JP4348897B2 - 電動パワーステアリング装置のモータ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の操舵系に対する操舵を電動モータの動力でアシストする電動パワーステアリング装置のモータ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、モータの動力によってステアリングホイールの操舵を補助する電動式パワーステアリング装置では、例えば、トルクセンサによって検出する操舵トルクと、車速センサによって検出する車速とに基づいて、モータがアシストするアシストトルクを決定する操舵アシスト制御が行われる。
【0003】
このような電動パワーステアリング装置は、図9に示すように、三相モータのu相、v相及びw相励磁電流iu,iv,iwを帰還させ、モータが発生するアシストトルクのフィードバック制御を行うモータ制御装置50が採用されている。
【0004】
このモータ制御装置では、基本アシスト力演算部30が操舵トルクτ及び車速vとに基づいて指令トルクτ*を設定し、指令電流設定部31がこの指令トルクτ*を得るためのd軸及びq軸指令電流id*,iq*を生成する。
【0005】
一方、電流センサ17a,17bが、三相ブラシレスモータのu相及びv相励磁電流iu,ivを検出し、演算部37が、両励磁電流iu,ivからw相励磁電流iwを求める。そして、三相/d−q変換部34が、モータの回転子の回転角θに基づき、u相、v相及びw相励磁電流iu,iv,iwをd軸及びq軸検出電流id,iqに変換して帰還させる。
【0006】
減算部36aは、d軸指令電流id*とd軸検出電流idとからd軸差分値Δidを生成し、減算部36bは、q軸指令電流iq*とq軸検出電流iqとからq軸差分値Δiqを生成する。
【0007】
次に、PI制御部51aがd軸差分値Δidからd軸指令電圧vd*を生成し、また、PI制御部51bがq軸差分値Δiqからq軸指令電圧vq*を生成する。
【0008】
次に、d−q/三相変換部33が、回転子の回転角θに基づき、d軸指令電圧vd*及びq軸指令電圧vq*をu相、v相及びw相指令電圧vu*,vv*,vw*に変換する。
【0009】
次に、PWM制御部35が、u相、v相及びw相指令電圧vu*,vv*,vw*からu相、v相及びw相PWM制御信号uu,vu,wuを生成し、モータ駆動装置12に供給する。
【0010】
すると、インバータ回路からなるモータ駆動装置12が、u相、v相及びw相PWM制御信号uu,vu,wuによってデューティ駆動され、u相、v相及びw相励磁電流iu,iv,iwを生成してモータに供給する。
【0011】
ところで、このモータ制御装置50において、電流センサ17a,17bが故障すると、u相、v相及びw相励磁電流iu,iv,Iwに基づいてモータのアシストトルクをフィードバック制御することができなくなり、操舵アシスト制御における応答性や制御精度が悪化する。
【0012】
このため、このモータ制御装置50では、センサ異常検出部52が、d軸及びq軸差分値Δid,Δiqを監視し、そのいずれかが所定の差分判定値を越えたときに、電流センサ17a,17bが故障したと判定する。
【0013】
即ち、電流センサ17a,17bが故障すると、その出力値が例えば「0」Vに固定された状態となり、d軸及びq軸検出電流id,iqの電流値が「0」となる。すると、d軸及びq軸差分値Δid,Δiqが、通常生成されるd軸及びq軸差分値Δid,Δiqの最大値よりも大きくなる。そこで、このような過大なd軸及びq軸差分値Δid,Δiqが生成されたことをもって、電流センサ17a,17bの出力値が「0」に固定されたこと、即ち、電流センサ17a,17bが故障したことを検出する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記モータ制御装置50におけるセンサ異常検出部52のように、電流センサ17a,17bの異常をd軸又はq軸差分値Δid,Δiqから判断する場合には、通常生成されるd軸又はq軸差分値Δid,Δiqの最大値よりも差分判定値を大きな値とする必要がある。
【0015】
このため、電流センサ17a,17bが故障している状態のときに、例えば急激な操舵に伴って比較的大きな指令トルクτ*が設定され、d軸又はq軸差分値Δid,Δiqが比較的大きな値となったときにのみ、電流センサ17a,17bの検出値が異常であると判断できる。
【0016】
しかしながら、比較的小さい指令トルクτ*が設定される状態が続いた場合、電流センサ17a,17bが故障してその電流検出値が「0」となっていても、そのd軸又はq軸差分値Δid,Δiqが差分判定値を越えない場合が発生する。
【0017】
