JP5092760B2 - モータ制御装置および電動パワーステアリング装置 - Google Patents

モータ制御装置および電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Description

本発明は、ブラシレスモータを駆動するためのモータ制御装置、および、そのようなモータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置に関する。
従来から、運転者がハンドル(ステアリングホイール)に加える操舵トルクに応じて電動モータを駆動することにより車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置が用いられている。電動パワーステアリング装置の電動モータには従来からブラシモータが広く使用されているが、信頼性および耐久性の向上や慣性の低減などの観点から、近年ではブラシレスモータも使用されている。
一般にモータ制御装置は、モータで発生するトルクを制御するために、モータに流れる電流を検出し、モータに供給すべき電流と検出した電流との差に基づきPI制御(比例積分制御)を行う。3相ブラシレスモータを駆動するモータ制御装置には、2相以上の電流を検出するために、2個または3個の電流センサが設けられる。
なお、本願発明に関連して、特許文献1には、モータの回路方程式を用いてd軸電圧指令値とq軸電圧指令値を求めることが開示されている。また、特許文献2には、モータの温度に応じてd軸電流指令値を補正することが開示されている。
特開2001−187578号公報 特開2000−184773号公報
電動パワーステアリング装置に含まれるモータ制御装置では、電流センサは100A以上の大電流を検出する必要がある。この電流センサは、サイズが大きく、電動パワーステアリング装置の制御装置の小型化を妨げている。このため、電動パワーステアリング装置などに含まれるモータ制御装置では、電流センサの削減が課題とされている。電流センサを削減できれば、モータ制御装置のコストや消費電力も低減できる。
電流センサを削減する方法としては、電流センサを1個に削減し、従来と同様のフィードバック制御を行う方法や、電流センサをすべて除去し、モータの回路方程式に従いオープンループ制御を行う方法などが考えられる。
これらのうち前者の方法には、モータのロータの回転位置によっては、1個の電流センサではフィードバック制御に必要な複数相の電流を検出できないことがあり、モータの制御が不連続になるという問題がある。これに対し、後者の方法では、このような問題は生じない。しかし、後者の方法には、電流についてのフィードバック制御の場合とは異なり、下記の要因によって相間で抵抗値に差が生じるとモータの出力トルクにリップル(「トルクリップル」と呼ばれる)が発生するという問題がある。
i)フェイルセーフ用に2相にリレーを配置することでリレーの接点抵抗分の抵抗差が発生する。
ii)モータ制御装置とモータを接続するためのコネクタの接触抵抗が相間で異なる。
特に電動パワーステアリング装置では、操舵フィーリング向上の観点からモータの出力トルクの滑らかさが重要視されるので、このようなトルクリップルの発生を抑制することが求められている。
それ故に、本発明の目的は、相間での抵抗差に起因するトルクリップルの発生が抑制されるようにブラシレスモータを駆動することができるモータ制御装置を提供することである。また、本発明の他の目的は、そのようなモータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置を提供することである。
第1の発明は、ブラシレスモータを駆動するためのモータ制御装置であって、
前記ブラシレスモータに印加すべき相電圧を示す相電圧指令値を求める制御演算手段と、
前記ブラシレスモータに流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記ブラシレスモータにおけるロータの回転位置を検出する回転位置検出手段と、
前記ブラシレスモータに流れる電流のq軸またはd軸成分のq軸またはd軸指令値に対する比の前記ブラシレスモータの電気角に関する2次高調波成分が示す、当該比の当該電気角に対する依存性が低減されるように、前記電流検出手段の検出結果および前記回転位置検出手段の検出結果に基づき前記相電圧指令値を補正する補正手段と、
前記補正手段による補正後の相電圧指令値に基づき前記ブラシレスモータを駆動する駆動手段と
を備えることを特徴とする、モータ制御装置。
第2の発明は、第1の発明において、
前記制御演算手段は、前記ブラシレスモータに印加すべき電圧のq軸およびd軸成分をそれぞれq軸およびd軸電圧指令値として算出し、当該q軸およびd軸電圧指令値を前記ブラシレスモータに印加すべき電圧の各相成分に変換することにより前記相電圧指令値を求め、
前記補正手段は、
前記電流検出手段の検出結果に基づき、前記ブラシレスモータに流れる電流のq軸成分の前記q軸電圧指令値に対する比および前記ブラシレスモータに流れる電流のd軸成分の前記d軸電圧指令値に対する比の少なくとも一方を算出し、当該算出された比を前記回転位置検出手段の検出結果に基づき前記ブラシレスモータの電気角に対応づけて角度依存性データとして記憶するデータ取得手段と、
前記角度依存性データに基づき、前記2次高調波成分が示す前記電気角に対する依存性が低減されるように前記相電圧指令値を補正するための補正係数を決定する補正係数決定手段と、
前記補正係数決定手段により決定された補正係数に基づき前記相電圧指令値を補正する補正実行手段とを含むことを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明において、
前記制御演算手段は、前記ブラシレスモータに流すべき電流のq軸およびd軸成分をそれぞれq軸およびd軸電流指令値として決定し、当該q軸およびd軸電流指令値に基づき、前記ブラシレスモータに印加すべき電圧のq軸およびd軸成分をそれぞれq軸およびd軸電圧指令値として算出し、当該q軸およびd軸電圧指令値を前記ブラシレスモータに印加すべき電圧の各相成分に変換することにより前記相電圧指令値を求め、
前記補正手段は、
前記電流検出手段の検出結果に基づき、前記ブラシレスモータに流れる電流のq軸成分の前記q軸電流指令値に対する比および前記ブラシレスモータに流れる電流のd軸成分の前記d軸電流指令値に対する比の少なくとも一方を算出し、当該算出された比を前記回転位置検出手段の検出結果に基づき前記ブラシレスモータの電気角に対応づけて角度依存性データとして記憶するデータ取得手段と、
前記角度依存性データに基づき、前記2次高調波成分が示す前記電気角に対する依存性が低減されるように前記相電圧指令値を補正するための補正係数を決定する補正係数決定手段と、
前記補正係数決定手段により決定された補正係数に基づき前記相電圧指令値を補正する補正実行手段とを含むことを特徴とする。
第4の発明は、第1の発明において、
前記補正手段は、前記電流検出手段により得られる電流の検出値が予め決められた閾値よりも小さいときに前記電流検出手段および前記回転位置検出手段により得られる電流および回転位置の検出値に基づき、前記2次高調波成分が示す前記電気角に対する依存性が低減されるように前記相電圧指令値を補正することを特徴とする。
第5の発明は、第1の発明において、
前記補正手段は、前記ブラシレスモータのロータの角速度が予め決められた閾値以下であるときに前記電流検出手段および前記回転位置検出手段により得られる電流および回転位置の検出値に基づき、前記2次高調波成分が示す前記電気角に対する依存性が低減されるように前記相電圧指令値を補正することを特徴とする。
第6の発明は、車両のステアリング機構にブラシレスモータによって操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置であって、
