JP5453714B2 - モータ制御装置および電動パワーステアリング装置 - Google Patents

モータ制御装置および電動パワーステアリング装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5453714B2
JP5453714B2 JP2007320773A JP2007320773A JP5453714B2 JP 5453714 B2 JP5453714 B2 JP 5453714B2 JP 2007320773 A JP2007320773 A JP 2007320773A JP 2007320773 A JP2007320773 A JP 2007320773A JP 5453714 B2 JP5453714 B2 JP 5453714B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
motor
current
value
voltage
command
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007320773A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008220155A (ja
JP2008220155A5 (ja
Inventor
武史 上田
茂樹 長瀬
寛 須増
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JTEKT Corp
Original Assignee
JTEKT Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JTEKT Corp filed Critical JTEKT Corp
Priority to JP2007320773A priority Critical patent/JP5453714B2/ja
Priority to US12/023,473 priority patent/US7889978B2/en
Priority to EP08151106A priority patent/EP1955928B1/en
Publication of JP2008220155A publication Critical patent/JP2008220155A/ja
Publication of JP2008220155A5 publication Critical patent/JP2008220155A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5453714B2 publication Critical patent/JP5453714B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • Y02T10/643

Landscapes

  • Power Steering Mechanism (AREA)
  • Control Of Ac Motors In General (AREA)
  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)

