JP2011109805A - モータ制御装置および車両用操舵装置 - Google Patents

モータ制御装置および車両用操舵装置 Download PDF

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Abstract

【課題】回転角センサを用いない新たな制御方式でモータを制御することができるモータ制御装置およびそれを備えた車両用操舵装置を提供する。
【解決手段】仮想回転座標系であるγδ座標系のγ軸電流Iγでモータが駆動される。γδ座標系は、制御上の回転角である制御角θに従う座標系である。制御角θとロータ角θとの差(負荷角θ)に応じたアシストトルクが発生する。一方、検出操舵トルクTを指示操舵トルクTに近づけるように、PI制御部23によって、加算角αが生成される。加算角αが制御角θの前回値θ(n-1)に加算されることにより、制御角θの今回値θ(n)が求められる。ゲイン変更部40は、PI制御部23の比例ゲインKを、γ軸指示電流値Iγ が大きいほど小さくなる特性に従って可変設定する。
【選択図】図1

Description

この発明は、ブラシレスモータを駆動するためのモータ制御装置およびそれを備えた車両用操舵装置に関する。車両用操舵装置の一例は、電動パワーステアリング装置である。
ブラシレスモータを駆動制御するためのモータ制御装置は、一般に、ロータの回転角を検出するための回転角センサの出力に応じてモータ電流の供給を制御するように構成されている。回転角センサとしては、一般的には、ロータ回転角(電気角)に対応した正弦波信号および余弦波信号を出力するレゾルバが用いられる。しかし、レゾルバは、高価であり、配線数が多く、また、設置スペースも大きい。そのため、ブラシレスモータを備えた装置のコスト削減および小型化が阻害されるという課題がある。
そこで、回転角センサを用いることなくブラシレスモータを駆動するセンサレス駆動方式が提案されている。センサレス駆動方式は、ロータの回転に伴う誘起電圧を推定することによって、磁極の位相(ロータの電気角)を推定する方式である。ロータ停止時および極低速回転時には、磁極の位相を推定できないので、別の方式で磁極の位相が推定される。具体的には、ステータに対してセンシング信号を注入し、このセンシング信号に対するモータの応答が検出される。このモータ応答に基づいて、ロータ回転位置が推定される。
特開2007-267549号公報
上記のセンサレス駆動方式は、誘起電圧やセンシング信号を用いてロータの回転位置を推定し、その推定によって得られた回転位置に基づいてモータを制御するものである。しかし、この駆動方式は、いずれの用途にも適しているわけではなく、たとえば、車両の舵取り機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置その他の車両用操舵装置の駆動源として用いられるブラシレスモータの制御に適用するための手法は未だ確立されていない。そのため、別の方式によるセンサレス制御の実現が望まれている。
そこで、この発明の目的は、回転角センサを用いない新たな制御方式でモータを制御することができるモータ制御装置およびそれを備えた車両用操舵装置を提供することである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、ロータ(50)と、このロータに対向するステータ(55)とを備えたモータ(3)を制御するためのモータ制御装置(5)であって、前記モータによって駆動される駆動対象に加えられる、モータトルク以外のトルク(T)を検出するためのトルク検出手段(1)と、前記駆動対象に作用させるべき指示トルク(T)を設定する指示トルク設定手段(21)と、制御上の回転角である制御角(θ)に従う回転座標系の軸電流値で前記モータを駆動する電流駆動手段(30,32〜36)と、前記軸電流値の目標値である指示電流値(Iγ )を設定する指示電流設定手段(30)と、前記指示トルク設定手段によって設定される指示トルクと前記トルク検出手段によって検出される検出トルクとの偏差(ΔT)に対する比例積分演算によって、前記制御角に加算すべき加算角(α)を演算する加算角演算手段(23)と、前記比例積分演算における比例ゲインを前記指示電流設定手段によって設定される指示電流値が大きいほど小さくなるように設定するゲイン設定手段(40,45)と、所定の演算周期毎に、前記加算角演算手段によって演算された加算角を制御角の前回値に加算することによって、制御角の今回値を求める制御角演算手段(26)とを含む、モータ制御装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、特許請求の範囲を実施形態に限定する趣旨ではない。以下、この項において同じ。
この構成によれば、制御角に従う回転座標系(γδ座標系。以下「仮想回転座標系」といい、この仮想回転座標系の座標軸を「仮想軸」という。)の軸電流値(以下「仮想軸電流値」という。)によってモータが駆動される一方で、制御角は、演算周期毎に加算角を加算することによって更新される。これにより、制御角を更新しながら、すなわち、仮想回転座標系の座標軸(仮想軸)を更新しながら、仮想軸電流値でモータを駆動することによって、必要なトルクを発生させることができる。こうして、回転角センサを用いることなく、モータから適切なトルクを発生させることができる。すなわち、ロータの磁極方向に従う回転座標系(dq座標系)の座標軸と前記仮想軸とのずれ量(負荷角)が適値に導かれることによって、適切なトルクが発生する。