第1から第5の発明のいずれかの発明に係るモータ制御装置を備え、
前記モータ制御装置は、前記ステアリング機構に操舵補助力を与えるブラシレスモータを駆動することを特徴とする。
上記第1の発明によれば、ブラシレスモータに流れる電流(モータ電流)のq軸またはd軸成分の電気角に対する依存性が低減されるように相電圧指令値が補正されることにより、相間での抵抗値の差(相間抵抗差)によってモータ電流につき相間で生じる差が低減または解消され、相間抵抗差に起因してブラシレスモータで発生するトルクリップルが抑制される。
上記第2の発明によれば、ブラシレスモータに流れる電流(モータ電流)のq軸成分のq軸電圧指令値に対する比およびモータ電流のd軸成分のd軸電圧指令値に対する比の少なくとも一方が算出され、当該算出された比が電気角に対応づけて角度依存性データとして取得される。この角度依存性データは、モータ電流の電圧指令値に対する比に基づくデータであるので、ブラシレスモータへの印加電圧の変化によるモータ電流のq軸またはd軸成分への影響が除去されて当該モータ電流のq軸またはd軸成分の電気角への依存性を適切に示すものとなっている。このような角度依存性データに基づき、ブラシレスモータに流れる電流のq軸またはd軸成分の電気角に対する依存性が低減されるように相電圧指令値が補正される。したがって、相間抵抗差に起因してブラシレスモータで発生するトルクリップルをより確実に抑制することができる。
上記第3の発明によれば、ブラシレスモータに流れる電流(モータ電流)のq軸成分のq軸電流指令値に対する比およびモータ電流のd軸成分のd軸電流指令値に対する比の少なくとも一方が算出され、当該算出された比が電気角に対応づけて角度依存性データとして取得される。この角度依存性データは、モータ電流の電流指令値に対する比に基づくデータであるので、ブラシレスモータに供給すべき電流の変化すなわち電流指令値の変化(またはそれに対応する印加電圧の変化)によるモータ電流のq軸またはd軸成分への影響が除去されて、当該モータ電流のq軸またはd軸成分の電気角への依存性を適切に示すものとなっている。このような角度依存性データに基づき、ブラシレスモータに流れる電流のq軸またはd軸成分の電気角に対する依存性が低減されるように相電圧指令値が補正される。したがって、相間抵抗差に起因してブラシレスモータで発生するトルクリップルをより確実に抑制することができる。
上記第4の発明によれば、相電圧指令値を補正するために使用されるモータ電流の検出値およびモータのロータ回転位置の検出値は、モータ電流の検出値が予め決められた閾値よりも小さいときに取得される。すなわち、モータ電流が当該閾値よりも小さいために発熱による抵抗値の増大が少ないときに補正のための電流検出値および回転位置検出値が取得される。これにより、相間抵抗差が抵抗値に比べて相対的に大きいときに取得された電流検出値および回転位置検出値が相電圧指令値の補正に使用されるので、相間抵抗差を精度よく補償する補正が可能となり、相間抵抗差に起因するトルクリップルの発生をより確実に抑制することができる。
上記第5の発明によれば、相電圧指令値を補正するために使用されるモータ電流の検出値およびモータのロータ回転位置の検出値は、ブラシレスモータのロータの角速度が予め決められた閾値以下であるときに取得される。すなわち、逆起電力が小さく各相の抵抗への印加電圧が比較的大きいときに電流検出値および回転位置検出値が取得される。このような電流検出値および回転位置検出値を用いることにより、相間抵抗差を精度よく補償する補正が可能となり、相間抵抗差に起因するトルクリップルの発生をより確実に抑制することができる。
上記第6の発明によれば、操舵補助力を与えるブラシレスモータに印加すべき電圧を示す相電圧指令値が補正されることにより、相間抵抗差に起因するトルクリップルの発生が抑制されるので、操舵フィーリングの良好な電動パワーステアリング装置を提供することができる。
<1.電動パワーステアリング装置>
図1は、本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を、それに関連する車両の構成と共に示す概略図である。図1に示す電動パワーステアリング装置は、ブラシレスモータ1、減速機2、トルクセンサ3、車速センサ4、位置検出センサ5、および、電子制御ユニット(Electronic Control Unit :以下、ECUという)10を備えたコラムアシスト型の電動パワーステアリング装置である。
図1に示すように、ステアリングシャフト102の一端にはハンドル(ステアリングホイール)101が固着されており、ステアリングシャフト102の他端はラックピニオン機構103を介してラック軸104に連結されている。ラック軸104の両端は、タイロッドおよびナックルアームからなる連結部材105を介して車輪106に連結されている。運転者がハンドル101を回転させると、ステアリングシャフト102は回転し、これに伴いラック軸104は往復運動を行う。ラック軸104の往復運動に伴い、車輪106の向きが変わる。
電動パワーステアリング装置は、運転者の負荷を軽減するために、以下に示す操舵補助を行う。トルクセンサ3は、ハンドル101の操作によってステアリングシャフト102に加えられる操舵トルクTを検出する。車速センサ4は、車速Sを検出する。位置検出センサ5は、ブラシレスモータ1のロータの回転位置Pを検出する。位置検出センサ5は、例えばレゾルバで構成される。
ECU10は、車載バッテリ100から電力の供給を受け、操舵トルクT、車速Sおよび回転位置Pに基づきブラシレスモータ1を駆動する。ブラシレスモータ1は、ECU10によって駆動されると、操舵補助力を発生させる。減速機2は、ブラシレスモータ1とステアリングシャフト102との間に設けられる。ブラシレスモータ1で発生した操舵補助力は、減速機2を介して、ステアリングシャフト102を回転させるように作用する。
この結果、ステアリングシャフト102は、ハンドル101に加えられる操舵トルクと、ブラシレスモータ1で発生した操舵補助力の両方によって回転する。このように電動パワーステアリング装置は、ブラシレスモータ1で発生した操舵補助力を車両のステアリング機構に与えることにより操舵補助を行う。
本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置は、ブラシレスモータ1を駆動する制御装置(モータ制御装置)に特徴がある。そこで以下では、各実施形態に係る電動パワーステアリング装置に含まれるモータ制御装置について説明する。
<2.第1の実施形態>
図2は、本発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。図2に示すモータ制御装置は、ECU10を用いて構成されており、u相、v相およびw相の3相巻線(図示せず)を有するブラシレスモータ1を駆動する。ECU10は、位相補償器11、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと略称する)20、3相/PWM(Pulse Width Modulation)変調器12、モータ駆動回路13、および、電流センサ14を備えている。
ECU10には、トルクセンサ3から出力された操舵トルクT、車速センサ4から出力された車速S、および、位置検出センサ5から出力された回転位置Pが入力される。位相補償器11は、操舵トルクTに対して位相補償を施す。マイコン20は、ブラシレスモータ1の駆動に用いられる電圧指令値を求める制御手段として機能する。マイコン20の機能の詳細については、後述する。