Description

本発明は、モータ制御装置、および、モータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置に関する。
従来から、運転者がハンドル(ステアリングホイール)に加える操舵トルクに応じて電動モータを駆動することにより車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置が用いられている。電動パワーステアリング装置の電動モータには従来からブラシモータが広く使用されているが、信頼性および耐久性の向上や慣性の低減などの観点から、近年ではブラシレスモータも使用されている。
一般にモータ制御装置は、モータで発生するトルクを制御するために、モータに流れる電流を検出し、モータに供給すべき電流と検出した電流との差に基づきPI制御(比例積分制御)を行う。3相ブラシレスモータを駆動するモータ制御装置には、2相以上の電流を検出するために、2個または3個の電流センサが設けられる。
なお、本願発明に関連して、特許文献1には、モータの回路方程式を用いてd軸指令電圧とq軸指令電圧を求めることが開示されている。また、特許文献2には、モータの温度に応じてd軸指令電流を補正することが開示されている。
特開2001−187578号公報 特開2000−184773号公報
電動パワーステアリング装置に含まれるモータ制御装置では、電流センサは100A以上の大電流を検出する必要がある。この電流センサは、サイズが大きく、電動パワーステアリング装置の制御装置の小型化を妨げている。このため、電動パワーステアリング装置などに含まれるモータ制御装置では、電流センサの削減が課題とされている。電流センサを削減できれば、モータ制御装置のコストや消費電力も低減できる。
電流センサを削減する方法としては、電流センサを1個に削減し、従来と同様のフィードバック制御を行う方法や、電流センサをすべて除去し、モータの回路方程式に従いオープンループ制御(フィードフォワード制御)を行う方法などが考えられる。
しかしながら、前者の方法には、モータのロータの回転位置によっては、1個の電流センサではフィードバック制御に必要な複数相の電流を検出できないことがあり、モータの制御が不連続になるという問題がある。また、後者の方法には、モータの回路方程式に含まれるパラメータが変動すると、モータを正しく駆動できなくなるという問題がある。
それ故に、本発明は、モータ駆動電圧算出時のパラメータが変動するときでも高い精度でモータを駆動できるモータ制御装置、および、これを備えた電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、モータを駆動するモータ制御装置であって、
前記モータの駆動に用いられる指令電圧のレベルを求める制御手段と、
前記制御手段で求めたレベルの電圧を用いて前記モータを駆動するモータ駆動手段と、
前記モータに流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段で検出された電流値に基づき、前記指令電圧のレベルを求めるときに使用するパラメータを求めるパラメータ算出手段とを備え、
前記制御手段は、前記モータに供給すべき電流の量を示す指令電流値と前記モータのロータの角速度とに基づき、モータの回路方程式に従い前記指令電圧のレベルを求めるオープンループ制御手段を含み、
前記パラメータ算出手段は、前記電流検出手段で検出された電流値に基づき、モータの回路方程式に含まれる複数のパラメータのうちの1つを、前記回路方程式または前記回路方程式の近似式により求め、
前記パラメータ算出手段は、前記電流検出手段で検出された電流値に基づき、モータの回路方程式に含まれる電機子巻線抵抗を含む回路抵抗の変化による影響を無視できる場合にモータの回路方程式に含まれる電機子巻線鎖交磁束数を求め、前記電機子巻線鎖交磁束数の変化による影響を無視できる場合に前記電機子巻線抵抗を含む回路抵抗を求め、かつ、前記電機子巻線鎖交磁束数を求める場合と、前記回路抵抗を求める場合とが、前記検出された電流値に基づき算出されるd−q座標系におけるq軸検出電流値の変化によってヒステリシスを持って切り替わるよう、前記q軸検出電流値が所定の第1の閾値よりも小さい場合に前記電機子巻線鎖交磁束数を求め、前記q軸検出電流値が前記第1の閾値より大きい第2の閾値よりも大きい場合に前記回路抵抗を求め、前記q軸検出電流値が前記第1の閾値以上前記第2の閾値以下である場合には前記電機子巻線鎖交磁束数および前記回路抵抗のうちの直前に求められた方を求めることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、
前記制御手段は、
前記指令電流値と前記電流検出手段で検出された電流値との差に比例積分演算を施して前記指令電圧のレベルを求めるフィードバック制御手段と、
前記フィードバック制御手段で求めた指令電圧のレベルと、前記オープンループ制御手段で求めた指令電圧のレベルとを切り替えて出力する指令電圧選択手段とをさらに含むことを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明において、
前記指令電圧選択手段は、前記電流検出手段が正常に動作しているときには、前記フィードバック制御手段で求めた指令電圧のレベルを出力し、前記電流検出手段が故障したときには、前記オープンループ制御手段で求めた指令電圧のレベルを出力し、
前記パラメータ算出手段は、前記電流検出手段が正常に動作している間に、モータの回路方程式に含まれるパラメータを求めることを特徴とする。
第4の発明は、第1の発明において、
前記制御手段は、
前記パラメータ算出手段により求められた前記電機子巻線鎖交磁束数を次元変換することにより現在のトルク定数を算出する次元変換手段と、
前記次元変換手段から前記現在のトルク定数を受け取り、前記現在のトルク定数で前記モータに生じるべき目標となるトルク値を除算した値に相当する前記モータに供給すべき電流の量を示す指令電流値を求める指令電流値算出手段と
を含むことを特徴とする。
第5の発明は、第1の発明において、
前記モータに加わる電圧に対応する電圧を検出する電圧検出手段をさらに備え、
前記モータ駆動手段は、
複数のスイッチング素子を有し、前記複数のスイッチング素子がオン・オフされることにより前記モータに電流を供給するスイッチング回路と、
前記制御手段で求めたレベルの電圧と前記電圧検出手段で検出される電圧とを用いて前記複数のスイッチング素子をオン・オフするモータ電圧決定手段と
を含み、
前記電圧検出手段は、前記モータを駆動するための電源のプラス側に接続される前記スイッチング回路の一端から前記電源のプラス側までの経路上の一点と、前記電源のマイナス側に接続される前記スイッチング回路の他端から前記電源のマイナス側までの経路上の他点との間の電圧を測定することを特徴とする。
第6の発明は、第1〜第5のいずれかの発明において、
前記モータ駆動手段は、複数のスイッチング素子を有し、前記モータに電流を供給するスイッチング回路を含み、
前記電流検出手段は、前記スイッチング回路と電源との間に1個だけ設けられていることを特徴とする。
第7の発明は、第1〜第6のいずれかの発明に係るモータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置である。
上記第1の発明によれば、電流検出手段で検出された電流値に基づき、指令電圧のレベルを求めるときに使用するパラメータが求められる。したがって、このパラメータが製造ばらつきや温度変化などによって変動するときでも、高い精度でモータを駆動し、所望のモータ出力を得ることができる。さらに、モータの回路方程式に従いオープンループ制御を行う場合に、モータの回路方程式に含まれるパラメータである電機子巻線鎖交磁束数および電機子巻線抵抗を含む回路抵抗が製造ばらつきや温度変化などによって変動するときでも、高い精度でモータを駆動し、所望のモータ出力を得ることができる。
また上記第1の発明によれば、パラメータ算出手段によって、モータの回路方程式に含まれる電機子巻線抵抗を含む回路抵抗または電機子巻線鎖交磁束数のうちの一方の値の変化による影響を無視できる場合に他方の値が求められるので、双方の値をともに正確に求めることができる。
さらに電機子巻線鎖交磁束数を求める場合と、回路抵抗を求める場合とがヒステリシスを持って切り替わるので、短い時間で入れ替わらないようにすることができ、値を正確に求めることができる。
上記第2の発明によれば、フィードバック制御とオープンループ制御を切り替え、フィードバック制御およびオープンループ制御を行うときでも、高い精度でモータを駆動し、所望のモータ出力を得ることができる。
上記第3の発明によれば、電流検出手段が正常に動作している間は、フィードバック制御を行い、高い精度でモータを駆動することができる。また、電流検出手段が故障し、フィードバック制御を行えないときには、フィードバック制御を行っている間に求めたパラメータを用いてオープンループ制御を行うことにより、高い精度でモータを駆動することを継続でき、所望のモータ出力を得ることができる。
上記第4の発明によれば、次元変換手段により算出される現在のトルク定数を使用して指令電流値が求められるので、装置毎の個体差があり、また温度変化に応じて変化するトルク定数に、予め定められた固定値ではなく現在の値を使用することができる。したがって、指令電流によっても必要なアシストトルクが得られずそのことにより制御が不安定になることを抑制することができる。
上記第5の発明によれば、電圧検出手段によりモータに加わる電圧に対応する電圧が検出されるので、スイッチング回路に含まれる複数のスイッチング素子のオン・オフ(典型的にはPWM信号のデューティー比)を定める基準となる電圧を正確に取得することできるので、制御を正確に安定して行うことができる。
上記第6の発明によれば、電流検出手段を削減することにより、モータ制御装置の小型化、低コスト化および低消費電力化が可能となる。
上記第7の発明によれば、指令電圧のレベルを求めるときに使用するパラメータが製造ばらつきや温度変化などによって変動するときでも、高い精度でモータを駆動し、所望のモータ出力を得ることができるので、スムーズな操舵補助が可能となる。
図1は、本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を、それに関連する車両の構成と共に示す概略図である。図1に示す電動パワーステアリング装置は、ブラシレスモータ1、減速機2、トルクセンサ3、車速センサ4、位置検出センサ5、および、電子制御ユニット(Electronic Control Unit :以下、ECUという)10を備えたコラムアシスト型の電動パワーステアリング装置である。
図1に示すように、ステアリングシャフト102の一端にはハンドル(ステアリングホイール)101が固着されており、ステアリングシャフト102の他端はラックピニオン機構103を介してラック軸104に連結されている。ラック軸104の両端は、タイロッドおよびナックルアームからなる連結部材105を介して車輪106に連結されている。運転者がハンドル101を回転させると、ステアリングシャフト102は回転し、これに伴いラック軸104は往復運動を行う。ラック軸104の往復運動に伴い、車輪106の向きが変わる。
