JP5446411B2 - モータ制御装置および電動パワーステアリング装置 - Google Patents

モータ制御装置および電動パワーステアリング装置 Download PDF

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本発明は、モータ制御装置、および、モータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置に関する。
従来から、運転者がハンドル(ステアリングホイール)に加える操舵トルクに応じて電動モータを駆動することにより車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置が用いられている。電動パワーステアリング装置の電動モータには従来からブラシモータが広く使用されているが、信頼性および耐久性の向上や慣性の低減などの観点から、近年ではブラシレスモータも使用されている。
一般にモータ制御装置は、モータで発生するトルクを制御するために、モータに流れる電流を検出し、モータに供給すべき電流と検出した電流との差に基づきPI制御(比例積分制御)を行う。3相ブラシレスモータを駆動するモータ制御装置には、2相以上の電流を検出するために、2個または3個の電流センサが設けられる。
この電流センサは、モータ制御装置の小型化の妨げになる。そこで、モータ制御装置を小型化するために、電流センサをすべて除去し、モータの回路方程式に従いオープンループ制御(フィードフォワード制御)を行う方法が知られている。また、特段の工夫を行わずにオープンループ制御を行うと、モータの回路方程式に含まれるパラメータが変動したときにモータを正しく駆動できなくなるという問題が生じる。この問題を解決するために、特許文献1には、電流センサを1個だけ設け、電流センサで検知した電流値に基づき、モータの回路方程式に含まれるパラメータを求めることが記載されている。
特開2008−220155号公報
しかしながら、オープンループ制御を行うモータ駆動装置では、電流センサに異常が発生したときでもモータの駆動を継続することができる。また、正常時と異常時でモータの挙動に差が生じにくい。このため、オープンループ制御を行うモータ駆動装置を電動パワーステアリング装置に使用した場合、異常が発生しても運転者がそれを認識できずに、かえって危険性が増すことがある。
それ故に、本発明は、利用者が異常を認識しやすいモータ制御装置、および、これを備えた電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、モータを駆動するモータ制御装置であって、
前記モータに供給すべき電流の量を示す指令電流値と前記モータのロータの角速度とに基づき、モータの回路方程式に従い、前記モータの駆動に用いられる指令電圧のレベルを求めるオープンループ制御手段と
記モータのトルクリップルを抑制するために、前記オープンループ制御手段で求めた指令電圧のレベルを補正する補正手段と、
前記補正手段で補正されたレベルの電圧を用いて前記モータを駆動するモータ駆動手段と、
装置の異常を検知する異常検知手段とを備え、
前記補正手段は、前記異常検知手段で異常が検知された異常時には正常時とは異なる態様の補正として前記モータのトルクリップルを正常時よりも大きくする補正を行うことを特徴とする。
の発明は、第の発明において、
前記補正手段は、予め定められた各相の抵抗値に基づき、前記オープンループ制御手段で求めた指令電圧のレベルを補正すると共に、正常時と異常時で少なくとも1相の抵抗値を変化させることを特徴とする。
の発明は、第の発明において、
前記モータに流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段で検出された電流値と当該電流値の検出時点における前記指令電圧のレベルとに基づき、各相の抵抗値を求める相抵抗算出手段とをさらに備え、
前記補正手段は、前記相抵抗算出手段で求めた各相の抵抗値に基づき、前記オープンループ制御手段で求めた指令電圧のレベルを補正すると共に、正常時と異常時で少なくとも1相の抵抗値を変化させることを特徴とする。
の発明は、第の発明において、
前記モータ駆動回路への印加電圧を検出する電圧検出手段をさらに備え、
前記モータ駆動手段は、前記モータに電流を供給するか否かを切り替える複数のスイッチング素子を有するモータ駆動回路を含み、
前記補正手段は、前記電圧検出手段で検出された電圧値に基づき、正常時にはスイッチング素子の状態変化に伴う前記モータ駆動回路への印加電圧の変化を補償するように、前記オープンループ制御手段で求めた指令電圧のレベルを補正し、異常時には正常時よりも補正期間の長さを短くすることにより正常時とは異なる態様で前記オープンループ制御手段で求めた指令電圧のレベルを補正することを特徴とする。
の発明は、第の発明において、
前記モータ駆動回路への印加電圧を検出する電圧検出手段をさらに備え、
前記モータ駆動手段は、前記モータに電流を供給するか否かを切り替える複数のスイッチング素子を有するモータ駆動回路を含み、
前記補正手段は、前記電圧検出手段で検出された電圧値に基づき、正常時には前記スイッチング素子の状態変化に伴う前記モータ駆動回路への印加電圧の変化を補償するように、前記オープンループ制御手段で求めた指令電圧のレベルを補正し、異常時には前記電圧検出手段で検出された電圧値に所定値を加算することにより正常時とは異なる態様で前記オープンループ制御手段で求めた指令電圧のレベルを補正することを特徴とする。
の発明は、第1の発明において、
前記モータに流れる電流を検出する電流検出手段をさらに備え、
前記異常検知手段は、前記電流検出手段で検出された電流値に基づき、装置の異常を検知することを特徴とする。