3相/PWM変調器12とモータ駆動回路13は、ハードウェア(回路)で構成されており、マイコン20で求めた電圧指令値の電圧を用いてブラシレスモータ1を駆動するモータ駆動手段として機能する。3相/PWM変調器12は、マイコン20で求めた3相の電圧指令値に応じたデューティー比を有する3種類のPWM信号(図2に示すU、V、W)を生成する。モータ駆動回路13は、スイッチング素子として6個のMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor )を含むPWM電圧形インバータ回路である。6個のMOS−FETは、3種類のPWM信号とその否定信号によって制御される。PWM信号を用いてMOS−FETの導通状態を制御することにより、ブラシレスモータ1に対して3相の駆動電流(u相電流、v相電流およびw相電流)が供給される。
電流センサ14は、ブラシレスモータ1に流れる電流を検出する電流検出手段として機能する。電流センサ14は、例えば抵抗体やホール素子で構成され、モータ駆動回路13と電源の間に1個だけ設けられる。図2に示す例では、電流センサ14はモータ駆動回路13と電源のマイナス側(接地)との間に設けられているが、電流センサ14をモータ駆動回路13と電源のプラス側との間に設けてもよい。
ブラシレスモータ1が回転している間、電流センサ14で検出される電流値は、PWM信号に応じて変化する。PWM信号の1周期内では、電流センサ14によって1相の駆動電流が検知されるときと、2相の駆動電流の和が検知されるときとがある。3相の駆動電流の和はゼロになるので、2相の駆動電流の和に基づき、残り1相の駆動電流を求めることができる。したがって、ブラシレスモータ1が回転している間、1個の電流センサ14を用いて3相の駆動電流を検出することができる。電流センサ14で検出された電流値ia は、マイコン20に入力される。
マイコン20は、ECU10に内蔵されたメモリ(図示せず)に格納されたプログラムを実行することにより、指令電流算出部21、オープンループ制御部22、dq軸/3相変換部23、角度算出部24、角速度算出部25、Φ算出部26、データ取得部41、補正係数決定部42、および補正実行部43として機能する。なお、指令電流算出部21とオープンループ制御部22とdq軸/3相変換部23は、ブラシレスモータ1を駆動するために使用される相電圧指令値を求める制御演算手段を構成する。
マイコン20は、以下に示すように、ブラシレスモータ1に供給すべき電流の量を示す電流指令値とブラシレスモータ1のロータの角速度とに基づき、モータの回路方程式に従い、モータ駆動回路13に与えるべき電圧を示す電圧指令値を求める。
角度算出部24は、位置検出センサ5で検出した回転位置Pに基づき、ブラシレスモータ1のロータの回転角(以下、角度θという)を求める。角速度算出部25は、角度θに基づき、ブラシレスモータ1のロータの角速度ωe を求める。なお、図3に示すようにブラシレスモータ1に対してu軸、v軸およびw軸を設定し、ブラシレスモータ1のロータ6に対してd軸およびq軸を設定したとき、u軸とd軸のなす角が角度θとなる。すなわち、角度算出部24ではブラシレスモータ1における電気角θが求められる。
指令電流算出部21は、位相補償後の操舵トルクT(位相補償器11の出力信号)と車速Sに基づき、ブラシレスモータ1に供給すべき電流のd軸成分とq軸成分を求める(以下、前者の値をd軸電流指令値id *、後者の値をq軸電流指令値iq *という)。より詳細には、指令電流算出部21は、車速Sをパラメータとして、操舵トルクTと指令電流との対応づけを記憶したテーブル(以下、アシストマップという)を内蔵しており、アシストマップを参照して電流指令値を求める。アシストマップを用いることにより、或る大きさの操舵トルクが与えられたときに、その大きさに応じた適切な大きさの操舵補助力を発生させるためにブラシレスモータ1に供給すべき電流を示すd軸電流指令値id *とq軸電流指令値iq *を求めることができる。
なお、指令電流算出部21で求めるq軸電流指令値iq *は符号付きの電流値であり、その符号は操舵補助の方向を示す。例えば、符号がプラスのときには右方向へ曲がるための操舵補助が行われ、符号がマイナスのときには左方向へ曲がるための操舵補助が行われる。また、d軸電流指令値id *は、典型的にはゼロに設定される。
オープンループ制御部22は、d軸電流指令値id * ,q軸電流指令値iq * および角速度ωe に基づき、ブラシレスモータ1に印加すべき電圧のd軸成分とq軸成分を求める(以下、前者の値をd軸電圧指令値vd 、後者の値をq軸電圧指令値vq という)。d軸電圧指令値vd とq軸電圧指令値vq は、次式(1)と(2)に示すモータの回路方程式を用いて算出される。
d=(R+PLd)id *−ωeqq * …(1)
q=(R+PLq)iq *+ωedd *+ωeΦ …(2)
ただし、式(1)と(2)において、vd はd軸電圧指令値、vq はq軸電圧指令値、id *はd軸電流指令値、iq *はq軸電流指令値、ωe はロータの角速度、Rは電機子巻線抵抗を含む回路抵抗、Ld はd軸の自己インダクタンス、Lq はq軸の自己インダクタンス、ΦはU,V,W相電機子巻線鎖交磁束数の最大値の√(3/2)倍、Pは微分演算子である。このうちR、Ld 、Lq およびΦは、既知のパラメータとして扱われる。なお、Rで示される回路抵抗には、ブラシレスモータ1とECU10との間の配線抵抗やECU10内でのモータ駆動回路13の抵抗および配線抵抗などが含まれる。この点は他の実施形態でも同様である。
dq軸/3相変換部23は、オープンループ制御部22で求めたd軸電圧指令値vd とq軸電圧指令値vq を3相交流座標軸上の電圧指令値に変換する。より詳細には、dq軸/3相変換部23は、d軸電圧指令値vd とq軸電圧指令値vq に基づき、次式(3)〜(5)を用いてu相電圧指令値Vu 、v相電圧指令値Vv およびw相電圧指令値Vw を求める。
u=√(2/3)×{vd×cosθ−vq×sinθ} …(3)
v=√(2/3)×{vd×cos(θ−2π/3)
−vq×sin(θ−2π/3)} …(4)
w=−Vu−Vv …(5)
上記の式(3)と(4)に含まれる角度θは、角度算出部24で求めた電気角である。なお、u相電圧指令値Vu 、v相電圧指令値Vv およびw相電圧指令値Vw を総称して「相電圧指令値Vu ,Vv ,Vw 」ともいう。
データ取得部41には、電流センサ14で検出された電流値ia と、角度算出部24で算出された電気角θと、オープンループ制御部22で算出されたq軸電圧指令値vqとが入力される。データ取得部41は、まず電流値ia に基づきブラシレスモータ1に流れるu相とv相の電流(以下、前者の値をu相電流検出値iu 、後者の値をv相電流検出値iv という)を求め、これらをdq座標軸上の電流値に変換する。より詳細には、データ取得部41は、u相電流検出値iu とv相電流検出値iv に基づき、次式(6)を用いてq軸電流検出値iq を求める。
q=√2×{iv×cosθ−iu×cos(θ−2π/3)} …(6)
次にデータ取得部41は、上記q軸電流検出値iqのq軸電圧指令値vqに対する比(以下「対電圧q軸電流ゲイン値」または「q軸電流ゲイン値」という)iq/vqを、vq≠0のときに求め、このq軸電流ゲイン値iq/vqを電流センサ14での電流検出時点に角度算出部24で算出される電気角θと対応付けて、データ取得部41内に記憶する。このようにしてデータ取得部41は、q軸電流ゲイン値iq/vqが算出される毎にその時点の電気角と対応付けて当該q軸電流ゲイン値iq/vqを記憶していく。これにより、データ取得部41内には、0〜360度の種々の電気角θに対するq軸電流ゲイン値iq/vqを示すデータ(以下「角度依存性データ」という)が得られる。なお後述のように、q軸電流の電気角θへの依存性は2次高調波成分に基づくので、角度依存性データを取得する際の電気角θの範囲は0〜360度よりも狭い範囲、例えば90〜270度の範囲でもよい(この点は、後述の変形例や他の実施形態においても同様)。
