滑化された回転角速度を用いて前記補正値を求めるものである、モータ制御装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、モータを駆動するための基本電圧値が目標電流値に基づいて設定される。目標電流値はモータから発生させるべきトルクに対応しているので、基本電圧値は、目標とするトルクを発生させるためにモータに印加される電圧値に相当する。一方、モータ電流値と回転角速度とに基づいて、基本電圧値を補正するための補正値が演算される。この補正値は、補正値用平滑化手段の働きにより、平滑化された値となっている。より具体的には平滑化された回転角速度を用いて求められた値となっている。この平滑化された補正値によって基本電圧値に対する補正が行われることにより、電圧指令値が求められる。この電圧指令値でモータが駆動される。このように、高周波成分が抑制された補正値によって基本電圧値が補正されるので、振動や異音の発生を抑制することができる。
補正値の演算に用いるモータ電流値は、目標電流値であってもよいし、電流検出手段(11)によって検出される検出電流値であってもよい。
請求項2記載の発明は、前記モータが、電動パワーステアリング装置の駆動源であり、前記回転角速度平滑化手段のカットオフ周波数が、前記電動パワーステアリング装置の機械的特性によって定まる固有周波数以上の値である、請求項1記載のモータ制御装置である。
請求項3記載の発明は、前記電動パワーステアリング装置の機械的特性は、慣性、粘性および弾性である、請求項2記載のモータ制御装置である。
請求項記載の発明は、前記補正値演算手段は、前記モータの非干渉化制御のための補正値を演算するものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータ制御装置である。この構成により、振動や異音を抑制しつつ、非干渉化制御によって、回転角速度やモータ電流値によらずに、モータの応答性および追従性を向上することができる。
具体的には、前記基本電圧値演算手段は、たとえば、d軸基本電圧値Vdbaseおよびq軸基本電圧値Vqbaseを下記式A1,B1に従ってそれぞれ演算するものであってもよい。この場合に、前記補正値演算手段は、前記d軸基本電圧値Vdbaseを補正するためのd軸補正値Ddを下記式A2に従って演算し、前記q軸基本電圧値Vqbaseを補正するためのq軸補正値Dqを下記式B2式に従って演算するものであることが好ましい。電圧指令値Vd *,Vq *は、この場合、たとえば、下記式A,Bで与えられる。
d *=Vdbase+Dd ……A
q *=Vdbase+Dq ……B
dbase=(R+PLd)・Id * ……A1
qbase=(R+PLq)・Iq * ……B1
d=−ωLq・Iq * ……A2
q=ωLd・Id *+ωΦ ……B2
ただし、Rは電機子巻線抵抗(Ω)、Pは微分演算子、ωはモータの回転角速度(rad/秒)、Ldはd軸の自己インダクタンス(H)、Lqはq軸の自己インダクタンス(H)、Id *はd軸目標電流値(A)、Iq *はq軸目標電流値(A)、ΦはU相、V相、W相電機子巻線鎖交磁束数の最大値の√(3/2)倍をそれぞれ表す。
モータ電流値を検出する電流検出手段が備えられている場合には、前記式A2,B2によるd軸補正値Ddおよびq軸補正値Dqの演算において、目標電流値Id *,Iq *に代えて、検出されたd軸電流値Idおよびq軸電流値Iqを用いてもよい。
請求項記載の発明は、前記基本電圧値演算手段が、平滑化された基本電圧を求めるための基本電圧値用平滑化手段(514,524,51a,52a)をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置である。
この構成によれば、補正値だけでなく基本電圧値も平滑化された値となる。これにより、目標電流値の変動に起因する振動や異音の発生を併せて抑制することができる。したがって、より一層効果的に振動および異音を低減できる。
請求項記載の発明は、前記基本電圧値用平滑化手段のカットオフ周波数が、前記補正値用平滑化手段のカットオフ周波数よりも低い、請求項記載のモータ制御装置である。
この構成では、基本電圧値に対応する平滑化処理のカットオフ周波数が比較的低いので、目標電流値の変動に起因する振動および異音を効果的に低減できる。その一方で、補正値に対応する平滑化処理のカットオフ周波数が比較的高いので、この補正値は回転角速度の変動に対する充分な応答性を確保した状態で、高周波ノイズが除去された値となる。このように、基本電圧値および補正値は、それぞれ適切に平滑化された値となるので、振動および異音の低減と応答性の確保とを両立できる。