の発明は、第1〜第のいずれかの発明に係るモータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置である。
上記第1の発明によれば、モータの回路方程式に従いオープンループ制御によってモータの駆動電圧を求める場合に、正常時にはモータのトルクリップルを抑制するための補正を行い、異常時には正常時と異なる態様の補正を行うことにより、異常発生時にモータのトルクリップルを変化させて、異常の発生を利用者に認識させることができる。これにより、異常発生時に利用者に修理を促し、モータ制御装置を安全な状態で使用することができる。
また、異常時にはモータのトルクリップルを正常時よりも大きくする補正を行うことにより、異常の発生を利用者に認識させて、利用者に修理を促し、モータ制御装置を安全な状態で使用することができる。
また、オープンループ制御手段で求めた指令電圧のレベルを補正し、補正後のレベルの電圧を用いてモータを駆動することにより、モータのトルクリップルを抑制することができる。
上記第の発明によれば、正常時と異常時で1相の抵抗値を変化させることにより、モータのトルクリップルを抑制するための補正の態様を変化させて、異常の発生を利用者に認識させることができる。
上記第の発明によれば、モータを駆動している間に求めた各相の抵抗に基づき、モータの駆動電圧を補正することにより、各相の抵抗が製造ばらつきや温度変化などによって変化する場合でも、モータのトルクリップルを抑制することができる。また、正常時と異常時で1相の抵抗値を変化させることにより、モータのトルクリップルを抑制するための補正の態様を変化させて、異常の発生を利用者に認識させることができる。
上記第4または第5の発明によれば、スイッチング素子の状態変化に伴うモータ駆動回路への印加電圧の変化を補償するようにモータの駆動電圧を補正することにより、モータのトルクリップルを抑制することができる。また、異常時には正常時とは異なる態様で補正を行うことにより、異常の発生を利用者に認識させることができる。
また、モータ駆動回路への印加電圧を検知し、検知した電圧に基づき、スイッチング素子の状態変化に伴うモータ駆動回路への印加電圧の変化を補償する補正を行うことにより、モータのトルクリップルを抑制することができる。
上記第の発明によれば、モータに流れる電流を検出することにより、装置の異常を検知し、モータのトルクリップルを抑制するための補正の態様を変更して、異常の発生を利用者に認識させることができる。
上記第の発明によれば、異常の発生を利用者に認識させて、安全な状態で使用できる電動パワーステアリング装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。 3相ブラシレスモータにおける3相交流座標とdq座標を示す図である。 3相ブラシレスモータにおけるu相、v相およびw相についての電機子巻線抵抗を含む回路抵抗を示す図である。 電源ラインの抵抗値とトルクリップルの関係を示す図である。 ブリッジ回路のアーム抵抗値とトルクリップルの関係を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。 図8に示すモータ制御装置におけるv相電圧に対する補正内容を説明するための図である。 図8に示すモータ制御装置におけるw相電圧に対する補正内容を説明するための図である。
図1は、本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を、それに関連する車両の構成と共に示す概略図である。図1に示す電動パワーステアリング装置は、ブラシレスモータ1、減速機2、トルクセンサ3、車速センサ4、位置検出センサ5、および、電子制御ユニット(Electronic Control Unit :以下、ECUという)10を備えたコラムアシスト型の電動パワーステアリング装置である。
図1に示すように、ステアリングシャフト102の一端にはハンドル(ステアリングホイール)101が固着されており、ステアリングシャフト102の他端はラックピニオン機構103を介してラック軸104に連結されている。ラック軸104の両端は、タイロッドおよびナックルアームからなる連結部材105を介して車輪106に連結されている。運転者がハンドル101を回転させると、ステアリングシャフト102は回転し、これに伴いラック軸104は往復運動を行う。ラック軸104の往復運動に伴い、車輪106の向きが変わる。
電動パワーステアリング装置は、運転者の負荷を軽減するために、以下に示す操舵補助を行う。トルクセンサ3は、ハンドル101の操作によってステアリングシャフト102に加えられる操舵トルクTを検出する。車速センサ4は、車速Sを検出する。位置検出センサ5は、ブラシレスモータ1のロータの回転位置Pを検出する。位置検出センサ5は、例えばレゾルバで構成される。
ECU10は、車載バッテリ100から電力の供給を受け、操舵トルクT、車速Sおよび回転位置Pに基づきブラシレスモータ1を駆動する。ブラシレスモータ1は、ECU10によって駆動されると、操舵補助力を発生させる。減速機2は、ブラシレスモータ1とステアリングシャフト102との間に設けられる。ブラシレスモータ1で発生した操舵補助力は、減速機2を介して、ステアリングシャフト102を回転させるように作用する。
この結果、ステアリングシャフト102は、ハンドル101に加えられる操舵トルクと、ブラシレスモータ1で発生した操舵補助力の両方によって回転する。このように電動パワーステアリング装置は、ブラシレスモータ1で発生した操舵補助力を車両のステアリング機構に与えることにより操舵補助を行う。
本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置は、ブラシレスモータ1を駆動する制御装置(モータ制御装置)に特徴がある。そこで以下では、各実施形態に係る電動パワーステアリング装置に含まれるモータ制御装置について説明する。