この発明では、駆動対象に加えられるべき指示トルク(モータトルク以外のトルクの指示値)が指示トルク設定手段によって設定される一方で、駆動対象に加えられる、モータトルク以外のトルクがトルク検出手段によって検出される。そして、指示トルクと検出トルクとの偏差(トルク偏差)に対する比例積分演算によって加算角が演算される。すなわち、前記検出トルクを前記指示トルクに近づけるように前記加算角を演算するフィードバック制御手段が構成されている。これにより、制御角を適切に制御することができ、指示トルクに応じたモータトルクをモータから発生させることができる。
さらに、この発明では、軸電流値の目標値である指示電流値が大きいほど小さくなるように(たとえば反比例)、前記比例積分演算における比例ゲインが可変設定される。これにより、指示電流値に対応した適切な比例ゲインを設定できるので、過不足のない制御応答を実現できる。その結果、モータトルクを指示トルクに良好に追従させることができる。
前記指示電流設定手段は、必要なモータトルク(モータ負荷)に応じて、指示電流値を可変設定するものであることが好ましい。より具体的には、必要なモータトルクの大きさが小さいほど、指示電流値を小さく設定するものであることが好ましい。
指示電流値を一定値に定めておくと、必要なモータトルク(すなわち、モータ負荷)が小さいときには、軸電流値の大部分がモータトルクに変換されず、無駄になるので、効率が悪くなる。そこで、たとえば、必要なモータトルクが小さいときほど、指示電流値を小さくすれば、効率のよいモータ制御が可能になる。
一方、指示電流値の変化は、モータトルクに影響するので、同じくモータトルクに影響する加算角を演算する加算角演算手段(トルクフィードバック制御手段)のゲインが一定値であると、応答に過不足が生じる。たとえば、加算角演算手段における比例積分演算を小さな指示電流値に適合するように設計すると、指示電流値が大きくなったときに、加算角の変化に対するモータトルクの変化量が大きくなりすぎるおそれがある。そのため、オーバーシュートが生じ、制御が不安定となり、不所望な振動が生じるおそれがある。逆に、大きな指示電流値に適合するように比例積分演算を設計すると、指示電流値が小さくなったときに、加算角の変化に対してモータトルクが充分に変化せず、したがって、充分な応答性が得られない。
そこで、この発明では、指示電流値が大きいほど小さくなるように、加算角演算手段の比例積分演算における比例ゲインが設定される。これにより、指示電流値の大小によらずに、過不足のないほぼ一定の応答が得られるから、モータを適切に制御することができる。
たとえば、前記指示電流設定手段は、前記トルク検出手段によって検出される検出トルクの大きさに応じて、前記指示電流値を可変設定するものであってもよい。より具体的には、前記指示電流設定手段は、検出トルクの大きさが小さいほど指示電流値の大きさを小さくし、検出トルクの大きさが大きいほど指示電流値の大きさを大きくするものであることが好ましい。
駆動対象に対しては、モータトルクと、モータトルク以外のトルク(以下「外部トルク」という。)とが加えられる。たとえば、外部トルクが大きいとき駆動対象に対して全体として大きなトルクが加えられ、外部トルクが小さいとき駆動対象に対して全体として小さなトルクが加えられるようにモータが制御されるとする。この場合、外部トルクが小さければ、モータトルク(アシストトルク)が小さくなり、外部トルクが大きければモータトルクが大きくなる。このとき、指示電流値を一定値としておくと、外部トルクが小さいときには、必要なモータトルクが小さい(すなわち、モータ負荷が小さい)ので、軸電流値の大部分が無駄になり、効率が悪くなる。そこで、外部トルク(すなわち検出トルク)に応じて指示電流を可変設定すると、必要なモータトルクに応じて指示電流値を可変設定できることになるから、モータを効率良く駆動することができる。この場合に、加算角演算手段の比例積分演算における比例ゲインを指示電流値が大きいほど小さくなるように定めることで、指示電流値の大小によらずに、適切な応答が得られる。
請求項2記載の発明は、前記比例積分演算における積分ゲインが、前記指示電流値によらずに一定に保持される、請求項1記載のモータ制御装置である。比例ゲインが加算角の変動(すなわちモータトルクの変動)に深く関係しているのに対して、積分ゲインは、ロータの回転に対する追従性により深く関係している。したがって、ロータの回転に対する追従性を保持するために、積分ゲインは、指示電流値によらずに大きく変化させないことが好ましく、一定値に保持することによって、ロータの回転に対して制御角を良好に追従させることができる。これにより、適切なモータトルクを発生させることができる。
請求項3記載の発明は、前記ゲイン設定手段が、前記比例積分演算における積分ゲインを、前記指示電流値に応じて変化させる(たとえば一次関数的に変化させる)、請求項1記載のモータ制御装置である。ロータの回転に対する追従性が損なわれない限度において、積分ゲインを指示電流値に応じて変化させることにより、より適切な制御応答が得られる可能性がある。