この場合、PI制御部51a,51bのIゲインによって、d軸及びq軸指令電圧vd*,vq*が次第に大きくなり、v相、u相及びw相指令電圧vu*,vv*,vw*が次第に大きくなる。
【0018】
その結果、電流センサ17a,17bの故障が検出されないままでu相、v相及びw相励磁電流iu,iv,iwが過大となり、モータ13がロックしたり、又、過熱して発火したりする虞があった。
【0019】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、指令トルクの大きさに関係なく、電流センサの異常をより確実に検出することができる電動パワーステアリング装置のセンサ異常検出装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、電動モータが発生するアシストトルクを、操舵トルクの検出値に対して設定された指令トルクに制御するためのモータ指令電圧を、電流センサが検出するモータ励磁電流を用いて生成する電動パワーステアリング装置のモータ制御装置であって、モータ指令電圧とモータ回転速度とに基づいて前記モータ励磁電流の検出値が異常であるか否かを判断し、この判断結果に基づいて前記電流センサの異常を検出する電流センサ異常検出手段を備え、前記電流センサ異常検出手段は、前記モータ指令電圧が所定の信号判定値を越え、かつ、前記モータ回転速度が所定の回転速度判定値未満であるモータの制御状態において前記モータ励磁電流が所定の電流判定値未満であったときにモータ励磁電流が異常であると判断することを特徴とする。
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、モータの制御特性により、あるモータ指令電圧及びモータ回転速度に対するモータ励磁電流が一義的に決定される。このため、電流センサが異常となると、モータ励磁電流の検出値が本来のモータ励磁電流でない異常な値となる。従って、あるモータ指令電圧及びモータ回転速度で特定されるモータの制御状態におけるモータ励磁電流の検出値が、その制御状態での正常な値であるかそれとも異常な値であるかを判定することにより、電流センサの異常を検出できる。
【0023】
また、DCモータ及びブラシレスモータでは、モータ回転速度とモータ励磁電流との関係が負の勾配をもった直線状となり、かつ、モータ指令電圧が大きいほどモータ励磁電流に対するモータ回転速度が大きい特性となる。それぞれの調節範囲において、モータ回転速度が小さい領域にあり、かつ、モータ指令電圧が大きい領域にあるときには、モータ励磁電流が大きい領域にある。ここで、電流センサが故障してモータ励磁電流の検出値が「0」に近い値に固定されると、モータ励磁電流が異常であると判断でき、電流センサが異常であると判断できる。
【0024】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記モータは、DCモータ又はブラシレスモータであることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、DCモータ又はブラシレスモータのモータ励磁電流を検出する電流センサの異常が検出される。
【0025】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記モータは、三相ブラシレスモータであって、前記電流センサは、三相の内から二相のモータ励磁電流を検出することを特徴とする。
【0026】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、三相ブラシレスモータの二相のモータ励磁電流を検出する電流センサの異常が検出される。従って、検出された二相のモータ励磁電流から残りの一相のモータ励磁電流を求め、この三相のモータ励磁電流に基づいてフィードバック制御を行うモータ制御装置において、三相それぞれに電流センサを設けることなく各電流センサの異常を検出できる。その結果、部品点数が少なくてすむ。
【0027】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記センサ異常検出手段は、所定時間経過した時点毎に前記モータ励磁電流の検出値が異常であるか否かを判断し、その検出値が異常である状態が所定回数を越えたときに電流センサが異常であると判断することを特徴とする。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、モータ励磁電流の検出値が異常であると判断した一回毎の判断結果に誤りがあっても、電流センサの異常をより確実に検出できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図7に従って説明する。