補正係数決定部42は、上記のようにして得られた角度依存性データに基づき、補正実行部43で後述のように相電圧指令値Vu ,Vv ,Vw をそれぞれ補正するための補正係数gu ,gv ,gwを決定する。
補正実行部43には、上記の補正係数gu ,gv ,gwと、Φ算出部26で算出された電機子巻線鎖交磁束数Φと、角速度算出部25で算出された角速度ωe とが入力され、当該補正実行部43は、次式(7)〜(9)に従って相電圧指令値Vu ,Vv ,Vw を補正する。
uc =(Vu−eu)・gu+eu …(7)
vc =(Vv−ev)・gv+ev …(8)
wc =(Vw−ew)・gw+ew …(9)
上記式(7)〜(9)において、eu , ev ,ew は、それぞれ、ブラシレスモータ1におけるu相、v相、w相の逆起電力(誘起電圧)である。ところで、ブラシレスモータ1の逆起電力のq軸成分はωeΦであり、d軸成分は0である。そこで補正実行部43は、これら逆起電力のd軸成分およびq軸成分を次式(10)〜(12)により3相交流座標軸上の逆起電力に変換し、その変換により得られる各相の逆起電力eu , ev ,ew を用いて上記式(7)〜(9)に従って補正後の相電圧指令値Vuc ,Vvc ,Vwcを算出する。
u=√(2/3)×{0×cosθ−ωeΦ×sinθ} …(10)
v=√(2/3)×{0×cos(θ−2π/3)
−ωeΦ×sin(θ−2π/3)} …(11)
w=−eu−ev …(12)
なお式(10)と(11)に含まれる角度θは、角度算出部24で求めた電気角である。
このようにマイコン20は、dq座標軸上の電流指令値id * ,iq * を求める処理と、モータの回路方程式に従いdq座標軸上の電圧指令値vd ,vq を求める処理と、d軸およびq軸電圧指令値vd ,vq を相電圧指令値Vu ,Vv ,Vw に変換する処理と、相電圧指令値Vu ,Vv ,Vw を補正する処理とを行う。3相/PWM変調器12は、マイコン20で求めた補正後の相電圧指令値Vuc ,Vvc ,Vwc に基づき、3種類のPWM信号を出力する。これにより、ブラシレスモータ1の3相巻線には、各相の補正後の電圧指令値Vuc ,Vvc ,Vwc に応じた正弦波状の電流が流れ、ブラシレスモータ1のロータは回転する。これに伴い、ブラシレスモータ1の回転軸には、ブラシレスモータ1を流れる電流に応じたトルクが発生する。発生したトルクは操舵補助に用いられる。
Φ算出部26には、電流センサ14で検出された電流値ia と、角度算出部24で算出された電気角θと、角速度算出部25で算出された角速度ωe とが入力される。Φ算出部26は、まず電流値ia に基づきブラシレスモータ1に流れるu相とv相の電流を求め(以下、前者の値をu相電流検出値iu 、後者の値をv相電流検出値iv という)を求め、これらを次式(13)と(14)を用いてdq座標軸上の電流値に変換することにより、d軸電流検出値id とq軸電流検出値iq を求める。
d=√2×{iv×sinθ−iu×sin(θ−2π/3)} …(13)
q=√2×{iv×cosθ−iu×cos(θ−2π/3)} …(14)
次に、Φ算出部26は、ωe ≠0のときに、q軸電圧指令値vq 、d軸電流検出値id 、q軸電流検出値iq および角速度ωe に基づき、次式(15)を用いて式(2)に含まれる電機子巻線鎖交磁束数Φを求める。
Φ={vq−(R+PLq)iq−ωedd}/ωe …(15)
なお、式(15)は、式(2)のd軸電流指令値id *とq軸電流指令値iq *にd軸電流検出値id とq軸電流検出値iq を代入し、その式をΦについて解いたものである。
Φ算出部26は、求めたΦ値をオープンループ制御部22に対して出力する。オープンループ制御部22は、式(2)を用いてq軸電圧指令値vq を求めるときに、Φ算出部26で算出されたΦ値を使用する。このようにマイコン20は、モータの回路方程式に含まれる電機子巻線鎖交磁束数Φを求め、q軸電圧指令値vq を求めるときにはそのΦ値を使用する。
Φ算出部26は、ωe ≠0である限り、任意のタイミングでΦ値を求めてもよい。Φ算出部26は、例えば、所定の時間間隔でΦ値を求めてもよく、ブラシレスモータ1の駆動開始後に1回だけΦ値を求めてもよく、温度などの状態が変化したときにΦ値を求めてもよい。また、ωe がゼロに近いときに求めたΦ値には誤差が発生しやすいので、Φ算出部26は、ωe が所定の閾値以上であるときに限りΦ値を求めることとしてもよい。
以上に示すように、本実施形態に係るモータ制御装置は、電流指令値とロータの角速度とに基づき、モータの回路方程式に従いオープンループ制御により電圧指令値を求めると共に、電流センサで検出した電流値に基づきモータの回路方程式に含まれるΦを求め、電圧指令値を求めるときにはそのΦ値を使用する。したがって、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、モータの回路方程式に含まれるΦ値が製造ばらつきや温度変化によって変動するときでも、電流センサで検出した電流値に基づきΦ値を求めることにより、高い精度でブラシレスモータを駆動し、所望のモータ出力を得ることができる。
また、本実施形態に係るモータ制御装置には、電流センサは1個だけ設けられている。したがって、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、電流センサを削減することにより、モータ制御装置の小型化、低コスト化および低消費電力化が可能となる。さらに、本実施形態に係るモータ制御装置はオープンループ制御を行うので、1個の電流センサを用いてフィードバック制御を行うモータ制御装置とは異なり、モータの制御が不連続にならない。したがって、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、音や振動を抑制することができる。
<2.1 補正の原理>
本実施形態では、電機子巻線抵抗を含む回路抵抗の値についてのu相,v相,w相の間での差(以下、この差を「相間抵抗差」という)に起因するトルクリップルの発生を抑制すべく相電圧指令値Vu ,Vv ,Vw を補正するために、補正部40が設けられている。この補正部40は、既述のデータ取得部41と補正係数決定部42と補正実行部43から構成されており、補正実行部43は、データ取得部41および補正係数決定部42により得られる補正係数gu ,gv ,gwを用いて既述の式(7)〜(9)に従って相電圧指令値Vu ,Vv ,Vw を補正する。以下、このような相電圧指令値Vu ,Vv ,Vw の補正につき図4〜図6を参照して説明する。
図4は、この補正の原理を説明するための図であり、ブラシレスモータ1に流れる電流のq軸成分であるq軸電流と電気角θとの関係を示している。より詳しくは、相間抵抗差が無い場合のq軸電流iqoと電気角θとの関係、および、相間抵抗差が有る場合のq軸電流iqaと電気角θとの関係が示されている。いま、u相,v相,w相についての電機子巻線抵抗を含む回路抵抗を、それぞれ「u相抵抗」、「v相抵抗」、「w相抵抗」といい(または、まとめて「相抵抗」と総称し)、それぞれ記号“Ru”,“Rv”,“Rw”で示すものとする。また、記号“Ru”,“Rv”,“Rw”は、u相抵抗、v相抵抗、w相抵抗の値をもそれぞれ示すものとする。
図4に示すように、これらの相抵抗Ru,Rv,Rwの間に抵抗差が無い場合(Ru=Rv=Rw)すなわち相間抵抗差が無い場合のq軸電流iqoは、電気角θに関係なく一定の値(固定)となる。これに対し、相間抵抗差が有る場合のq軸電流iqaは、電気角θに依存する。より詳しくは、相間抵抗差が有る場合のq軸電流iqaは、図4に示すように、電気角θについての2次高調波成分を含む。これは、ブラシレスモータ1に印加される(正弦波状の)u,v,w相電圧の振幅が互いに同一であっても、相間抵抗差が有る場合には、ブラシレスモータ1に流れるu,v,w相電流iu ,iv ,iw 間で振幅が相違するので、(6)式より得られるq軸電流iqは一定値に固定されず、電気角θについての2次高調波成分を含むからである。この2次高調波成分の振幅と位相は、相抵抗Ru,Rv,Rwの間での抵抗値の大小関係に応じて異なる。
