JP5412824B2 - モータ制御装置および電動パワーステアリング装置 - Google Patents

モータ制御装置および電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Description

本発明は、モータ制御装置、および、モータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置に関する。
従来から、運転者がハンドル(ステアリングホイール)に加える操舵トルクに応じて電動モータを駆動することにより車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置が用いられている。電動パワーステアリング装置の電動モータには従来からブラシモータが広く使用されているが、信頼性および耐久性の向上や慣性の低減などの観点から、近年ではブラシレスモータも使用されている。
このようなモータの制御装置は、一般的にはモータで発生するトルクを制御するために、モータに流れる電流を検出し、モータに供給すべき電流と検出した電流との差に基づきフィードバック制御を行う。また、一般的にはこの制御は、モータを駆動するスイッチング回路に含まれる複数のスイッチング素子のオン・オフ(典型的にはPWM信号のデューティ比)によりモータの各相への印加電圧を適宜に設定することにより行われる。したがって、モータ制御装置では、モータを駆動するスイッチング回路に与えられる電圧、典型的には電源電圧が測定され、測定された電圧に基づき上記制御が行われることが多い。
なお、本願発明に関連して、特許文献1には、電源電圧とモータの両方の端子の電圧とを測定し、これらに基づいてアシスト時のモータ端子電圧を補正する構成が開示されている。また、特許文献2には、バッテリの平均電圧とモータに流れるピーク電流とを測定し、これらに基づいて補正電流値を算出する構成が開示されている。
特開2001−278086号公報 特開2005−170225号公報
しかし、上記特許文献1、2は、いずれもモータの各相に対する補正を行うわけではないので、制御の精度が十分でない場合が生じる。例えば、モータを駆動するスイッチング回路には、シャント抵抗や配線抵抗などによる電圧降下により、電源電圧がそのままモータに印加されるわけではない。したがって、特にモータに大きな電流が流れる場合には上記抵抗によりモータの各相でモータに流そうとする電流とモータに実際に流れる電流とのずれが大きくなるため、制御の精度が低下する。また、上記抵抗値は温度に応じて変化するため、実際の抵抗値と設計時に定められた抵抗値との差が大きくなるほど制御の精度低下がより大きくなる。
それ故に、本発明は、特に温度変化により変化する配線抵抗等による制御精度の低下を解消または抑制し、高い精度でモータを駆動できるモータ制御装置、および、これを備えた電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、n相(nは3以上の自然数)のモータを駆動するモータ制御装置であって、
前記モータの駆動に用いられる指令電圧のレベルを求める制御手段と、
前記制御手段で求めたレベルの電圧を用いて単位周期毎に所定のパルス幅を有するパルス幅変調(PWM)信号を生成するモータ駆動信号生成手段と、
前記モータ駆動信号生成手段からの前記パルス幅変調信号に基づき、前記モータを駆動するための複数のスイッチング素子を有し、前記複数のスイッチング素子が前記パルス幅変調信号によってオン・オフされることにより前記モータに電流を供給するスイッチング回路を含むモータ駆動回路と、
電源から前記モータ駆動回路までの電流経路上の電子部品を含む配線の温度を求める配線温度算出手段と、
前記配線温度算出手段で求めた配線温度に基づき、前記配線の抵抗値を求める抵抗値算出手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記モータに流れている検出された電流の量を示す検出電流値、前記モータに供給すべき電流の量を示す指令電流値、および前記モータに流れていると推定される電流の量を示す推定電流値のうちのいずれか1つの電流値を求める電流値算出手段を含み、
前記スイッチング素子のオン・オフ状態に応じて、前記モータ駆動回路に加わる電圧の変化が補償されるよう、前記電流値算出手段で求めた電流値と、前記抵抗値算出手段で求めた前記抵抗値に応じて前記指令電圧のレベルを補正するとともに、
前記単位周期内において前記n相のうちの各相につき、基準となる電圧値から変化した電圧値までの前記モータ駆動回路に加わる電圧の電圧変化量に変化時間を乗算した値と前記変化した電圧値に所定の補正期間を乗算した値とが等しくなるような前記補正期間だけ、前記パルス幅変調信号のオン期間が前記電圧変化に応じて増加または減少されるよう、前記指令電圧のレベルを補正し、
前記電流値算出手段により求めた電流値に対して前記抵抗値を乗算して得られる電圧値に、前記補正期間を最小値とし前記パルス幅変調信号の1周期に相当する期間を最大値とする範囲内で定められる長さの期間を乗算した値と、前記抵抗により変化した電圧値に所定の制限期間を乗算した値とが等しくなるような前記制限期間を算出し、
前記制限期間の半分の期間を、前記n相のうち最大の電圧が加わる相に対応するオン期間であって前記補正により増加される前のオン期間に対して加えた期間が前記パルス幅変調信号の1周期に相当する期間を超えないよう、または前記制限期間の半分の期間を、前記n相のうち最小の電圧が加わる相に対応するオン期間であって前記補正により減少される前のオン期間から差し引いた期間がゼロ以上となるよう、前記指令電圧のレベルを制限する制限値を算出し、算出された制限値以下に前記指令電圧のレベルを制限するとともに、
前記n相の全てに対応するオン期間から、前記補正期間を最小値とし前記制限期間を最大値とする範囲内で定められる長さの半分の長さの期間を補正により増加される場合には差し引き、補正により減少される場合には加えた期間を新たなオン期間とすることを特徴とする。
第2の発明は、n相(nは3以上の自然数)のモータを駆動するモータ制御装置であって、
前記モータの駆動に用いられる指令電圧のレベルを求める制御手段と、
前記制御手段で求めたレベルの電圧を用いて単位周期毎に所定のパルス幅を有するパルス幅変調(PWM)信号を生成するモータ駆動信号生成手段と、
前記モータ駆動信号生成手段からの前記パルス幅変調信号に基づき、前記モータを駆動するための複数のスイッチング素子を有し、前記複数のスイッチング素子が前記パルス幅変調信号によってオン・オフされることにより前記モータに電流を供給するスイッチング回路を含むモータ駆動回路と、
電源から前記モータ駆動回路までの電流経路上の電子部品を含む配線の温度を求める配線温度算出手段と、
前記配線温度算出手段で求めた配線温度に基づき、前記配線の抵抗値を求める抵抗値算出手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記モータに流れている検出された電流の量を示す検出電流値、前記モータに供給すべき電流の量を示す指令電流値、および前記モータに流れていると推定される電流の量を示す推定電流値のうちのいずれか1つの電流値を求める電流値算出手段を含み、
前記スイッチング素子のオン・オフ状態に応じて、前記モータ駆動回路に加わる電圧の変化が補償されるよう、前記電流値算出手段で求めた電流値と、前記抵抗値算出手段で求めた前記抵抗値に応じて前記指令電圧のレベルを補正するとともに、
前記単位周期内において前記n相のうちの各相につき、基準となる電圧値から変化した電圧値までの前記モータ駆動回路に加わる電圧の電圧変化量に変化時間を乗算した値と前記変化した電圧値に所定の補正期間を乗算した値とが等しくなるような前記補正期間だけ、前記パルス幅変調信号のオン期間が前記電圧変化に応じて増加または減少されるよう、前記指令電圧のレベルを補正し、
前記n相のうち最大の電圧が加わる相に対応するオン期間であって前記補正により増加されたオン期間が前記パルス幅変調信号の1周期に相当する期間を超えないよう、または前記n相のうち最小の電圧が加わる相に対応するオン期間であって前記補正により減少されたオン期間がゼロ以上となるよう、前記抵抗値算出手段で求めた前記抵抗値および前記電流値算出手段により求めた電流値に基づき前記指令電圧のレベルを制限する制限値を算出し、算出された制限値以下に前記指令電圧のレベルを制限し、
前記電流値算出手段により求めた電流値に対して前記抵抗値を乗算して得られる電圧値に、前記オン期間について許容される最大の期間と最小の期間との差の長さの期間を乗算した値と、前記抵抗により変化した電圧値に所定の制限期間を乗算した値とが等しくなるような前記制限期間を算出し、算出された前記制限期間に基づき前記制限値を算出することを特徴とする。
第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記配線温度算出手段は、前記経路を流れる電流によって生じる発熱エネルギーを算出し、当該発熱エネルギーに応じて生じるべき温度上昇量を、前記電流が流れないときの前記配線の温度である基準温度に加算することにより、前記配線温度を求めることを特徴とする。
第4の発明は、第1または第2の発明において、
前記配線温度算出手段は、前記電子部品である電界効果型トランジスタ素子に内蔵される温度検出用素子により、前記配線の温度を求めることを特徴とする。
第5の発明は、第1から第4までのいずれか1つの発明において、
