JP5996485B2 - モータの駆動制御装置 - Google Patents
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Description
この従来のモータの駆動制御装置は、制御動作の安定性を高めながら、制御の応答性の向上を図るため、以下のように構成されている。
なお、干渉電圧は、d軸やq軸の電流が流れることで、これらの他方となるq軸やd軸に発生する電圧のことであり、この干渉電圧は除去することが望ましい。
すなわち、モータの制御にあっては、d軸とq軸の電流指令値に対して、d軸とq軸の電流はある時定数をもった一次遅れ応答となる。このため、過渡の電流応答にあっては、指令電流値と電流実測値には必ず差が発生する。
それにもかかわらず、上記従来技術では電流実測値の代わりに電流指令値を用いて干渉電圧を演算している。
この場合、過渡の電流応答にあっては指令電流値と電流実測値とに差があるため、電流指令値を用いて演算した干渉電圧値は、実際に発生した干渉電圧値とは異なった値となってしまい、過渡における非干渉制御の動作が不安定となって、過渡の電流応答が悪化する。そうすると、モータにトルクショックが発生するといった問題が生じる。
測定したモータの電流実測値を回転磁界直交座標系のd−q軸上におけるd軸電流値とq軸電流値とに変換し、実測したd軸電流実測値とd軸電流指令値との偏差、および実測したq軸電流実測値とq軸電流指令値との偏差が、ゼロになるように制御するモータの駆動装置において、
d軸電流指令値、q軸電流指令値、d軸の電流実測値、q軸電流実測値に基づいてd軸電圧指令演算値およびq軸電圧指令演算値を得る電流制御手段と、
d軸電流指令演算値のうちの低周波数成分を通過させて高周波成分を遮断する第1ローパスフィルタと、
q軸電流指令演算値のうちの低周波数成分を通過させて高周波成分を遮断する第2ローパスフィルタと、
第1ローパスフィルタの出力値および第2ローパスフィルタの出力値とd軸、q軸の電流実測値とを入力し、第1、第2ローパスフィルタの出力値とd軸、q軸の電流実測値との偏差が所定閾値以上か否かに応じて、出力値および電流実測値それぞれに対する重み付けを変更して、d軸干渉電圧演算用電流値およびq軸干渉電圧演算用電流値を出力する重み付け手段と、
この重み付け手段から入力されたd軸干渉電圧演算用電流値およびq軸干渉電圧演算用電流値に基づいてd軸干渉電圧値およびq軸干渉電圧値を算出する干渉電圧算出手段と、
電流制御手段で得たd軸電圧指令演算値およびq軸電圧指令演算値から干渉電圧算出手段で算出したd軸干渉電圧値およびq軸干渉電圧値をそれぞれ減算してd軸電圧指令値およびq軸電圧指令値を得る電圧指令値算出手段と、
を備えたことを特徴とする。
ことを特徴とする。
ことを特徴とする。
なお、ベクトル制御自体は周知のものと変わらない。
図1に示すように、実施例1のモータの駆動制御装置は、モータM(本実施例では3相交流の永久磁石同期モータ)に接続され、電流指令部1と、電流制御部2と、第1減算部3と、第2減算部4と、dq/3相変換54と、デューティ演算部6と、パルス幅変調(PWM: Pulse Width Modulation)インバータ7と、第1ローパスフィルタ8と、第2ローパスフィルタ9と、第1重み付け部10と、第2重み付け部11と、干渉電圧値算出部12と、3相/dq変換部13と、速度・位置変換部14と、第1電流センサ15と、第2電流センサ16と、レゾルバ17と、を備えている。
なお、電流制御部2は、本発明の電流制御手段に相当する。
同様に、第2減算部4は、電流制御部2から入力されたq軸電圧指令演算値vqから、干渉電圧値算出部12で得られたq軸干渉電圧voqを減算してq軸電圧指令値vq*を得、これをdq/3相変換部5へ出力する。
なお、第1減算部3および第2減算部4は、本発明の電圧指令値算出手段に相当する。
なお、この電流の供給にあっては、PWMインバータ7とモータMのU相およびV相の2つの巻線間を流れる電流値Iu、Ivを、それぞれ検出する第1電流センサ15と第2電流センサ16が設けられている。
同様に、第2ローパスフィルタ9は、電流指令値演算部1から入力されたq軸電流指令値iq*の高周波成分を遮断してその低周波成分の値iq*_LPFを第2重み付け部11へ出力する。