図2に示すように、電動パワーステアリング装置10は、モータ制御装置11、モータ駆動装置12、三相ブラシレスモータ(以下、単にモータという。)13、トルクセンサ14、車速センサ15、回転角センサ16、電流センサ17a,17b等によって構成されている。
【0030】
トルクセンサ14は、ステアリングシャフト18に設けられたトーションバー19に装着され、ステアリングホイール20に加えられる操舵力に応じた操舵トルクτを検出し、モータ制御装置11に出力する。
【0031】
車速センサ15は、前輪28の回転数から車速vを検出し、モータ制御装置11に出力する。
モータ制御装置11はマイクロコンピュータからなり、図3に示すように、操舵トルクτ及び車速vに基づいてu相PWM制御信号uu、v相PWM制御信号vu及びw相PWM制御信号wuを生成し、モータ駆動装置12に出力する。
【0032】
モータ駆動装置12はインバータ回路からなり、u相、v相及びw相PWM制御信号uu,vu,wuに基づいてu相励磁電流iu、v相励磁電流iv及びw相励磁電流iwを生成し、モータ13に出力する。本実施形態では、u相励磁電流iu、v相励磁電流iv及びw相励磁電流iwがモータ励磁電流である。
【0033】
モータ13は三相同期式永久磁石モータであって、モータ駆動装置12が出力するu相、v相及びw相励磁電流iu,iv,iwによって運転制御される。
図2に示すように、モータ13は、ステアリングシャフト18に固定された減速ギヤ21を、その回転軸に固着された駆動ギヤ22で駆動する。ステアリングホイール20の操舵に伴ってステアリングシャフト18が回転すると、減速ギヤ21に固着されたピニオンシャフト23が一体回転し、ピニオンシャフト23の先端に固着されたピニオンギヤ24がラック25を作動させる。ラック25は、タイロッド26を介してナックル27を回動させ、ナックル27に支持されている前輪28を操舵する。
【0034】
また、モータ13が回転すると、その回転は減速ギヤ21を介してピニオンシャフト23に伝達され、ピニオンギヤ24を介してラック25に伝達される。
そして、ステアリングホイール20が操舵されるときにモータ13が運転されると、ステアリングホイール20に加わる操舵トルクτによる操舵力に加え、モータ13からのアシストトルク(即ち、指令トルクτ*)による操舵力によって前輪28が操舵される。
【0035】
図3に示すように、電流センサ17aは、モータ13のu相励磁電流iuを検出してモータ制御装置11に出力する。電流センサ17bは、同じくv相励磁電流ivを検出してモータ制御装置11に出力する。
【0036】
回転角センサ16は、モータ13の回転子の回転角θ(回転子の電気角に相当)を検出し、モータ制御装置11に出力する。
モータ制御装置11は、電流センサ17a,17bから入力するu相及びv相励磁電流iu,ivに基づくフィードバック制御を行い、モータ13が発生するトルクを指令トルクτ*に制御する。
【0037】
次に、モータ制御装置11を、図4のブロック線図を用いて詳述する。
モータ制御装置11は、基本アシスト力演算部30、指令電流設定部31、PID制御部32a,32b、d−q/三相変換部33、三相/d−q変換部34、PWM制御部35、減算部36a,36b及び演算部37を備え、公知のベクトル制御を行う。また、モータ制御装置11は、新たにセンサ異常検出部38を備えている。本実施形態では、センサ異常検出部38が電流センサ異常検出手段である。
【0038】
基本アシスト力演算部30は、操舵トルクτ及び車速vから、予め記憶されているアシストマップを用いて指令トルクτ*を求める。
指令電流設定部31は、指令トルクτ*に基づき、d軸指令電流id*及びq軸指令電流iq*を設定する。
【0039】
一方、演算部37は、電流センサ17aが出力するu相励磁電流iuと、電流センサ17bが出力するv相励磁電流ivとからw相励磁電流iwを生成する。
三相/d−q変換部34は、回転角センサ16が検出する回転角θに基づき、u相、v相及びw相励磁電流iu,iv,iwを、d軸及びq軸検出電流id,iqに変換する。
【0040】
減算部36aは、d軸指令電流id*とd軸検出電流idとのd軸差分値Δidを生成し、減算部36bは、q軸指令電流iq*とq軸検出電流iqとのq軸差分値Δiqを生成する。
【0041】
PID制御部32aは、d軸差分値Δidに基づき、d軸検出電流をd軸指令電流に近づけるためのd軸指令電圧vd*を生成する。PID制御部32bは、q軸差分値Δiqに基づき、q軸検出電流をq軸指令電流に近づけるためのq軸指令電圧vq*を生成する。
【0042】
d−q/三相変換部33は、回転角センサ16が検出する回転角θに基づき、d軸及びq軸指令電圧vd*,vq*を、u相指令電圧vu*、v相指令電圧vv*及びw相指令電圧vw*に変換する。本実施形態では、d軸指令電圧vd*及びq軸指令電圧vq*と、u相指令電圧vu*、v相指令電圧vv*及びw相指令電圧vw*とがいずれもモータ制御信号である。