前記配線温度に対応する前記配線の抵抗値を示すマップを予め記憶するとともに、前記抵抗値を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記抵抗値算出手段は、前記指令電圧のレベルが求められる時間間隔より長い間隔を空けて、前記記憶手段に記憶される前記マップに基づき前記抵抗値を算出し、算出された抵抗値を前記記憶手段に記憶させ、
前記制御手段は、前記抵抗値算出手段により前記抵抗値が算出されないときに、前記記憶手段に記憶された抵抗値に基づき前記指令電圧のレベルを補正することを特徴とする。
第6の発明は、第1または第2の発明において、
前記制御手段は、前記モータに供給すべき電流の量を示す指令電流値と前記モータのロータの角速度とに基づき、モータの回路方程式に従い前記指令電圧のレベルを求めるオープンループ制御手段を含むことを特徴とする。
第7の発明は、第1の発明において、
前記制御手段は、前記電流値算出手段により求めた電流値に対して前記抵抗値を乗算して得られる電圧値に、前記オン期間について許容される最大の期間と最小の期間との差の長さの期間を乗算した値と、前記抵抗により変化した電圧値に所定の制限期間を乗算した値とが等しくなるような前記制限期間を算出し、算出された前記制限期間に基づき前記制限値を算出することを特徴とする。
第8の発明は、第1から第7までのいずれかの1つの発明に係るモータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置である。
上記第1の発明によれば、制御手段により配線抵抗等による相毎の電圧の変化が補償されるよう指令電圧のレベルが補正されるので、このことにより配線抵抗等による制御精度の低下を解消または抑制し、高い精度でモータを駆動できる。また、配線等の温度変化による配線抵抗Rの変化を正確に算出することができるので、温度変化の影響を受けることなく非常に高い精度でモータを駆動できる。
さらに上記第1の発明によれば、制御手段により各相につき電圧変化量に変化時間を乗算した値と変化した電圧値に補正期間を乗算した値とが等しくなるような補正期間だけ、パルス幅変調信号のオン期間が電圧変化に応じて増加または減少されるよう指令電圧のレベルが補正されるので、例えば電圧制御型のパルス幅変調器(インバータ)に適した構成で配線抵抗等による制御精度の低下を解消または抑制し、高い精度でモータを駆動できる。
さらにまた上記第1の発明によれば、抵抗算出手段により求めた配線抵抗値と電流値とに基づき指令電圧のレベルを補正するので、例えば電圧検出手段による電圧検出などを要することなく簡易な構成で配線抵抗等による制御精度の低下を解消または抑制し、高い精度でモータを駆動できる。
さらに上記第1の発明によれば、典型的にはオン期間がパルス幅変調信号の1周期に相当する期間を超えないよう、算出された抵抗値に基づき指令電圧のレベルを制限する制限値を算出し、算出された制限値以下に指令電圧のレベルを制限することにより、異常な制御状態となることを回避することができ、また配線抵抗等による制御精度の低下を解消または抑制し、高い精度でモータを駆動できる。
以上の効果は、上記第2の発明においても共通に奏する。
さらに上記第1の発明によれば、制限期間の半分の期間を典型的には補正により増加される前のオン期間に対して加えた期間が1周期に相当する期間を超えないような制限値を算出し、算出された制限値以下に指令電圧のレベルを制限するとともに、n相全てに対応するオン期間から例えば制限期間の半分の期間を差し引いた期間を新たなオン期間とする。したがって、上記のように制限値を緩和することにより制限を半分にすることができるのでオン期間の範囲をより広げることができ、また異常な制御状態となることを回避することができ、さらに配線抵抗等による制御精度の低下を解消または抑制し、高い精度でモータを駆動できる。
また、上記第2の発明によれば、上記第1の発明と共通の効果に加えて、電圧値にPWM信号のオン期間について(例えば装置の設計上)許容される最大の期間と最小の期間との差の長さの期間を乗算した値に基づき制限期間を算出するので、PWM信号の1周期に相当する期間に基づき制限期間を算出する場合よりも制限を緩和することができるのでオン期間の範囲をより広げることができ、また異常な制御状態となることを回避することができ、さらに配線抵抗等による制御精度の低下を解消または抑制し、高い精度でモータを駆動できる。
上記第3の発明によれば、配線温度算出手段により配線を流れる電流に応じて配線温度が算出されるので、例えば配線温度を直接検出する温度センサなどの電子部品を新たに設けることなく、配線温度を算出することができる。
上記第4の発明によれば、電界効果型トランジスタ素子に内蔵される温度検出用素子により、配線の温度が求められるので、例えばリレーなどの電流経路上に設けられる電子部品に前記温度検出用素子を使用することで、新たな電子部品を設けることなく、配線温度を算出することができる。
上記第5の発明によれば、配線の温度と抵抗とを対応づけたマップが記憶手段に記憶されることにより、配線温度に対応する配線抵抗を簡単かつ高速に算出することができ、また一度算出された抵抗値が記憶手段により記憶され、繰り返し使用されるので、抵抗値の算出回数を少なくすることにより、制御手段の演算負荷を下げることができる。
上記第6の発明によれば、モータの回路方程式に従いオープンループ制御を行う場合において検出電流のフィードバックがない場合であっても配線抵抗等による制御精度の低下を解消または抑制し、高い精度でモータを駆動できる。
上記第7の発明によれば、電圧値にPWM信号のオン期間について(例えば装置の設計上)許容される最大の期間と最小の期間との差の長さの期間を乗算した値に基づき制限期間を算出するので、PWM信号の1周期に相当する期間に基づき制限期間を算出する場合よりも制限を緩和することができるのでオン期間の範囲をより広げることができ、また異常な制御状態となることを回避することができ、さらに配線抵抗等による制御精度の低下を解消または抑制し、高い精度でモータを駆動できる。
上記第8の発明によれば、高い精度でモータを駆動し、所望のモータ出力を得ることができるので、スムーズな操舵補助が可能となる。
以下、本発明の各実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
<1. 第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を、それに関連する車両の構成と共に示す概略図である。図1に示す電動パワーステアリング装置は、ブラシレスモータ1、減速機2、トルクセンサ3、車速センサ4、位置検出センサ5、および電子制御ユニット(Electronic Control Unit :以下、ECUという)10を備えたコラムアシスト型の電動パワーステアリング装置である。
図1に示すように、ステアリングシャフト102の一端にはハンドル(ステアリングホイール)101が固着されており、ステアリングシャフト102の他端はラックピニオン機構103を介してラック軸104に連結されている。ラック軸104の両端は、タイロッドおよびナックルアームからなる連結部材105を介して車輪106に連結されている。運転者がハンドル101を回転させると、ステアリングシャフト102は回転し、これに伴いラック軸104は往復運動を行う。ラック軸104の往復運動に伴い、車輪106の向きが変わる。
電動パワーステアリング装置は、運転者の負荷を軽減するために、以下に示す操舵補助を行う。トルクセンサ3は、ハンドル101の操作によってステアリングシャフト102に加えられる操舵トルクTを検出する。車速センサ4は、車速Sを検出する。位置検出センサ5は、ブラシレスモータ1のロータの回転位置Pを検出する。位置検出センサ5は、例えばレゾルバで構成される。
ECU10は、車載バッテリ100から電力の供給を受け、操舵トルクT、車速Sおよび回転位置Pに基づきブラシレスモータ1を駆動する。ブラシレスモータ1は、ECU10によって駆動されると、操舵補助力を発生させる。減速機2は、ブラシレスモータ1とステアリングシャフト102との間に設けられる。ブラシレスモータ1で発生した操舵補助力は、減速機2を介して、ステアリングシャフト102を回転させるように作用する。
この結果、ステアリングシャフト102は、ハンドル101に加えられる操舵トルクと、ブラシレスモータ1で発生した操舵補助力の両方によって回転する。このように電動パワーステアリング装置は、ブラシレスモータ1で発生した操舵補助力を車両のステアリング機構に与えることにより操舵補助を行う。
本発明の第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置は、ブラシレスモータ1を駆動する制御装置(モータ制御装置)に特徴がある。そこで以下では、この電動パワーステアリング装置に含まれるモータ制御装置について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。図2に示すモータ制御装置は、ECU10を用いて構成されており、u相、v相およびw相の3相巻線(図示せず)を有するブラシレスモータ1を駆動する。ECU10は、位相補償器11、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと略称する)20、3相/PWM(Pulse Width Modulation)変調器12、モータ駆動回路13、電流センサ14、および温度センサ18を備えている。
ECU10には、トルクセンサ3から出力された操舵トルクT、車速センサ4から出力された車速S、および、位置検出センサ5から出力された回転位置Pが入力される。位相補償器11は、操舵トルクTに対して位相補償を施す。マイコン20は、ブラシレスモータ1の駆動に用いられる指令電圧のレベルを求める制御手段として機能する。マイコン20の機能の詳細については、後述する。
