JP2004312930A - モータ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、モータ制御装置に関し、モータ駆動中にオフセット変動が生じても、モータのトルクリップルを低減することが可能なモータ制御装置を提供する。
【解決手段】モータ24へ供給される電流量を検出する電流検出回路40〜42を備え、電流検出回路40〜42で検出される電流量を用いて駆動回路32を駆動してモータ24を制御するモータ制御装置において、駆動回路32のデッドタイムに起因するモータ24に供給される電流量の不変領域を検出する不変領域検出手段と、不変領域において電流検出回路40〜42で検出される電流量をオフセット量として検出するオフセット量検出手段と、オフセット量に基づいて電流検出回路40〜42で検出される電流量を補正する補正手段と、を有してなる。
【選択図】 図1
【解決手段】モータ24へ供給される電流量を検出する電流検出回路40〜42を備え、電流検出回路40〜42で検出される電流量を用いて駆動回路32を駆動してモータ24を制御するモータ制御装置において、駆動回路32のデッドタイムに起因するモータ24に供給される電流量の不変領域を検出する不変領域検出手段と、不変領域において電流検出回路40〜42で検出される電流量をオフセット量として検出するオフセット量検出手段と、オフセット量に基づいて電流検出回路40〜42で検出される電流量を補正する補正手段と、を有してなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、交流モータへ供給される電流量を検出する電流検出手段を備え、電流検出手段で検出される電流量を用いてインバータ回路を駆動して交流モータを制御するモータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、モータへ供給される電流量を検出する電流検出手段を備え、電流検出手段で検出される電流量を用いて駆動回路を駆動してモータを制御するモータ制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このモータ制御装置は、イグニションスイッチがON動作された車両の始動時等のモータに流れる電流量が“0”であるモータ非駆動時において、電流検出手段を用いてモータに流れる電流量を検出し、その検出電流量に基づいて補正値を決定する。そして、電流検出手段に基づく検出電流量をその補正値分だけ補正する。かかる装置によれば、モータに電流が流れない状態で電流検出手段に基づく検出電流量が“0”である状態を実現することができるため、精度の高いモータ制御を実現することができる。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−11918号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来技術は、モータ非駆動時において電流検出手段で検出される電流量を補正値として決定するように構成されているため、モータ駆動時に電流検出手段で検出される電流量にオフセット変動が生じた場合は、その直後のモータ駆動中にそのオフセット変動分を補正することができない。このため、かかる構成では、モータ駆動中、オフセットを含んだ検出電流量がフィードバックされて駆動回路が駆動される事態が生じ、モータのトルクリップルを抑制することができない不都合が生ずる。
【0005】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたもので、モータ駆動中にオフセット変動が生じても、モータのトルクリップルを低減することが可能なモータ制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、本発明に係るモータ制御装置は、次のような手段を採用する。
【0007】
即ち、請求項1記載の発明は、交流モータへ供給される電流量を検出する電流検出手段を備え、前記電流検出手段で検出される電流量を用いてインバータ回路を駆動して前記交流モータを制御するモータ制御装置において、前記インバータ回路のデッドタイムに起因する前記交流モータに供給される電流量の不変領域を検出する不変領域検出手段と、前記不変領域において前記電流検出手段で検出される電流量をオフセット量として検出するオフセット量検出手段と、前記オフセット量に基づいて前記電流検出手段で検出される電流量を補正する補正手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、インバータ回路のデッドタイムに起因する交流モータに供給される電流量の不変領域が検出され、不変領域において電流検出手段で検出される電流量がオフセット量として検出され、オフセット量に基づいて電流検出手段で検出される電流量が補正される。インバータ回路にデッドタイムが設けられていると、そのデッドタイムに起因して交流モータに流れる電流量が“0”に維持される不変領域が現れる。かかる不変領域に電流検出手段を用いて電流量を検出することとすれば、検出電流量のオフセット量を検出することができる。従って、本発明によれば、交流モータの駆動中に検出電流量を補正することができ、交流モータのトルクリップルを低減することができる。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のモータ制御装置において、前記不変領域検出手段は、前記交流モータの回転角が所定角度内である場合に前記電流検出手段で検出される電流量の変化に基づいて前記不変領域を検出することを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、不変領域の誤検出を防止することができる。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のモータ制御装置において、前記補正手段は、前記不変領域において前記電流検出手段で検出される電流量の平均値に基づいて補正することを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、不変領域において電流検出手段で検出される電流量にノイズが重畳した場合にも、検出電流量を適正に補正することができる。
【0013】
また、請求項4記載の発明は、交流モータへ供給される電流量を検出する電流検出手段を備え、前記電流検出手段で検出される電流量を用いてインバータ回路を駆動して前記交流モータを制御するモータ制御装置において、前記インバータ回路のデッドタイムに起因する前記交流モータに供給される電流量の不変領域を検出する不変領域検出手段と、前記不変領域において前記電流検出手段で検出される電流量に基づいて前記電流検出手段の異常を検知する異常検知手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、インバータ回路にデッドタイムが設けられていると、そのデッドタイムに対応して交流モータに流れる電流量が“0”となる不変領域が現れる。かかる不変領域に電流検出手段を用いて電流量を検出することとすれば、電流検出手段の異常を検知することができる。
【0015】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載のモータ制御装置において、前記異常検知手段は、前記不変領域において前記電流検出手段で検出される電流量の平均値又は分散に基づいて前記電流検出手段の異常を検知することを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、不変領域における検出電流量にノイズが重畳した場合にも、電流検出手段の異常を適切に検知することができる。
【0017】