電動パワーステアリング装置は、運転者の負荷を軽減するために、以下に示す操舵補助を行う。トルクセンサ3は、ハンドル101の操作によってステアリングシャフト102に加えられる操舵トルクTを検出する。車速センサ4は、車速Sを検出する。位置検出センサ5は、ブラシレスモータ1のロータの回転位置Pを検出する。位置検出センサ5は、例えばレゾルバで構成される。
ECU10は、車載バッテリ100から電力の供給を受け、操舵トルクT、車速Sおよび回転位置Pに基づきブラシレスモータ1を駆動する。ブラシレスモータ1は、ECU10によって駆動されると、操舵補助力を発生させる。減速機2は、ブラシレスモータ1とステアリングシャフト102との間に設けられる。ブラシレスモータ1で発生した操舵補助力は、減速機2を介して、ステアリングシャフト102を回転させるように作用する。
この結果、ステアリングシャフト102は、ハンドル101に加えられる操舵トルクと、ブラシレスモータ1で発生した操舵補助力の両方によって回転する。このように電動パワーステアリング装置は、ブラシレスモータ1で発生した操舵補助力を車両のステアリング機構に与えることにより操舵補助を行う。
本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置は、ブラシレスモータ1を駆動する制御装置(モータ制御装置)に特徴がある。そこで以下では、各実施形態に係る電動パワーステアリング装置に含まれるモータ制御装置について説明する。
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。図2に示すモータ制御装置は、ECU10を用いて構成されており、u相、v相およびw相の3相巻線(図示せず)を有するブラシレスモータ1を駆動する。ECU10は、位相補償器11、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと略称する)20、3相/PWM(Pulse Width Modulation)変調器12、モータ駆動回路13、および、電流センサ14を備えている。
ECU10には、トルクセンサ3から出力された操舵トルクT、車速センサ4から出力された車速S、および、位置検出センサ5から出力された回転位置Pが入力される。位相補償器11は、操舵トルクTに対して位相補償を施す。マイコン20は、ブラシレスモータ1の駆動に用いられる指令電圧のレベルを求める制御手段として機能する。マイコン20の機能の詳細については、後述する。
3相/PWM変調器12とモータ駆動回路13は、ハードウェア(回路)で構成されており、マイコン20で求めたレベルの電圧を用いてブラシレスモータ1を駆動するモータ駆動手段として機能する。3相/PWM変調器12は、マイコン20で求めた3相の電圧のレベルに応じたデューティー比を有する3種類のPWM信号(図2に示すU、V、W)を生成する。モータ駆動回路13は、スイッチング素子として6個のMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor )を含むPWM電圧形インバータ回路である。6個のMOS−FETは、3種類のPWM信号とその否定信号によって制御される。PWM信号を用いてMOS−FETの導通状態を制御することにより、ブラシレスモータ1に対して3相の駆動電流(U相電流、V相電流およびW相電流)が供給される。このようにモータ駆動回路13は、複数のスイッチング素子を有し、ブラシレスモータ1に電流を供給するスイッチング回路として機能する。
電流センサ14は、ブラシレスモータ1に流れる電流を検出する電流検出手段として機能する。電流センサ14は、例えば抵抗体やホール素子で構成され、モータ駆動回路13と電源の間に1個だけ設けられる。図2に示す例では、電流センサ14はモータ駆動回路13と電源のマイナス側(接地)との間に設けられているが、電流センサ14をモータ駆動回路13と電源のプラス側との間に設けてもよい。
ブラシレスモータ1が回転している間、電流センサ14で検出される電流値は、PWM信号に応じて変化する。PWM信号の1周期内では、電流センサ14によって1相の駆動電流が検知されるときと、2相の駆動電流の和が検知されるときとがある。3相の駆動電流の和はゼロになるので、2相の駆動電流の和に基づき、残り1相の駆動電流を求めることができる。したがって、ブラシレスモータ1が回転している間、1個の電流センサ14を用いて3相の駆動電流を検出することができる。電流センサ14で検出された電流値ia は、マイコン20に入力される。
マイコン20は、ECU10に内蔵されたメモリ(図示せず)に格納されたプログラムを実行することにより、指令電流算出部21、オープンループ制御部22、dq軸/3相変換部23、角度算出部24、角速度算出部25、および、Φ算出部26として機能する。マイコン20は、以下に示すように、ブラシレスモータ1に供給すべき電流の量を示す指令電流値とブラシレスモータ1のロータの角速度とに基づき、モータの回路方程式に従い、モータ駆動回路13に与えるべき電圧(以下、指令電圧という)のレベルを求める。
角度算出部24は、位置検出センサ5で検出した回転位置Pに基づき、ブラシレスモータ1のロータの回転角(以下、角度θという)を求める。角速度算出部25は、角度θに基づき、ブラシレスモータ1のロータの角速度ωe を求める。なお、図3に示すようにブラシレスモータ1に対してu軸、v軸およびw軸を設定し、ブラシレスモータ1のロータ6に対してd軸およびq軸を設定したとき、u軸とd軸のなす角が角度θとなる。
指令電流算出部21は、位相補償後の操舵トルクT(位相補償器11の出力信号)と車速Sに基づき、ブラシレスモータ1に供給すべきd軸電流とq軸電流を求める(以下、前者をd軸指令電流id *、後者をq軸指令電流iq *という)。より詳細には、指令電流算出部21は、車速Sをパラメータとして、操舵トルクTと指令電流との対応づけを記憶したテーブル(以下、アシストマップという)を内蔵しており、アシストマップを参照して指令電流を求める。アシストマップを用いることにより、ある強さの操舵トルクが与えられたときに、その強さに応じた適切な強さの操舵補助力を発生させるためにブラシレスモータ1に供給すべきd軸指令電流id *とq軸指令電流iq *を求めることができる。
なお、指令電流算出部21で求めるq軸指令電流iq *は符号付きの電流値であり、その符号は操舵補助の方向を示す。例えば、符号がプラスのときには右方向へ曲がるための操舵補助が行われ、符号がマイナスのときには左方向へ曲がるための操舵補助が行われる。また、d軸指令電流id *は、典型的にはゼロに設定される。
オープンループ制御部22は、d軸指令電流id * 、q軸指令電流iq * および角速度ωe に基づき、ブラシレスモータ1に供給すべきd軸電圧とq軸電圧を求める(以下、前者をd軸指令電圧vd 、後者をq軸指令電圧vq という)。d軸指令電圧vd とq軸指令電圧vq は、次式(1)と(2)に示すモータの回路方程式を用いて算出される。
d=(R+PLd)id *−ωeqq * …(1)
q=(R+PLq)iq *+ωedd *+ωeΦ …(2)
ただし、式(1)と(2)において、vd はd軸指令電圧、vq はq軸指令電圧、id *はd軸指令電流、iq *はq軸指令電流、ωe はロータの角速度、Rは電機子巻線抵抗を含む回路抵抗、Ld はd軸の自己インダクタンス、Lq はq軸の自己インダクタンス、ΦはU、V、W相電機子巻線鎖交磁束数の最大値の√(3/2)倍、Pは微分演算子である。このうちR、Ld 、Lq およびΦは、既知のパラメータとして扱われる。なお、上記回路抵抗には、ブラシレスモータ1とECU10との間の配線抵抗やECU10内でのモータ駆動回路13の抵抗および配線抵抗などが含まれ、以下の実施形態でも同様である。
dq軸/3相変換部23は、オープンループ制御部22で求めたd軸指令電圧vd とq軸指令電圧vq を3相交流座標軸上の指令電圧に変換する。より詳細には、dq軸/3相変換部23は、d軸指令電圧vd とq軸指令電圧vq に基づき、次式(3)〜(5)を用いてu相指令電圧Vu 、v相指令電圧Vv およびw相指令電圧Vw を求める。
u=√(2/3)×{vd×cosθ−vq×sinθ} …(3)
v=√(2/3)×{vd×cos(θ−2π/3)
−vq×sin(θ−2π/3)} …(4)
w=−Vu−Vv …(5)
なお、式(3)と(4)に含まれる角度θは、角度算出部24で求めたものである。
このようにマイコン20は、dq座標軸上の指令電流id * 、iq * を求める処理と、モータの回路方程式に従いdq座標軸上の指令電圧vd 、vq を求める処理と、指令電圧vd 、vq を3相の指令電圧Vu 、Vv 、Vw に変換する処理とを行う。3相/PWM変調器12は、マイコン20で求めた3相の指令電圧Vu 、Vv 、Vw に基づき、3種類のPWM信号を出力する。これにより、ブラシレスモータ1の3相巻線には、各相の指令電圧に応じた正弦波状の電流が流れ、ブラシレスモータ1のロータは回転する。これに伴い、ブラシレスモータ1の回転軸には、ブラシレスモータ1を流れる電流に応じたトルクが発生する。発生したトルクは、操舵補助に用いられる。
Φ算出部26には、電流センサ14で検出された電流値ia と、角度算出部24で算出された角度θと、角速度算出部25で算出された角速度ωe とが入力される。Φ算出部26は、まず電流値ia に基づきブラシレスモータ1に流れるu相とv相の電流を求め(以下、前者をu相検出電流iu 、後者をv相検出電流iv という)、これらをdq座標軸上の電流値に変換する。より詳細には、Φ算出部26は、u相検出電流iu とv相検出電流iv に基づき、次式(6)と(7)を用いてd軸検出電流id とq軸検出電流iq を求める。
d=√2×{iv×sinθ−iu×sin(θ−2π/3)} …(6)
q=√2×{iv×cosθ−iu×cos(θ−2π/3)} …(7)
なお、式(6)と(7)に含まれる角度θは、角度算出部24で求めたものである。
次に、Φ算出部26は、ωe ≠0のときに、q軸指令電圧vq 、d軸検出電流id 、q軸検出電流iq および角速度ωe に基づき、次式(8a)を用いて式(2)に含まれる電機子巻線鎖交磁束数Φを求める。
Φ={vq−(R+PLq)iq−ωedd}/ωe …(8a)
なお、式(8a)は、式(2)のd軸指令電流id *とq軸指令電流iq *にd軸検出電流id とq軸検出電流iq を代入し、その式をΦについて解いたものである。
Φ算出部26は、求めたΦ値をオープンループ制御部22に対して出力する。オープンループ制御部22は、式(2)を用いてq軸指令電圧vq を求めるときに、Φ算出部26で算出されたΦ値を使用する。このようにマイコン20は、モータの回路方程式に含まれる電機子巻線鎖交磁束数Φを求め、q軸指令電圧vq を求めるときにはそのΦ値を使用する。
Φ算出部26は、演算を簡素化するために、式(8a)に代えて次式(8b)や(8c)を使用してもよい。