3相/PWM変調器12とモータ駆動回路13とは、ハードウェア(回路)で構成されており、マイコン20で求めたレベルの電圧を用いてブラシレスモータ1を駆動するモータ駆動手段として機能する。3相/PWM変調器12は、モータを駆動制御するための信号として、マイコン20で求めた3相の電圧のレベルに応じたデューティ比を有する3種類のPWM信号(図2に示すU、V、W)を生成する。モータ駆動回路13は、スイッチング素子として6個のMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor )を含むPWM電圧形インバータ回路である。6個のMOS−FETは、3種類のPWM信号とその否定信号によって制御される。PWM信号を用いてMOS−FETの導通状態を制御することにより、ブラシレスモータ1に対して3相の駆動電流(u相電流、v相電流およびw相電流)が供給される。このようにモータ駆動回路13は、複数のスイッチング素子を有し、ブラシレスモータ1に電流を供給するスイッチング回路として機能する。
温度センサ18は、モータ駆動回路13近傍の雰囲気温度Taを検出し、マイコン20に与える。ここで、この温度センサ18は、電源からモータ駆動回路13両端までの配線等の温度を直接計測するものではなく、これらの配線等から或る程度離れた位置の雰囲気温度を計測するものとする。したがってモータ駆動回路13に電流が流れない非動作時には、上記配線等の温度はこの雰囲気温度に通常合致するが、動作時における配線等の温度はこの雰囲気温度よりも高いことが多い。
電流センサ14は、シャント抵抗17を含み、ブラシレスモータ1に流れる電流を検出する電流検出手段として機能する。電流センサ14は、例えば抵抗体やホール素子で構成され、モータ駆動回路13と電源の間に1個だけ設けられる。図2に示す例では、電流センサ14はモータ駆動回路13と電源のマイナス側(接地)との間に設けられているが、電流センサ14をモータ駆動回路13と電源のプラス側との間に設けてもよい。
ブラシレスモータ1が回転している間、電流センサ14で検出される電流値は、PWM信号に応じて変化する。PWM信号の1周期(以下「PWM周期」という)内では、電流センサ14によって1相の駆動電流が検知されるときと、2相の駆動電流の和が検知されるときとがある。3相の駆動電流の和はゼロになるので、2相の駆動電流の和に基づき、残り1相の駆動電流を求めることができる。したがって、ブラシレスモータ1が回転している間、1個の電流センサ14を用いて3相の駆動電流を検出することができる。電流センサ14で検出された電流値ia は、マイコン20に入力される。
マイコン20は、ECU10に内蔵されたメモリ(図示せず)に格納されたプログラムを実行することにより、指令電流算出部21、オープンループ制御部22、dq軸/3相変換部23、角度算出部24、角速度算出部25、Φ算出部26、配線温度算出部27、配線抵抗算出部28、および3相電圧補正部29として機能する。マイコン20は、以下に示すように、ブラシレスモータ1に供給すべき電流の量を示す指令電流値とブラシレスモータ1のロータの角速度とに基づき、モータの回路方程式に従い、モータ駆動回路13に与えるべき電圧(以下、指令電圧という)のレベルを求める。
角度算出部24は、位置検出センサ5で検出した回転位置Pに基づき、ブラシレスモータ1のロータの回転角(以下、角度θという)を求める。角速度算出部25は、角度θに基づき、ブラシレスモータ1のロータの角速度ωe を求める。なお、図3に示すようにブラシレスモータ1に対してu軸、v軸およびw軸を設定し、ブラシレスモータ1のロータ6に対してd軸およびq軸を設定したとき、u軸とd軸のなす角が角度θとなる。
指令電流算出部21は、位相補償後の操舵トルクT(位相補償器11の出力信号)と車速Sに基づき、ブラシレスモータ1に供給すべきd軸電流とq軸電流を求める(以下、前者をd軸指令電流id *、後者をq軸指令電流iq *という)。より詳細には、指令電流算出部21は、車速Sをパラメータとして、操舵トルクTと指令電流との対応づけを記憶したテーブル(以下、アシストマップという)を内蔵しており、アシストマップを参照して指令電流を求める。アシストマップを用いることにより、ある大きさの操舵トルクが与えられたときに、その大きさに応じた適切な大きさの操舵補助力を発生させるためにブラシレスモータ1に供給すべきd軸指令電流id *とq軸指令電流iq *を求めることができる。
なお、指令電流算出部21で求めるq軸指令電流iq *は符号付きの電流値であり、その符号は操舵補助の方向を示す。例えば、符号がプラスのときには右方向へ曲がるための操舵補助が行われ、符号がマイナスのときには左方向へ曲がるための操舵補助が行われる。また、d軸指令電流id *は、典型的にはゼロに設定される。
オープンループ制御部22は、d軸指令電流id * 、q軸指令電流iq * および角速度ωe に基づき、ブラシレスモータ1に供給すべきd軸電圧とq軸電圧を求める(以下、前者をd軸指令電圧vd 、後者をq軸指令電圧vq という)。d軸指令電圧vd とq軸指令電圧vq は、次式(1)と(2)に示すモータの回路方程式を用いて算出される。
d=(R+PLd)id *−ωeqq * …(1)
q=(R+PLq)iq *+ωedd *+ωeΦ …(2)
ただし、式(1)と(2)において、vd はd軸指令電圧、vq はq軸指令電圧、id *はd軸指令電流、iq *はq軸指令電流、ωe はロータの角速度、Rは電機子巻線抵抗を含む回路抵抗、Ld はd軸の自己インダクタンス、Lq はq軸の自己インダクタンス、Φはu、v、w相電機子巻線鎖交磁束数の最大値の√(3/2)倍、Pは微分演算子である。このうちR、Ld 、Lq およびΦは、既知のパラメータとして扱われる。なお、上記回路抵抗には、ブラシレスモータ1とECU10との間の配線抵抗やECU10内でのモータ駆動回路13の抵抗および配線抵抗などが含まれる。
dq軸/3相変換部23は、オープンループ制御部22で求めたd軸指令電圧vd とq軸指令電圧vq を3相交流座標軸上の指令電圧に変換する。より詳細には、dq軸/3相変換部23は、d軸指令電圧vd とq軸指令電圧vq に基づき、次式(3)〜(5)を用いてu相指令電圧Vu 、v相指令電圧Vv およびw相指令電圧Vw を求める。
u=√(2/3)×{vd×cosθ−vq×sinθ} …(3)
v=√(2/3)×{vd×cos(θ−2π/3)
−vq×sin(θ−2π/3)} …(4)
w=−Vu−Vv …(5)
なお、式(3)と(4)に含まれる角度θは、角度算出部24で求めたものである。
配線温度算出部27は、温度センサ18で検出された雰囲気温度Taと、電流センサ14で検出された電流値ia とに基づき、電源からモータ駆動回路13両端までの例えばシャント抵抗17やリレー、電解コンデンサなどの電子部品を含む電流経路における配線等の温度(以下「配線温度」という)Tlを算出する。その詳しい算出方法については後述する。
配線抵抗算出部28は、配線温度算出部27により算出された配線温度Tlに基づき、電源からモータ駆動回路13両端までの上記電子部品を含む電流経路における配線等の抵抗(以下単に「配線抵抗」という)を算出する。その詳しい算出方法については後述する。
3相電圧補正部29は、dq軸/3相変換部23で求めたu相指令電圧Vu 、v相指令電圧Vv およびw相指令電圧Vw に対して、電流センサ14で検出された電流値ia および配線抵抗算出部28により算出された配線抵抗に基づき、ECU10内でのモータ駆動回路13の抵抗および配線等の抵抗により生じる電圧降下を補償するための補正を行い、補正された新たなu相指令電圧Vu 、v相指令電圧Vv およびw相指令電圧Vw を生成し出力する。なお上記補正の詳しい内容は改めて後述する。
このようにマイコン20は、dq座標軸上の指令電流id * 、iq * を求める処理と、モータの回路方程式に従いdq座標軸上の指令電圧vd 、vq を求める処理と、指令電圧vd 、vq を3相の指令電圧Vu 、Vv 、Vw に変換する処理とを行う。3相/PWM変調器12は、マイコン20で求めた3相の指令電圧Vu 、Vv 、Vw に基づき、3種類のPWM信号を出力する。これにより、ブラシレスモータ1の3相巻線には、各相の指令電圧に応じた正弦波状の電流が流れ、ブラシレスモータ1のロータは回転する。これに伴い、ブラシレスモータ1の回転軸には、ブラシレスモータ1を流れる電流に応じたトルクが発生する。発生したトルクは、操舵補助に用いられる。
Φ算出部26には、電流センサ14で検出された電流値ia と、角度算出部24で算出された角度θと、角速度算出部25で算出された角速度ωe とが入力される。Φ算出部26は、まず電流値ia に基づきブラシレスモータ1に流れるu相とv相の電流を求め(以下、前者をu相検出電流iu 、後者をv相検出電流iv という)、これらをdq座標軸上の電流値に変換する。より詳細には、Φ算出部26は、u相検出電流iu とv相検出電流iv に基づき、次式(6)と(7)を用いてd軸検出電流id とq軸検出電流iq を求める。
d=√2×{iv×sinθ−iu×sin(θ−2π/3)} …(6)
q=√2×{iv×cosθ−iu×cos(θ−2π/3)} …(7)
なお、式(6)と(7)に含まれる角度θは、角度算出部24で求めたものである。
次に、Φ算出部26は、ωe ≠0のときに、q軸指令電圧vq 、d軸検出電流id 、q軸検出電流iq および角速度ωe に基づき、次式(8)を用いて式(2)に含まれる電機子巻線鎖交磁束数Φを求める。