また、請求項6記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一項記載のモータ制御装置において、前記交流モータは、車両のステアリング操舵力をアシストするモータであることを特徴とする。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、運転者のステアリング操作に対する操舵フィーリングの低下を防止することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るモータ制御装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態であるモータ制御装置を備えるシステムの構成図である。本実施形態のシステムは、車両に搭載される電動パワーステアリング装置(以下、単にステアリング装置と称す)10のシステムである。ステアリング装置10は、ラック&ピニオン式のステアリング装置であり、運転者が車両を操舵させるために操作するステアリングホイール(図示せず)に接続するステアリングシャフト12と、ステアリングシャフト12に設けられたピニオン14と、ピニオン14に係合するラック16と、を備えている。ラック16の両端には、ボールジョイント、タイロッド、及びナックルアームを介して操舵用車輪(図示せず)が連結されている。
【0021】
上記の構成において、ステアリングホイールが操作されると、それに伴ってピニオン14が回転し、ラック16が車幅方向に沿って長手方向に変位する。ラック16が車幅方向に沿って変位すると、タイロッド及びナックルアームが動作し、車輪が転舵される。即ち、ステアリング装置10は、ピニオン14の回転運動をラック16の長手方向の直進運動に変換することで、運転者によるステアリング操作により車輪を転舵させる機能を有している。
【0022】
本実施形態において、ステアリング装置10は、後述するモータを用いて運転者によるステアリング操作の負担を軽減させるべく、運転者が車輪を転舵させる際に必要な操舵トルクをアシストするパワーステアリング装置である。ステアリングシャフト12には、トルクセンサ20が配設されている。トルクセンサ20は、運転者によるステアリング操作によりステアリングホイールに加わる操舵トルクTに応じた信号を出力する。トルクセンサ20の出力信号は、電子制御ユニット(以下、ECUと称す)22に供給されている。ECU22は、トルクセンサ20の出力信号に基づいてステアリングホイールに加わる操舵トルクTを検出する。
【0023】
ステアリング装置10は、また、ラック16に係合する三相交流ブラシレスモータ(以下、単にモータと称す)24を備えている。モータ24は、ラック16を覆う車体側のハウジングに固定されたステータ26と、ラック16に係合しそのラック16を囲む筒状の部材であり、ハウジングにベアリングを介して回転可能に支持されたロータ28と、を有している。ステータ26は、コイルとコアとにより構成されている。ロータ28には、マグネットが取り付けられている。ステータ26の励磁によりロータ28が回転すると、ラック16が車幅方向に沿って長手方向に変位する。即ち、ステアリング装置10において、モータ24は、その回転駆動によりラック16を車幅方向に沿って変位させるトルクを発生する。
【0024】
モータ24のU相,V相,W相の各相にはそれぞれ、ECU22が接続されている。ECU22は、バッテリ30を電源としてモータ24の各相にそれぞれ電力を供給する駆動回路32を有している。駆動回路32は、各相にそれぞれ対応して三対のパワースイッチング素子を有している。駆動回路32の各パワースイッチング素子は、ECU22によりPWM駆動され、モータ24に電圧を印加する。
【0025】
図2は、本実施形態の駆動回路32の構成図を示す。また、図3は、駆動回路32への指令動作を説明するための図を示す。
【0026】
駆動回路32は、図2に示すように、モータ24の各相にそれぞれ対応して三対のパワースイッチング素子SWu,SWv,SWwを有するインバータ回路である。各パワースイッチング素子は、例えば、MOS型のトランジスタである。各相のインバータ回路において、電源側のパワースイッチング素子SWu1,SWv1,SWw1がON動作されると共に接地側のパワースイッチング素子SWu2,SWv2,SWw2がOFF動作されると、モータ24側へ電流が流れる。また、接地側のパワースイッチング素子SWu2,SWv2,SWw2がON動作されると共に電源側のパワースイッチング素子SWu1,SWv1,SWw1がOFF動作されると、モータ24側から電流が流れる。
【0027】
駆動回路32は、モータ24の各相に流れる電流量がそれぞれモータ回転角に対して正弦波状となるようにON・OFF駆動される。また、各インバータ回路の駆動には、図3に示すように、パワースイッチング素子SWu1,SWv1,SWw1とパワースイッチング素子SWu2,SWv2,SWw2が同時にONすることにより生ずる貫通電流を防止するために、デッドタイムが設けられている。デッドタイムとは、各インバータ回路のパワースイッチング素子SWu1,SWv1,SWw1とパワースイッチング素子SWu2,SWv2,SWw2とを共にOFF駆動する期間のことである。
【0028】
ECU22は、アシスト電流演算部36を有し、アシスト電流演算部36を用いて、トルクセンサ20による操舵トルクTに基づいてラック16に付与すべきアシスト力を演算し、そのアシスト力がラック16に付与されるようにモータ24を駆動するために必要な目標アシスト電流量を演算する。
【0029】
ECU22は、駆動回路32とモータ24のU相,V相,W相との間の各電流経路に対応して設けられた電流検出回路40〜42を有している。電流検出回路40〜42はそれぞれ、自己に対応する電流経路を流れる電流量、即ち、駆動回路32からモータ24の各相に流れる電流量iu,iv,iwに応じた信号を出力する。尚、本実施形態において、駆動回路32からモータ24へ流れる電流を+の電流とし、逆方向に流れる電流を−の電流とする。
【0030】
具体的には、電流検出回路40はU相に流れる−側から+側までのアナログの電流量iuを、電流検出回路41はV相に流れる−側から+側までのアナログの電流量ivを、また、電流検出回路42はW相に流れる−側から+側までのアナログの電流量iwを、例えば“0”V〜“5”Vのレンジの電圧にそれぞれA/D変換し出力する。電流検出回路40〜42はそれぞれ、モータ24に流れ得る最大の電流量を検出することができる程度の分解能を有しており、+側の最大値から−側の最大値までの電流量に対応してA/D変換処理を行うことができるように構成されている。
【0031】
電流検出回路40〜42のそれぞれには、電流検出回路40〜42で検出される検出電流量を、実際にモータ24に流れる電流量に対するオフセット量だけ補正するための補正処理部44が接続されている。補正処理部44は、電流検出回路40〜42から供給される検出電流量に基づいて後に詳述する補正処理を実行して、モータ24の各相に流れる電流量に応じた信号を出力する。
【0032】
補正処理部44には、モータ24の制御方式の簡素化を図るべく、三相交流の電流,電圧を2軸直流で表すdq変換を行う三相−二相変換回路46が接続されている。ステアリング装置10は、モータ24に配設された回転角センサ48を備えている。回転角センサ48は、モータ24におけるロータ28のステータ26に対する回転角度位置δに応じた信号を出力する。回転角センサ48の出力信号は、ECU22に供給されている。ECU22は、回転角センサ48の出力信号に基づいてモータ24の回転角度位置δを検出する。上記した補正処理部44の出力信号及び回転角センサ48の出力信号は共に、三相−二相変換回路46に供給されている。三相−二相変換回路46は、補正処理部44の出力信号に基づいてロータ28の回転角度位置δに従ったq軸電流Iq及びd軸電流Idに応じた信号を出力する。
【0033】
アシスト電流演算部36及び三相−二相変換回路46には、電流フィードバック演算部50が接続されている。アシスト電流演算部36の出力信号及び三相−二相変換回路46の出力信号は共に、電流フィードバック演算部50に供給されている。ECU22は、モータ24の各相に流れる電流量が目標アシスト電流量に一致するようにモータ24をフィードバック制御する。電流フィードバック演算部50は、三相−二相変換回路46によるq軸電流Iq及びd軸電流Idをアシスト電流演算部36による目標のq軸電流及びd軸電流と比較することにより、それらの偏差に基づいて2軸の電流指令値を演算する。
【0034】