Φ=(vq−Riq−ωedd)/ωe …(8b)
Φ=(vq−Riq)/ωe …(8c)
式(8b)は式(8a)から微分項を省略したものであり、式(8c)は式(8b)からid を含む項を省略したものである。
Φ算出部26は、ωe ≠0である限り、任意のタイミングでΦ値を求めてもよい。Φ算出部26は、例えば、所定の時間間隔でΦ値を求めてもよく、ブラシレスモータ1の駆動開始後に1回だけΦ値を求めてもよく、温度などの状態が変化したときにΦ値を求めてもよい。また、ωe がゼロに近いときに求めたΦ値には誤差が発生しやすいので、Φ算出部26は、ωe が所定の閾値以上であるときに限りΦ値を求めることとしてもよい。
以上に示すように、本実施形態に係るモータ制御装置は、指令電流値とロータの角速度とに基づき、モータの回路方程式に従いオープンループ制御により指令電圧を求めると共に、電流センサで検出した電流値に基づきモータの回路方程式に含まれるΦを求め、指令電圧を求めるときにはそのΦ値を使用する。
したがって、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、モータの回路方程式に含まれるΦ値が製造ばらつきや温度変化によって変動するときでも、電流センサで検出した電流値に基づきΦ値を求めることにより、高い精度でブラシレスモータを駆動し、所望のモータ出力を得ることができる。
また、本実施形態に係るモータ制御装置には、電流センサは1個だけ設けられている。したがって、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、電流センサを削減することにより、モータ制御装置の小型化、低コスト化および低消費電力化が可能となる。
また、本実施形態に係るモータ制御装置はオープンループ制御を行うので、1個の電流センサを用いてフィードバック制御を行うモータ制御装置とは異なり、モータの制御が不連続にならない。したがって、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、音や振動を抑制することができる。
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。図4に示すモータ制御装置は、第1の実施形態に係るモータ制御装置において、Φ算出部26を含むマイコン20をR算出部28を含むマイコン27に置換したものである。以下、この実施形態の各構成要素のうち、先に述べた実施形態と同一の要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
R算出部28には、Φ算出部26と同様に、電流センサ14で検出された電流値ia と、角度算出部24で算出された角度θと、角速度算出部25で算出された角速度ωe とが入力される。R算出部28は、まず電流値ia に基づきu相検出電流iu とv相検出電流iv を求め、これらを式(6)と(7)を用いてdq座標軸上の電流値に変換する。
次に、R算出部28は、iq ≠0のときに、q軸指令電圧vq 、d軸検出電流id 、q軸検出電流iq および角速度ωe に基づき、次式(9a)を用いて式(1)と(2)に含まれる電機子巻線抵抗を含む回路抵抗Rを求める。
R=(vq−PLqq−ωedd−ωeΦ)/iq …(9a)
なお、式(9a)は、式(2)のd軸指令電流id *とq軸指令電流iq *にd軸検出電流id とq軸検出電流iq を代入し、その式をRについて解いたものである。
R算出部28は、求めたR値をオープンループ制御部22に対して出力する。オープンループ制御部22は、式(1)と(2)を用いてd軸指令電圧vd とq軸指令電圧vq を求めるときに、R算出部28で算出されたR値を使用する。このようにマイコン27は、モータの回路方程式に含まれる電機子巻線抵抗を含む回路抵抗Rを求め、d軸指令電圧vd とq軸指令電圧vq を求めるときにはそのR値を使用する。
R算出部28は、演算を簡素化するために、式(9a)に代えて次式(9b)や(9c)を使用してもよい。
R=(vq−ωedd−ωeΦ)/iq …(9b)
R=(vq−ωeΦ)/iq …(9c)
式(9b)は式(9a)から微分項を省略したものであり、式(9c)は式(9b)からid を含む項を省略したものである。
R算出部28は、iq ≠0である限り、任意のタイミングでR値を求めてもよい。R算出部28は、例えば、所定の時間間隔でR値を求めてもよく、ブラシレスモータ1の駆動開始後に1回だけR値を求めてもよく、温度などの状態が変化したときにR値を求めてもよい。また、iq がゼロに近いときに求めたR値には誤差が発生しやすいので、R算出部28は、iq が所定の閾値以上であるときに限りR値を求めることとしてもよい。
以上に示すように、本実施形態に係るモータ制御装置は、指令電流値とロータの角速度とに基づき、モータの回路方程式に従いオープンループ制御により指令電圧を求めると共に、電流センサで検出した電流値に基づきモータの回路方程式に含まれるRを求め、指令電圧を求めるときにはそのR値を使用する。
したがって、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、第1の実施形態に係るモータ制御装置と同様に、モータの回路方程式に含まれるR値が製造ばらつきや温度変化によって変動するときでも、電流センサで検出した電流値に基づきR値を求めることにより、高い精度でブラシレスモータを駆動し、所望のモータ出力を得ることができる。
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。図5に示すモータ制御装置は、第1の実施形態に係るモータ制御装置においてマイコン20と電流センサ14をマイコン30と電流センサ15に置換したものである。このモータ制御装置は、電流センサ15が正常に動作しているときにはフィードバック制御を行い、電流センサ15が故障したときにはオープンループ制御を行う。
電流センサ15は、ブラシレスモータ1に供給される3相の駆動電流が流れる経路上に1個ずつ設けられ、3相の駆動電流を個別に検出する。電流センサ15で検出された3相の電流値(以下、u相検出電流iu 、v相検出電流iv およびw相検出電流iw という)は、マイコン30に入力される。
マイコン30は、マイコン20に対して、3相/dq軸変換部31、減算部32、フィードバック制御部33、故障監視部34、および、指令電圧選択部35を追加したものである。3相/dq軸変換部31は、電流センサ15で検出されたu相検出電流iu とv相検出電流iv に基づき、式(6)と(7)を用いてd軸検出電流id とq軸検出電流iq を求める。
減算部32は、d軸指令電流id *とd軸検出電流id の偏差Ed 、および、q軸指令電流iq *とq軸検出電流iq の偏差Eq を求める。フィードバック制御部33は、偏差Ed 、Eq に対して次式(10)と(11)に示す比例積分演算を施して、d軸指令電圧vd #とq軸指令電圧vq #を求める。
d #=K×{Ed+(1/T)∫Ed・dt} …(10)
q #=K×{Eq+(1/T)∫Eq・dt} …(11)
ただし、式(10)と(11)において、Kは比例ゲイン定数であり、Tは積分時間である。
故障監視部34は、電流センサ15で検出された3相の電流値が正常範囲内にあるか否かを調べ、電流センサ15が正常に動作しているか、故障しているかを判断する。故障監視部34は、3相の電流値がすべて正常範囲内にあるときには「正常」と判断し、1相以上の電流値が正常範囲外にあるときには「故障」と判断する。故障監視部34は、判断結果を示す制御信号を出力する。
指令電圧選択部35は、故障監視部34で正常と判断されたときには、フィードバック制御部33で求めたd軸指令電圧vd #とq軸指令電圧vq #を出力し、故障監視部34で故障と判断されたときには、オープンループ制御部22で求めたd軸指令電圧vd とq軸指令電圧vq を出力する。
電流センサ15が正常に動作しているときには、故障監視部34は正常と判断し、指令電圧選択部35はフィードバック制御部33の出力を選択する。このとき、指令電流算出部21、dq軸/3相変換部23、角度算出部24、3相/dq軸変換部31、減算部32およびフィードバック制御部33が動作し、フィードバック制御が行われる。これに加えて、電流センサ15が正常に動作している間に、角速度算出部25とΦ算出部26も動作する。Φ算出部26は、電流センサ15が正常に動作している間に、式(8a)などを用いて式(2)に含まれる電機子巻線鎖交磁束数Φを求める。
その後、電流センサ15が故障すると、故障監視部34は故障と判断し、指令電圧選択部35は、オープンループ制御部22の出力を選択する。このとき、指令電流算出部21、オープンループ制御部22、dq軸/3相変換部23および角度算出部24が動作し、オープンループ制御が行われる。オープンループ制御部22は、電流センサ15が正常に動作している間に求められたΦ値を用いて、d軸指令電圧vd とq軸指令電圧vq を求める。
以上に示すように、本実施形態に係るモータ制御装置は、電流センサが正常に動作しているときには、指令電流値と電流センサで検出された電流値との差に比例積分演算を施して指令電圧を求め、電流センサが故障したときには、指令電流値とロータの角速度とに基づき、モータの回路方程式に従い指令電圧を求めオープンループ制御を行う。また、オープンループ制御を行うときには、電流センサが正常に動作している間に求めたΦ値(電機子巻線鎖交磁束数Φ)が使用される。
したがって、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、電流センサが正常に動作している間は、フィードバック制御を行い、高い精度でブラシレスモータを駆動することができる。また、電流センサが故障し、フィードバック制御を行えないときには、フィードバック制御を行っている間に求めた電機子巻線鎖交磁束数Φを用いてオープンループ制御を行うことにより、高い精度でブラシレスモータを駆動し、所望のモータ出力を得ることができる。
図5に示すモータ制御装置については、図6に示す変形例を構成することができる。図6に示すモータ制御装置は、図5に示すモータ制御装置において、Φ算出部26を含むマイコン30をR算出部28を含むマイコン36に置換したものである。図6に示すモータ制御装置の動作は、これまでの説明から明らかであるので、ここでは説明を省略する。図6に示すモータ制御装置によれば、図5に示すモータ制御装置と同様の効果が得られる。
各実施形態に係るモータ制御装置では、式(1)などに含まれるLd とLq を指令電流や検出電流などに基づき演算で求めてもよく、Ld とLq に同じ値を使用してもよい(例えば、円筒型のモータの場合)。また、第1および第2の実施形態に係るモータ制御装置に、各相の駆動電流を個別に検出するために、複数の電流センサを設けてもよい。また、第3の実施形態に係るモータ制御装置では、上記以外の判断によって(例えば、運転者の選択によって)フィードバック制御とオープンループ制御を切り替えてもよい。