より具体的には、モータからトルクを発生させるために必要な応答特性と、非干渉化制御等の回転角速度に依存する制御に必要な応答特性とには相違がある。そこで、モータトルクに要求される応答特性が得られるように基本電圧値に対応する平滑化処理のカットオフ周波数を比較的低く定め、非干渉化制御等に必要な応答特性(回転角速度の変動に追従可能な応答特性)が得られるように、補正値(非干渉化制御量等)に対応する平滑化処理のカットオフ周波数を比較的高く定めればよい。これにより、たとえば、非干渉化制御の効果を犠牲にすることなく、すなわち、回転角速度やモータ電流値によらずにモータの応答性および追従性を確保した状態で、振動等を抑制できる。
請求項記載の発明は、前記基本電圧値用平滑化手段が、前記目標電流値設定手段によって設定される目標電流値を平滑化する目標電流値平滑化手段(514,524,51a,52a)を含む、請求項または記載のモータ制御装置である。この構成によれば、目標電流値を平滑化することによって、結果的に、平滑化された基本電圧値を得ることができる。むろん、平滑化されていない目標電流値を用いて基本電圧値を求めたあとで、この基本電圧値に対する平滑化処理を行ってもよいし、基本電圧値を求める過程で同時に平滑化処理が行われてもよい。
請求項記載の発明は、前記補正値用平滑化手段は、モータ電流値を平滑化する電流値平滑化手段(515,525)を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のモータ制御装置である。この構成によれば、モータ電流値に対する平滑化を行うことによって、結果的に、平滑化された補正値を得ることができる。むろん、平滑化されていないモータ電流値を用いて補正値を求めたあとで、この補正値に対する平滑化処理を行ってもよい。
請求項記載の発明は、前記基本電圧値演算手段と、前記補正値演算手段とが、モータの回路方程式に基づいて基本電圧値および補正値をそれぞれ求めるオープンループ制御手段を構成している、請求項1〜のいずれか一項に記載のモータ制御装置である。
モータの回路方程式(前記式A,B)に基づく基本電圧値は、たとえば、前記式A1,B1で表される。この場合に、モータの回路方程式に基づく補正値は、たとえば、前記式A2,B2で表される。
オープンループ制御の場合には、モータ電流値を検出する電流検出手段が必要ではないので、コストの低減を図ることができる。オープンループ制御では、とくに、目標電流値の変動の影響による振動や異音が発生しやすいので、請求項などの構成をとることによって、効果的に振動や異音の抑制が可能となる。
むろん、フィードバック制御の構成をとることもできる。より具体的には、モータ電流値を検出して検出電流値を生成する電流検出手段を設け、目標電流値と検出電流値との偏差に対するPI(比例積分)制御を行うことで、基本電圧値を演算する構成とすればよい。この場合には、PI制御における積分要素によって、目標電流値を平滑化する効果が得られる。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両のステアリングホイールに加えられる操舵トルクを検出するトルクセンサ7と、車両の速度を検出する車速センサ8と、車両の舵取り機構3に操舵補助力を与えるモータ1と、このモータ1を駆動制御するモータ制御装置10とを備えている。モータ制御装置10は、トルクセンサ7が検出する操舵トルクおよび車速センサ8が検出する車速に応じてモータ1を駆動することによって、操舵状況に応じた適切な操舵補助を実現する。モータ1は、たとえば、三相ブラシレスDCモータである。
モータ制御装置10は、信号処理部としてのマイクロコンピュータ12、および駆動回路13を有する。このモータ制御装置10に、モータ1内のロータの回転位置を検出するレゾルバ2(回転位置センサ)とともに、前述のトルクセンサ7および車速センサ8が接続されている。
マイクロコンピュータ12は、プログラム処理(ソフトウェア処理)によって実現される複数の機能処理部を備えている。これらの複数の機能処理部には、基本目標電流値演算部15、dq軸目標電流値演算部16、dq軸電圧指令値演算部19(オープンループ制御部)、電圧指令値座標変換部20、PWM(パルス幅変調)制御部21、角度算出部22、および回転角速度演算部23が含まれている。
駆動回路13は、インバータ回路で構成され、PWM制御部21によって制御されることにより、車載バッテリ等の電源からの電力をモータ1のU相、V相およびW相電機子巻線に供給する。
角度算出部22は、レゾルバ2によって検出された回転位置に基づいて、モータ1のロータの回転角(電気角)θを算出する。回転角速度演算部23(回転角速度演算手段)は、角度算出部22によって算出される回転角θを時間微分することによって、ロータの回転角速度ω(rad/秒)を算出する。
基本目標電流値演算部15は、トルクセンサ7により検知される操舵トルクと、車速センサ8により検出される車速とに基づいて、モータ1の基本目標電流値I*を演算する。基本目標電流値I*は、たとえば、操舵トルクの大きさが大きいほど大きく、車速が小さい程大きくなるように定められる。