電流フィードバック演算部50には、2軸直流を三相の交流電圧,電流で表すdq逆変換を行う二相−三相変換回路52が接続されている。電流フィードバック演算部50による2軸の電流指令値及び上記の回転角センサ48の出力信号は共に、二相−三相変換回路52に供給されている。二相−三相変換回路52は、電流フィードバック演算部50の出力信号に基づいてロータ28の回転角度位置δに従った三相交流電流に応じた信号を出力する。
【0035】
二相−三相変換回路52には、PWM指令部54が接続されている。二相−三相変換回路52の出力信号は、PWM指令部54に供給されている。PWM指令部54は、二相−三相変換回路52の出力信号に基づいて駆動回路32の各パワースイッチング素子をPWM駆動し、モータ24の各相に目標のアシスト電流が流れるようにモータ24への電圧印加を指令する。
【0036】
上記の構成において、運転者によりステアリングホイールが操作されると、その操舵トルクTに応じたアシスト力がラック16に付与されるようにモータ24が駆動される。具体的には、モータ24の駆動は、操舵トルクTが大きいほど大きなアシスト力が発生するように行われる。従って、本実施形態のステアリング装置10によれば、モータ24を用いて運転者によるステアリング操作の負担を軽減することができる。
【0037】
ところで、電流検出回路40〜42で検出される検出電流量には、電流検出回路40〜42自体の温度変化や経年変化等に起因して実際にモータ24に流れる電流量に対してオフセットが含まれる。この場合にオフセット分を含んだ状態で検出電流量に基づいてモータ制御が継続されるものとすると、モータ24の電流フィードバックの制御性が悪化し、モータ24のトルクリップルや軸の振動が生じ、運転者のステアリング操作に対する操舵フィーリングが低下する不都合が生ずる。
【0038】
そこで、本実施形態のシステムは、電流検出回路40〜42で検出される検出電流量を、実際にモータ24に流れる電流量に対するオフセット分だけ補正する点に第1の特徴を有している。以下、図4を参照して、その特徴部について説明する。
【0039】
図4(a)は、電流検出回路40〜42で検出されるモータ24の各相に流れる電流量とモータ電気角の関係を表した図である。図4(b)は、図4(a)の相電流量変化率とモータ電気角の関係を表した図である。上述の如く、駆動回路32のインバータ回路の駆動には、デッドタイムが設けられている。デッドタイムが設けられていると、各相ごとにパワースイッチング素子SWu1,SWv1,SWw1とパワースイッチング素子SWu2,SWv2,SWw2とが共にOFFする時期が現れる。この場合には、そのデッドタイムに起因して、モータ各相に流れる電流量が“0”近傍にあるモータ電気角領域において、正弦波状の電流波形が不連続となる現象、具体的には、その波形の電流量変化が“0”に維持される現象が生ずる(以下、この領域を不変領域(D)と称す)。
【0040】
従って、かかる不変領域においてその電流検出回路40〜42で検出される電流量は“0”であるべきであるが、“0”以外の値にオフセットしている場合には、その値が検出電流量のモータ24に実際に流れる電流量に対するオフセット量(E)となる。この点、各相ごとにデッドタイムに起因する不変領域においてその電流検出回路40〜42で検出される電流量をオフセット量として検出し、そのオフセット量に基づいて当該電流検出回路40〜42で検出される検出電流量を補正することとすれば、電流検出回路40〜42による検出電流量をモータ24に実際に流れる電流量にほぼ一致させることができ、モータ制御を適切に行うことができる。
【0041】
尚、上記した不変領域では、モータ24に流れる電流量は変化しない。即ち、その電流量の変化率は“0”である。一方、電流量変化率が“0”となるのは、不変領域以外に正弦波電流波形の極大値近傍及び極小値近傍にも存在する。従って、電流量変化率に基づいて上記した不変領域を検出するうえでは、正弦波電流波形の極近傍を含まないモータ電気角範囲(F)内でその検出を行うことが適切である。
【0042】
図5は、上記の機能を実現すべく、本実施形態において補正処理部44が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートである。図5に示すルーチンは、モータ24の各相においてそれぞれ所定時間ごとに繰り返し起動されるルーチンである。図5に示すルーチンが起動されると、まずステップ100の処理が実行される。
【0043】
ステップ100では、モータ24の回転角が、モータ24の各相に流れる正弦波電流波形の極近傍を含まない、且つ、デッドタイムに起因するモータ24の各相に流れる電流量の不変領域を含む所定回転角範囲内であるか否かが判別される。その結果、肯定判定がなされた場合は、次にステップ102の処理が実行される。一方、否定判定がなされた場合は、今回のルーチンは終了される。尚、モータ24の回転角は、回転角センサ48の出力信号に基づいてECU22が検出している値を用いる。
【0044】
ステップ102では、モータ24の回転角速度が、デッドタイムに起因するモータ24の各相に流れる電流量の不変領域を検出することができる所定回転角速度範囲内であるか否か、即ち、モータ24が過渡状態にあるか否かが判別される。その結果、肯定判定がなされた場合は、次にステップ104の処理が実行される。一方、否定判定がなされた場合は、今回のルーチンは終了される。尚、モータ24の回転角速度は、回転角センサ48の出力信号に基づいてECU22が検しているモータ24の回転角を時間微分した値を用いる。
【0045】
ステップ104では、電流検出回路40〜42から供給される検出電流量の変化率(dI/dθ)を算出する処理が実行される。
【0046】
ステップ106では、ステップ104で算出した変化率(dI/dθ)が所定値(C1)未満であるか否かが判別される。その結果、肯定判定がなされた場合は、次にステップ108の処理が実行される。一方、否定判定がなされた場合は、今回のルーチンは終了される。
【0047】
ステップ108では、電流検出回路40〜42から供給される検出電流量の“0”電流からの偏差を検出する。
【0048】
ステップ110では、ステップ108で検出した偏差を電流検出回路40〜42で検出される検出電流量のモータ24の各相に実際に流れる電流量に対するオフセット量と設定することにより、検出電流量を補正するオフセット補正値を演算する処理が実行される。
【0049】
ステップ112では、ステップ110で演算したオフセット補正値によって電流検出回路40〜42で検出される検出電流量を補正する処理が実行される。ステップ110の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0050】
上記図5に示すルーチンによれば、モータ24を駆動させるインバータ回路のデッドタイムに起因するモータ24に供給される電流量の不変領域において電流検出回路40〜42で検出される検出電流量をオフセット量として検出し、そのオフセット量に基づいて電流検出回路40〜42で検出される電流量を補正できる。かかる構成においては、モータ24の駆動中に電流検出回路40〜42による検出電流量が補正される。
【0051】
このため、モータ駆動中に電流検出回路40〜42の有する温度変化特性及び経年変化特性により電流検出回路40〜42で検出される電流量にオフセット変動が生じた場合にも、そのモータ駆動中に電流検出回路40〜42で検出される検出電流量をそのオフセット分だけ補正することができ、オフセットを含まない検出電流値に基づいてモータ制御を続行することができる。
【0052】
また、モータ24の回転角速度が所定範囲を超えて大きい場合には、モータ24が過渡状態にあるため、正確なオフセット量の検出は困難である。本実施形態において、ステアリング装置10は、図5に示すルーチンに従って、モータ24の回転角速度が所定範囲を超えて大きい場合は、検出電流量の補正処理を行わない。このため、検出電流量の適正な補正が確保されている。
【0053】
従って、本実施形態のステアリング装置10によれば、モータ駆動中にモータ24のトルクリップルや軸振動の発生を低減することができ、電流フィードバックの制御性を高く維持することができ、これにより、運転者のステアリング操作に対する操舵フィーリングの低下を防止することが可能となる。
【0054】