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。図2に示すモータ制御装置は、ECU10を用いて構成されており、u相、v相およびw相の3相巻線(図示せず)を有するブラシレスモータ1を駆動する。ECU10は、位相補償器11、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと略称する)20、3相/PWM(Pulse Width Modulation)変調器12、モータ駆動回路13、および、電流センサ14を備えている。
ECU10には、トルクセンサ3から出力された操舵トルクT、車速センサ4から出力された車速S、および、位置検出センサ5から出力された回転位置Pが入力される。位相補償器11は、操舵トルクTに対して位相補償を施す。マイコン20は、ブラシレスモータ1の駆動に用いられる指令電圧のレベルを求める制御手段として機能する。マイコン20の機能の詳細については、後述する。
3相/PWM変調器12とモータ駆動回路13は、ハードウェア(回路)で構成されており、マイコン20で求めたレベルの電圧を用いてブラシレスモータ1を駆動するモータ駆動手段として機能する。3相/PWM変調器12は、モータを駆動制御するための信号として、マイコン20で求めた3相の電圧のレベルに応じたデューティ比を有する3種類のPWM信号(図2に示すU、V、W)を生成する。モータ駆動回路13は、スイッチング素子として6個のMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor )を含むPWM電圧形インバータ回路である。6個のMOS−FETは、3種類のPWM信号とその否定信号によって制御される。PWM信号を用いてMOS−FETの導通状態を制御することにより、ブラシレスモータ1に対して3相の駆動電流(u相電流、v相電流およびw相電流)が供給される。このようにモータ駆動回路13は、ブラシレスモータ1に電流を供給するか否かを切り替える複数のスイッチング素子を有している。
電流センサ14は、ブラシレスモータ1に流れる電流を検出する電流検出手段として機能する。電流センサ14は、例えば抵抗体やホール素子で構成され、モータ駆動回路13と電源の間に1個だけ設けられる。図2に示す例では、電流センサ14はモータ駆動回路13と電源のマイナス側(接地)との間に設けられているが、電流センサ14をモータ駆動回路13と電源のプラス側との間に設けてもよい。
ブラシレスモータ1が回転している間、電流センサ14で検出される電流値は、PWM信号に応じて変化する。PWM信号の1周期内では、電流センサ14によって1相の駆動電流が検知されるときと、2相の駆動電流の和が検知されるときとがある。3相の駆動電流の和はゼロになるので、2相の駆動電流の和に基づき、残り1相の駆動電流を求めることができる。したがって、ブラシレスモータ1が回転している間、1個の電流センサ14を用いて3相の駆動電流を検出することができる。電流センサ14で検出された電流値ia は、マイコン20に入力される。
マイコン20は、ECU10に内蔵されたメモリ(図示せず)に格納されたプログラムを実行することにより、指令電流算出部21、オープンループ制御部22、dq軸/3相変換部23、3相電圧補正部24、角度算出部25、角速度算出部26、および、異常監視部27として機能する。マイコン20は、以下に示すように、ブラシレスモータ1に供給すべき電流の量を示す指令電流値とブラシレスモータ1のロータの角速度とに基づき、モータの回路方程式に従い、モータ駆動回路13に与えるべき電圧(以下、指令電圧という)のレベルを求める。
角度算出部25は、位置検出センサ5で検出した回転位置Pに基づき、ブラシレスモータ1のロータの回転角(以下、角度θという)を求める。角速度算出部26は、角度θに基づき、ブラシレスモータ1のロータの角速度ωe を求める。なお、図3に示すようにブラシレスモータ1に対してu軸、v軸およびw軸を設定し、ブラシレスモータ1のロータ6に対してd軸およびq軸を設定したとき、u軸とd軸のなす角が角度θとなる。
指令電流算出部21は、位相補償後の操舵トルクT(位相補償器11の出力信号)と車速Sに基づき、ブラシレスモータ1に供給すべきd軸電流とq軸電流を求める(以下、前者をd軸指令電流id *、後者をq軸指令電流iq *という)。より詳細には、指令電流算出部21は、車速Sをパラメータとして、操舵トルクTと指令電流との対応づけを記憶したテーブル(以下、アシストマップという)を内蔵しており、アシストマップを参照して指令電流を求める。アシストマップを用いることにより、ある大きさの操舵トルクが与えられたときに、その大きさに応じた適切な大きさの操舵補助力を発生させるためにブラシレスモータ1に供給すべきd軸指令電流id *とq軸指令電流iq *を求めることができる。
なお、指令電流算出部21で求めるq軸指令電流iq *は符号付きの電流値であり、その符号は操舵補助の方向を示す。例えば、符号がプラスのときには右方向へ曲がるための操舵補助が行われ、符号がマイナスのときには左方向へ曲がるための操舵補助が行われる。また、d軸指令電流id *は、典型的にはゼロに設定される。
オープンループ制御部22は、d軸指令電流id *、q軸指令電流iq *および角速度ωe に基づき、ブラシレスモータ1に供給すべきd軸電圧とq軸電圧を求める(以下、前者をd軸指令電圧vd 、後者をq軸指令電圧vq という)。d軸指令電圧vd とq軸指令電圧vq は、次式(1)と(2)に示すモータの回路方程式を用いて算出される。
d=(R+PLd)id *−ωeqq * …(1)
q=(R+PLq)iq *+ωedd *+ωeΦ …(2)