以上に示すように、本発明の各実施形態に係るモータ制御装置では、電流センサで検出された電流値に基づき、指令電圧のレベルを求めるときに使用するパラメータを求めるので、このパラメータが製造ばらつきや温度変化などによって変動するときでも、高い精度でモータを駆動し、所望のモータ出力を得ることができる。したがって、このモータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置によれば、スムーズな操舵補助が可能となる。
なお、本発明は、上述したコラムアシスト型の電動パワーステアリング装置だけでなく、ピニオンアシスト型やラックアシスト型の電動パワーステアリング装置にも適用できる。また、本発明は、電動パワーステアリング装置以外のモータ制御装置にも適用できる。
(各実施形態の変形例)
上記第1の実施形態では、Φ算出部26は、角速度ωe が所定の閾値以上であるときに限りΦ値を求めることとしてもよいとし、上記第2の実施形態では、R算出部28は、q軸検出電流iq が所定の閾値以上であるときに限りR値を求めることとしてもよいとした。しかし、いずれの実施形態においてもΦ値とR値とを同時に求めることはできず、また異なる時点で求めた両値の関係から連立方程式を解くことにより求める方法も検出電流が大きく変化しない等の問題があることから実際的ではない。そのため、常に両値を正しく求めることは極めて困難である。
そこで、本変形例では、図7に示すように上記実施形態におけるΦ算出部26に相当するΦ算出部46およびR算出部28に相当するR算出部48が同時に備えられ、両値のうちの一方の値の変化による影響が小さい場合にはその一方の値の変化によって生じる算出値に対する影響を無視することができるので、その場合に他方の値を算出する動作が行われる。そうすれば、両値とも正確に算出することが可能となる。その算出法としては以下の3つが考えられる。
まず、第1の算出法として、q軸電流が小さい領域ではΦ値を算出し、q軸電流が大きい領域ではR値を算出する。これは上式(8a)〜(8c)を参照すればわかるように、R値はq軸検出電流iq と必ず乗算されるので、q軸検出電流iq が小さければ、R値の大小に関わらずΦ値を正確に求めることができるからである。例えば、角速度ωe がゼロでない場合において、q軸検出電流iq が所定の閾値未満(例えば10A未満)であるときには、上式(8a)〜(8c)のいずれかに基づいてΦ算出部46がΦ値を算出し、q軸検出電流iq が上記閾値以上(例えば10A以上)であるときには、上式(9a)〜(9c)のいずれかに基づいてR算出部48がR値を算出する。そうすれば、Φ値とR値とをそれぞれ正確に求めることができる。
なお、上記閾値に比較されるq軸検出電流iq に代えて、q軸指令電流iq *やq軸推定電流等が使用されてもよい。また、角速度ωe がゼロに近いときに求めた値には誤差が発生しやすいので、角速度ωe が所定の閾値以上であるときに限りΦ値とR値とを求めることにしてもよい。
ここで、上記閾値近傍ではq軸検出電流iq がわずかに大小変化するだけでΦ値が算出される場合とR値が算出される場合とが入れ替わるように変化する。よって、短い時間に交互に値の算出が繰り返される場合、Φ値およびR値は正確な値から離れてしまうことがある。そこで、Φ値が算出される場合とR値が算出される場合とが短い時間で入れ替わらないよう、1つの閾値ではなくヒステリシス特性を持たせるよう(典型的には)2つの閾値を設定してもよい。
例えば、q軸検出電流iq が第2の閾値未満(例えば15A未満)であるときにはΦ算出部46がΦ値を算出するが、当該時点でR算出部48がR値を算出している場合には、第2の閾値より小さい第1の閾値未満(例えば5A未満)であるときに限ってΦ算出部46がΦ値を算出し、それまではR算出部48がR値を算出する。なお、ここではオープンループ制御部22を介してΦ算出部46はR算出部48により算出されたR値を受け取り、R算出部48がR値を算出している場合であるか否かを判別するものとする。
また逆に、q軸検出電流iq が第1の閾値以上であるときにはR算出部48がR値を算出するが、当該時点でΦ算出部46がΦ値を算出している場合には、第2の閾値以上であるときに限ってR算出部48がR値を算出し、それまではΦ算出部46がΦ値を算出する。なお、ここではオープンループ制御部22を介してR算出部48はΦ算出部46により算出されたΦ値を受け取り、Φ算出部46がΦ値を算出している場合であるか否かを判別するものとする。
このようにヒステリシス特性を有するよう閾値を設定することにより、q軸検出電流iq が第1の閾値から第2の閾値までまたはその逆に変化するまではΦ値が算出される場合とR値が算出される場合とが入れ替わらないようにすることができる。このことにより、Φ値とR値とをそれぞれ正確に求めることができる。
なお、このようなヒステリシス特性を持たせるための構成には特に限定がなく、例えばΦ算出部46またはR算出部48のいずれか一方のみがヒステリシス特性を持って動作するようこれらを制御する切り替え部が設けられてもよいし、Φ算出部46およびR算出部48は、他方の構成要素が値を算出している場合か否かを個々に判別してもよい。
次に、第2の算出方法として、ロータの角速度が小さい領域ではR値を算出し、角速度が大きい領域ではΦ値を算出する。これは上式(9a)〜(9c)を参照すればわかるように、Φ値は角速度ωe と必ず乗算されるので、角速度ωe が小さければ、Φ値の大小に関わらずR値を正確に求めることができるからである。例えば、q軸検出電流iq が0でない場合において、角速度ωe が閾値未満(例えば100rpm未満)であるときには、上式(9a)〜(9c)のいずれかに基づいてR算出部48がR値を算出し、角速度ωe が上記閾値以上(例えば100rpm以上)であるときには、上式(8a)〜(8c)のいずれかに基づいてΦ算出部46がΦ値を算出する。そうすれば、Φ値とR値とをそれぞれ正確に求めることができる。
なお、上記閾値は、電源電圧の変化に応じた適宜の値になるよう再設定されてもよい。また、q軸検出電流iq がゼロに近いときに求めた値には誤差が発生しやすいので、q軸検出電流iq が所定の閾値以上であるときに限りΦ値とR値とを求めることとしてもよい。
ここで、上記第2の算出方法においても第1の算出方法の場合と同様、上記閾値近傍では角速度ωe が少し変化するだけでΦ値が算出される場合とR値が算出される場合とが入れ替わるように変化するので、短い時間に交互に値の算出が繰り返される場合、Φ値およびR値は正確な値から離れてしまうことがある。そこで、同様に1つの閾値ではなくヒステリシス特性を持たせるよう2つの閾値を設定してもよい。例えば、角速度ωe が第2の閾値未満(例えば150rpm未満)であるときにはR算出部48がR値を算出するが、当該時点でΦ算出部46がΦ値を算出している場合には、第2の閾値より小さい第1の閾値未満(例えば50rpm未満)であるときに限ってR算出部48がR値を算出し、それまではΦ算出部46がΦ値を算出する。また逆に、角速度ωe が第1の閾値以上であるときにはΦ算出部46がΦ値を算出するが、当該時点でR算出部48がR値を算出している場合には、第2の閾値以上であるときに限ってΦ算出部46がΦ値を算出し、それまではR算出部48がR値を算出する。このようにヒステリシス特性を有するよう閾値を設定することにより、Φ値とR値とをそれぞれ正確に求めることができる。
最後に、第3の算出方法として、上式(2)のd軸指令電流id *とq軸指令電流iq *にd軸検出電流id とq軸検出電流iq を代入した式におけるR値の項(R+PLq)iqとΦ値の項ωeΦ とを比較し、R値の項の方が大きい領域ではR値を算出し、Φ値の項の方が大きい領域ではΦ値を算出する。一方の値が他方より小さければ大きい他方の値をより正確に求めやすいからである。したがって、(R+PLq)iq≧ωeΦ の不等式を満たす場合にはR算出部48がR値を算出し、(R+PLq)iq<ωeΦ の不等式を満たす場合にはΦ算出部46がΦ値を算出する。そうすれば、Φ値とR値とをそれぞれ正確に求めることができる。なお、R算出部48はΦ値を、Φ算出部46はR値をそれぞれオープンループ制御部22から受け取るものとする。
ここで、この第3の算出方法においても同様に、短い時間に交互に値の算出が繰り返される場合、Φ値およびR値は正確な値から離れてしまうことがある。そこで、同様にヒステリシス特性を持たせるよう以下のような不等式を設定してもよい。例えば、比率係数αを適宜の正の実数とし、比率係数βをαより大きい適宜の正の実数とするとき、(R+PLq)iq・α≧ωeΦ の不等式を満たす場合にはR算出部48がR値を算出するが、当該時点でΦ算出部46がΦ値を算出している場合には、(R+PLq)iq・β≧ωeΦ の不等式を満たす場合に限ってR算出部48がR値を算出し、それまではΦ算出部46がΦ値を算出する。また逆に、(R+PLq)iq・β<ωeΦ の不等式を満たす場合にはΦ算出部46がΦ値を算出するが、当該時点でR算出部48がR値を算出している場合には、(R+PLq)iq・α<ωeΦ の不等式を満たす場合に限ってΦ算出部46がΦ値を算出し、それまではR算出部48がR値を算出する。このようにヒステリシス特性を有するよう所定の比率係数α、βを不等式に設定することにより、Φ値とR値とをそれぞれ正確に求めることができる。なお、不等式の左辺に比率係数α、βを乗算する構成に代えて、ヒステリシス特性を有するよう所定の正の実数を加算してもよい。
なお、上記第1から第3までの算出方法においてΦ算出部46およびR算出部48は、上記条件を満たす限り、任意のタイミングでΦ値およびR値を求めてもよい。Φ算出部46およびR算出部48は、例えば、所定の時間間隔でΦ値およびR値を求めてもよく、ブラシレスモータ1の駆動開始後に1回だけΦ値およびR値を求めてもよく、温度などの状態が変化したときにΦ値およびR値を求めてもよい。また、上記第1から第3までの算出方法における閾値や不等式は、異なる値や条件式が用いられてもよい。
次に、上記第2の実施形態では、R算出部28は、上式(2)のd軸指令電流id *とq軸指令電流iq *にd軸検出電流id とq軸検出電流iq を代入し、その式をRについて解くことを前提にしているが、上式(1)のd軸指令電流id *とq軸指令電流iq *にd軸検出電流id とq軸検出電流iq を代入し、その式をRについて解くことも考えられる。そうすれば、Φ値の影響を全く受けることなく正確にR値を算出することができる。
すなわちR算出部28は、id ≠0のときに、d軸指令電圧vd 、d軸検出電流id 、q軸検出電流iq および角速度ωe に基づき、次式(12a)を用いて式(1)に含まれる電機子巻線抵抗を含む回路抵抗Rを求めてもよい。
R=(vd−PLdd+ωeqq)/id …(12a)
なおR算出部28は、演算を簡素化するために、式(12a)に代えて次式(12b)や(12c)を使用してもよい。
R=(vd+ωeqq)/id …(12b)
R=vd/id …(12c)
式(12b)は式(12a)から微分項を省略したものであり、式(12c)は式(12b)からiq を含む項を省略したものである。