尚、不変領域において電流検出回路40〜42で検出される電流量に基づいて検出電流量をオフセット分だけ補正することとしているが、その電流量の平均値に基づいて補正することとしてもよい。かかる構成によれば、不変領域において電流検出手段で検出される電流量にノイズが重畳した場合にも、検出電流量を適正に補正することができる。
【0055】
ところで、上記の如く、モータ24の各相には、電流検出回路40〜42で検出されるモータ24の各相に流れる電流量を補正する補正処理部44が設けられている。補正処理部44は、電流量が“0”となるべき不変領域において電流検出回路40〜42で検出される検出電流量に基づいて電流検出回路40〜42による検出電流量のオフセット量を検出する。かかるオフセット量が過大でない場合には検出電流量に温度変化等に起因するオフセットが生じていると判断できる一方、オフセット量が過大である場合には電流検出回路40〜42に検出異常が生じていると判断できる。従って、電流検出回路40〜42に生ずる検出異常を検知できる。
【0056】
そこで、本実施形態のシステムは、補正処理部44で検出されるオフセット量に基づいて電流検出回路40〜42の検出異常を検知する点に第2の特徴を有している。以下、図6を参照して、その特徴部について説明する。
【0057】
図6は、電流検出回路40〜42の検出異常を検知すべく、本実施形態においてECU22が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図6に示すルーチンは、モータ24の各相においてそれぞれ所定時間ごとに繰り返し起動されるルーチンである。図6に示すルーチンが起動されると、まずステップ200の処理が実行される。
【0058】
ステップ200では、不変領域において電流検出回路40〜42で検出される検出電流量のオフセット量(偏差)データを取り込む処理が実行される。
【0059】
ステップ202では、ステップ200で取り込んだ偏差データの平均値及び/又は分散を算出する処理が実行される。
【0060】
ステップ204では、ステップ202で算出した偏差データの平均値及び/又は分散が所定値を超える異常データであるか否かが判別される。尚、所定値は、検出電流量に温度変化等に起因するオフセットが生じていると判断できる最大のオフセット量である。その結果、肯定判定がなされた場合は、次にステップ206の処理が実行される。一方、否定判定がなされた場合は、今回のルーチンは終了する。
【0061】
ステップ206では、電流検出回路40〜43に検出異常が生じたとして、モータ24の電流フィードバック制御を中止し、ステアリング操作をアシストするアシスト制御を中止すると共に、その旨を運転者にスピーカや音声案内で知らせる異常(フェール)確定処理が実行される。本ステップ210の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0062】
上記図6に示すルーチンによれば、補正処理部で算出される検出電流量のオフセットが所定値範囲内である場合には、電流検出回路40〜43に検出異常が生じていないとして、通常どおりそれらの検出値を補正処理部で補正した後の信号に基づいてモータ24の電流フィードバック制御を実行し、一方、補正処理部で算出される検出電流量のオフセットが所定値範囲外である場合には、その相の電流検出回路40〜42に検出異常が生じたとして、その異常確定処理を実行することができる。
【0063】
また、異常検出は、不変領域において電流検出回路40〜42で検出される電流量の平均値又は分散に基づいて検知されるため、不変領域における検出電流量にノイズが重畳した場合にも、電流検出回路40〜42の異常を適切に検知することができる。
【0064】
また、上記の手法により電流検出回路40〜42の検出異常が検知された場合には、異常確定処理として、モータ24の電流フィードバック制御が中止され、ステアリング操作をアシストするアシスト制御が中止されると共に、その旨が運転者にスピーカや音声案内で知らされる。このため、本実施例においては、電流検出回路40〜42の検出異常に起因してアシスト制御が誤制御されるのを回避することができると共に、運転者にアシスト制御が行われなくなったことを認識させることができ、これにより、電流検出回路40〜42の検出異常に対する処置を速やかに行うことが可能となっている。
【0065】
尚、上記の実施形態においては、駆動回路32が特許請求の範囲に記載した「インバータ回路」に、モータ24が特許請求の範囲に記載した「交流モータ」に、電流検出回路40〜42が特許請求の範囲に記載した「電流検出手段」に、それぞれ相当している。
【0066】
また、上記の実施形態においては、補正処理部44が、上記図5に示すルーチン中ステップ100〜106の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「不変領域検出手段」が、ステップ108の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「オフセット量検出手段」が、ステップ110及び112の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「補正手段」が、上記図6に示すルーチン中ステップ200〜206の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「異常検知手段」が、それぞれ実現されている。
【0067】
尚、上記の実施形態においては、電流検出を行うモータ24を三相のブラシレスモータとしているが、三相に限らず、二相および四相以上の多相のモータに適用することも可能であり、また、ブラシレスに限らず、ブラシ付きのモータに適用することも可能である。
【0068】
また、上記の実施形態においては、車両の搭載する電動パワーステアリング装置10に用いるモータ24の電流検出を行うこととしているが、電動パワーステアリング装置10に限定されるものではなく、他の用途のモータに適用することも可能である。
【0069】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、交流モータの駆動中に検出電流量を補正することができ、交流モータのトルクリップルを低減することができる。
【0070】
請求項2記載の発明によれば、不変領域の誤検出を防止することができる。
【0071】
請求項3記載の発明によれば、不変領域において電流検出手段で検出される電流量にノイズが重畳した場合にも、検出電流量を適正に補正することができる。
【0072】
請求項4記載の発明によれば、不変領域において電流検出手段で検出される電流量に基づいて電流検出手段の異常を検知することができる。
【0073】
請求項5記載の発明によれば、不変領域における検出電流量にノイズが重畳した場合にも、電流検出手段の異常を適切に検知することができる。
【0074】
また、請求項6記載の発明によれば、運転者のステアリング操作に対する操舵フィーリングの低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるモータ制御装置を備えるシステムの構成図である。
【図2】駆動回路の構成を示す図である。
【図3】駆動回路への指令動作を説明するための図である。
【図4】(a)電流検出回路で検出される相電流量とモータ電気角の関係を表した図である。
(b)(a)の相電流量変化率とモータ電気角の関係を表した図である。
【図5】本実施形態において、電流検出回路で検出される電流量を補正すべく実行される制御ルーチンのフローチャートである。
【図6】本実施形態において、電流検出回路の検出異常を検知すべく実行される制御ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10 電動パワーステアリング装置
22 電子制御ユニット(ECU)
24 三相交流ブラシレスモータ(モータ)
40〜42 電流検出回路
44 補正処理部
【発明の属する技術分野】