したがって、ブラシレスモータ1におけるq軸電流iqの位相に応じて相電圧指令値Vu ,Vv ,Vw を補正することにより、q軸電流iqの電気角に対する依存性を低減または解消し、これにより、相間抵抗差に起因するトルクリップルの発生を抑制することができる。本実施形態における補正部40は、このような原理に基づきトルクリップルを抑制すべく相電圧指令値Vu ,Vv ,Vw を補正する。以下、この補正方法の詳細につき説明する。
<2.2 補正方法>
本実施形態では、既述のように補正部40のデータ取得部41により、q軸電流検出値iqのq軸電圧指令値vqに対する比であるq軸電流ゲイン値iq/vqが種々の電気角θについて求められ、0〜360度の種々の電気角θに対するq軸電流ゲイン値iq/vqを示すデータが角度依存性データとしてがデータ取得部41内に記憶される。ここで、q軸電流検出値iqではなくq軸電流ゲイン値iq/vqを示すデータを記憶するのは、ブラシレスモータ1への印加電圧の変化によるq軸電流への影響を除去して、q軸電流の電気角θに対する依存性を示すデータを適切に取得するためである。
補正部40の補正係数決定部42では、上記のようにして取得された角度依存性データに基づき、q軸電流ゲイン値iq/vqが最大となる電気角(以下「ピーク電気角」という)θpが求められ、このピーク電気角θpに応じて、既述の式(7)〜(9)における補正係数gu ,gv ,gwが決定される。なお、q軸電流ゲイン値iq/vqに含まれる電気角θについての2次高調波成分にはθ=0〜360度の範囲で2つのピークが存在するが、本実施形態における補正係数gu ,gv ,gwの決定には、θ=90〜270度の範囲に含まれるピーク電気角θpが使用される。ただし、補正係数gu ,gv ,gwの決定に使用される電気角θの範囲は、これに限定されるものではない。また、既述の式(7)〜(9)からわかるように、補正係数gx(x=u,v,w)の値が1のときには、当該相の抵抗Rxに印加される電圧(の振幅)は補正前と同じであり、補正係数gx (x=u,v,w)の値が1よりも大きいときには、当該相の抵抗Rxに印加される電圧(の振幅)が補正前よりも大きくなる。
また、上記式(6)から次の事項が導かれる。すなわち、相抵抗Ru,Rv,RwがRv>Rw,Ruなる関係にあるときには、例えば図5(a)に示すようにθ=90〜150度の範囲にピーク電気角θpが存在し、Ru>Rv,Rwなる関係にあるときには、例えば図5(b)に示すようにθ=150〜210度の範囲にピーク電気角θpが存在し、Rw>Ru,Rvなる関係にあるときには、例えば図5(c)に示すようにθ=210〜270度の範囲にピーク電気角θpが存在する。
そこで、本実施形態における補正係数決定部42では、次のようにして補正係数gu ,gv ,gwが決定される。なお以下において、角度依存性データに基づく補正係数gu ,gv ,gwの決定が全くなされていない時点では、これらの補正係数gu ,gv ,gwとして適切な初期値、例えば“1”(補正無しに相当する値)が設定されているものとする。
(A1)90[deg]≦θp<150[deg]の場合
現時点のv相補正係数gvを大きくした値を新たにv相補正係数gvとする。これは、v相電流とu相およびw相電流との振幅差を低減すべく、v相抵抗Rvへの印加電圧を補正前よりも大きくすることを意味する。
(A2)150[deg]≦θp<210[deg]の場合
現時点のu相補正係数guを大きくした値を新たにu相補正係数guとする。これは、u相電流とv相およびw相電流との振幅差を低減すべく、u相抵抗Ruへの印加電圧を補正前よりも大きくすることを意味する。
(A3)210[deg]≦θp<270[deg]の場合
現時点のw相補正係数gwを大きくした値を新たにw相補正係数gwとする。これは、w相電流とu相およびv相電流との振幅差を低減すべく、w相抵抗Rwへの印加電圧を補正前よりも大きくすることを意味する。
上記(A1)〜(A3)のような補正によれば、u相、v相、w相の電流の間での振幅差が低減または解消されるので、q軸電流iqの電気角θに対する依存性が解消され、その結果、ブラシレスモータ1におけるトルクリップルが抑制される。以下、このような補正の具体例につき更に説明する。
例えば、上記角度依存性データに基づき求められたピーク電気角θpが図6(a)に示すように150[deg]である場合には、相抵抗Ru,Rv,RwはRu=Rv>Rwなる関係にある。この場合、補正係数決定部42において、現時点のu相およびv相補正係数gu ,gvが例えばその1.1倍の値に変更される。また、上記角度依存性データに基づき求められたピーク電気角θpが図6(b)に示すように165[deg]である場合には、相抵抗Ru,Rv,RwはRu>Rv>Rwなる関係にある。この場合、補正係数決定部42において、現時点のu相補正係数guが例えばその1.1倍の値に変更され、現時点のv相補正係数gvが例えばその1.05倍の値に変更される。さらに、上記角度依存性データに基づき求められたピーク電気角θpが図6(c)に示すように180[deg]である場合には、相抵抗Ru,Rv,RwはRu>Rv=Rwなる関係にある。この場合、補正係数決定部42において、現時点のu相補正係数guが例えばその1.1倍の値に変更される。更にまた、上記角度依存性データに基づき求められたピーク電気角θpが図6(d)に示すように195[deg]である場合には、相抵抗Ru,Rv,RwはRu>Rw>Rvなる関係にあることから、補正係数決定部42において、現時点のu相補正係数guが例えばその1.1倍の値に変更され、現時点のw相補正係数gwが例えばその1.05倍の値に変更される。
上記において、現時点の補正係数gu ,gv ,gwを変更する際の倍率または変更後の値は、q軸電流ゲイン値iq/vqに含まれる電気角θについての2次高調波成分の変動幅(振幅)に応じて決められる。なお、上記で示した「1.1倍」や「1.05倍」という数値は一例に過ぎず、実際には、実験データまたは計算機シミュレーション結果等を用いて、q軸電流の電気角θに対する依存性が抑制されるような適切な補正係数gu ,gv ,gwが決定されるように、補正係数決定部42による補正係数gu ,gv ,gwの決定方法を調整するのが好ましい。
補正実行部43では、上記のようにして決定された補正係数gu ,gv ,gwを用いて上記式(7)〜(9)に従って相電圧指令値Vu ,Vv ,Vw が補正される。このような補正後の相電圧指令値Vuc ,Vvc ,Vwc は、既述のようにブラシレスモータ1の駆動に使用される。
以上のように本実施形態によれば、q軸電流の電気角θに関する2次高調波成分が示すq軸電流の電気角θに対する依存性が低減または解消されるように相電圧指令値が補正されるので、相間抵抗差が補償されて相間抵抗差に起因するトルクリップルの発生が抑制される。したがって、図1に示すような電動パワーステアリング装置において操舵補助力を発生させるブラシレスモータ1を駆動するために本実施形態に係るモータ制御装置を使用することにより、良好な操舵フィーリングを運転者に提供することができる。
<3.第1の実施形態の変形例>
次に、上記実施形態の変形例について説明する。なお、以下に述べる変形例の構成要素のうち上記実施形態の構成要素と同一または対応するものについては、同一の参照符号を付し詳しい説明を省略する。