Φ={vq−(R+PLq)iq−ωedd}/ωe …(8)
なお、式(8)は、式(2)のd軸指令電流id *とq軸指令電流iq *にd軸検出電流id とq軸検出電流iq を代入し、その式をΦについて解いたものである。
Φ算出部26は、求めたΦ値をオープンループ制御部22に対して出力する。オープンループ制御部22は、式(2)を用いてq軸指令電圧vq を求めるときに、Φ算出部26で算出されたΦ値を使用する。このようにマイコン20は、モータの回路方程式に含まれる電機子巻線鎖交磁束数Φを求め、q軸指令電圧vq を求めるときにはそのΦ値を使用する。
以上に示すように、本実施形態に係るモータ制御装置は、電流センサで検出した電流値に基づきモータの回路方程式に含まれるΦを求めて使用するとともに、指令電流値とロータの角速度とに基づき、モータの回路方程式に従いオープンループ制御の指令電圧を求める。次に、モータ駆動回路13の両端に印加される電圧の変化と、この変化に応じた3相電圧補正部29におけるu相指令電圧Vu 、v相指令電圧Vv およびw相指令電圧Vw に対する補正動作について、配線温度算出部27による配線温度Tlの算出動作および配線抵抗算出部28における配線抵抗の算出動作と合わせて詳述する。
まず上記実施形態において、電流センサ14は、図2に示すようにモータ駆動回路13と電源のマイナス側(接地)との間に設けられているため、電流センサ14内のシャント抵抗などを含む配線抵抗の電圧降下により、電源電圧がそのままモータに印加される電圧となるわけではない。またこの印加電圧は常に一定であるわけではなく、モータ駆動回路13に含まれるMOS−FETそれぞれの導通状態により、上記抵抗を流れる3相の駆動電流(u相電流、v相電流およびw相電流)の有無および種類が変化するため、上記印加電圧も変化する。例えば、上記6つのMOS−FETのうち上側の3つのMOS−FETがオンされるとき、下側の3つのMOS−FETはオフされるので、駆動電流はモータ駆動回路13内を還流し、上記配線抵抗等には電流が流れない。その結果、モータに印加される電圧が低下することはない。しかし、上側の3つのMOS−FETが1つまたは2つがオンされるとき、駆動電流は上記配線抵抗等に流れるので、モータに印加される電圧が低下することになる。
図4は、1PWM周期内におけるモータ駆動回路の両端に印加される電圧の変化と、モータ各相の印加電圧の変化と、この変化に対するv相電圧に対する補正内容とを説明するための図である。また図5は、図4に示される補正を行った後の上記モータ駆動回路の両端に印加される電圧の変化と、モータ各相の印加電圧の変化と、この変化に対するw相電圧に対する補正内容とを説明するための図である。
この図4に示されるように、1PWM周期の開始時点である時刻t1で3相/PWM変調器12から与えられる各PWM信号に基づき、モータ駆動回路13に含まれる6つのMOS−FETのうち上側の3つのMOS−FETがオンされることにより、モータに印加されるべきu相電圧Vp_u、v相電圧Vp_v、w相電圧Vp_wは共に上記回路の両端電圧Vbと等しくなる。なお厳密にはモータ駆動回路13内部の抵抗(例えばMOS−FETのオン抵抗など)による電圧降下は生じるが、ここでは説明の便宜のためこのような電圧降下は生じないものとする。この時刻t1では、上述したように、モータに印加される電圧が低下することはない。
次に、図4に示されるように、時刻t2で上側の3つのMOS−FETのうちu相電圧Vp_uを制御するためのMOS−FETがオフされると(すなわち排反的に制御される下側の3つのMOS−FETのうちu相電圧Vp_uを制御するためのMOS−FETがオンされると)モータに印加されるべきu相電圧Vp_uは接地電位と等しくなる。なお厳密には完全に等しくならない点については前述した。またこの時刻t2において上側の3つのMOS−FETのうちv相電圧Vp_vとw相電圧Vp_wとを制御するための2つのMOS−FETはオンされたままであるので、u相電流iuが配線等を通ってモータ駆動回路13に流れることになる。そのため、上記配線抵抗等によりモータに印加される電圧が低下する。図4では、低下後の両端電圧が電圧Vb1として示されている。したがって、v相電圧Vp_vおよびw相電圧Vp_wも同様に電圧Vb1に低下する。
続いて、図4に示されるように、時刻t3で上側の3つのMOS−FETのうちu相電圧とv相電圧とを制御するための2つのMOS−FETがオフされると(すなわち排反的に制御される下側の3つのMOS−FETのうちu相電圧とv相電圧とを制御するための2つのMOS−FETがオンされると)モータに印加されるべきv相電圧Vp_vもまたu相電圧Vp_uと同様に接地電位と等しくなる。またこの時刻t3において上側の3つのMOS−FETのうちw相電圧を制御するためのMOS−FETのみがオンされたままであるので、u相電流iuおよびv相電流ivが配線等を通ってモータ駆動回路13に流れることになる。そのため、上記配線抵抗等によりモータに印加される電圧がさらに低下する。図4では、電圧Vb1からさらに低下した後の両端電圧が電圧Vb2として示されている。したがって、w相電圧Vp_wも電圧Vb2に低下する。
ここで、v相電圧Vp_vは、時刻t2から時刻t3までの期間T1までの間、電圧Vbから電圧Vb1に低下している。この電圧低下を補償するためにはv相電圧Vp_vの1PWM周期内における時間平均値の低下を補償すればよい。したがって、本来は時刻t3で接地電位に変化するv相電圧Vp_vを時刻t3から補正期間ΔT1だけ電圧Vb1に維持した後、時刻t4で接地電位に変化するよう制御すればよい。この補正期間ΔT1の算出については後述する。
図5では、上記のように補償されたv相電圧Vp_vが示されている。図5に示されるように、v相電圧Vp_vは、時刻t2において電圧Vb1に低下するが、その電圧は時刻t4まで維持された後に接地電位に変化する。
このようにv相電圧Vp_vが変化すると、図5に示されるようにw相電圧Vp_wも時刻t2から時刻t4まで電圧Vb1に低下し、さらに時刻t4において上側の3つのMOS−FETのうちw相電圧を制御するためのMOS−FETのみがオンされるので、w相電圧Vp_wは電圧Vb2に低下する。この電圧低下を補償するためにはv相電圧Vp_vの場合と同様にw相電圧Vp_wの(1PWM周期内における)時間平均値の低下を補償すればよいので、本来は時刻t5で接地電位に変化するw相電圧Vp_wを時刻t5から補正期間ΔT2だけ電圧Vb2に維持した後、時刻t6で接地電位に変化するよう制御すればよい。この補正期間ΔT2の算出については後述する。
以上のように、v相電圧Vp_vおよびw相電圧Vp_wの時間平均値の低下が補償されるようモータ駆動回路13に含まれるMOS−FETのオン期間(およびオフ期間)を適宜に変更することにより、配線抵抗等による制御精度の低下を解消または抑制し、高い精度でモータを駆動できる。以下、上記オン期間の変更について具体的に説明する。
図6は、上記補正を行うための制御手順を示すフローチャートである。本装置が起動されると、図6に示されるステップS11において、配線温度算出部27は、温度センサ18で検出された雰囲気温度Taを取得する。前述したように温度センサ18は、電源からモータ駆動回路13両端までの配線等の温度を直接計測するものではなく、これらの配線等から或る程度離れた位置での雰囲気温度を計測するものであるが、装置の起動時(非動作時点の直後)には、上記配線等の温度はこの雰囲気温度に通常合致する。ここではこの温度を基準温度Tbとして(図示されていないが)一般的なマイコン20に通常搭載されているRAMやフラッシュメモリなどからなる記憶部に記憶する。
次にステップS12において、配線温度算出部27は、温度センサ18で検出された雰囲気温度Taを配線の温度Tlとする。装置の起動時(非動作時点の直後)には、上記配線温度Tlは雰囲気温度Taに合致しているとみなせるからである。
続いてステップS14において、配線抵抗算出部28は、ステップS12または後述するステップ18において配線温度算出部27により算出された配線の温度Tlに基づき、配線抵抗Rを算出する。
具体的には配線抵抗Rと配線温度Tlとの対応関係を示すマップなどを実際の測定結果や計算結果などに基づき作成し、作成されたマップを上記フラッシュメモリなどからなる記憶部に予め記憶させる。そうすれば、配線抵抗算出部28は、この記憶部に記憶されたマップを参照して、配線の温度Tlから容易に配線抵抗Rを算出することができる。
また、このような対応関係を示す数式が記憶部に記憶されていてもよい。例えば配線温度が摂氏20度であるときの配線抵抗をR’とし、抵抗温度係数をKrとするとき、配線抵抗Rは次式(9)にように求めることができる。
R=R’×Kr×(Tl−20)+R’ …(9)
次にステップS16において、3相電圧補正部29は、電流センサ14で検出された電流値ia に基づき、図4に示される時刻t2から時刻t3までの間に3相の駆動電流のうちu相電流iuを取得し、時刻t3から時刻t5までの間にモータ駆動回路13に流れるu相電流iuとv相電流ivとの和を取得する。
次にステップS17において、3相電圧補正部29は、配線抵抗算出部28により算出された配線抵抗Rと、時刻t2から時刻t3までの期間T1と、電圧Vbと、u相電流iuとに基づき、補正により延長されるべき時刻t3から時刻t4までの補正期間ΔT1を算出する。具体的には、期間T1における電圧Vbから電圧Vb1への電圧低下を補償するためにはv相電圧Vp_vの1PWM周期内における時間平均値の低下を補償すればよいので、この低下分に相当する時刻t2から時刻t3までの図4に示される斜線部分の面積が、時刻t3から時刻t4までの図4に示される斜線部分の面積と等しくなればよい。このことは次式(10)のように表すことができる。