【0043】
PWM制御部35は、u相、v相及びw相指令電圧vu*,vv*,vw*を、それぞれu相PWM制御信号uu、v相PWM制御信号vu、w相PWM制御信号wuに変換する。u相、v相及びw相PWM制御信号uu,vu,wuはデューティ信号であって、モータ駆動装置12に出力される。
【0044】
次に、PID制御部32a,32bについて詳述する。
図5に示すように、PID制御部32aは、比例動作部40a、積分動作部41a及び微分動作部42aとからなる。PID制御部32aは、センサ異常検出部38が出力するモード切替信号SCにより、比例動作部40a及び積分動作部41aだけが動作するPI制御モードと、比例動作部40a、積分動作部41a及び微分動作部42aが動作するPID制御モードとのいずれか一方に切り替わる。さらに、PI制御モードとPID制御モードとでは、比例動作部40aと積分動作部41aの各ゲインが各モードの設定値に切り換わる。
【0045】
そして、PI制御モードにおいては、電流センサ17a,17bが正しく検出するu相、v相及びw相励磁電流uu,vu,wuに基づくフィードバック制御を行う。
【0046】
一方、PID制御モードにおいては、d軸及びq軸差分値Δid,Δiqが積分動作部41aのゲインによって蓄積されないようにし、操舵トルクτ及び車速vに基づき、実質的にオープンループとなる制御を行う。
【0047】
PID制御部32bは、比例動作部40b、積分動作部41b及び微分動作部42bとからなり、PID制御部32aと同様、モード切替信号SCによってPI制御モードとPID制御モードとのいずれか一方に切り替わる。そして、PI制御モードにおいてはフィードバック制御を行い、PID制御モードにおいては実質的にオープンループとなる制御を行う。
【0048】
センサ異常検出部38は、電流センサ17a,17bの少なくとも一方が故障したか否かを判断するセンサ異常検出処理を行う。センサ異常検出処理は、所定の時間Δt経過毎に繰り返し実行される。
【0049】
次に、センサ異常検出処理について説明する。
図1に示すように、センサ異常検出処理として、先ずステップ(以下、Sと記す。)100で、u相励磁電流iu、v相励磁電流iv、回転角θ及びu相指令電圧vu*の各検出値を取得する。
【0050】
次に、S101で、u相指令電圧vu*の電圧値が、所定の電圧判定値(信号判定値)αを越えているか否かを判断する。この電圧判定値αは、u相指令電圧vu*の調節範囲において、大きな領域の値に設定されている。
【0051】
S101で、肯定判定したときには、次に、S102で、前回の処理で取得した回転角θの検出値と、今回の処理で取得した回転角θの検出値との差分Δθを求め、この差分Δθから回転角速度(モータ回転速度)ω(=Δθ/Δt)を求める。そして、この回転角速度ωが、所定の回転角速度判定値(回転速度判定値)β未満であるか否かを判断する。この回転角速度判定値βは、ほぼ「0」に近い値に設定されている。
【0052】
このS102での判定処理により、モータ13の制御状態が、u相指令電圧vu*が電圧判定値αを越え、かつ、回転角速度ωが回転角速度判定値β未満である制御状態であるか否かを判断する。
【0053】
S102で肯定判定したときには、次に、S103で、u相励磁電流iuの検出値と、v相励磁電流ivの検出値とが、共に所定の電流判定値γ未満であるか否かを判断する。この電流判定値γは、ほぼ「0」に近い値に設定されている。
【0054】
このS103での判定処理により、u相指令電圧vu*が電圧判定値αを越え、かつ、回転角速度ωが回転速度判定値β未満であるモータ13の制御状態において、電流センサ17a,17bが検出するu相及びv相励磁電流iu,ivの検出値の少なくとも一方が異常な値であるか否かを判断する。
【0055】
即ち、図7に示すように、電流判定値γは、u相指令電圧vu*が電圧判定値αを越え、かつ、回転角速度ωが回転速度判定値β未満である制御状態では、モータ13の特性上、u相及びv相励磁電流iu,ivが共に電流判定値γ未満の値をとることがない値に設定されている。
【0056】
従って、u相及びv相励磁電流iu,ivの検出値が電流判定値γ未満の異常な値となったときには、電流センサ17a,17bが故障した可能性が高いと判断する。
【0057】
S103で肯定判定したときには、次に、S104で、カウンタのカウント値Cをカウントアップした後にS105を実行する。
一方、S101,S102又はS103で否定判定したときには、S106で、カウンタをクリアした後、S107で、PID制御部32a,32bをPI制御モードとするモード切替信号SCを出力した後に本処理を終了する。