ただし、式(1)と(2)において、vd はd軸指令電圧、vq はq軸指令電圧、id *はd軸指令電流、iq *はq軸指令電流、ωe はロータの角速度、Rは電機子巻線抵抗を含む回路抵抗、Ld はd軸の自己インダクタンス、Lq はq軸の自己インダクタンス、ΦはU、V、W相電機子巻線鎖交磁束数の最大値の√(3/2)倍、Pは微分演算子である。このうちR、Ld 、Lq およびΦは、既知のパラメータとして扱われる。なお、上記回路抵抗には、ブラシレスモータ1とECU10との間の配線抵抗やECU10内でのモータ駆動回路13の抵抗および配線抵抗などが含まれる。この点は、他の実施形態でも同様である。
dq軸/3相変換部23は、オープンループ制御部22で求めたd軸指令電圧vd とq軸指令電圧vq を3相交流座標軸上の指令電圧に変換する。より詳細には、dq軸/3相変換部23は、d軸指令電圧vd とq軸指令電圧vq に基づき、次式(3)〜(5)を用いてu相指令電圧Vu 、v相指令電圧Vv およびw相指令電圧Vw を求める。
u=√(2/3)×{vd×cosθ−vq×sinθ} …(3)
v=√(2/3)×{vd×cos(θ−2π/3)
−vq×sin(θ−2π/3)} …(4)
w=−Vu−Vv …(5)
なお、式(3)と(4)に含まれる角度θは、角度算出部25で求めたものである。
異常監視部27は、電流センサ14で検出された電流値ia が正常範囲内にあるか否かを調べ、電流センサ14が正常に動作しているか否かを判断する。以下、電流センサ14が正常に動作しているときを「正常時」、電流センサ14に異常が発生しているときを「異常時」という。異常監視部27は、正常か異常かを示す制御信号Cを3相電圧補正部24に対して出力する。このように異常監視部27は、装置の異常を検出する異常検出手段として機能する。
3相電圧補正部24は、以下に示すように、ブラシレスモータ1のトルクリップルを小さくするために、3相の指令電圧Vu 、Vv 、Vw を補正して補正後の指令電圧Vuc、Vvc、Vwcを求める。ただし、制御信号Cが異常を示すときには、3相電圧補正部24は、安全性を損なわない程度に(すなわち、車両の運転に支障が生じない程度に)ブラシレスモータ1のトルクリップルを大きくする補正を行う。
3相電圧補正部24は、まずブラシレスモータ1の逆起電力(誘起電圧)のd軸成分とq軸成分を求め、これらを3相交流座標軸上の逆起電力に変換する。ブラシレスモータ1の逆起電力のq軸成分はωeΦ 、d軸成分は0である。そこで3相電圧補正部24は、次式(6)〜(8)を用いてブラシレスモータ1におけるu相逆起電力eu 、v相逆起電力ev 、および、w相逆起電力ew を求める。
u=√(2/3)×{0×cosθ−ωeΦ×sinθ} …(6)
v=√(2/3)×{0×cos(θ−2π/3)
−ωeΦ×sin(θ−2π/3)} …(7)
w=−eu−ev …(8)
なお、式(6)と(7)に含まれる角度θは、角度算出部25で求めたものである。
次に、3相電圧補正部24は、次式(9)〜(11)を用いて3相の指令電圧Vu 、Vv 、Vw を補正することにより、補正後の指令電圧Vuc、Vvc、Vwcを求める。
uc=(Vu−eu)・Ru/Rr+eu …(9)
vc=(Vv−ev)・Rv/Rr+ev …(10)
wc=(Vw−ew)・Rw/Rr+ew …(11)
ただし、式(9)〜(11)において、Ru 、Rv およびRw は、それぞれ、u相、v相およびw相についての電機子巻線抵抗を含む回路抵抗(図4を参照)であり、Rr は各相に共通に設定される基準となる抵抗の値である。以下、Ru 、Rv 、Rw およびRr をそれぞれu相抵抗、v相抵抗、w相抵抗および基準抵抗という。これら4つの抵抗値は、既知のパラメータとして扱われる。基準抵抗Rr には、例えば3相の抵抗の平均値を使用してもよく、3相の抵抗のいずれかと同じ値を使用してもよい。
3相電圧補正部24は、制御信号Cに従い正常時と異常時で、式(9)〜(11)に含まれるu相抵抗Ru 、v相抵抗Rv およびw相抵抗Rw のうち少なくとも1つを変化させる。より詳細には、3相電圧補正部24は、制御信号Cが正常を示すときには、トルクリップルを小さくするために、u相抵抗Ru 、v相抵抗Rv およびw相抵抗Rw に同じ値を設定する。例えば、3相電圧補正部24は、正常時にはRu 、Rv およびRw にいずれも10mΩを設定する。これに対して、制御信号Cが異常を示すときには、3相電圧補正部24は、トルクリップルを大きくするために、u相抵抗Ru 、v相抵抗Rv およびw相抵抗Rw のうち2つには同じ値を設定し、残りの1つには異なる値を設定する。例えば、3相電圧補正部24は、異常時にはRu とRv には10mΩを設定し、Rw には12mΩを設定する。あるいは、制御信号Cが異常を示すときには、3相電圧補正部24は、u相抵抗Ru 、v相抵抗Rv およびw相抵抗Rw にすべて異なる値を設定してもよい。
このようにマイコン20は、dq座標軸上の指令電流id *、iq *を求める処理と、モータの回路方程式に従いdq座標軸上の指令電圧vd 、vq を求める処理と、求めた指令電圧vd 、vq を3相の指令電圧Vu 、Vv 、Vw に変換する処理と、3相の指令電圧Vu 、Vv 、Vw を補正して補正後の指令電圧Vuc、Vvc、Vwcを求める処理とを行う。3相/PWM変調器12は、マイコン20で求めた補正後の指令電圧Vuc、Vvc、Vwcに基づき、3種類のPWM信号を出力する。これにより、ブラシレスモータ1の3相巻線には、各相の指令電圧に応じた正弦波状の電流が流れ、ブラシレスモータ1のロータは回転する。これに伴い、ブラシレスモータ1の回転軸には、ブラシレスモータ1を流れる電流に応じたトルクが発生する。発生したトルクは、操舵補助に用いられる。