(R×|iu|)×T1=(Vb−(R×|iu|))×ΔT1 …(10)
したがって、上式(10)をΔT1について整理すれば、3相電圧補正部29は、次式(11)を用いてΔT1を算出することができる。
ΔT1=(R×|iu|)×T1/(Vb−(R×|iu|)) …(11)
3相電圧補正部29は、算出されたΔT1に基づき、v相電圧Vp_vが接地電位となる時刻を時刻t3から時刻t4へ延長するようv相指令電圧Vv を補正する。このv相指令電圧Vv は、3相/PWM変調器12から出力されv相に対応するMOS−FETに与えられるPWM信号Vのデューティ比を定める電圧である。具体的には3相/PWM変調器12は、1PWM周期内で接地電位から所定電位(ここでは指令電圧の最高値)まで線形に変化し、所定電位から接地電位へ瞬時的に戻るノコギリ波をその内部で生成しており、PWM信号Vは、このノコギリ波の電位がv相指令電圧Vv よりも大きい時にオフ電位となり、小さい時にオン電位となる。このノコギリ波の電位は、例えば図4に示される時刻t1において接地電位から線形に上昇し、時刻t6以降の図示されない1PWM周期の終了時点で上記所定電位から接地電位へ瞬時的に戻る。このようなノコギリ波の電位変化は予め定められたものであるので、3相電圧補正部29は、PWM信号Vがオフ電位となる時刻(すなわちv相電圧Vp_vが接地電位となる時刻)が時刻t3から時刻t4へ延長されるようにv相指令電圧Vv を補正する。なお、3相/PWM変調器12は、上記ノコギリ波に代えて周知の三角波を使用することもできるが、この場合にはオン期間の前後にオフ期間が分かれるように配されるので、電圧センサ16による電位検出のタイミング設定が厳しくなる。なお、ここではこのノコギリ波の周波数は20kHzであり、上記PWM周期は50μsである。
また、3相電圧補正部29は、配線抵抗算出部28により算出された配線抵抗Rと、時刻t3から時刻t5までの期間T2と、期間T1と、補正期間ΔT1と、u相電流iuおよびv相電流ivとに基づき、補正により延長される時刻t5から時刻t6までの補正期間ΔT2を算出する。具体的には時刻t2から時刻t4までの電圧Vbから電圧Vb1への電圧低下および時刻t4から時刻t5までの電圧Vbから電圧Vb2への電圧低下をともに補償するためにはw相電圧Vp_wの1PWM周期内の時間平均値の低下を補償すればよいので、この低下分に相当する時刻t2から時刻t5までの図5に示される斜線部分の面積が、時刻t5から時刻t6までの図5に示される斜線部分の面積と等しくなればよい。このことは次式(12)のように表すことができる。
(R×|iu|)×(T1+ΔT1)+(R×|(iu+iv)|)×(T2−ΔT1) =(Vb−(R×|(iu+iv)|))×ΔT2 …(12)
したがって、上式(12)をΔT2について整理すれば、3相電圧補正部29は、次式(13)を用いてΔT2を算出することができる。
ΔT2=(((R×|iu|)×(T1+ΔT1)
+(R×|(iu+iv)|)×(T2−ΔT1))
/(Vb−(R×|(iu+iv)|)) …(13)
3相電圧補正部29は、算出されたΔT2に基づき、w相電圧Vp_wが接地電位となる時刻を時刻t5から時刻t6へ延長するようw相指令電圧Vw を補正する。この補正についてはv相指令電圧Vv を補正する場合と同様であるので、説明を省略する。
続いてステップS18において、配線温度算出部27は、温度センサ18で検出された雰囲気温度Taと、電流センサ14で検出された電流値ia とに基づき、配線温度Tlを算出する。具体的には、当初の基準温度Tbから配線温度Tlまでの温度上昇量ΔTは、端的には、電源からモータ駆動回路13両端までのシャント抵抗17やリレー、電解コンデンサなどの電子部品を含む電流経路における配線から生じた発熱エネルギーをAとし、これらの配線から自然対流や輻射、物質間熱伝導などにより失われた放熱エネルギーをBとし、温度上昇係数をKtとするとき、次式(14)のように表すことができる。
ΔT=(A−B)×Kt …(14)
また、発熱エネルギーAは、計測単位時間(ここでは1PWM周期)をtとしたとき、次式(15)のように表すことができる。
A=ia 2×R×t …(15)
なお、放熱エネルギーBは、自然対流放熱や輻射による放熱、物質間熱伝導による放熱などについてそれぞれ算出式を定めることができる。これらの算出式は周知であるためここでは記載を省略するが、端的にはΔTの関数として表すことができる。
以上のように、配線温度算出部27は、当初の基準温度Tbに対して算出された上記温度上昇量ΔTを加えることにより、配線温度Tlを算出することができる。なお、上記算出式は上述した記憶部に記憶されるが、この算出式に代えて、例えば(基準温度Tb毎に)単位時間あたりの温度上昇量ΔTと配線温度Tlとの対応関係を示すマップが記憶されていてもよい。
次にステップS20において、3相電圧補正部29は、配線抵抗Rの算出タイミングか否かを判定する。具体的にはステップS18の温度算出処理の回数をカウントして所定回数(例えば数回ないし数百回)に達すれば算出タイミングであると判定する。また、温度変化量が所定の閾値を超えたときに算出タイミングであると判定してもよい。この判定の結果、算出タイミングである場合(ステップS20においてYesである場合)、ステップS14の抵抗値算出処理が行われ、上記動作が繰り返される(S20→S14→…→S20)。またこの判定の結果、算出タイミングでない場合(ステップS20においてNoである場合)、ステップS16の処理に戻り上記動作が繰り返される(S20→S16→…→S20)。このように抵抗値の算出を補正値の算出毎に行わないのは、計算負荷を下げるためである。したがって計算負荷が問題にならない場合(1PWM期間内に計算が終了する場合)には、精度を高めるためにこれらの処理を補正値の算出毎に行ってもよい。このように上記一連の処理はモータが停止するまで繰り返される(S20→S11→…→S20)
なお、上記一連の処理は、配線温度Tlと雰囲気温度Taが合致するか、または略一致する時点で開始される構成であってもよい。この構成としては例えば、モータが停止しており検出電流が0の状態であっても、配線温度Tlと雰囲気温度Taとが合致するかまたは略一致する時点まで、ステップS18における配線温度算出部27による配線温度Tlの算出処理だけを(適宜の時間間隔で)継続して行う構成や、モータの停止時点からの経過時間のみを測定しておき、モータの駆動が再開されたときに、放熱エネルギーBを算出することにより停止時点における配線温度Tlから現在の配線温度Tlを算出する構成などが考えられる。
以上のように、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、配線抵抗による電圧変化がない場合にv相およびw相におけるモータに印加されるべき電圧の時間平均値が、実際にv相およびw相におけるモータに印加される電圧の時間平均値とそれぞれ対応する相で略一致するよう、一旦配線抵抗Rを求め、以後はv相指令電圧Vv およびw相指令電圧Vw を補正する。このことにより配線抵抗Rを算出した後は、これを再度算出するまでu相電流iuとv相電流ivとを検出するだけで(例えば電圧センサにより電圧検出を行うことなく)配線抵抗等による制御精度の低下を解消または抑制し、高い精度でモータを駆動できる。また、配線等の温度変化による配線抵抗Rの変化を正確に算出することができるので、温度変化の影響を受けることなく非常に高い精度でモータを駆動できる。
なお、本実施形態に係るモータ制御装置には、電流センサは1個だけ設けられており、電流センサを削減することにより、モータ制御装置の小型化、低コスト化および低消費電力化が可能となるが、各相毎に電流センサを配置したモータ制御装置であっても同様の効果を得ることができる。また、本実施形態に係るモータ制御装置はオープンループ制御を用いているが、フィードバック制御を行うモータ制御装置であっても同様の効果を得ることができる。
<2. 第2の実施形態>
本発明に係る第2の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成は、図1に示される第1の実施形態の場合と同様であり、またモータ制御装置の構成も図2に示される第1の実施形態の場合とほぼ同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態では、3相電圧補正部29の補正動作の内容は第1の実施形態の場合と同様であるが、補正結果に対して制限を行う動作と、その制限値を算出する動作が行われる点で、第1の実施形態とは異なる。
図7は、本実施形態における3相電圧補正部29で補正を行うための制御手順を示すフローチャートである。図7に示されるステップS11〜S14、S16〜S18、S20の処理内容(3相電圧補正部29の動作内容)は、図6に示される同番号のステップの処理内容と同一であるので説明を省略する。