請求項4記載の発明は、前記ゲイン設定手段が、前記比例積分演算における積分ゲインを前記指示電流値に対して一次関数的に変化させるものであり、前記比例積分演算における積分項の前回値を、今回の積分ゲインを乗じ、かつ前回の積分ゲインで除することにより補正する積分項補正手段(46)をさらに含む、請求項1記載のモータ制御装置である。この構成によれば、今演算周期において用いられる積分項の前回値を今演算周期における積分ゲインに対応した値に補正することができる。これにより、積分ゲインの変動によらずに、適切な応答を得ることができる。すなわち、積分項に過不足が生じることを抑制できるので、応答の過不足を抑制できる。
請求項5記載の発明は、車両の舵取り機構(2)に駆動力を付与するモータと、前記モータを制御する請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置とを含む、車両用操舵装置である。この構成によれば、たとえばモータ駆動効率向上のために指示電流値を可変設定する場合でも適切な応答が得られるので、モータを適切に駆動することができる。これにより、操舵フィーリングの良い車両用操舵装置を提供できる。
この場合に、前記トルク検出手段は、前記車両の操向のために操作される操作部材(10)に加えられる操舵トルクを検出するものであってもよい。また、前記指示トルク設定手段は、操舵トルクの目標値としての指示操舵トルクを設定するものであってもよい。そして、前記加算角演算手段は、前記指示トルク設定手段によって設定される指示トルクと前記トルク検出手段によって検出される操舵トルクとの偏差に応じて前記加算角を演算するものであってもよい。
この構成によれば、指示操舵トルクが設定され、この指示操舵トルクと操舵トルク(検出値)との偏差に応じて前記加算角が演算される。これにより、操舵トルクが当該指示操舵トルクとなるように加算角が定められ、それに応じた制御角が定められることになる。したがって、指示操舵トルクを適切に定めておくことによって、モータから適切な駆動力を発生させて、これを舵取り機構に付与することができる。すなわち、ロータの磁極方向に従う回転座標系(dq座標系)の座標軸と前記仮想軸とのずれ量(負荷角)が指示操舵トルクに応じた値に導かれる。その結果、適切なトルクがモータから発生され、運転者の操舵意図に応じた駆動力を舵取り機構に付与できる。
前記モータ制御装置は、前記操作部材の操舵角を検出する操舵角検出手段(4)をさらに含み、前記指示トルク設定手段は、前記操舵角検出手段によって検出される操舵角に応じて指示操舵トルクを設定するものであることが好ましい。この構成によれば、操作部材の操舵角に応じて指示操舵トルクが設定されるので、操舵角に応じた適切なトルクをモータから発生させることができ、運転者が操作部材に加える操舵トルクを操舵角に応じた値へと導くことができる。これにより、良好な操舵感を得ることができる。
前記指示トルク設定手段は、前記車両の車速を検出する車速検出手段(6)によって検出される当該車速に応じて指示操舵トルクを設定するものであってもよい。この構成によれば、車速に応じて指示操舵トルクが設定されるので、いわゆる車速感応制御を行うことができる。その結果、良好な操舵感を実現できる。たとえば、車速が大きいほど、すなわち、高速走行時ほど指示操舵トルクを小さく設定することより、すぐれた操舵感が得られる。
この発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。 モータの構成を説明するための図解図である。 前記電動パワーステアリング装置の制御ブロック図である。 操舵角に対する指示操舵トルクの特性例を示す図である。 操舵トルクリミッタの働きを説明するための図である。 γ軸指示電流値の設定例を示す図である。 加算角リミッタの働きを説明するためのフローチャートである。 γ軸指示電流値に対する比例ゲインの変化を示す特性図である。 この発明の第2の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を説明するためのブロック図である。 図10(a)は前記第2の実施形態における比例ゲインの特性を示す特性図であり、図10(b)は前記第2の実施形態における積分ゲインの特性を示す特性図である。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置(車両用操舵装置の一例)の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両を操向するための操作部材としてのステアリングホイール10に加えられる操舵トルクTsを検出するトルクセンサ1と、車両の舵取り機構2に減速機構7を介して操舵補助力を与えるモータ3(ブラシレスモータ)と、ステアリングホイール10の回転角である操舵角を検出する舵角センサ4と、モータ3を駆動制御するモータ制御装置5と、当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の速度を検出する車速センサ6とを備えている。
モータ制御装置5は、トルクセンサ1が検出する操舵トルク、舵角センサ4が検出する操舵角および車速センサ6が検出する車速に応じてモータ3を駆動することによって、操舵状況および車速に応じた適切な操舵補助を実現する。