本発明は、交流モータへ供給される電流量を検出する電流検出手段を備え、電流検出手段で検出される電流量を用いてインバータ回路を駆動して交流モータを制御するモータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、モータへ供給される電流量を検出する電流検出手段を備え、電流検出手段で検出される電流量を用いて駆動回路を駆動してモータを制御するモータ制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このモータ制御装置は、イグニションスイッチがON動作された車両の始動時等のモータに流れる電流量が“0”であるモータ非駆動時において、電流検出手段を用いてモータに流れる電流量を検出し、その検出電流量に基づいて補正値を決定する。そして、電流検出手段に基づく検出電流量をその補正値分だけ補正する。かかる装置によれば、モータに電流が流れない状態で電流検出手段に基づく検出電流量が“0”である状態を実現することができるため、精度の高いモータ制御を実現することができる。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−11918号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来技術は、モータ非駆動時において電流検出手段で検出される電流量を補正値として決定するように構成されているため、モータ駆動時に電流検出手段で検出される電流量にオフセット変動が生じた場合は、その直後のモータ駆動中にそのオフセット変動分を補正することができない。このため、かかる構成では、モータ駆動中、オフセットを含んだ検出電流量がフィードバックされて駆動回路が駆動される事態が生じ、モータのトルクリップルを抑制することができない不都合が生ずる。
【0005】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたもので、モータ駆動中にオフセット変動が生じても、モータのトルクリップルを低減することが可能なモータ制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため、本発明に係るモータ制御装置は、次のような手段を採用する。
【0007】
即ち、請求項1記載の発明は、交流モータへ供給される電流量を検出する電流検出手段を備え、前記電流検出手段で検出される電流量を用いてインバータ回路を駆動して前記交流モータを制御するモータ制御装置において、前記インバータ回路のデッドタイムに起因する前記交流モータに供給される電流量の不変領域を検出する不変領域検出手段と、前記不変領域において前記電流検出手段で検出される電流量をオフセット量として検出するオフセット量検出手段と、前記オフセット量に基づいて前記電流検出手段で検出される電流量を補正する補正手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、インバータ回路のデッドタイムに起因する交流モータに供給される電流量の不変領域が検出され、不変領域において電流検出手段で検出される電流量がオフセット量として検出され、オフセット量に基づいて電流検出手段で検出される電流量が補正される。インバータ回路にデッドタイムが設けられていると、そのデッドタイムに起因して交流モータに流れる電流量が“0”に維持される不変領域が現れる。かかる不変領域に電流検出手段を用いて電流量を検出することとすれば、検出電流量のオフセット量を検出することができる。従って、本発明によれば、交流モータの駆動中に検出電流量を補正することができ、交流モータのトルクリップルを低減することができる。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のモータ制御装置において、前記不変領域検出手段は、前記交流モータの回転角が所定角度内である場合に前記電流検出手段で検出される電流量の変化に基づいて前記不変領域を検出することを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、不変領域の誤検出を防止することができる。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のモータ制御装置において、前記補正手段は、前記不変領域において前記電流検出手段で検出される電流量の平均値に基づいて補正することを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、不変領域において電流検出手段で検出される電流量にノイズが重畳した場合にも、検出電流量を適正に補正することができる。
【0013】
また、請求項4記載の発明は、交流モータへ供給される電流量を検出する電流検出手段を備え、前記電流検出手段で検出される電流量を用いてインバータ回路を駆動して前記交流モータを制御するモータ制御装置において、前記インバータ回路のデッドタイムに起因する前記交流モータに供給される電流量の不変領域を検出する不変領域検出手段と、前記不変領域において前記電流検出手段で検出される電流量に基づいて前記電流検出手段の異常を検知する異常検知手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、インバータ回路にデッドタイムが設けられていると、そのデッドタイムに対応して交流モータに流れる電流量が“0”となる不変領域が現れる。かかる不変領域に電流検出手段を用いて電流量を検出することとすれば、電流検出手段の異常を検知することができる。
【0015】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載のモータ制御装置において、前記異常検知手段は、前記不変領域において前記電流検出手段で検出される電流量の平均値又は分散に基づいて前記電流検出手段の異常を検知することを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、不変領域における検出電流量にノイズが重畳した場合にも、電流検出手段の異常を適切に検知することができる。
【0017】
また、請求項6記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一項記載のモータ制御装置において、前記交流モータは、車両のステアリング操舵力をアシストするモータであることを特徴とする。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、運転者のステアリング操作に対する操舵フィーリングの低下を防止することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るモータ制御装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態であるモータ制御装置を備えるシステムの構成図である。本実施形態のシステムは、車両に搭載される電動パワーステアリング装置(以下、単にステアリング装置と称す)10のシステムである。ステアリング装置10は、ラック&ピニオン式のステアリング装置であり、運転者が車両を操舵させるために操作するステアリングホイール(図示せず)に接続するステアリングシャフト12と、ステアリングシャフト12に設けられたピニオン14と、ピニオン14に係合するラック16と、を備えている。ラック16の両端には、ボールジョイント、タイロッド、及びナックルアームを介して操舵用車輪(図示せず)が連結されている。
【0021】
上記の構成において、ステアリングホイールが操作されると、それに伴ってピニオン14が回転し、ラック16が車幅方向に沿って長手方向に変位する。ラック16が車幅方向に沿って変位すると、タイロッド及びナックルアームが動作し、車輪が転舵される。即ち、ステアリング装置10は、ピニオン14の回転運動をラック16の長手方向の直進運動に変換することで、運転者によるステアリング操作により車輪を転舵させる機能を有している。
【0022】
本実施形態において、ステアリング装置10は、後述するモータを用いて運転者によるステアリング操作の負担を軽減させるべく、運転者が車輪を転舵させる際に必要な操舵トルクをアシストするパワーステアリング装置である。ステアリングシャフト12には、トルクセンサ20が配設されている。トルクセンサ20は、運転者によるステアリング操作によりステアリングホイールに加わる操舵トルクTに応じた信号を出力する。トルクセンサ20の出力信号は、電子制御ユニット(以下、ECUと称す)22に供給されている。ECU22は、トルクセンサ20の出力信号に基づいてステアリングホイールに加わる操舵トルクTを検出する。
