JP2011109805A - モータ制御装置および車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】仮想回転座標系であるγδ座標系のγ軸電流Iγでモータが駆動される。γδ座標系は、制御上の回転角である制御角θCに従う座標系である。制御角θCとロータ角θMとの差(負荷角θL)に応じたアシストトルクが発生する。一方、検出操舵トルクTを指示操舵トルクT*に近づけるように、PI制御部23によって、加算角αが生成される。加算角αが制御角θCの前回値θC(n-1)に加算されることにより、制御角θCの今回値θC(n)が求められる。ゲイン変更部40は、PI制御部23の比例ゲインKPを、γ軸指示電流値Iγ *が大きいほど小さくなる特性に従って可変設定する。
【選択図】図1
Description
指示電流値を一定値に定めておくと、必要なモータトルク(すなわち、モータ負荷)が小さいときには、軸電流値の大部分がモータトルクに変換されず、無駄になるので、効率が悪くなる。そこで、たとえば、必要なモータトルクが小さいときほど、指示電流値を小さくすれば、効率のよいモータ制御が可能になる。
たとえば、前記指示電流設定手段は、前記トルク検出手段によって検出される検出トルクの大きさに応じて、前記指示電流値を可変設定するものであってもよい。より具体的には、前記指示電流設定手段は、検出トルクの大きさが小さいほど指示電流値の大きさを小さくし、検出トルクの大きさが大きいほど指示電流値の大きさを大きくするものであることが好ましい。
図1は、この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置(車両用操舵装置の一例)の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両を操向するための操作部材としてのステアリングホイール10に加えられる操舵トルクTsを検出するトルクセンサ1と、車両の舵取り機構2に減速機構7を介して操舵補助力を与えるモータ3(ブラシレスモータ)と、ステアリングホイール10の回転角である操舵角を検出する舵角センサ4と、モータ3を駆動制御するモータ制御装置5と、当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の速度を検出する車速センサ6とを備えている。
モータ3は、この実施形態では、三相ブラシレスモータであり、図2に図解的に示すように、界磁としてのロータ50と、このロータ50に対向するステータ55に配置されたU相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53とを備えている。モータ3は、ロータの外部にステータを対向配置したインナーロータ型のものであってもよいし、筒状のロータの内部にステータを対向配置したアウターロータ型のものであってもよい。
制御角θCに従ってγ軸電流Iγをモータ3に供給すると、このγ軸電流Iγのq軸成分(q軸への正射影)がロータ50のトルク発生に寄与するq軸電流Iqとなる。すなわち、γ軸電流Iγとq軸電流Iqとの間に、次式(1)の関係が成立する。
Iq=Iγ・sinθL …(1)
再び図1を参照する。モータ制御装置5は、マイクロコンピュータ11と、このマイクロコンピュータ11によって制御され、モータ3に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)12と、モータ3の各相のステータ巻線に流れる電流を検出する電流検出部13とを備えている。
マイクロコンピュータ11は、CPUおよびメモリ(ROMおよびRAMなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、操舵トルクリミッタ20と、指示操舵トルク設定部21と、トルク偏差演算部22と、PI(比例積分)制御部23と、加算角リミッタ24と、制御角演算部26と、指示電流値生成部30と、電流偏差演算部32と、PI制御部33と、γδ/UVW変換部34と、PWM(Pulse Width Modulation)制御部35と、UVW/γδ変換部36と、ゲイン変更部40とが含まれている。
最大ロータ角速度=最大操舵角速度×減速比×極対数 …(2)
制御角θCの演算間(演算周期)におけるロータ50の電気角変化量の最大値(ロータ角変化量最大値)は、次式(3)のとおり、最大ロータ角速度に演算周期を乗じた値となる。
=最大操舵角速度×減速比×極対数×演算周期 …(3)
このロータ角変化量最大値が一演算周期間で許容される制御角θCの最大変化量である。そこで、前記ロータ角変化量最大値を制限値ωmaxの既定値とすればよい。この制限値ωmaxを用いて、加算角αの上限値ULおよび下限値LLは、それぞれ次式(4)(5)で表すことができる。
LL=−ωmax …(5)
加算角リミッタ24による制限処理後の加算角αが、制御角演算部26の加算器26Aにおいて、制御角θCの前回値θC(n-1)(nは今演算周期の番号)に加算される(Z−1は信号の前回値を表す)。ただし、制御角θCの初期値は予め定められた値(たとえば零)である。
指示電流値生成部30は、制御上の回転角である前記制御角θCに対応する仮想回転座標系であるγδ座標系の座標軸(仮想軸)に流すべき電流値を指示電流値として生成するものである。具体的には、γ軸指示電流値Iγ *およびδ軸指示電流値Iδ *(以下、これらを総称するときには「二相指示電流値Iγδ *」という。)を生成する。指示電流値生成部30は、γ軸指示電流値Iγ *を有意値とする一方で、δ軸指示電流値Iδ *を零とする。より具体的には、指示電流値生成部30は、トルクセンサ1によって検出される検出操舵トルクTに基づいてγ軸指示電流値Iγ *を設定する。