モータ3は、この実施形態では、三相ブラシレスモータであり、図2に図解的に示すように、界磁としてのロータ50と、このロータ50に対向するステータ55に配置されたU相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53とを備えている。モータ3は、ロータの外部にステータを対向配置したインナーロータ型のものであってもよいし、筒状のロータの内部にステータを対向配置したアウターロータ型のものであってもよい。
各相のステータ巻線51,52,53の方向にU軸、V軸およびW軸をとった三相固定座標(UVW座標系)が定義される。また、ロータ50の磁極方向にd軸(磁極軸)をとり、ロータ50の回転平面内においてd軸と直角な方向にq軸(トルク軸)をとった二相回転座標系(dq座標系。実回転座標系)が定義される。dq座標系は、ロータ50とともに回転する回転座標系である。dq座標系では、q軸電流のみがロータ50のトルク発生に寄与するので、d軸電流を零とし、q軸電流を所望のトルクに応じて制御すればよい。ロータ50の回転角(ロータ角)θは、U軸に対するd軸の回転角である。dq座標系は、ロータ角θに従う実回転座標系である。このロータ角θを用いることによって、UVW座標系とdq座標系との間での座標変換を行うことができる。
一方、この実施形態では、制御上の回転角を表す制御角θが導入される。制御角θは、U軸に対する仮想的な回転角である。この制御角θに対応する仮想的な軸をγ軸とし、このγ軸に対して90°進んだ軸をδ軸として、仮想二相回転座標系(γδ座標系。仮想回転座標系)を定義する。制御角θがロータ角θに等しいとき、仮想回転座標系であるγδ座標系と実回転座標系であるdq座標系とが一致する。すなわち、仮想軸としてのγ軸は実軸としてのd軸と一致し、仮想軸としてのδ軸は実軸としてのq軸と一致する。γδ座標系は、制御角θに従う仮想回転座標系である。UVW座標系とγδ座標系との座標変換は、制御角θを用いて行うことができる。
制御角θとロータ角θとの差を負荷角θ(=θ−θ)と定義する。
制御角θに従ってγ軸電流Iγをモータ3に供給すると、このγ軸電流Iγのq軸成分(q軸への正射影)がロータ50のトルク発生に寄与するq軸電流Iとなる。すなわち、γ軸電流Iγとq軸電流Iとの間に、次式(1)の関係が成立する。
=Iγ・sinθ …(1)
再び図1を参照する。モータ制御装置5は、マイクロコンピュータ11と、このマイクロコンピュータ11によって制御され、モータ3に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)12と、モータ3の各相のステータ巻線に流れる電流を検出する電流検出部13とを備えている。
電流検出部13は、モータ3の各相のステータ巻線51,52,53に流れる相電流I,I,I(以下、総称するときには「三相検出電流IUVW」という。)を検出する。これらは、UVW座標系における各座標軸方向の電流値である。
マイクロコンピュータ11は、CPUおよびメモリ(ROMおよびRAMなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、操舵トルクリミッタ20と、指示操舵トルク設定部21と、トルク偏差演算部22と、PI(比例積分)制御部23と、加算角リミッタ24と、制御角演算部26と、指示電流値生成部30と、電流偏差演算部32と、PI制御部33と、γδ/UVW変換部34と、PWM(Pulse Width Modulation)制御部35と、UVW/γδ変換部36と、ゲイン変更部40とが含まれている。
指示操舵トルク設定部21は、舵角センサ4によって検出される操舵角と、車速センサ6によって検出される車速とに基づいて、指示操舵トルクTを設定する。たとえば、図4に示すように、操舵角が正の値(右方向へ操舵した状態)のとき指示操舵トルクTは正の値(右方向へのトルク)に設定され、操舵角が負の値(左方向へ操舵した状態)のとき指示操舵トルクTは負の値(左方向へのトルク)に設定される。そして、操舵角の絶対値が大きくなるに従って、その絶対値が大きくなるように(図4の例では非線型に大きくなるように)指示操舵トルクTが設定される。ただし、所定の上限値(正の値。たとえば、+6Nm)および下限値(負の値。たとえば−6Nm)の範囲内で指示操舵トルクTの設定が行われる。また、指示操舵トルクTは、車速が大きいほど、その絶対値が小さくなるように設定される。すなわち、車速感応制御が行われる。
操舵トルクリミッタ20は、トルクセンサ1によって検出される操舵トルクTを所定の上限飽和値+Tmax(+Tmax>0。たとえば+Tmax=7Nm)と下限飽和値−Tmax(−Tmax<0。たとえば−Tmax=−7Nm)との間に制限する。具体的には、操舵トルクリミッタ20は、図5に示すように、上限飽和値+Tmaxと下限飽和値−Tmaxの間では、トルクセンサ1の検出操舵トルクTをそのまま出力する。また、操舵トルクリミッタ20は、トルクセンサ1の検出操舵トルクTが上限飽和値+Tmax以上であれば、上限飽和値+Tmaxを出力する。そして、操舵トルクリミッタ20は、トルクセンサ1の検出操舵トルクTが下限飽和値−Tmax以下であれば、下限飽和値−Tmaxを出力する。飽和値+Tmaxおよび−Tmaxは、トルクセンサ1の出力信号が安定な領域(信頼性のある領域)の境界を画定するものである。つまり、トルクセンサ1の出力信号は、上限飽和値Tmaxを超える区間、および下限飽和値−Tmaxを下回る区間では不安定であり、実際の操舵トルクに対応しなくなる。換言すれば、飽和値+Tmax,−Tmaxは、トルクセンサ1の出力特性に応じて定められる。操舵トルクリミッタ20によって制限処理を受けた操舵トルクを、トルクセンサ1によって検出された操舵トルク(「検出操舵トルクT」)と区別するために、「検出操舵トルクT」ということにする。