【0023】
ステアリング装置10は、また、ラック16に係合する三相交流ブラシレスモータ(以下、単にモータと称す)24を備えている。モータ24は、ラック16を覆う車体側のハウジングに固定されたステータ26と、ラック16に係合しそのラック16を囲む筒状の部材であり、ハウジングにベアリングを介して回転可能に支持されたロータ28と、を有している。ステータ26は、コイルとコアとにより構成されている。ロータ28には、マグネットが取り付けられている。ステータ26の励磁によりロータ28が回転すると、ラック16が車幅方向に沿って長手方向に変位する。即ち、ステアリング装置10において、モータ24は、その回転駆動によりラック16を車幅方向に沿って変位させるトルクを発生する。
【0024】
モータ24のU相,V相,W相の各相にはそれぞれ、ECU22が接続されている。ECU22は、バッテリ30を電源としてモータ24の各相にそれぞれ電力を供給する駆動回路32を有している。駆動回路32は、各相にそれぞれ対応して三対のパワースイッチング素子を有している。駆動回路32の各パワースイッチング素子は、ECU22によりPWM駆動され、モータ24に電圧を印加する。
【0025】
図2は、本実施形態の駆動回路32の構成図を示す。また、図3は、駆動回路32への指令動作を説明するための図を示す。
【0026】
駆動回路32は、図2に示すように、モータ24の各相にそれぞれ対応して三対のパワースイッチング素子SWu,SWv,SWwを有するインバータ回路である。各パワースイッチング素子は、例えば、MOS型のトランジスタである。各相のインバータ回路において、電源側のパワースイッチング素子SWu1,SWv1,SWw1がON動作されると共に接地側のパワースイッチング素子SWu2,SWv2,SWw2がOFF動作されると、モータ24側へ電流が流れる。また、接地側のパワースイッチング素子SWu2,SWv2,SWw2がON動作されると共に電源側のパワースイッチング素子SWu1,SWv1,SWw1がOFF動作されると、モータ24側から電流が流れる。
【0027】
駆動回路32は、モータ24の各相に流れる電流量がそれぞれモータ回転角に対して正弦波状となるようにON・OFF駆動される。また、各インバータ回路の駆動には、図3に示すように、パワースイッチング素子SWu1,SWv1,SWw1とパワースイッチング素子SWu2,SWv2,SWw2が同時にONすることにより生ずる貫通電流を防止するために、デッドタイムが設けられている。デッドタイムとは、各インバータ回路のパワースイッチング素子SWu1,SWv1,SWw1とパワースイッチング素子SWu2,SWv2,SWw2とを共にOFF駆動する期間のことである。
【0028】
ECU22は、アシスト電流演算部36を有し、アシスト電流演算部36を用いて、トルクセンサ20による操舵トルクTに基づいてラック16に付与すべきアシスト力を演算し、そのアシスト力がラック16に付与されるようにモータ24を駆動するために必要な目標アシスト電流量を演算する。
【0029】
ECU22は、駆動回路32とモータ24のU相,V相,W相との間の各電流経路に対応して設けられた電流検出回路40〜42を有している。電流検出回路40〜42はそれぞれ、自己に対応する電流経路を流れる電流量、即ち、駆動回路32からモータ24の各相に流れる電流量iu,iv,iwに応じた信号を出力する。尚、本実施形態において、駆動回路32からモータ24へ流れる電流を+の電流とし、逆方向に流れる電流を−の電流とする。
【0030】
具体的には、電流検出回路40はU相に流れる−側から+側までのアナログの電流量iuを、電流検出回路41はV相に流れる−側から+側までのアナログの電流量ivを、また、電流検出回路42はW相に流れる−側から+側までのアナログの電流量iwを、例えば“0”V〜“5”Vのレンジの電圧にそれぞれA/D変換し出力する。電流検出回路40〜42はそれぞれ、モータ24に流れ得る最大の電流量を検出することができる程度の分解能を有しており、+側の最大値から−側の最大値までの電流量に対応してA/D変換処理を行うことができるように構成されている。
【0031】
電流検出回路40〜42のそれぞれには、電流検出回路40〜42で検出される検出電流量を、実際にモータ24に流れる電流量に対するオフセット量だけ補正するための補正処理部44が接続されている。補正処理部44は、電流検出回路40〜42から供給される検出電流量に基づいて後に詳述する補正処理を実行して、モータ24の各相に流れる電流量に応じた信号を出力する。
【0032】
補正処理部44には、モータ24の制御方式の簡素化を図るべく、三相交流の電流,電圧を2軸直流で表すdq変換を行う三相−二相変換回路46が接続されている。ステアリング装置10は、モータ24に配設された回転角センサ48を備えている。回転角センサ48は、モータ24におけるロータ28のステータ26に対する回転角度位置δに応じた信号を出力する。回転角センサ48の出力信号は、ECU22に供給されている。ECU22は、回転角センサ48の出力信号に基づいてモータ24の回転角度位置δを検出する。上記した補正処理部44の出力信号及び回転角センサ48の出力信号は共に、三相−二相変換回路46に供給されている。三相−二相変換回路46は、補正処理部44の出力信号に基づいてロータ28の回転角度位置δに従ったq軸電流Iq及びd軸電流Idに応じた信号を出力する。
【0033】
アシスト電流演算部36及び三相−二相変換回路46には、電流フィードバック演算部50が接続されている。アシスト電流演算部36の出力信号及び三相−二相変換回路46の出力信号は共に、電流フィードバック演算部50に供給されている。ECU22は、モータ24の各相に流れる電流量が目標アシスト電流量に一致するようにモータ24をフィードバック制御する。電流フィードバック演算部50は、三相−二相変換回路46によるq軸電流Iq及びd軸電流Idをアシスト電流演算部36による目標のq軸電流及びd軸電流と比較することにより、それらの偏差に基づいて2軸の電流指令値を演算する。
【0034】
電流フィードバック演算部50には、2軸直流を三相の交流電圧,電流で表すdq逆変換を行う二相−三相変換回路52が接続されている。電流フィードバック演算部50による2軸の電流指令値及び上記の回転角センサ48の出力信号は共に、二相−三相変換回路52に供給されている。二相−三相変換回路52は、電流フィードバック演算部50の出力信号に基づいてロータ28の回転角度位置δに従った三相交流電流に応じた信号を出力する。
【0035】
二相−三相変換回路52には、PWM指令部54が接続されている。二相−三相変換回路52の出力信号は、PWM指令部54に供給されている。PWM指令部54は、二相−三相変換回路52の出力信号に基づいて駆動回路32の各パワースイッチング素子をPWM駆動し、モータ24の各相に目標のアシスト電流が流れるようにモータ24への電圧印加を指令する。
【0036】
上記の構成において、運転者によりステアリングホイールが操作されると、その操舵トルクTに応じたアシスト力がラック16に付与されるようにモータ24が駆動される。具体的には、モータ24の駆動は、操舵トルクTが大きいほど大きなアシスト力が発生するように行われる。従って、本実施形態のステアリング装置10によれば、モータ24を用いて運転者によるステアリング操作の負担を軽減することができる。
【0037】
ところで、電流検出回路40〜42で検出される検出電流量には、電流検出回路40〜42自体の温度変化や経年変化等に起因して実際にモータ24に流れる電流量に対してオフセットが含まれる。この場合にオフセット分を含んだ状態で検出電流量に基づいてモータ制御が継続されるものとすると、モータ24の電流フィードバックの制御性が悪化し、モータ24のトルクリップルや軸の振動が生じ、運転者のステアリング操作に対する操舵フィーリングが低下する不都合が生ずる。
【0038】
そこで、本実施形態のシステムは、電流検出回路40〜42で検出される検出電流量を、実際にモータ24に流れる電流量に対するオフセット分だけ補正する点に第1の特徴を有している。以下、図4を参照して、その特徴部について説明する。