γδ/UVW変換部34は、二相指示電圧Vγδ *に対して座標変換演算を行うことによって、三相指示電圧VUVW *を生成する。三相指示電圧VUVW *は、U相指示電圧VU *、V相指示電圧VV *およびW相指示電圧VW *からなる。この三相指示電圧VUVW *は、PWM制御部35に与えられる。
駆動回路12は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部35から与えられるPWM制御信号によって制御されることにより、三相指示電圧VUVW *に相当する電圧がモータ3の各相のステータ巻線51,52、53に印加されることになる。
ゲイン変更部40は、加算角αを求めるためにPI(比例積分)演算を行うPI制御部23のゲインを可変設定する。より具体的には、この実施形態では、ゲイン変更部40は、指示電流値生成部30が生成するγ軸指示電流値Iγ *に応じて、比例ゲインKPを可変設定する。この実施形態では、PI制御部23における積分ゲインKIは、一定値に保持される。
指示操舵トルクT*と検出操舵トルクTとの偏差(トルク偏差)ΔTに対するPI制御(KPは比例ゲイン、KIは積分ゲイン、1/sは積分演算子である。)によって、加算角αが生成される。この加算角αが制御角θCの前回値θC(n-1)に対して加算されることによって、制御角θCの今回値θC(n)=θC(n-1)+αが求められる。このとき、制御角θCとロータ50の実際のロータ角θMとの偏差が負荷角θL=θC−θMとなる。
この実施形態では、PI制御部23は、検出操舵トルクTを指示操舵トルクT*に一致させるために、アシストトルクを増加させる場合に加算角αを増加させ、アシストトルクを減少させる場合に加算角αを減少させるように動作するものとする。
このようにして、加算角αを上限値ULと下限値LLとの間に制限することができるので、制御の安定化を図ることができる。より具体的には、電流不足時や制御開始時に制御不安定状態(アシスト力が不安定な状態)が発生しても、この状態から安定な制御状態への遷移を促すことができる。
この実施形態では、ゲイン変更部40に代えて設けられるゲイン変更部45は、比例ゲインKPだけでなく積分ゲインKIも可変設定する。さらに、マイクロコンピュータ11は、加算角αを演算するPI制御部23の積分項を補正する積分項補正部46を、機能処理部として備えている。
∫′(n-1)=∫(n-1)×KI(n)/KI(n-1) …… (6)
したがって、PI演算部23における今演算周期における演算結果は、次式(7)により表される。ただし、KP(n)は今演算周期における比例ゲイン、ΔT(n)は今演算周期におけるトルク偏差をそれぞれ表す。
このように、積分項補正部46は積分ゲインKIの変動に応じて積分項前回値∫(n-1)を補正する。これにより、積分ゲインKIを可変設定しつつ、積分項に過不足が生じることを抑制できるので、加算角αを適切に設定できる。これにより、モータ3を適切に制御できるので、良好な操舵フィーリングを実現できる。
また、前述の実施形態では、回転角センサを備えずに、専らセンサレス制御によってモータ3を駆動する構成について説明したが、レゾルバ等の回転角センサを備え、この回転角センサの故障時に前述のようなセンサレス制御(負荷角調整法による制御)を行う構成としてもよい。これにより、回転角センサの故障時にもモータ3の駆動を継続できるから、操舵補助を継続できる。
さらに、前述の実施形態では、電動パワーステアリング装置にこの発明が適用された例について説明したが、この発明は、電動ポンプ式油圧パワーステアリング装置のためのモータの制御や、パワーステアリング装置以外にも、ステア・バイ・ワイヤ(SBW)システム、可変ギヤレシオ(VGR)ステアリングシステムその他の車両用操舵装置に備えられたブラシレスモータの制御のために用いることができる。むろん、車両用操舵装置に限らず、他の用途のモータの制御のためにも本発明のモータ制御装置を適用できる。
Claims (5)
- ロータと、このロータに対向するステータとを備えたモータを制御するためのモータ制御装置であって、
前記モータによって駆動される駆動対象に加えられる、モータトルク以外のトルクを検出するためのトルク検出手段と、
前記駆動対象に作用させるべき指示トルクを設定する指示トルク設定手段と、
制御上の回転角である制御角に従う回転座標系の軸電流値で前記モータを駆動する電流駆動手段と、
前記軸電流値の目標値である指示電流値を設定する指示電流設定手段と、
前記指示トルク設定手段によって設定される指示トルクと前記トルク検出手段によって検出される検出トルクとの偏差に対する比例積分演算によって、前記制御角に加算すべき加算角を演算する加算角演算手段と、
前記比例積分演算における比例ゲインを前記指示電流設定手段によって設定される指示電流値が大きいほど小さくなるように設定するゲイン設定手段と、
所定の演算周期毎に、前記加算角演算手段によって演算された加算角を制御角の前回値に加算することによって制御角の今回値を求める制御角演算手段と
を含む、モータ制御装置。 - 前記比例積分演算における積分ゲインが、前記指示電流値によらずに一定に保持される、請求項1記載のモータ制御装置。
- 前記ゲイン設定手段は、前記比例積分演算における積分ゲインを、前記指示電流値に応じて変化させる、請求項1記載のモータ制御装置。
- 前記ゲイン設定手段は、前記比例積分演算における積分ゲインを前記指示電流値に対して一次関数的に変化させるものであり、
前記比例積分演算における積分項の前回値を、今回の積分ゲインを乗じ、かつ前回の積分ゲインで除することにより補正する積分項補正手段をさらに含む、請求項1記載のモータ制御装置。 - 車両の舵取り機構に駆動力を付与するモータと、
前記モータを制御するための、請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置とを含む、車両用操舵装置。
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