トルク偏差演算部22は、指示操舵トルク設定部21によって設定される指示操舵トルクTとトルクセンサ1によって検出され、操舵トルクリミッタ20による制限処理を受けた操舵トルクT(検出操舵トルクT)との偏差(トルク偏差)ΔT(=T−T)を求める。PI制御部23は、このトルク偏差ΔTに対するPI演算を行う。すなわち、トルク偏差演算部22およびPI制御部23によって、検出操舵トルクTを指示操舵トルクTに導くためのトルクフィードバック制御手段が構成されている。PI制御部23は、トルク偏差ΔTに対するPI演算を行うことで、制御角θに対する加算角αを演算する。したがって、前記トルクフィードバック制御手段は、加算角αを演算する加算角演算手段を構成している。
より具体的には、PI制御部23は、比例要素23aと、積分要素23bと、加算器23cとを備えている。ただし、Kは比例ゲイン、Kは積分ゲイン、1/sは積分演算子である。比例要素23aによって比例積分演算の比例項(比例演算値)が求められ、積分要素23bによって比例積分演算の積分項(積分演算値)が求められる。これらの演算結果(比例項および積分項)が加算器23cで加算されることによって、加算角αが求められる。
加算角リミッタ24は、PI制御部23によって求められた加算角αに対して制限を加える加算角制限手段である。より具体的には、加算角リミッタ24は、所定の上限値UL(正の値)と下限値LL(負の値)との間の値に加算角αを制限する。上限値ULおよび下限値LLは、所定の制限値ωmax(ωmax>0。たとえばωmaxの既定値=45度)に基づいて定められる。この所定の制限値ωmaxの既定値は、たとえば、最大操舵角速度に基づいて定められる。最大操舵角速度とは、ステアリングホイール10の操舵角速度として想定され得る最大値であり、たとえば、800deg/sec程度である。
最大操舵角速度のときのロータ50の電気角の変化速度(電気角での角速度。最大ロータ角速度)は、次式(2)のとおり、最大操舵角速度と、減速機構7の減速比と、ロータ50の極対数との積で与えられる。極対数とは、ロータ50が有する磁極対(N極とS極との対)の個数である。
最大ロータ角速度=最大操舵角速度×減速比×極対数 …(2)
制御角θの演算間(演算周期)におけるロータ50の電気角変化量の最大値(ロータ角変化量最大値)は、次式(3)のとおり、最大ロータ角速度に演算周期を乗じた値となる。
ロータ角変化量最大値=最大ロータ角速度×演算周期
=最大操舵角速度×減速比×極対数×演算周期 …(3)
このロータ角変化量最大値が一演算周期間で許容される制御角θの最大変化量である。そこで、前記ロータ角変化量最大値を制限値ωmaxの既定値とすればよい。この制限値ωmaxを用いて、加算角αの上限値ULおよび下限値LLは、それぞれ次式(4)(5)で表すことができる。
UL=+ωmax …(4)
LL=−ωmax …(5)
加算角リミッタ24による制限処理後の加算角αが、制御角演算部26の加算器26Aにおいて、制御角θの前回値θ(n-1)(nは今演算周期の番号)に加算される(Z−1は信号の前回値を表す)。ただし、制御角θの初期値は予め定められた値(たとえば零)である。
制御角演算部26は、制御角θの前回値θ(n-1)に加算角リミッタ24から与えられる加算角αを加算する加算器26Aを含む。すなわち、制御角演算部26は、所定の演算周期毎に制御角θを演算する。そして、前演算周期における制御角θを前回値θ(n-1)とし、これを用いて今演算周期における制御角θである今回値θ(n)を求める。
指示電流値生成部30は、制御上の回転角である前記制御角θに対応する仮想回転座標系であるγδ座標系の座標軸(仮想軸)に流すべき電流値を指示電流値として生成するものである。具体的には、γ軸指示電流値Iγ およびδ軸指示電流値Iδ (以下、これらを総称するときには「二相指示電流値Iγδ 」という。)を生成する。指示電流値生成部30は、γ軸指示電流値Iγ を有意値とする一方で、δ軸指示電流値Iδ を零とする。より具体的には、指示電流値生成部30は、トルクセンサ1によって検出される検出操舵トルクTに基づいてγ軸指示電流値Iγ を設定する。
検出操舵トルクTに対するγ軸指示電流値Iγ の設定例は、図6に示されている。検出操舵トルクTの絶対値|T|が零付近の範囲LEでは、γ軸指示電流値Iγ は、小さい値に設定される。検出操舵トルク絶対値|T|が範囲LE外の大きな値をとるときは、γ軸指示電流値Iγ は、所定の上限値以下の範囲で、検出操舵トルク絶対値|T|が大きいほど大きな値に設定される。検出操舵トルク絶対値|T|が所定値以上の範囲では、γ軸指示電流値Iγ は、上記上限値に設定される。このように、運転者がステアリングホイール10を操作していないときには、モータ3への通電が抑制される。さらに、操舵トルクの大きさが小さく、したがってモータ負荷が小さいときには、モータ3に供給される電流が抑制される。これにより、不必要な電力消費を抑制して、効率的なモータ駆動が図られる。