ここで、第1ローパスフィルタ8および第2ローパスフィルタ9は、d軸およびq軸の電流応答相当の時定数を持たせた1次遅れフィルタとしたが、これに限ることとなく、2次遅れやそれ以上の高次遅れのものでもよく、電流応答を模擬可能なフィルタであればよい。
このd軸干渉電圧演算用電流値iodは、干渉電圧値算出部12へ出力する。
この軸干渉電圧演算用電流値ioqは、干渉電圧値算出部12へ出力する。
なお、第1重み付け部10および第2重み付け部11で用いる閾値は、電流実測であるd軸電流値id、q軸電流値iqの大きさ等を考慮して予め設定しておく。
また、第1重み付け部10および第2重み付け部11は、本発明の重み付け手段に相当する。
ここで、干渉電圧値算出部12は、本発明の干渉電圧算出手段に相当する。
なお、干渉電圧は、それぞれvod=ωLqiq、voq=-ωLdid-ωφaとなる。
ここで、Lqはq軸側のインダクタンス、Ldはd軸側のインダクタンス、φaは1相当りの永久磁石の電機子鎖交磁束である。
なお、モータMのベクトル制御は、ベクトル量として電流とトルクが比例するような制御構成をとるものであって、この制御については、周知であるので、ここでは非干渉制御を中心に説明する。
電流制御部2では、電流指令値演算部1から入力されたd軸電流指令値id*およびq軸電流指令値iq*と、3相/dq変換部13で変換されたd軸電流値idおよびq軸電流値iqと、が入力されて、これら電流値の偏差がゼロになるように電流フィードバックが行われ、d軸電圧値vdおよびq軸電圧値vqが算出されて、これらをそれぞれ第1減算部3と第2減算部4へ出力する。
すなわち、第1重み付け部10と第2重み付け部11とでは、上記入力された値id*_LPF、iq*_LPFと、さらに3相/dq変換部13から入力されたd軸電流値id、q軸電流値iq(これらは電流実測に相当する)とからこれらの偏差id*_LPF-id、iq*_LPF-iqの絶対値をそれぞれ算出する。
すなわち、この場合には、電流実測であるd軸電流値id、q軸電流値iqに対し重みを1とし、低周波数成分の値id*_LPF、iq*_LPFに対する重みは0とすることになる。
同様に、第2減算器4では、q軸電流指令値iq*からq軸干渉電圧voqを減算してq軸電圧指令値vq*を得、これをdq/3相変換部5へ入力する。
まず、シミュレーションの条件として、電流制御のモータ定数誤差がない場合、すなわち、電流実測が設計値と同じ値となる (id*_LPF=id、iq*_LPF=iq) 場合をシュミレーションした。
また、電流制御は、PI制御で行い、電流制御の応答定数の設計値を4msとし、各ローパスフィルタ8、9をその応答時定数の設計値が4msの1次ローパスフィルタとし、モータMの定数と電流制御で使用するモータMの定数を同じ値とし(すなわち、電流制御のモータ定数誤差なし)、d軸電流指令値を-300Aから-400Aへのステップ指令値とし、q軸電流指令値iq*-350Aから-450Aへのステップ指令値とし、モータMの回転速度ωを2,000r.p.m.とした。
また、電流指令値id*、iq*と電流実測id、iqとの偏差を比較する所定の閾値を5Aとした。
図2(a)は横軸が時間[秒(s)]で縦軸がd電流値id[アンペア(A)]でd電流値idの時間変化を表し、同図(b)は横軸が時間[秒(s)]で縦軸がq電流値iq[アンペア(A)]でq電流値iqの時間変化を表わす。
なお、同図において、実施例1を実線で、従来技術を一点鎖線で、電流指令値を破線で、設計値を2点鎖線で示す。
これらの図から分かるように、従来技術のものではd軸電流値id、q軸電流値iqは設定値から大きくオーバーシュートしているのに対し、実施例1のものではd軸電流値id、q軸電流値iqはほぼ設定値と同じ値になり過渡応答が改善されていることが分かる。
なお、同図において、モータMの実干渉電圧値を実線で、実施例1のコントローラ(第1、第2ローフィルタ8、9〜非干渉電圧値算出部12)で得られた干渉電圧値を一点鎖線でそれぞれ示す。