基本目標電流値演算部15により演算された基本目標電流値I*はdq軸目標電流値演算部16に入力される。dq軸目標電流値演算部16は、d軸方向の磁界を生成するためのd軸目標電流値Id *と、q軸方向の磁界を生成するためのq軸目標電流値Iq *とを演算する。d軸とは、モータ1のロータの有する界磁の磁束方向に沿う軸であり、q軸とは、d軸およびロータ回転軸に直交する軸である。dq軸目標電流値演算部16における演算は公知の演算式を用いて行うことができる。前記基本目標電流値演算部15およびdq軸目標電流値演算部16が、目標電流値設定手段を構成している。
dq軸電圧指令値演算部19は、dq軸目標電流値演算部16によって求められたd軸目標電流値Id *、q軸目標電流値Iq *、および回転角速度演算部23によって求められた回転角速度ωに基づいて、d軸電圧指令値Vd *とq軸電圧指令値Vq *とを求める。このdq軸電圧指令値演算部19は、モータ1の回路方程式(後記式(3)(6))に基づいてd軸電圧指令値Vd *およびq軸電圧指令値Vq *を設定するオープンループ制御手段を構成している。
電圧指令値座標変換部20は、角度算出部22によって算出された回転角θに基づいて、d軸電圧指令値Vd *およびq軸電圧指令値Vq *の座標変換を行い、U相電機子巻線、V相電機子巻線、W相電機子巻線にそれぞれ印加すべき印加電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を演算する。電圧指令値座標変換部20における演算は公知の演算式を用いて行えばよい。
PWM制御部21は、印加電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に対応するデューティ比を有するパルス信号である各相のPWM制御信号を生成する。これにより、d軸電圧指令値Vd *およびq軸電圧指令値Vq *に対応する電圧が駆動回路13から各相の電機子巻線に印加され、ロータの回転力が発生する。
図2は、dq軸電圧指令値演算部19の詳しい構成例(参考形態)を説明するためのブロック図である。
dq軸電圧指令値演算部19は、d軸電圧指令値演算部51、およびq軸電圧指令値演算部52を有する。
d軸電圧指令値演算部51は、d軸基本電圧値演算部511(基本電圧値演算手段)、d軸非干渉化制御量演算部512、d軸加算部513(補正手段)、第1d軸ローパスフィルタ514(目標電流値平滑化手段、基本電圧値用平滑化手段)、および第2d軸ローパスフィルタ515(電流値平滑化手段、補正値用平滑化手段)を有する。前記d軸非干渉化制御量演算部512および第2d軸ローパスフィルタ515により、平滑化された補正値(d軸非干渉化制御量Dd)を求める補正値演算手段が構成されている。
第1d軸ローパスフィルタ514は、d軸目標電流値Id *の高周波成分(高周波ノイズ)を除去する。第1d軸ローパスフィルタ514は、たとえば、一次遅れ要素(1/(T1s+1))で構成することができる。T1は時定数、sはラプラス演算子である。カットオフ周波数ωc1=1/T1である。このカットオフ周波数ωc1は、たとえば、トルクセンサ7に内蔵されているローパスフィルタ(図示せず)のカットオフ周波数と同じか、それよりも低い周波数とされる。より具体的には、たとえば、カットオフ周波数ωc1は、モータ1の電気的時定数と同程度(たとえば50Hz前後)に定めておけばよい。
第2d軸ローパスフィルタ515は、q軸目標電流値Iq *の高周波成分(高周波ノイズ)を除去する。第2d軸ローパスフィルタ515は、たとえば、一次遅れ要素(1/(T2s+1))で構成することができる。T2は時定数である。カットオフ周波数ωc2=1/T2である。このカットオフ周波数ωc2は、第1d軸ローパスフィルタ514のカットオフ周波数ωc1よりも高く、たとえば、100Hz程度に定められる。
d軸基本電圧値演算部511は、第1d軸ローパスフィルタ514によって平滑化されたd軸目標電流値Id *に基づいて、モータ1から発生すべきトルクに対応するd軸基本電圧値Vdbaseを次式(1)に従って演算する。ただし、Rは電機子巻線抵抗(Ω)、Pは微分演算子、Ldはd軸の自己インダクタンスであり、いずれも既知のパラメータである。
dbase=(R+PLd)・Id * ……(1)
d軸非干渉化制御量演算部512は、第2d軸ローパスフィルタ515によって平滑化されたq軸目標電流値Iq *と、回転角速度演算部23によって求められた回転角速度ωとに基づいて、次式(2)に従ってd軸非干渉化制御量Dd(d軸基本電圧値Vdbaseを補正するための補正値)を演算する。ただし、Lqはq軸の自己インダクタンスである。
d=−ωLq・Iq * ……(2)
d軸加算部513は、d軸基本電圧値Vdbaseにd軸非干渉化制御量Ddを加算(つまり、d軸基本電圧値Vdbaseをd軸非干渉化制御量Ddで補正)して、次式(3)のd軸電圧指令値Vd *を求める。