上記実施形態では、0〜360度の種々の電気角θに対するq軸電流ゲイン値iq/vqを示すデータが角度依存性データとしてデータ取得部41により取得され、この角度依存性データに基づき補正係数gu ,gv ,gwが補正係数決定部42により決定されるが、これに代えて、0〜360度の種々の電気角θに対する(対電圧)d軸電流ゲイン値id/vdを示すデータが角度依存性データとしてデータ取得部41により取得され、この角度依存性データに基づき補正係数gu ,gv ,gwが補正係数決定部42により決定される構成としてもよい。この構成によれば、補正係数gu ,gv ,gwを用いた相電圧指令値Vu ,Vv ,Vw の補正により、d軸電流idの電気角θに対する依存性が低減または解消され、u相、v相、w相の電流の間での振幅差が低減または解消されるので、上記実施形態と同様、ブラシレスモータ1におけるトルクリップルを抑制することができる。
また上記実施形態では、q軸電流検出値iq自体を示すデータではなくq軸電流ゲイン値iq/vqを示すデータが角度依存性データとして取得されるが、これに代えて、q軸電流検出値iqのq軸電流指令値iq *に対する比(以下「対指令q軸電流ゲイン値」または「q軸電流ゲイン値」という)iq/iq *を示すデータを、iq *≠0のときに角度依存性データとして取得するようにしてもよい。この角度依存性データの取得に必要なq軸電流指令値iq *は指令電流算出部21から得られる。このような変形例によっても、ブラシレスモータ1に供給すべき電流の変化すなわち電流指令値の変化(またはそれに対応するブラシレスモータ1への印加電圧の変化)によるq軸電流への影響を除去して、q軸電流の電気角θに対する依存性を示すデータを適切に取得することができる。以下、この変形例につき図7を参照して説明する。
上記のq軸電流ゲイン値iq/iq *が最大となる電気角も「ピーク電気角」と呼ぶものとすると、上記第1の実施形態の場合と同様、既述の式(6)から次の事項が導かれる。すなわち、相抵抗Ru,Rv,RwがRv>Rw,Ruなる関係にあるときには、図7(a)に示すようにθ=90〜150度の範囲にピーク電気角θpが存在し、Ru>Rv,Rwなる関係にあるときには、図7(b)に示すようにθ=150〜210度の範囲にピーク電気角θpが存在し、Rw>Ru,Rvなる関係にあるときには、図7(c)に示すようにθ=210〜270度の範囲にピーク電気角θpが存在する。
そこで本変形例においても、補正係数決定部42では、上記第1の実施形態の場合と同様にして補正係数gu ,gv ,gwが決定される。すなわち、90[deg]≦θp<150[deg]の場合には、現時点のv相補正係数gvを大きくした値を新たにv相補正係数gvとする。また、150[deg]≦θp<210[deg]の場合には、現時点のu相補正係数guを大きくした値を新たにu相補正係数guとする。さらに、210[deg]≦θp<270[deg]の場合には、現時点のw相補正係数gwを大きくした値を新たにw相補正係数gwとする。そして本変形例の補正実行部43は、このような新たな補正係数gu ,gv ,gwを用い、既述の式(7)〜(9)に従って相電圧指令値Vu ,Vv ,Vw を補正する。
なお、現時点の補正係数gu ,gv ,gwを変更する際の倍率または変更後の値は、q軸電流ゲイン値iq/iq *に含まれる電気角θについての2次高調波成分の変動幅(振幅)に応じて決められる。実際には、実験データまたは計算機シミュレーション結果等を用いて、q軸電流の電気角θに対する依存性が抑制されるような適切な補正係数gu ,gv ,gwが決定されるように、補正係数決定部42による補正係数gu ,gv ,gwの決定方法を調整するのが好ましい。本変形例における他の構成は、上記実施形態と同様である。
上記のような変形例によっても、u相、v相、w相の電流の間での振幅差が低減または解消されるので、q軸電流iqの電気角θに対する依存性が解消され、その結果、ブラシレスモータ1におけるトルクリップルが抑制される。
また、上記実施形態や変形例において、上記角度依存性データを構成する電流ゲイン値iq/vq ,id/vd またはiq/iq * をデータ取得部41が取得するタイミングや、上記角度依存性データに基づいて補正係数決定部42が新たな補正係数gu ,gv ,gwを決定して補正実行部43に出力するタイミングは、特に限定されない。このような電流ゲイン値の取得タイミングや補正係数の出力タイミングは、例えば所定間隔に設定されていてもよいし、温度などの状態が変化したときに上記角度依存性データを取得して新たな補正係数gu ,gv ,gwを出力するようにしてもよい。
なお、上記角度依存性データを構成する電流ゲイン値iq/vqを取得する場合には、データ取得のタイミングはvq≠0であれば特に限定されないが、q軸電圧指令値vqが零に近い場合には誤差が発生しやすくピーク電気角θpの検出精度が低下するので、q軸電圧指令値vqが所定の下限値以上であるときに限り電流ゲイン値iq/vqを取得するようにしてもよい。同様の理由により、上記角度依存性データを構成する電流ゲイン値iq/iq *を取得する場合には、q軸電流指令値iq *が零に近い場合には誤差が発生しやすくピーク電気角θpの検出精度が低下するので、q軸電流指令値iq *が所定の下限値(閾値)以上であるときに限り電流ゲイン値iq/iq *を取得するようにしてもよい。また、ロータの角速度ωeが大きいときには、逆起電力が大きくなって各相の抵抗Ru,Rv,Rwへの印加電圧が小さくなるので、同様の理由により、上記角度依存性データの取得に際して誤差が発生しやすくピーク電気角θpの検出精度が低下する。したがって、角速度ωeが所定の上限値(閾値)以下であるときに限り上記角度依存性データを取得するようにしてもよい。また、角速度ωeが大きいと逆起電力が大きくなるので、相間抵抗差があってもトルクリップルは小さなものとなる。したがって、角速度ωeが所定の上限値以下であるときに限り補正実行部43で相電圧指令値Vu ,Vv ,Vw を補正するようにしてもよい(式(7)〜(9)参照)。
ところで、ブラシレスモータ1に流れる電流(モータ電流)が大きくなると発熱によって抵抗が大きくなるのに対し、通常、相間抵抗差は電流によって変化しない。したがって、モータ電流が大きくなると、相間抵抗差は抵抗値に比べて相対的に小さくなり、その結果、相間での電流差も小さくなる。このため、電流ゲイン値iq/vqまたはiq/iq *に含まれる(電気角θについての)2次高調波成分の振幅も小さくなるので、上記角度依存性データから得られるピーク電気角θpの検出精度が低下する。したがって、モータ電流(例えばq軸電流検出値iq)につき発熱の観点から上限値としての閾値を予め定めておき、モータ電流の検出値または指令値が当該閾値よりも小さいときに限り電流ゲイン値iq/vqまたはiq/iq *を算出して角度依存性データを取得するようにするのが好ましい。
また、上記実施形態やその変形例では、補正係数gu ,gv ,gwを決定するためにq軸電流ゲイン値とd軸電流ゲイン値のいずれか一方についての角度依存性データが使用されるが、q軸電流ゲイン値とd軸電流ゲイン値の双方についての角度依存性データを取得し、その角度依存性データに基づき補正係数gu ,gv ,gwを決定するようにしてもよい。
なお、上記実施形態や変形例では、オープンループ制御部22においてd軸電圧指令値vd およびq軸電圧指令値vq を求めるために使用されるRやΦ等は、既知のパラメータとして扱われるが、ΦについてはΦ算出部26により算出された値が使用される。すなわち、Φについては既知のパラメータとして扱いつつもΦ算出部26により適宜補正される。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、Φ算出部26に代えて又はΦ算出部26と共にR算出部を設け、d軸電圧指令値vd およびq軸電圧指令値vq を求める際に、当該R算出部により算出されたRを使用してもよい(この点は、以下に述べる実施形態においても同様)。なお、R算出部が設けられている場合、当該R算出部は、例えば、iq ≠0のときに、q軸電圧指令値vq 、d軸電流検出値id 、q軸電流検出値iq および角速度ωe に基づき、次式を用いて上記式(1)と(2)に含まれる電気子巻線抵抗Rを求める。