【0039】
図4(a)は、電流検出回路40〜42で検出されるモータ24の各相に流れる電流量とモータ電気角の関係を表した図である。図4(b)は、図4(a)の相電流量変化率とモータ電気角の関係を表した図である。上述の如く、駆動回路32のインバータ回路の駆動には、デッドタイムが設けられている。デッドタイムが設けられていると、各相ごとにパワースイッチング素子SWu1,SWv1,SWw1とパワースイッチング素子SWu2,SWv2,SWw2とが共にOFFする時期が現れる。この場合には、そのデッドタイムに起因して、モータ各相に流れる電流量が“0”近傍にあるモータ電気角領域において、正弦波状の電流波形が不連続となる現象、具体的には、その波形の電流量変化が“0”に維持される現象が生ずる(以下、この領域を不変領域(D)と称す)。
【0040】
従って、かかる不変領域においてその電流検出回路40〜42で検出される電流量は“0”であるべきであるが、“0”以外の値にオフセットしている場合には、その値が検出電流量のモータ24に実際に流れる電流量に対するオフセット量(E)となる。この点、各相ごとにデッドタイムに起因する不変領域においてその電流検出回路40〜42で検出される電流量をオフセット量として検出し、そのオフセット量に基づいて当該電流検出回路40〜42で検出される検出電流量を補正することとすれば、電流検出回路40〜42による検出電流量をモータ24に実際に流れる電流量にほぼ一致させることができ、モータ制御を適切に行うことができる。
【0041】
尚、上記した不変領域では、モータ24に流れる電流量は変化しない。即ち、その電流量の変化率は“0”である。一方、電流量変化率が“0”となるのは、不変領域以外に正弦波電流波形の極大値近傍及び極小値近傍にも存在する。従って、電流量変化率に基づいて上記した不変領域を検出するうえでは、正弦波電流波形の極近傍を含まないモータ電気角範囲(F)内でその検出を行うことが適切である。
【0042】
図5は、上記の機能を実現すべく、本実施形態において補正処理部44が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートである。図5に示すルーチンは、モータ24の各相においてそれぞれ所定時間ごとに繰り返し起動されるルーチンである。図5に示すルーチンが起動されると、まずステップ100の処理が実行される。
【0043】
ステップ100では、モータ24の回転角が、モータ24の各相に流れる正弦波電流波形の極近傍を含まない、且つ、デッドタイムに起因するモータ24の各相に流れる電流量の不変領域を含む所定回転角範囲内であるか否かが判別される。その結果、肯定判定がなされた場合は、次にステップ102の処理が実行される。一方、否定判定がなされた場合は、今回のルーチンは終了される。尚、モータ24の回転角は、回転角センサ48の出力信号に基づいてECU22が検出している値を用いる。
【0044】
ステップ102では、モータ24の回転角速度が、デッドタイムに起因するモータ24の各相に流れる電流量の不変領域を検出することができる所定回転角速度範囲内であるか否か、即ち、モータ24が過渡状態にあるか否かが判別される。その結果、肯定判定がなされた場合は、次にステップ104の処理が実行される。一方、否定判定がなされた場合は、今回のルーチンは終了される。尚、モータ24の回転角速度は、回転角センサ48の出力信号に基づいてECU22が検しているモータ24の回転角を時間微分した値を用いる。
【0045】
ステップ104では、電流検出回路40〜42から供給される検出電流量の変化率(dI/dθ)を算出する処理が実行される。
【0046】
ステップ106では、ステップ104で算出した変化率(dI/dθ)が所定値(C1)未満であるか否かが判別される。その結果、肯定判定がなされた場合は、次にステップ108の処理が実行される。一方、否定判定がなされた場合は、今回のルーチンは終了される。
【0047】
ステップ108では、電流検出回路40〜42から供給される検出電流量の“0”電流からの偏差を検出する。
【0048】
ステップ110では、ステップ108で検出した偏差を電流検出回路40〜42で検出される検出電流量のモータ24の各相に実際に流れる電流量に対するオフセット量と設定することにより、検出電流量を補正するオフセット補正値を演算する処理が実行される。
【0049】
ステップ112では、ステップ110で演算したオフセット補正値によって電流検出回路40〜42で検出される検出電流量を補正する処理が実行される。ステップ110の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0050】
上記図5に示すルーチンによれば、モータ24を駆動させるインバータ回路のデッドタイムに起因するモータ24に供給される電流量の不変領域において電流検出回路40〜42で検出される検出電流量をオフセット量として検出し、そのオフセット量に基づいて電流検出回路40〜42で検出される電流量を補正できる。かかる構成においては、モータ24の駆動中に電流検出回路40〜42による検出電流量が補正される。
【0051】
このため、モータ駆動中に電流検出回路40〜42の有する温度変化特性及び経年変化特性により電流検出回路40〜42で検出される電流量にオフセット変動が生じた場合にも、そのモータ駆動中に電流検出回路40〜42で検出される検出電流量をそのオフセット分だけ補正することができ、オフセットを含まない検出電流値に基づいてモータ制御を続行することができる。
【0052】
また、モータ24の回転角速度が所定範囲を超えて大きい場合には、モータ24が過渡状態にあるため、正確なオフセット量の検出は困難である。本実施形態において、ステアリング装置10は、図5に示すルーチンに従って、モータ24の回転角速度が所定範囲を超えて大きい場合は、検出電流量の補正処理を行わない。このため、検出電流量の適正な補正が確保されている。
【0053】
従って、本実施形態のステアリング装置10によれば、モータ駆動中にモータ24のトルクリップルや軸振動の発生を低減することができ、電流フィードバックの制御性を高く維持することができ、これにより、運転者のステアリング操作に対する操舵フィーリングの低下を防止することが可能となる。
【0054】
尚、不変領域において電流検出回路40〜42で検出される電流量に基づいて検出電流量をオフセット分だけ補正することとしているが、その電流量の平均値に基づいて補正することとしてもよい。かかる構成によれば、不変領域において電流検出手段で検出される電流量にノイズが重畳した場合にも、検出電流量を適正に補正することができる。
【0055】
ところで、上記の如く、モータ24の各相には、電流検出回路40〜42で検出されるモータ24の各相に流れる電流量を補正する補正処理部44が設けられている。補正処理部44は、電流量が“0”となるべき不変領域において電流検出回路40〜42で検出される検出電流量に基づいて電流検出回路40〜42による検出電流量のオフセット量を検出する。かかるオフセット量が過大でない場合には検出電流量に温度変化等に起因するオフセットが生じていると判断できる一方、オフセット量が過大である場合には電流検出回路40〜42に検出異常が生じていると判断できる。従って、電流検出回路40〜42に生ずる検出異常を検知できる。
【0056】
そこで、本実施形態のシステムは、補正処理部44で検出されるオフセット量に基づいて電流検出回路40〜42の検出異常を検知する点に第2の特徴を有している。以下、図6を参照して、その特徴部について説明する。
【0057】
図6は、電流検出回路40〜42の検出異常を検知すべく、本実施形態においてECU22が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図6に示すルーチンは、モータ24の各相においてそれぞれ所定時間ごとに繰り返し起動されるルーチンである。図6に示すルーチンが起動されると、まずステップ200の処理が実行される。
【0058】
ステップ200では、不変領域において電流検出回路40〜42で検出される検出電流量のオフセット量(偏差)データを取り込む処理が実行される。