d *=Vdbase+Dd=(R+PLd)・Id *−ωLq・Iq * ……(3)
このd軸電圧指令値Vd *は、結局、モータの回路方程式(式(3))から求まるd軸電圧指令値に他ならない。
q軸電圧指令値演算部52は、q軸基本電圧値演算部521(基本電圧値演算手段)、q軸非干渉化制御量演算部522、q軸加算部523(補正手段)、第1q軸ローパスフィルタ524(目標電流値平滑化手段、基本電圧値用平滑化手段)、および第2q軸ローパスフィルタ525(電流値平滑化手段、補正値用平滑化手段)を有する。前記q軸非干渉化制御量演算部522および第2q軸ローパスフィルタ525により、平滑化された補正値(q軸非干渉化制御量Dq)を求める補正値演算手段が構成されている。
第1q軸ローパスフィルタ524は、q軸目標電流値Iq *の高周波成分(高周波ノイズ)を除去する。第1q軸ローパスフィルタ524は、第1d軸ローパスフィルタ514と同様に、たとえば、一次遅れ要素(1/(T1s+1))で構成することができる。
第2q軸ローパスフィルタ525は、d軸目標電流値Id *の高周波成分(高周波ノイズ)を除去する。第2q軸ローパスフィルタ525は、第2d軸ローパスフィルタ515と同様に、たとえば、一次遅れ要素(1/(T2s+1))で構成することができる。
q軸基本電圧値演算部521は、第1q軸ローパスフィルタ524によって平滑化されたq軸目標電流値Iq *に基づいて、モータ1から発生すべきトルクに対応するq軸基本電圧値Vqbaseを次式(4)に従って演算する。ただし、Lqはq軸の自己インダクタンスであり、既知のパラメータである。
qbase=(R+pLq)・Iq * ……(4)
q軸非干渉化制御量演算部522は、第2q軸ローパスフィルタ525によって平滑化されたd軸目標電流値Id *と、回転角速度演算部23によって求められた回転角速度ωとに基づいて、次式(5)に従ってq軸非干渉化制御量Dq(q軸基本電圧値Vqbaseを補正するための補正値)を演算する。ただし、Φは、U相、V相、W相電機子巻線鎖交磁束数の最大値の√(3/2)倍を表し、既知のパラメータである。
q=ωLd・Id *+ωΦ ……(5)
q軸加算部523は、q軸基本電圧値Vqbaseにq軸非干渉化制御量Dqを加算(つまり、q軸基本電圧値Vqbaseをq軸非干渉化制御量Dqで補正)して、次式(6)のq軸電圧指令値Vq *を求める。
q *=Vqbase+Dq=(R+pLq)・Iq *+ωLd・Id *+ωΦ ……(6)
このq軸電圧指令値Vq *は、結局、モータの回路方程式(式(6))から求まるq軸電圧指令値に他ならない。
図3は、モータ制御装置10によるモータ1の制御手順を説明するためのフローチャートである。まず、マイクロコンピュータ12は、トルクセンサ7、車速センサ8、およびレゾルバ2による検出値を読み込む(ステップS1)。基本目標電流値演算部15は、検出された操舵トルクおよび車速に基づき、目標電流値I*を演算する(ステップS2)。dq軸目標電流値演算部16は、その目標電流値I*に対応するd軸目標電流値Id *とq軸目標電流値Iq *とを演算する(ステップS3)。角度算出部22は、レゾルバ2の出力からロータの回転角θを算出する(ステップS4)。また、回転角速度演算部23は、角度算出部22によって算出された回転角θに基づいて、回転角速度ωを演算する(ステップS5)。
次に、dq軸電圧指令値演算部19において、d軸電圧指令値Vd *とq軸電圧指令値Vq *(モータ1に印加すべき電圧値であってもよいし、PWMデューティ値であってもよい。)とが演算される(ステップS6)。そして、電圧指令値座標変換部20において、d軸電圧指令値Vd *およびq軸電圧指令値Vq *に対応するU相電機子巻線、V相電機子巻線、W相電機子巻線への印加電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*が演算される(ステップS7)。これらの印加電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に対応するPWM制御信号がPWM制御部21から駆動回路13に与えられる。これより、モータ1が駆動される(ステップS8)。そして、制御を終了するか否かを例えばイグニッションスイッチのオン・オフにより判断し(ステップS9)、終了しない場合はステップS1に戻る。
図4は、d軸電圧指令値Vd *およびq軸電圧指令値Vq *の演算手順を示すフローチャートである。まず、d軸基本電圧値演算部511によりd軸基本電圧値Vdbaseが求められ、q軸基本電圧値演算部521によりq軸基本電圧値Vqbaseが求められる(ステップS101)。このとき、d軸基本電圧値演算部511は第1d軸ローパスフィルタ514(カットオフ周波数ωc1)で平滑化されたd軸目標電流値Id *を用い、q軸基本電圧値演算部521は第1q軸ローパスフィルタ524で平滑化されたq軸目標電流値Iq *(カットオフ周波数ωc1)を用いる。