もっとも、d軸検出電流id はモータトルクの発生に寄与しないので一般的にはゼロになるよう制御されることが多いが、本変形例ではd軸検出電流id は0とは異なる値になるよう制御される。この制御は常時なされてもよいし、上記のようにR値を算出する場合に一時的になされてもよい。また、いわゆる弱め磁束制御が行われる場合にはd軸検出電流id を流すよう制御されるので、上記のようにR値を算出する場合の制御方式として好適である。
なお、上記R算出部28は、上記条件を満たす限り、任意のタイミングで、例えば所定の時間間隔でR値を求めてもよく、ブラシレスモータ1の駆動開始後に1回だけ値を求めてもよく、温度などの状態が変化したときにR値を求めてもよい。またq軸検出電流iq がゼロに近いときに求めた値には誤差が発生しやすいので、所定の閾値以上であるときに限り値を求めることとしてもよい。さらに前述したように、式(1)などに含まれるLd とLq を指令電流や検出電流などに基づき演算で求めてもよく、Ld とLq に同じ値を使用してもよい(例えば、円筒型のモータの場合)。さらにまた、第3の実施形態に係るモータ制御装置では、電流センサが正常に動作している間は、フィードバック制御を行い、電流センサが故障し、フィードバック制御を行えないときには、フィードバック制御を行っている間に求めた上記R値を用いてオープンループ制御を行うことにより、高い精度でブラシレスモータを駆動し、所望のモータ出力を得ることができる。
続いて、上記第2の実施形態および変形例において、上記条件を満たす場合であってもR算出部28、48はR値を算出できない場合がある。前述したように、電流センサ14が1つしか設けられておらず、3相の指令電圧Vu 、Vv 、Vw に差がない場合には電流検出ができないからである。しかし、R値は通電による発熱によって変化するので、常に補正(算出)されることが好ましい。また、常に補正されない場合には、補正ができるようになった時点で急にR値が補正されるので、その時点でのトルク変動が大きくなってしまう。このことはトルク変動を抑制することが好ましい電動パワーステアリング装置におけるモータ制御においては特に問題となる。
そこで、常にR値を補正(算出)するため、本変形例におけるR算出部(不図示)は、電流検出が可能な場合には、上記第2の実施形態および上述した変形例におけると同様にR値を算出するとともに、電流検出が不可能な場合には、オープンループ制御部22から受け取ったd軸指令電流id *およびq軸指令電流iq *に基づきR値を算出する。具体的には、(id *2+iq *2)を算出し、この算出値に銅の温度係数を乗算することにより発熱量を算出し、この発熱量から所定の放熱量を差し引くことによって得られる温度上昇量に基づきR値を算出する。そうすれば、電流検出が不可能な場合にも常にR値が補正されるので、上記トルク変動を抑制することができる。
なお、電流検出が不可能な場合における温度上昇量および補正のためのR値の算出は、電流検出が可能な場合においても典型的には一度行われてもよい。そのときに得られる補正のためのR値は上記第2の実施形態および上述した変形例における算出方式により得られる(正しい)R値と比較される。このことにより、装置毎の個体差を修正するための補正値を算出すれば、電流検出が不可能な場合における算出に当該補正値を用いることにより、より正確にR値を算出することができる。
また、上記温度上昇量は実験やシミュレーションなどにより求めてもよいし、R値は(id *2+iq *2)についてあらかじめ求めた近似式により算出されてもよい。さらに、上記R値は各相毎に各相の指示電流に基づき算出されてもよい。さらにまた、電流センサ14が複数設けられる構成であっても電流を検出できない領域がある場合には同様にR値を算出してもよいし、電流センサ14の数とは無関係に、電流センサ14が故障した場合に上記のようにd軸指令電流id *およびq軸指令電流iq *に基づきR値を算出する構成であってもよい。
次に、上記各実施形態における指令電流算出部21は、前述したように車速Sをパラメータとして、操舵トルクTと指令電流との対応づけを記憶したアシストマップを参照して指令電流を求める。このアシストマップにおいて指令電流は、(所定の不感帯および飽和領域を除き)操舵トルクTをアシストマップ作成時に予め定められたモータのトルク定数Ktに基づく値で除算することにより算出される。しかし、このトルク定数Ktは、装置毎の個体差があり、また温度変化に応じてその値が変化する。したがって、指令電流によっても必要なアシストトルクが得られない場合があり、そのことにより制御が不安定になることがある。
そこで、同期モータにおいてトルク定数Ktは電機子巻線鎖交磁束数Φと等しいことから、指令電流算出部21は、上記第1の実施形態におけるΦ算出部26により算出されたΦ[Wb]を次元変換することにより得られる現在のトルク定数Kt’[Nm/A]に基づき指令電流を算出する。この点で指令電流算出部21は、次元変換手段および指令電流値算出手段として機能する。具体的には指令電流算出部21は、上記現在のトルク定数Kt’をアシストマップ作成時に予め定められたトルク定数Ktで除算することにより得られる値(Kt’/Kt)を算出し、アシストマップを参照して求められる指令電流をこの値(Kt’/Kt)で除算する。そうすれば、上記アシストマップを現在のトルク定数Kt’に基づき作成した場合に得られるべき指令電流と同じ指令電流を得ることができるので、温度が変化しても安定した制御を行うことができる。
また、アシストマップを使用する上記構成に代えて、指令電流算出部21は、車速Sをパラメータとして、操舵トルクTと指令トルクTaとの対応づけを記憶したアシストトルクマップを参照して指令トルクTaを求め、この指令トルクTaをΦ算出部26により算出されたΦに基づく現在のトルク定数Kt’で除算した値を指令電流としてもよい。そうすれば、現在のトルク定数Kt’に基づいて指令電流を得ることができるので、温度が変化しても安定した制御を行うことができる。
なお、上記現在のトルク定数Kt’の算出は、前述と同様に任意のタイミング、例えば、所定の時間間隔で求めてもよいし、温度などの状態が変化したときに求めてもよい。また、このように現在のトルク定数Kt’を算出する構成は、電動パワーステアリング装置におけるモータ制御に限定されず、トルク制御を行うモータ制御全般に広く用いることができる。
続いて、上記第1および第2の実施形態において、電流センサ14は、図2および図4に示すようにモータ駆動回路13と電源のマイナス側(接地)との間に設けられているため、電流センサ14内のシャント抵抗や配線抵抗などに印加される電圧が存在することにより、電源電圧がそのままモータに印加される電圧となるわけではない。従って、実際にモータに印加される電源電圧部分はPWM信号のデューティ比を定める基準となる電圧であり、これを正確に取得する必要がある。そこで、本変形例では、実際にモータに印加される電源電圧部分を検出する手段(電圧センサなど)を設け、これによりPWM信号のデューティ比を定める基準となる電圧を正確に取得することができるので、制御を正確に安定して行うことができる。なお、このことは電流センサ14をモータ駆動回路13と電源のプラス側との間に設ける場合であっても同様である。そこで、本変形例では、モータ駆動回路13の両端間の電圧を測定するための電圧センサ16を新たに設ける。
ここで、検出したモータ駆動回路13の両端電圧Vbと各相指令電圧Vu、Vv、Vwに基づき、次式(13)〜(15)を用いてu相指令デューティー比Du、v相指令デューティー比Dv、w相指令デューティー比Dwを求める。なお、以下ではデューティー比100%を1として表している。
Du=Vu/Vb+0.5 …(13)
Dv=Vv/Vb+0.5 …(14)
Dw=Vw/Vb+0.5 …(15)
図8は、この変形例に係る電圧センサ16を含むモータ制御装置の構成例を示すブロック図である。この変形例にかかるモータ制御装置は、第1の実施形態に係るモータ制御装置において、電圧センサ16を新たに設けたものであり、先に述べた実施形態と同一の要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する。なお、電流センサ14に含まれるシャント抵抗17については本変形例において重要であるので特に図示されているに過ぎない。
この図8を参照すればわかるように、本変形例の電圧センサ16は、差動増幅器を含み、その入力端の一方はモータ駆動回路13と電源のプラス側との間に接続され、その入力端の他方はモータ駆動回路13とシャント抵抗17との間に接続され、その出力端は3相/PWM変調器12に接続されている。このように電圧センサ16を設けることにより、モータ駆動回路13に印加される電圧を正確に検出することができるので、配線抵抗等の影響を受けることなくPWM信号のデューティー比を定める基準となる電圧を正確に検出することができる。
なお、図8ではシャント抵抗17の一端は、電源のマイナス側(接地)に接続されているが、電源のプラス側に接続されてもよい。この場合には、電圧センサ16の入力端の一方はモータ駆動回路13とこのシャント抵抗17との間に接続される。
さらに、前述した上記変形例における電源電圧を検出する手段は、上記電圧センサ16の変形例であるともいえる。すなわち、電圧センサ16の入力端の一方を電源のプラス側に接続し、その入力端の他方を電源のマイナス側に接続してもよい。ただし、この構成ではモータ駆動回路13に印加される電圧を直ちに検出することができるわけではなく、3相/PWM変調器12により生成される各相毎のPWM信号のデューティ比を取得し、これに基づき電源電圧に対するモータ印加電圧の電圧降下量をPWM周期毎に逐次演算する。このことにより演算負荷はかかるものの、モータ駆動回路13に印加される電圧を正確に検出(算出)することができる。
以上のように電圧センサ16は、少なくともモータ駆動回路13の一端から電源のプラス側までの経路上の一点と、モータ駆動回路13の他端から電源のマイナス側までの経路上の他点との間の電圧を測定すればよい。
本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。 3相ブラシレスモータにおける3相交流座標とdq座標を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態の変形例に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の変形例におけるモータ制御装置の構成の一例を示すブロック図である。 本発明の変形例における電圧センサを含むモータ制御装置の構成例を示すブロック図である。
符号の説明
1…ブラシレスモータ、2…減速機、3…トルクセンサ、4…車速センサ、5…位置検出センサ、6…ロータ、10…ECU、11…位相補償器、12…3相/PWM変調器、13…モータ駆動回路、14、15…電流センサ、16…電圧センサ、17…シャント抵抗、20、27、30、36…マイコン、21…指令電流算出部、22…オープンループ制御部、23…dq軸/3相変換部、24…角度算出部、25…角速度算出部、26、46…Φ算出部、28、48…R算出部、31…3相/dq軸変換部、32…減算部、33…フィードバック制御部、34…故障監視部、35…指令電圧選択部