電流偏差演算部32は、指示電流値生成部30によって生成されたγ軸指示電流値Iγ に対するγ軸検出電流Iγの偏差Iγ −Iγと、δ軸指示電流値Iδ (=0)に対するδ軸検出電流Iδの偏差Iδ −Iδとを演算する。γ軸検出電流Iγおよびδ軸検出電流Iδは、UVW/γδ変換部36から偏差演算部32に与えられるようになっている。
UVW/γδ変換部36は、電流検出部13によって検出されるUVW座標系の三相検出電流IUVW(U相検出電流I、V相検出電流IおよびW相検出電流I)をγδ座標系の二相検出電流IγおよびIδ(以下総称するときには「二相検出電流Iγδ」という。)に変換する。これらが電流偏差演算部32に与えられるようになっている。UVW/γδ変換部36における座標変換には、制御角演算部26で演算される制御角θが用いられる。
PI制御部33は、電流偏差演算部32によって演算された電流偏差に対するPI演算を行うことにより、モータ3に印加すべき二相指示電圧Vγδ (γ軸指示電圧Vγ およびδ軸指示電圧Vδ )を生成する。この二相指示電圧Vγδ が、γδ/UVW変換部34に与えられる。
γδ/UVW変換部34は、二相指示電圧Vγδ に対して座標変換演算を行うことによって、三相指示電圧VUVW を生成する。三相指示電圧VUVW は、U相指示電圧V 、V相指示電圧V およびW相指示電圧V からなる。この三相指示電圧VUVW は、PWM制御部35に与えられる。
PWM制御部35は、U相指示電圧V 、V相指示電圧V およびW相指示電圧V にそれぞれ対応するデューティのU相PWM制御信号、V相PWM制御信号およびW相PWM制御信号を生成し、駆動回路12に供給する。
駆動回路12は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部35から与えられるPWM制御信号によって制御されることにより、三相指示電圧VUVW に相当する電圧がモータ3の各相のステータ巻線51,52、53に印加されることになる。
電流偏差演算部32およびPI制御部33は、電流フィードバック制御手段を構成している。この電流フィードバック制御手段の働きによって、モータ3に流れるモータ電流が、指示電流値生成部30によって設定された二相指示電流値Iγδ に近づくように制御される。
ゲイン変更部40は、加算角αを求めるためにPI(比例積分)演算を行うPI制御部23のゲインを可変設定する。より具体的には、この実施形態では、ゲイン変更部40は、指示電流値生成部30が生成するγ軸指示電流値Iγ に応じて、比例ゲインKを可変設定する。この実施形態では、PI制御部23における積分ゲインKは、一定値に保持される。
図3は、前記電動パワーステアリング装置の制御ブロック図である。ただし、説明を簡単にするために、加算角リミッタ24の機能は省略してある。
指示操舵トルクTと検出操舵トルクTとの偏差(トルク偏差)ΔTに対するPI制御(Kは比例ゲイン、Kは積分ゲイン、1/sは積分演算子である。)によって、加算角αが生成される。この加算角αが制御角θの前回値θ(n-1)に対して加算されることによって、制御角θの今回値θ(n)=θ(n-1)+αが求められる。このとき、制御角θとロータ50の実際のロータ角θとの偏差が負荷角θ=θ−θとなる。
したがって、制御角θに従うγδ座標系(仮想回転座標系)のγ軸(仮想軸)にγ軸指示電流値Iγ に従ってγ軸電流Iγが供給されると、q軸電流I=Iγsinθとなる。このq軸電流Iがロータ50の発生トルクに寄与する。すなわち、モータ3のトルク定数Kをq軸電流I(=Iγsinθ)に乗じた値が、アシストトルクT(=K・Iγsinθ)として、減速機構7を介して、舵取り機構2に伝達される。このアシストトルクTを舵取り機構2からの負荷トルクTから減じた値が、運転者がステアリングホイール10に与えるべき操舵トルクTである。この操舵トルクTがフィードバックされることによって、この操舵トルクTを指示操舵トルクTに導くように系が動作する。つまり、検出操舵トルクTを指示操舵トルクTに一致させるべく、加算角αが求められ、それに応じて制御角θが制御される。
このように制御上の仮想軸であるγ軸に電流を流す一方で、指示操舵トルクTと検出操舵トルクTとの偏差ΔTに応じて求められる加算角αで制御角θを更新していくことにより、負荷角θが変化し、この負荷角θに応じたトルクがモータ3から発生するようになっている。これにより、操舵角および車速に基づいて設定される指示操舵トルクTに応じたトルクをモータ3から発生させることができるので、操舵角および車速に対応した適切な操舵補助力を舵取り機構2に与えることができる。すなわち、操舵角の絶対値が大きいほど操舵トルクが大きく、かつ、車速が大きいほど操舵トルクが小さくなるように、操舵補助制御が実行される。
このようにして、回転角センサを用いることなくモータ3を適切に制御して、適切な操舵補助を行うことができる電動パワーステアリング装置を実現できる。これにより、構成を簡単にすることができ、コストの削減を図ることができる。
この実施形態では、PI制御部23は、検出操舵トルクTを指示操舵トルクTに一致させるために、アシストトルクを増加させる場合に加算角αを増加させ、アシストトルクを減少させる場合に加算角αを減少させるように動作するものとする。