一方、d軸非干渉化制御量演算部512においてd軸非干渉化制御量Ddが求められ、q軸非干渉化制御量演算部522においてq軸非干渉化制御量Dqが求められる(ステップS102)。このとき、d軸非干渉化制御量演算部512は第2d軸ローパスフィルタ515(カットオフ周波数ωc2>ωc1)で平滑化されたq軸目標電流値Iq *を用い、q軸非干渉化制御量演算部522は第2q軸ローパスフィルタ525(カットオフ周波数ωc2)で平滑化されたd軸目標電流値Id *を用いる。
そして、d軸基本電圧値Vdbaseにd軸非干渉化制御量Ddが加算されてd軸電圧指令値Vd *が求められ、q軸基本電圧値Vqbaseにq軸非干渉化制御量Dqが加算されてq軸電圧指令値Vq *が求められる(ステップS103)。こうして求められたd軸電圧指令値Vd *およびq軸電圧指令値Vq *が出力される。
以上のように、上記の構成によれば、モータ1から発生させるべきトルクに対応する基本電圧値Vdbase,Vqbaseの演算にローパスフィルタ514,524で平滑化した目標電流値Id *,Iq *を用い、非干渉化制御量Dd,Dqの演算にローパスフィルタ515,525で平滑化した目標電流値Iq *,Id *を用いている。これにより、高周波ノイズに起因する振動や異音を抑制することができる。また、基本電圧値Vdbase,Vqbaseの演算に用いる目標電流値Id *,Iq *を平滑化するローパスフィルタ514,524のカットオフ周波数ωc1は比較的低く設定されているので、目標電流値Id *,Iq *に含まれる高周波成分を充分に取り除くことができ、不快な振動および異音を効果的に抑制できる。一方、非干渉化制御量Dd,Dqの演算に用いられる目標電流値Iq *,Id *を平滑化するローパスフィルタ515,525のカットオフ周波数ωc2は比較的高く設定されている。これは、非干渉化制御量Dd,Dqを回転角速度ωの変動に充分な応答性で追従させるためである。これにより、モータ1の応答性能を、回転角速度ωや電流値によらずに安定化できるという、非干渉化制御による効果が阻害されることがない。つまり、非干渉化制御の応答性をほとんど犠牲にすることなく、高周波ノイズを除去でき、振動および異音の発生を抑制または防止できる。
図5は、この発明の第の実施形態に係るモータ制御装置の構成を説明するためブロック図であり、前述の図1の構成において、dq軸電圧指令値演算部19として用いることができる構成が示されている。以下、前述の図1を再び参照して説明する。なお、図5において、図2に示された各部に対応する部分には、同一の参照符号を付して示す。
この実施形態では、前述の図2に示された構成に加えて、回転角速度演算部23によって演算された回転角速度ωを平滑化するための角速度用ローパスフィルタ50が備えられている。この角速度用ローパスフィルタ50によって平滑化された回転角速度ωが、非干渉化制御量演算部512,522における非干渉化制御量Dd,Dqの演算のために用いられる。
角速度用ローパスフィルタ50は、たとえば、一次遅れ要素(1/(T3s+1))で構成することができる。T3は時定数である。カットオフ周波数ωc3=1/T3である。このカットオフ周波数ωc3は、当該電動パワーステアリング装置の機械的特性(システム特性)によって定まる固有周波数以上の値に定めることが好ましい。これにより、回転角速度ωの変動に対する応答性を確保しつつ、高周波ノイズを除去することができる。
たとえば、電動パワーステアリング装置の伝達関数を次式(7)で表すと、前記固有周波数は下記式(8)のとおりとなる。
1/{M・n2・s2+C・s+K} …… (7)
√{K/(M・n2)} …… (8)
ただし、Mはモータのロータの慣性モーメント、nは減速比、Cは摩擦係数、Kはトーションバーの弾性係数である。減速比nは、モータ1と舵取り機構3との間の減速機(図示せず)の減速比である。トーションバーとは、ステアリングシャフトの途中に介装されて、操舵トルクに応じてねじれを生じるものである。このトーションバーのねじれ量がトルクセンサ7によって検出される。
このように、この実施形態では、システム特性(慣性、粘性および弾性)に基づいてカットオフ周波数ωc3を定めることにより、回転角速度ωに対して必要最小限の平滑化処理を行っている。これにより、より一層効果的に、振動および異音の抑制によるシステムの安定化と、回転角速度ωに対する応答性の確保とを両立できる。
図6は、この発明の第の実施形態に係るモータ制御装置の構成を説明するためブロック図であり、前述の図1の構成において、dq軸電圧指令値演算部19として用いることができる構成が示されている。なお、図6において、図5に示された各部に対応する部分には、同一の参照符号を付して示す。