すなわち、実施例1のモータの駆動制御装置では、d軸電流指令値id*、q軸電流指令値iq*を、第1、第2ローパスフィルタ8、9で1次遅れ分となる低周波数成分の値id*_LPF、iq*_LPFを取り出し、第1、第2重み付け部9、10でそれらの値と電流実測値id、iqとの偏差が所定の閾値以上になるか否かで、それらの値id*_LPF、iq*_LPFと電流実測値id、iqとに重み付けを変えてd軸、q軸干渉電圧演算用電流値iod、ioqを得、これらに基づき、干渉電圧値算出部12で干渉電圧vod、voqを算出し、第1、第2減算器3、4でd軸、q軸電圧指令値vd*、vdq*を得るようにしたので、過渡時に電流実測値と指令電流値との間に差が生じても、過渡時での電流応答の悪化を抑制することができる。
実施例2のモータの制御装置は、図1に示した実施例1のモータの制御装置と同じ行成を有するが、第1重み付け部10と第2重み付け部11で行う重み付けのやり方が実施例1のものと異なる。
まず、電流指令値id*、iq*と電流実測id、iqとの差の絶対値が所定の閾値以上ある場合には、
iod=α・id*_LPF+β・id
ioq=α・iq*_LPF+β・idPF+β・iq
とする。
ここで、係数α、βは、以下の条件に従うものとする。
0<β<α<1
iod=β・id*_LPF+α・id
ioq=β・iq*_LPF+β・idPF+α・iq
とする。
その他の構成は、実施例1と同じである。
1 電流指令値演算部
2 電流制御部(電流制御手段)
3 第1減算器(電圧指令値算出手段)
4 第2減算器(電圧指令値算出手段)
5 dq/3相変換部
6 デューティ演算部
7 パルス幅変調インバータ
8 第1ローパスフィルタ
9 第2ローパスフィルタ
10 第1重み付け部(重み付け手段)
11 第2重み付け部(重み付け手段)
12 干渉電圧値算出部(干渉電圧算出手段)
13 3相/dq変換部
14 速度・位置検出部
15 第1電流センサ
16 第2電流センサ
17 レゾルバ
Claims (3)
- 測定したモータの電流実測値を回転磁界直交座標系のd−q軸上におけるd軸電流値とq軸電流値とに変換し、実測したd軸電流実測値とd軸電流指令値との偏差、および実測したq軸電流実測値とq軸電流指令値との偏差が、ゼロになるように制御するモータの駆動装置において、
前記d軸電流指令値、前記q軸電流指令値、前記d軸の電流実測値、前記q軸電流実測値に基づいてd軸電圧指令演算値およびq軸電圧指令演算値を得る電流制御手段と、
前記d軸電流指令演算値のうちの低周波数成分を通過させて高周波成分を遮断する第1ローパスフィルタと、
前記q軸電流指令演算値のうちの低周波数成分を通過させて高周波成分を遮断する第2ローパスフィルタと、
前記第1ローパスフィルタの出力値および前記第2ローパスフィルタの出力値と前記d軸、q軸の電流実測値とを入力し、前記第1、第2ローパスフィルタの出力値と前記d軸、q軸の電流実測値との偏差が所定閾値以上か否かに応じて、前記出力値および前記電流実測値それぞれに対する重み付けを変更して、d軸干渉電圧演算用電流値およびq軸干渉電圧演算用電流値を出力する重み付け手段と、
前記重み付け手段から入力されたd軸干渉電圧演算用電流値およびq軸干渉電圧演算用電流値に基づいてd軸干渉電圧値およびq軸干渉電圧値を算出する干渉電圧算出手段と、
前記電流制御手段で得たd軸電圧指令演算値およびq軸電圧指令演算値から前記干渉電圧算出手段で算出したd軸干渉電圧値およびq軸干渉電圧値をそれぞれ減算してd軸電圧指令値およびq軸電圧指令値を得る電圧指令値算出手段と、
を備えたことを特徴とするモータの駆動制御装置。 - 請求項1に記載のモータの駆動制御装置において、
前記重み付け手段は、前記第1ローパスフィルタの出力値および前記第2ローパスフィルタの出力値と前記電流実測値とのうちの一方を重み1で、また他方の重み0で重み付けする、
ことを特徴とするモータの駆動制御装置。 - 請求項1に記載のモータの駆動制御装置において、
前記重み付け手段は、0<β<α<1を持たす係数α、βを重みとし、前記第1ローパスフィルタの出力値および前記第2ローパスフィルタの出力値と前記電流実測値とのうちの一方を重みαで、また他方の重みβで重み付けする、
ことを特徴とするモータの駆動制御装置。
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