ここで図7に示される各ステップの処理を図6に示される各ステップの処理と比較すればわかるように、本実施形態では第2の実施形態の処理に対してステップS15における制限値の算出処理が追加されており、適宜のタイミングで実施される。すなわち、詳しくは後述するステップS15の処理が行われた後、第1の実施形態と同様、ステップ16において、3相電圧補正部29は、u相電流iuおよびv相電流ivを取得する。次に、ステップS17において、3相電圧補正部29は、補正期間ΔT1を算出してv相指令電圧Vv を補正し、かつ補正期間ΔT2を算出してw相指令電圧Vw を補正する。さらにステップS18において、配線温度算出部27は、配線温度Tlを算出する。続いてステップS19において、3相電圧補正部29は、制限値の算出タイミングか否かを判定する。具体的にはステップS17の補正処理の回数をカウントして所定回数(例えば数回)に達すれば算出タイミングであると判定する。この判定の結果、算出タイミングである場合(ステップS19においてYesである場合)、ステップS15の制限値算出処理が行われ、上記動作が繰り返される(S19→S15→…→S19)。またこの判定の結果、算出タイミングでない場合(ステップS19においてNoである場合)、ステップS20の処理に移り、同様の上記動作が繰り返される(S20→S14またはS16…→S20)。このように制限値の算出を補正値の算出毎に行わないのは、計算負荷を下げるためである。したがって計算負荷が問題にならない場合(1PWM期間内に計算が終了する場合)には、精度を高めるためにこれらの処理を補正値の算出毎に行うことが好ましい。
次に上記ステップS15における制限値の算出処理について2つの方法に分けて説明する。これら2つの方法ではいずれも、3相電圧補正部29において補正後のオン期間が当該PWM周期を超えてしまわないような制限値を算出する。ただしこの制限値は、補正後ではなく補正前の値を制限するものであって、補正前のオン期間の長さを制限するものであってもよいし、補正前における全期間に対するオン期間の割合を示すデューティ比を制限するものであってもよいし、(当然補正前である)dq軸/3相変換部23で求めたu相指令電圧Vu 、v相指令電圧Vv およびw相指令電圧Vw や、オープンループ制御部22で求めたd軸指令電圧vd およびq軸指令電圧vq などを制限するものであってもよい。
なお、ここでは説明の便宜のため、上記制限値を補正前のオン期間の長さを制限するための値であるものとして説明するが、実際には制限値を設定しやすいd軸指令電圧vd およびq軸指令電圧vq が制限対象として使用される。この場合には上記PWM信号のデューティ比を50%にするためのq軸指令電圧vq がちょうどゼロになるよう設定されるので、制限値は実際には絶対値として、すなわち上限値と下限値の形で設定されることになる。
まず図8および図9を参照して、上記第1の処理方法について説明する。図8は、第1の処理方法で上記制限値による制限がなされない場合における、1PWM周期内におけるモータ駆動回路の両端に印加される電圧の変化と、モータ各相の印加電圧の変化と、この変化に対するw相電圧に対する補正内容とを説明するための図である。この図8に示されるように、補正前のオン期間は時刻t5の時点で終了しており、これを上述した第2の実施形態における補正を行うことにより、補正後のオン期間は時刻t7の時点で終了している。しかし、1PWM周期Tpwmは、時刻t1から時刻t6までの期間であるので、1PWM周期内にあるべきオン期間が次のPWM周期に渡っており、異常な制御状態となる。そこで、第1の処理方法を用いた補正により、図9に示されるようにこの異常な制御状態を解消することができる。
図9は、第1の方法により上記制限値による制限がなされる場合における、1PWM周期内におけるモータ駆動回路の両端に印加される電圧の変化と、モータ各相の印加電圧の変化と、この変化に対するw相電圧に対する補正内容とを説明するための図である。この図9に示されるように、補正後のオン期間はPWM周期の終了時点である時刻t6より後述する制限期間Tc前の時刻t4で終了している。したがって、補正後のオン期間が当該PWM周期を超えてしまうことがなく、異常な制御状態とはならない。この制限期間Tcの算出方法について詳しく説明する。
図8に示される例では、u相とv相のオン期間は非常に短く、また同時に終了しているので、図4に示される場合のように上記オン期間にu相電流iuが流れることはなく、非常に長いw相のオン期間にu相電流iuおよびv相電流iv(すなわち負のw相電流−iw)が流れることによる電圧降下のみが生じている。ここで、上記u相とv相のオン期間がゼロであり、w相のオン期間が1PWM周期の期間と一致すると仮定した場合に、第1または第2の実施形態に示されるように補正期間ΔT2が最も長くなる。
したがって、制限期間Tcはこの最も長い補正期間ΔT2によって補正が行われる場合であってもなお補正後のオン期間がPWM周期内に収まるよう設定されなければならない。よって、上記最も長い場合に相当する時刻t1から時刻t6までの図9に示される斜線部分の面積が、時刻t4から時刻t6までの図9に示される斜線部分の面積と等しくなれば、少なくとも補正後のオン期間がPWM周期を超えることはない。このことは次式(16)のように表すことができる。
(R×|iw|)×Tpwm=(Vb−(R×|iw|))×Tc …(16)
したがって、上式(16)をTcについて整理すれば、3相電圧補正部29は、次式(17)を用いてTcを算出することができる。
Tc=(R×|iw|)×Tpwm/(Vb−(R×|iw|)) …(17)
なお、上述したu相とv相のオン期間がゼロであり、w相のオン期間が1PWM周期の期間と一致するとした仮定は、w相のオン期間が最も長くなりうる場合を想定したものであって最も余裕のある制限値を簡単に求めるためには好適である。しかし、w相のオン期間は1PWM周期の期間と一致しないことが多いので、上式(16)、(17)におけるPWM周期Tpwmに代えて、第1または第2の実施形態における(例えば1PWM周期前などの過去の)補正期間に相当する期間T1と期間T2との和を用いてもよい。また上式(12)を参照して上記Tcを求めてもよい。さらにこのように実際の補正期間を用いると制限値に余裕がなくなる場合があるので、この補正期間に対して予め定めた余裕期間を加算した期間や余裕割合を乗算した期間、すなわち(最も余裕がない)実際の補正期間を最小値とし、(最も余裕がある)上記1PWM周期の期間を最大値とする範囲内で定められる長さの期間を用いてもよい。そうすれば或る程度余裕のある制限値を簡単に求めることができる。さらにまた、PWM信号のオン期間について、典型的には装置の設計上許容される最大の期間と最小の期間との差の長さの期間を乗算した値に基づき制限期間を算出してもよい。この場合には1PWM周期に基づき制限期間を算出する上記場合よりも制限を緩和することができるのでオン期間の範囲をより広げることができる。
3相電圧補正部29は、算出されたTcに基づき、w相電圧Vp_wが接地電位となる時刻を最大で(最も遅くて)時刻t4までになるよう3相/PWM変調器12から出力されるw相指令電圧Vw を制限する。なおw相指令電圧Vw は、3相/PWM変調器12から出力されw相に対応するMOS−FETに与えられるPWM信号Wのデューティ比を定める電圧であることは前述したとおりであるので、上記w相指令電圧Vw の制限値は容易に算出される。この制限値を超える電圧値は制限値に制限される。また、その他の相の電圧に対しても制限値は共通に使用することができる。
ここで前述したように、w相電圧Vp_wが接地電位となる時刻を最大で(最も遅くて)時刻t4までになるよう、実際には制限しやすいq軸指令電圧vq に対して制限が行われる。この場合には上記PWM信号のデューティ比を50%にするためのq軸指令電圧vq がちょうどゼロになるよう設定されるので、制限値は実際には絶対値として設定され、具体的には図9に示されるように、各相の電圧が接地電位となる時刻を最小で(最も早くて)時刻t1から制限期間Tcだけ後の時刻t3とし、最大で(最も遅くて)時刻t4までになるようq軸指令電圧vq に対して制限が行われる。なお、ここで上記PWM信号のデューティ比を50%にするためのq軸指令電圧vq がちょうどゼロになるよう設定されているのは一例に過ぎず、これに限定されるわけではない。
次に、図10に示されるような異常な制御状態を解消するための第2の処理方法を用いた補正について、図11を参照して説明する。上記第1の処理方法は簡便な方法であるのに対して、以下に説明する第2の処理方法はより複雑であるが、第1の処理方法よりも制限値をより緩和的な値(最小値または最大値により近い値)にすることができるので、オン期間の範囲をより広げることができる。
図10は、第2の処理方法で上記制限値による制限がなされない場合における、1PWM周期内におけるモータ駆動回路の両端に印加される電圧の変化と、モータ各相の印加電圧の変化と、この変化に対するw相電圧に対する補正内容とを説明するための図である。この図10に示される例は、図8に示される例とは異なってu相電圧およびv相電圧の補正前のオン期間は時刻t3の時点で終了している。その他の点は図8に示される例とほぼ同様であって、補正後のオン期間は1PWM周期の終了時点である時刻t6より後の時刻t7の時点で終了しており、異常な制御状態となる。そこで、第2の処理方法を用いた補正により、図10に示されるようにこの異常な制御状態を解消することができる。