この実施形態では、前記第の実施形態の構成(図5)から、非干渉化制御量演算部512,522での演算に用いる目標電流値Id *,Iq *を平滑化するためのローパスフィルタ515,525が省かれている。すなわち、非干渉化制御量Dd,Dqの演算に用いられる変数のうち、回転角速度ωに対してのみ平滑化処理が施されるようになっている。
このような構成によっても、回転角速度ωに含まれる高周波ノイズを除去して、振動を抑制し、併せて非干渉化制御量Dd,Dqの応答性を確保できる。
図7は、参考形態に係るモータ制御装置の構成を説明するためブロック図であり、前述の図1の構成において、dq軸電圧指令値演算部19として用いることができる構成が示されている。なお、図7において、図2に示された各部に対応する部分には、同一の参照符号を付して示す。
この参考形態では、非干渉化制御量演算部512,522での演算に用いる目標電流値Id *,Iq *を平滑化するためのローパスフィルタ515,525が省かれており、さらに、回転角速度ωを平滑化するためのローパスフィルタ50も省かれている。その代わりに、非干渉化制御量Dd,Dq全体を平滑化するための第3d軸ローパスフィルタ516および第3q軸ローパスフィルタ526が備えられている。そして、第3d軸ローパスフィルタ526で平滑化されたd軸非干渉化制御量Ddがd軸加算部513でd軸基本電圧値Vdbaseに加算されるようになっている。同様に、第3q軸ローパスフィルタ526で平滑化されたq軸非干渉化制御量Dqがq軸加算部523でq軸基本電圧値Vqbaseに加算されるようになっている。
ローパスフィルタ516,526は、それぞれ、たとえば、一次遅れ要素(1/(T4s+1))で構成することができる。T4は時定数であり、カットオフ周波数ωc4=1/T4である。このカットオフ周波数ωc4は、前述の第2d軸および第2q軸ローパスフィルタ515,525のカットオフ周波数ωc2と同程度、または角速度用ローパスフィルタ50のカットオフ周波数ωc3と同程度に定めればよい。
このような構成によっても、非干渉化制御量Dd,Dqを回転角速度ωの変動に追従させながら、高周波ノイズを除去して、振動および異音を抑制できる。
図8は、この発明の実施形態および参考形態に係るモータ制御装置を適用することができる電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。この図8において、前述の図1に示された各部に対応する部分には同一の参照符号を付すこととし、それらについての詳細な説明を省く。
前述の実施形態および参考形態に係るモータ制御装置10は、モータの回路方程式に基づいてd軸電圧指令値Vd *およびq軸電圧指令値Vq *を設定するオープンループ制御を行うものであるのに対して、図8のモータ制御装置10Aは、モータ1に実際に流れるモータ電流値を検出し、検出されたモータ電流値(検出電流値)に基づいてフィードバック制御を実行するように構成されている。
より具体的には、モータ制御装置10Aは、電流検出部11、マイクロコンピュータ12、および駆動回路13を有する。
電流検出部11はモータ1の電機子巻線を流れる電流を検出する。より具体的には、電流検出部11は、3相(U相、V相およびW相)の電機子巻線における相電流をそれぞれ検出する電流検出器11u,11v,11wを有する。
マイクロコンピュータ12は、基本目標電流値演算部15、dq軸目標電流値演算部16、dq軸電流演算部17、d軸偏差演算部18d、q軸偏差演算部18q、dq軸電圧指令値演算部19A(フィードバック制御手段)、電圧指令値座標変換部20、PWM制御部21、角度算出部22、および回転角速度演算部23を有している。これらは、マイクロコンピュータ12が実行するソフトウェアによって実現される機能処理部である。
電流検出器11u,11v,11wは、駆動回路13とモータ1の各相の電機子巻線との間において流れる相電流Iu,Iv,Iwを検出する。
電流検出部11から出力される相電流Iu,Iv,Iwはdq軸電流演算部17に入力される。dq軸電流演算部17は、角度算出部22によって算出された回転角θに基づいて、相電流Iu,Iv,Iwを座標変換することにより、d軸電流値Idおよびq軸電流値Iq(モータ電流値としての検出電流値)を演算する。dq軸電流演算部17における演算は公知の演算式を用いて行うことができる。
d軸偏差演算部18dは、d軸目標電流値Id *とd軸電流Idとの間のd軸偏差δIdを求める。同様に、q軸偏差演算部18qは、q軸目標電流値Iq *とq軸電流Iqとの間のq軸偏差δIqを求める。
dq軸電圧指令値演算部19Aは、d軸偏差δIdに対応するd軸電圧指令値Vd *とq軸偏差δIqに対応するq軸電圧指令値Vq *とを求める。
図9は、dq軸電圧指令値演算部19Aの詳しい構成(参考形態)を説明するためのブロック図である。この図9において、前述の図2に示された各部に対応する部分は、同一の参照符号を付して示す。