図7は、加算角リミッタ24の働きを説明するためのフローチャートである。加算角リミッタ24は、PI制御部23によって求められた加算角αを上限値ULと比較し(ステップS1)、加算角αが上限値ULを超えている場合(ステップS1:YES)には、上限値ULを加算角αに代入する(ステップS2)。したがって、制御角θに対して上限値UL(=+ωmax)が加算されることになる。
PI制御部23によって求められた加算角αが上限値UL以下であれば(ステップS1:NO)、加算角リミッタ24は、さらに、その加算角αを下限値LLと比較する(ステップS3)。そして、その加算角αが下限値未満であれば(ステップS3:YES)、下限値LLを加算角αに代入する(ステップS4)。したがって、制御角θに対して下限値LL(=−ωmax)が加算されることになる。
PI制御部23によって求められた加算角αが下限値LL以上上限値UL以下(ステップS3:NO)であれば、その加算角αがそのまま制御角θへの加算のために用いられる。
このようにして、加算角αを上限値ULと下限値LLとの間に制限することができるので、制御の安定化を図ることができる。より具体的には、電流不足時や制御開始時に制御不安定状態(アシスト力が不安定な状態)が発生しても、この状態から安定な制御状態への遷移を促すことができる。
図8はゲイン変更部40の動作の詳細を説明するための図であり、γ軸指示電流値Iγ に対する比例ゲインKの変化を示す。ゲイン変更部40は、γ軸指示電流値Iγ が大きいほど小さくなる特性に従って比例ゲインKを可変設定する。より具体的には、ゲイン変更部40は、γ軸指示電流値Iγ に反比例する特性に従って比例ゲインKを可変設定する。すなわち、Iγ ・K=一定値、という関係が成立している。ただし、ゲイン変更部40は、γ軸指示電流値Iγ が所定値以下の範囲では、比例ゲインKを所定の上限値に設定する。これは、比例ゲインKが大きくなりすぎないようにするためである。
このようにして、γ軸指示電流値Iγ の大小に応じた適切な比例ゲインKを設定できる。すなわち、図2から直ちに理解されるとおり、γ軸指示電流値Iγ が大きいときは、加算角αの変化に対するq軸電流Iの変化が大きくなる。そのため、オーバーシュートが生じるおそれがあるから、制御が不安定となり、たとえば不所望な振動が生じるおそれがある。そこで、γ軸指示電流値Iγ が大きいときには、比例ゲインKが小さい値に設定されることにより、制御応答が抑制される。逆に、γ軸指示電流値Iγ が小さいときには、加算角αに対するq軸電流Iの変化が小さくなるから、制御応答が不足するおそれがある。そこで、γ軸指示電流値Iγ が小さいときには、比例ゲインKが大きい値に設定されることにより、制御応答の増加が図られる。
こうして、γ軸指示電流値Iγ に反比例するように比例ゲインKが設定されることによって、トルク偏差ΔTに対するアシストトルクの変化量をほぼ一定にすることができるので、過不足のないほぼ一定の応答特性を得ることができる。すなわち、モータ3の効率を高めるために操舵トルクに応じて(すなわちモータ負荷に応じて)γ軸指示電流値Iγ を可変設定する一方で、比例ゲインKをγ軸指示電流値Iγ に応じて可変設定することで、良好な応答特性を実現できる。これにより、モータ駆動の効率化と、良好な制御応答とを両立することができるので、省エネルギー性を確保しながら、優れた操舵フィーリングを実現できる。
一方、この実施形態では、PWM制御部23における積分ゲインKは、γ軸指示電流値Iγ によらずに一定値に保持されるようになっている。これは、積分ゲインKが、ロータ50の回転追従性に深く関与していて、γ軸指示電流値Iγ とはあまり相互関係がないからである。したがって、γ軸指示電流値Iγ によらずに積分ゲインKを一定値としておくことによって、ロータ50の回転に追従するように加算角αを設定することができる。これにより、たとえば、γ軸指示電流値Iγ を小さくしたときでも、ロータ50の回転に対する追従性を維持することができ、その結果、モータ3から安定したトルクを発生させることができる。
図9は、この発明の他の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を説明するためのブロック図である。この図9において、前述の図1の各部に対応する部分には図1と同じ符号を付して示す。
この実施形態では、ゲイン変更部40に代えて設けられるゲイン変更部45は、比例ゲインKだけでなく積分ゲインKも可変設定する。さらに、マイクロコンピュータ11は、加算角αを演算するPI制御部23の積分項を補正する積分項補正部46を、機能処理部として備えている。
図10はゲイン変更部45の働きを説明するための図であり、図10(a)は比例ゲインKの特性を示し、図10(b)は積分ゲインKの特性を示す。比例ゲインKは、第1の実施形態の場合と同じく、γ軸指示電流値Iγ に反比例する特性に設定される。ただし、所定値以下のγ軸指示電流値Iγ に対しては、比例ゲインKは、所定の上限値に設定される。一方、ゲイン変更部45は、この実施形態では、積分ゲインKをγ軸指示電流値Iγ に応じて可変設定する。すなわち、γ軸指示電流値Iγ が大きいほど積分ゲインKを小さくする。より具体的には、積分ゲインKは、γ軸指示電流値Iγ が大きくなるに従って一次関数的に緩やかに減少する特性に従って可変設定される。これにより、γ軸指示電流値Iγ が大きくなるに従って過剰となるおそれがある制御応答をより適切に抑制でき、かつ、ロータ50の回転に対する追従性も確保できる。