R=(vq−PLqq−ωedd−ωeΦ)/iq
<4.第2の実施形態>
図8は、本発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。本実施形態に係るモータ制御装置は、第1の実施形態に係るモータ制御装置においてマイコン20と電流センサ14をマイコン30と電流センサ15に置換したものである。このモータ制御装置は、電流センサ15が正常に動作しているときにはフィードバック制御を行い、電流センサ15が故障したときにはオープンループ制御を行う。
電流センサ15は、ブラシレスモータ1に供給される3相の駆動電流が流れる経路上に1個ずつ設けられ、3相の駆動電流を個別に検出する。電流センサ15で検出された3相の電流値(以下、u相電流検出値iu 、v相電流検出値iv およびw相電流検出値iw という)は、マイコン30に入力される。
マイコン30は、マイコン20に対して、3相/dq軸変換部31、減算部32、フィードバック制御部33、故障監視部34、および、指令電圧選択部35を追加したものである。また、マイコン30においても、上記第1の実施形態と同様に、データ取得部41,補正係数決定部42および補正実行部53からなる補正部50が実現されているが、補正実行部53の機能が上記第1の実施形態の場合と若干異なる(詳細は後述)。
3相/dq軸変換部31は、電流センサ15で検出されたu相電流検出値iu とv相電流検出値iv に基づき、次式(16)と(17)を用いてd軸電流検出値id とq軸電流検出値iq を求める。
d=√2×{iv×sinθ−iu×sin(θ−2π/3)} …(16)
q=√2×{iv×cosθ−iu×cos(θ−2π/3)} …(17)
減算部32は、d軸電流指令値id *とd軸電流検出値id の偏差Ed 、および、q軸電流指令値iq *とq軸電流検出値iq の偏差Eq を求める。フィードバック制御部33は、偏差Ed 、Eq に対して次式(18)と(19)に示す比例積分演算を施して、d軸電圧指令値vd #とq軸電圧指令値vq #を求める。
d #=K×{Ed+(1/T)∫Ed・dt} …(18)
q #=K×{Eq+(1/T)∫Eq・dt} …(19)
ただし、式(18)と(19)において、Kは比例ゲイン定数であり、Tは積分時間である。
故障監視部34は、電流センサ15で検出された3相の電流値が正常範囲内にあるか否かを調べ、電流センサ15が正常に動作しているか、故障しているかを判断する。故障監視部34は、3相の電流値がすべて正常範囲内にあるときには「正常」と判断し、1相以上の電流値が正常範囲外にあるときには「故障」と判断する。故障監視部34は、判断結果を示す制御信号を出力する。
指令電圧選択部35は、故障監視部34で正常と判断されたときには、フィードバック制御部33で求めたd軸電圧指令値vd #とq軸電圧指令値vq #を出力し、故障監視部34で故障と判断されたときには、オープンループ制御部22で求めたd軸電圧指令値vd とq軸電圧指令値vq を出力する。
電流センサ15が正常に動作しているときには、故障監視部34は正常と判断し、指令電圧選択部35はフィードバック制御部33の出力を選択する。このとき、指令電流算出部21、dq軸/3相変換部23、角度算出部24、3相/dq軸変換部31、減算部32およびフィードバック制御部33が動作し、フィードバック制御が行われる。これに加えて、電流センサ15が正常に動作している間に、角速度算出部25とΦ算出部26も動作する。Φ算出部26は、電流センサ15が正常に動作している間に、式(15)を用いて式(2)に含まれる電機子巻線鎖交磁束数Φを求める。
データ取得部41および補正係数決定部42も、電流センサ15が正常に動作している間に、上記第1の実施形態の場合と同様に動作する。すなわち、データ取得部41は、電流センサ15からのu相電流検出値iu およびv相電流検出値iv に基づき算出されるq軸電流検出値iq とフィードバック制御部33からのq軸電圧指令値vq #と角度算出部24からの電気角θと用いて、種々の電気角θに対するq軸電流ゲイン値iq/vq #を示す角度依存性データを取得する。また、補正係数決定部42は、この角度依存性データに基づき補正係数gu ,gv ,gwを決定する。これらの補正係数gu ,gv ,gwは補正実行部53に与えられる。この補正実行部53には、上記第1の実施形態の場合と同様、これらの補正係数gu ,gv ,gwと共に、Φ算出部26から電機子巻線鎖交磁束数Φが、角速度算出部25から角速度ωe がそれぞれ与えられる。さらに補正実行部53には、故障監視部34での判断結果を示す制御信号も与えられる。
ところで、電流センサ15が正常に動作している間は、d軸電流指令値id *とd軸電流検出値id の偏差Ed 、および、q軸電流指令値iq *とq軸電流検出値iq の偏差Eq が打ち消されるようにフィードバック制御が行われることから、通常、相間抵抗差に起因するトルクリップルの発生は問題とはならない。そこで本実施形態では、補正実行部53は、故障監視部34からの上記制御信号に基づき、電流センサ15が正常に動作している間すなわちフィードバック制御が行われている間は、dq軸/3相変換部23から出力される相電圧指令値Vu ,Vv ,Vw を補正することなく、そのまま3相/PWM変調器12に与える。すなわち、Vu =Vuc,Vv =Vvc,Vw =Vwcである。しかし、フィードバック制御が行われている間においても、上記補正係数gu ,gv ,gwを使用して相電圧指令値Vu ,Vv ,Vw を補正するようにしてもよい。
その後、電流センサ15が故障すると、故障監視部34は故障と判断し、指令電圧選択部35は、オープンループ制御部22の出力を選択する。このとき、指令電流算出部21、オープンループ制御部22、dq軸/3相変換部23および角度算出部24が動作し、オープンループ制御が行われる。オープンループ制御部22は、電流センサ15が正常に動作している間に求められたΦ値を用いて、d軸電圧指令値vd とq軸電圧指令値vq を求める。これらのd軸電圧指令値vd とq軸電圧指令値vq は、指令電圧選択部35を介してdq軸/3相変換部23に与えられ、そこで相電圧指令値Vu ,Vv ,Vw に変換される。これらの相電圧指令値Vu ,Vv ,Vw は補正実行部53に与えられる。
補正実行部53は、故障監視部34からの制御信号に基づき、電流センサ15が故障しているときには、上記第1の実施形態の場合と同様、補正係数決定部42からの補正係数gu ,gv ,gwとΦ算出部26からの電機子巻線鎖交磁束数Φと角速度算出部25からの角速度ωe とを用い、既述の式(7)〜(12)に従って相電圧指令値Vu ,Vv ,Vw を補正する。この補正後の相電圧指令値Vuc ,Vvc ,Vwcは3相/PWM変調器12に与えられる。この3相/PWM変調器12とモータ駆動回路13からなるモータ駆動手段は、これらの相電圧指令値Vuc ,Vvc ,Vwcの電圧によってブラシレスモータ1を駆動する。
以上に示すように、本実施形態に係るモータ制御装置は、電流センサが正常に動作しているときには、電流指令値と電流センサで検出された電流値との差に比例積分演算を施して電圧指令値を求め、電流センサが故障したときには、電流指令値とロータの角速度とに基づき、モータの回路方程式に従いオープンループ制御を行って電圧指令値を求める。また、オープンループ制御を行うときには、電流センサが正常に動作している間に求めたΦ値(電機子巻線鎖交磁束数Φ)が使用される。したがって、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、電流センサが正常に動作している間は、フィードバック制御を行い、高い精度でブラシレスモータを駆動することができる。また、電流センサが故障し、フィードバック制御を行えないときには、フィードバック制御を行っている間に求めた電機子巻線鎖交磁束数Φを用いてオープンループ制御を行うことにより、高い精度でブラシレスモータを駆動し、所望のモータ出力を得ることができる。