dq軸電圧指令値演算部19Aは、d軸電圧指令値演算部51A、およびq軸電圧指令値演算部52Aを有する。d軸電圧指令値演算部51Aは、d軸偏差δIdを低減するように、d軸偏差δIdのPI演算(以下「d軸PI演算」という。)等に基づいてd軸電圧指令値Vd *を求める。q軸電圧指令値演算部52Aは、q軸偏差δIqを低減するように、q軸偏差δIqのPI演算(以下「q軸PI演算」という。)等に基づいてq軸電圧指令値Vq *を求める。
d軸電圧指令値演算部51Aは、d軸PI演算部51a、d軸非干渉化制御量演算部512、d軸加算部513、およびd軸ローパスフィルタ515を有する。つまり、前述の図2の参考形態におけるd軸電圧指令値演算部51との相違点は、第1d軸ローパスフィルタ514が備えられておらず、また、d軸基本電圧値演算部511に代えてd軸PI演算部51aが備えられていることである。ただし、この参考形態では、d軸非干渉化制御量Ddの演算には、dq軸電流演算部17によって演算されたq軸電流値Iqが用いられている。すなわち、d軸ローパスフィルタ515は、q軸電流値Iqに対して平滑化処理を行い、この平滑化処理後のq軸電流値Iqがd軸非干渉化制御量演算部512での演算に用いられる。したがって、d軸非干渉化制御量Dd=−ωLq・Iqと表される。
d軸PI演算部51aは、d軸偏差δIdのPI演算によりd軸基本電圧値Vdbaseを演算し、このd軸基本電圧値Vdbaseをd軸加算部513に出力する。d軸加算部513は、このd軸基本電圧値Vdbaseにd軸非干渉化制御量Ddを加算して、d軸電圧指令値Vd *を求める。
q軸電圧指令値演算部52Aは、q軸PI演算部52a、q軸非干渉化制御量演算部522、q軸加算部523、およびq軸ローパスフィルタ525を有する。つまり、前述の図2の参考形態におけるq軸電圧指令値演算部52との相違点は、第1q軸ローパスフィルタ524が備えられておらず、また、q軸基本電圧値演算部521に代えてq軸PI演算部52aが備えられていることである。ただし、この参考形態では、q軸非干渉化制御量Dqの演算には、dq軸電流演算部17によって演算されたd軸電流値Idが用いられている。すなわち、q軸ローパスフィルタ525は、d軸電流値Idに対して平滑化処理を行い、この平滑化処理後のd軸電流値Idがq軸非干渉化制御量演算部522での演算に用いられる。したがって、q軸非干渉化制御量Dq=ωLd・Id+ωΦと表される。
q軸PI演算部52aは、q軸偏差δIqのPI演算によりq軸基本電圧値Vqbaseを演算し、このq軸基本電圧値Vqbaseをq軸加算部523に出力する。q軸加算部523は、このq軸基本電圧値Vqbaseにq軸非干渉化制御量Dqを加算して、q軸電圧指令値Vq *を求める。
各PI演算部51a,52aは、比例要素および積分要素を含む。これらのうち積分要素は、偏差δId,δIqを平滑化する働きをもつ。これにより、目標電流値Id *,Iq *および検出電流値Id,Iqに含まれる高周波ノイズを除去することができる。したがって、基本電圧値Vdbase,Vqbaseの演算に用いる電流値Id *,Iq *,Id,Iqに対しては、別途の平滑化処理を行う必要はない。積分要素による平滑化処理のカットオフ周波数の調整は、比例ゲインおよび積分ゲインの調整によって行うことができる。
このような構成によって、図2の参考形態の場合と同様に、回転角速度ωに対する応答性を確保して、非干渉化制御の効果を阻害することなく、振動および異音を抑制することができる。
この参考形態は、図5および図6の実施形態と同様に変形することができる。すなわち、図10(第3の実施形態)に示すように、図9に示された構成に加えて、回転角速度ωを平滑化するための角速度用ローパスフィルタ50を設けてもよい。また、図11(第4の実施形態)に示すように、図10に示された構成から、非干渉化制御量Dd,Dqの演算のために用いる検出電流値Id,Iqを平滑化するためのローパスフィルタ515,525を省いてもよい。さらに、図12(参考形態)に示すように、ローパスフィルタ515,525,50の代わりに、非干渉化制御量Dd,Dq全体を平滑化するローパスフィルタ516,526を設けることとしてもよい。
以上、この発明のいくつかの実施形態および参考形態について説明したが、さらに他の形態をとることも可能である。たとえば、基本電圧値Vdbase,Vqbaseを定めるために用いられる目標電流値Id *,Iq *に対するローパスフィルタ514,524による平滑化処理を省いて、非干渉化制御量Dd,Dqに関する平滑化処理のみを行うようにしてもよい。