積分項補正部46は、次式(6)に従って、積分項前回値∫(n-1)を補正する。ただし、次式(6)において、K(n)は今演算周期における積分ゲイン、K(n-1)は前演算周期における積分ゲイン、∫′(n-1)は積分項補正部46による補正処理後の積分項前回値を表す。
∫′(n-1)=∫(n-1)×K(n)/K(n-1) …… (6)
したがって、PI演算部23における今演算周期における演算結果は、次式(7)により表される。ただし、K(n)は今演算周期における比例ゲイン、ΔT(n)は今演算周期におけるトルク偏差をそれぞれ表す。
α=K(n)・ΔT(n)+K(n)・ΔT(n)+∫′(n-1) …… (7)
このように、積分項補正部46は積分ゲインKの変動に応じて積分項前回値∫(n-1)を補正する。これにより、積分ゲインKを可変設定しつつ、積分項に過不足が生じることを抑制できるので、加算角αを適切に設定できる。これにより、モータ3を適切に制御できるので、良好な操舵フィーリングを実現できる。
以上、この発明の2つの実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、PI制御部23によって加算角αを求めているが、PI制御部23に代えて、PID(比例・積分・微分)演算部を用いて加算角αを求める構成とすることもできる。
また、前述の実施形態では、回転角センサを備えずに、専らセンサレス制御によってモータ3を駆動する構成について説明したが、レゾルバ等の回転角センサを備え、この回転角センサの故障時に前述のようなセンサレス制御(負荷角調整法による制御)を行う構成としてもよい。これにより、回転角センサの故障時にもモータ3の駆動を継続できるから、操舵補助を継続できる。
また、前述の第2の実施形態では、γ軸指示電流値Iγ の増加に対して一次関数的に減少する特性に従って積分ゲインKを可変設定することとしたが、γ軸指示電流値Iγ の増加に応じて非線形な特性で減少するように積分ゲインKを可変設定してもよい。
さらに、前述の実施形態では、電動パワーステアリング装置にこの発明が適用された例について説明したが、この発明は、電動ポンプ式油圧パワーステアリング装置のためのモータの制御や、パワーステアリング装置以外にも、ステア・バイ・ワイヤ(SBW)システム、可変ギヤレシオ(VGR)ステアリングシステムその他の車両用操舵装置に備えられたブラシレスモータの制御のために用いることができる。むろん、車両用操舵装置に限らず、他の用途のモータの制御のためにも本発明のモータ制御装置を適用できる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1…トルクセンサ、3…モータ、5…モータ制御装置、11…マイクロコンピュータ、23…PI制御部、26…制御角演算部、50…ロータ、51,52,53…ステータ巻線、55…ステータ

Claims (5)

  1. ロータと、このロータに対向するステータとを備えたモータを制御するためのモータ制御装置であって、
    前記モータによって駆動される駆動対象に加えられる、モータトルク以外のトルクを検出するためのトルク検出手段と、
    前記駆動対象に作用させるべき指示トルクを設定する指示トルク設定手段と、
    制御上の回転角である制御角に従う回転座標系の軸電流値で前記モータを駆動する電流駆動手段と、
    前記軸電流値の目標値である指示電流値を設定する指示電流設定手段と、
    前記指示トルク設定手段によって設定される指示トルクと前記トルク検出手段によって検出される検出トルクとの偏差に対する比例積分演算によって、前記制御角に加算すべき加算角を演算する加算角演算手段と、
    前記比例積分演算における比例ゲインを前記指示電流設定手段によって設定される指示電流値が大きいほど小さくなるように設定するゲイン設定手段と、
    所定の演算周期毎に、前記加算角演算手段によって演算された加算角を制御角の前回値に加算することによって制御角の今回値を求める制御角演算手段と
    を含む、モータ制御装置。
  2. 前記比例積分演算における積分ゲインが、前記指示電流値によらずに一定に保持される、請求項1記載のモータ制御装置。
  3. 前記ゲイン設定手段は、前記比例積分演算における積分ゲインを、前記指示電流値に応じて変化させる、請求項1記載のモータ制御装置。
  4. 前記ゲイン設定手段は、前記比例積分演算における積分ゲインを前記指示電流値に対して一次関数的に変化させるものであり、
    前記比例積分演算における積分項の前回値を、今回の積分ゲインを乗じ、かつ前回の積分ゲインで除することにより補正する積分項補正手段をさらに含む、請求項1記載のモータ制御装置。
  5. 車両の舵取り機構に駆動力を付与するモータと、
    前記モータを制御するための、請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置とを含む、車両用操舵装置。
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