図11は、第2の方法により上記制限値による制限がなされる場合における、1PWM周期内におけるモータ駆動回路の両端に印加される電圧の変化と、モータ各相の印加電圧の変化と、この変化に対するw相電圧に対する補正内容とを説明するための図である。この図11に示されるように、補正後のオン期間はPWM周期の終了時点である時刻t6より後述する制限期間Tcの半分の期間(Tc/2)前の時刻t4’である。したがって、このままでは制限期間を緩和的に設定することができるとしても補正後のオン期間が当該PWM周期を超えてしまう場合があり得る。そこで各相のオン期間から上記制限期間の半分の期間Tc/2をそれぞれ差し引く(制限値設定に関わる)補正を行う。このことにより、補正後のオン期間が当該PWM周期を超えてしまうことがなくなる。なお、この制限期間の半分の期間Tc/2は、上式(20)により得られる制限期間Tcを2で割った値であるので、その算出方法の説明は省略する。また、各相のオン期間から上記制限期間の半分の期間Tc/2をそれぞれ差し引くのではなく、実際の補正期間の半分の期間をそれぞれ差し引く構成であってもよいし、さらにはこの実際の補正期間を最小値とし上記制限期間を最大値とする範囲内で定められる長さの半分の長さの期間をそれぞれ差し引く構成であってもよい。そうすれば、補正後のオン期間をさらに広げつつPWM周期を超えないようにすることができる。
このように3相電圧補正部29は、算出されたTcに基づき、w相電圧Vp_wが接地電位となる時刻を最大で(最も遅くて)時刻t4’までになるよう3相/PWM変調器12から出力されるw相指令電圧Vw を制限するとともに、各相に対応するオン期間が制限期間の半分の期間Tc/2だけ短くなるようu相指令電圧Vu 、v相指令電圧Vv およびw相指令電圧Vw に対する(制限値設定に関わる)補正を行う。
なお、このように各相に対応するオン期間を同じ期間だけ増減させてもモータの制御に影響することはない。なぜなら、3相の印加電圧を同じだけ変化させる場合には例えば次式(18)のようにいずれの相間電圧も変化しないからである。
(Vp_u−Tc/2)−(Vp_v−Tc/2)=Vp_u−Vp_v …(18)
また、上記PWM信号のデューティ比を50%にするためのq軸指令電圧vq がちょうどゼロになるよう設定されているのは一例に過ぎず、これに限定されるわけではないが、制限値が絶対値として設定されれば各相に対応するオン期間が少なくとも制限期間の半分の期間Tc/2以上に設定されることになるので、この制限期間の半分の期間Tc/2だけ短くなるようu相指令電圧Vu 、v相指令電圧Vv およびw相指令電圧Vw に対して行われる上記補正は、必ず実現することができることになる。そのため、上記構成が好適である。
以上のように、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、各相に対応するオン期間を1PWM周期内に収めるよう、制限値による制限を行うことにより、異常な制御状態となることを回避することができ、また配線抵抗等による制御精度の低下を解消または抑制し、高い精度でモータを駆動できる。
<3. 第3の実施形態>
本発明に係る第3の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成は、図1に示される第1の実施形態の場合と同様である。また、本実施形態におけるモータ制御装置の構成は、図1に示される第1の実施形態の場合と同様とほぼ同様であるが、図12に示される第3の実施形態に係るモータ制御装置の構成を図1に示される上記構成と比較すればわかるように、第1の実施形態の場合に備えられる配線温度算出部27が省略されており、また雰囲気温度Taを検出する温度センサ18に代えて、配線温度Tlを直接検出する温度センサ19が備えられている。そこで、以下では第1の実施形態の場合と異なる点を中心にして本実施形態の構成および動作を説明する。
図13は、本実施形態における車載バッテリとモータ駆動回路との配線等を含む回路図である。この図13を参照すればわかるように、電源からモータ駆動回路13の両端までの電流経路に設けられる半導体リレー31は、複数のMOSFETからなる周知のリレー回路であって、このMOSFETの内部には温度検出用のダイオードが内蔵されている。温度検出回路39は、このダイオードの順方向の電圧降下を計測することにより、半導体リレー31の温度、ひいては電源からモータ駆動回路13の両端までの電流経路の配線温度Tlを計測することができる。このように上記ダイオードと温度検出回路39とにより温度センサ19が構成されている。なお、半導体リレー31には上記ダイオード以外の温度検出用素子が内蔵されていてもよい。
また、上記半導体リレー31に内蔵される温度検出用ダイオードに代えて、電流経路上に、またはコイル32やシャント抵抗17などの電流経路上の電子部品に密着させるように新たに温度検出用ダイオードを設けてもよいし、上記構成以外の周知の構成であって、配線の温度を直接に計測可能なように設けられた温度センサ19が設けられてもよい。
以上のように、温度センサ19によって配線温度Tlを直接検出することができるので、本実施形態では配線温度算出部27を省略することができ、そのため図6(および図7)に示すステップS11,S12,S18の処理を省略することができるので、マイコン20の演算負荷を大幅に下げることができる。また、半導体リレー31に使用されるパワーMOSFETには一般的に温度検出用のダイオードが内蔵されているので、これを温度センサ19として使用することにより、新たな部品を追加する必要が無くなり、装置の製造コストを抑えることができる。
なお、図13に示されるように、モータ駆動回路13の両端に並列に接続される電解コンデンサ34にも電流が流れるため、3相電圧補正部29は、電源からモータ駆動回路13の両端までの電流経路における配線等の抵抗である配線抵抗Rを算出するが、この配線抵抗Rの算出には上記電解コンデンサ34の等価抵抗および接続点までの配線抵抗と、シャント抵抗17、半導体リレー31、およびコイル32の抵抗とが(少なくとも)含まれている。このことは第1および第2の実施形態においても同様である。なお突入電流制限用のプリチャージ回路33は、装置の動作中は回路から切り離されているためその抵抗を考慮する必要はない。
<4. 各実施形態における変形例>
上記第1の実施形態では、図6に示すステップS12において、基準温度Tbを温度センサ18で検出された雰囲気温度Taの値としているが、基準となる配線温度Tlを定めることができる場合には温度センサ18で実際に検出された雰囲気温度Ta以外の値を基準温度Tbとしてもよい。例えば、ECU10内に取り付けられた他の温度センサにより検出された温度を基準温度Tbとしてもよいし、温度センサ18が故障した場合には、その故障前の値を記憶部に記憶しておき、この記憶部に記憶された値を基準温度Tbとしてもよい。さらには、他のECUから通信などで温度を取得してもよい。
上記各実施形態では3相電圧補正部29は、電流センサ14により検出されたu相電流iuおよびv相電流ivに基づき補正を行うが、これらに代えてその推定値であるu相推定電流iuaおよびv相推定電流ivaを周知の手法で算出し、算出された推定値に基づき補正を行ってもよい。この算出方法としては、例えば駆動回路(インバータ)に入力される電圧に基づき出力電流の推定を行う適応オブザーバを用いる方法などが知られている。
また、これらの推定値に代えて指令電流算出部21により算出されるd軸指令電流id * およびq軸指令電流iq * を3相交流座標軸上の指令電流に変換することにより得られるu相指令電流iu * およびv相指令電流iv * に基づき補正を行ってもよい。これらの場合には電流センサ14を省略することができる。
上記各実施形態では、接地電位(正確にはモータ駆動回路13における下側の3相の結合点)を基準にデューティ比が大きくなるよう(延長期間が長くなるよう)補正が行われるが、モータ駆動回路13における上側の3相の結合点を基準にデューティ比が小さくなるよう(延長期間に対応する縮小期間が長くなるよう)補正が行われてもよい。この場合は上記各実施形態の場合とは逆に、配線抵抗によりモータ駆動回路の両端に印加される電圧が上昇することになるので、u相電圧Vp_uおよびv相電圧Vp_vの時間平均値の上昇が補償されるようu相指令電圧Vu およびv相指令電圧Vv を補正する。このことにより配線抵抗等による制御精度の低下を解消または抑制し、高い精度でモータを駆動できる。なお、上記補償のための補正期間または制限期間は、前述した各実施形態に記載の算出方法を参照すれば容易に算出することができる。また、この場合は最小のオン期間がゼロ以上でなければならず、また第2の実施形態の場合とは逆に各相のオン期間に制限期間をそれぞれ加える(制限値設定に関わる)補正を行うことになる。
上記各実施形態では、オープンループ制御部22によるオープンループ制御が行われるが、モータに流れる電流の検出値に基づくフィードバック制御が行われてもよい。もっともフィードバック制御では、一般的なオープンループ制御の場合とは異なり、配線抵抗等により生じる指令電流値と検出電流値とのずれが解消される方向に制御されることになるが、この場合であっても、配線抵抗等による制御精度の低下を上記構成により予め解消または抑制することができるので、結果的に遅れなく高い精度でモータを駆動できる。なお、上記各実施形態では、3相モータを例に説明したが、n相(nは3以上の自然数)のモータであっても本発明を同様に適用することが可能である。