また、前述の実施形態および参考形態では、電動パワーステアリング装置の駆動源としてのモータへの用例について説明したが、この発明は、電動パワーステアリング装置以外の用途のモータの制御に対しても適用が可能である。とくに、サーボ系で応答性や追従性が要求される用途でのモータトルク制御に応用すると効果的である。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。 dq軸電圧指令値演算部の詳しい構成例(参考形態)を説明するためのブロック図である。 モータ制御装置によるモータの制御手順を説明するためのフローチャートである。 d軸電圧指令値およびq軸電圧指令値の演算手順を示すフローチャートである。 この発明の第の実施形態に係るモータ制御装置におけるdq軸電圧指令値演算部の構成を示すブロック図である。 この発明の第の実施形態に係るモータ制御装置におけるdq軸電圧指令値演算部の構成を示すブロック図である。 参考形態に係るモータ制御装置におけるdq軸電圧指令値演算部の構成を示すブロック図である。 この発明の実施形態および参考形態に係るモータ制御装置を適用することがで きる電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。 参考形態におけるdq軸電圧指令値演算部の詳しい構成を説明するためのブロック図である。 dq軸電圧指令値演算部の他の構成(第3の実施形態)を示すブロック図である。 dq軸電圧指令値演算部のさらに他の構成(第4の実施形態)を示すブロック図である。 dq軸電圧指令値演算部のさらに他の構成(参考形態)を示すブロック図である。
符号の説明
1…モータ、2…レゾルバ、10,10A…モータ制御装置、11…電流検出部、12…マイクロコンピュータ、50…角速度用ローパスフィルタ、51,51A…d軸電圧指令値演算部、511…d軸基本電圧値演算部、512…d軸非干渉化制御量演算部、513…d軸加算部、514…第1d軸ローパスフィルタ、515…第2d軸ローパスフィルタ、516…第3d軸ローパスフィルタ、51a…d軸PI演算部、52,52A…q軸電圧指令値演算部、521…q軸基本電圧値演算部、522…q軸非干渉化制御量演算部、523…q軸加算部、524…第1q軸ローパスフィルタ、525…第2q軸ローパスフィルタ、526…第3q軸ローパスフィルタ、52a…q軸PI演算部

Claims (9)

  1. モータに供給すべき目標電流値を設定する目標電流値設定手段と、
    この目標電流値設定手段によって設定された目標電流値に基づいて、前記モータを駆動するための基本電圧値を演算する基本電圧値演算手段と、
    前記モータの回転角速度を演算する回転角速度演算手段と、
    モータ電流値と、前記回転角速度演算手段によって演算される回転角速度とに基づいて、前記基本電圧値を補正するための補正値を演算する補正値演算手段と、
    前記基本電圧値演算手段によって演算される基本電圧値を前記補正値演算手段によって演算された補正値で補正して電圧指令値を求める補正手段と、
    この補正手段によって求められた電圧指令値を用いて前記モータを駆動する駆動手段とを含み、
    前記補正値演算手段が、平滑化された補正値を求めるための補正値用平滑化手段を含み、
    前記補正値用平滑化手段が、前記回転角速度演算手段によって演算される回転角速度を平滑化する回転角速度平滑化手段を含み、当該平滑化された回転角速度を用いて前記補正値を求めるものである、モータ制御装置。
  2. 前記モータが、電動パワーステアリング装置の駆動源であり、
    前記回転角速度平滑化手段のカットオフ周波数が、前記電動パワーステアリング装置の機械的特性によって定まる固有周波数以上の値である、請求項1記載のモータ制御装置。
  3. 前記電動パワーステアリング装置の機械的特性は、慣性、粘性および弾性である、請求項2記載のモータ制御装置。
  4. 前記補正値演算手段は、前記モータの非干渉化制御のための補正値を演算するものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  5. 前記基本電圧値演算手段が、平滑化された基本電圧を求めるための基本電圧値用平滑化手段をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  6. 前記基本電圧値用平滑化手段のカットオフ周波数が、前記補正値用平滑化手段のカットオフ周波数よりも低い、請求項記載のモータ制御装置。
  7. 前記基本電圧値用平滑化手段が、前記目標電流値設定手段によって設定される目標電流値を平滑化する目標電流値平滑化手段を含む、請求項または記載のモータ制御装置。
  8. 前記補正値用平滑化手段は、モータ電流値を平滑化する電流値平滑化手段を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  9. 前記基本電圧値演算手段と、前記補正値演算手段とが、モータの回路方程式に基づいて基本電圧値および補正値をそれぞれ求めるオープンループ制御手段を構成している、請求項1〜のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
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