また本実施形態によれば、オープンループ制御を行う場合には、データ取得部41および補正係数決定部42により得られる補正係数を用いてq軸電流iqまたはd軸電流idの電気角θに対する依存性が低減または解消されるように相電圧指令値が補正実行部53により補正される。これにより、相間抵抗差に起因するトルクリップルの発生が抑制される。したがって、電流センサが故障し、フィードバック制御を行えない場合であっても、良好な操舵フィーリングを得ることができる。
なお、本実施形態においても、データ取得部41および補正係数決定部42については上記第1の実施形態の変形例と同様の変形が可能である。
<5.その他の変形例>
上記第1の実施形態や変形例では、電流センサ14が1個だけ設けられているが、複数個(2個または3個)設けられていてもよい。例えばu相およびv相用電流センサが設けられている場合には、データ取得部41およびΦ算出部26において使用されるd軸電流検出値idおよびq軸電流検出値iqは、これらのu相およびv相用電流センサから出力されるu相電流検出値iu およびv相電流検出値iv をdq座標軸上の電流値に変換することにより得られる。
また、第2の実施形態に係るモータ制御装置では、故障監視部34での判断結果によってフィードバック制御とオープンループ制御が切り替えられるが、故障監視部34での判断以外の判断によって(例えば、運転者の選択によって)フィードバック制御とオープンループ制御を切り替えてもよい。
なお、本発明は、上述したコラムアシスト型の電動パワーステアリング装置だけでなく、ピニオンアシスト型やラックアシスト型の電動パワーステアリング装置にも適用できる。また、本発明は、電動パワーステアリング装置以外のモータ制御装置にも適用できる。
本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。 3相ブラシレスモータにおける3相交流座標とdq座標を示す図である。 上記第1の実施形態における相電圧指令値の補正の原理を説明するための図である。 上記第1の実施形態における相電圧指令値の補正方法を説明するための図である。 上記第1の実施形態における補正の具体例を説明するための図である。 上記第1の実施形態の変形例における相電圧指令値の補正方法を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。
符号の説明
6…ロータ、10…ECU、13…モータ駆動回路、14,15…電流センサ(電流検出手段)、20,30…マイコン、32…減算部、35…指令電圧選択部、40,50…補正部。

Claims (6)

  1. ブラシレスモータを駆動するためのモータ制御装置であって、
    前記ブラシレスモータに印加すべき相電圧を示す相電圧指令値を求める制御演算手段と、
    前記ブラシレスモータに流れる電流を検出する電流検出手段と、
    前記ブラシレスモータにおけるロータの回転位置を検出する回転位置検出手段と、
    前記ブラシレスモータに流れる電流のq軸またはd軸成分のq軸またはd軸指令値に対する比の前記ブラシレスモータの電気角に関する2次高調波成分が示す、当該比の当該電気角に対する依存性が低減されるように、前記電流検出手段の検出結果および前記回転位置検出手段の検出結果に基づき前記相電圧指令値を補正する補正手段と、
    前記補正手段による補正後の相電圧指令値に基づき前記ブラシレスモータを駆動する駆動手段と
    を備えることを特徴とする、モータ制御装置。
  2. 前記制御演算手段は、前記ブラシレスモータに印加すべき電圧のq軸およびd軸成分をそれぞれq軸およびd軸電圧指令値として算出し、当該q軸およびd軸電圧指令値を前記ブラシレスモータに印加すべき電圧の各相成分に変換することにより前記相電圧指令値を求め、
    前記補正手段は、
    前記電流検出手段の検出結果に基づき、前記ブラシレスモータに流れる電流のq軸成分の前記q軸電圧指令値に対する比および前記ブラシレスモータに流れる電流のd軸成分の前記d軸電圧指令値に対する比の少なくとも一方を算出し、当該算出された比を前記回転位置検出手段の検出結果に基づき前記ブラシレスモータの電気角に対応づけて角度依存性データとして記憶するデータ取得手段と、
    前記角度依存性データに基づき、前記2次高調波成分が示す前記電気角に対する依存性が低減されるように前記相電圧指令値を補正するための補正係数を決定する補正係数決定手段と、
    前記補正係数決定手段により決定された補正係数に基づき前記相電圧指令値を補正する補正実行手段と
    を含むことを特徴とする、請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記制御演算手段は、前記ブラシレスモータに流すべき電流のq軸およびd軸成分をそれぞれq軸およびd軸電流指令値として決定し、当該q軸およびd軸電流指令値に基づき、前記ブラシレスモータに印加すべき電圧のq軸およびd軸成分をそれぞれq軸およびd軸電圧指令値として算出し、当該q軸およびd軸電圧指令値を前記ブラシレスモータに印加すべき電圧の各相成分に変換することにより前記相電圧指令値を求め、
    前記補正手段は、
    前記電流検出手段の検出結果に基づき、前記ブラシレスモータに流れる電流のq軸成分の前記q軸電流指令値に対する比および前記ブラシレスモータに流れる電流のd軸成分の前記d軸電流指令値に対する比の少なくとも一方を算出し、当該算出された比を前記回転位置検出手段の検出結果に基づき前記ブラシレスモータの電気角に対応づけて角度依存性データとして記憶するデータ取得手段と、
    前記角度依存性データに基づき、前記2次高調波成分が示す前記電気角に対する依存性が低減されるように前記相電圧指令値を補正するための補正係数を決定する補正係数決定手段と、
    前記補正係数決定手段により決定された補正係数に基づき前記相電圧指令値を補正する補正実行手段と
    を含むことを特徴とする、請求項1に記載のモータ制御装置。
  4. 前記補正手段は、前記電流検出手段により得られる電流の検出値が予め決められた閾値よりも小さいときに前記電流検出手段および前記回転位置検出手段により得られる電流および回転位置の検出値に基づき、前記2次高調波成分が示す前記電気角に対する依存性が低減されるように前記相電圧指令値を補正することを特徴とする、請求項1に記載のモータ制御装置。
  5. 前記補正手段は、前記ブラシレスモータのロータの角速度が予め決められた閾値以下であるときに前記電流検出手段および前記回転位置検出手段により得られる電流および回転位置の検出値に基づき、前記2次高調波成分が示す前記電気角に対する依存性が低減されるように前記相電圧指令値を補正することを特徴とする、請求項1に記載のモータ制御装置。
  6. 車両のステアリング機構にブラシレスモータによって操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置であって、
    請求項1から5のいずれか1項に記載のモータ制御装置を備え、
    前記モータ制御装置は、前記ステアリング機構に操舵補助力を与えるブラシレスモータを駆動することを特徴とする、電動パワーステアリング装置。
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