マイコン20は、上記の処理に加えて、電流センサ14の異常を検知する処理を行い、3相の指令電圧Vu 、Vv 、Vw を補正するときには、正常時にはトルクリップルを小さくする補正を行い、異常時には安全性を損なわない程度にトルクリップルを大きくする補正を行う。
なお、3相電圧補正部24は、上記以外の方法で3相の指令電圧Vu 、Vv 、Vw を補正してもよい。3相電圧補正部24は、例えば電源ラインの抵抗値を含む計算式を用いて3相の指令電圧を補正してもよい。図5は、電源ラインの抵抗値とトルクリップルの関係の一例を示す図である。図5に示すように、トルクリップルは、電源ラインの抵抗値に応じて変動する。ここでは、トルクリップルは電源ラインの抵抗値が15mΩのときに最小値2%になり、トルクリップルの正常時の限界許容値は5%であるとする。この場合、3相電圧補正部24は、正常時には電源ラインの抵抗値を15mΩに設定し、異常時には演算上における電源ラインの抵抗値を例えば5mΩに設定する。これにより、異常時のトルクリップルは約8%となり、正常時の限界許容値を超える。
また、3相電圧補正部24は、モータ駆動回路13に含まれるブリッジ回路の上アーム抵抗値や下アーム抵抗値を含む計算式を用いて3相の指令電圧を補正してもよい。図6は、ブリッジ回路のアーム抵抗値とトルクリップルの関係の一例を示す図である。図6に示すように、トルクリップルは、ブリッジ回路のアーム抵抗値に応じて変動する。ここでは、トルクリップルはアーム抵抗値が5mΩのときに最小値2%になり、トルクリップルの正常時の限界許容値は5%であるとする。この場合、3相電圧補正部24は、正常時にはアーム抵抗値を5mΩに設定し、異常時には演算上におけるアーム抵抗値を例えば2mΩに設定する。これにより、異常時のトルクリップルは約8%となり、正常時の限界許容値を超える。
このように正常時と異常時で演算上における電源ラインの抵抗値やブリッジ回路のアーム抵抗値を変化させることにより、正常時にはトルクリップルを最小にし、異常時にはトルクリップルを正常時の限界許容値を超えるようにすることができる。なお、ブリッジ回路のアーム抵抗値を変化させる場合には、上アーム抵抗値と下アーム抵抗値のうちいずれか一方だけを変化させてもよく、両方を変化させてもよい。
以上に示すように、本実施形態に係るモータ制御装置は、モータの回路方程式に従いオープンループ制御によってモータの駆動電圧を求める場合に、正常値と異常時で少なくとも1相の抵抗値を変化させることにより、正常時にはモータのトルクリップルを抑制する補正を行い、異常時には正常時とは異なる態様でモータのトルクリップルを大きくする補正を行う。
したがって、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、異常発生時にモータのトルクリップルを変化させて、異常の発生を利用者に認識させることができる。これにより、異常発生時に利用者に修理を促し、モータ制御装置と電動パワーステアリング装置を安全な状態で使用することができる。
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。図7に示すモータ制御装置は、第1の実施形態に係るモータ制御装置において、3相電圧補正部24を含むマイコン20を、相電流算出部31、記憶部32、相抵抗算出部33および3相電圧補正部34を含むマイコン30に置換したものである。このモータ制御装置は、第1の実施形態に係るモータ制御装置に、式(9)〜(11)に含まれる各相の抵抗を求める機能を追加したものである。本実施形態の構成要素のうち、第1の実施形態と同一の要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
第1の実施形態で述べたように、ブラシレスモータ1が回転している間、電流センサ14を用いて、ブラシレスモータ1に流れる3相の駆動電流を検出することができる。本実施形態では、相電流算出部31が、電流センサ14で検出された電流値ia から3相の駆動電流を求めるものとする。以下、相電流算出部31で求めた3相の電流値をu相検出電流Iu 、v相検出電流Iv およびw相検出電流Iw という。
記憶部32は、u相検出電流Iu を検出した時点(すなわち、u相検出電流Iu を求めるために電流値ia を検知した時点)、v相検出電流Iv を検出した時点、および、w相検出電流Iw を検出した時点における補正後の指令電圧Vuc、Vvc、Vwcを記憶する。以下、xをu、vおよびwのいずれかとし、x相検出電流Ix を検出した時点における補正後の指令電圧Vuc、Vvc、VwcをそれぞれVux、Vvx、Vwxと表す(図4を参照)。記憶部32には、9個の補正後の指令電圧Vuu、Vvu、Vwu、Vuv、Vvv、Vwv、Vuw、Vvw、Vwwが記憶される。
相抵抗算出部33は、相電流算出部31で求めたu相検出電流Iu 、v相検出電流Iv およびw相検出電流Iw と、記憶部32に記憶された9個の補正後の指令電圧Vuu、Vvu、Vwu、Vuv、Vvv、Vwv、Vuw、Vvw、Vwwとに基づき、以下の方法でu相抵抗Ru 、v相抵抗Rv およびw相抵抗Rw を求める。
電流センサ14でu相電流が検知されると、相電流算出部31はu相検出電流Iu を出力し、記憶部32はその時点における補正後の指令電圧Vuu、Vvu、Vwuを記憶する。相抵抗算出部33は、Iu ≠0のときに、次式(12)と(13)を用いて値Ua 、Ub を求める。
a=(Vuu−Vvu)/Iu …(12)
b=(Vuu−Vwu)/Iu …(13)
電流センサ14でv相電流が検知されると、相電流算出部31はv相検出電流Iv を出力し、記憶部32はその時点における補正後の指令電圧Vuv、Vvv、Vwvを記憶する。相抵抗算出部33は、Iv ≠0のときに、次式(14)と(15)を用いて値Va 、Vb を求める。
a=(Vvv−Vwv)/Iv …(14)