【0058】
S105では、カウント値Cが所定のカウント判定値C0を越えたか否かを判定する。
S105で肯定判定したときには、次に、S108で、PID制御部をPID制御モードとするモード切替信号SCを出力した後に本処理を終了する。
【0059】
一方、S105で否定判定したときには、次に、S107を実行する。
以上のセンサ異常検出処理により、電流センサ17a,17bが検出するu相及びv相励磁電流iu,ivの検出値のいずれかが異常であるか否かを判定し、検出値が異常であったときには電流センサ17a,17bのいずれかが異常であると判断する。
【0060】
また、この状態が所定時間(Δt×C0)を越えて継続したことを判定することで、電流センサ17a又は17bの異常をより確実に検出する。
電流センサ17a,17bの異常を検出したときには、PID制御部32a,32bがPID制御モードとなり、電流センサ17a,17bの間違った検出値から得られるd軸及びq軸差分値Δid,Δiqが積分動作部41a,41bによって蓄積されないようにする。そして、操舵トルクτ及び車速vに基づき実質的にオープンループの制御が行われる。このため、電流センサ17a,17bが故障しても、操舵トルクτ及び車速vに応じて適切なアシストトルクが供給される。
【0061】
次に、以上詳述した本実施形態が有する作用・効果を列記する。
(1) u相指令電圧vu*と回転角速度ωとに基づいて、電流センサ17a,17bが検出するu相及びv相励磁電流iu,ivの検出値が異常であるか否かを判断し、この判断結果に基づいて電流センサ17a,17bの異常を検出するようにした。
【0062】
従って、電流センサ17a,17bが異常となり、u相及びv相励磁電流iu,ivの検出値が異常となったことに基づいて電流センサ17a,17bの異常が検出されるので、指令トルクτ*の大きさに関係なく、電流センサ17a,17bの異常をより確実に検出できる。
【0063】
(2) ブラシレスモータ13において、u相指令電圧vu*が電圧判定値αを越え、かつ、回転角速度ωが回転速度判定値β未満である制御状態において、u相及びv相励磁電流iu,ivの検出値が異常な値となったことに基づいて電流センサ17a,17bの異常を検出する。
【0064】
従って、回転角速度ωと、u相及びv相励磁電流iu,ivとの関係が負の勾配をもった直線状となり、かつ、u相指令電圧vu*が大きいほどu相及びv相励磁電流iu,ivに対する回転角速度ωが大きくなるブラシレスモータ13において、電流センサ17a,17bの異常をより確実に検出できる。
【0065】
(3) 三相ブラシレスモータ13の三相の内からニ相のu相及びv相励磁電流iu,ivを検出する電流センサ17a,17bの異常を検出するようにした。
【0066】
従って、検出されたニ相のu相及びv相励磁電流iu,ivから残りの一相のw相励磁電流iwを求め、この三相の励磁電流iu.iv,iwを用いてフィードバック制御を行うモータ制御装置11において、三相それぞれに電流センサを設けることなく各電流センサ17a,17bの異常を検出できる。その結果、部品点数が少なくなる。
【0067】
(4) 繰り返し実行するセンサ異常検出処理により、u相又はv相励磁電流iu,ivの検出値が異常であるか否かを所定時間Δt経過毎に判断し、その検出値が異常である状態がカウント判定値C0を越えたときに、電流センサ17a,17bのいずれかが異常であると判断する。
【0068】
従って、u相又はv相励磁電流iu,ivの検出値が異常であると判断した一回のセンサ異常検出処理に誤りがあっても、電流センサ17a,17bの異常をより確実に検出できる。
【0069】
(5) 電流センサ17a,17bの異常を検出したときは、センサ異常検出部38が出力するモード切替信号SCに基づいて、PID制御部32a,32bが、PD制御モードからPID制御モードに切り替わる。そして、操舵トルクτ及び車速vに基づき実質的にオープンループの制御を行う。このため、比較的小さい指令トルクτ*が設定される状態が続いても、PID制御モードの積分動作部41a,41bによってd軸及びq軸指令電流id*,iq*が蓄積されることがなく、d軸及びq軸指令電圧vd*,vq*が過度に増大することがない。従って、d軸及びq軸差分値Δid,Δiqに基づくPI制御を行ってd軸及びq軸指令電圧vd*,vq*を生成するモータ制御装置11において、電流センサ17a,17bが故障しても、操舵アシスト制御を継続することができる。
【0070】
次に、上記一実施形態以外の実施形態を列記する。
・ 前記一実施形態で、モータ制御信号が、v相又はw相指令電圧vv*,vw*、あるいは、d軸又はq軸指令電圧vd*,vq*である構成としてもよい。