本発明の第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を示す概略図である。 上記実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。 上記実施形態の3相ブラシレスモータにおける3相交流座標とdq座標を示す図である。 上記実施形態におけるモータ駆動回路の両端に印加される電圧の変化と、モータ各相の印加電圧の変化と、この変化に対するv相電圧に対する補正を説明するための図である。 上記実施形態において、図4に示した補正を行った後のモータ駆動回路の両端に印加される電圧の変化と、モータ各相の印加電圧の変化と、この変化に対するw相電圧に対する補正を説明するための図である。 上記実施形態における補正を行うための制御手順を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態における補正を行うための制御手順を示すフローチャートである。 上記実施形態における第1の処理方法で制限値による制限がなされない場合における、各印加電圧の変化を説明するための図である。 上記実施形態における第1の処理方法で制限値による制限がなされる場合における、各印加電圧の変化を説明するための図である。 上記実施形態における第2の処理方法で制限値による制限がなされない場合における、各印加電圧の変化を説明するための図である。 上記実施形態における第2の処理方法で制限値による制限がなされる場合における、各印加電圧の変化を説明するための図である。 本発明の第3の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。 上記実施形態の車載バッテリとモータ駆動回路との配線等を含む回路図である。
符号の説明
13…モータ駆動回路、14…電流センサ、17…シャント抵抗、20…マイコン、32…コイル、34…電解コンデンサ、Vb,Vb1,Vb2…モータ駆動回路の両端電圧

Claims (8)

  1. n相(nは3以上の自然数)のモータを駆動するモータ制御装置であって、
    前記モータの駆動に用いられる指令電圧のレベルを求める制御手段と、
    前記制御手段で求めたレベルの電圧を用いて単位周期毎に所定のパルス幅を有するパルス幅変調(PWM)信号を生成するモータ駆動信号生成手段と、
    前記モータ駆動信号生成手段からの前記パルス幅変調信号に基づき、前記モータを駆動するための複数のスイッチング素子を有し、前記複数のスイッチング素子が前記パルス幅変調信号によってオン・オフされることにより前記モータに電流を供給するスイッチング回路を含むモータ駆動回路と、
    電源から前記モータ駆動回路までの電流経路上の電子部品を含む配線の温度を求める配線温度算出手段と、
    前記配線温度算出手段で求めた配線温度に基づき、前記配線の抵抗値を求める抵抗値算出手段と
    を備え、
    前記制御手段は、
    前記モータに流れている検出された電流の量を示す検出電流値、前記モータに供給すべき電流の量を示す指令電流値、および前記モータに流れていると推定される電流の量を示す推定電流値のうちのいずれか1つの電流値を求める電流値算出手段を含み、
    前記スイッチング素子のオン・オフ状態に応じて、前記モータ駆動回路に加わる電圧の変化が補償されるよう、前記電流値算出手段で求めた電流値と、前記抵抗値算出手段で求めた前記抵抗値に応じて前記指令電圧のレベルを補正するとともに、
    前記単位周期内において前記n相のうちの各相につき、基準となる電圧値から変化した電圧値までの前記モータ駆動回路に加わる電圧の電圧変化量に変化時間を乗算した値と前記変化した電圧値に所定の補正期間を乗算した値とが等しくなるような前記補正期間だけ、前記パルス幅変調信号のオン期間が前記電圧変化に応じて増加または減少されるよう、前記指令電圧のレベルを補正し、
    前記電流値算出手段により求めた電流値に対して前記抵抗値を乗算して得られる電圧値に、前記補正期間を最小値とし前記パルス幅変調信号の1周期に相当する期間を最大値とする範囲内で定められる長さの期間を乗算した値と、前記抵抗により変化した電圧値に所定の制限期間を乗算した値とが等しくなるような前記制限期間を算出し、
    前記制限期間の半分の期間を、前記n相のうち最大の電圧が加わる相に対応するオン期間であって前記補正により増加される前のオン期間に対して加えた期間が前記1周期に相当する期間を超えないよう、または前記制限期間の半分の期間を、前記n相のうち最小の電圧が加わる相に対応するオン期間であって前記補正により減少される前のオン期間から差し引いた期間がゼロ以上となるよう、前記指令電圧のレベルを制限する制限値を算出し、算出された制限値以下に前記指令電圧のレベルを制限するとともに、
    前記n相の全てに対応するオン期間から、前記補正期間を最小値とし前記制限期間を最大値とする範囲内で定められる長さの半分の長さの期間を補正により増加される場合には差し引き、補正により減少される場合には加えた期間を新たなオン期間とすることを特徴とする、モータ制御装置。
  2. n相(nは3以上の自然数)のモータを駆動するモータ制御装置であって、
    前記モータの駆動に用いられる指令電圧のレベルを求める制御手段と、
    前記制御手段で求めたレベルの電圧を用いて単位周期毎に所定のパルス幅を有するパルス幅変調(PWM)信号を生成するモータ駆動信号生成手段と、
    前記モータ駆動信号生成手段からの前記パルス幅変調信号に基づき、前記モータを駆動するための複数のスイッチング素子を有し、前記複数のスイッチング素子が前記パルス幅変調信号によってオン・オフされることにより前記モータに電流を供給するスイッチング回路を含むモータ駆動回路と、
    電源から前記モータ駆動回路までの電流経路上の電子部品を含む配線の温度を求める配線温度算出手段と、
    前記配線温度算出手段で求めた配線温度に基づき、前記配線の抵抗値を求める抵抗値算出手段と
    を備え、
    前記制御手段は、
    前記モータに流れている検出された電流の量を示す検出電流値、前記モータに供給すべき電流の量を示す指令電流値、および前記モータに流れていると推定される電流の量を示す推定電流値のうちのいずれか1つの電流値を求める電流値算出手段を含み、
    前記スイッチング素子のオン・オフ状態に応じて、前記モータ駆動回路に加わる電圧の変化が補償されるよう、前記電流値算出手段で求めた電流値と、前記抵抗値算出手段で求めた前記抵抗値に応じて前記指令電圧のレベルを補正するとともに、
    前記単位周期内において前記n相のうちの各相につき、基準となる電圧値から変化した電圧値までの前記モータ駆動回路に加わる電圧の電圧変化量に変化時間を乗算した値と前記変化した電圧値に所定の補正期間を乗算した値とが等しくなるような前記補正期間だけ、前記パルス幅変調信号のオン期間が前記電圧変化に応じて増加または減少されるよう、前記指令電圧のレベルを補正し、
    前記n相のうち最大の電圧が加わる相に対応するオン期間であって前記補正により増加されたオン期間が前記パルス幅変調信号の1周期に相当する期間を超えないよう、または前記n相のうち最小の電圧が加わる相に対応するオン期間であって前記補正により減少されたオン期間がゼロ以上となるよう、前記抵抗値算出手段で求めた前記抵抗値および前記電流値算出手段により求めた電流値に基づき前記指令電圧のレベルを制限する制限値を算出し、算出された制限値以下に前記指令電圧のレベルを制限し、
    前記電流値算出手段により求めた電流値に対して前記抵抗値を乗算して得られる電圧値に、前記オン期間について許容される最大の期間と最小の期間との差の長さの期間を乗算した値と、前記抵抗により変化した電圧値に所定の制限期間を乗算した値とが等しくなるような前記制限期間を算出し、算出された前記制限期間に基づき前記制限値を算出することを特徴とする、モータ制御装置。
  3. 前記配線温度算出手段は、前記経路を流れる電流によって生じる発熱エネルギーを算出し、当該発熱エネルギーに応じて生じるべき温度上昇量を、前記電流が流れないときの前記配線の温度である基準温度に加算することにより、前記配線温度を求めることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記配線温度算出手段は、前記電子部品である電界効果型トランジスタ素子に内蔵される温度検出用素子により、前記配線の温度を求めることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のモータ制御装置。
  5. 前記配線温度に対応する前記配線の抵抗値を示すマップを予め記憶するとともに、前記抵抗値を記憶する記憶手段をさらに備え、
    前記抵抗値算出手段は、前記指令電圧のレベルが求められる時間間隔より長い間隔を空けて、前記記憶手段に記憶される前記マップに基づき前記抵抗値を算出し、算出された抵抗値を前記記憶手段に記憶させ、
    前記制御手段は、前記抵抗値算出手段により前記抵抗値が算出されないときに、前記記憶手段に記憶された抵抗値に基づき前記指令電圧のレベルを補正することを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  6. 前記制御手段は、前記モータに供給すべき電流の量を示す指令電流値と前記モータのロータの角速度とに基づき、モータの回路方程式に従い前記指令電圧のレベルを求めるオープンループ制御手段を含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のモータ制御装置。
  7. 前記制御手段は、前記電流値算出手段により求めた電流値に対して前記抵抗値を乗算して得られる電圧値に、前記オン期間について許容される最大の期間と最小の期間との差の長さの期間を乗算した値と、前記抵抗により変化した電圧値に所定の制限期間を乗算した値とが等しくなるような前記制限期間を算出し、算出された前記制限期間に基づき前記制限値を算出することを特徴とする、請求項1に記載のモータ制御装置。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のモータ制御装置を備えた、電動パワーステアリング装置。
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