b=(Vvv−Vuv)/Iv …(15)
電流センサ14でw相電流が検知されると、相電流算出部31はw相検出電流Iw を出力し、記憶部32はその時点における補正後の指令電圧Vuw,Vvw,Vwwを記憶する。相抵抗算出部33は、Iw ≠0のときに、次式(16)と(17)を用いて値Wa 、Wb を求める。
a=(Vww−Vuw)/Iw …(16)
b=(Vww−Vvw)/Iw …(17)
その後、相抵抗算出部33は、6個の値Ua 、Ub 、Va 、Vb 、Wa 、Wb に基づき次式(18)〜(21)を用いて4個の値ra 、rb 、rc 、rd を求め、さらに、求めた4個の値に基づき次式(22)〜(24)用いてu相抵抗Ru 、v相抵抗Rv およびw相抵抗Rw を求める。
a=Ua・Va・Wa+Ub・Vb・Wb …(18)
b=Wa・Ua−Wa・Vb+Ub・Vb …(19)
c=Ua・Va−Ua・Wb+Vb・Wb …(20)
d=Va・Wa−Va・Ub+Wb・Ub …(21)
u=ra・rb/(rb・rc+rc・rd+rd・rb) …(22)
v=ra・rc/(rb・rc+rc・rd+rd・rb) …(23)
w=ra・rd/(rb・rc+rc・rd+rd・rb) …(24)
3相電圧補正部34は、第1の実施形態に係る3相電圧補正部24と同様に、式(6)〜(11)を用いて3相の指令電圧Vu 、Vv 、Vw を補正する。この際、3相電圧補正部34は、正常時にはブラシレスモータ1のトルクリップルを小さくする補正を行い、異常時には安全性を損なわない程度にブラシレスモータ1のトルクリップルを大きくする補正を行う。
より詳細には、3相電圧補正部34は、式(6)〜(8)を用いてブラシレスモータ1における3相交流座標軸上の逆起電力eu 、ev 、ew を求め、式(9)〜(11)を用いて補正後の指令電圧Vuc、Vvc、Vwcを求める。また、3相電圧補正部34は、正常時と異常時で少なくとも1相の抵抗値を変化させる。具体的には、3相電圧補正部34は、異常時に抵抗値に加算すべき値(以下、異常時加算値という)を有し、制御信号Cに従い正常時と異常時で、式(9)〜(11)に含まれるu相抵抗Ru 、v相抵抗Rv およびw相抵抗Rw に異常時加算値を加算するか否かを切り替える。
3相電圧補正部34は、制御信号Cが正常を示すときには、トルクリップルを小さくするために、u相抵抗Ru 、v相抵抗Rv およびw相抵抗Rw に相抵抗算出部33で求めた値を設定する。これに対して、制御信号Cが異常を示すときには、3相電圧補正部34は、3相の抵抗のうち2つには相抵抗算出部33で求めた値を設定し、残りの1つには相抵抗算出部33で求めた値に異常時加算値を加算した値を設定する。例えば、異常時加算値を−3mΩとした場合、3相電圧補正部34は、異常時にはRu とRv には相抵抗算出部33で求めた値を設定し、Rw には相抵抗算出部33で求めた値よりも3mΩ小さい値を設定する。あるいは、制御信号Cが異常を示すときには、3相電圧補正部34は、3相の抵抗のうち1つには相抵抗算出部33で求めた値を設定し、残りの2つには相抵抗算出部33で求めた値に異常時加算値を加算した値を設定してもよい。2つの抵抗に異常時加算値を加算する場合には、同じ値を加算してもよく、異なる値を加算してもよい。
このようにマイコン30は、電流センサ14で検出された電流値ia に基づき各相の抵抗を求める処理を行い、3相の指令電圧Vu 、Vv 、Vw を補正するときには求めた各相の抵抗を使用する。また、マイコン30は、正常時にはトルクリップルを小さくする補正を行い、異常時には安全性を損なわない程度にトルクリップルを大きくする補正を行う。
なお、3相電圧補正部34は、上記以外の方法で3相の指令電圧Vu 、Vv 、Vw を補正してもよい。例えば、電源ラインの抵抗値を含む計算式を用いて3相の指令電圧を補正する場合、3相電圧補正部34は、正常時には電源ラインの抵抗値を電流センサ14で検知した電流値ia に基づき求めた値に設定し、異常時には電源ラインの抵抗値を正常時の抵抗値よりも例えば10mΩ小さい値に設定する。また、ブリッジ回路の上アーム抵抗値や下アーム抵抗値を含む計算式を用いて3相の指令電圧を補正する場合、3相電圧補正部34は、正常時にはアーム抵抗値を電流センサ14で検知した電流値ia に基づき求めた値に設定し、異常時にはアーム抵抗値を正常時よりも例えば3mΩ小さい値に設定する。このように正常時と異常時で演算上における電源ラインの抵抗値やアーム抵抗値を変化させることにより、正常時にはトルクリップルを小さくし、異常時にはトルクリップルを大きくすることができる。
以上に示すように、本実施形態に係るモータ制御装置は、モータを駆動している間に求めた各相の抵抗に基づきモータの駆動電圧を補正すると共に、正常値と異常時で少なくとも1相の抵抗値を変化させることにより、正常時にはモータのトルクリップルを抑制する補正を行い、異常時には正常時とは異なる態様でモータのトルクリップルを大きくする補正を行う。
したがって、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、各相の抵抗が製造ばらつきや温度変化などによって変化する場合でも、モータのトルクリップルを抑制することができる。また、異常発生時にモータのトルクリップルを変化させて、異常の発生を利用者に認識させることができる。これにより、異常発生時に利用者に修理を促し、モータ制御装置と電動パワーステアリング装置を安全な状態で使用することができる。
(第3の実施形態)
図8は、本発明の第3の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。図8に示すモータ制御装置は、第1の実施形態に係るモータ制御装置に電圧センサ15を追加し、3相電圧補正部24を含むマイコン20を3相電圧補正部41を含むマイコン40に置換したものである。本実施形態の構成要素のうち、第1の実施形態と同一の要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