【0071】
・ 前記一実施形態で、一回のセンサ異常検出処理での判断結果に基づいて、電流センサ17a,17bが異常であると判断する構成とする。
・ 前記一実施形態で、図8に示すように、u相指令電圧vu*が所定の電圧判定値αを越え、かつ、回転角速度ωが所定の回転角速度判定値εを超える制御状態において、u相及びv相励磁電流iu,ivの検出値が所定の電流判定値ζを越える例えば「10」Aの異常な値となっているか否かを判定する。そして、異常な値であったときに、電流センサ17a,17bが異常であると判定する構成とする。この場合にも、前記一実施形態の(1)〜(5)に記載した各効果がある。
【0072】
・ 前記一実施形態で、モータ制御装置11が、三相ブラシレスモータ13に代えてDCモータをトルク制御する構成とする。この場合にも、前記一実施形態の(1),(2),(4),(5)に記載した各効果がある。
【0073】
以下、前記各実施形態から把握される技術的思想を記載する。
(1) 前記電動パワーステアリング装置のモータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置。
【0074】
【発明の効果】
請求項1〜請求項4に記載の発明によれば、指令トルクの大きさに関係なく、電流センサの異常をより確実に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の電動パワーステアリング装置のモータ制御装置が行うセンサ異常検出処理のフローチャート。
【図2】 電動パワーステアリング装置の模式構成図。
【図3】 同じく電気ブロック図。
【図4】 モータ制御装置のブロック線図。
【図5】 PID制御部を示す電気ブロック図。
【図6】 同じくPID制御部を示す電気ブロック図。
【図7】 ブラシレスモータの相励磁電流−回転角速度特性を示すグラフ。
【図8】 他の実施形態での相励磁電流−回転角速度特性を示すグラフ。
【図9】 従来の電動パワーステアリング装置のモータ制御装置を示すブロック線図。
【符号の説明】
10…電動パワーステアリング装置、11…モータ制御装置、12…モータ駆動装置、13…三相ブラシレスモータ、17a,17b…電流センサ、38…電流センサ異常検出手段としての電流センサ異常検出部、id*…d軸指令電流、iq*…q軸指令電流、iu…モータ励磁電流としてのu相励磁電流、iv…同じくv相励磁電流、iw…同じくw相励磁電流、vd*…モータ制御信号としてのd軸指令電圧、vq*…同じくq軸指令電圧、vu*…同じくu相指令電圧、vv*…同じくv相指令電圧、vw*…同じくw相指令電圧、α…信号判定値としての電圧判定値、β…回転速度判定値としての回転角速度判定値、γ…電流判定値、Δid…d軸差分値、Δiq…q軸差分値、ε…回転速度判定値としての回転角速度判定値、ζ…電流判定値、τ…操舵トルク、τ*…指令トルク、ω…モータ回転速度としての回転角速度。
Claims (4)
- 電動モータが発生するアシストトルクを、操舵トルクの検出値に対して設定された指令トルクに制御するためのモータ指令電圧を、電流センサが検出するモータ励磁電流を用いて生成する電動パワーステアリング装置のモータ制御装置であって、
モータ指令電圧とモータ回転速度とに基づいて前記モータ励磁電流の検出値が異常であるか否かを判断し、この判断結果に基づいて前記電流センサの異常を検出する電流センサ異常検出手段を備え、
前記電流センサ異常検出手段は、前記モータ指令電圧が所定の信号判定値を越え、かつ、前記モータ回転速度が所定の回転速度判定値未満であるモータの制御状態において前記モータ励磁電流が所定の電流判定値未満であったときにモータ励磁電流が異常であると判断することを特徴とする電動パワーステアリング装置のモータ制御装置。 - 前記モータは、DCモータ又はブラシレスモータであることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置のモータ制御装置。
- 前記モータは、三相ブラシレスモータであって、前記電流センサは、三相の内から二相のモータ励磁電流を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動パワーステアリング装置のモータ制御装置。
- 前記センサ異常検出手段は、所定時間経過した時点毎に前記モータ励磁電流の検出値が異常であるか否かを判断し、その検出値が異常である状態が所定回数を越えたときに電流センサが異常であると判断することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置のモータ制御装置。
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