【0059】
ステップ202では、ステップ200で取り込んだ偏差データの平均値及び/又は分散を算出する処理が実行される。
【0060】
ステップ204では、ステップ202で算出した偏差データの平均値及び/又は分散が所定値を超える異常データであるか否かが判別される。尚、所定値は、検出電流量に温度変化等に起因するオフセットが生じていると判断できる最大のオフセット量である。その結果、肯定判定がなされた場合は、次にステップ206の処理が実行される。一方、否定判定がなされた場合は、今回のルーチンは終了する。
【0061】
ステップ206では、電流検出回路40〜43に検出異常が生じたとして、モータ24の電流フィードバック制御を中止し、ステアリング操作をアシストするアシスト制御を中止すると共に、その旨を運転者にスピーカや音声案内で知らせる異常(フェール)確定処理が実行される。本ステップ210の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0062】
上記図6に示すルーチンによれば、補正処理部で算出される検出電流量のオフセットが所定値範囲内である場合には、電流検出回路40〜43に検出異常が生じていないとして、通常どおりそれらの検出値を補正処理部で補正した後の信号に基づいてモータ24の電流フィードバック制御を実行し、一方、補正処理部で算出される検出電流量のオフセットが所定値範囲外である場合には、その相の電流検出回路40〜42に検出異常が生じたとして、その異常確定処理を実行することができる。
【0063】
また、異常検出は、不変領域において電流検出回路40〜42で検出される電流量の平均値又は分散に基づいて検知されるため、不変領域における検出電流量にノイズが重畳した場合にも、電流検出回路40〜42の異常を適切に検知することができる。
【0064】
また、上記の手法により電流検出回路40〜42の検出異常が検知された場合には、異常確定処理として、モータ24の電流フィードバック制御が中止され、ステアリング操作をアシストするアシスト制御が中止されると共に、その旨が運転者にスピーカや音声案内で知らされる。このため、本実施例においては、電流検出回路40〜42の検出異常に起因してアシスト制御が誤制御されるのを回避することができると共に、運転者にアシスト制御が行われなくなったことを認識させることができ、これにより、電流検出回路40〜42の検出異常に対する処置を速やかに行うことが可能となっている。
【0065】
尚、上記の実施形態においては、駆動回路32が特許請求の範囲に記載した「インバータ回路」に、モータ24が特許請求の範囲に記載した「交流モータ」に、電流検出回路40〜42が特許請求の範囲に記載した「電流検出手段」に、それぞれ相当している。
【0066】
また、上記の実施形態においては、補正処理部44が、上記図5に示すルーチン中ステップ100〜106の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「不変領域検出手段」が、ステップ108の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「オフセット量検出手段」が、ステップ110及び112の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「補正手段」が、上記図6に示すルーチン中ステップ200〜206の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「異常検知手段」が、それぞれ実現されている。
【0067】
尚、上記の実施形態においては、電流検出を行うモータ24を三相のブラシレスモータとしているが、三相に限らず、二相および四相以上の多相のモータに適用することも可能であり、また、ブラシレスに限らず、ブラシ付きのモータに適用することも可能である。
【0068】
また、上記の実施形態においては、車両の搭載する電動パワーステアリング装置10に用いるモータ24の電流検出を行うこととしているが、電動パワーステアリング装置10に限定されるものではなく、他の用途のモータに適用することも可能である。
【0069】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、交流モータの駆動中に検出電流量を補正することができ、交流モータのトルクリップルを低減することができる。
【0070】
請求項2記載の発明によれば、不変領域の誤検出を防止することができる。
【0071】
請求項3記載の発明によれば、不変領域において電流検出手段で検出される電流量にノイズが重畳した場合にも、検出電流量を適正に補正することができる。
【0072】
請求項4記載の発明によれば、不変領域において電流検出手段で検出される電流量に基づいて電流検出手段の異常を検知することができる。
【0073】
請求項5記載の発明によれば、不変領域における検出電流量にノイズが重畳した場合にも、電流検出手段の異常を適切に検知することができる。
【0074】
また、請求項6記載の発明によれば、運転者のステアリング操作に対する操舵フィーリングの低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるモータ制御装置を備えるシステムの構成図である。
【図2】駆動回路の構成を示す図である。
【図3】駆動回路への指令動作を説明するための図である。
【図4】(a)電流検出回路で検出される相電流量とモータ電気角の関係を表した図である。
(b)(a)の相電流量変化率とモータ電気角の関係を表した図である。
【図5】本実施形態において、電流検出回路で検出される電流量を補正すべく実行される制御ルーチンのフローチャートである。
【図6】本実施形態において、電流検出回路の検出異常を検知すべく実行される制御ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10 電動パワーステアリング装置
22 電子制御ユニット(ECU)
24 三相交流ブラシレスモータ(モータ)
40〜42 電流検出回路
44 補正処理部
Claims (6)
- 交流モータへ供給される電流量を検出する電流検出手段を備え、前記電流検出手段で検出される電流量を用いてインバータ回路を駆動して前記交流モータを制御するモータ制御装置において、
前記インバータ回路のデッドタイムに起因する前記交流モータに供給される電流量の不変領域を検出する不変領域検出手段と、前記不変領域において前記電流検出手段で検出される電流量をオフセット量として検出するオフセット量検出手段と、前記オフセット量に基づいて前記電流検出手段で検出される電流量を補正する補正手段と、を有することを特徴とするモータ制御装置。 - 前記不変領域検出手段は、前記交流モータの回転角が所定角度内である場合に前記電流検出手段で検出される電流量の変化に基づいて前記不変領域を検出することを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
- 前記補正手段は、前記不変領域において前記電流検出手段で検出される電流量の平均値に基づいて補正することを特徴とする請求項1又は2記載のモータ制御装置。
- 交流モータへ供給される電流量を検出する電流検出手段を備え、前記電流検出手段で検出される電流量を用いてインバータ回路を駆動して前記交流モータを制御するモータ制御装置において、
前記インバータ回路のデッドタイムに起因する前記交流モータに供給される電流量の不変領域を検出する不変領域検出手段と、前記不変領域において前記電流検出手段で検出される電流量に基づいて前記電流検出手段の異常を検知する異常検知手段と、を有することを特徴とするモータ制御装置。 - 前記異常検知手段は、前記不変領域において前記電流検出手段で検出される電流量の平均値又は分散に基づいて前記電流検出手段の異常を検知することを特徴とする請求項4記載のモータ制御装置。
- 前記交流モータは、車両のステアリング操舵力をアシストするモータであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項記載のモータ制御装置。
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