Claims (7)

  1. モータを駆動するモータ制御装置であって、
    前記モータの駆動に用いられる指令電圧のレベルを求める制御手段と、
    前記制御手段で求めたレベルの電圧を用いて前記モータを駆動するモータ駆動手段と、
    前記モータに流れる電流を検出する電流検出手段と、
    前記電流検出手段で検出された電流値に基づき、前記指令電圧のレベルを求めるときに使用するパラメータを求めるパラメータ算出手段とを備え、
    前記制御手段は、前記モータに供給すべき電流の量を示す指令電流値と前記モータのロータの角速度とに基づき、モータの回路方程式に従い前記指令電圧のレベルを求めるオープンループ制御手段を含み、
    前記パラメータ算出手段は、前記電流検出手段で検出された電流値に基づき、モータの回路方程式に含まれる複数のパラメータのうちの1つを、前記回路方程式または前記回路方程式の近似式により求め、
    前記パラメータ算出手段は、前記電流検出手段で検出された電流値に基づき、モータの回路方程式に含まれる電機子巻線抵抗を含む回路抵抗の変化による影響を無視できる場合にモータの回路方程式に含まれる電機子巻線鎖交磁束数を求め、前記電機子巻線鎖交磁束数の変化による影響を無視できる場合に前記電機子巻線抵抗を含む回路抵抗を求め、かつ、前記電機子巻線鎖交磁束数を求める場合と、前記回路抵抗を求める場合とが、前記検出された電流値に基づき算出されるd−q座標系におけるq軸検出電流値の変化によってヒステリシスを持って切り替わるよう、前記q軸検出電流値が所定の第1の閾値よりも小さい場合に前記電機子巻線鎖交磁束数を求め、前記q軸検出電流値が前記第1の閾値より大きい第2の閾値よりも大きい場合に前記回路抵抗を求め、前記q軸検出電流値が前記第1の閾値以上前記第2の閾値以下である場合には前記電機子巻線鎖交磁束数および前記回路抵抗のうちの直前に求められた方を求めることを特徴とする、モータ制御装置。
  2. 前記制御手段は、
    前記指令電流値と前記電流検出手段で検出された電流値との差に比例積分演算を施して前記指令電圧のレベルを求めるフィードバック制御手段と、
    前記フィードバック制御手段で求めた指令電圧のレベルと、前記オープンループ制御手段で求めた指令電圧のレベルとを切り替えて出力する指令電圧選択手段とをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記指令電圧選択手段は、前記電流検出手段が正常に動作しているときには、前記フィードバック制御手段で求めた指令電圧のレベルを出力し、前記電流検出手段が故障したときには、前記オープンループ制御手段で求めた指令電圧のレベルを出力し、
    前記パラメータ算出手段は、前記電流検出手段が正常に動作している間に、モータの回路方程式に含まれるパラメータを求めることを特徴とする、請求項2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記制御手段は、
    前記パラメータ算出手段により求められた前記電機子巻線鎖交磁束数を次元変換することにより現在のトルク定数を算出する次元変換手段と、
    前記次元変換手段から前記現在のトルク定数を受け取り、前記現在のトルク定数で前記モータに生じるべき目標となるトルク値を除算した値に相当する前記モータに供給すべき電流の量を示す指令電流値を求める指令電流値算出手段と
    を含むことを特徴とする、請求項1に記載のモータ制御装置。
  5. 前記モータに加わる電圧に対応する電圧を検出する電圧検出手段をさらに備え、
    前記モータ駆動手段は、
    複数のスイッチング素子を有し、前記複数のスイッチング素子がオン・オフされることにより前記モータに電流を供給するスイッチング回路と、
    前記制御手段で求めたレベルの電圧と前記電圧検出手段で検出される電圧とを用いて前記複数のスイッチング素子をオン・オフするモータ電圧決定手段と
    を含み、
    前記電圧検出手段は、前記モータを駆動するための電源のプラス側に接続される前記スイッチング回路の一端から前記電源のプラス側までの経路上の一点と、前記電源のマイナス側に接続される前記スイッチング回路の他端から前記電源のマイナス側までの経路上の他点との間の電圧を測定することを特徴とする、請求項1に記載のモータ制御装置。
  6. 前記モータ駆動手段は、複数のスイッチング素子を有し、前記モータに電流を供給するスイッチング回路を含み、
    前記電流検出手段は、前記スイッチング回路と電源との間に1個だけ設けられていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のモータ制御装置を備えた、電動パワーステアリング装置。
JP2007320773A 2007-02-08 2007-12-12 モータ制御装置および電動パワーステアリング装置 Expired - Fee Related JP5453714B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007320773A JP5453714B2 (ja) 2007-02-08 2007-12-12 モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
US12/023,473 US7889978B2 (en) 2007-02-08 2008-01-31 Motor controller and electric power steering system
EP08151106A EP1955928B1 (en) 2007-02-08 2008-02-06 Motor controller and electric power steering system