図8に示すように、電圧センサ15は、差動増幅器を含んでいる。電圧センサ15の一方の入力端子はモータ駆動回路13と電源のプラス側との間に接続され、他方の入力端子はモータ駆動回路13と電流センサ14との間に接続され、出力端子は3相電圧補正部41に接続される。電圧センサ15は、モータ駆動回路13の両端に印加された電圧(以下、モータ両端電圧Vb という)を検知する。
3相電圧補正部41は、第1および第2の実施形態とは異なる方法で、3相の指令電圧Vu 、Vv 、Vw を補正して補正後の指令電圧Vuc、Vvc、Vwcを求める。3相電圧補正部41は、ブラシレスモータ1のトルクリップルを小さくするために、以下に示すように、モータ両端電圧Vb に基づき、ECU10内でのモータ駆動回路13の抵抗および配線抵抗における電圧降下を補償するための補正を行う。ただし、制御信号Cが異常を示すときには、3相電圧補正部41は、安全性を損なわない程度にブラシレスモータ1のトルクリップルを大きくする補正を行う。
まず、3相電圧補正部41の正常時の動作を説明する。電圧センサ15で検知されるモータ両端電圧Vb は、モータ駆動回路13内のMOS−FETの導通状態に応じて変化する。図9は、1PWM周期内におけるモータ両端電圧Vb の変化と、モータの各相に印加すべき電圧Vpu、Vpv、Vpwの変化と、v相電圧に対する補正内容とを説明するための図である。図10は、図9に示す補正を行った後のモータ駆動電圧Vb の変化と、モータの各相に印加すべき電圧Vpu、Vpv、Vpwの変化と、w相電圧に対する補正内容とを説明するための図である。
図9および図10において、時刻t1は1PWM周期の開始時刻である。時刻t1において、モータ駆動回路13に含まれる6個のMOS−FETのうち上側の3個がオンする。次に時刻t2において、上側のu相MOS−FETがオフし、下側のu相MOS−FETがオンする。さらに時刻t3において、上側のv相MOS−FETがオフし、下側のv相MOS−FETがオンする。以下、時刻t2から時刻t3までの期間の長さをT1、時刻t3から時刻t5までの期間の長さをT2とする。
時刻t1では、モータのu相、v相およびw相に印加すべき電圧Vpu、Vpv、Vpwは、いずれもその時点におけるモータ駆動電圧Vb0に等しい。時刻t2において、モータのu相に印加すべき電圧Vpuは接地電位に等しくなる。時刻t2以降、モータ駆動回路13には電源ライン、上側のv相MOS−FET、上側のw相MOS−FET、および、下側のu相MOS−FETを経由する電流が流れるので、電源ラインにおける電圧降下によってモータ駆動電圧Vb はレベルVb1に低下する。これに伴い、モータのv相およびw相に印加すべき電圧Vpv、VpwもVb1に低下する。
時刻t3において、モータのv相に印加すべき電圧Vpvも接地電位に等しくなる。時刻t3以降、モータ駆動回路13には電源ライン、上側のw相MOS−FET、下側のu相MOS−FET、および、下側のv相MOS−FETを経由する電流が流れるので、電源ラインにおける電圧降下によってモータ駆動電圧Vb はさらにレベルVb2に低下する。これに伴い、モータのw相に印加すべき電圧VpwもVb2に低下する。
モータのv相に印加すべき電圧Vpvは、時刻t2から時刻t3までの間、本来のレベルVb0からVb1に低下している。この電圧低下を補償するためには、電圧VpvがVb1から接地電位に変化するタイミングを、本来の時刻t3から補正期間ΔT1だけ遅らせて時刻t4にすればよい。具体的には、図9において斜線部S2の面積が斜線部S1の面積に等しくなるように、補正期間ΔT1の長さを決定すればよい。すなわち、次式(25)を用いて補正期間ΔT1の長さを決定すればよい。
ΔT1=(Vb0−Vb1)・T1/Vb1 …(25)
図10に示すモータのv相に印加すべき電圧Vpvは、上記補正を行った後のものである。上記補正を行った後では、モータのw相に印加すべき電圧Vpwは、時刻t2から時刻t4までの間、本来のレベルVb0からVb1に低下し、時刻t4から時刻t5までの間、本来のレベルVb0からVb2に低下している。この電圧降下を補償するためには、電圧VpwがVb2から接地電位に変化するタイミングを、本来の時刻t5から補正期間ΔT2だけ遅らせて時刻t6にすればよい。具体的には、図10において斜線部S5の面積が斜線部S3、S4の面積の和に等しくなるように、補正期間ΔT2の長さを決定すればよい。すなわち、次式(26)を用いて補正期間ΔT2の長さを決定すればよい。
ΔT2={(Vb0−Vb1)・(T1+ΔT1)
+(Vb0−Vb2)・(T2−ΔT1)}/Vb2 …(26)
このように3相電圧補正部41は、正常時にはモータのv相とw相に印加すべき電圧Vpv、Vpwの低下を補償するように、V相指令電圧Vv とW相指令電圧Vw を補正する。これにより、ブラシレスモータ1を高い精度で駆動し、トルクリップルを小さくすることができる。
3相電圧補正部41は、異常時にはトルクリップルを大きくするために、正常時とは異なる態様の補正を行う。例えば、3相電圧補正部41は、異常時には補正期間ΔT1、ΔT2の長さを正常時の半分にしてもよい。あるいは、3相電圧補正部41は、異常時には補正期間ΔT1、ΔT2のいずれかの長さをゼロにしてもよい。あるいは、3相電圧補正部41は、異常時には、電圧センサ15で求めたモータ両端電圧Vb に所定値を加算してもよい。これらの方法により、異常時には安全性を損なわない程度にトルクリップルを大きくすることができる。
以上に示すように、本実施形態に係るモータ制御装置は、モータの回路方程式に従いオープンループ制御によってモータの駆動電圧を求める場合に、モータ駆動回路に含まれるスイッチング素子の状態変化に伴うモータ駆動回路への印加電圧の変化を補償するようにモータの駆動電圧を補正する。また、このモータ制御装置は、正常時にはモータのトルクリップルを抑制する補正を行い、異常時には正常時とは異なる態様でモータのトルクリップルを大きくする補正を行う。
したがって、本実施形態に係るモータ制御装置によれば、上記の方法でモータの駆動電圧を補正することにより、モータのトルクリップルを抑制することができる。また、異常発生時にモータのトルクリップルを変化させて、異常の発生を利用者に認識させることができる。これにより、異常発生時に利用者に修理を促し、モータ制御装置と電動パワーステアリング装置を安全な状態で使用することができる。
なお、本発明のモータ制御装置では、上記以外の方法でブラシレスモータ1のトルクリップルを抑制するための補正を行ってもよい。また、本発明のモータ制御装置では、正常時にはトルクリップルを小さくする補正を行い、異常時にはこの補正を行わないこととしてもよい。また、モータ制御装置がトルクリップルを小さくするための補正手段を複数個有する場合には、複数の補正手段において異常時には正常値と異なる態様の補正を行ってもよい。
以上に示すように、本発明のモータ制御装置では、モータの回路方程式に従いオープンループ制御によってモータの駆動電圧を求める場合に、正常時にはモータのトルクリップルを抑制するための補正を行い、異常時には正常時と異なる態様の補正を行うことにより、異常発生時にモータのトルクリップルを変化させて、異常の発生を利用者に認識させ、モータ制御装置を安全な状態で使用することができる。また、このモータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置によれば、同様の効果が得られる。
なお、本発明は、上述したコラムアシスト型の電動パワーステアリング装置だけでなく、ピニオンアシスト型やラックアシスト型の電動パワーステアリング装置にも適用できる。また、本発明は、電動パワーステアリング装置以外のモータ制御装置にも適用できる。
13…モータ駆動回路、15…電圧センサ、20、30、40…マイコン

Claims (7)

  1. モータを駆動するモータ制御装置であって、
    前記モータに供給すべき電流の量を示す指令電流値と前記モータのロータの角速度とに基づき、モータの回路方程式に従い、前記モータの駆動に用いられる指令電圧のレベルを求めるオープンループ制御手段と
    記モータのトルクリップルを抑制するために、前記オープンループ制御手段で求めた指令電圧のレベルを補正する補正手段と、
    前記補正手段で補正されたレベルの電圧を用いて前記モータを駆動するモータ駆動手段と、
    装置の異常を検知する異常検知手段とを備え、
    前記補正手段は、前記異常検知手段で異常が検知された異常時には正常時とは異なる態様の補正として前記モータのトルクリップルを正常時よりも大きくする補正を行うことを特徴とする、モータ制御装置。
  2. 前記補正手段は、予め定められた各相の抵抗値に基づき、前記オープンループ制御手段で求めた指令電圧のレベルを補正すると共に、正常時と異常時で少なくとも1相の抵抗値を変化させることを特徴とする、請求項に記載のモータ制御装置。
  3. 前記モータに流れる電流を検出する電流検出手段と、
    前記電流検出手段で検出された電流値と当該電流値の検出時点における前記指令電圧のレベルとに基づき、各相の抵抗値を求める相抵抗算出手段とをさらに備え、
    前記補正手段は、前記相抵抗算出手段で求めた各相の抵抗値に基づき、前記オープンループ制御手段で求めた指令電圧のレベルを補正すると共に、正常時と異常時で少なくとも1相の抵抗値を変化させることを特徴とする、請求項に記載のモータ制御装置。
  4. 前記モータ駆動回路への印加電圧を検出する電圧検出手段をさらに備え、
    前記モータ駆動手段は、前記モータに電流を供給するか否かを切り替える複数のスイッチング素子を有するモータ駆動回路を含み、
    前記補正手段は、前記電圧検出手段で検出された電圧値に基づき、正常時には前記スイッチング素子の状態変化に伴う前記モータ駆動回路への印加電圧の変化を補償するように、前記オープンループ制御手段で求めた指令電圧のレベルを補正し、異常時には正常時よりも補正期間の長さを短くすることにより正常時とは異なる態様で前記オープンループ制御手段で求めた指令電圧のレベルを補正することを特徴とする、請求項に記載のモータ制御装置。
  5. 前記モータ駆動回路への印加電圧を検出する電圧検出手段をさらに備え、
    前記モータ駆動手段は、前記モータに電流を供給するか否かを切り替える複数のスイッチング素子を有するモータ駆動回路を含み、
    前記補正手段は、前記電圧検出手段で検出された電圧値に基づき、正常時には前記スイッチング素子の状態変化に伴う前記モータ駆動回路への印加電圧の変化を補償するように、前記オープンループ制御手段で求めた指令電圧のレベルを補正し、異常時には前記電圧検出手段で検出された電圧値に所定値を加算することにより正常時とは異なる態様で前記オープンループ制御手段で求めた指令電圧のレベルを補正することを特徴とする、請求項に記載のモータ制御装置。
  6. 前記モータに流れる電流を検出する電流検出手段をさらに備え、
    前記異常検知手段は、前記電流検出手段で検出された電流値に基づき、装置の異常を検知することを特徴とする、請求項1に記載のモータ制御装置。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載のモータ制御装置を備えた、電動パワーステアリング装置。
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