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007029587 2007-02-08
JP2007029587 2007-02-08
JP2007320773A JP5453714B2 (ja) 2007-02-08 2007-12-12 モータ制御装置および電動パワーステアリング装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2008220155A JP2008220155A (ja) 2008-09-18
JP2008220155A5 JP2008220155A5 (ja) 2010-11-18
JP5453714B2 true JP5453714B2 (ja) 2014-03-26

Family

ID=39839498

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007320773A Expired - Fee Related JP5453714B2 (ja) 2007-02-08 2007-12-12 モータ制御装置および電動パワーステアリング装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5453714B2 (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5444697B2 (ja) * 2008-11-25 2014-03-19 株式会社ジェイテクト モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
JP2010228701A (ja) * 2009-03-30 2010-10-14 Jtekt Corp デッドタイム設定方法、モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
JP5470968B2 (ja) * 2009-03-30 2014-04-16 株式会社ジェイテクト モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
JP5434216B2 (ja) * 2009-04-14 2014-03-05 株式会社ジェイテクト モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
JP5446411B2 (ja) * 2009-04-14 2014-03-19 株式会社ジェイテクト モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
JP5949349B2 (ja) * 2012-09-05 2016-07-06 株式会社ジェイテクト モータ制御装置及び電動パワーステアリング装置
US10270377B2 (en) 2015-01-28 2019-04-23 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Motor control device, and method for correcting torque constant in such motor control device
JP6481800B2 (ja) * 2016-08-26 2019-03-13 日本精工株式会社 電動パワーステアリング装置の制御装置
JP6774622B2 (ja) * 2016-09-26 2020-10-28 株式会社ジェイテクト モータ制御装置
KR20220165412A (ko) * 2021-06-08 2022-12-15 에이치엘만도 주식회사 모터 파라미터 측정 장치 및 방법
US11764710B2 (en) 2021-06-30 2023-09-19 Texas Instruments Incorporated Automatic transition of motor controller from open-loop control to closed-loop control
US11916496B2 (en) 2021-06-30 2024-02-27 Texas Instruments Incorporated Motor controller and a method for controlling a motor
US11728751B2 (en) 2021-08-31 2023-08-15 Texas Instruments Incorporated Resynchronization of brushless DC motors

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10167086A (ja) * 1996-12-17 1998-06-23 Nippon Seiko Kk 電動パワーステアリング装置の制御装置
JP4517438B2 (ja) * 2000-02-29 2010-08-04 パナソニック電工株式会社 自吸式ポンプ
WO2002091559A1 (fr) * 2001-05-09 2002-11-14 Hitachi, Ltd. Systeme d'entrainement pour moteur synchrone
JP3832443B2 (ja) * 2003-03-28 2006-10-11 株式会社日立製作所 交流電動機の制御装置
JP4039317B2 (ja) * 2003-06-12 2008-01-30 株式会社ジェイテクト 電動パワーステアリング装置
JP2005039889A (ja) * 2003-07-15 2005-02-10 Hitachi Ltd 電動機の制御方法
JP2005218215A (ja) * 2004-01-29 2005-08-11 Nsk Ltd Pmモータの駆動方法および温度推定方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008220155A (ja) 2008-09-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5453714B2 (ja) モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
JP5228578B2 (ja) モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
JP5200628B2 (ja) モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
JP5428325B2 (ja) モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
JP5453729B2 (ja) モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
US8410734B2 (en) Motor control device and electric power steering device
JP5942337B2 (ja) 車両用操舵装置
US7889978B2 (en) Motor controller and electric power steering system
WO2009087991A1 (ja) モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
JP5263090B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
WO2009123107A1 (ja) モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
JP5092760B2 (ja) モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
JP2010029028A (ja) モータ制御装置
JP5315709B2 (ja) モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
JP5719177B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5257374B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5136839B2 (ja) モータ制御装置
JP5446411B2 (ja) モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
JP5470968B2 (ja) モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
JP5434216B2 (ja) モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
JP5444697B2 (ja) モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
JP2003348884A (ja) 電流検出装置およびこの装置を用いた制御装置
JP5412824B2 (ja) モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
JP2008155683A (ja) 電気式動力舵取装置
JP5975143B2 (ja) 車両用操舵装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100917

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100917

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120711

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120717

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120914

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121127

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130521

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130712

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131210

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131223

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5453714

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees